説明

携帯型測定器およびその表示方法

【課題】 表示部の大きさを変えることなく、主測定信号と日時の読み取りを同時に行うことのできる携帯型測定器およびその表示方法を実現する。
【解決手段】 測定値などを表示する表示部と、測定動作の実行などを制御する操作部とを有し、前記表示部により測定の主な対象となる主測定信号の表示と、この主測定信号に関連する補助信号の表示と、日付や時間などを表す日時の表示とを行うようにした携帯型測定器において、前記主測定信号表示は常時表示させるとともに、前記補助信号表示と日時表示とを切り換えて表示させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH計や導電率計などのように、水質管理の現場において使用される携帯型測定器およびその表示方法に関するものである。
更に詳しくは、このような携帯型測定器において、pH値や導電率など、測定の主な対象となる主測定信号とともに、この主測定に影響を与える温度(水温)などの補助信号や、日時などを表示する表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の携帯型測定器においては、主測定信号の表示とともに、日時の表示機能を有してはいるが、主測定信号の表示画面と日時の表示画面とを切り換えて表示するものが多い。
【0003】
図7は、従来の携帯型測定器における表示画面の一例を示す構成図である。図は、pH計における表示部(表示画面)5を例示したもので、(a)は測定値の表示状態である。図において、51は主測定信号表示(pH値)、52は補助信号表示(温度)、53は単位表示である。
測定値の表示状態においては、主測定信号表示51とともに、補助信号表示52および単位表示53が表示され、随時、測定の主な対象となる主測定信号(pH値)が読み取られる。また、補助信号表示52により、この主測定に影響を与える温度(水温)などを同時に読み取ることができる。
【0004】
ここで、データの収集に際して、測定日時などを確認する場合には、表示画面が(b)の如き日時の表示状態に切り換えられる。図において、54は日付表示、55は時間表示である。
このように、表示画面を適宜切り換えることにより、測定値と日時とを読み取ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平05−249147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように主測定信号の表示画面と日時の表示画面とを切り換えてしまうと、日時の表示中には、主測定信号の値を知ることができなくなってしまう。
また、図8に示す如く、測定値の表示51、52と日時の表示56とを同じ画面中に表示させるようにしたものもあるが、携帯型測定器のように、表示部5の大きさに制約がある装置においては、表示する文字の大きさが小さくなってしまい、表示の読み取りに支障をきたしてしまうことになる。
【0007】
本発明は、上記のような従来装置の欠点をなくし、表示部の大きさを変えることなく、主測定信号と日時の読み取りとを同時に行うことのできる携帯型測定器およびその表示方法を実現することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1では、測定値などを表示する表示部と、測定動作の実行などを制御する操作部とを有し、前記表示部により測定の主な対象となる主測定信号の表示と、この主測定信号に関連する補助信号の表示と、日付や時間などを表す日時の表示とを行うようにした携帯型測定器において、前記主測定信号表示は常時表示させるとともに、前記補助信号表示と日時表示とを切り換えて表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項2では、請求項1の携帯型測定器において、前記日時表示は、日付表示および/または時間表示であることを特徴とする。
【0010】
請求項3では、請求項1または2の携帯型測定器において、前記表示の切換は、前記操作部における操作キーの操作により行われることを特徴とする。
【0011】
請求項4では、請求項3の携帯型測定器において、前記操作キーの操作に応じて、前記補助信号表示と日時表示とを順番に切り換えることを特徴とする。
【0012】
請求項5では、請求項1乃至4のいずれかの携帯型測定器において、前記表示部は、液晶表示器であること特徴とする。
【0013】
請求項6では、表示部により測定の主な対象となる主測定信号の表示と、この主測定信号に関連する補助信号の表示と、日付や時間などを表す日時の表示とを行うようにした携帯型測定器の表示方法において、前記主測定信号表示は常時表示させるとともに、前記補助信号表示と日時表示とを切り換えて表示させることを特徴とする。
【0014】
請求項7では、請求項6の携帯型測定器の表示方法において、前記日時表示は、日付表示および/または時間表示であることを特徴とする。
【0015】
請求項8では、請求項6または7の携帯型測定器の表示方法において、前記表示の切換は、操作信号に応じて行われることを特徴とする。
【0016】
請求項9では、請求項8の携帯型測定器の表示方法において、前記操作信号に応じて、前記補助信号表示と日時表示とを順番に切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように、主測定信号表示は常時表示させるとともに、補助信号表示と日時表示とを切り換えて表示させるようにすると、表示部の大きさを変えることなく、主測定信号と日時の読み取りを同時に行うことができる。
また、表示の切換を操作部における操作キーの操作により行い、この操作キーの操作に応じて、補助信号表示と日時表示とを順番に切り換えるようにすると、操作性に優れた携帯型測定器を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明の携帯型測定器およびその表示方法を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の携帯型測定器およびその表示方法の一実施例を示す構成図である。図において、1は測定器の本体、2は液晶表示器などよりなる表示部、3は操作キー31を有し、測定動作の実行などを制御する操作部、4はセンサ(図示せず)を取りつけるコネクタ部である。
図に示す携帯型測定器は、導電率計の場合を例示している。
【0020】
図2〜図4は、表示部2における表示画面の表示状態を示す図である。
図2は、補助信号の表示状態を示す図である。図において、20は電池残量表示、21は主測定信号表示(導電率)、22は補助信号表示(温度)、23は単位表示、24は補償情報表示である。導電率計の場合、溶液の導電率は温度(液温)により変化するので、主測定信号表示21は25℃に換算した値が表示される。このため、液温を示す補助信号表示22は重要な情報である。また、補償情報表示24は温度補償係数が塩化ナトリウム(NaCl)用に設定されていることを示している。
【0021】
図3は、日時の表示状態を示す図である。図において、前記図2と同様のものは同一符号を付して示す。25は日付表示であり、図示の例では、2004年2月12日を示している。
図に示されるように、日付の表示状態においては、前記図2における補助信号表示22の位置に日付表示25が表示されており、表示画面には、主測定信号表示21と日付表示25とが表示されている。
【0022】
図4は、日時の表示状態の他の例を示す図である。図において、前記図3と同様のものは同一符号を付して示す。26は時間表示であり、図示の例では、3時2分を示している。
図に示されるように、時間の表示状態においては、前記図3における日付表示25(補助信号表示22)の位置に時間表示26が表示されており、表示画面には、主測定信号表示21と時間表示26とが表示されている。
【0023】
したがって、補助信号の表示状態および日時の表示状態にかかわらず、主測定信号表示21は常に表示されていることになり、主測定信号の表示を途切れさせることなく、日時を読み取ることができる。
【0024】
また、補助信号の表示状態(図2)、日付の表示状態(図3)、時間の表示状態(図4)の切換は、操作キー31の操作により行われる。すなわち、操作キー31を押す毎に表示状態が順番に切り換わり、時間の表示状態(図4)からは再度補助信号の表示状態(図2)に移行する。
【0025】
このように、操作キー31の操作(操作信号)に応じて表示状態を切り換えるようにすれば、測定動作中においてもワンタッチで日時の確認を行うことができ、操作性に優れた携帯型測定器を実現することができる。
【0026】
なお、日時の表示に関しては、日付の表示状態(図3)と時間の表示状態(図4)とをともに表示しても良いし、どちらか片方のみを表示するように構成しても良い。また、日付と時間を結合した1つの表示とすることも可能である。
【実施例2】
【0027】
図5は、本発明の携帯型測定器をpH計とした場合の例を示す表示画面である。図は、表示部2における補助信号の表示状態を示す図である。図において、主測定信号表示21はpH値を示しており、単位表示23もpHとなっている。また、補助信号表示22は温度(液温)を示している。
なお、pH計においては、補償情報表示24は必要としない。
【0028】
図6は、表示部2における日時の表示状態の例を示す図である。図において、26は時間表示であり、図示の例では、3時2分を示している。
これらの表示状態の切換は、前記した場合と同様に、操作キー31の操作に応じて行われる。
【0029】
なお、上記説明においては、本発明の携帯型測定器を導電率計またはpH計とした場合を例示したが、主測定の主な対象はこれに限られるものではない。
また、表示部2として液晶表示器を使用した場合を例示したが、表示部2の構成はこれに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明の携帯型測定器およびその表示方法の一実施例を示す構成図。
【図2】図2は表示部2における補助信号の表示状態を示す図。
【図3】図3は表示部2における日時の表示状態を示す図。(日付表示)
【図4】図4は表示部2における日時の表示状態を示す図。(時間表示)
【図5】図5は本発明の携帯型測定器をpH計とした場合の例を示す表示画面。
【図6】図6は表示部2における日時の表示状態を示す図。(時間表示)
【図7】図7は従来の携帯型測定器における表示画面の一例を示す構成図。
【図8】図8は従来の携帯型測定器における表示画面の他の例を示す構成図。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 表示部
20 電池残量表示
21 主測定信号表示
22 補助信号表示
23 単位表示
24 補償情報表示
25 日付表示
26 時間表示
3 操作部
31 操作キー
4 コネクタ部
5 表示部
51 主測定信号表示
52 補助信号表示
53 単位表示
54 日付表示
55 時間表示
56 日時表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定値などを表示する表示部と、測定動作の実行などを制御する操作部とを有し、前記表示部により測定の主な対象となる主測定信号の表示と、この主測定信号に関連する補助信号の表示と、日付や時間などを表す日時の表示とを行うようにした携帯型測定器において、前記主測定信号表示は常時表示させるとともに、前記補助信号表示と日時表示とを切り換えて表示させることを特徴とする携帯型測定器。
【請求項2】
前記日時表示は、日付表示および/または時間表示であることを特徴とする請求項1に記載の携帯型測定器。
【請求項3】
前記表示の切換は、前記操作部における操作キーの操作により行われることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型測定器。
【請求項4】
前記操作キーの操作に応じて、前記補助信号表示と日時表示とを順番に切り換えることを特徴とする請求項3に記載の携帯型測定器。
【請求項5】
前記表示部は、液晶表示器であること特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯型測定器。
【請求項6】
表示部により測定の主な対象となる主測定信号の表示と、この主測定信号に関連する補助信号の表示と、日付や時間などを表す日時の表示とを行うようにした携帯型測定器の表示方法において、前記主測定信号表示は常時表示させるとともに、前記補助信号表示と日時表示とを切り換えて表示させることを特徴とする携帯型測定器の表示方法。
【請求項7】
前記日時表示は、日付表示および/または時間表示であることを特徴とする請求項6に記載の携帯型測定器の表示方法。
【請求項8】
前記表示の切換は、操作信号に応じて行われることを特徴とする請求項6または7に記載の携帯型測定器の表示方法。
【請求項9】
前記操作信号に応じて、前記補助信号表示と日時表示とを順番に切り換えることを特徴とする請求項8に記載の携帯型測定器の表示方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−10362(P2006−10362A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184342(P2004−184342)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】