説明

搬送装置

【課題】横桟のタイミングに合わせた荷の払い出しをセンサとアクチュエータの自動制御を用いず、機械的に行うことを可能とした搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送物Wを搬送する水平コンベヤである水平ベルトコンベヤ10と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部(尾部プーリ13)側に配置され、ベルト面より横桟22を略直角に突き出し水平ベルトコンベヤ10により移送される搬送物Wを搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤ20と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部(尾部プーリ13)側に配置され、横桟付きリフトベルトコンベヤ20の横桟22の回動に伴って水平ベルトコンベヤ10の搬送面にストッパ部材35を昇降させて搬送物Wの停止・送りの切り出しを行う1個払出し装置30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー等による自動制御無しで略水平に搬送面を位置させるベルトコンベヤ、スラットコンベヤ、チェンコンベヤ(以下、水平コンベヤと称する)により運ばれる搬送物を横桟付きリフトベルトコンベヤのタイミングに合わせた払い出しを可能とした搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図15に示すように、水平コンベヤである水平ベルトコンベヤ100により運ばれる搬送物Wを急傾斜や垂直に移送して搬送する際に、横桟付きリフトベルトコンベヤ101が使用されている。
横桟付きリフトベルトコンベヤは、搬送物Wの搬送方向の確実な保持が図れ、かつ搬送物の均等間隔搬送にも寄与できる優れたものだが、横桟という突起物があるので、搬送物の移送時にタイミングがずれると横桟により搬送物をはじき飛ばしたり、横桟により搬送物を叩いて傷めてしまったり、移送部で複数の搬送物がブリッジを起こして詰まりを生じてしまったりする虞がある。
この種の搬送装置では、搬送物Wが横桟102にぶつからないように、横桟102のタイミングに合わせて搬送する必要があるので、センサー等による電気制御で横桟102を検出し、エアシリンダ、モータ等のアクチュエータでストッパ104を昇降させるストッパ装置103を使用して搬送物Wの1個払い出しを行っている。
【0003】
また、特許文献1には、搬入用コンベヤと搬出用コンベヤと間の受け渡しを行うリフタ装置が開示されている。特許文献1の受渡しリフタを備えた搬送装置では、上下運動するリフタのベースをスイッチとして搬出コンベヤのストッパ機構を開放、同時に次の搬送物の搬送物へのストッパを上昇させることができる。
また、特許文献2には、パレットやタイヤ等の転動体を切り出すに当たり、ストッパシリンダをセンサ検知を絡めた自動制御により昇降させることが開示されている。
【特許文献1】特開平4−260523号公報
【特許文献2】特開平10−310236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図15に示す搬送装置では、横桟102を検出するためのセンサや制御盤等を取り付ける必要がある上に、ストッパ装置103を自動制御するために、コストアップとなり、かつ維持管理が面倒であった。
また、特許文献1、2に記載の搬送装置では、センサによる検知を絡めた自動制御を利用するため、図15に示す搬送装置と同様の不具合があった。
【0005】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、横桟のタイミングに合わせた荷の払い出しをセンサとアクチュエータの自動制御を用いず、機械的に行うことを可能とした搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、搬送物を搬送する水平コンベヤと、前記水平コンベヤの折返し部側に配置され、ベルト面より横桟を略直角に突き出し前記水平コンベヤにより移送される前記搬送物を搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤと、前記水平コンベヤの前記折返し部側に配置され、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟の回動に伴って前記水平コンベヤの搬送面にストッパ部材を昇降させて前記搬送物の停止・送りの切り出しを行う1個払出し装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、搬送物を搬送する水平コンベヤと、前記水平コンベヤの折返し部側に配置され、ベルト面より横桟を略直角に突き出し前記水平コンベヤにより移送される前記搬送物を垂直搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤと、前記水平コンベヤの前記折返し部側に配置され、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟の回動に伴って前記水平コンベヤの搬送面にストッパ部材を昇降させて前記搬送物の停止・送りの切り出しを行う1個払出し装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の搬送装置において、前記水平コンベヤは、搬送面レベルを揃えた少なくとも2条の、ベルトコンベヤ、スラットコンベヤ、又はチェンコンベヤであり、前記ストッパ部材は、各条の水平コンベヤ間で、搬送面より上に突出することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の搬送装置において、前記水平コンベヤは、1条のベルトコンベヤ、スラットコンベヤ、又はチェンコンベヤであり、前記ストッパ部材は水平コンベヤの搬送面の両外側に配置され、水平コンベヤの搬送面より上に突出することを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れか記載の搬送装置において、前記1個払出し装置は、前記水平コンベヤの搬送面上より突出するように昇降させられるストッパ部材と、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟通過時に回動させられて前記ストッパ部材を前記搬送面より降下させるレバーと、前記搬送物通過時に前記ストッパ部材に掛かる前記搬送物の重さによって圧縮させられ、前記搬送物通過後に前記ストッパ部材を前記搬送面に突き出し次段の前記搬送物通過を阻止するスプリングとを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の搬送装置において、前記1個払出し装置は、貫通孔を有する座板を有し、前記水平コンベヤに沿って配置されるベースと、上端が前記水平コンベヤの搬送面に開口するように前記ベースの貫通孔上に錘設される鞘管とを備え、前記ストッパ部材は、スプリング係止部とスナップピンとを有する長尺部材で構成され、前記スプリング係止部側と前記ベースとの間に前記スプリングを配置して前記鞘管に挿入されるとともに、前記スナップピン側を前記貫通孔より突出され、前記レバーは、前記ストッパ部材を挿通する凹部と、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟に当接して回転される腕部と、前記ベースに回動自在に軸支される軸部とを有し、前記凹部に前記ストッパ部材を挿通させるとともに前記スナップピンに取り付けた座金によって前記ベースと前記座金との間を移動できるように前記ベースに配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項5記載の搬送装置において、前記1個払出し装置は、前記ストッパ部材を、板状の基板と、前記基板に取り付けたストッパと、前記基板に切り欠いて設けたレバー挿通孔と、前記基板の両側部を受け止めて上下方向に案内するコの字状の受け部を有する一対の受け部材と、前記一対の受け部材のコの字状の受け部に配置されて前記基板を上部方向に付勢し前記搬送物の重量によって圧縮して前記ストッパを没入させるスプリングと、前記一対の受け部材を支持して前記水平コンベヤに取り付ける取付ブラケットとで構成し、前記レバーを、長尺状の板部材と、前記長尺状の板部材の先端部に形成され、前記ストッパ部材のレバー挿通孔に挿通される舌部と、前記長尺状の板部材の舌部より後端部側に形成され、前記取付ブラケットに回動自在に軸支される軸部と、前記長尺状の板部材の後端部に取り付けられ、前記横桟に当接される腕部とで構成して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
センサー等による自動制御無しで水平ベルトコンベヤにより運ばれる搬送物を横桟付きリフトベルトコンベヤのタイミングに合わせた払い出しを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送装置1を示す。
本実施形態に係る搬送装置1は、搬送物Wを搬送する下部側の水平コンベヤからなる水平ベルトコンベヤ10と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部側(頭部プーリ13側)に配置され、所定の間隔でベルト面より横桟22を略直角に突き出し水平ベルトコンベヤ10により移送される搬送物Wを垂直搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤ20と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部側(頭部プーリ13側)に配置され、横桟付きリフトベルトコンベヤ20の横桟22の回動に伴って水平ベルトコンベヤ10の搬送面にストッパ部材35の係止部35aを昇降させて搬送物Wの停止・送りの切り出しを行う1個払出し装置30と、搬送物Wを搬送する上部側の水平ベルトコンベヤ50とを備える。
【0014】
下部側の水平ベルトコンベヤ10は、図1〜図4に示すように、2本のベルトを巻回可能とした駆動プーリ(尾部プーリ)12と、2つのプーリ13a,13bを同芯上に回転自在に連結した2連の頭部プーリ13と、駆動プーリ12と2連の頭部プーリ13との間に巻回される2本のベルト11a,11bとを備え、駆動プーリ12に取り付けた駆動用モータ14によって2本のベルト11a,11bを駆動プーリ12と頭部プーリ13との間を回動し、2本のベルト11a,11bの上面に形成される搬送面11a1,11b1上に搬送物Wを載置して搬送する。水平ベルトコンベヤ10は、コンベヤ取付ベース40に取付ブラケット15を介して固定されている。
【0015】
搬送物Wを垂直搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤ20は、図1および図5に示すように、駆動プーリ24と、頭部プーリ25と、搬送物Wを載置して搬送するための横桟22と、搬送物Wを横桟22に載置する際に搬送物Wを起立しやすくするための補助用に横桟23とをベルト面に所定の間隔で設け、駆動プーリ24と頭部プーリ25との間に巻き回しされるベルト21とを備え、駆動プーリ24に取り付けた駆動用モータ26によってベルト21を駆動プーリ24と頭部プーリ25との間を回動する。横桟22は、図1に示すように、回転軌跡22aを描く。横桟付きリフトベルトコンベヤ20は、コンベヤ取付ベース40に取付ブラケット27を介して固定されている。横桟22と補助用の横桟23との横幅は、図2に示すように、頭部プーリ13の2つのプーリ13a,13bの間、すなわち、水平ベルトコンベヤ10の2本のベルト11a,11bの間を通過することができ、搬送物Wを載置して搬送できる大きさにしてある。また、横桟22と補助用の横桟23との取付間隔は、搬送する搬送物Wの長さによって、例えば、図11に示すように、図11(d)の水平ベルトコンベヤ10上に水平に載せられた状態から図11(a)および図11(b)に示すように横桟付きリフトベルトコンベヤ20の補助用の横桟23によって先端部側を支持されながら起こされ、補助用の横桟23から搬送物Wの先端部が離れる位置で、搬送物Wの下部側に横桟22が回動してくるように設定してある。また、横桟22の先端部22bは、乗り移った搬送物Wがその先端部22bを滑るようにしてベルト21側へ移動し、横桟22上に確実に載置されるように、上方に折り曲げられている。なお、先端部23aを滑りやすくするために、低摩擦材を塗布または貼付しても良い。また、補助用の横桟23は、搬送物Wが水平ベルトコンベヤ10から乗り移る際に先端部を支持することができる高さに設定されている。
【0016】
1個払出し装置30は、図2に示すように、水平ベルトコンベヤ11a,11bの内側部に配置されている。
1個払出し装置30は、図1、図2、図6〜図9に示すように、貫通孔32aを有する座板32の両側に2枚の略L字状の取付金具33を取り付け、水平ベルトコンベヤ10に沿って配置されるベース31と、上端が水平ベルトコンベヤ10の搬送面11a1,11b1に開口するようにベース31の貫通孔32a上に軸心を合わせて錘設される鞘管34と、水平ベルトコンベヤ10の2本のベルト11a,11bの上面に形成される搬送面11a1,11b1より係止部35aが突出することができるように昇降させられるストッパ部材35と、搬送物Wの通過時にストッパ部材35に掛かる搬送物Wの重さによって圧縮させられ、搬送物Wの通過後にストッパ部材35を搬送面11a1,11b1に突き出し次段の搬送物Wの通過を阻止するスプリング36と、横桟付きリフトベルトコンベヤ20の横桟22の通過時に回動させられてストッパ部材35を搬送面11a1,11b1より降下させるレバー37とを備えている。
【0017】
ストッパ部材35は、搬送物Wの停止を行う係止部35aとスプリング係止部35bとスナップピン35cとを有する長尺部材で構成され、スプリング係止部35b側とベース31との間にスプリング36を配置して鞘管34に挿入されるとともに、スナップピン35c側を貫通孔32aより突出させ、座板32の下側でスナップピン35cに平座金38を取り付けて鞘管34の軸方向にスプリング36によって移動自在に、かつスプリング36の付勢力による上方へのストッパ部材抜け防止を図って装着される。ここで、長尺部材としては、搬送物の損傷を防ぐため、例えば、ノック式ボールペンの芯を流用したが、抵抗の少ない樹脂の棒状部材を用いることで、同様の効果を出すことができる。
【0018】
レバー37は、ストッパ部材35を挿通するために切り欠いた凹部37bを先端に有する平板部37aと、平板部37aの端部から折り曲げて起こされ、横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟22に当接される腕部37cと、平板部37aに取り付けられ、ベース31に回動自在に軸支される軸部37dとを有し、凹部37bにストッパ部材35を挿通させるとともに、軸部37dに対する腕部37cの長さを平板部37aよりも長く設定し、軸部37dを中心として平板部37aを座板32方向へ押し上げようとする回転力と、スプリング36によるストッパ部材35を戻そうとする付勢力とによって座板32の下面側に平板部37aを当接して静止しており、腕部37cが横桟付きリフトベルトコンベヤ20の横桟22によって回動されると、軸部37dを回転軸として平板部37aを押し下げるとともにスナップピン35cに取り付けた平座金38を介してストッパ部材35を押し下げる。
搬送物Wとしては、例えば、タバコ(箱・カートン)、菓子箱、眼鏡ケース等の箱状のケースがある。また、搬送物Wは、ストッパ部材35の係止部35aを隙間に差し込み易くするために、四隅に丸みを持たせたものが望ましい。
【0019】
次に、斯くして構成された本実施形態に係る搬送装置1の作用を説明する。
1個払出し装置30は、図1、図6、図10に示すように、平板部37aと腕部37cとの重量バランスで軸部37dを中心として平板部37aを座板32方向へ押し上げようとする回転力と、スプリング36によるストッパ部材35を戻そうとする付勢力とによってベース31の下面側に平板部37aを当接して静止している。
そして、図10(a)〜図10(c)に示すように、水平ベルトコンベヤ10によって搬送物Wが搬送されてくると、図10(a)に示すように、ストッパ部材30の係止部35aが2本のベルト11a,11bの搬送面11a1,11b1から突出して搬送物Wの移動を阻止する。
【0020】
次に、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21の巻回に伴って、横桟22が1個払出し装置30のレバー37の腕部37cの背面側から当接すると、レバー37は腕部37cを横桟22の回転に伴って軸部37dを回転軸として上方に回動するとともに平板部37aを下方に回動する運動を起こす。このレバー37の回動に伴って、ストッパ部材35に取り付けた平座金38が平板部37aによって下方に押し下げられ、ストッパ部材35の係止部35aが2本のベルト11a,11bの搬送面11a1,11b1から下方に没入し、搬送物Wの移動を許容する。そして、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21の巻回に伴って、横桟22がレバー37の腕部37cから離れると、レバー37は腕部37c側の重量で平板部37aを座板32に当接する位置に戻る。この際、スプリング36の付勢力によってストッパ部材35を上昇させようとするが、ストッパ部材35の係止部35aの先端部を搬送物Wが移動しているので、スプリング36の付勢力が搬送物Wの重量によって無能化され圧縮され、搬送物Wの移動を許容する。
【0021】
次に、搬送物Wは、図10(d)に示すように、水平ベルトコンベヤ10によって横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21に当接するまで搬送される。
次に、図11(a)に示すように、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21の巻回に伴って、搬送物Wを起立しやすくするための補助用の横桟23によって搬送物Wの先端部の下面が起こされながら移動し始めると、次段の搬送物Wとの間に隙間が生じ、その隙間に対し、ストッパ部材35の先端の係止部35aがスプリング36の付勢力によって突出し、次段の搬送物Wの移動を阻止する。
【0022】
次に、図11(b)および図11(c)に示すように、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21の巻回に伴って、横桟22が1個払出し装置30のレバー37の腕部37cの背面側から当接すると、レバー37は腕部37cを横桟22の回転に伴って軸部37dを回転軸として上方に回動するとともに平板部37aを下方に回動する運動を起こす。このレバー37の回動に伴って、ストッパ部材35に取り付けた平座金38が平板部37aによって下方に押し下げられ、ストッパ部材35の係止部35aが2本のベルト11a,11bの搬送面11a1,11b1から下方に没入し、搬送物Wの移動を許容する。そして、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21の巻回に伴って、横桟22がレバー37の腕部37cから離れると、レバー37は腕部37c側の重量で平板部37aを座板32に当接する位置に戻る。この際、スプリング36の付勢力によってストッパ部材35を上昇させようとするが、ストッパ部材35の係止部35aの先端部を搬送物Wが移動しているので、スプリング36の付勢力が搬送物Wの重量によって無能化され圧縮され、搬送物Wの移動を許容する。この間、搬送物Wは、水平ベルトコンベヤ10の移動に伴って横桟付きリフトベルトコンベヤ20方向へ押されるとともに、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21の巻回に伴って回動する補助用の横桟23によって先端部が起き上がるように移動させられ、補助用の横桟23が先端部から離れた時に横桟22上に乗り移る。この際、横桟22の先端部23aは、上方に折り曲げられているので、乗り移った搬送物Wはその先端部22bを滑るようにしてベルト21側へ移動し、横桟22上に確実に載置される。
【0023】
次に、搬送物Wは、図11(d)に示すように、水平ベルトコンベヤ10によって横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルト21に当接するまで搬送される。
次に、図11(a)に戻り、以下、図11(b)〜図11(d)の操作を繰り返し、搬送物Wの移送を行うことができる。
そして、横桟付きリフトベルトコンベヤ20によって上部まで搬送された搬送物Wは上部側の水平ベルトコンベヤ50によって搬送される。
【0024】
以上のように、本実施形態においては、連続的に回転する横桟付リフトベルトコンベヤ20の横桟22をストッパスイッチとして利用しているので、水平ベルトコンベヤ10により運ばれる搬送物Wを横桟付きリフトベルトコンベヤ20のタイミングに合わせた払い出しが可能となる。
また、連続的に回転する横桟付リフトベルトコンベヤ20の横桟22をストッパスイッチとして利用しているので、部品点数を減らし、構造を簡易にすることができる。また、センサやアクチュエータを使用しないので、構造が簡易となり、安価に製作することができる。
【0025】
また、1個払出し装置30は、搬送物W通過時にストッパ部材35に掛かる搬送物Wの重さによってスプリング36が圧縮させられ、搬送物W通過後にストッパ部材35を搬送面11a1,11b1に突き出し次段の搬送物W通過を阻止することができるので、搬送物W通過時に搬送物W間の隙間にスプリング36の付勢力によりストッパ部材35を上昇させ、確実に停止・送りを行うことができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、横桟付きリフトベルトコンベヤ20を水平ベルトコンベヤ10に対して直交するように配置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、60度、45度のように、横桟付きリフトベルトコンベヤ20を水平ベルトコンベヤ10に対して急傾斜に配置することも可能である。この場合には、図1の取付ブラケット27に設けた長孔を利用して横桟付きリフトベルトコンベヤ20を水平ベルトコンベヤ10に対して任意の角度に配置することが可能となる。
【0027】
また、上記実施形態では、2本のベルト11a,11bを用いた水平ベルトコンベヤ10と1本のベルト21を用いた横桟付きリフトベルトコンベヤ20とを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、水平ベルトコンベヤ10のベルトを1本とし、横桟付きリフトベルトコンベヤ20のベルトを2本としても良い。この場合には、1個払出し装置は、横桟付きリフトベルトコンベヤ20の2本のベルトの横桟22にレバー37を当接する位置にそれぞれ配置するか、何れかのベルトの横桟22にレバー37を当接する位置に配置する。
【0028】
また、上記実施形態では、横桟付きリフトベルトコンベヤ20に補助用の横桟23を設け、搬送物Wの移動をし易くした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、補助用の横桟23を用いない横桟付きリフトベルトコンベヤ20を用いることは可能である。
【0029】
また、上記実施形態では、1個払出し装置30のストッパ部材35をピン形状にして説明したが、本発明は、これに限らず、例えば、図12、図13、図14に示すように、板状のストッパ部材350を水平ベルトコンベヤ10の2本のベルト11a,11b間の出没させるようにしても良い。
この1個払出し装置300では、板状のストッパ部材350は、板状の基板351と、この基板351に高さ調節が蝶ナット360などの締結などでできるように取り付けた板状のストッパ352と、基板351に開口したレバー挿通孔353と、基板351の両側部を受け止めて上下方向に案内するコの字状の受け部355を有し、かつ抜け止め丸パイプ358で固着して連結される一対の受け部材354と、この受け部材354のコの字状の受け部355に配置されて基板353を上部方向に付勢し搬送物Wの重量によって圧縮してストッパ352を没入させるスプリング356と、一対の受け部材354を支持してコンベヤ取付ベース40に取り付ける取付ブラケット357とで構成されている。組立に際し、基板351の両側近傍の下部に設けられた突起部351aに、スプリング356を差し込んで、スプリング中心軸に直交する方向へのスプリング逃げを防止し、コの字状受け部355の内部にスプリング256を内蔵させながら基板351をコの字状受け部355に嵌合させる。なお、図12におけるコの字状受け部355部分は透視表現としてある。
【0030】
また、レバー370は、長尺状の板部材371と、この長尺状の板部材371の先端部に形成され、ストッパ部材350のレバー挿通孔353に挿通される舌部372と、長尺状の板部材371の舌部372より後端部側に形成され、取付ブラケット357に差し渡された軸379の周りに回動自在に軸支される軸部373と、長尺状の板部材371の後端部に取り付けられ、横桟22に当接される柔軟な部材で構成される腕部374とで構成されている。取付ブラケット357への取付に際し、レバー370が、取付ブラケット357の抜け止め丸パイプ358の下に位置するように軸部373の中に取付ブラケット357に差し渡す軸379を挿通し揺動自在、かつ抜け止め丸パイプ358により動作規制されるように組み立て、両端部に割りピン379aを取り付ける。
【0031】
このように構成された1個払出し装置300によれば、1個払出し装置30と同様に、横桟付きリフトベルトコンベヤ20の横桟22が腕部374に当接すると、レバー370が軸部373を回転軸として舌部372を押し下げ、これに伴ってレバー挿通孔353が下方に押され、スプリング356を圧縮しながらストッパ352を押し下げ、板状のストッパ部材350を搬送面11a1,11b1より下方に没入させる。その結果、搬送物Wが水平ベルトコンベヤ10の駆動力によって横桟付きリフトベルトコンベヤ20に向かって搬送される。以下、上記実施形態と同様に、横桟付きリフトベルトコンベヤ20によって上方に搬送される。
【0032】
また、図11(a)のように、搬送物Wの隙間に、板状のストッパ352をスプリング356の付勢力によって押し上げて搬送物Wの送りを停止させることができる。
なお、板状のストッパ352は、搬送物Wに傷を付けないようにするために、樹脂製とすることが望ましい。また、ストッパ352と基板351とを樹脂製の板材で一体に成型しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のX1に沿った断面図である。
【図4】図1のX2に沿った断面図である。
【図5】図1の側面図である。
【図6】図1の1個払出し装置の拡大図である。
【図7】図5の分解図である。
【図8】図6のベースの側面図である。
【図9】図6のレバーの拡大図である。
【図10】図1の搬送装置の切り出しを説明する図である。
【図11】図1の搬送装置の切り出しを説明する図である。
【図12】1個払出し装置の別の例を示す正面図である。
【図13】1個払出し装置の別の例を示す側面図である。
【図14】1個払出し装置の別の例を示す要部を拡大する斜視側面図である。
【図15】従来の搬送装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 搬送装置
10、50 水平ベルトコンベヤ
11a,11b ベルト
11a1,11b1 搬送面
12、24 駆動プーリ
13、25 頭部プーリ
14、26 駆動用モータ
15、27 取付ブラケット
20 横桟付きリフトベルトコンベヤ
21 ベルト
22 横桟
22a 回転軌跡
23 補助用の横桟
30、300 1個払出し装置
31 ベース
32 座板
32a 貫通孔
35、350 ストッパ部材
35a 係止部
36、356 スプリング
37、370 レバー
37a 平板部
37b 凹部
37c、374 腕部
37d、373 軸部
38 座金
40 コンベヤ取付ベース
W 搬送物
351 板状の基板
352 ストッパ
353 レバー挿通孔
354 受け部材
355 受け部
357 取付ブラケット
371 長尺状の板部材
372 舌部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する水平コンベヤと、
前記水平コンベヤの折返し部側に配置され、ベルト面より横桟を略直角に突き出し前記水平コンベヤにより移送される前記搬送物を搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤと、
前記水平コンベヤの前記折返し部側に配置され、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟の回動に伴って前記水平コンベヤの搬送面にストッパ部材を昇降させて前記搬送物の停止・送りの切り出しを行う1個払出し装置と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送物を搬送する水平コンベヤと、
前記水平コンベヤの折返し部側に配置され、ベルト面より横桟を略直角に突き出し前記水平コンベヤにより移送される前記搬送物を垂直搬送する横桟付きリフトベルトコンベヤと、
前記水平コンベヤの前記折返し部側に配置され、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟の回動に伴って前記水平コンベヤの搬送面にストッパ部材を昇降させて前記搬送物の停止・送りの切り出しを行う1個払出し装置と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の搬送装置において、
前記水平コンベヤは、搬送面レベルを揃えた少なくとも2条の、ベルトコンベヤ、スラットコンベヤ、又はチェンコンベヤであり、
前記ストッパ部材は、各条の水平コンベヤ間で、搬送面より上に突出する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の搬送装置において、
前記水平コンベヤは、1条のベルトコンベヤ、スラットコンベヤ、又はチェンコンベヤであり、
前記ストッパ部材は水平コンベヤの搬送面の両外側に配置され、水平コンベヤの搬送面より上に突出する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか記載の搬送装置において、
前記1個払出し装置は、
前記水平コンベヤの搬送面上より突出するように昇降させられるストッパ部材と、
前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟通過時に回動させられて前記ストッパ部材を前記搬送面より降下させるレバーと、
前記搬送物通過時に前記ストッパ部材に掛かる前記搬送物の重さによって圧縮させられ、前記搬送物通過後に前記ストッパ部材を前記搬送面に突き出し次段の前記搬送物通過を阻止するスプリングと
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項5記載の搬送装置において、
前記1個払出し装置は、
貫通孔を有する座板を有し、前記水平コンベヤに沿って配置されるベースと、
上端が前記水平コンベヤの搬送面に開口するように前記ベースの貫通孔上に錘設される鞘管と
を備え、
前記ストッパ部材は、スプリング係止部とスナップピンとを有する長尺部材で構成され、前記スプリング係止部側と前記ベースとの間に前記スプリングを配置して前記鞘管に挿入されるとともに、前記スナップピン側を前記貫通孔より突出され、
前記レバーは、前記ストッパ部材を挿通する凹部と、前記横桟付きリフトベルトコンベヤの横桟に当接して回転される腕部と、前記ベースに回動自在に軸支される軸部とを有し、前記凹部に前記ストッパ部材を挿通させるとともに前記スナップピンに取り付けた座金によって前記ベースと前記座金との間を移動できるように前記ベースに配置される
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項5記載の搬送装置において、
前記1個払出し装置は、
前記ストッパ部材を、板状の基板と、前記基板に取り付けたストッパと、前記基板に切り欠いて設けたレバー挿通孔と、前記基板の両側部を受け止めて上下方向に案内するコの字状の受け部を有する一対の受け部材と、前記一対の受け部材のコの字状の受け部に配置されて前記基板を上部方向に付勢し前記搬送物の重量によって圧縮して前記ストッパを没入させるスプリングと、前記一対の受け部材を支持して前記水平コンベヤに取り付ける取付ブラケットとで構成し、
前記レバーを、長尺状の板部材と、前記長尺状の板部材の先端部に形成され、前記ストッパ部材のレバー挿通孔に挿通される舌部と、前記長尺状の板部材の舌部より後端部側に形成され、前記取付ブラケットに回動自在に軸支される軸部と、前記長尺状の板部材の後端部に取り付けられ、前記横桟に当接される腕部とで構成して成る
ことを特徴とする搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−227444(P2009−227444A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78046(P2008−78046)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】