説明

搬送車の操舵装置

【課題】手動走行時における操舵性を向上させつつ、切換機構が万一壊れた場合であっても手動走行を可能とすること。
【解決手段】操舵輪のアクスルシャフト21に対して、操舵輪を操舵する操舵モータ23の動力を伝達可能な伝達状態と伝達不能な非伝達状態に切り替える電磁ツースクラッチ24を独立して配設する。そして、電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフトにはツースクラッチギア26を設けるとともに、アクスルシャフト21にはツースクラッチギア26と噛み合うアクスルシャフトギア22を設け、アクスルシャフトギア22とツースクラッチギア26により動力を伝達可能な状態でアクスルシャフト21と電磁ツースクラッチ24を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵輪を自動で操舵して走行させる自動走行モードと、運転者のハンドル操作によって操舵輪を手動で操舵して走行させる手動走行モードとを有する搬送車の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場構内などでは、荷を積載した台車を牽引し、搬送するための搬送車が使用されている。この種の搬送車には、誘導路に貼られた磁気式のガイドテープをガイドセンサで検出し、その検出結果をもとに操舵輪を操舵して自動走行させる自動走行モードと、作業者が操舵ハンドルを操作することで操舵輪を操舵して手動走行させる手動走行モード(有人走行モード)とを有した車両がある。以下の説明において「搬送車」とは、自動走行モードと手動走行モードを有した車両を示すものとする。
【0003】
搬送車を手動走行モードで走行させる場合には、乗車した作業者が操舵ハンドルを操作し、その操作によってアクスルシャフトを作動させることにより操舵輪を操舵し、運転する。一方、搬送車を自動走行モードで走行させる場合には、リモコンなどによる無線で走行を制御し、車両に搭載した操舵モータがアクスルシャフトを作動させることによって操舵輪が操舵される。
【0004】
ところで、搬送車の構造として、操舵モータをアクスルシャフトに対し、例えばチェーンなどの動力伝達部材を介して直接連結している場合には、手動走行モードにおいて操舵ハンドルの操作時、操舵の開始時と終了時に操舵モータのロータを回転させるための力とその回転を止めるための力が必要となる。したがって、このような構造を採用している場合には、手動走行モードにおけるハンドル操作が非常に重くなる。
【0005】
そこで、従来、このような問題を解決するために、特許文献1に記載の作業車のステアリング装置が考案されている。特許文献1のステアリング装置では、無人走行と有人走行の双方が可能な作業車において、有人走行の時は切換装置を有人位置に切替えることによって無人走行時に操向に使用する直流モータからの伝動を断の位置に切替え、作業者の操作と直流モータの連結を断ってステアリング操作を軽くしている。そして、特許文献1のステアリング装置では、切換装置(爪クラッチなど)を、ステアリングコラムに内装したステアリングシャフトの中間部に直接配設している。
【特許文献1】実開平6−37905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、搬送車は、使用環境に応じて走行モードが手動走行モードと自動走行モードに切替えられる。このため、搬送車においては、走行モードの切替えに伴って操舵モータの動力をステアリングシャフト(アクスルシャフト)へ伝達するか否かを切替える切替装置の耐久性が要求される。しかしながら、切替装置は、耐久性を高めたとしても、使用環境によっては壊れないという保障はない。このため、特許文献1のようにステアリングシャフトの中間部に切替装置を配設してしまうと、切替装置に不具合が生じて作動しなくなると、自動走行モードによる走行は勿論のこと、手動走行モードによる走行も出来なくってしまう。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、手動走行時における操舵性を向上させつつ、切替機構の作動不良が生じた場合であっても手動走行可能な搬送車の操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、操舵輪を自動で操舵して走行させる自動走行モードと、運転者による操舵ハンドルのハンドル操作によって操舵輪を手動で操舵して走行させる手動走行モードとに切替えて走行可能な搬送車の操舵装置において、前記自動走行モード時に前記操舵輪を操舵する操舵モータの動力を前記操舵輪及び前記操舵ハンドルを連結する連結軸に対し伝達可能な伝達状態に切り替えられるとともに前記手動走行モード時に前記動力を前記連結軸に対し伝達不能な非伝達状態に切り替えられる切替機構を、前記連結軸とは独立して設けるとともに前記連結軸に設けた動力伝達部材を介して前記連結軸に連結したことを要旨とする。
【0009】
これによれば、操舵モータの動力を連結軸に伝達する切替機構を設けることにより、手動走行時には操舵モータと連結軸の連結状態を遮断することが可能となる。これにより、手動走行時における操舵輪の操舵性を向上し得る。また、切替機構を連結軸に対して直接設けることなく独立して設けているので、切替機構の作動不良が生じた場合であっても手動走行させることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送車の操舵装置において、前記切替機構は電磁式クラッチを含み、通電によって非伝達状態から伝達状態へ切り替わり、非通電時には非伝達状態となることを要旨とする。
【0011】
これによれば、搬送車の運転停止時(走行動力遮断時)には切替機構の状態が非伝達状態とされ、伝達状態へ切り替えるためには運転者の切替操作が必要となる。このため、搬送車の運転再開時などに、運転者の意に反して自動走行モードで操舵輪の操舵が行われてしまうことがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、手動走行時における操舵性を向上させつつ、切替機構が壊れた場合であっても手動走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を台車に積載した荷を牽引する搬送車としての牽引車に具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、牽引車10の車体11は、車体11の前方に設けられたフロントフレーム12と、車体11の後方に設けられたリアフレーム13とからなる。リアフレーム13には、図示しない牽引機構が設けられている。車体11の前後方向のほぼ中央には、立席タイプの運転席14が設けられている。また、車体11の前部下方には、操舵輪16(図3に示す)が設けられているとともに、車体11の後部下方には、駆動輪17が設けられている。また、運転席14の後方に配置されたリアフレーム13には、図示しないバッテリーを収容する収容室の上方を覆うバッテリーフード15が開閉可能に設けられている。そして、車体11には、バッテリーを駆動源とする走行用モータMT(図3に示す)が搭載されており、駆動輪17は走行用モータMTから駆動力が付与される。すなわち、本実施形態の牽引車10は、バッテリー式(電気式)の車両とされている。
【0014】
運転席14には、乗車した作業者(運転者)がハンドル操作を行うための操舵ハンドルとしてのバーハンドル18が設けられている。バーハンドル18は、ステアリングコラム19に内装されたステアリングシャフト(図3に示す)20と連結されているとともに、ステアリングシャフト20は、操舵輪16が装着されるアクスルシャフト21に連結されている。これにより、牽引車10は、運転者がバーハンドル18をハンドル操作(左右方向への回転操作)することにより操舵輪16を操舵し、手動走行モードで手動走行させることができるようになっている。本実施形態では、ステアリングシャフト20とアクスルシャフト21により、操舵輪16とバーハンドル18を連結する連結軸が構成される。
【0015】
アクスルシャフト21の上部には、図2に示すように、動力伝達部材としてのアクスルシャフトギア22が一体回転可能に装着されている。そして、フロントフレーム12の後面側(運転席14側)には、牽引車10を磁気式のガイドテープGT(図3に示す)からなる誘導路に沿って自動走行モードで自動走行させる際に、操舵輪16を操舵する操舵モータ23と、電磁式クラッチとしての電磁ツースクラッチ24が配設されている。電磁ツースクラッチ24は、図3に示す一対のツースリング24a,24bを有し、これらのツースリング24a,24bのツース(歯)が噛み合うことによってトルクを伝達する励磁作動形クラッチである。そして、電磁ツースクラッチ24は、内蔵する図示しないコイルを通電して励磁すると、ツースリング24a,24bが噛み合ってクラッチが繋がった状態となり、トルクを伝達する。一方、電磁ツースクラッチ24は、前記コイルを非通電して非励磁すると、ツースリング24a,24bの噛み合いが解かれてクラッチが切られた状態となり、トルク伝達を遮断する。
【0016】
電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフト25(図3に示す)には、電磁ツースクラッチ24のロータ(図示しない)が一体回転可能に装着されており、ツースクラッチシャフト25はクラッチの入力軸となる。ロータには、一対のツースクラッチのうち、一方のツースリング(本実施形態ではツースリング24a)が一体回転可能に装着されている。そして、ツースクラッチシャフト25の一端(第1端部)には、アクスルシャフト21のアクスルシャフトギア22に常時、噛み合うツースクラッチギア26が一体回転可能に装着されている。ツースクラッチギア26には、一対のツースクラッチのうち、他方のツースリング(本実施形態ではツースリング24b)が一体回転可能に装着されている。また、ツースクラッチシャフト25の他端(第2端部)は、操舵モータ23のモータ回転軸27(図3に示す)と動力伝達可能に連結されており、ツースクラッチシャフト25の他端と操舵モータ23のモータ回転軸27にはチェーン28が掛け渡されている。
【0017】
そして、本実施形態では、図2に示すように、電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフト25と操舵モータ23のモータ回転軸27がアクスルシャフト21の延設方向と同一方向に延設されており、電磁ツースクラッチ24と操舵モータ23は縦置き状態で並設されている。これにより、操舵モータ23と電磁ツースクラッチ24を、フロントフレーム12の後面側、すなわち運転席14側において省スペースで配設し得る。そして、電磁ツースクラッチ24は、アクスルシャフト21のアクスルシャフトギア22とツースクラッチギア26からなる伝達機構を介してアクスルシャフト21に連結し、アクスルシャフト21に対して直接設けられることなく、独立して配設されている。すなわち、アクスルシャフト21に対して間接的に設けられている。同様に、操舵モータ23は、アクスルシャフト21とモータ回転軸27に掛け渡したチェーン28からなる伝達機構を介して連結し、操舵モータ23と電磁ツースクラッチ24は独立して配設されている。
【0018】
このような構成により、操舵モータ23の回転によって発生する動力は、電磁ツースクラッチ24が励磁されている場合(自動走行モードの場合)に、ツースリング24a,24bが噛み合うことにより、アクスルシャフトギア22を介してアクスルシャフト21へ伝達される。すなわち、電磁ツースクラッチ24は、操舵モータ23の回転時にモータ回転軸27と一緒にツースクラッチシャフト25、ロータ及びツースリング24aが一体回転し、ロータ側のツースリング24aと噛み合うツースクラッチギア26側のツースリング24bに動力を伝達してツースクラッチギア26を回転させる。これにより、自動走行モード時は、操舵モータ23の動力が電磁ツースクラッチ24とツースクラッチギア26を介してアクスルシャフト21のアクスルシャフトギア22に伝達され、その伝達された動力を受けてアクスルシャフト21が作動することにより操舵輪16が操舵される。
【0019】
一方、電磁ツースクラッチ24が非励磁されている場合(手動走行モードの場合)には、ツースリング24a,24bの噛み合いが解かれることにより、操舵モータ23の動力はアクスルシャフト21へ伝達されない。すなわち、手動走行モード時は、バーハンドル18のハンドル操作により、ステアリングシャフト20に連結されるアクスルシャフト21及びアクスルシャフトギア22がハンドル操作量に応じて回転し、その回転によってアクスルシャフトギア22と噛み合うツースクラッチギア26が回転する。しかし、ツースリング24a,24bの噛み合いが解かれている状態では、ツースクラッチギア26のみがフリーの状態でツースクラッチギア26と一緒に回転することになるため、ツースクラッチギア26の回転はツースクラッチシャフト25に伝達されない。この結果、手動走行モード時には、ツースクラッチシャフト25と該ツースクラッチシャフト25に連結されるモータ回転軸27の双方が回転しなくなる。そして、手動走行モード時には、ツースクラッチギア26に対してツースクラッチシャフト25及びモータ回転軸27の連結状態を解除させて、ツースクラッチギア26をハンドル操作によりフリーの状態で回転させるので、ハンドル操作は軽くなる。
【0020】
本実施形態では、電磁ツースクラッチ24、ツースクラッチシャフト25及びツースクラッチギア26により、切換機構が構成される。この切換機構により、操舵モータ23の動力をアクスルシャフト21に対し伝達可能な伝達状態と、前記動力を伝達不能な非伝達状態へ切り替えられる。そして、電磁ツースクラッチ24は、牽引車10が運転停止の状態(電源OFFによる走行動力遮断の状態)になると、コイルへの通電が遮断されることによってツースリング24a,24bの噛み合いが解かれる。すなわち、本実施形態において電磁ツースクラッチ24は、自動走行モードによるコイルの通電時のみにツースリング24a,24bが噛み合ってトルク伝達が可能な状態となる。一方で、本実施形態において電磁ツースクラッチ24は、手動走行モードへの切替え時及び牽引車10の運転停止時にはコイルが非通電とされることにより、ツースリング24a,24bの噛み合いが解かれてトルク伝達が不能な状態となる。
【0021】
車体11には、図3に示すように、牽引車10の制御回路を構成し、主に走行制御を行うためのコントローラ30が搭載されている。コントローラ30は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる。コントローラ30は、操舵モータ23と電磁ツースクラッチ24に接続されている。コントローラ30は、操舵モータ23のモータ制御回路に電気信号を送信することによって操舵モータ23を回転制御するとともに、電磁ツースクラッチ24のコイルに電気信号(励磁信号と非励磁信号)を送信し、電磁ツースクラッチ24への通電及び非通電を制御する。
【0022】
また、車体11には、図3に示すように、送信機(リモコン装置)31からの信号を受信する受信機32が搭載されており、受信機32はコントローラ30に接続されている。送信機31は、牽引車10を自動走行させる自動走行モードへの切替えなどを指示する。さらに、車体11には、図3に示すように、ガイドテープGTを検知し、ガイドテープGTと牽引車10のずれ量を電気信号に変換してコントローラ30に送信するガイドセンサGSが接続されている。コントローラ30は、自動走行モード時にガイドセンサGSからの電気信号を受信し、操舵モータ23をコントロールして操舵輪16の方向を制御する。また、車体11の運転席14には、牽引車10の走行モードを切替え操作する操作スイッチ33が設けられている。操作スイッチ33は、コントローラ30に接続されている。そして、牽引車10は、作業者が操作スイッチ33を切替え操作することにより、手動走行モードと自動走行モードとが切替えられる。コントローラ30は、操作スイッチ33の操作信号を受信し、その操作信号で指示された走行モードに応じて牽引車10の走行を制御する。
【0023】
以下、本実施形態の牽引車10の作用を説明する。
最初に、自動走行モードの場合について説明する。
自動走行モードへの切替えは、送信機31の操作により行われる。コントローラ30は、自動走行モードへ切替えられると、電磁ツースクラッチ24のコイルを通電し、励磁する。この状態では、電磁ツースクラッチ24のツースリング24a,24bが噛み合ってクラッチが繋がった状態となる。そして、コントローラ30は、ガイドセンサGSからの電気信号を受信し、操舵モータ23をコントロールする。これにより、操舵モータ23の動力は、電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフト25、及びツースクラッチギア26を介して、ツースクラッチギア26に噛み合うアクスルシャフトギア22に伝達される。そして、アクスルシャフトギア22を介して伝達された操舵モータ23の動力により、アクスルシャフト21が作動し、操舵輪16の方向が制御される。また、コントローラ30は、走行用モータMTを作動させて牽引車10を誘導路に沿って所定速度で自動走行させる。なお、自動走行モード時の所定速度は、送信機31からの指示、又は予め定めた一定速度である。
【0024】
次に、手動走行モードの場合について説明する。
手動走行モードへの切替えは、操作スイッチ33の操作により行われる。コントローラ30は、手動走行モードへ切替えられると、電磁ツースクラッチ24のコイルを非通電し、非励磁とする。この状態では、電磁ツースクラッチ24のツースリング24a,24bの噛み合いが解かれてクラッチが切られた状態となる。そして、操舵輪16は、運転者のバーハンドル18のハンドル操作により、そのハンドル操作量に応じてステアリングシャフト20に連結されたアクスルシャフト21が作動し、方向が制御される。
【0025】
手動走行モードでは、電磁ツースクラッチ24のツースリング24a,24bの噛み合いが解かれている。このため、バーハンドル18の操作によりアクスルシャフト21と一体回転するアクスルシャフトギア22が回転し、そのアクスルシャフトギア22に噛み合うツースクラッチギア26が回転した場合であっても、電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフト25を介して操舵モータ23のモータ回転軸27へのトルク伝達が行われない。したがって、操舵輪16は、バーハンドル18のハンドル操作に連動して操舵モータ23のモータ回転軸27を回転させない機構の採用により、ハンドル操作による操舵性が向上される。すなわち、運転者は、手動走行モード時においてバーハンドル18を軽く動かして操舵輪16を操舵することが可能となる。また、コントローラ30は、走行用モータMTを作動させて牽引車10を誘導路に沿って所定速度で手動走行させる。なお、手動走行モード時の所定速度は、運転者によるアクセル操作の操作量に応じた速度である。
【0026】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)電磁ツースクラッチ24を、アクスルシャフトギア22とツースクラッチギア26を介してアクスルシャフト21とは独立して設けた。すなわち、操舵モータ23の動力をアクスルシャフト21に対し伝達する状態と伝達しない状態とを切り替える切替機構を、アクスルシャフト21に直接設けない構成とした。したがって、電磁ツースクラッチ24を設けることにより手動走行時における操舵性を向上させつつ、電磁ツースクラッチ24をアクスルシャフト21と独立して設けることにより作動不良が生じた場合であっても手動走行させることができる。
【0027】
(2)電磁ツースクラッチ24は、コイルへの通電時にツースリング24a,24bが噛み合って動力伝達可能な状態となり、コイルへの非通電時にツースリング24a,24bの噛み合いが解かれて動力伝達不能な状態となる。このため、操舵モータ23の動力が伝達される伝達状態へ切り替えるためには運転者の切替操作が必要となる。したがって、牽引車10の運転再開時などに、運転者の意に反して自動走行モードで操舵輪16の操舵が行われてしまうことがない。
【0028】
(3)また、操舵モータ23の動力伝達状態を電磁ツースクラッチ24で切り替える構成を採用したので、切替機構の少スペース化を実現することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0029】
○ 実施形態において、操舵ハンドルをバーハンドル18に代えて、ステアリングハンドルにしても良い。
○ 実施形態は、運転席14に座席を設けた座席タイプの牽引車に具体化しても良い。
【0030】
○ 実施形態において、アクスルシャフト21と操舵モータ23を連結する電磁ツースクラッチを他のクラッチに変更しても良い。例えば、摩擦式クラッチ(湿式クラッチ及び乾式クラッチ)に変更しても良い。
【0031】
○ 実施形態は、荷を搬送する他の搬送車(例えば、ゴルフカートなど)に具体化しても良い。
○ 実施形態において、チェーン28に代えて、電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフト25とモータ回転軸27をギア機構によって連結しても良い。
【0032】
○ 実施形態において、アクスルシャフトギア22とツースクラッチギア26に代えて、アクスルシャフト21と電磁ツースクラッチ24のツースクラッチシャフト25をベルトやチェーンによって連結しても良い。
【0033】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)電磁クラッチは、励磁作動形のツースクラッチである請求項2に記載の搬送車の操舵装置。
【0034】
(ロ)前記電磁クラッチの入力軸と前記操舵モータの回転軸を前記操舵用連結軸と同一方向に延設し、前記電磁クラッチと前記操舵モータをそれぞれ縦置き状態で並設させた前記技術的思想(イ)に記載の搬送車の操舵装置。
【0035】
(ハ)請求項1、請求項2及び技術的思想(イ),(ロ)に記載の操舵装置を装備した搬送車。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態の牽引車の概略を示す斜視図。
【図2】アクスルシャフトと操舵モータの連結構造を示す斜視図。
【図3】牽引車の電気的構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0037】
10…牽引車、16…操舵輪、18…バーハンドル、21…アクスルシャフト、22…アクスルシャフトギア、23…操舵モータ、24…ツースクラッチ、24a,24b…ツースリング、25…ツースクラッチシャフト、26…ツースクラッチギア、27…モータ回転軸、28…チェーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵輪を自動で操舵して走行させる自動走行モードと、運転者による操舵ハンドルのハンドル操作によって操舵輪を手動で操舵して走行させる手動走行モードとに切替えて走行可能な搬送車の操舵装置において、
前記自動走行モード時に前記操舵輪を操舵する操舵モータの動力を前記操舵輪及び前記操舵ハンドルを連結する連結軸に対し伝達可能な伝達状態に切り替えられるとともに前記手動走行モード時に前記動力を前記連結軸に対し伝達不能な非伝達状態に切り替えられる切替機構を、前記連結軸とは独立して設けるとともに前記連結軸に設けた動力伝達部材を介して前記連結軸に連結したことを特徴とする搬送車の操舵装置。
【請求項2】
前記切替機構は電磁式クラッチを含み、通電によって非伝達状態から伝達状態へ切り替わり、非通電時には非伝達状態となる請求項1に記載の搬送車の操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−296830(P2008−296830A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147175(P2007−147175)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000138646)株式会社ユニカ (2)
【Fターム(参考)】