説明

搬送車及びプログラム

【課題】誘導線に対する転舵車輪の内回り走行及び外回り走行に応じて転舵角度の制御量を変更する搬送車及びプログラムに関する。
【解決手段】台車1は、磁気テープ10の中央線L10に対するガイド偏差を検出するガイドセンサ4a、4bを前後方向に備える。台車1の前方に向かってガイドセンサ4a、4bの左側に前輪3a、後輪3bが前後に離間して備えられている。制御部5は、ガイド偏差にゲインを乗じて得られた制御量を用いて前輪3a、後輪3bの転舵角度を制御することで搬送車が磁気テープ10に沿って走行する。搬送車が直進時に磁気テープ10に沿って左旋回する場合、磁気テープ10に対して前輪3a及び後輪3bが内回り走行する。制御部5は、前輪3a及び後輪3bが内回り走行する場合、外回り走行時の制御量よりも大きな制御量に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導線に対する転舵車輪の内回り及び外回りに応じて転舵角度の制御量を変更する搬送車及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無人化を指向する先端工場には、無人の搬送車が導入されてきている。例えば、磁気誘導方式の搬送車の場合、誘導線として床面に磁気テープが貼り付けられる。搬送車は、磁気センサを台車に備えることにより、磁気テープが発生する磁気を検出して誘導線に対する偏差を走行中に随時検出する。そして、搬送車は、検出した偏差に基づいて転舵角度の制御量を求め、偏差が0になるようフィードバック制御することにより、誘導線に沿って走行する(例えば特許文献1参照)。制御量は、走行速度及び誘導線の曲率に応じて変更される。また、搬送車の転舵車輪が磁気テープ上を走行する場合、磁気テープが磨耗する。そこで、磁気センサに対して走行方向の左側又は右側に転舵車輪を配置することで、転舵車輪が磁気テープ上を走行しないようにすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−147036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁気センサに対して走行方向の左側又は右側に転舵車輪を配置した従来の搬送車では、旋回時に誘導線に対して転舵車輪が旋回半径方向の内側を走行する内回り走行となることがあり、曲がり切れずに誘導線から逸脱することがあった。
【0005】
本願は、斯かる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、内回り走行時に外回り走行時より大きくなるよう転舵角度の制御量を変更する制御部を備えることにより、誘導線からの逸脱を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する搬送車は、路面に設定してある誘導線に対する位置偏差を検出する偏差検出部を備え、前記誘導線に沿って搬送すべく前記位置偏差に基づいて転舵車輪を転舵する搬送車において、前記偏差検出部により検出した位置偏差に基づいて求めた制御量を用いて前記転舵車輪の転舵角度を制御する制御部と、前記誘導線に沿って旋回する場合、前記誘導線に対して前記転舵車輪が旋回半径方向の内側及び外側のいずれに位置するかを判定する内外判定部とを備え、前記制御部は、前記内外判定部による判定結果に応じて前記制御量を変更するようにしてある。
【0007】
本願にあっては、誘導線に対する位置偏差が走行中に随時検出され、当該位置偏差に基づいて求められた制御量を用い、転舵車輪の転舵角度が制御される。搬送車が誘導線に沿って旋回する場合、誘導線に対して転舵車輪が旋回半径方向の内側を走行する内回り走行と、旋回半径方向の外側を走行する外回り走行とのいずれにあるかが判定される。転舵車輪が曲率半径の短い走行軌跡を描く内回り走行及び曲率半径の長い走行軌跡を描く外回り走行夫々に応じて制御量が変更される。
【0008】
本願に開示する搬送車は、走行方向が前進方向及び後退方向のいずれであるかを判定する方向判定部と、該方向判定部による判定結果及び前記偏差検出部により検出した位置偏差に基づいて左旋回及び右旋回のいずれであるかを判定する旋回判定部と、前記転舵車輪が前記誘導線に対して走行方向の左側又は右側のいずれに位置するかを判定する位置判定部とを備え、前記内外判定部は、前記位置判定部により前記転舵車輪が走行方向の左側(右側)に位置すると判定した状態で前記旋回判定部により左旋回(右旋回)と判定した場合、前記転舵車輪が内側(外側)に位置すると判定するようにしてある。
【0009】
本願にあっては、誘導線に対する位置偏差と、前進方向及び後退方向のいずれであるかを示す判定結果とに基づいて、搬送車が誘導線から走行方向右側にずれることによって開始される左旋回、又は誘導線から走行方向左側にずれることにより開始される右旋回のいずれにあるかを判定する。そして、搬送車は、転舵車輪が誘導線に対して走行方向左側に位置する場合、左旋回時に内回り走行と判定し、右旋回時に外回り走行と判定する。また、搬送車は、転舵車輪が誘導線に対して走行方向右側に位置する場合、右旋回時に内回り走行と判定し、左旋回時に外回り走行と判定する。
【0010】
本願に開示する搬送車は、前記制御部は、前記内外判定部により前記転舵車輪が内側に位置すると判定した場合、前記内外判定部により前記転舵車輪が外側に位置すると判定した場合で転舵角度の制御に用いる制御量よりも大なる制御量に変更するようにしてある。
【0011】
本願にあっては、誘導線に沿って転舵車輪が曲率半径の小さい走行軌跡を描く内回り走行時に、外回り走行時で用いられる制御量よりも大きな制御量に変更されて転舵車輪の転舵量が増大される。
【0012】
本願に開示する搬送車は、速度を検出する速度検出部を備え、前記制御部は、前記速度検出部により検出した速度に基づいて前記制御量を変更するようにしてある。
【0013】
本願にあっては、検出した転舵車輪の速度に応じて制御量が変更される。例えば、内回り走行時に曲がりきれない虞がある速い速度が検出された場合に外回り走行時よりも大きな制御量が用いられて転舵車輪の転舵量が増大される。
【0014】
本願に開示する搬送車は、前記偏差検出部は、略直下に位置する誘導線に対する位置偏差を検出するようにしてあり、前記転舵車輪は、前記偏差検出部に対して走行方向の左側又は右側に配置してある。
【0015】
本願にあっては、搬送車に取り付けられた偏差検出部が略直下に位置する磁気テープ及び反射テープ等からなる誘導線が生じる磁気及び光を感知することで、誘導線に対する位置偏差を検出する。転舵車輪は、偏差検出部の取付位置から走行方向の左側又は右側にずらした位置に取り付けられており、搬送車の走行中に転舵車輪が誘導線上を走行しない。
【0016】
本願に開示する搬送車は、前記転舵車輪は、走行方向に沿って複数配置してあり、前記制御部は、複数の転舵車輪夫々の転舵角度を制御し、前記内外判定部による判定結果に応じて走行方向前側に配置してある転舵車輪の制御に用いられる制御量を変更するようにしてある。
【0017】
本願にあっては、走行方向の前後に複数の転舵車輪が配置してある。誘導線に対する各転舵車輪の位置偏差に基づいて各転舵車輪の転舵角度の制御量が求められる。内回り旋回及び外回り旋回走行夫々で、誘導線に沿って各転舵車輪が走行すべき各軌跡の曲率に応じた制御量に変更される。
【0018】
本願に開示する搬送車は、前記制御部は、前記位置偏差に基づいてPID制御し、前記制御量を求めるようにしてある。
【0019】
本願にあっては、位置偏差が略零になるよう転舵車輪の転舵角度がPID制御され、誘導線に沿って搬送車が走行する。
【0020】
本願に開示する搬送車は、前記制御部は、前記位置偏差に係数を乗じて制御量を求め、該制御量を変更すべく前記係数を変更するようにしてある。
【0021】
本願にあっては、位置偏差に係数を乗じて得た制御量を用いて、位置偏差を略零にすべく転舵車輪の転舵角度が制御される。内回り走行時には、外回り走行時に設定される係数よりも大なる係数に変更されて転舵車輪の制御量が増大される。
【0022】
本願に開示するプログラムは、誘導線に対する位置偏差に基づいて求めた制御量を用いて転舵車輪を制御し、前記誘導線に沿って走行する搬送車が備えるコンピュータに、前記制御量を変更させるプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記誘導線に沿って旋回する場合、前記誘導線に対して前記転舵車輪が旋回半径方向内側及び外側のいずれに位置するかを判定する内外判定ステップと、該内外判定ステップによる判定結果に応じて前記制御量を変更する変更ステップとを実行させる。
【0023】
本願にあっては、搬送車が誘導線に沿って旋回する場合、誘導線に対して転舵車輪が旋回半径方向の内側を走行する内回り走行と、旋回半径方向の外側を走行する外回り走行とのいずれにあるかが判定される。転舵車輪が曲率半径の短い走行軌跡を描く内回り走行及び曲率半径の長い走行軌跡を描く外回り走行夫々に応じて転舵角度の制御量が変更される。
【発明の効果】
【0024】
当該装置の一観点によれば、内回り走行時に転舵角度の制御量を変更する制御部を備えることにより、誘導線からの逸脱を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】搬送車のハードウェア各部を示す模式的平面図である。
【図2】実施の形態1に係る制御部の内部ハードウェア及び制御部に接続されるハードウェアを示すブロック図である。
【図3】ゲイン表のレコードレイアウトの例を示す図表である。
【図4】前進時の搬送車の外回り走行を説明するための説明図である。
【図5】前進時の搬送車の内回り走行を説明するための説明図である。
【図6】後退時の搬送車の内回り走行を説明するための説明図である。
【図7】ゲイン設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】旋回制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】ゲイン表のレコードレイアウトの他の例を示す図表である。
【図10】前輪及び後輪の他の配置例を説明するための搬送車のハードウェア各部を示す模式的平面図である。
【図11】実施の形態2に係る制御部の内部ハードウェア及び制御部に接続されるハードウェアを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態1
以下、実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。本願に係る搬送車は、路面に設定された誘導線に沿って走行し、搬送物を搬送する。搬送車で用いられる誘導方式には、路面に貼設された磁気テープが発生する磁気を検出する磁気誘導方式及び路面に貼設された反射テープにより反射された光を検出する光誘導方式等が用いられる。本実施の形態では、磁気誘導方式を用いた搬送車を例に挙げて説明する。
【0027】
図1は、搬送車のハードウェア各部を示す模式的平面図である。図1中白抜矢印は、搬送車の前方を示し、搬送車が前進している場合には走行方向となる。搬送車は、底面の4隅に車輪2、2、…が配された略矩形状の台車1を備える。台車1の前端及び後端近傍夫々の底面には、台車1の前後方向に向かい合うガイドセンサ(偏差検出部)4a、4bが台車1の幅方向略中央部から前方に向かって右側に設けられている。ガイドセンサ4a、4b夫々は、搬送車の走行方向と交差する台車1の幅方向の略直線上に複数の磁気素子が間隙を有して配列された磁気センサアレイである。
【0028】
ガイドセンサ4a、4b夫々は、各磁気素子により磁気テープ10が発する磁気を検出する。そして、ガイドセンサ4a、4b夫々は、幅方向略中央と、検出した磁気テープ10の中央線L10の位置との距離をガイド偏差(位置偏差)として検出する。また、ガイドセンサ4a、4b夫々は、中心位置から搬送車の走行方向左側に中央線L10が変位した場合に負となる符号を付し、走行方向右側に中央線L10が変位した場合に正となる符号を付してガイド偏差を出力するようにしてある。
【0029】
台車1は、ガイドセンサ4a、4bの台車1の前方に向かって左側に、前後に離間する前輪3a、後輪3bを備える。前輪3a、後輪3b夫々は、台車1を走行させる駆動輪及び台車1を転舵する転舵車輪として機能する。台車1には、前輪3a、後輪3b夫々の転舵軸を回転させて転舵角度を変更するモータ等の前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bを備える。前輪転舵部31a及び後輪転舵部31b夫々は、転舵軸が所定角度を左回転又は右回転する都度、異なるパルス信号を出力するインクリメンタルエンコーダを内蔵しており、異なるパルス信号夫々をカウントすることにより、左右の転舵角度を検出して出力する。
【0030】
台車1の上面には、ガイドセンサ4a、4bが出力するガイド偏差夫々に基づいて前輪3a、後輪3b夫々の転舵角度を制御する制御部5を備える。制御部5は、ガイドセンサ4a、4b夫々が出力するガイド偏差にゲイン(係数)を乗じた制御量を得る。そして、制御部5は、得られた制御量夫々を用いて前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bの各転舵角度をフィードバック制御することで、ガイドセンサ4a、4b夫々が出力するガイド偏差が0となるように前輪3a、後輪3b夫々を転舵する。これにより、磁気テープ10の中央線L10がガイドセンサ4a、4bの幅方向略中央の直下を通過するよう前輪3a及び後輪3b夫々が転舵され、磁気テープ10に沿って搬送車が走行する。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る制御部5の内部ハードウェア及び制御部5に接続されるハードウェアを示すブロック図である。前輪3a、後輪3b夫々は、回転駆動させるためのホイールモータである前輪駆動部32a、後輪駆動部32bを内蔵する。後輪駆動部32bは、後輪3bの車軸が所定角度を前進方向又は後退方向に回転する都度、異なるパルス信号を出力するインクリメンタルエンコーダを内蔵している。そして、後輪駆動部32bは、単位時間当たりのパルス信号をカウントすることにより、搬送車の走行速度を検出して出力する速度検出部33bを備える。
【0032】
また、後輪駆動部32bは、異なるパルス信号夫々の立ち上がりを比較することにより、後輪3bの回転方向を検出し、搬送車の走行方向として前進方向又は後退方向のいずれかを出力する方向検出部34bを備える。制御部5は、CPU50( Central Processing Unit )と、ROM( Read-Only Memory )51と、RAM( Random-Access Memory )52と、インターフェース部53と、切替部54とを備える。CPU50は、ROM51に記憶してあるプログラム510をRAM52に読み出して実行することにより、後述の内回り走行及び外回り走行を判定する内外判定部、並びに搬送車の左旋回及び右旋回を判定する旋回判定部として機能する。また、CPU50は、前輪3a、後輪3bが誘導路としての磁気テープ10の左側又は右側のいずれに位置するかを判定する位置判定部としても機能する。CPU50は、バス50aを介してハードウェア各部を制御する。
【0033】
ROM51には、ガイドセンサ4a、4bが出力するガイド偏差に乗じるゲインを示す後述のゲイン表511と、プログラム510を実行する際に必要な各種変数等が予め記憶されている。インターフェース部53は、ガイドセンサ4a、4bが出力するガイド偏差と、前輪転舵部31a及び後輪転舵部31b夫々が出力する転舵角度と、速度検出部33bが出力する走行速度と、方向検出部34bが出力する走行方向とを受付けてCPU50に与える。
【0034】
インターフェース部53は、CPU50から受付けた転舵角度を前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bに出力する。また、インターフェース部53は、CPU50から受付けた前進及び後退等の走行指示を前輪駆動部32a及び後輪駆動部32bに出力する。CPU50は、ガイドセンサ4a、4b夫々が出力する各偏差にゲインを乗じてフィードバック制御量を算出し、前輪転舵部31a及び後輪転舵部31b夫々の転舵角度を制御する。切替部54は、前輪3a、後輪3bが台車1の前方に向かってガイドセンサ4a、4bの左側又は右側のいずれに配置してあるかを示す切替スイッチであり、左側及び右側夫々に対応したスイッチ位置を有する。
【0035】
そして、制御部5は、前輪3a、後輪3bの配置に応じて、切替部54を左側に対応したスイッチ位置に切り替えられて台車1に取り付けられる。また、制御部5が、他の台車に取り付けられる場合、前輪3a、後輪3bの配置に応じて切替部54のスイッチ位置が切り替えられる。CPU50は、切替部54のスイッチ位置を検出して前輪3a、後輪3bがガイドセンサ4a、4bの左側又は右側のいずれに配置してあるかを取得するようにしてある。
【0036】
図3は、ゲイン表511のレコードレイアウトの例を示す図表である。ゲイン表511には、複数のガイド偏差の範囲及び複数の走行速度の範囲に対応付けて異なる複数のゲインが記憶してある。図3中のD及びV夫々は、ガイド偏差及び走行速度を示す。図3に示す例では、ガイドセンサ4a、4b夫々が出力する各ガイド偏差の絶対値が10mm未満である場合、搬送車が直進しているとして直進ゲインを設定するようゲイン表511に記憶してある。ガイドセンサ4a、4b夫々が出力する各ガイド偏差の絶対値が小さい場合に大きなゲイン値を設定すると、フィードバック制御量が過大となり転舵角度の制御が不安定になることがある。そこで、ガイド偏差が小さい直進時に設定される直進ゲインには、後述の低速又は中速の旋回時に設定されるゲイン値よりも小さなゲイン値10がゲイン表511に記憶してある。
【0037】
また、図3に示す例では、ガイド偏差の絶対値が10mm以上である搬送車の旋回時に直進ゲインよりも大きなゲイン値を有する低速ゲイン、外回りゲイン、及び内回りゲインと、直進ゲインよりも小さなゲイン値を有する高速ゲインとが設定される。速度検出部33bが出力する走行速度が15m/min未満である低速旋回時には、直進ゲインより大きなゲイン値15を有する低速ゲインが設定される。走行速度が51m/min以上である高速旋回時には、直進ゲインよりも小さなゲイン値1を有する高速ゲインが設定される。走行速度が15m/min以上51m/min未満の中速旋回時には、外回り走行及び内回り走行夫々に応じて外回りゲイン及び内回りゲインが設定されている。内回りゲインは、低速ゲインと略同一のゲイン値15が設定され、外回りゲインには、内回りゲインのゲイン値15よりも小さなゲイン値13が設定されている。次に前進時の搬送車が外回り走行を行う場合の転舵角度の制御を説明する。
【0038】
図4は、前進時の搬送車の外回り走行を説明するための説明図である。図4中白抜矢印は、搬送車の前方を示し、搬送車が前進している場合には走行方向となる。図4に示す例では、前進している搬送車が走行方向に向かって右側に曲率半径R0を有する曲線を描く磁気テープ10のカーブ部分に差し掛かっている。この場合、図4に示す如くガイドセンサ4aの幅方向略中央から右へ変位した位置の直下に中央線L10が位置し、ガイドセンサ4aは、正の符号を有するガイド偏差を出力する。制御部5は、ガイドセンサ4aが出力するガイド偏差の符号が正であることにより、搬送車が磁気テープ10に沿って右旋回が行われると判定する。図4中L4は、ガイドセンサ4a、4b夫々の略中央を結ぶ中央線を示す。
【0039】
制御部5は、ガイド偏差が0になるよう前輪転舵部31aの指示する転舵角度をフィードバック制御することで、前輪3aが右回転方向に転舵され搬送車は右旋回を始める。また、搬送車が右旋回して走行するにつれ、中央線L10がガイドセンサ4bの幅方向略中央から左へ変位し始める。そして、ガイドセンサ4bは正の符号を有するガイド偏差を出力し始める。制御部5は、ガイドセンサ4bが出力するガイド偏差を0になるよう後輪転舵部31bに指示する転舵角度をフィードバック制御し、後輪3bは左回転方向に転舵される。
【0040】
ガイドセンサ4aが磁気テープ10の右カーブ部分を通過し、直線部分に差し掛かるにつれ、ガイドセンサ4aが出力するガイド偏差が減少するため、前輪3aは中立位置に転舵角度が戻される。同様にガイドセンサ4bが磁気テープ10の右カーブ部分を通過して直線部分に差し掛かるにつれ、後輪3bは中立位置に転舵角度が戻されて右旋回を完了する。図4に示す如く右旋回する搬送車の前輪3a、後輪3bは、磁気テープ10の中央線L10に対して旋回半径方向の外側を走行する外回り走行となり、曲率半径R1を有する走行軌跡L11を描く。制御部5は、前進時に右旋回する場合に外回り走行と判定する。
【0041】
図5は、前進時の搬送車の内回り走行を説明するための説明図である。図5中白抜矢印は、搬送車の前方を示し、搬送車が前進している場合には走行方向となる。図5に示す例では、前進している搬送車が走行方向に向かって左側に曲率半径R0を有する曲線を描く磁気テープ10のカーブ部分に差し掛かっている。この場合、図5に示す如くガイドセンサ4aの幅方向略中央から左へ変位した位置の直下に中央線L10が位置し、ガイドセンサ4aは、負の値を有するガイド偏差を出力する。制御部5は、ガイドセンサ4aが出力するガイド偏差の符号が負であることにより、搬送車が磁気テープ10に沿って左旋回が行われると判定する。
【0042】
制御部5は、ガイド偏差が0になるよう前輪転舵部31aに指示する転舵角度をフィードバック制御することで、前輪3aが左回転方向に転舵され搬送車は左旋回を始める。また、搬送車が左旋回して走行するにつれ、中央線L10がガイドセンサ4bの幅方向略中央から右へ変位し始める。そして、ガイドセンサ4bは負の符号を有するガイド偏差を出力し始める。制御部5は、ガイドセンサ4bが出力するガイド偏差を0になるよう後輪転舵部31bに指示する転舵角度をフィードバック制御し、後輪3bは右回転方向に転舵される。
【0043】
ガイドセンサ4aが磁気テープ10の左カーブ部分を通過し、直線部分に差し掛かるにつれ、前輪3aは中立位置に転舵が戻される。同様にガイドセンサ4bが磁気テープ10の左カーブ部分を通過して直線部分に差し掛かるにつれ、後輪3bは中立位置に転舵が戻されて左旋回を完了する。図5に示す如く左旋回する搬送車の前輪3a、後輪3bは、磁気テープ10の中央線L10に対して旋回半径方向の内側を走行する内回り走行となり、外回り走行時の曲率半径R1よりも小さな曲率半径R2を有する走行軌跡L11を描く。
【0044】
制御部5は、前進時に左旋回する場合に内回り走行と判定する。そして、走行方向前側のガイドセンサ4aが出力するガイド偏差に乗じるゲインを外回り走行時よりも大きな内回りゲインに設定して前輪転舵部31aに指示する転舵角度に対するフィードバック制御量を多くする。前進時に内回り走行する場合、走行方向前側に位置する前輪3aのゲインを増加させることにより、搬送車が内回り走行時に磁気テープ10から逸脱することを防止することが可能となる。
【0045】
図6は、後退時の搬送車の内回り走行を説明するための説明図である。図6中白抜矢印は、搬送車の後方を示し、搬送車が後退している場合には走行方向となる。搬送車の後退時には、前輪3a及び後輪3bは、磁気テープ10に対して走行方向左側に位置する。制御部5は、後退時にはガイドセンサ4bが出力するガイド偏差の符号が正であることにより、搬送車が磁気テープ10に沿って右旋回が行われると判定する。制御部5は、ガイドセンサ4bのガイド偏差が0になるよう後輪転舵部31bをフィードバック制御することで、後輪3bが右回転方向に転舵され搬送車は右旋回を始める。また、搬送車が右旋回して走行するにつれ、ガイドセンサ4aは正の値を有するガイド偏差を出力し始める。
【0046】
制御部5は、ガイドセンサ4aが出力するガイド偏差が0になるよう前輪転舵部31aに指示する転舵角度をフィードバック制御することで、前輪3aは左回転方向に転舵される。ガイドセンサ4bが磁気テープ10の右カーブ部分を通過し、直線部分に差し掛かるにつれ後輪3bは中立位置に転舵が戻される。同様にガイドセンサ4aが磁気テープ10の右カーブ部分を通過し、直線部分に差し掛かるにつれ前輪3aが中立位置に転舵が戻されて右旋回を完了する。図6に示す如く後退時には、搬送車が右旋回する場合に内回り走行となる。搬送車が後退時に左旋回し、外回り走行となる場合も同様の制御であるため説明を省略する。
【0047】
制御部5は、後退時に右旋回する場合に内回り走行と判定する。そして、走行方向前側のガイドセンサ4bが出力するガイド偏差に乗じるゲインを外回り走行時よりも大きな内回りゲインに設定して後輪転舵部31bに指示する転舵角度の制御量を増大させる。後退時に内回り走行する場合、走行方向前側に位置する後輪3bのゲインを増大させることにより、後退時であっても搬送車が内回り走行する場合に磁気テープ10から逸脱することを防止することが可能となる。
【0048】
制御部5が前輪3a、後輪3bをガイドセンサ4a、4bの右側に備える他の台車に取り付けられる場合、切替部54が右側に対応するスイッチ位置に切替えられる。制御部5は、切替部54のスイッチ位置を検出して前輪3a、後輪3bの配置を取得する。他の台車に取り付けられた制御部5は、前進時に搬送車が右旋回する場合、及び後退時に搬送車が左旋回する場合に内回り走行と判定する。そして、同様に内回り走行の場合に外回りゲインよりも大きなゲイン値を有する内回りゲインを設定する。
【0049】
図7は、ゲイン設定処理の手順を示すフローチャートである。ゲイン設定処理は、搬送車が走行している場合、CPU50により実行される。CPU50は、ガイドセンサ4a、4b夫々が検出する位置偏差を用いてガイド偏差を算出する(ステップS11)。CPU50は、速度検出部33bにより走行速度を検出する(ステップS12)。CPU50は、検出した走行速度に基づいて搬送車が走行を停止したか否かを判定する(ステップS13)。
【0050】
CPU50は、走行を停止していないと判定した場合(ステップS13でNO)、ガイド偏差が所定量以上であるか否かを判定する(ステップS14)。CPU50は、ガイド偏差が所定量以上でないと判定した場合(ステップS14でNO)、誘導線に沿って搬送車が略直進しているとして直進ゲインを前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bに対して設定し(ステップS15)、ステップS11に処理を戻す。CPU50は、ステップS14でガイド偏差が所定量以上であると判定した場合(ステップS14でYES)、走行速度が低速度として予め設定してある速度未満であるかを判定することにより、走行速度が低速であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0051】
CPU50は、低速であると判定した場合(ステップS16でYES)、前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bに対して低速ゲインを設定して(ステップS17)、ステップS11に処理を戻す。CPU50は、ステップS16で低速でないと判定した場合(ステップS16でNO)、走行速度が高速度として予め設定してある速度以上であるか否かを判定することにより、走行速度が高速であるか否かを判定する(ステップS18)。CPU50は、高速であると判定した場合(ステップS18でYES)、前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bに対して高速ゲインを設定して(ステップS19)、ステップS11に処理を戻す。
【0052】
CPU50は、ステップS18で走行速度が高速でないと判定した場合(ステップS18でNO)、前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bに対して外回りゲインを設定する(ステップS20)。CPU50は、外回り走行及び内回り走行に応じてゲインを変更する後述の旋回制御処理を実行し(ステップS21)、ステップS11に処理を戻す。CPU50は、ステップS13で走行を停止したと判定した場合(ステップS13でYES)、ゲイン設定処理を終了する。
【0053】
図8は、旋回制御処理の手順を示すフローチャートである。旋回制御処理は、図7に示したゲイン設定処理のステップS21で、CPU50により実行される。CPU50は、方向検出部34bにより走行方向を検出して(ステップS31)、前進方向であるか否かを判定する(ステップS32)。CPU50は、前進方向であると判定した場合(ステップS32でYES)、ガイド偏差が負であるか否かを判定することにより、搬送車が左旋回しているか否かを判定する(ステップS33)。
【0054】
CPU50は、左旋回していると判定した場合(ステップS33でYES)、切替部54のスイッチ位置を検出することにより、ガイドセンサ4a及びガイドセンサ4b夫々が搬送車の前方に向かって左側に配置してあるか否かを判定する(ステップS34)。CPU50は、左側に配置してあると判定した場合(ステップS34でYES)、内回り走行であるとして前輪転舵部31aに設定してあるゲインを内回りゲインに変更して(ステップS35)、旋回制御処理を終了する。CPU50は、左側に配置していないと判定した場合(ステップS34でNO)、外回り走行であるとして前輪転舵部31aに設定してあるゲインを変更することなく旋回制御処理を終了する。
【0055】
CPU50は、ステップS33で左旋回でない、すなわち右旋回であると判定した場合(ステップS33でNO)、切替部54のスイッチ位置を検出することにより、ガイドセンサ4a及びガイドセンサ4b夫々が搬送車の前方に向かって右側に配置してあるか否かを判定する(ステップS36)。CPU50は、右側に配置してあると判定した場合(ステップS36でYES)、内回り走行であるとして前輪転舵部31aに設定してあるゲインを内回りゲインに変更するステップS35に処理を移す。CPU50は、右側に配置していないと判定した場合(ステップS36でNO)、外回り走行であるとして前輪転舵部31aに設定してあるゲインを変更することなく旋回制御処理を終了する。
【0056】
CPU50は、ステップS32で前進方向でない、すなわち後退方向であると判定した場合(ステップS32でNO)、ガイド偏差が負の符号を有するか否かを判定することにより、搬送車が右旋回しているか否かを判定する(ステップS37)。CPU50は、右旋回していると判定した場合(ステップS37でYES)、切替部54のスイッチ位置を検出することにより、ガイドセンサ4a及びガイドセンサ4b夫々が搬送車の前方に向かって左側に配置してあるか否かを判定する(ステップS38)。CPU50は、左側に配置してあると判定した場合(ステップS38でYES)、内回り走行であるとして後輪転舵部31bに設定してあるゲインを内回りゲインに変更し(ステップS39)、旋回制御処理を終了する。CPU50は、左側に配置していないと判定した場合(ステップS38でNO)、外回り走行であるとして後輪転舵部31bに設定してあるゲインを変更することなく旋回制御処理を終了する。
【0057】
CPU50は、ステップS37で右旋回でない、すなわち左旋回であると判定した場合(ステップS37でNO)、切替部54のスイッチ位置を検出することにより、ガイドセンサ4a及びガイドセンサ4b夫々が搬送車の前方に向かって右側に配置してあるか否かを判定する(ステップS40)。CPU50は、右側に配置してあると判定した場合(ステップS40でYES)、内回り走行であるとして後輪転舵部31bに設定してあるゲインを内回りゲインに変更するステップS39に処理を移す。CPU50は、右側に配置していないと判定した場合(ステップS40でNO)、外回り走行であるとして後輪転舵部31bに設定してあるゲインを変更することなく旋回制御処理を終了する。
【0058】
制御部5は、ガイド偏差にゲインを乗じて制御量を求める場合を示したが、これに限るものではなく、例えばガイド偏差を二乗して制御量を求めてもよい。この場合、ガイド偏差の増大に対して、より大きな制御量が設定されて前輪3a及び後輪3b夫々が大きく転舵され、搬送車が誘導線に向かって素早く移動することが可能となる。また、制御部5は、ガイド偏差に応じて前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bの各転舵角度をPID制御することで、各転舵角度の制御量を求めてもよい。この場合、ガイド偏差を0にすべく前輪3a、後輪3b夫々を転舵して搬送車が誘導線に向かって移動する際に、過大な制御量により誘導線を交差して誘導線から逸脱するオーバーシュートを抑制することが可能となる。また、搬送車が誘導線の右側及び左側を周期的に移動するハンチングを抑制することが可能となる。制御部5は、PID制御の代わりにPI制御してもよい。
【0059】
CPU50は、速度検出部33b及び方向検出部34b夫々から走行速度及び回転方向を受付ける場合を示したが、これに限るものではない。例えば、CPU50は、後輪駆動部32bが内蔵するインクリメンタルエンコーダが出力するパルス信号を受付けても良い。この場合、CPU50は、単位時間当たりのパルス信号をカウントすることにより、搬送車の走行速度を検出し、速度検出部33bとして機能する。また、CPU50は、異なるパルス信号夫々の立ち上がりを比較することにより、回転方向を検出し、方向検出部34bとして機能する。
【0060】
前輪転舵部31a及び後輪転舵部31bは、所定角度毎のパルス信号を出力するインクリメンタルエンコーダを備える場合を示したが、これに限るものではない。例えば、絶対位置信号を出力するアブソリュートエンコーダであってもよい。また、エンコーダに限るものではなく、回転角度により抵抗値が変化するポテンショメータを備えてもよい。この場合、ポテンショメータに電流源を接続し、ポテンショメータによる降下電圧の変化を検出し、転舵角度を検出するとよい。
【0061】
図9は、ゲイン表511のレコードレイアウトの他の例を示す図表である。1種類の直進ゲインを設定したゲイン表511の例を示したが、複数種類の直進ゲインを設定してもよい。図9に示す例では、速度検出部33bが出力する走行速度が15m/min未満である低速直進走行時に、ゲイン値10の第1直進ゲインが設定される。走行速度が15m/min以上51m/min未満の中速直進走行時には、第1直進ゲインよりも小さなゲイン値9の第2直進ゲインが設定される。走行速度に応じて複数種類の直進ゲインを設定することで、過大な制御量による中速直進時の誘導線からの逸脱を防ぐことが可能となる。また、速度検出部33bが出力する走行速度が51m/min以上の高速直進走行時に、ゲイン値1を有する高速ゲインを設定するとよい。
【0062】
図10は、前輪3a及び後輪3bの他の配置例を説明するための搬送車のハードウェア各部を示す模式的平面図である。前輪3a、後輪3bは、ガイドセンサ4a、4bの台車1の前方に向かって左側又は右側に配置する場合を示したが、これに限るものではない。例えば、図10に示す如く前輪3a、後輪3bを台車1の対角線上に配置することで、前輪3a、後輪3b夫々をガイドセンサ4a、4bの左側及び右側に各配置してもよい。この場合、制御部5は、前輪3a及び後輪3b夫々に対して内回り走行及び外回り走行のいずれであるかを判定する。
【0063】
制御部5は、前進時に搬送車が右旋回する場合、前輪3a及び後輪3b夫々が外回り走行及び内回り走行であると判定する。また、同様に制御部5は、前進時に搬送車が左旋回する場合、前輪3a及び後輪3b夫々が内回り走行及び外回り走行であると判定する。そして、内回り走行の場合に外回りゲインよりも大きなゲイン値を有する内回りゲインを設定する。
【0064】
本実施の形態1では、複数の転舵車輪として機能する2つの前輪3a及び後輪3bを備える場合を示したが、これに限るものではなく一つの転舵車輪を備えていてもよい。この場合、台車1に設けられた一つのガイドセンサが出力するガイド偏差にゲインを乗じて転舵車輪の転舵角度に対するフィードバック制御量を求めて転舵を制御するとよい。また、転舵車輪としての前輪3a及び後輪3bが駆動輪としても機能する場合を示したが、台車1に駆動輪を別に設けてもよい。
【0065】
後輪駆動部32bが速度検出部33bを備える場合を示したが、これに限るものではなく前輪駆動部32aが速度検出部を備えていてもよい。また、前輪駆動部32a及び後輪駆動部32b夫々が速度検出部を備えていてもよい。この場合、前輪駆動部32aに設定するゲインの決定には、前輪駆動部32aが備える速度検出部により検出した走行速度を用いるとよい。
【0066】
切替部54のスイッチ位置により前輪3a、後輪3bがガイドセンサ4a、4bの左側又は右側のいずれに配置してあるかを設定する場合を示したが、これに限るものではない。例えば、ROM51に制御部5が取り付けられる台車の前輪3a、後輪3bの配置を記憶しておいてもよい。この場合、制御部5で実行されるプログラム510は、ROM51から配置を読み出して取得する。また、搬送車の設計時に前輪3a、後輪3bの配置を決定し、当該配置に基づいて内回り走行及び外回り走行の判定を行うプログラム510をROM51に記憶させてもよい。この場合、切替部54を省略することが可能となる。
【0067】
左旋回及び右旋回のいずれにあるかをガイド偏差に基づいて判定する場合を示したが、これに限るものではなく、前輪転舵部31a又は後輪転舵部31bに指示する転舵角度の時間変化に基づいて判定してもよい。この場合、走行方向前側に位置する前輪転舵部31a又は後輪転舵部31bに指示している転舵角度が走行方向の右側又は左側に所定角度以上を示した場合に右旋回又は左旋回と判定するとよい。また、台車1にジャイロスコープを備えることにより、台車1の走行方向の変化を検知して判定してもよい。
【0068】
実施の形態2
本実施の形態2は、実施の形態1がROM51に記憶してあるプログラム510を読み出して実行するのに対し、記録媒体に記録してあるプログラムを読み出して実行するようにしてある。図11は、実施の形態2に係る制御部の内部ハードウェア及び制御部に接続されるハードウェアを示すブロック図である。制御部6は、EEPROM( Electrically Erasable Read-Only Memory )65と、記録媒体読込部66とを備える。制御部6の他のハードウェアは、実施の形態1の制御部5と同様であり、符号の相違を記載するに留め、詳細な説明を省略する。
【0069】
制御部6は、CPU60と、ゲイン表611が記憶してあるROM61と、RAM62と、インターフェース部63と、切替部64とを備える。CPU60は、記録媒体660に記憶してあるプログラム510を記録媒体読込部66により読み出してEEPROM65に記憶する。そして、CPU60は、EEPROM65に記憶してあるプログラム510をRAM62に読み出して実行することにより、バス60aを介してハードウェア各部を制御する。CPU60は、プログラム510を実行することにより、搬送車が旋回時に内回り走行及び外回り走行のいずれにあるかを判定する(内外判定ステップ)。そして、CPU60は、判定結果に応じて転舵角度の制御量を変更する(変更ステップ)。
【0070】
本実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので対応する部分には同一の符号及び処理名を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0071】
1 台車
2 車輪
3a 前輪(転舵車輪)
3b 後輪(転舵車輪)
4a、4b ガイドセンサ(偏差検出部)
5、6 制御部
10 磁気テープ(誘導線)
31a 前輪転舵部
31b 後輪転舵部
32a 前輪駆動部
32b 後輪駆動部
33b 速度検出部
34b 方向検出部(方向判定部)
50、60 CPU(制御部、内外判定部、旋回判定部、位置判定部)
50a、60a バス
51、61 ROM
52、62 RAM
53、63 インターフェース部
54、64 切替部
510 プログラム
511、611 ゲイン(係数)表
65 EEPROM
66 記録媒体読込部
660 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に設定してある誘導線に対する位置偏差を検出する偏差検出部を備え、前記誘導線に沿って搬送すべく前記位置偏差に基づいて転舵車輪を転舵する搬送車において、
前記偏差検出部により検出した位置偏差に基づいて求めた制御量を用いて前記転舵車輪の転舵角度を制御する制御部と、
前記誘導線に沿って旋回する場合、前記誘導線に対して前記転舵車輪が旋回半径方向の内側及び外側のいずれに位置するかを判定する内外判定部と
を備え、
前記制御部は、前記内外判定部による判定結果に応じて前記制御量を変更するようにしてある搬送車。
【請求項2】
走行方向が前進方向及び後退方向のいずれであるかを判定する方向判定部と、
該方向判定部による判定結果及び前記偏差検出部により検出した位置偏差に基づいて左旋回及び右旋回のいずれであるかを判定する旋回判定部と、
前記転舵車輪が前記誘導線に対して走行方向の左側又は右側のいずれに位置するかを判定する位置判定部と
を備え、
前記内外判定部は、前記位置判定部により前記転舵車輪が走行方向の左側(右側)に位置すると判定した状態で前記旋回判定部により左旋回(右旋回)と判定した場合、前記転舵車輪が内側(外側)に位置すると判定するようにしてある請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記制御部は、前記内外判定部により前記転舵車輪が内側に位置すると判定した場合、前記内外判定部により前記転舵車輪が外側に位置すると判定した場合で転舵角度の制御に用いる制御量よりも大なる制御量に変更するようにしてある請求項1又は請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
速度を検出する速度検出部を備え、
前記制御部は、前記速度検出部により検出した速度に基づいて前記制御量を変更するようにしてある
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項5】
前記偏差検出部は、略直下に位置する誘導線に対する位置偏差を検出するようにしてあり、
前記転舵車輪は、前記偏差検出部に対して走行方向の左側又は右側に配置してある
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項6】
前記転舵車輪は、走行方向に沿って複数配置してあり、
前記制御部は、複数の転舵車輪夫々の転舵角度を制御し、前記内外判定部による判定結果に応じて走行方向前側に配置してある転舵車輪の制御に用いられる制御量を変更するようにしてある請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項7】
前記制御部は、前記位置偏差に基づいてPID制御し、前記制御量を求めるようにしてある請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項8】
前記制御部は、前記位置偏差に係数を乗じて制御量を求め、該制御量を変更すべく前記係数を変更するようにしてある請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項9】
誘導線に対する位置偏差に基づいて求めた制御量を用いて転舵車輪を制御し、前記誘導線に沿って走行する搬送車が備えるコンピュータに、前記制御量を変更させるプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記誘導線に沿って旋回する場合、前記誘導線に対して前記転舵車輪が旋回半径方向内側及び外側のいずれに位置するかを判定する内外判定ステップと、
該内外判定ステップによる判定結果に応じて前記制御量を変更する変更ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−123822(P2011−123822A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283072(P2009−283072)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】