搬送装置用ハンド
【課題】安価で作業性を高められるとともに、軽量化と高剛性を得ることができる搬送装置用ハンドを提供する。
【解決手段】ハンド7を本体部基部12の補強基部13を配置してマトリックス樹脂を含浸させることにより、タック性を気にすることなく中子への巻付け作業ができると共に、要求される強化繊維の配向が取りやすくなり、撓み、振動減衰特性を向上する。
【解決手段】ハンド7を本体部基部12の補強基部13を配置してマトリックス樹脂を含浸させることにより、タック性を気にすることなく中子への巻付け作業ができると共に、要求される強化繊維の配向が取りやすくなり、撓み、振動減衰特性を向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用のガラス基板等の被搬送物を移動するための搬送装置用ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ装置の大型化に伴い液晶用ガラス基板の製造現場ではより大きなガラス基板の移動に対応した設備が求められている。その一つに、ガラス基板を搬送する搬送装置用ハンドがある。
【0003】
ガラス基板が大型化すると搬送装置のハンドが長尺化し、ハンドの重量が搬送装置に与える影響が大きくなる。ハンドの重量が増すと、慣性モーメントが増大し、搬送装置の動作の開始、停止に時間がかかり作業性が低下する。また、ハンドの長尺化に伴い被搬送物の重量でハンドが撓んで被搬送物に不要な振動を与えたり、被搬送物の裁置位置がずれて所定位置に搬送できなかったり、静止するまでに時間が掛かるといった種々の不都合が生じる。
【0004】
搬送装置用ハンドを軽量化かつ高剛性にするために、ハンドを繊維強化プラスチックにより形成することが提案される。炭素繊維に耐熱エポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを最終製品となるハンドの厚みに対応するように貼り付け、積層し、得られた積層体を加熱・加圧して硬化させる技術が提案されている。(特許文献1,特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−292591号公報
【特許文献2】特開2003−285382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2においては、プリプレグを用いているため作業性、コスト面で多くの問題を含む。プリプレグは、未硬化状態の熱硬化性樹脂が含浸されているため、その硬化反応を遅くするために冷蔵倉庫で保管しなければならず、保管のために別途設備が必要となりコスト高となる。また、プリプレグを冷蔵保存しても、熱硬化性樹脂の反応が進むため保管期限が限られており、保管期間が切れるとプリプレグを破棄しなければならず、材料並びに材料費の無駄となる。そのため、プリプレグは実質的に高額な製品以外は採用困難である。
【0006】
プリプレグは、熱硬化性樹脂が含浸されたシートを芯材に貼り付けるため、タック性があって作業性が悪い。さらに、プリプレグを形成する時に、多層に積層した層間に空気が残らないようにするため、加圧して繊維密度を高めるデバルクという工程が必要である。さらに、プリプレグを加熱硬化する際、体積減少分を考慮して最終形状よりも大きめの外形を形成する必要があり、その設計が難しかった。
【0007】
本発明の搬送装置用ハンドは、安価で作業性を高めるとともに、軽量化と高剛性を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ドライプリフォームを折曲げて、中空直線状に形成された本体部基部と、本体部基部に配置され、前記本体部基部の断面積を実質的の増大させる補強基部であって、前記断面積が一端側から先端側にかけて減少するドライプリフォームからなる補強基部と、本体部基部と補強基部とに一体に含浸硬化したマトリックス樹脂とを備え、本体部基部と補強基部がともに、長手方向の全長に亘って連続した複数の強化繊維糸を有する。
【0009】
ドライプリフォームからなる本体部基部に補強基部を設けるようにしているので、ハンドの形状を形成する時に、プリプレグに比べてタック性がなく作業性がよいとともに、必要に応じて補強基部の厚みを変えることができるので、剛性が必要な箇所への補強が簡単に行える。また、強化繊維糸が連続して配向しているので、長手方向の撓みに強くなる。
【0010】
また、プリプレグを用いないので、冷却保存の必要がなく、設備投資並びにその維持管理が不要となる。
【0011】
請求項2の発明は、ドライプリフォームが、同一方向に配向された強化繊維糸からなる繊維束を熱可塑性樹脂で部分的に接着した繊維束シートを、2層以上に積層して得られた強化繊維積層体から形成されている。
【0012】
繊維束として強化繊維糸の引き揃え方向を層毎に変えることができ、要求される強度にあった強化繊維積層体が得られる。また、強化繊維糸を並べてシート状にすることにより、繊維束シートにうねりがなく繊維容積率(Vf:Volume Fraction)物性を上げることができる。
【0013】
また、強化繊維糸を部分的に熱可塑性樹脂で接着するので、熱可塑性樹脂の接着成分としての量を少なくでき、強度に対する不純物が少なくなり、物性が低下することがない。
【0014】
請求項3の発明は、ドライプリフォームが、長手方向の強化繊維糸を重量比で50%以上の高弾性糸を含み、長手方向の撓み防止が図れ、振動減衰特性も改善できる。
【0015】
請求項4の発明は、強化繊維積層体が、厚み方向にステッチまたはニードルパンチを施されている。このことにより、積層している繊維束シートの強化繊維糸を一体化できるとともに繊維境界面の剥離を防止できるので繊維積層体の取り扱いがし易くなる。さらに、樹脂を含浸させる時にステッチまたはニードルパンチ部から早く全体に充填できる。
【0016】
請求項5の発明は、重量比で0.5〜3%の熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の量が少なくてすむので、物性の強度や熱変形温度の大きな低下を招くことがない。
【0017】
また、0.5%あれば強化繊維糸を接合するのに十分であるが、3%を超えるとマトリックス樹脂の充填に影響を与えることが考えられる。
【0018】
請求項6の発明は、熱可塑性樹脂が、線状、ネット状または蜘蛛の巣状のうちいずれか一つまたは複数から選ぶことにより、強化繊維糸の配向に対して交差する方向に熱可塑性樹脂を配置でき、少ない量で大きな接着効果が得られる。
【0019】
また、接着成分の量が少なくてすむということは、強度に対する不純物が少ないということになり、重量の増加や物性の低下を招くことがない。特に、平板状の熱可塑性樹脂とすることにより、一度に大きな面を処理することができる。
【0020】
請求項7の発明は、長手方向に延びた容器状の治具と、治具の開口を覆う蓋と、治具と蓋とで形成される長手方向に延びたキャビティ内に中子とドライプリフォームを設けて、キャビティ内を減圧した後にマトリックス樹脂を充填してドライプリフォームにマトリックス樹脂を含浸固化させ、マトリックス樹脂の硬化後、中子と共に強化繊維複合材料とされた部材を取り出して、部材から中子を抜いてなる搬送装置用ハンドの製造方法であって、長手方向に延びた中子の外周に、長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームを長手方向に沿って折曲げて本体部基部を形成する前、または後、或いは前後に、肉厚を形成したい箇所に長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームからなる補強基部を介在させ、キャビティ内で両ドライプリフォームを所望する形状に型締めを行った後に、マトリックス樹脂を両ドライプリフォームに同時に含浸硬化させる。
【0021】
厚みの異なるハンドが簡単に形成できると共に、ドライプリフォームを用いるので、治具への取付け作業時にタック性を考える必要もない。補強基部を平板のシート状に形成しておけば、簡単に厚みの異なるハンドを作ることができる。
【0022】
プリグレブ法を使用する従来の製造方法では、外型、または中子のどちらか一方の金型で成形するため他方の面の凹凸が避けることができなかったのに比べ、本発明の製造方法は外型、中子の両者を使用して型締めができるので、ハンド成形物の内外表面の面精度が向上し、ハンド上面に搬送物の支持部材などを取付けるときにも容易にその角度調整が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の搬送装置用ハンドは、中空状の本体部基部の上下外側面或いは内側面に補強基部が位置するので、本体部基部には長手方向に全長に亘って連続した強化繊維糸が存在し、長手方向の剛性の強化が図れ、全体に軽量化が図れる。また、本体部基部と補強基部の境目も含浸する樹脂により一体化しているので強度的にも優れたものとなる。
【0024】
ドライプリフォームで本体部基部、補強基部を形成するので、プリプレグに比べて低廉で、コーナー部などの賦形も精度良く行えかつタック性による作業性悪化ということがない。したがって、剛性と軽量化を兼ね備えたハンドが得られるので、搬送装置の移動時の動作時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態を説明するが、図1〜図6を参考に本発明の搬送装置とそのハンドの構成について説明し、図7〜図14を参考に本発明のハンドの製作ステップを説明する。
【0026】
搬送装置1は、図1に示すように、回転軸2を中心に回転する第一アーム3と、この第一アーム3の先端に回動自在に設けられた第二アーム4と、第二アーム4の先端に回動自在に取付けられた第三アーム5と、第三アーム5に取付けられ被搬送物6を裁置するハンド7とからなっている。
【0027】
第三アーム5には、左右一対で平行をなす二本のフォーク8が形成されており、このフォーク8にハンド7の根元部9をねじ10で取付けている。
【0028】
被搬送物6は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体ウエハ等のガラス基板である。被搬送物6は、ガラス基板以外であってもよく、工場内の各種部品や加工品を搬送するパレット等や板金であってもよい。また、搬送装置としては、工場内で用いられるロボットや、運搬に用いられるフォークリフトがある。
【0029】
ハンド7は、断面が矩形で中空状になっており、フォーク8を片持ちで取付ける前記根元部9と、被搬送物6が裁置される載置部11とを一体に形成している(図2、図3参照)。
【0030】
ハンド7は、繊維強化複合材料から形成され、本体部基部12と、補強基部13と、両基部12,13に一体に含浸したマトリックス樹脂14とから形成されている。この本体部基部12と補強基部13は、強化繊維積層体15を1枚または複数枚を重ねて形成している。この強化繊維積層体15を1枚で使用するか複数枚重ねて使用するかは、ハンド7が必要とする強度によって決める。
【0031】
強化繊維積層体15は、図6に示すように、所謂ドライプリフォームと言われている。
【0032】
強化繊維積層体15は、図4に示すように、強化繊維糸16を一方向に引き揃えて繊維束17とし、この繊維束17を熱可塑性樹脂18に熱と圧力を加えて一体となった繊維束シート19を形成して一層目(図5参照)とし、この一層目の繊維束シート19の上に繊維束17を配置して熱可塑性樹脂18に熱と圧力を加えて1層目と2層目とを固着し、さらに繰返して4層(図6参照)の本体部基部12の厚みと、7層の補強基部13とを形成している。強化繊維積層体15は、熱可塑性樹脂のみで一体化されているが厚み方向にミシンによるステッチングやニードルパンチを施して強化繊維糸16の一体化を図る場合もある。
【0033】
強化繊維糸16は、剛性および軽量化の観点から炭素繊維を採用しているが、炭素繊維以外の、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、その他の強化繊維から採用してもよい。
【0034】
強化繊維積層体15は、強化繊維糸16の引き揃え方向を、ほとんど0°方向としているが、0°、90°、+45°、−45°のように異ならせて積層してもよい。
【0035】
繊維束シート19として、織物や編物を用いない理由は、繊維にうねりや波打ちが起こり、均一な緩みのない直線的な形状を必要とする構造体に不適切である。実施の形態のように強化繊維糸を一本一本並べてシート状にする方がうねりがなく繊維容積率(Vf;Volume Fraction)を上げることができ物性が向上する。
【0036】
なお、ハンドに孔開け等の加工をするような場合は、エッジのかけ防止のために織物や編物からなるクロスや不織布を最外層や最内層に使ってもよい。
【0037】
また、後述するマトリックス樹脂を繊維間に流し込んでいく成形時にも、繊維密度が高く交点がない繊維束シート19の方が早く流し込める。さらに、織物や編物を作る中間工程が不要となる。
【0038】
強化繊維積層体15は、強化繊維糸16を長手方向の全長に亘って配向させていると共に、長手方向の強化繊維糸16の重量比で50%以上の高弾性糸を使用している。強化繊維糸16の配向を0°(長手方向)とすることにより、長手方向の撓み防止が図れ振動減衰特性を向上できる。また、強化繊維糸16の配向を45°とすることにより、全体として捻れ剛性、捻れ振動減衰特性が向上し、90°を挿入することにより負荷時に0°繊維に沿った割れを防止する効果が得られるので、必要とするハンド7の特性に応じて、強化繊維糸16の配向方向を決定すればよい。
【0039】
熱可塑性樹脂18は、後述するマトリックス樹脂14と相性のよい、低融点のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドや変形樹脂、共重合樹脂等を使用することができるが、好ましくは共重合ポリアミド樹脂が望ましい。ハンド7の重量比で熱可塑性樹脂18の量は、重量比で0.5〜3%、望ましくは1〜2%でよい。熱可塑性樹脂の量が3%を超えると、強度に対する不純物となり、物性の強度や熱変形温度の低下を招く。
【0040】
熱可塑性樹脂18は、線状、ネット状または蜘蛛の巣状のうちいずれか一つまたは層毎に異なった形状から選ぶことができる。線状の熱可塑性樹脂18を用いる場合は、強化繊維糸16の配向方向を横切るように多列に設けて、複数の強化繊維糸16に跨るように配置して熱で圧着する。この時、強化繊維糸16間に埋もれないようにする。また、ネット状の熱可塑性樹脂18を用いる場合は、図4に示すように、強化繊維糸16の繊維束17の上に載せて熱で圧着する。蜘蛛の巣状の場合もネット状と同じである。
【0041】
強化繊維糸16を同一方向へ配向して繊維束17とし、熱可塑性樹脂18で各強化繊維糸16を部分的に接着して繊維束シート19を形成して1層目として、その上に繊維束17を配向方向を異ならせて配置して、熱可塑性樹脂18でさらに固着することにより、熱可塑性樹脂18が強化繊維糸16間に埋もれることがないので、少ない量で強化繊維糸16同士の接着が行える。
【0042】
本体部基部12は、図10,図11のように、ハンド7の形成時に使用する中子20に巻き付けて、中子20を覆う大きさに形成された強化繊維積層体15からなる第二ドライプリフォーム15bで形成されている。
【0043】
第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cについては、後述するが、共に強化繊維積層体15から形成されている。第二ドライプリフォーム15bと第一,第三ドライプリフォーム15a,15cとの違いは、大きさと、繊維束シート19の積層枚数の違いである。
【0044】
中子20は、図10,図14に示すように、繊維強化複合材料を形成する時に、治具21の中に入れて、本体部基部12の中空部を形成するために用いるものである。中子20は、断面矩形状に形成されており、図2に示すようには、ハンド7の中空部の幅W、高さH、長さLが、H<W≪Lの関係を形成するために、長さLが非常に長い形状になっている。中子20を抜きやすくするため、先端に行くに従い上下面が高さ方向で先細となるようにテーパをつけている。このテーパは、上下面だけでなく左右面も含めた全体を先細としてもよい。中子20は、矩形状の断面形状だけでなく、円、楕円、三角等の形状であってもよい。
【0045】
補強基部13は、図3に示すように、本体部基部12の上下面に設けられるもので、薄い平板状をしており、厚み方向で本体部基部12が配置される反対側の面に傾斜面を設けて、反根元部側になるほど薄くしている。すなわち、断面形状を一端側から他端側にかけて途中より漸次減少させている。補強基部13は、図8,図12に示すように、第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cから形成されている。第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cを形成する強化繊維積層体15の製作時に、層状に積重ねられた繊維束シート19の長さを順々に短くして、一端側を面位置にして積層して、他の先端側を階段状にしている。
【0046】
第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cを階段状に形成しているが、一層の繊維束シート19の厚みが薄いために滑らかな階段状となり、連続した傾斜面となる。なお、補強基部13は、平行面を取付部として補強し、階段状部は負荷時の集中応力を避けることを目的に本体部との境界部においてなだらかな傾斜をつけている。
【0047】
補強基部13は厚み方向で、複数のグループに分けて、図6に示す4枚の繊維束シート19と、3枚の繊維束シート19を形成して重ね合わせて7枚の繊維束シートとしてもよい。補強基部13の繊維束シート19の枚数は7枚に限定されるものでなく、必要な厚みを作り出すために選択して枚数を決めればよい。複数のグループに分けた場合は、後述する治具21でマトリックス樹脂14の含浸時に積重ねればよい。
【0048】
本体部基部12、補強基部13に一体に含浸硬化するマトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂があるが、成形性や各種物性からエポキシ樹脂がよい。
【0049】
次に、図7〜図14を参考にハンド7の製造方法を説明する。
【0050】
ハンド7の製造は、図7〜図14に示すように、長手方向に延びた容器状の治具21と、この治具21の開口をガスケット22を介して覆う蓋23、ならびに、治具21と蓋23とで形成される長手方向に延びたキャビティ24内を真空にする弁V1を介在した真空ポンプPと連結された排気口25と、液体樹脂であるマトリックス樹脂14をタンク26からガス圧で送り出し弁V2を介して連結された供給口27とから形成している。
【0051】
キャビティ24は、製作したいハンド7よりも少し大きな空間に形成されている。このキャビティ24の底面28の一端部側には、図7に示すように、窪み29が形成されている。この窪み29は他端側に向かって浅くなっている。また、蓋23のキャビティ24側の面にも窪み29と対向した同じ窪みが形成されている。
【0052】
補強基部13となる第一ドライプリフォーム15aを、図8に示すように、治具21の底面の窪み29に配置する。この時、上述したように第一ドライプリフォーム15aは1枚で目的の厚みに形成されていてもよいし、何枚かを重ね合わせて目的の厚みにしてもよい。また、第一ドライプリフォーム15aは、複数の強化繊維糸16をキャビティ24の長手方向に配向するように配置させている。
【0053】
次に、図9に示すように、第一ドライプリフォーム15aと、この第一ドライプリフォーム15aが存在しないキャビティ24の底面24に本体部基部12を形成する第二ドライプリフォーム15bを配置する。第二ドライプリフォーム15bは、複数の強化繊維糸16をキャビティ24の長手方向に配向するように配置させている。この時、図9においては、第二ドライプリフォーム15bが略コ字状に折れ曲がって示しているが、第二ドライプリフォーム15bの形状が布状または板状なので、必ずしも折れ曲がっている必要はない。すなわち、第1ドライプリフォーム15aが第2ドライプリフォーム15bの面に接することになる。
【0054】
そして、図10に示すように、第二ドライプリフォーム15bの上に長手方向に延びた中子20を載せ、第二ドライプリフォーム15bを、図11に示すように、中子20の側面と上面を覆うように巻付ける。第二ドライプリフォーム15bを巻付けた時に、端面が重なり合わないように不必要な部分を切除するか、第二ドライプリフォーム15bの形成時に外形寸法を調整しておくとよい。特に、中子20の上下面にテーパをつけると、矩形状に巻付けた時に端部が重なり合ってしまうので、重なり合うとこの部分だけ厚みが厚くなり、設計した厚みが得にくくなるので、予め外形寸法を調整しておく方が作業性がよい。
【0055】
中子20は、アルミニュウム、鉄、ステンレス等の金属や、エポキシ系、ポリイミド系等の樹脂から形成されている。これら材料は、繊維強化複合材料より熱膨張率が大きいので、加熱後の冷却により収縮して取り出しやすくなる。
【0056】
そして、巻き付けられた第二ドライプリフォーム15bの上に、図12のように、長手方向で傾斜した第三ドライプリフォーム15cを第2ドライプリフォーム15bの面に接するように配置して、図14に示すように、治具21の上面開口をガスケット22を介して蓋23をして、型締めをする。第三ドライプリフォーム15cは、複数の強化繊維糸16をキャビティ24の長手方向に配向するように配置させている。
【0057】
その後、図13に示すように、治具21の短辺側に設けられた排気口25から真空ポンプP、弁V1を介してキャビティ24内を真空引きしてから、排気口25と反対側の短辺に形成された供給口27より液状樹脂であるマトリックス樹脂14を弁V2を介して接続されたタンク26より所定量供給する。そして、両弁V1,V2を閉じて、キャビティ24を加熱しながら、樹脂を硬化させて繊維強化複合材料が形成されるのを待つ(図13,図14を参照)。マトリックス樹脂14は、強化繊維糸16に沿って流れてドライプリフォームが直線状の繊維で形成されているので樹脂の流動性が良く比較的短時間で含浸される。また更に必要に応じて厚み方向の樹脂の流動性を上げたり、層間強度向上が望まれる場合には、ステッチやニードルパンチを施すことができる。
【0058】
樹脂の硬化後は繊維強化複合材料とされた部材を金型から取り出し、中子20を抜き取って、ハンド7を得る。なお、ハンド7の外層と内層に、後処理で切削や研磨加工、孔開けを行う場合、毛羽立ちが少なく、美観を良くするためにクロスや不織布を介在させてもよい。クロスは強化繊維糸の織物であり炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が好ましい。また、クロスの織り構造としては、平織り、綾織り、三軸織り等が採用できる。
【0059】
クロスは、治具21のキャビティ24内に初めと中子20を配置する前に配置することにより、ハンド7の外層と内層に位置させることができる。また、中子20側のみ、または、キャビティ24側のみにクロスを採用してもよい。
【0060】
このように、強化繊維積層体15である第一,第二,第三ドライプリフォーム15a,15b,15cを治具21に設ける時に、強化繊維積層体15がドライプリフォームであるが故にプリプレグ製法とは異なりタック性が無いので作業がしやすい。また、本体部基部12をベースに補強基部13を配置して、マトリックス樹脂で一体化成形できるので、強化繊維糸16が本体部基部12の長手方向の長さ全体に亘って配向させることができ、長手方向の撓み、振動減衰特性が簡単に制御することができる。しかも、搬送装置への取付け部となる根元部の厚みを厚くして強度が得やすくできるので、取付けによる変形といった不都合もなくなる。
【0061】
さらに、ドライプリフォームで形成しているので、マトリックス樹脂の含浸時にほとんど体積減少が起らないので、繊維に曲がりや皺のない成形物を得ることができる。
【0062】
要求される厚みが変化し形状が複雑になっても強化繊維16がドライプリフォームであり裁断や積層の複雑化に容易に対応できる。したがって、ハンド7全体を根元部9から先端側に行くに従い先細状にすることも簡単に行え、このことにより全体の重量の低減がより図れるものである。
【0063】
また、ハンド7の補強をしたい場合は、治具21のキャビティ24内に窪み等の補強基部の配置箇所を設ければよいので、例えば載置部11の上下面に比べて側面の壁を厚くする場合は、本体部基部12をそのままにして、中子20の側面に補強基部を配置して製作すれば簡単に厚みの変更ができる。
【0064】
ハンド7の根元部9側の上下面に補強基部13が配置されているため、根元部9の近辺まで被搬送物6を載置することができないので、上面を平面にすることにより、根元部近辺まで載置することができる。その場合、図15に示すように、本体部基部12の下面側にのみ補強基部13を配置する場合、図16,本体部基部12の下面側と中空部の上面に補強基部13を配置する場合、図17に示すように本体部基部12の中空内面側の上下面に補強基部13を配置する場合と選択することにより解決できる。これら補強基部13は、ハンド7の製作時において本体部基部12となる第2ドライプリフォーム15bをキャビティ24に入れる前に配置するか、入れた後の中子20を配置するか、或いは前後に配置するかによって、補強基部13の位置を図15〜図17のように変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態を示す搬送装置が概略斜視図である。
【図2】図1のハンドの一部切欠いた状態を示す斜指図である。
【図3】図1のハンドの縦断面図である。
【図4】繊維束と熱可塑性樹脂を重ねた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4のV−V線の縦断面図である。
【図6】強化繊維積層体の縦断面図である。
【図7】治具の斜視図である。
【図8】治具に補強基部となる強化繊維積層体を配置した一部切欠断面図である。
【図9】治具に本体部基部となる強化繊維積層体を配置した一部切欠断面図である。
【図10】治具に中子を配置した一部切欠断面図である。
【図11】中子に強化繊維積層体を巻付けた状態を示す一部切欠断面図である。
【図12】強化繊維積層体の上に補強基部となる強化繊維積層体を配置した一部切欠断面図である。
【図13】マトリックス樹脂を充填している状態を示す一部切欠斜指図である。
【図14】図13のA部拡大図である。
【図15】補強基部を本体部基部の下面に設けた場合のハンドの断面図である。
【図16】補強基部を本体部基部の下面と、中空部内の上面に設けた場合のハンドの断面図である。
【図17】補強基部を本体部基部の中空部内の上下面に設けた場合のハンドの断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 搬送装置
6 被搬送物
7 ハンド
9 根元部
11 載置部
12 本体部基部
13 補強基部
14 マトリックス樹脂
15 強化繊維積層体
15a 第一ドライプリフォーム
15b 第二ドライプリフォーム
15c 第三ドライプリフォーム
16 強化繊維糸
18 熱可塑性樹脂
19 繊維束シート
20 中子
21 治具
23 蓋
24 キャビティ
28 底面
29 窪み
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用のガラス基板等の被搬送物を移動するための搬送装置用ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ装置の大型化に伴い液晶用ガラス基板の製造現場ではより大きなガラス基板の移動に対応した設備が求められている。その一つに、ガラス基板を搬送する搬送装置用ハンドがある。
【0003】
ガラス基板が大型化すると搬送装置のハンドが長尺化し、ハンドの重量が搬送装置に与える影響が大きくなる。ハンドの重量が増すと、慣性モーメントが増大し、搬送装置の動作の開始、停止に時間がかかり作業性が低下する。また、ハンドの長尺化に伴い被搬送物の重量でハンドが撓んで被搬送物に不要な振動を与えたり、被搬送物の裁置位置がずれて所定位置に搬送できなかったり、静止するまでに時間が掛かるといった種々の不都合が生じる。
【0004】
搬送装置用ハンドを軽量化かつ高剛性にするために、ハンドを繊維強化プラスチックにより形成することが提案される。炭素繊維に耐熱エポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを最終製品となるハンドの厚みに対応するように貼り付け、積層し、得られた積層体を加熱・加圧して硬化させる技術が提案されている。(特許文献1,特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−292591号公報
【特許文献2】特開2003−285382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2においては、プリプレグを用いているため作業性、コスト面で多くの問題を含む。プリプレグは、未硬化状態の熱硬化性樹脂が含浸されているため、その硬化反応を遅くするために冷蔵倉庫で保管しなければならず、保管のために別途設備が必要となりコスト高となる。また、プリプレグを冷蔵保存しても、熱硬化性樹脂の反応が進むため保管期限が限られており、保管期間が切れるとプリプレグを破棄しなければならず、材料並びに材料費の無駄となる。そのため、プリプレグは実質的に高額な製品以外は採用困難である。
【0006】
プリプレグは、熱硬化性樹脂が含浸されたシートを芯材に貼り付けるため、タック性があって作業性が悪い。さらに、プリプレグを形成する時に、多層に積層した層間に空気が残らないようにするため、加圧して繊維密度を高めるデバルクという工程が必要である。さらに、プリプレグを加熱硬化する際、体積減少分を考慮して最終形状よりも大きめの外形を形成する必要があり、その設計が難しかった。
【0007】
本発明の搬送装置用ハンドは、安価で作業性を高めるとともに、軽量化と高剛性を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ドライプリフォームを折曲げて、中空直線状に形成された本体部基部と、本体部基部に配置され、前記本体部基部の断面積を実質的の増大させる補強基部であって、前記断面積が一端側から先端側にかけて減少するドライプリフォームからなる補強基部と、本体部基部と補強基部とに一体に含浸硬化したマトリックス樹脂とを備え、本体部基部と補強基部がともに、長手方向の全長に亘って連続した複数の強化繊維糸を有する。
【0009】
ドライプリフォームからなる本体部基部に補強基部を設けるようにしているので、ハンドの形状を形成する時に、プリプレグに比べてタック性がなく作業性がよいとともに、必要に応じて補強基部の厚みを変えることができるので、剛性が必要な箇所への補強が簡単に行える。また、強化繊維糸が連続して配向しているので、長手方向の撓みに強くなる。
【0010】
また、プリプレグを用いないので、冷却保存の必要がなく、設備投資並びにその維持管理が不要となる。
【0011】
請求項2の発明は、ドライプリフォームが、同一方向に配向された強化繊維糸からなる繊維束を熱可塑性樹脂で部分的に接着した繊維束シートを、2層以上に積層して得られた強化繊維積層体から形成されている。
【0012】
繊維束として強化繊維糸の引き揃え方向を層毎に変えることができ、要求される強度にあった強化繊維積層体が得られる。また、強化繊維糸を並べてシート状にすることにより、繊維束シートにうねりがなく繊維容積率(Vf:Volume Fraction)物性を上げることができる。
【0013】
また、強化繊維糸を部分的に熱可塑性樹脂で接着するので、熱可塑性樹脂の接着成分としての量を少なくでき、強度に対する不純物が少なくなり、物性が低下することがない。
【0014】
請求項3の発明は、ドライプリフォームが、長手方向の強化繊維糸を重量比で50%以上の高弾性糸を含み、長手方向の撓み防止が図れ、振動減衰特性も改善できる。
【0015】
請求項4の発明は、強化繊維積層体が、厚み方向にステッチまたはニードルパンチを施されている。このことにより、積層している繊維束シートの強化繊維糸を一体化できるとともに繊維境界面の剥離を防止できるので繊維積層体の取り扱いがし易くなる。さらに、樹脂を含浸させる時にステッチまたはニードルパンチ部から早く全体に充填できる。
【0016】
請求項5の発明は、重量比で0.5〜3%の熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の量が少なくてすむので、物性の強度や熱変形温度の大きな低下を招くことがない。
【0017】
また、0.5%あれば強化繊維糸を接合するのに十分であるが、3%を超えるとマトリックス樹脂の充填に影響を与えることが考えられる。
【0018】
請求項6の発明は、熱可塑性樹脂が、線状、ネット状または蜘蛛の巣状のうちいずれか一つまたは複数から選ぶことにより、強化繊維糸の配向に対して交差する方向に熱可塑性樹脂を配置でき、少ない量で大きな接着効果が得られる。
【0019】
また、接着成分の量が少なくてすむということは、強度に対する不純物が少ないということになり、重量の増加や物性の低下を招くことがない。特に、平板状の熱可塑性樹脂とすることにより、一度に大きな面を処理することができる。
【0020】
請求項7の発明は、長手方向に延びた容器状の治具と、治具の開口を覆う蓋と、治具と蓋とで形成される長手方向に延びたキャビティ内に中子とドライプリフォームを設けて、キャビティ内を減圧した後にマトリックス樹脂を充填してドライプリフォームにマトリックス樹脂を含浸固化させ、マトリックス樹脂の硬化後、中子と共に強化繊維複合材料とされた部材を取り出して、部材から中子を抜いてなる搬送装置用ハンドの製造方法であって、長手方向に延びた中子の外周に、長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームを長手方向に沿って折曲げて本体部基部を形成する前、または後、或いは前後に、肉厚を形成したい箇所に長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームからなる補強基部を介在させ、キャビティ内で両ドライプリフォームを所望する形状に型締めを行った後に、マトリックス樹脂を両ドライプリフォームに同時に含浸硬化させる。
【0021】
厚みの異なるハンドが簡単に形成できると共に、ドライプリフォームを用いるので、治具への取付け作業時にタック性を考える必要もない。補強基部を平板のシート状に形成しておけば、簡単に厚みの異なるハンドを作ることができる。
【0022】
プリグレブ法を使用する従来の製造方法では、外型、または中子のどちらか一方の金型で成形するため他方の面の凹凸が避けることができなかったのに比べ、本発明の製造方法は外型、中子の両者を使用して型締めができるので、ハンド成形物の内外表面の面精度が向上し、ハンド上面に搬送物の支持部材などを取付けるときにも容易にその角度調整が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の搬送装置用ハンドは、中空状の本体部基部の上下外側面或いは内側面に補強基部が位置するので、本体部基部には長手方向に全長に亘って連続した強化繊維糸が存在し、長手方向の剛性の強化が図れ、全体に軽量化が図れる。また、本体部基部と補強基部の境目も含浸する樹脂により一体化しているので強度的にも優れたものとなる。
【0024】
ドライプリフォームで本体部基部、補強基部を形成するので、プリプレグに比べて低廉で、コーナー部などの賦形も精度良く行えかつタック性による作業性悪化ということがない。したがって、剛性と軽量化を兼ね備えたハンドが得られるので、搬送装置の移動時の動作時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態を説明するが、図1〜図6を参考に本発明の搬送装置とそのハンドの構成について説明し、図7〜図14を参考に本発明のハンドの製作ステップを説明する。
【0026】
搬送装置1は、図1に示すように、回転軸2を中心に回転する第一アーム3と、この第一アーム3の先端に回動自在に設けられた第二アーム4と、第二アーム4の先端に回動自在に取付けられた第三アーム5と、第三アーム5に取付けられ被搬送物6を裁置するハンド7とからなっている。
【0027】
第三アーム5には、左右一対で平行をなす二本のフォーク8が形成されており、このフォーク8にハンド7の根元部9をねじ10で取付けている。
【0028】
被搬送物6は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体ウエハ等のガラス基板である。被搬送物6は、ガラス基板以外であってもよく、工場内の各種部品や加工品を搬送するパレット等や板金であってもよい。また、搬送装置としては、工場内で用いられるロボットや、運搬に用いられるフォークリフトがある。
【0029】
ハンド7は、断面が矩形で中空状になっており、フォーク8を片持ちで取付ける前記根元部9と、被搬送物6が裁置される載置部11とを一体に形成している(図2、図3参照)。
【0030】
ハンド7は、繊維強化複合材料から形成され、本体部基部12と、補強基部13と、両基部12,13に一体に含浸したマトリックス樹脂14とから形成されている。この本体部基部12と補強基部13は、強化繊維積層体15を1枚または複数枚を重ねて形成している。この強化繊維積層体15を1枚で使用するか複数枚重ねて使用するかは、ハンド7が必要とする強度によって決める。
【0031】
強化繊維積層体15は、図6に示すように、所謂ドライプリフォームと言われている。
【0032】
強化繊維積層体15は、図4に示すように、強化繊維糸16を一方向に引き揃えて繊維束17とし、この繊維束17を熱可塑性樹脂18に熱と圧力を加えて一体となった繊維束シート19を形成して一層目(図5参照)とし、この一層目の繊維束シート19の上に繊維束17を配置して熱可塑性樹脂18に熱と圧力を加えて1層目と2層目とを固着し、さらに繰返して4層(図6参照)の本体部基部12の厚みと、7層の補強基部13とを形成している。強化繊維積層体15は、熱可塑性樹脂のみで一体化されているが厚み方向にミシンによるステッチングやニードルパンチを施して強化繊維糸16の一体化を図る場合もある。
【0033】
強化繊維糸16は、剛性および軽量化の観点から炭素繊維を採用しているが、炭素繊維以外の、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、その他の強化繊維から採用してもよい。
【0034】
強化繊維積層体15は、強化繊維糸16の引き揃え方向を、ほとんど0°方向としているが、0°、90°、+45°、−45°のように異ならせて積層してもよい。
【0035】
繊維束シート19として、織物や編物を用いない理由は、繊維にうねりや波打ちが起こり、均一な緩みのない直線的な形状を必要とする構造体に不適切である。実施の形態のように強化繊維糸を一本一本並べてシート状にする方がうねりがなく繊維容積率(Vf;Volume Fraction)を上げることができ物性が向上する。
【0036】
なお、ハンドに孔開け等の加工をするような場合は、エッジのかけ防止のために織物や編物からなるクロスや不織布を最外層や最内層に使ってもよい。
【0037】
また、後述するマトリックス樹脂を繊維間に流し込んでいく成形時にも、繊維密度が高く交点がない繊維束シート19の方が早く流し込める。さらに、織物や編物を作る中間工程が不要となる。
【0038】
強化繊維積層体15は、強化繊維糸16を長手方向の全長に亘って配向させていると共に、長手方向の強化繊維糸16の重量比で50%以上の高弾性糸を使用している。強化繊維糸16の配向を0°(長手方向)とすることにより、長手方向の撓み防止が図れ振動減衰特性を向上できる。また、強化繊維糸16の配向を45°とすることにより、全体として捻れ剛性、捻れ振動減衰特性が向上し、90°を挿入することにより負荷時に0°繊維に沿った割れを防止する効果が得られるので、必要とするハンド7の特性に応じて、強化繊維糸16の配向方向を決定すればよい。
【0039】
熱可塑性樹脂18は、後述するマトリックス樹脂14と相性のよい、低融点のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドや変形樹脂、共重合樹脂等を使用することができるが、好ましくは共重合ポリアミド樹脂が望ましい。ハンド7の重量比で熱可塑性樹脂18の量は、重量比で0.5〜3%、望ましくは1〜2%でよい。熱可塑性樹脂の量が3%を超えると、強度に対する不純物となり、物性の強度や熱変形温度の低下を招く。
【0040】
熱可塑性樹脂18は、線状、ネット状または蜘蛛の巣状のうちいずれか一つまたは層毎に異なった形状から選ぶことができる。線状の熱可塑性樹脂18を用いる場合は、強化繊維糸16の配向方向を横切るように多列に設けて、複数の強化繊維糸16に跨るように配置して熱で圧着する。この時、強化繊維糸16間に埋もれないようにする。また、ネット状の熱可塑性樹脂18を用いる場合は、図4に示すように、強化繊維糸16の繊維束17の上に載せて熱で圧着する。蜘蛛の巣状の場合もネット状と同じである。
【0041】
強化繊維糸16を同一方向へ配向して繊維束17とし、熱可塑性樹脂18で各強化繊維糸16を部分的に接着して繊維束シート19を形成して1層目として、その上に繊維束17を配向方向を異ならせて配置して、熱可塑性樹脂18でさらに固着することにより、熱可塑性樹脂18が強化繊維糸16間に埋もれることがないので、少ない量で強化繊維糸16同士の接着が行える。
【0042】
本体部基部12は、図10,図11のように、ハンド7の形成時に使用する中子20に巻き付けて、中子20を覆う大きさに形成された強化繊維積層体15からなる第二ドライプリフォーム15bで形成されている。
【0043】
第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cについては、後述するが、共に強化繊維積層体15から形成されている。第二ドライプリフォーム15bと第一,第三ドライプリフォーム15a,15cとの違いは、大きさと、繊維束シート19の積層枚数の違いである。
【0044】
中子20は、図10,図14に示すように、繊維強化複合材料を形成する時に、治具21の中に入れて、本体部基部12の中空部を形成するために用いるものである。中子20は、断面矩形状に形成されており、図2に示すようには、ハンド7の中空部の幅W、高さH、長さLが、H<W≪Lの関係を形成するために、長さLが非常に長い形状になっている。中子20を抜きやすくするため、先端に行くに従い上下面が高さ方向で先細となるようにテーパをつけている。このテーパは、上下面だけでなく左右面も含めた全体を先細としてもよい。中子20は、矩形状の断面形状だけでなく、円、楕円、三角等の形状であってもよい。
【0045】
補強基部13は、図3に示すように、本体部基部12の上下面に設けられるもので、薄い平板状をしており、厚み方向で本体部基部12が配置される反対側の面に傾斜面を設けて、反根元部側になるほど薄くしている。すなわち、断面形状を一端側から他端側にかけて途中より漸次減少させている。補強基部13は、図8,図12に示すように、第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cから形成されている。第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cを形成する強化繊維積層体15の製作時に、層状に積重ねられた繊維束シート19の長さを順々に短くして、一端側を面位置にして積層して、他の先端側を階段状にしている。
【0046】
第一ドライプリフォーム15a、第三ドライプリフォーム15cを階段状に形成しているが、一層の繊維束シート19の厚みが薄いために滑らかな階段状となり、連続した傾斜面となる。なお、補強基部13は、平行面を取付部として補強し、階段状部は負荷時の集中応力を避けることを目的に本体部との境界部においてなだらかな傾斜をつけている。
【0047】
補強基部13は厚み方向で、複数のグループに分けて、図6に示す4枚の繊維束シート19と、3枚の繊維束シート19を形成して重ね合わせて7枚の繊維束シートとしてもよい。補強基部13の繊維束シート19の枚数は7枚に限定されるものでなく、必要な厚みを作り出すために選択して枚数を決めればよい。複数のグループに分けた場合は、後述する治具21でマトリックス樹脂14の含浸時に積重ねればよい。
【0048】
本体部基部12、補強基部13に一体に含浸硬化するマトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂があるが、成形性や各種物性からエポキシ樹脂がよい。
【0049】
次に、図7〜図14を参考にハンド7の製造方法を説明する。
【0050】
ハンド7の製造は、図7〜図14に示すように、長手方向に延びた容器状の治具21と、この治具21の開口をガスケット22を介して覆う蓋23、ならびに、治具21と蓋23とで形成される長手方向に延びたキャビティ24内を真空にする弁V1を介在した真空ポンプPと連結された排気口25と、液体樹脂であるマトリックス樹脂14をタンク26からガス圧で送り出し弁V2を介して連結された供給口27とから形成している。
【0051】
キャビティ24は、製作したいハンド7よりも少し大きな空間に形成されている。このキャビティ24の底面28の一端部側には、図7に示すように、窪み29が形成されている。この窪み29は他端側に向かって浅くなっている。また、蓋23のキャビティ24側の面にも窪み29と対向した同じ窪みが形成されている。
【0052】
補強基部13となる第一ドライプリフォーム15aを、図8に示すように、治具21の底面の窪み29に配置する。この時、上述したように第一ドライプリフォーム15aは1枚で目的の厚みに形成されていてもよいし、何枚かを重ね合わせて目的の厚みにしてもよい。また、第一ドライプリフォーム15aは、複数の強化繊維糸16をキャビティ24の長手方向に配向するように配置させている。
【0053】
次に、図9に示すように、第一ドライプリフォーム15aと、この第一ドライプリフォーム15aが存在しないキャビティ24の底面24に本体部基部12を形成する第二ドライプリフォーム15bを配置する。第二ドライプリフォーム15bは、複数の強化繊維糸16をキャビティ24の長手方向に配向するように配置させている。この時、図9においては、第二ドライプリフォーム15bが略コ字状に折れ曲がって示しているが、第二ドライプリフォーム15bの形状が布状または板状なので、必ずしも折れ曲がっている必要はない。すなわち、第1ドライプリフォーム15aが第2ドライプリフォーム15bの面に接することになる。
【0054】
そして、図10に示すように、第二ドライプリフォーム15bの上に長手方向に延びた中子20を載せ、第二ドライプリフォーム15bを、図11に示すように、中子20の側面と上面を覆うように巻付ける。第二ドライプリフォーム15bを巻付けた時に、端面が重なり合わないように不必要な部分を切除するか、第二ドライプリフォーム15bの形成時に外形寸法を調整しておくとよい。特に、中子20の上下面にテーパをつけると、矩形状に巻付けた時に端部が重なり合ってしまうので、重なり合うとこの部分だけ厚みが厚くなり、設計した厚みが得にくくなるので、予め外形寸法を調整しておく方が作業性がよい。
【0055】
中子20は、アルミニュウム、鉄、ステンレス等の金属や、エポキシ系、ポリイミド系等の樹脂から形成されている。これら材料は、繊維強化複合材料より熱膨張率が大きいので、加熱後の冷却により収縮して取り出しやすくなる。
【0056】
そして、巻き付けられた第二ドライプリフォーム15bの上に、図12のように、長手方向で傾斜した第三ドライプリフォーム15cを第2ドライプリフォーム15bの面に接するように配置して、図14に示すように、治具21の上面開口をガスケット22を介して蓋23をして、型締めをする。第三ドライプリフォーム15cは、複数の強化繊維糸16をキャビティ24の長手方向に配向するように配置させている。
【0057】
その後、図13に示すように、治具21の短辺側に設けられた排気口25から真空ポンプP、弁V1を介してキャビティ24内を真空引きしてから、排気口25と反対側の短辺に形成された供給口27より液状樹脂であるマトリックス樹脂14を弁V2を介して接続されたタンク26より所定量供給する。そして、両弁V1,V2を閉じて、キャビティ24を加熱しながら、樹脂を硬化させて繊維強化複合材料が形成されるのを待つ(図13,図14を参照)。マトリックス樹脂14は、強化繊維糸16に沿って流れてドライプリフォームが直線状の繊維で形成されているので樹脂の流動性が良く比較的短時間で含浸される。また更に必要に応じて厚み方向の樹脂の流動性を上げたり、層間強度向上が望まれる場合には、ステッチやニードルパンチを施すことができる。
【0058】
樹脂の硬化後は繊維強化複合材料とされた部材を金型から取り出し、中子20を抜き取って、ハンド7を得る。なお、ハンド7の外層と内層に、後処理で切削や研磨加工、孔開けを行う場合、毛羽立ちが少なく、美観を良くするためにクロスや不織布を介在させてもよい。クロスは強化繊維糸の織物であり炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が好ましい。また、クロスの織り構造としては、平織り、綾織り、三軸織り等が採用できる。
【0059】
クロスは、治具21のキャビティ24内に初めと中子20を配置する前に配置することにより、ハンド7の外層と内層に位置させることができる。また、中子20側のみ、または、キャビティ24側のみにクロスを採用してもよい。
【0060】
このように、強化繊維積層体15である第一,第二,第三ドライプリフォーム15a,15b,15cを治具21に設ける時に、強化繊維積層体15がドライプリフォームであるが故にプリプレグ製法とは異なりタック性が無いので作業がしやすい。また、本体部基部12をベースに補強基部13を配置して、マトリックス樹脂で一体化成形できるので、強化繊維糸16が本体部基部12の長手方向の長さ全体に亘って配向させることができ、長手方向の撓み、振動減衰特性が簡単に制御することができる。しかも、搬送装置への取付け部となる根元部の厚みを厚くして強度が得やすくできるので、取付けによる変形といった不都合もなくなる。
【0061】
さらに、ドライプリフォームで形成しているので、マトリックス樹脂の含浸時にほとんど体積減少が起らないので、繊維に曲がりや皺のない成形物を得ることができる。
【0062】
要求される厚みが変化し形状が複雑になっても強化繊維16がドライプリフォームであり裁断や積層の複雑化に容易に対応できる。したがって、ハンド7全体を根元部9から先端側に行くに従い先細状にすることも簡単に行え、このことにより全体の重量の低減がより図れるものである。
【0063】
また、ハンド7の補強をしたい場合は、治具21のキャビティ24内に窪み等の補強基部の配置箇所を設ければよいので、例えば載置部11の上下面に比べて側面の壁を厚くする場合は、本体部基部12をそのままにして、中子20の側面に補強基部を配置して製作すれば簡単に厚みの変更ができる。
【0064】
ハンド7の根元部9側の上下面に補強基部13が配置されているため、根元部9の近辺まで被搬送物6を載置することができないので、上面を平面にすることにより、根元部近辺まで載置することができる。その場合、図15に示すように、本体部基部12の下面側にのみ補強基部13を配置する場合、図16,本体部基部12の下面側と中空部の上面に補強基部13を配置する場合、図17に示すように本体部基部12の中空内面側の上下面に補強基部13を配置する場合と選択することにより解決できる。これら補強基部13は、ハンド7の製作時において本体部基部12となる第2ドライプリフォーム15bをキャビティ24に入れる前に配置するか、入れた後の中子20を配置するか、或いは前後に配置するかによって、補強基部13の位置を図15〜図17のように変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態を示す搬送装置が概略斜視図である。
【図2】図1のハンドの一部切欠いた状態を示す斜指図である。
【図3】図1のハンドの縦断面図である。
【図4】繊維束と熱可塑性樹脂を重ねた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4のV−V線の縦断面図である。
【図6】強化繊維積層体の縦断面図である。
【図7】治具の斜視図である。
【図8】治具に補強基部となる強化繊維積層体を配置した一部切欠断面図である。
【図9】治具に本体部基部となる強化繊維積層体を配置した一部切欠断面図である。
【図10】治具に中子を配置した一部切欠断面図である。
【図11】中子に強化繊維積層体を巻付けた状態を示す一部切欠断面図である。
【図12】強化繊維積層体の上に補強基部となる強化繊維積層体を配置した一部切欠断面図である。
【図13】マトリックス樹脂を充填している状態を示す一部切欠斜指図である。
【図14】図13のA部拡大図である。
【図15】補強基部を本体部基部の下面に設けた場合のハンドの断面図である。
【図16】補強基部を本体部基部の下面と、中空部内の上面に設けた場合のハンドの断面図である。
【図17】補強基部を本体部基部の中空部内の上下面に設けた場合のハンドの断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 搬送装置
6 被搬送物
7 ハンド
9 根元部
11 載置部
12 本体部基部
13 補強基部
14 マトリックス樹脂
15 強化繊維積層体
15a 第一ドライプリフォーム
15b 第二ドライプリフォーム
15c 第三ドライプリフォーム
16 強化繊維糸
18 熱可塑性樹脂
19 繊維束シート
20 中子
21 治具
23 蓋
24 キャビティ
28 底面
29 窪み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライプリフォームを折曲げて、中空直線状に形成された本体部基部と、
本体部基部に配置され、前記本体部基部の断面積を実質的に増大させる補強基部であって、前記断面積が一端側から先端側にかけて減少するドライプリフォームからなる補強基部と、
本体部基部と補強基部とに一体に含浸硬化したマトリックス樹脂とを備え、
本体部基部と補強基部がともに、長手方向の全長に亘って連続した複数の強化繊維糸を有することを特徴とする搬送装置用ハンド。
【請求項2】
ドライプリフォームが、同一方向に配向された強化繊維糸からなる繊維束を熱可塑性樹脂で部分的に接着した繊維束シートを、少なくとも2層以上に積層した強化繊維積層体であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項3】
ドライプリフォームが、長手方向の強化繊維糸に重量比で50%以上の高弾性糸を含む
ことを特徴とする請求項項1または請求項2に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項4】
強化繊維積層体が、厚み方向にステッチまたはニードルパンチを施されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項5】
ドライプリフォームが、重量比で0.5〜3%の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、線状、ネット状または蜘蛛の巣状のうちいずれか一つまたは複数から選ばれたことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項7】
長手方向に延びた容器状の治具と、治具の開口を覆う蓋と、治具と蓋とで形成される長手方向に延びたキャビティ内に中子とドライプリフォームを設けて、キャビティ内を減圧した後にマトリックス樹脂を充填してドライプリフォームにマトリックス樹脂を含浸固化させ、マトリックス樹脂の硬化後、中子と共に強化繊維複合材料とされた部材を取り出して、部材から中子を抜いてなる搬送装置用ハンドの製造方法であって、長手方向に延びた中子の外周に、長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームを長手方向に沿って折曲げて本体部基部を形成する前、または後或いは前後に、肉厚を形成したい箇所に長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームからなる補強基部を介在させ、キャビティ内で両ドライプリフォームを所望する形状に型締めを行った後に、マトリックス樹脂を両ドライプリフォームに同時に含浸硬化させたことを特徴とする搬送装置用ハンドの製造方法。
【請求項1】
ドライプリフォームを折曲げて、中空直線状に形成された本体部基部と、
本体部基部に配置され、前記本体部基部の断面積を実質的に増大させる補強基部であって、前記断面積が一端側から先端側にかけて減少するドライプリフォームからなる補強基部と、
本体部基部と補強基部とに一体に含浸硬化したマトリックス樹脂とを備え、
本体部基部と補強基部がともに、長手方向の全長に亘って連続した複数の強化繊維糸を有することを特徴とする搬送装置用ハンド。
【請求項2】
ドライプリフォームが、同一方向に配向された強化繊維糸からなる繊維束を熱可塑性樹脂で部分的に接着した繊維束シートを、少なくとも2層以上に積層した強化繊維積層体であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項3】
ドライプリフォームが、長手方向の強化繊維糸に重量比で50%以上の高弾性糸を含む
ことを特徴とする請求項項1または請求項2に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項4】
強化繊維積層体が、厚み方向にステッチまたはニードルパンチを施されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項5】
ドライプリフォームが、重量比で0.5〜3%の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、線状、ネット状または蜘蛛の巣状のうちいずれか一つまたは複数から選ばれたことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置用ハンド。
【請求項7】
長手方向に延びた容器状の治具と、治具の開口を覆う蓋と、治具と蓋とで形成される長手方向に延びたキャビティ内に中子とドライプリフォームを設けて、キャビティ内を減圧した後にマトリックス樹脂を充填してドライプリフォームにマトリックス樹脂を含浸固化させ、マトリックス樹脂の硬化後、中子と共に強化繊維複合材料とされた部材を取り出して、部材から中子を抜いてなる搬送装置用ハンドの製造方法であって、長手方向に延びた中子の外周に、長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームを長手方向に沿って折曲げて本体部基部を形成する前、または後或いは前後に、肉厚を形成したい箇所に長手方向に連続して配向させた強化繊維糸を有したドライプリフォームからなる補強基部を介在させ、キャビティ内で両ドライプリフォームを所望する形状に型締めを行った後に、マトリックス樹脂を両ドライプリフォームに同時に含浸硬化させたことを特徴とする搬送装置用ハンドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−269951(P2006−269951A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89079(P2005−89079)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000238234)シキボウ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000238234)シキボウ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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