説明

搬送装置

【課題】一般的な円筒形ローラを並設したローラコンベヤでは、円滑な搬送が期待できない物品を確実にして安定且つ効率的に搬送できる様にしたローラコンベヤを提供する。
【解決手段】多数のローラ2、2a…を並設すると共に、各ローラ2、2a…を同一方向に回動する様に駆動手段3に連繋したローラコンベヤから成り、該ローラコンベヤの各ローラ2、2a…は断面正方形の角柱状に形成されると共に、隣接するローラ2、2a同士は相互に回転角45°位相した状態で回動する様に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車場における車両移動や袋詰めされた特定の荷物などの搬送に用いられる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より物品の搬送装置として用いられているローラコンベヤは多種多様な設備に利用されている。
その一例として特許文献1に開示された立体駐車場にも車両搬送設備の一部分にローラコンベヤが装備されている。
この立体駐車場には、車両を昇降台に載せて昇降させる垂直搬送装置と、昇降台から車両を走行台車に受け取って前後方向に搬送する水平搬送装置と、走行台車の走行路の左右に区画形成され、走行台車から車両を受け取って格納する駐車室とから成る駐車設備を設けている。
そして、上記昇降台、走行台車及び駐車室の夫々には、ローラコンベヤが設置され、該ローラコンベヤの駆動により車両を横移動させて昇降台と走行台車の間と、走行台車と駐車室との間で車両の授受が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2588189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ローラコンベヤにあっては、その各ローラはその形状が円筒形であるため、タイヤと線接触でその接触度合いが極端に小さく、タイヤといえどもスリップし易く、ローラの空転率が高いので、車両搬送に時間を要したり、車両の前後輪で送りに差を生じてローラの軸線と平行ではなく斜めの状態で横移動するといった不具合を有している。
上記の不具合は、車両に限らず、例えば穀類などを封入した袋詰めなどローラとの接触部が比較的柔らかく変形し易い搬送物などにも同様に有している。
そこで、本発明は、上記の様に一般的な円筒形ローラを並設したローラコンベヤでは、円滑な搬送が期待できない物品、特に上記車両や、穀類などを封入した袋物など搬送中に変形し易い物品を確実にして安定且つ効率的に搬送できる様にしたローラコンベヤから成る搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明に係る搬送装置は、多数のローラを並設すると共に、各ローラを同一方向に回動する様に駆動手段に連繋したローラコンベヤから成り、該ローラコンベヤの各ローラは断面正方形の角柱状に形成されると共に、隣接するローラ同士は相互に回転角45°位相した状態で回動する様に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、上記の様に構成したので、ローラコンベヤの隣接するローラ同士は角張った稜線部と平坦な側面部とが周方向に45°ずれた状態で並設され、ローラコンベヤの搬送面は凹凸が搬送方向に連続しており、車両や穀類などを封入した袋物の様にローラとの接触部(車両にあってはタイヤ)が比較的柔らかい搬送物をローラコンベヤ上に載置すると、搬送物の前記接触部はローラコンベヤの搬送面の凹凸に応じ変形する。
そして、ローラコンベヤの作動で各ローラを同一方向へ回動させると、隣接する一方のローラの角張った稜線部が搬送物に引っ掛かりを有し、該搬送物を搬送方向前方へと斜め上方に押し出し、同時に隣接する他方のローラの矩形状側面部が搬送物を面接触で支持しながら搬送方向前方へと斜め上方へ押し出すため、従来の円筒形ローラに比し、搬送物との接触抵抗を極めて大きくでき、搬送物をスリップさせることもなく確実に搬送方向前方へ安定且つ効率的に搬送できる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】搬送装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】搬送装置の一部破断正面図である。
【図4】搬送装置におけるローラの設置状態を示す要部断面図である。
【図5】搬送装置を使用した立体駐車場の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る搬送装置1は、図1〜3に示す様に、多数のローラ2、2a…を並設すると共に、各ローラ2、2a…を同一方向に回動する様に駆動手段3に連繋したローラコンベヤ(以下、ローラコンベヤ1とも称する。)から成り、該ローラコンベヤ1は、方形基盤4上にフレーム5、5aを平行立設し、該フレーム5、5a間にはその長手方向で等間隔置きにローラ2、2a…を架設している。
【0009】
ローラ2、2a…は断面正方形の角柱状(図示例では角パイプ)に形成され、該ローラ2、2a…において、隣接する細長で矩形状の側面部6が直交して成る稜線部6aの夫々は断面円弧状に形成されている(図4参照)。
ローラ2、2a…の各端部には支軸7、7aを突設し、各支軸7、7aは各フレーム5、5aに内装したベアリング8、8aに回転自在に装着されている(図3参照)。
【0010】
駆動手段3は、各ローラ2、2a…を同一方向に回動させる連動手段9と、該連動手段9に駆動力を伝達する伝動手段10を介して連繋した正逆回転可能な電動モータ11とから構成されている。
連動手段9は、ローラ2、2a…の一端に突設した支軸7に軸着したローラ用スプロケット12と、該スプロケット12に近接する一方のフレーム5において、その内側下部の中央と前後方に回転自在に枢支した中央の伝動用スプロケット13及び前後方のテンション用スプロケット14と、各スプロケット12、13、14に掛け渡されるローラ転動用の無端チェーン15とから成る。
伝動手段10は、フレーム5外方に突設した伝動用スプロケット13の支軸に軸着した従動スプロケット16と、電動モータ11の駆動軸に軸着した駆動スプロケット17と、該駆動スプロケット17及び従動スプロケット16に掛け渡した駆動力伝達用の無端チェーン18とから成る。
【0011】
ローラ2、2a…において、隣接するスプロケット12は、隣接するローラ2、2a同士が相互に回転角45°位相した状態で回動する様に、その回転方向に回転角45°ずらして無端チェーン15を掛け渡している。
この様に構成された搬送装置(ローラコンベヤ)1にあっては、その隣接するローラ2、2a同士は角張った稜線部6aと平坦な側面部6とが周(回転)方向に45°ずれた状態で並設され、ローラコンベヤ1のローラ2、2aで構成される搬送面1aは、側面部6と稜線部6aから成る凹凸が搬送方向に交互に連続している(図4参照)。
そして、電動モータ11の作動にて伝動手段10、連動手段9を介して駆動する隣接ローラ2、2a…は常に回転角45°位相して同一方向に回転する。
【0012】
以下には、搬送装置1の立体駐車場への一使用例を主に図5に基づき説明する。
この立体駐車場は、中央に昇降通路19が形成され、該昇降通路19の左右に複数階層の駐車室20を区画形成した駐車塔21から成り、該駐車塔21において、昇降通路19の最下部を含む最下層を出入庫場22と成している。
又、昇降通路19には、図示しない昇降手段によって昇降通路19を上下動可能にして、且つ車両Wを載置可能な昇降台23を設けている。
【0013】
そして、各駐車室20の床面と昇降台23上面には搬送装置1を設置し、昇降通路19を上下動する昇降台23が適宜駐車室20に横並びした時に、各々の搬送装置1の搬送面1aが同一水平面上で連続し、各搬送装置1の作動により車両Wを横移動自在と成している。
又、出入庫場22において、昇降通路19の一側には、上面に搬送装置1を設けた固定台24を配置し、昇降台23が出入庫場22に位置した時に、昇降台23は固定台24の一側に横並びし、各々の搬送装置1の搬送面1aが同一水面上で連続して車両Wを横移動させられる様に成している。
尚、出入庫場22における車両Wの出入口25は、図5中に一点鎖線で示す様に、昇降通路19の固定台24寄りの片側から固定台24全幅に渡って設けられ、車両Wは出入口25を通じて出入庫場22へ出入庫される。
【0014】
上記の様に構成された立体駐車場にあっては、出入庫場22に車両Wが出入口25を通じて入庫されると、車両Wは固定台24と昇降台23に跨がって駐車される。
この様に、固定台24と昇降台23上の各ローラコンベヤ1上に車両Wが載置されると、該車両Wの各ローラ2、2a…との接触部(タイヤ)W1は、ローラコンベヤ1の搬送面1aの凹凸(隣接ローラ2、2aの回転角45°位相して配置される側面部6と稜線部6a)に応じ変形する。
【0015】
続いて、固定台24と昇降台23の各ローラコンベヤ1の各ローラ2、2a…を夫々の駆動手段3の作動にて同時に同一方向に回転させる。
これにより、隣接する一方のローラ2の角張った稜線部6aが車両WのタイヤW1に引っ掛かりを有し、これを搬送方向前方へと斜め上方に押し出し、同時に隣接する他方のローラ2aの矩形状の側面部6がタイヤW1を面接触でこれを支持しながら搬送方向前方へと斜め上方へ押し出すことにより、搬送面1aはタイヤW1との接触抵抗が極めて大きくなり、車両Wはスリップすることなく、搬送方向前方へ確実に移動させられ(図4参照)、この様にして車両Wを横移動し、昇降台23上に車両W全体を載置させる。
【0016】
車両Wを載せた昇降台23は車両Wの受入れ可能な駐車室20が存する階層まで上昇する(図示例では最上階)。
これにより、上記駐車室20に設けたローラコンベヤ1と昇降台23上のローラコンベヤ1の搬送面1aが同一水平面上に連続し、両ローラコンベヤ1の各ローラ2、2a…を同時に同方向へ回転させることにより、上記と同様にして車両Wを昇降台23から所望の駐車室20へ横移動させられ、車両Wの格納が完了する。
又、この格納された車両Wを出庫するには、上記入庫の場合と逆の手順により出入庫場22に車両Wが搬送され、車両Wは出入口25を通じて出庫される。
当然ながら、出庫はローラ2、2a…を入庫時の逆方向に回転させる。
【0017】
尚、上記では搬送装置1を立体駐車場に装備し、車両を搬送物Wとして移送する様にしたものを示したが、その他に、搬送物Wにおける搬送面1aとの接触部W1が比較的柔らかく搬送中に変形し易い穀類等を封入した袋物などを搬送対象とすることも可能である。
この場合でも、袋物(搬送物)Wにおける搬送面1aとの接触部W1は、搬送面1aの凹凸に応じ変形し、ローラコンベヤ1の作動により、隣接する一方のローラ2の角張った稜線部6aが搬送物Wに引っ掛かりを有すると共に、隣接する他方のローラ2aの矩形状の側面部6が搬送物Wを面接触で支持しながら、搬送物Wを搬送方向前方へと斜め上方へ押し出す様にして各ローラ2、2a…が同一方向に回転するため、従来の円筒形ローラに比し、搬送物Wとの接触抵抗が極めて大きくなり、搬送物Wはスリップすることなく、搬送方向前方へ確実に移動させられる。
【符号の説明】
【0018】
1 ローラコンベヤ
2 ローラ
3 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のローラを並設すると共に、各ローラを同一方向に回動する様に駆動手段に連繋したローラコンベヤから成り、該ローラコンベヤの各ローラは断面正方形の角柱状に形成されると共に、隣接するローラ同士は相互に回転角45°位相した状態で回動する様に設定したことを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−105407(P2011−105407A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259412(P2009−259412)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(509096511)名西産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】