説明

搬送装置

【課題】農作物の損傷を防止しつつ、農作物を容器内に適切に収容できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置である規格内玉葱搬送手段51は、搬送手段55と、この搬送手段55を移動させる移動駆動手段56とを備える。搬送手段55の両端部には、搬送手段55からの玉葱Tを受け入れて下り傾斜方向に向けて搬送する端部搬送手段71を回動可能に設ける。端部搬送手段71の下方には規格内コンテナを保持する載置手段75が位置する。この載置手段75を回動させる回動駆動手段82を設ける。端部搬送手段71には距離検知手段91を設け、制御手段92が距離検知手段91の検知に基づいて回動駆動手段82および移動駆動手段56を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の損傷を防止しつつ、農作物を容器内に適切に収容できる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された搬送装置が知られている。
【0003】
この従来の搬送装置は、一の状態時には農作物を一端部側に向けて搬送し他の状態時には農作物を他端部側に向けて搬送する搬送手段と、搬送手段を水平方向に移動させる移動駆動手段と、搬送手段の端部からの農作物が収容される容器が載置される載置手段と、載置手段を上下方向に回動させる回動駆動手段とを備えている。また、この搬送装置は、搬送手段の端部に設けられ載置手段上の容器内の農作物との距離を検知する距離検知手段と、距離検知手段の検知に基づいて回動駆動手段および移動駆動手段を制御する制御手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−341836号公報(図1、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、農作物が搬送手段の端部から容器内に落下した際に農作物に比較的大きな落下衝撃が作用し、農作物が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、農作物の損傷を防止しつつ、農作物を容器内に適切に収容できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の搬送装置は、一の状態時には農作物を一端部側に向けて搬送し、他の状態時には農作物を他端部側に向けて搬送する搬送手段と、この搬送手段を水平方向に移動させる移動駆動手段と、前記搬送手段の一端部および他端部にそれぞれ設けられ、前記搬送手段からの農作物を受け入れて下り傾斜方向に向けて搬送する端部搬送手段と、この端部搬送手段からの農作物が収容される容器が載置される載置手段と、この載置手段を上下方向に回動させる回動駆動手段と、前記端部搬送手段に設けられ、前記載置手段上の容器内の農作物との距離を検知する距離検知手段と、この距離検知手段の検知に基づいて前記回動駆動手段および前記移動駆動手段を制御する制御手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、端部搬送手段は、搬送手段に対して上下方向に回動可能となっているものである。
【0009】
請求項3記載の搬送装置は、請求項2記載の搬送装置において、端部搬送手段は、容器が載置手段上から持ち上げられた場合にその容器に押されて上方に回動するものである。
【0010】
請求項4記載の搬送装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の搬送装置において、制御手段は、作業開始時に両載置手段がともに上限位置に位置するように回動駆動手段を制御するものである。
【0011】
請求項5記載の搬送装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の搬送装置において、移動駆動手段は、制御手段による制御に基づき、搬送手段を農作物が収容された容器側から反対側の載置手段上の空の容器側に向けて水平方向に移動させるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、農作物が端部搬送手段にて下り傾斜方向に向けて搬送されて載置手段上の容器内に落下するため、農作物に作用する落下衝撃の軽減を図ることができ、よって、農作物の損傷を防止しつつ、農作物を容器内に適切に収容できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、端部搬送手段は搬送手段に対して上下方向に回動可能となっているため、例えば容器を載置手段上から容易に降ろすことができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、端部搬送手段は容器が載置手段上から持ち上げられた場合にその容器に押されて上方に回動するため、容器を載置手段上から容易かつ適切に降ろすことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、制御手段は作業開始時に両載置手段がともに上限位置に位置するように回動駆動手段を制御するため、作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、移動駆動手段は制御手段による制御に基づき搬送手段を農作物が収容された容器側から反対側の載置手段上の空の容器側に向けて水平方向に移動させるため、効率よく農作物を容器内に適切に収容できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置(規格内玉葱搬送手段)の背面図である。
【図2】同上搬送装置の平面図である。
【図3】同上搬送装置を備える玉葱処理装置の側面図である。
【図4】同上搬送装置の動作説明図である。
【図5】図4に続く動作説明図である。
【図6】図5に続く動作説明図である。
【図7】図6に続く動作説明図である。
【図8】図7に続く動作説明図である。
【図9】図8に続く動作説明図である。
【図10】玉葱処理装置の移動時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の搬送装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図3において、1は圃場等に定置して使用する定置型の玉葱処理装置で、この玉葱処理装置1は、例えば略球形状の本体部T1とこの本体部T1から突出する茎葉部T2および根部T3とを有する農作物である玉葱Tを処理するものである。
【0020】
すなわち、玉葱処理装置1は、容器である収穫コンテナAから投入された未処理の玉葱Tを受け入れて搬送し、搬送途中で茎葉部T2および根部T3を切断し、その後、作業者aに選別作業を行わせ、規格内の玉葱Tを容器である規格内コンテナBに収容し、規格外の玉葱Tを容器である規格外コンテナCに収容し、かつ本体部T1から切断により分離された茎葉部T2および根部T3を茎葉コンテナDに収容するものである。なお、各コンテナA,B,C,Dは、それぞれ開口部A1,B1,C1,D1を有する外形略直方体状のものである。
【0021】
玉葱処理装置1は、未処理の玉葱Tを搬送する搬送手段2と、未処理の玉葱Tが収容された収穫コンテナAを水平方向の軸4を中心として上方に回動させることにより収穫コンテナAから玉葱Tを搬送手段2上に投入する投入手段であるコンテナ回動手段3とを備えている。
【0022】
コンテナ回動手段3は、収穫コンテナAを保持するコンテナ保持枠体6を有し、このコンテナ保持枠体6は装置本体5に軸4を中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。コンテナ回動手段3は、コンテナ保持枠体6を軸4を中心として上下方向に回動させる駆動手段である油圧式のシリンダ7を有している。シリンダ7は、シリンダ本体部8とこのシリンダ本体部8内に対して出入りするロッド部9とにて構成され、シリンダ本体部8の基端部が装置本体5に回動可能に取り付けられ、ロッド部9の先端部がコンテナ保持枠体6に回動可能に取り付けられている。
【0023】
そして、シリンダ7が伸びると、収穫コンテナAがコンテナ保持枠体6とともに軸4を中心として上方に回動し、収穫コンテナAの開口部A1から未処理の玉葱Tが搬送手段2上に投入される。シリンダ7が縮むと、収穫コンテナAがコンテナ保持枠体6とともに軸4を中心として下方に回動し、開口部A1が上方を向いた元の状態に戻る。
【0024】
搬送手段2は、収穫コンテナAから投入された玉葱Tを上り傾斜方向に向けて搬送して一定量ずつ送出する定量送出部11と、この定量送出部11からの玉葱Tを下り傾斜方向に向けて搬送する搬送部12と、この搬送部12からの玉葱Tを受け入れて上方に向けて持上搬送する持上搬送部13と、この持上搬送部13からの玉葱Tを受け入れて下り傾斜方向に向けて搬送する複数本の棒等からなるスクリーン等のシュート部14とを有している。搬送部12は、下り傾斜状の案内板16と複数本、例えば3本の搬送ローラ17とを有し、隣り合う搬送ローラ17間には間隙があり、この間隙から小石、土塊等が下方に排出される。
【0025】
また、玉葱処理装置1は、搬送手段2のシュート部14からの玉葱Tを受け入れて水平方向に向けて搬送し、その搬送途中で茎葉部T2が下向きになるように玉葱Tの姿勢を変更し、この姿勢変更後の玉葱Tの茎葉部T2を搬送終端位置で切断するカッティングユニット等の第1切断手段21を備えている。また、玉葱処理装置1は、第1切断手段21からの玉葱Tを下り傾斜状で板状のシュート23を介して受け入れて水平方向に向けて搬送し、その搬送途中で玉葱Tの茎葉部(つまり第1切断手段21で切断されなかった茎葉部)T2および根部T3を切断するタッピングユニット等の第2切断手段22を備えている。これら第1切断手段21と第2切断手段22とは玉葱処理装置1の長手方向である前後方向に互いに近接して並んで配置されている。
【0026】
第1切断手段21は、茎葉部T2が導入される間隙を介して互いに離間対向する平行な複数対(例えば5対)をなす細長い略円筒状の回転可能なローラ体26を有している。各ローラ体26は、装置本体5に対して水平な搬送方向に沿った軸線つまり玉葱処理装置1の前後水平方向に沿った軸線を中心として回転可能となっている。そして、対をなすローラ体26の各々は、駆動手段(図示せず)からの動力で、対向する側が下方に向って移動するように互いに異なる方向に回転する。
【0027】
各ローラ体26の外周面には、玉葱Tを水平な搬送方向に搬送しながら茎葉部T2が下向きになるように茎葉部T2を間隙に導入して玉葱Tの姿勢を変更する突状体27がローラ体26の軸方向一端側から軸方向他端側にわたって螺旋状に突設されている。突状体27は、例えば断面略台形状の弾性搬送突条部と、多数の弾性突起を有する弾性螺旋帯部とにて構成されている。また、姿勢変更後の玉葱Tの茎葉部T2を切断する切断体31がローラ体26の搬送終端側の軸方向端部に対向して近接状に配置されている。切断体31は、例えば駆動手段(図示せず)からの動力で回転する略円形状の刃部材と、この刃部材の外周部に圧接してこの刃部材とともに回転する略円形状の刃受部材とを有している。そして、刃部材の外周部と刃受部材の外周部とが互いに圧接し、これら刃部材の外周部と刃受部材の外周部との間に茎葉部T2が入り込んで切断される。
【0028】
第2切断手段22は、茎葉部T2および根部T3が導入される間隙を介して互いに離間対向する複数対(例えば5対)をなす細長い略円筒状の回転可能なローラ体32を有している。各ローラ体32は、装置本体5に対して水平な搬送方向に沿った軸線つまり玉葱処理装置1の前後水平方向に沿った軸線を中心として回転可能となっている。そして、対をなすローラ体32の各々は、駆動手段(図示せず)からの動力で、対向する側が下方に向って移動するように互いに異なる方向に回転する。また、ローラ体32は、第1切断手段21のローラ体26に比べて少し低い位置に略水平状に配置されている。
【0029】
また、対をなす両ローラ体32つまり2本1組のローラ体32のうちのいずれか一方のローラ体32の外周面には、玉葱Tを水平な搬送方向に搬送しながら茎葉部T2および根部T3を間隙に導入し残りの他方のローラ体32の外周面との間で挟持してねじ切るように切断するパイプ等の突状切断体33がローラ体32の軸方向一端側から軸方向他端側にわたって螺旋状に一体に突設されている。
【0030】
さらに、第1切断手段21と第2切断手段22とは平面視で一直線状に配置され、第2切断手段22の搬送始端部が第1切断手段21の搬送終端部の近傍に位置し、第1切断手段21の搬送終端部と第2切断手段22の搬送始端部との間に玉葱Tを第1切断手段21から第2切断手段22に受け渡すシュート23が前下り傾斜状に配置されている。そして、第1切断手段21の搬送終端部から送出された玉葱Tは、シュート23上を自重で転がって移動して第2切断手段22の搬送始端部に供給される。
【0031】
さらに、玉葱処理装置1は、第2切断手段22からの切断処理後の玉葱Tを下り傾斜状のシュート36を介して受け入れて上方に向けて持上搬送する持上搬送手段37と、この持上搬送手段37からの玉葱Tを下り傾斜状のシュート38を介して受け入れて水平方向に向けて搬送し搬送途中で搬送方向左右両側方の2人の作業者aにて選別作業が行われる搬送手段である選別用搬送手段39とを備えている。
【0032】
持上搬送手段37は、例えばリフトコンベヤ等にて構成されたもので、複数の回転体41に掛け渡された無端体42を有し、この無端体42には玉葱Tを載せて上方に持上搬送する搬送爪43が間隔をおいて複数設けられている。
【0033】
選別用搬送手段39は、例えばベルトコンベヤ等にて構成されたもので、複数の回転体45に掛け渡された無端状の搬送ベルト46を有している。そして、選別用搬送手段39は、その全体が第1切断手段21および第2切断手段22の両方の上方に第1切断手段21および第2切断手段22の略全長にわたって配置されている。また、選別用搬送手段39の搬送方向両側方には作業者用のステップ47が配置され、各ステップ47には作業者aが座る椅子48が設けられている。さらに、その椅子48に座った作業者aが操作する操作手段49が配置されている。また、選別用搬送手段39の搬送終端部には下り傾斜状のシュート50が連設されている。
【0034】
また、玉葱処理装置1は、作業者aの手作業により選別された規格内の玉葱Tを搬送して規格内コンテナBに収容する農作物搬送収容装置としての搬送装置である規格内玉葱搬送手段51と、作業者aの手作業により選別された規格外の玉葱Tを搬送して規格外コンテナCに収容する規格外玉葱搬送手段52とを備えている。
【0035】
ここで、図1および図2に示すように、規格内玉葱搬送手段51は、搬送方向上流に位置する選別用搬送手段39の搬送終端部から送出される規格内の玉葱Tをシュート50を介して受け入れて左右方向に搬送して左右の規格内コンテナBに収容するものである。
【0036】
規格内玉葱搬送手段51は、装置本体5に水平方向である左右方向に移動可能、例えばスライド可能に設けられ農作物である玉葱Tを水平な搬送方向(図2中、左方であるa方向と右方であるb方向)に搬送する水平状の搬送手段55と、この搬送手段55を装置本体5に対して左右方向に移動させる移動駆動手段56とを備えている。
【0037】
搬送手段55は、例えばベルトコンベヤ等にて構成されたもので、複数の回転体57に掛け渡された無端状の搬送体である搬送ベルト58を有し、この搬送ベルト58は正逆回転可能な駆動手段であるモータ59からの動力で回行する。
【0038】
そして、搬送手段55は、搬送ベルト58が一方向に回行する一の状態時には玉葱Tをその搬送ベルト58の上面の搬送面58aに載せて一端部側である左端部側(a方向である搬送方向)に向けて搬送し、搬送ベルト58が他方向に回行する他の状態時には玉葱Tをその搬送ベルト58の搬送面58aに載せて他端部側である右端部側(a方向とは反対のb方向である搬送方向)に向けて搬送する。
【0039】
移動駆動手段56は、例えば正逆回転可能な駆動手段であるモータ61と、このモータ61からの動力で回転するピニオン62と、搬送手段55の下面側に固設されピニオン62と噛み合ったラック63とを有している。そして、搬送手段55は、移動駆動手段56の駆動により例えば左限位置、中間位置および右限位置の3箇所(複数箇所)の各位置に選択的に移動する。
【0040】
また、規格内玉葱搬送手段51は、搬送手段55の一端部および他端部にそれぞれ上下方向に回動可能に設けられ下り傾斜状態時に搬送手段55の搬送終端部からの玉葱Tを受け入れて下り傾斜方向に向けて搬送する端部搬送手段71を備えている。つまり、搬送手段55には、対をなす左右1対の端部搬送手段71がそれぞれ水平な前後方向の軸72を中心として上下方向に回動可能に設けられている。端部搬送手段71は、例えば搬送手段55に対して回動可能な回動シュート73にて構成されている。回動シュート73の搬送始端部が搬送手段55の搬送終端部に軸72を介して回動可能に取り付けられ、回動シュート73の搬送終端部が自由端部となっている。回動シュート73は、搬送手段55の搬送終端部のストッパ部74との当接により下方回動が規制されて所定の下り傾斜状態となる。そして、回動シュート73は、下り傾斜状態時に玉葱Tを自重で滑落させて搬送する搬送面73aを有している。
【0041】
さらに、規格内玉葱搬送手段51は、端部搬送手段71である回動シュート73の搬送終端部からの玉葱Tが落下して収容される規格内コンテナBが載置される載置手段75を備えている。載置手段75は、装置本体5の支持フレーム部76の上端部に水平な前後方向の軸77を中心として上下方向に回動可能に設けられ、対応する端部搬送手段71の下方に配置されている。載置手段75は、例えば規格内コンテナBが載置されこの規格内コンテナBを保持する正面視略L字状の折り畳み可能な載置台78にて構成されている。この載置台78は、底部79およびこの底部79に略直角に立設された立設部80を有し、この立設部80の上端部が支持フレーム部76の上端部に軸77を介して回動可能に取り付けられている。底部79の内端部は立設部80の下端部に水平な前後方向の軸68を介して回動可能に取り付けられ、底部79は立設部80に対する軸68を中心とした略90度回動により立設部80と平行な鉛直状態となる(図10参照)。また、載置台78の立設部80の上端部には、規格内コンテナBに玉葱Tが盛り上がって収容された場合に玉葱Tがこぼれ落ちるのを防ぐ落下防止体である増し枠81が回動可能でかつ脱着可能に設けられている。
【0042】
また、規格内玉葱搬送手段51は、載置手段75である載置台78を装置本体5の支持フレーム部76に対して軸77を中心として上下方向に回動させる回動駆動手段82を備えている。回動駆動手段82は、例えば油圧式のシリンダ83にて構成され、このシリンダ83は、シリンダ本体部84とこのシリンダ本体部84内に対して出入りするロッド部85とを有している。シリンダ本体部84の基端部が装置本体5のシリンダ取付部86に回動可能に取り付けられ、ロッド部85の先端部が載置台78の立設部80に回動可能に取り付けられている。
【0043】
そして、シリンダ83が伸びると載置台78が上方に回動し、シリンダ83が縮むと載置台78が下方に回動する。つまり、載置台78は、シリンダ83の伸縮駆動により例えば上限位置、中間位置および下限位置の3箇所(複数箇所)の各位置に選択的に回動する。
【0044】
さらに、規格内玉葱搬送手段51は、回動シュート73の搬送終端部の下面側に設けられ載置台78上の規格内コンテナB内の玉葱Tとの距離を検知する距離検知手段91と、この距離検知手段91の検知に基づいてシリンダ83およびモータ61を制御する制御手段92とを備えている。
【0045】
距離検知手段91は、例えば玉葱Tとは非接触でその玉葱Tとの間の離間距離(例えば図1に示す高さ距離H)を検知する光学系の非接触センサ93にて構成されている。非接触センサ93は、この非接触センサ93が規格内コンテナBに引っ掛かるのを防止する覆い体であるスライドガード94にて覆われている。
【0046】
制御手段92は、例えば制御回路等にて構成され、左右2つのシリンダ83および1つの移動駆動手段56のモータ61等に電気的に接続されている。また、制御手段92には載置台78が下限位置に位置することを検知するリミットスイッチ95が電気的に接続され、このリミットスイッチは支持フレーム部76の下端近傍に設けられている。
【0047】
一方、規格外玉葱搬送手段52は、図3に示されるように、椅子48に座った作業者aの前方近傍に位置する下り傾斜状のシュート101と、このシュート101からの玉葱Tを受け入れて搬送して規格外コンテナCに収容する搬送部であるベルトコンベヤ102とを備えている。
【0048】
また、玉葱処理装置1は、図3に示されるように、第1切断手段21および第2切断手段22の下方に配置され玉葱Tの本体部T1から切断により分離された茎葉部T2および根部T3を搬送して茎葉コンテナDに収容する茎葉搬送手段103を備えている。
【0049】
茎葉搬送手段103は、搬送部12、持上搬送部13、シュート部14、第1切断手段21および第2切断手段22の下方に水平状に配置された第1搬送部である第1ベルトコンベヤ104と、この第1ベルトコンベヤ104の搬送終端部に軸106を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた傾斜角度調整可能な第2搬送部である第2ベルトコンベヤ105とを有している。各ベルトコンベヤ104,105は、複数の回転体に掛け渡された無端状の搬送ベルト108を有している。なお、装置本体5の下部フレーム110には圃場等上で玉葱処理装置1を移動できるように車輪111が回転可能に設けられている。
【0050】
次に、玉葱処理装置1の作用等を説明する。
【0051】
処理対象物である多数の玉葱Tは、コンテナ回動手段3のシリンダ7の駆動に基いて収穫コンテナAがコンテナ保持枠体6とともに回動することにより、収穫コンテナAの開口部A1から搬送手段2の定量送出部11上に順次投入される。そして、定量送出部11上に投入された玉葱Tは、定量送出部11によって一定量ずつ搬送部12へ送出される。
【0052】
その後、玉葱Tは、持上搬送部13にて所定高さ位置まで持上搬送された後、シュート部14上を移動して第1切断手段21に供給される。
【0053】
そして、第1切断手段21に供給された玉葱Tは、ローラ体26と突状体27とにて略水平な搬送方向に搬送され、この搬送途中で突状体27にて茎葉部T2が下向きになって間隙に入り込むように姿勢変更される。そして、第1切断手段21の搬送終端位置のにおいて、玉葱Tの茎葉部T2が切断体31にて切断される。この切断により本体部T1から分離された茎葉部T2は、茎葉搬送手段103にて搬送されて茎葉コンテナDに収容される。
【0054】
また、玉葱Tは、第1切断手段21から送出されると、シュート23上を移動して第2切断手段22に供給される。
【0055】
第2切断手段22に供給された玉葱Tはローラ体32と突状切断体33とにて略水平な搬送方向に搬送され、この搬送途中で突状切断体33にて茎葉部T2および根部T3が切断され、この切断により本体部T1から分離された茎葉部T2および根部T3は茎葉搬送手段103にて搬送されて茎葉コンテナDに収容される。
【0056】
すなわち例えば多数の玉葱Tのうち、第1切断手段21にて茎葉部T2が切断されなかった玉葱Tの茎葉部T2が第2切断手段22にて切断される。なお、この第2切断手段22でも茎葉部T2が切断されなかった玉葱Tについては、搬送方向下流の選別用搬送手段39上の玉葱Tの選別作業を行う作業者aが手作業で切断工具等を用いてその茎葉部T2を切断する。
【0057】
こうして2段階で切断処理された玉葱Tは、持上搬送手段37にて所定高さ位置まで持上搬送された後、シュート38上を移動して選別用搬送手段39に供給される。そして、玉葱Tは選別用搬送手段39上において作業者aの手作業によって規格内か規格外かの選別作業により選別される。
【0058】
規格内の玉葱Tは規格内玉葱搬送手段51にて搬送されて規格内コンテナBに収容され、規格外の玉葱Tは規格外玉葱搬送手段52にて搬送されて規格外コンテナCに収容される。
【0059】
ここで、規格内玉葱搬送手段(搬送装置)51による玉葱Tの搬送収容作業について図面を参照して説明する。
【0060】
図4に示すように、搬送収容作業の開始時には、空の規格内コンテナBが載置された左右両側の載置台78はともに上限位置に位置し、搬送手段55は左限位置に位置する。
【0061】
このとき、搬送手段55の左端部に設けられた下り傾斜状態の左側の回動シュート(一方側の端部搬送手段)73はその全体が左側の載置台78上の規格内コンテナB内に挿入された状態で位置し、この回動シュート73の搬送終端部は左側の規格内コンテナBの底面近傍に位置する。搬送手段55の左端部も左側の規格内コンテナB内に挿入された状態で位置する。
【0062】
そして、上流の選別用搬送手段39側から送られてきた規格内の玉葱Tは、搬送手段55にて左方に向けて搬送された後、左側の回動シュート73にて左下り傾斜方向に向けて搬送される。
【0063】
この回動シュート73の搬送終端部から送出された玉葱Tは、落下して規格内コンテナB内に収容される。
【0064】
こうして玉葱Tが左側の規格内コンテナB内に順次収容されて蓄積され、この蓄積された玉葱Tの上面と非接触センサ93との距離が予め設定された設定距離になると、制御手段92がシリンダ83を制御し、左側の載置台78が規格内コンテナBと一体となって下方に所定量回動する。
【0065】
この載置台78の回動により、図5に示すように、左側の載置台78は中間位置に位置し、この中間位置に位置する載置台78上の規格内コンテナB内に玉葱Tがさらに収容蓄積される。
【0066】
そして、中間位置の載置台78上に載置された規格内コンテナB内の玉葱Tの上面と非接触センサ93との距離が予め設定された設定距離になると、制御手段92がシリンダ83を制御し、左側の載置台78が規格内コンテナBと一体となってさらに下方に所定量回動する。
【0067】
この載置台78の回動により、図6に示すように、左側の載置台78は底部79が地面に接触する下限位置に位置し、この下限位置に位置する載置台78上の規格コンテナB内に玉葱Tがさらに収容蓄積される。
【0068】
そして、下限位置の載置台78上に載置された規格内コンテナB内の玉葱Tの上面と非接触センサ93との距離が予め設定された設定距離になると、制御手段92がモータ61を制御し、搬送手段55が回動シュート73と一体となって右方にスライド移動する。
【0069】
すなわち、移動駆動手段56のモータ61は、制御手段92による制御に基づき、搬送手段55を玉葱Tが収容された左側の規格内コンテナB側から反対側の載置台78である右側の載置台78上の空の規格内コンテナB側(空の容器側)に向けて、つまり玉葱Tの搬送方向とは反対の方向に向けて、水平方向に所定量だけ移動させる。すると、図7に示すように、搬送手段55は中間位置に位置しかつ回動シュート73の搬送終端部は規格内コンテナBの上方近傍における左右方向中央付近に位置し、下限位置の載置台78上の規格内コンテナB内に玉葱Tがさらに収容蓄積される。
【0070】
そして、再び下限位置の載置台78上の規格内コンテナB内の玉葱Tの上面と非接触センサ93との距離が予め設定された設定距離になると、制御手段92がモータ61を制御し、搬送手段55が回動シュート73と一体となってさらに右方にスライド移動する。
【0071】
この搬送手段55の移動により、図8に示すように、搬送手段55は右限位置に位置しかつ回動シュート73の搬送終端部は規格内コンテナBの上方近傍における右端付近に位置し、下限位置の載置台78上の規格内コンテナB内に玉葱Tがさらに収容蓄積される。なおこのとき、下り傾斜状態の右側の回動シュート(他方側の端部搬送手段)73はその全体が右側の載置台78上の規格内コンテナB内に挿入された状態で位置する。
【0072】
そして、再び下限位置の載置台78上の規格内コンテナB内の玉葱Tの上面と非接触センサ93との距離が予め設定された設定距離になると、つまり規格内コンテナB内の玉葱Tが満杯状態になると、制御手段92がモータ59の回転方向を逆にする。
【0073】
すると、選別用搬送手段39側からの玉葱Tは、今度は、搬送手段55にて右方に向けて搬送された後、右側の回動シュート73にて右下り傾斜方向に向けて搬送され、右側の規格内コンテナB内に落下収容される。そして、上述した左側の規格内コンテナB内への作業と同じ動作で、玉葱Tが右側の規格内コンテナB内に順次収容される。
【0074】
また、右側の規格内コンテナB内への搬送収容作業が行われている間に、左側の満杯の規格内コンテナBがフォークリフトで載置台78上から降ろされ、その代わりに空の規格内コンテナBが載置台78上に載置される。
【0075】
このコンテナ交換作業時において、図9に示すように、端部搬送手段71である回動シュート73は、フォークリフトのリフト爪部100にて満杯の規格内コンテナBが載置台78上から上方へ持ち上げられた場合に、その規格内コンテナBの上端部に押されて上方に回動する。規格内コンテナBが回動シュート73から離されると、回動シュート73は自重でストッパ部74に当接するまで下方に回動し、もとの下り傾斜状態となる。
【0076】
そして、上記実施の形態によれば、玉葱Tが下り傾斜状態の回動シュート73にて下り傾斜方向に向けて搬送されて載置台78上の規格内コンテナB内に落下するため、従来の構成に比べて玉葱Tに作用する落下衝撃の軽減を図ることができ、よって、玉葱Tの損傷を防止しつつ、玉葱Tを規格内コンテナB内に適切に収容できる。
【0077】
また、回動シュート73が搬送手段55の搬送終端部に対して上下回動可能で、この回動シュート73はコンテナ交換作業時に規格内コンテナBが載置台78上から持ち上げられた場合にその規格内コンテナBに押されて上方に回動するため、規格内コンテナBを載置台78上から容易かつ適切に降ろすことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0078】
また、移動駆動手段56は制御手段92による制御に基づき搬送手段55を玉葱Tが収容された規格内コンテナB側から反対側の載置手段75である載置台78上の空の規格内コンテナB側に向けて移動させるため、効率よく玉葱Tを規格内コンテナB内に適切に収容でき、しかも、満杯の規格内コンテナBを載置台78上から降ろす際に、搬送手段55は満杯の規格内コンテナB上には位置せず、搬送手段55と規格内コンテナBとの干渉を回避でき、搬送手段55の損傷を防止でき、またこの際、回動シュート73は満杯の規格内コンテナB上に位置するが、この回動シュート73は、規格内コンテナBと接触しても上方に回動するため、規格内コンテナBとの干渉によって損傷するようなことがない。
【0079】
さらに、制御手段92は作業開始時に左右の両載置台78がともに上限位置に位置するように回動駆動手段82であるシリンダ83を制御するため、作業効率の向上をより一層図ることができる。
【0080】
また、回動シュート73を下り傾斜状態から略90度以上(例えば略180度)回動させることにより、回動シュート73を搬送手段55上に折り畳むことができるため、例えば非作業時等に回動シュート73が邪魔になる不具合を防止できる。すなわち例えば図10に示すように、玉葱処理装置1の移動時には、回動シュート73を搬送手段55上に回動させて折り畳むことができるとともに、底部79を回動させて立設部80と平行な鉛直状態にすることにより載置台78を折り畳むことができるため、玉葱処理装置1の幅寸法を小さくでき、よって、玉葱処理装置1の移動を容易に行うことができる。なお、この場合には、増し枠81を取り外す。
【0081】
なお、載置手段75である載置台78が段階的に下方回動する構成には限定されず、例えば距離検知手段91からの検知信号に応じて載置台78が無段階的に下方回動する構成でもよい。
【0082】
また、搬送手段55が段階的に水平移動する構成には限定されず、例えば距離検知手段91からの検知信号に応じて搬送手段55が無段階的に水平移動する構成でもよい。
【0083】
さらに、距離検知手段91は、非接触センサ93にて構成されたものには限定されず、例えばリミットスイッチ等の接触センサにて構成されたものでもよい。
【0084】
また、回動シュート73を回動させる回動駆動手段を備え、制御手段92による回動駆動手段の制御で回動シュート73が適宜回動するようにしてもよい。すなわち例えば操作手段の操作に基づいて回動駆動手段が駆動して回動シュート73が回動する構成や、距離検知手段91の検知に基づいて回動駆動手段が駆動して回動シュート73が回動する構成等である。
【0085】
さらに、下り傾斜状態の回動シュート73の水平方向に対する傾斜角度を調整可能な構成としてもよい。
【0086】
また、搬送収容対象物である農作物は、玉葱T以外に、ジャガイモやさつまいも等でもよい。
【符号の説明】
【0087】
51 搬送装置である規格内玉葱搬送手段
55 搬送手段
56 移動駆動手段
71 端部搬送手段
75 載置手段
82 回動駆動手段
91 距離検知手段
92 制御手段
T 農作物である玉葱
B 容器である規格内コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の状態時には農作物を一端部側に向けて搬送し、他の状態時には農作物を他端部側に向けて搬送する搬送手段と、
この搬送手段を水平方向に移動させる移動駆動手段と、
前記搬送手段の一端部および他端部にそれぞれ設けられ、前記搬送手段からの農作物を受け入れて下り傾斜方向に向けて搬送する端部搬送手段と、
この端部搬送手段からの農作物が収容される容器が載置される載置手段と、
この載置手段を上下方向に回動させる回動駆動手段と、
前記端部搬送手段に設けられ、前記載置手段上の容器内の農作物との距離を検知する距離検知手段と、
この距離検知手段の検知に基づいて前記回動駆動手段および前記移動駆動手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
端部搬送手段は、搬送手段に対して上下方向に回動可能となっている
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
端部搬送手段は、容器が載置手段上から持ち上げられた場合にその容器に押されて上方に回動する
ことを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
制御手段は、作業開始時に両載置手段がともに上限位置に位置するように回動駆動手段を制御する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の搬送装置。
【請求項5】
移動駆動手段は、制御手段による制御に基づき、搬送手段を農作物が収容された容器側から反対側の載置手段上の空の容器側に向けて水平方向に移動させる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−241574(P2010−241574A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94069(P2009−94069)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】