携帯型情報端末
【課題】筐体の裏面側から放射される電波のユーザへの影響を軽減する。
【解決手段】実施形態に係る携帯型情報端末は、表面部に表示ユニットが配置された筐体と、この筐体の側面部から裏面部にかけて配置されたアンテナユニットと、上記筐体の姿勢を検出する第1のセンサと、コントローラとを具備する。そして、このコントローラにより、上記第1のセンサの検出結果をもとに上記筐体の姿勢が水平状態又は所定の角度内でそれに近い状態にあると判定した場合に、上記アンテナユニットの送信電力を抑制するようにしたものである。
【解決手段】実施形態に係る携帯型情報端末は、表面部に表示ユニットが配置された筐体と、この筐体の側面部から裏面部にかけて配置されたアンテナユニットと、上記筐体の姿勢を検出する第1のセンサと、コントローラとを具備する。そして、このコントローラにより、上記第1のセンサの検出結果をもとに上記筐体の姿勢が水平状態又は所定の角度内でそれに近い状態にあると判定した場合に、上記アンテナユニットの送信電力を抑制するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、電波を放射するアンテナを備えた携帯型情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の情報端末として、表示部にタブレットを採用したタブレット型の端末や、タブレットを有するディスプレイユニットがヒンジを介して本体に回動可能に取り付けられたノート型のパーソナル・コンピュータが普及しつつある。この種の端末は、無線モジュールとアンテナを備え、これらを使用してWebサイト等からコンテンツや各種データをダウンロードできるようになっている。なお、無線ネットワークとしては、セルラ移動通信網や無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)、Bluetooth(登録商標)等が利用される。
【0003】
ところで、この種の端末を使用する場合、アンテナがユーザの体(腹部、胸部、腕など)に接近する状況が生じる場合がある。わが国においては、総務省令・無線設備規則により、人体が吸収する電磁波のエネルギーの度合いを表す物理量である比吸収率(SAR: Specific Absorption Rate)の上限値が定められており、これを遵守することが義務付けられている。
【0004】
そこで、例えば端末にユーザとの接近を検出するセンサを設けてこのセンサによりユーザへの接近が検出された場合に送信パワーを下げる技術や、複数のアンテナを筐体の異なる辺に配置し、あるアンテナがユーザと接近する向きに端末が配置された場合に、送信に使用するアンテナを別のアンテナに切り替える技術が提案されている(例えば特許文献1又は2を参照)。これらの技術を使用すると、アンテナが放射する電波のユーザへの影響を効果的に軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0305742号明細書
【特許文献2】特開2007−295393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの特許文献1又は特許文献2に記載された技術は、いずれもアンテナが筐体の側面部に配置されていることを前提に開発されている。しかし、アンテナの配置位置は筐体の側面に留まらず裏面、つまりタブレット型表示部が配置された面とは反対側となる面に配置されることもあり、このような場合にアンテナから放射される電波のユーザへの影響については考慮されていない。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、筐体の裏面側から放射される電波のユーザへの影響を軽減するようにした携帯型情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る携帯型情報端末は、表面部に表示ユニットが配置された筐体と、この筐体の側面部から裏面部にかけて配置されたアンテナユニットと、上記筐体の姿勢を検出する第1のセンサと、コントローラとを具備する。そして、このコントローラにより、上記第1のセンサの検出結果をもとに上記筐体の姿勢が水平状態又は所定の角度内でそれに近い状態にあると判定した場合に、上記アンテナユニットの送信電力を抑制するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図。
【図2】図1に示した携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図3】図2に示した携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図4】図1に示した携帯型情報端末の使用状態を示す図。
【図5】第2の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図。
【図6】図5に示した携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図7】第3の実施形態に係る携帯型情報端末の回路構成を示す機能ブロック図。
【図8】図7に示した携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図9】第4の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図10】図9に示した携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図11】他の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図12】別の実施形態に係る携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図13】さらに別の実施形態に係る携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図である。
この携帯型情報端末はタブレット型の端末からなり、板状をなす筐体1の一方の面(以後上面と称する)にタブレット型の表示ユニット2を配置している。このタブレット型の表示ユニット2は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイの表示面上に、ユーザのタッチ操作を検出するための静電シートを配置したものとなっている。
【0011】
また、筐体1の1つの辺には、その側面から下面(裏面又は底面とも呼ぶ)にかけてアンテナ3aが配置されている。アンテナ3aは、例えば折り返し型のアンテナエレメントを構成する導電パターンを印刷配線基板又は筐体1の内面に形成したもので、セルラ移動通信網や無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)、Bluetooth(登録商標)等で使用される無線信号を送受信する。
【0012】
さらに、筐体1内の例えば底面中央部には姿勢センサ4が配置されている。この姿勢センサ4は加速度センサからなり、空間上の3軸方向x,y,zの各々について筐体1に対し外部から与えられた加速度を検出するものである。
【0013】
図2は第1の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図、図3はアンテナ3aの回路構成図である。
携帯型情報端末は、回路ユニットとして、主制御ユニット10aと、センサインタフェース(センサI/F)11と、無線モジュール12と、切替信号生成回路13aとを備えている。
【0014】
センサI/F11は、姿勢センサ(以後加速度センサとも称する)4の検出信号を、ディジタル信号に変換して主制御ユニット10aに入力する。無線モジュール12は、ベースバンド処理部及び周波数変換部を有する。ベースバンド処理部は、送受信データの符号復号化処理と変復調処理等を行う。周波数変換部は、符号化及び変調処理された送信ベースバンド信号を無線チャネルに対応する無線信号に周波数変換すると共に、受信された無線信号を受信ベースバンド信号に周波数変換する。この周波数変換部には給電線32を介して上記アンテナ3aが接続される。
【0015】
主制御ユニット10aは、例えばマイクロコンピュータを有し、第1の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101及び放射抑制制御部102aを有している。これらの姿勢判定部101及び放射抑制制御部102aは、何れもプログラムをCPU(Central processing Unit)に実行させることにより実現される。
【0016】
姿勢判定部101は、上記加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータを上記センサI/F11から取り込み、この取り込んだデータをもとに筐体1の姿勢が水平状態又は所定傾斜角の範囲内でそれに近い状態にあるか否かを判定する処理を行う。
【0017】
放射抑制制御部102aは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定された場合に、アンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示を切替信号生成回路13aに与える機能を有する。
【0018】
切替信号生成回路13aは、上記切替制御指示に応じて後述する抵抗34を接続するか否かを切り替えるための切替信号SSを生成し、この切替信号SSをアンテナ3aに与える機能を有する。
【0019】
アンテナ3aは、図3に示すように、モノポール素子を途中で折り返して形成したアンテナエレメント31と、抵抗34と、切替スイッチ33とを備える。アンテナエレメント31の一端部は、給電線32を介して上記無線モジュール12に接続される。切替スイッチ33は、上記切替信号生成回路13aから出力される切替信号SSに従い動作するもので、上記アンテナエレメント31の他端部を上記抵抗34を介して接地端に接続する状態と、上記アンテナエレメント31の他端部を接地端に直接接続する状態とを切り替える。
【0020】
次に、以上のように構成された携帯型情報端末の動作を説明する。
主制御ユニット10aでは、端末の動作中に姿勢判定部101により、加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータがセンサI/F11から取り込まれ、この取り込んだデータをもとに筐体1の姿勢が監視される。
【0021】
この状態で、ユーザが例えば図4の(a)に示すように端末を膝の上に置いて操作を行うか、又は同図(b)又は(c)に示すように腕で抱えるように持って操作を行ったとする。これらの状態では、端末の姿勢は何れも水平状態か又はそれに近い状態になる。この水平状態又はそれに近い状態は、上記姿勢判定部101により検出される。
【0022】
上記状態が検出されると、放射抑制制御部102aにより以下のように無線信号の放射抑制制御が実行される。すなわち、先ず無線信号を送信中であるか否かが判定され、送信中であればアンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示が切替信号生成回路13aに与えられる。この切替制御指示を受け取ると切替信号生成回路13aからは切替信号SSが出力され、この切替信号SSにより切替スイッチ33が図3に示すように接地端側から抵抗34側に切り替わる。この結果、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34により熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される無線信号の電波の強度は何れも抑制される。
【0023】
以上詳述したように第1の実施形態では、加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータをもとに筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあるか否かを判定し、無線送信期間中に筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定された場合に、切替信号生成回路13aを介してアンテナ3aの切替スイッチ33に対し切替信号SSを与えることで、アンテナエレメント31を抵抗34を介して接地端に接続するようにしている。
【0024】
したがって、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34において熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される電波の強度は何れも抑制される。このため、例えば図4(a)〜(c)に示すように、筐体1のアンテナ3aが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。
【0025】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
筐体1内のアンテナ3aが配置された辺と同一の辺近傍の底部には、近接センサ5が配置されている。近接センサ5は、例えば静電容量センサからなり、筐体1の上記アンテナ3aが配置された辺の側面方向及び下面方向における人体の接近を検出する。
【0026】
図6は、第2の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。また、アンテナ3aの構成についても図3と同一なのでここでの説明は省略する。
近接センサ5から出力された近接検出信号は、加速度センサ4から出力された加速度検出信号と共にセンサI/F11によりディジタルデータに変換されたのち主制御ユニット10bに取り込まれる。
【0027】
主制御ユニット10bは、この第2の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101と、近接判定部103と、放射抑制制御部102bを備えている。
このうち近接判定部103は、上記近接センサ5から出力された近接検出信号のディジタルデータを上記センサI/F11から取り込む。そして、この取り込んだデータをもとに、筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近したか否かを判定する処理を行う。
【0028】
放射抑制制御部102bは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ上記近接判定部103により筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近した状態にあると判定された場合に、アンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示を切替信号生成回路13aに与える機能を有する。
【0029】
このような構成であるから、主制御ユニット10bでは、端末の動作中に姿勢判定部101により、加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータがセンサI/F11から取り込まれ、このデータをもとに筐体1の姿勢が監視される。またそれと共に、近接センサ5から出力された近接検出信号のディジタルデータも上記センサI/F11から取り込まれ、このデータをもとに筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対する人体の接近が監視される。
【0030】
この状態で、ユーザが例えば図4の(a)に示したように端末を膝の上に置いて操作を行うか、又は同図(b)又は(c)に示したように腕で抱えるように持って操作を行ったとする。これらの状態では、端末筐体1の姿勢は何れも水平状態か又はそれに近い状態になる。この水平状態又はそれに近い状態は、上記姿勢判定部101により検出される。またそれと共に、上記した何れの状態においても、筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態となる。この状態は上記近接判定部103により検出される。
【0031】
上記した水平状態又はそれに近い状態が検出され、かつ筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態が検出されると、放射抑制制御部102bでは無線信号の送信期間中にアンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示が生成され、当該制御指示が切替信号生成回路13aに与えられる。この切替制御指示を受け取ると切替信号生成回路13aからは切替信号SSが出力され、この切替信号SSにより切替スイッチ33が図3に示すように接地端側から抵抗34側に切り替わる。このため、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34により熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される無線信号の電波の強度は何れも抑制される。
【0032】
以上詳述したように第2の実施形態では、加速度センサ4の検出信号をもとに筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあるか否かを判定すると共に、近接センサ5の検出信号をもとに筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあるか否かを判定している。そして、無線送信期間中に、筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあると判定された場合に、切替信号生成回路13aを介してアンテナ3aの切替スイッチ33に対し切替信号SSを与えることで、アンテナエレメント31を抵抗34を介して接地端に接続するようにしている。
【0033】
したがって、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34により熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される電波の強度は何れも抑制される。このため、例えば図4(a)〜(c)に示すように、筐体1のアンテナ3aが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。
【0034】
また、筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあるか否かの判定結果に加え、筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあるか否かの判定結果を考慮して送信電波強度を制御している。このため、例えばユーザが端末をテーブルの上や鞄の上に水平に置いた状態で操作している場合には、ユーザへの送信電波の影響が少ないと見なされて、送信電波強度は抑制されない。したがって、十分な強度で無線信号を送信することができる。
【0035】
さらに、近接センサ5を筐体1のアンテナ3cが配置された辺と同一の辺に配置しているので、筐体1の底面に対するユーザの接近と、筐体1のアンテナ3cが配置された辺に対するユーザの接近を、1個の近接センサ5により検出できる利点がある。
【0036】
[第3の実施形態]
図7は第3の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図、図8はアンテナ3cの回路構成図である。なお、これらの図において前記図2、図3及び図6と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0037】
主制御ユニット10cは、この第3の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101と、近接判定部103と、無線チャネル判定部104と、放射抑制制御部102cを備えている。
【0038】
無線チャネル判定部104は、無線モジュール12から送信する無線信号の周波数チャネルを判定する機能を有する。
【0039】
放射抑制制御部102cは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により端末筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ上記近接判定部103により端末筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近した状態にあると判定された場合に、上記無線チャネル判定部104により判定された無線送信チャネルに応じて、当該無線送信チャネルに対するアンテナ3cの整合特性を低下させるための切替制御指示を切替信号生成回路13cに与える機能を有する。
【0040】
切替信号生成回路13cは、上記切替制御指示に応じて後述する集中定数素子の種類を切り替えるための切替信号SSを生成し、この切替信号SSをアンテナ3cに与える機能を有する。
【0041】
アンテナ3cは、図8に示すように、途中で折り返して形成されたアンテナエレメント31と、当該アンテナエレメント31の整合特性を決定する抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38からなる集中定数素子と、切替スイッチ35とを備える。切替スイッチ35は、上記切替信号生成回路13cから出力される切替信号SSに従い動作するもので、上記アンテナエレメント31の他端部と接地端との間に、上記抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38のいずれかを接続する。
【0042】
このような構成であるから、第2の実施形態で述べたように、端末の筐体1が水平状態又はそれに近い状態にあることが検出され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態が検出されたとする。そうすると、放射抑制制御部102cは無線チャネル判定部104により判定された無線送信チャネルに応じて、当該無線送信チャネルに対するアンテナ3cの整合特性を低下させるための切替制御指示を生成し、切替信号生成回路13cに与える。
【0043】
この結果、切替信号生成回路13cから集中定数素子を切り替えるための切替信号SSが出力されて切替スイッチ35に与えられ、これによりアンテナエレメント31に接続される集中定数素子が抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38のいずれかに切り替えられる。したがって、上記無線送信チャネルに対するアンテナエレメント31の整合特性、例えば電圧定在波比(VSWR)周波数特性が変化し、この結果上記無線送信チャネルによる送信電力は低く抑えられる。
【0044】
以上詳述したように第3の実施形態では、無線送信期間中に、端末の筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあると判定された場合に、無線チャネル判定部104により上記無線送信に使用しているチャネルを判定する。そして、その判定結果に応じて切替信号生成回路13cを介してアンテナ3cの切替スイッチ35に対し切替信号SSを与えることで、当該無線送信チャネルに対するアンテナエレメント31の整合特性を規定する集中定数素子を切り替えるようにしている。
【0045】
したがって、送信中の無線チャネルに対するアンテナ3cの整合特性が低下し、これにより上記無線送信チャネルによる送信電力は低く抑えられる。この結果、例えば図4(a)〜(c)に示すように、端末筐体1のアンテナ3cが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。また、集中定数素子はアンテナエレメント31の整合特性が最適な状態になるように元々設けられているものであり、この集中定数素子を故意に変更することでアンテナエレメント31の整合特性を低下させるようにしている。このため、無線モジュール12の送信電力制御系に変更等を加えることなく、送信電力を抑圧することが可能となる。
【0046】
[第4の実施形態]
図9は第4の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図、図10はアンテナ3cとその周辺部分の構成を示す図である。なお、これらの図において前記図7及び図8と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0047】
第4の実施形態に係る携帯型情報端末は、2個の無線モジュール12a,12bを備えている。これらの無線モジュール12a,12bは異なる無線システム、例えば無線LAN(WiFi)とWiMAX(登録商標)に対応するもので、アンテナスイッチ14により択一的にアンテナ3cに接続される。
【0048】
主制御ユニット10dは、この第4の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101と、近接判定部103と、無線モジュール判定部105と、放射抑制制御部102dを備えている。
【0049】
無線モジュール判定部105は、無線モジュール12a,12bのうちいずれの無線モジュールが使用中であるか、つまりアンテナ3cに接続されているかを、アンテナスイッチ14の切替状態をもとに判定する機能を有する。
【0050】
放射抑制制御部102dは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ上記近接判定部103により筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近した状態にあると判定された場合に、上記無線モジュール判定部105により使用中と判定された無線モジュール12a又は12bに応じて、当該無線モジュールが使用する無線帯域に対するアンテナ3dの整合特性を低下させるための切替制御指示を切替信号生成回路13cに与える機能を有する。
【0051】
このような構成であるから、第2の実施形態で述べたように、端末の筐体1が水平状態又はそれに近い状態にあることが検出され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態が検出されたとする。そうすると、放射抑制制御部102cは無線モジュール判定部105により判定された使用中の無線モジュール12a又は12bに応じて、当該無線モジュール12a又は12bが使用する無線帯域に対するアンテナ3cの整合特性を低下させるための切替制御指示を生成し、切替信号生成回路13cに与える。
【0052】
この結果、第3の実施形態と同様に、切替信号生成回路13cから集中定数素子を切り替えるための切替信号SSが出力されて切替スイッチ35に与えられ、これによりアンテナエレメント31に接続される集中定数素子が抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38のいずれかに切り替えられる。したがって、上記使用中の無線モジュール12a,12bが送信する無線帯域に対するアンテナエレメント31の整合特性、例えば電圧定在波比(VSWR)周波数特性が変化し、この結果上記無線帯域の送信電力は低く抑えられる。
【0053】
以上詳述したように第4の実施形態では、無線送信期間中に、端末の筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあると判定された場合に、無線モジュール判定部105により使用中の無線モジュールを判定する。そして、その判定結果に応じて、切替信号生成回路13cを介してアンテナ3cの切替スイッチ35に対し切替信号SSを与えることで、いま無線送信中の無線モジュールが使用する無線帯域に対するアンテナエレメント31の整合特性を規定する集中定数素子を切り替えるようにしている。
【0054】
したがって、無線モジュール12a又は12bにより送信中の無線帯域に対するアンテナ3cの整合特性が低下し、これにより上記無線帯域による送信電力は低く抑えられる。この結果、例えば図4(a)〜(c)に示すように、端末筐体1のアンテナ3cが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。また、集中定数素子はアンテナエレメント31の整合特性が最適な状態になるように元々設けられているものであり、この集中定数素子を故意に変更することでアンテナエレメント31の整合特性を低下させるようにしている。このため、無線モジュール12の送信電力制御系に変更等を加えることなく、送信電力を抑圧することが可能となる。
【0055】
[その他の実施形態]
前記第3及び第4の実施形態では、切替スイッチ35を用いて集中定数素子の種類を切り替えるようにしたが、例えば集中定数素子として可変抵抗、可変インダクタ又は可変容量型のキャパシタを用い、その値を可変制御するようにしてもよい。このようにすると切替信号生成回路13c及び切替スイッチ35を不要にすることができる。
【0056】
また、前記各実施形態では放射を抑制するための抵抗34又は集中定数素子36〜38と切替スイッチ33,35をアンテナ3a,3c内に設け、主制御ユニット10a〜10dから出力された切替指示に応じて切替信号生成回路13a,13cで切替信号SSを生成し、この切替信号SSにより上記アンテナ3a,3c内の切替スイッチ33,35を切替制御するようにした。しかしこれに限るものではなく、例えば図11に示すように主制御ユニット10aから無線モジュール12に対し切替指示を与え、無線モジュール12がこの切替指示に応じて無線送信電力を抑制するように構成してもよい。
【0057】
さらに、前記各実施形態では折り返し型のアンテナエレメント31の短絡端側に切替スイッチ33,35と抵抗又は集中定数素子36〜38を配置したが、これに限るものではない。例えば、図12に示すように先端開放型のアンテナエレメント41を用いた場合には、このアンテナエレメント41の給電端側に切替スイッチ42及び集中定数素子群43を配置するようにしてもよい。また図13に示すように逆F型のアンテナエレメント44を用いた場合には、短絡部側に切替スイッチ42及び集中定数素子群43を配置するようにしてもよい。なお、この集中定数素子群43は、抵抗、インダクタ及びキャパシタの少なくとも一つを含む。
【0058】
また、姿勢センサとしては、加速度センサ以外にジャイロセンサを用いてもよい。さらに近接センサとしては、静電センサ以外に赤外線センサ或いは光学センサを使用することが可能である。さらに、抵抗又は集中定数素子を選択してアンテナエレメントに接続するための選択器としては、半導体スイッチ等により構成される切替スイッチ以外にその他の切替手段を使用可能である。
【0059】
その他、端末筐体の形状、アンテナの種類とその構成及び筐体における配置位置、アンテナの送信電力を抑制する手段の構成と制御手順、姿勢センサ及び近接センサの種類と筐体内におけるその配置位置、無線システムの種類やその無線帯域、携帯型情報端末の種類や構成等についても、種々変形して実施可能である。
【0060】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…筐体、2…タブレット型表示部、3a,3c,3d…アンテナ、4…加速度センサ、5…近接センサ、10a,10b,10c,10d…主制御ユニット、11…センサインタフェース(センサI/F)、12a,12b…無線モジュール、13a,13c,13d…切替信号生成回路、14…アンテナスイッチ、31,41,44…アンテナエレメント、32…給電線、33,35,42…切替スイッチ、34,36…抵抗、37…インダクタ、38…キャパシタ、43…集中定数素子群、101…状態判定部、102a,102b,102c,102d…放射抑制制御部、103…近接判定部、104…無線チャネル判定部、105…無線モジュール判定部。
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、電波を放射するアンテナを備えた携帯型情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の情報端末として、表示部にタブレットを採用したタブレット型の端末や、タブレットを有するディスプレイユニットがヒンジを介して本体に回動可能に取り付けられたノート型のパーソナル・コンピュータが普及しつつある。この種の端末は、無線モジュールとアンテナを備え、これらを使用してWebサイト等からコンテンツや各種データをダウンロードできるようになっている。なお、無線ネットワークとしては、セルラ移動通信網や無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)、Bluetooth(登録商標)等が利用される。
【0003】
ところで、この種の端末を使用する場合、アンテナがユーザの体(腹部、胸部、腕など)に接近する状況が生じる場合がある。わが国においては、総務省令・無線設備規則により、人体が吸収する電磁波のエネルギーの度合いを表す物理量である比吸収率(SAR: Specific Absorption Rate)の上限値が定められており、これを遵守することが義務付けられている。
【0004】
そこで、例えば端末にユーザとの接近を検出するセンサを設けてこのセンサによりユーザへの接近が検出された場合に送信パワーを下げる技術や、複数のアンテナを筐体の異なる辺に配置し、あるアンテナがユーザと接近する向きに端末が配置された場合に、送信に使用するアンテナを別のアンテナに切り替える技術が提案されている(例えば特許文献1又は2を参照)。これらの技術を使用すると、アンテナが放射する電波のユーザへの影響を効果的に軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0305742号明細書
【特許文献2】特開2007−295393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの特許文献1又は特許文献2に記載された技術は、いずれもアンテナが筐体の側面部に配置されていることを前提に開発されている。しかし、アンテナの配置位置は筐体の側面に留まらず裏面、つまりタブレット型表示部が配置された面とは反対側となる面に配置されることもあり、このような場合にアンテナから放射される電波のユーザへの影響については考慮されていない。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、筐体の裏面側から放射される電波のユーザへの影響を軽減するようにした携帯型情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る携帯型情報端末は、表面部に表示ユニットが配置された筐体と、この筐体の側面部から裏面部にかけて配置されたアンテナユニットと、上記筐体の姿勢を検出する第1のセンサと、コントローラとを具備する。そして、このコントローラにより、上記第1のセンサの検出結果をもとに上記筐体の姿勢が水平状態又は所定の角度内でそれに近い状態にあると判定した場合に、上記アンテナユニットの送信電力を抑制するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図。
【図2】図1に示した携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図3】図2に示した携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図4】図1に示した携帯型情報端末の使用状態を示す図。
【図5】第2の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図。
【図6】図5に示した携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図7】第3の実施形態に係る携帯型情報端末の回路構成を示す機能ブロック図。
【図8】図7に示した携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図9】第4の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図10】図9に示した携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図11】他の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図。
【図12】別の実施形態に係る携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【図13】さらに別の実施形態に係る携帯型情報端末のアンテナの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図である。
この携帯型情報端末はタブレット型の端末からなり、板状をなす筐体1の一方の面(以後上面と称する)にタブレット型の表示ユニット2を配置している。このタブレット型の表示ユニット2は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイの表示面上に、ユーザのタッチ操作を検出するための静電シートを配置したものとなっている。
【0011】
また、筐体1の1つの辺には、その側面から下面(裏面又は底面とも呼ぶ)にかけてアンテナ3aが配置されている。アンテナ3aは、例えば折り返し型のアンテナエレメントを構成する導電パターンを印刷配線基板又は筐体1の内面に形成したもので、セルラ移動通信網や無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)、Bluetooth(登録商標)等で使用される無線信号を送受信する。
【0012】
さらに、筐体1内の例えば底面中央部には姿勢センサ4が配置されている。この姿勢センサ4は加速度センサからなり、空間上の3軸方向x,y,zの各々について筐体1に対し外部から与えられた加速度を検出するものである。
【0013】
図2は第1の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図、図3はアンテナ3aの回路構成図である。
携帯型情報端末は、回路ユニットとして、主制御ユニット10aと、センサインタフェース(センサI/F)11と、無線モジュール12と、切替信号生成回路13aとを備えている。
【0014】
センサI/F11は、姿勢センサ(以後加速度センサとも称する)4の検出信号を、ディジタル信号に変換して主制御ユニット10aに入力する。無線モジュール12は、ベースバンド処理部及び周波数変換部を有する。ベースバンド処理部は、送受信データの符号復号化処理と変復調処理等を行う。周波数変換部は、符号化及び変調処理された送信ベースバンド信号を無線チャネルに対応する無線信号に周波数変換すると共に、受信された無線信号を受信ベースバンド信号に周波数変換する。この周波数変換部には給電線32を介して上記アンテナ3aが接続される。
【0015】
主制御ユニット10aは、例えばマイクロコンピュータを有し、第1の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101及び放射抑制制御部102aを有している。これらの姿勢判定部101及び放射抑制制御部102aは、何れもプログラムをCPU(Central processing Unit)に実行させることにより実現される。
【0016】
姿勢判定部101は、上記加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータを上記センサI/F11から取り込み、この取り込んだデータをもとに筐体1の姿勢が水平状態又は所定傾斜角の範囲内でそれに近い状態にあるか否かを判定する処理を行う。
【0017】
放射抑制制御部102aは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定された場合に、アンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示を切替信号生成回路13aに与える機能を有する。
【0018】
切替信号生成回路13aは、上記切替制御指示に応じて後述する抵抗34を接続するか否かを切り替えるための切替信号SSを生成し、この切替信号SSをアンテナ3aに与える機能を有する。
【0019】
アンテナ3aは、図3に示すように、モノポール素子を途中で折り返して形成したアンテナエレメント31と、抵抗34と、切替スイッチ33とを備える。アンテナエレメント31の一端部は、給電線32を介して上記無線モジュール12に接続される。切替スイッチ33は、上記切替信号生成回路13aから出力される切替信号SSに従い動作するもので、上記アンテナエレメント31の他端部を上記抵抗34を介して接地端に接続する状態と、上記アンテナエレメント31の他端部を接地端に直接接続する状態とを切り替える。
【0020】
次に、以上のように構成された携帯型情報端末の動作を説明する。
主制御ユニット10aでは、端末の動作中に姿勢判定部101により、加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータがセンサI/F11から取り込まれ、この取り込んだデータをもとに筐体1の姿勢が監視される。
【0021】
この状態で、ユーザが例えば図4の(a)に示すように端末を膝の上に置いて操作を行うか、又は同図(b)又は(c)に示すように腕で抱えるように持って操作を行ったとする。これらの状態では、端末の姿勢は何れも水平状態か又はそれに近い状態になる。この水平状態又はそれに近い状態は、上記姿勢判定部101により検出される。
【0022】
上記状態が検出されると、放射抑制制御部102aにより以下のように無線信号の放射抑制制御が実行される。すなわち、先ず無線信号を送信中であるか否かが判定され、送信中であればアンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示が切替信号生成回路13aに与えられる。この切替制御指示を受け取ると切替信号生成回路13aからは切替信号SSが出力され、この切替信号SSにより切替スイッチ33が図3に示すように接地端側から抵抗34側に切り替わる。この結果、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34により熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される無線信号の電波の強度は何れも抑制される。
【0023】
以上詳述したように第1の実施形態では、加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータをもとに筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあるか否かを判定し、無線送信期間中に筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定された場合に、切替信号生成回路13aを介してアンテナ3aの切替スイッチ33に対し切替信号SSを与えることで、アンテナエレメント31を抵抗34を介して接地端に接続するようにしている。
【0024】
したがって、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34において熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される電波の強度は何れも抑制される。このため、例えば図4(a)〜(c)に示すように、筐体1のアンテナ3aが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。
【0025】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る携帯型情報端末の外観を示す斜視図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
筐体1内のアンテナ3aが配置された辺と同一の辺近傍の底部には、近接センサ5が配置されている。近接センサ5は、例えば静電容量センサからなり、筐体1の上記アンテナ3aが配置された辺の側面方向及び下面方向における人体の接近を検出する。
【0026】
図6は、第2の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。また、アンテナ3aの構成についても図3と同一なのでここでの説明は省略する。
近接センサ5から出力された近接検出信号は、加速度センサ4から出力された加速度検出信号と共にセンサI/F11によりディジタルデータに変換されたのち主制御ユニット10bに取り込まれる。
【0027】
主制御ユニット10bは、この第2の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101と、近接判定部103と、放射抑制制御部102bを備えている。
このうち近接判定部103は、上記近接センサ5から出力された近接検出信号のディジタルデータを上記センサI/F11から取り込む。そして、この取り込んだデータをもとに、筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近したか否かを判定する処理を行う。
【0028】
放射抑制制御部102bは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ上記近接判定部103により筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近した状態にあると判定された場合に、アンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示を切替信号生成回路13aに与える機能を有する。
【0029】
このような構成であるから、主制御ユニット10bでは、端末の動作中に姿勢判定部101により、加速度センサ4により検出された3軸の加速度のディジタルデータがセンサI/F11から取り込まれ、このデータをもとに筐体1の姿勢が監視される。またそれと共に、近接センサ5から出力された近接検出信号のディジタルデータも上記センサI/F11から取り込まれ、このデータをもとに筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対する人体の接近が監視される。
【0030】
この状態で、ユーザが例えば図4の(a)に示したように端末を膝の上に置いて操作を行うか、又は同図(b)又は(c)に示したように腕で抱えるように持って操作を行ったとする。これらの状態では、端末筐体1の姿勢は何れも水平状態か又はそれに近い状態になる。この水平状態又はそれに近い状態は、上記姿勢判定部101により検出される。またそれと共に、上記した何れの状態においても、筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態となる。この状態は上記近接判定部103により検出される。
【0031】
上記した水平状態又はそれに近い状態が検出され、かつ筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態が検出されると、放射抑制制御部102bでは無線信号の送信期間中にアンテナ3aから送信される無線信号の送信電力を抑制するための切替制御指示が生成され、当該制御指示が切替信号生成回路13aに与えられる。この切替制御指示を受け取ると切替信号生成回路13aからは切替信号SSが出力され、この切替信号SSにより切替スイッチ33が図3に示すように接地端側から抵抗34側に切り替わる。このため、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34により熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される無線信号の電波の強度は何れも抑制される。
【0032】
以上詳述したように第2の実施形態では、加速度センサ4の検出信号をもとに筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあるか否かを判定すると共に、近接センサ5の検出信号をもとに筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあるか否かを判定している。そして、無線送信期間中に、筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあると判定された場合に、切替信号生成回路13aを介してアンテナ3aの切替スイッチ33に対し切替信号SSを与えることで、アンテナエレメント31を抵抗34を介して接地端に接続するようにしている。
【0033】
したがって、アンテナエレメント31の電流が抵抗34を流れるときにこの抵抗34により熱エネルギーに変わり、その結果アンテナエレメント31から筐体1の側面方向及び底面方向に放射される電波の強度は何れも抑制される。このため、例えば図4(a)〜(c)に示すように、筐体1のアンテナ3aが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。
【0034】
また、筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあるか否かの判定結果に加え、筐体1のアンテナ3aが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあるか否かの判定結果を考慮して送信電波強度を制御している。このため、例えばユーザが端末をテーブルの上や鞄の上に水平に置いた状態で操作している場合には、ユーザへの送信電波の影響が少ないと見なされて、送信電波強度は抑制されない。したがって、十分な強度で無線信号を送信することができる。
【0035】
さらに、近接センサ5を筐体1のアンテナ3cが配置された辺と同一の辺に配置しているので、筐体1の底面に対するユーザの接近と、筐体1のアンテナ3cが配置された辺に対するユーザの接近を、1個の近接センサ5により検出できる利点がある。
【0036】
[第3の実施形態]
図7は第3の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図、図8はアンテナ3cの回路構成図である。なお、これらの図において前記図2、図3及び図6と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0037】
主制御ユニット10cは、この第3の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101と、近接判定部103と、無線チャネル判定部104と、放射抑制制御部102cを備えている。
【0038】
無線チャネル判定部104は、無線モジュール12から送信する無線信号の周波数チャネルを判定する機能を有する。
【0039】
放射抑制制御部102cは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により端末筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ上記近接判定部103により端末筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近した状態にあると判定された場合に、上記無線チャネル判定部104により判定された無線送信チャネルに応じて、当該無線送信チャネルに対するアンテナ3cの整合特性を低下させるための切替制御指示を切替信号生成回路13cに与える機能を有する。
【0040】
切替信号生成回路13cは、上記切替制御指示に応じて後述する集中定数素子の種類を切り替えるための切替信号SSを生成し、この切替信号SSをアンテナ3cに与える機能を有する。
【0041】
アンテナ3cは、図8に示すように、途中で折り返して形成されたアンテナエレメント31と、当該アンテナエレメント31の整合特性を決定する抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38からなる集中定数素子と、切替スイッチ35とを備える。切替スイッチ35は、上記切替信号生成回路13cから出力される切替信号SSに従い動作するもので、上記アンテナエレメント31の他端部と接地端との間に、上記抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38のいずれかを接続する。
【0042】
このような構成であるから、第2の実施形態で述べたように、端末の筐体1が水平状態又はそれに近い状態にあることが検出され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態が検出されたとする。そうすると、放射抑制制御部102cは無線チャネル判定部104により判定された無線送信チャネルに応じて、当該無線送信チャネルに対するアンテナ3cの整合特性を低下させるための切替制御指示を生成し、切替信号生成回路13cに与える。
【0043】
この結果、切替信号生成回路13cから集中定数素子を切り替えるための切替信号SSが出力されて切替スイッチ35に与えられ、これによりアンテナエレメント31に接続される集中定数素子が抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38のいずれかに切り替えられる。したがって、上記無線送信チャネルに対するアンテナエレメント31の整合特性、例えば電圧定在波比(VSWR)周波数特性が変化し、この結果上記無線送信チャネルによる送信電力は低く抑えられる。
【0044】
以上詳述したように第3の実施形態では、無線送信期間中に、端末の筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあると判定された場合に、無線チャネル判定部104により上記無線送信に使用しているチャネルを判定する。そして、その判定結果に応じて切替信号生成回路13cを介してアンテナ3cの切替スイッチ35に対し切替信号SSを与えることで、当該無線送信チャネルに対するアンテナエレメント31の整合特性を規定する集中定数素子を切り替えるようにしている。
【0045】
したがって、送信中の無線チャネルに対するアンテナ3cの整合特性が低下し、これにより上記無線送信チャネルによる送信電力は低く抑えられる。この結果、例えば図4(a)〜(c)に示すように、端末筐体1のアンテナ3cが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。また、集中定数素子はアンテナエレメント31の整合特性が最適な状態になるように元々設けられているものであり、この集中定数素子を故意に変更することでアンテナエレメント31の整合特性を低下させるようにしている。このため、無線モジュール12の送信電力制御系に変更等を加えることなく、送信電力を抑圧することが可能となる。
【0046】
[第4の実施形態]
図9は第4の実施形態に係る携帯型情報端末の機能ブロック図、図10はアンテナ3cとその周辺部分の構成を示す図である。なお、これらの図において前記図7及び図8と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0047】
第4の実施形態に係る携帯型情報端末は、2個の無線モジュール12a,12bを備えている。これらの無線モジュール12a,12bは異なる無線システム、例えば無線LAN(WiFi)とWiMAX(登録商標)に対応するもので、アンテナスイッチ14により択一的にアンテナ3cに接続される。
【0048】
主制御ユニット10dは、この第4の実施形態を実施するために必要な制御機能として、姿勢判定部101と、近接判定部103と、無線モジュール判定部105と、放射抑制制御部102dを備えている。
【0049】
無線モジュール判定部105は、無線モジュール12a,12bのうちいずれの無線モジュールが使用中であるか、つまりアンテナ3cに接続されているかを、アンテナスイッチ14の切替状態をもとに判定する機能を有する。
【0050】
放射抑制制御部102dは、無線送信期間中に、上記姿勢判定部101により筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ上記近接判定部103により筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部に対し人体が予め定めた距離以内に接近した状態にあると判定された場合に、上記無線モジュール判定部105により使用中と判定された無線モジュール12a又は12bに応じて、当該無線モジュールが使用する無線帯域に対するアンテナ3dの整合特性を低下させるための切替制御指示を切替信号生成回路13cに与える機能を有する。
【0051】
このような構成であるから、第2の実施形態で述べたように、端末の筐体1が水平状態又はそれに近い状態にあることが検出され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態が検出されたとする。そうすると、放射抑制制御部102cは無線モジュール判定部105により判定された使用中の無線モジュール12a又は12bに応じて、当該無線モジュール12a又は12bが使用する無線帯域に対するアンテナ3cの整合特性を低下させるための切替制御指示を生成し、切替信号生成回路13cに与える。
【0052】
この結果、第3の実施形態と同様に、切替信号生成回路13cから集中定数素子を切り替えるための切替信号SSが出力されて切替スイッチ35に与えられ、これによりアンテナエレメント31に接続される集中定数素子が抵抗36、インダクタ37及びキャパシタ38のいずれかに切り替えられる。したがって、上記使用中の無線モジュール12a,12bが送信する無線帯域に対するアンテナエレメント31の整合特性、例えば電圧定在波比(VSWR)周波数特性が変化し、この結果上記無線帯域の送信電力は低く抑えられる。
【0053】
以上詳述したように第4の実施形態では、無線送信期間中に、端末の筐体1の姿勢が水平状態又はそれに近い状態にあると判定され、かつ筐体1のアンテナ3cが配置された辺の側面部又は底面部もしくはその両方に対しユーザが接触又は一定距離内で接近した状態にあると判定された場合に、無線モジュール判定部105により使用中の無線モジュールを判定する。そして、その判定結果に応じて、切替信号生成回路13cを介してアンテナ3cの切替スイッチ35に対し切替信号SSを与えることで、いま無線送信中の無線モジュールが使用する無線帯域に対するアンテナエレメント31の整合特性を規定する集中定数素子を切り替えるようにしている。
【0054】
したがって、無線モジュール12a又は12bにより送信中の無線帯域に対するアンテナ3cの整合特性が低下し、これにより上記無線帯域による送信電力は低く抑えられる。この結果、例えば図4(a)〜(c)に示すように、端末筐体1のアンテナ3cが配置された側面部及び底面部がユーザに接触或いは接近していたとしても、ユーザに対する送信電波の影響は低く抑えられる。また、集中定数素子はアンテナエレメント31の整合特性が最適な状態になるように元々設けられているものであり、この集中定数素子を故意に変更することでアンテナエレメント31の整合特性を低下させるようにしている。このため、無線モジュール12の送信電力制御系に変更等を加えることなく、送信電力を抑圧することが可能となる。
【0055】
[その他の実施形態]
前記第3及び第4の実施形態では、切替スイッチ35を用いて集中定数素子の種類を切り替えるようにしたが、例えば集中定数素子として可変抵抗、可変インダクタ又は可変容量型のキャパシタを用い、その値を可変制御するようにしてもよい。このようにすると切替信号生成回路13c及び切替スイッチ35を不要にすることができる。
【0056】
また、前記各実施形態では放射を抑制するための抵抗34又は集中定数素子36〜38と切替スイッチ33,35をアンテナ3a,3c内に設け、主制御ユニット10a〜10dから出力された切替指示に応じて切替信号生成回路13a,13cで切替信号SSを生成し、この切替信号SSにより上記アンテナ3a,3c内の切替スイッチ33,35を切替制御するようにした。しかしこれに限るものではなく、例えば図11に示すように主制御ユニット10aから無線モジュール12に対し切替指示を与え、無線モジュール12がこの切替指示に応じて無線送信電力を抑制するように構成してもよい。
【0057】
さらに、前記各実施形態では折り返し型のアンテナエレメント31の短絡端側に切替スイッチ33,35と抵抗又は集中定数素子36〜38を配置したが、これに限るものではない。例えば、図12に示すように先端開放型のアンテナエレメント41を用いた場合には、このアンテナエレメント41の給電端側に切替スイッチ42及び集中定数素子群43を配置するようにしてもよい。また図13に示すように逆F型のアンテナエレメント44を用いた場合には、短絡部側に切替スイッチ42及び集中定数素子群43を配置するようにしてもよい。なお、この集中定数素子群43は、抵抗、インダクタ及びキャパシタの少なくとも一つを含む。
【0058】
また、姿勢センサとしては、加速度センサ以外にジャイロセンサを用いてもよい。さらに近接センサとしては、静電センサ以外に赤外線センサ或いは光学センサを使用することが可能である。さらに、抵抗又は集中定数素子を選択してアンテナエレメントに接続するための選択器としては、半導体スイッチ等により構成される切替スイッチ以外にその他の切替手段を使用可能である。
【0059】
その他、端末筐体の形状、アンテナの種類とその構成及び筐体における配置位置、アンテナの送信電力を抑制する手段の構成と制御手順、姿勢センサ及び近接センサの種類と筐体内におけるその配置位置、無線システムの種類やその無線帯域、携帯型情報端末の種類や構成等についても、種々変形して実施可能である。
【0060】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…筐体、2…タブレット型表示部、3a,3c,3d…アンテナ、4…加速度センサ、5…近接センサ、10a,10b,10c,10d…主制御ユニット、11…センサインタフェース(センサI/F)、12a,12b…無線モジュール、13a,13c,13d…切替信号生成回路、14…アンテナスイッチ、31,41,44…アンテナエレメント、32…給電線、33,35,42…切替スイッチ、34,36…抵抗、37…インダクタ、38…キャパシタ、43…集中定数素子群、101…状態判定部、102a,102b,102c,102d…放射抑制制御部、103…近接判定部、104…無線チャネル判定部、105…無線モジュール判定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部に表示ユニットが配置された筐体と、
前記筐体の側面部から裏面部にかけて配置されたアンテナユニットと、
前記筐体の姿勢を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの検出結果をもとに、前記筐体の姿勢が水平状態又は所定の傾斜角の範囲内でそれに近い状態にあると判定した場合に、前記アンテナユニットの送信電力を抑制するコントローラと
を具備する携帯型情報端末。
【請求項2】
ユーザに対する前記筐体の裏面部の接近を検出する第2のセンサを、さらに具備し、
前記コントローラは、前記第1及び第2のセンサの検出結果をもとに、前記筐体の姿勢が水平状態又は所定の角度内でそれに近い状態にあり、かつ前記ユーザに対し前記筐体の裏面部が予め設定した距離内に接近したと判定した場合に、前記アンテナユニットの送信電力を抑制するものである請求項1記載の携帯型情報端末。
【請求項3】
前記第2のセンサは、前記筐体の前記アンテナが配置された面又は辺と同一の面又は辺に配置され、前記ユーザに対する、前記筐体の前記アンテナユニットが配置された裏面部及び側面部の接近を検出するものである請求項2記載の携帯型情報端末。
【請求項4】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、抵抗と、前記アンテナエレメントの第2の端部を接地端に直接接続するか或いは前記抵抗を介して接地端に接続するかを選択する第1の選択器とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記抵抗を介して接地端に接続させ、それ以外の場合には前記アンテナエレメントの第2の端部を前記接地端に直接接続させるように、前記第1の選択器を制御するものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項5】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、当該アンテナエレメントの整合特性を調整する集中定数素子とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるべく前記集中定数素子の値を変化させるものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項6】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、当該アンテナエレメントの整合特性を調整する集中定数素子とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットが送受信する無線チャネルを判定し、当該無線チャネルに対する前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるべく前記集中定数素子の値を変化させるものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項7】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、抵抗値の異なる複数の抵抗と、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記複数の抵抗のいずれかを介して接地端に接続させる第2の選択器とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットが送受信する無線チャネルを判定し、この判定された無線チャネルに対応する抵抗値を有する抵抗を前記複数の抵抗の中から選択して、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記選択された抵抗を介して接地端に接続するように、前記第2の選択器を制御するものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項8】
前記アンテナユニットは、異なる無線帯域を使用する複数の無線モジュールに対しアンテナスイッチを介して選択的に接続されるアンテナエレメントと、当該アンテナエレメントの整合特性を調整する集中定数素子とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットに対し前記複数の無線モジュールのうちどの無線モジュールが接続されているかを判定し、この判定結果をもとに当該無線モジュールが使用する無線帯域に対する前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるべく前記集中定数素子の値を変化させるものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項9】
前記アンテナユニットは、異なる無線帯域を使用する複数の無線モジュールに対しアンテナスイッチを介して選択的に接続されるアンテナエレメントと、抵抗値の異なる複数の抵抗と、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記複数の抵抗のいずれかを介して接地端に接続させる第3の選択器とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットに対し前記複数の無線モジュールのうちどの無線モジュールが接続されているかを判定し、この判定結果をもとに当該無線モジュールが使用する無線帯域に対応する抵抗値を有する抵抗を前記複数の抵抗の中から選択して、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記選択された抵抗を介して接地端に接続するように、前記第3の選択器を制御するものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項10】
前記アンテナユニットは、値の異なる複数の集中定数素子と、これらの集中定数素子を選択的に前記アンテナエレメントに接続させる第4の選択器を有し、
前記コントローラは、前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるための集中定数素子を前記複数の集中定数素子の中から選択し、この選択された集中定数素子を前記アンテナエレメントに接続させるべく前記第4の選択器を制御するものである請求項5、6又は8のいずれかに記載の携帯型情報端末。
【請求項1】
表面部に表示ユニットが配置された筐体と、
前記筐体の側面部から裏面部にかけて配置されたアンテナユニットと、
前記筐体の姿勢を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの検出結果をもとに、前記筐体の姿勢が水平状態又は所定の傾斜角の範囲内でそれに近い状態にあると判定した場合に、前記アンテナユニットの送信電力を抑制するコントローラと
を具備する携帯型情報端末。
【請求項2】
ユーザに対する前記筐体の裏面部の接近を検出する第2のセンサを、さらに具備し、
前記コントローラは、前記第1及び第2のセンサの検出結果をもとに、前記筐体の姿勢が水平状態又は所定の角度内でそれに近い状態にあり、かつ前記ユーザに対し前記筐体の裏面部が予め設定した距離内に接近したと判定した場合に、前記アンテナユニットの送信電力を抑制するものである請求項1記載の携帯型情報端末。
【請求項3】
前記第2のセンサは、前記筐体の前記アンテナが配置された面又は辺と同一の面又は辺に配置され、前記ユーザに対する、前記筐体の前記アンテナユニットが配置された裏面部及び側面部の接近を検出するものである請求項2記載の携帯型情報端末。
【請求項4】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、抵抗と、前記アンテナエレメントの第2の端部を接地端に直接接続するか或いは前記抵抗を介して接地端に接続するかを選択する第1の選択器とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記抵抗を介して接地端に接続させ、それ以外の場合には前記アンテナエレメントの第2の端部を前記接地端に直接接続させるように、前記第1の選択器を制御するものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項5】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、当該アンテナエレメントの整合特性を調整する集中定数素子とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるべく前記集中定数素子の値を変化させるものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項6】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、当該アンテナエレメントの整合特性を調整する集中定数素子とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットが送受信する無線チャネルを判定し、当該無線チャネルに対する前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるべく前記集中定数素子の値を変化させるものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項7】
前記アンテナユニットは、第1の端部が給電点に接続されるアンテナエレメントと、抵抗値の異なる複数の抵抗と、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記複数の抵抗のいずれかを介して接地端に接続させる第2の選択器とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットが送受信する無線チャネルを判定し、この判定された無線チャネルに対応する抵抗値を有する抵抗を前記複数の抵抗の中から選択して、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記選択された抵抗を介して接地端に接続するように、前記第2の選択器を制御するものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項8】
前記アンテナユニットは、異なる無線帯域を使用する複数の無線モジュールに対しアンテナスイッチを介して選択的に接続されるアンテナエレメントと、当該アンテナエレメントの整合特性を調整する集中定数素子とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットに対し前記複数の無線モジュールのうちどの無線モジュールが接続されているかを判定し、この判定結果をもとに当該無線モジュールが使用する無線帯域に対する前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるべく前記集中定数素子の値を変化させるものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項9】
前記アンテナユニットは、異なる無線帯域を使用する複数の無線モジュールに対しアンテナスイッチを介して選択的に接続されるアンテナエレメントと、抵抗値の異なる複数の抵抗と、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記複数の抵抗のいずれかを介して接地端に接続させる第3の選択器とを有し、
前記コントローラは、前記アンテナユニットの送信電力を抑制する際に、前記アンテナユニットに対し前記複数の無線モジュールのうちどの無線モジュールが接続されているかを判定し、この判定結果をもとに当該無線モジュールが使用する無線帯域に対応する抵抗値を有する抵抗を前記複数の抵抗の中から選択して、前記アンテナエレメントの第2の端部を前記選択された抵抗を介して接地端に接続するように、前記第3の選択器を制御するものである請求項1又は2記載の携帯型情報端末。
【請求項10】
前記アンテナユニットは、値の異なる複数の集中定数素子と、これらの集中定数素子を選択的に前記アンテナエレメントに接続させる第4の選択器を有し、
前記コントローラは、前記アンテナエレメントの整合特性を低下させるための集中定数素子を前記複数の集中定数素子の中から選択し、この選択された集中定数素子を前記アンテナエレメントに接続させるべく前記第4の選択器を制御するものである請求項5、6又は8のいずれかに記載の携帯型情報端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−115770(P2013−115770A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262864(P2011−262864)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【特許番号】特許第5148740号(P5148740)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【特許番号】特許第5148740号(P5148740)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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