説明

携帯情報端末、搭乗管理サーバ、搭乗管理システム、搭乗管理方法並びにコンピュータプログラムとその記録媒体

【課題】タグリーダによって検出できる範囲外に搭乗者が存在しても搭乗者を検出することができる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯端末装置20において、サーバ送受信部20dは、搭乗管理サーバ10から無線タグ30のタグIDと位置情報とを受信する。無線受信部20bは、無線タグ30から発信された無線信号を受信する。表示部20cは、サーバ送受信部20dによって受信されたタグIDと位置情報とを表示するとともに、無線受信部20bによって無線信号が受信された場合に、無線信号の電波強度値に基づく無線タグ30の位置情報と無線信号に含まれているタグIDとを画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、空港内の搭乗者の位置を検出して、搭乗者を搭乗ゲートに誘導するための携帯情報端末、搭乗管理サーバ、搭乗管理システム、搭乗管理方法並びにコンピュータプログラムとその記録媒体とその記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
空港において搭乗者が航空機に搭乗する場合、搭乗者は窓口で搭乗券の発券を受け、荷物を預けて航空機に搭乗するまでに、セキュリティチェックや出国審査などの窓口で様々な手続きを行なわなければならない。ところで、セキュリティチェックや出国審査などの手続きは一名ずつ行うため長い待ち行列ができ、搭乗者が航空機に搭乗しなければならない搭乗予定時刻を過ぎても搭乗者が搭乗ゲートに到着できない場合がある。そのような場合には、搭乗者の名前を場内アナウンスしたり、各窓口で職員が搭乗者の名前を呼んで探すということが一般的に行われている。
【0003】
ところで、場内アナウンスを行い、また職員が名前を呼んで探すといったことをしても、搭乗者が空港内のショッピングセンタなど予想外の場所にいた場合には、空港の職員が搭乗者を見つけることは非常に困難であるという問題があった。これらの問題を解決するため、これまでに、搭乗券の発行時に無線信号を発信する無線発信装置、即ち無線タグを搭乗者に携帯させたり、搭乗券自体に無線タグを付け、搭乗者の位置情報を検出して、上記のような場合に、搭乗者の位置を検出し、搭乗者を搭乗ゲートに誘導するための技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開2000−11055号公報
【特許文献2】特開2003−21533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている技術では、空港内に備え付けられた無線受信機、即ちタグリーダが搭乗者が携帯する無線タグから発信された無線信号を検出し、検出した情報に基づいて位置情報を検出しているが、実際の空港の建物には無線タグの電波が届き難いエリアが存在し、そのような場合に無線タグの無線信号を検出できないという課題に対する解決策は提案されていない。また、検出された位置情報は、固定的に設置された情報処理装置の表示装置によって表示されているだけであり、空港内の職員は、タグリーダで検出されたおおよその位置で搭乗者の名前を呼んで探さなければならないという課題は依然として存在している。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、タグリーダによって検出された位置からさらに狭い範囲で搭乗者の位置を特定することができ、またタグリーダによって検出できる範囲外に無線タグが存在しても当該無線タグの位置の検出を可能とする携帯情報端末、搭乗管理サーバ、搭乗管理システム、搭乗管理方法並びにコンピュータプログラムとその記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける携帯情報端末であって、前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信するサーバ送受信手段と、前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する無線信号受信手段と、前記サーバ送受信手段によって受信された前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示し、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする携帯情報端末である。
【0007】
本発明は、上記の発明において、前記サーバ送受信手段は、無線信号受信手段によって受信された前記無線信号に含まれている前記タグIDを読み出し、読み出した前記タグIDと前記端末IDとを含む無線信号を前記搭乗管理サーバに送信することを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記の発明において、前記無線受信装置に対して前記端末IDを含む無線信号を発信する無線発信手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける搭乗管理サーバであって、前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する位置情報記録手段と、計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する搭乗情報検出手段と、前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する情報送受信手段と、を備えたことを特徴とする搭乗管理サーバである。
【0010】
本発明は、上記の発明において、前記空港職員が配置されている位置情報と、前記端末IDとを対応付けて記憶する端末位置情報記憶手段と、前記搭乗情報検出手段によって検出された前記位置情報に最も近い距離の前記位置情報を有する前記端末IDを前記端末位置情報記憶手段から検出する端末情報検出手段と、を備え、前記情報送受信手段は、前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと当該タグIDに対応する前記位置情報とを前記端末情報検出手段によって検出された前記端末IDに対応する前記携帯情報端末に送信することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記の発明において、前記位置情報記録手段は、前記無線受信装置から受信した前記情報に前記端末IDが含まれている場合に、前記端末IDと前記情報に含まれている前記位置情報とを対応付けて端末位置情報記憶手段に記録することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記の発明において、前記情報送受信手段は、前記無線発信装置から発信され、前記携帯情報端末によって受信された前記無線信号に含まれる前記タグIDと前記端末IDとを前記携帯情報端末から受信し、前記位置情報記録手段は、前記情報受信手段が受信した前記端末IDに対応する前記位置情報を前記端末位置情報記憶手段から読み出し、読み出した前記位置情報を受信した前記タグIDに対応する前記搭乗者位置情報記憶手段に記録することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記の発明において、ユーザの指示を受けて前記無線発信装置を自動発行する自動発行装置に接続され、前記自動発行装置が発行した前記無線発信装置に付与されている前記タグIDを含む登録要求を前記自動発行装置から受信し、前記登録要求に含まれている前記タグIDを前記位置情報記憶手段に登録する搭乗情報登録手段と、ユーザから前記無線発信装置を回収する自動回収装置に接続され、前記自動回収装置から回収した前記無線発信装置に付与されている前記タグIDを含む削除要求を前記自動回収装置から受信し、前記削除要求に含まれている前記タグIDを前記搭乗者位置情報記憶手段から削除する搭乗情報削除手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおいて、前記携帯端末装置は、前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信するサーバ送受信手段と、前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する無線信号受信手段と、前記サーバ送受信手段によって受信された前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示し、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する表示手段と、によって構成され、前記搭乗管理サーバは、前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する位置情報記録手段と、計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する搭乗情報検出手段と、前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する情報送受信手段と、によって構成されることを特徴とする搭乗管理システムである。
【0015】
本発明は、一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける搭乗管理方法であって、前記搭乗管理サーバが、前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する過程と、前記搭乗管理サーバが、計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する過程と、前記搭乗管理サーバが、検出した前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する過程と、前記携帯端末装置が、前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信する過程と、前記携帯端末装置が、前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する過程と、前記携帯端末装置が、受信した前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示する過程と、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する過程と、からなることを特徴とする搭乗管理方法である。
【0016】
本発明は、一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける携帯情報端末のコンピュータを、前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信するサーバ送受信手段、前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する無線信号受信手段、前記サーバ送受信手段によって受信された前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示し、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する表示手段、として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0017】
本発明は、一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける搭乗管理サーバのコンピュータを、前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する位置情報記録手段、計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎた場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する搭乗情報検出手段、前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する情報送受信手段、として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0018】
本発明は、上記の発明のいずれかのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、携帯情報端末は、搭乗管理サーバからタグIDと位置情報とを受信する。また、無線発信装置から発信された無線信号を受信する。受信したタグIDと位置情報とを画面に表示し、また無線発信装置から発信された無線信号を受信した場合に、無線信号の電波強度値に基づく無線発信装置の位置情報と無線信号に含まれているタグIDとを画面に表示する構成となっている。これにより、携帯情報端末を携帯する空港職員は、搭乗者が携帯する無線発信装置のタグIDと位置情報を知ることができ、当該位置情報に基づいて搭乗者を探すことができる。さらに、職員が搭乗者に近づき、無線発信装置から発信された無線信号が携帯情報端末によって受信された場合に、携帯情報端末が画面に表示する位置情報を参照した職員は、より詳細な搭乗者の位置を推定することができる。それによって、空港職員は迅速に搭乗者を探すことが可能となる。
【0020】
また、本発明によれば、携帯情報端末は、無線発信装置から受信した無線信号に含まれているタグIDを読み出し、読み出した前記タグIDと端末IDとを含む無線信号を搭乗管理サーバに送信する構成となっている。そのため、無線受信装置がカバーしていないエリアであっても、携帯情報端末が無線発信装置の無線信号を受信して当該無線発信装置の情報を搭乗管理サーバに送信することができる。それによって、無線発信装置から発信される無線信号の検出エリアを広げることが可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、携帯情報端末は、無線受信装置に対して端末IDを含む無線信号を発信する構成となっている。そのため、無線受信装置から当該携帯情報端末の情報を受信した搭乗管理サーバは、携帯情報端末の位置情報を検出し記録することが可能となる。
【0022】
また、本発明によれば、搭乗管理サーバは、無線受信装置から受信した情報にタグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する。そして、計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎた場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されているタグIDと、タグIDに対応する位置情報を検出し、検出したタグIDと位置情報とを携帯情報端末に送信する構成となっている。そのため、搭乗予定時刻を過ぎている場合に未搭乗者が存在する場合に、搭乗管理サーバから携帯情報端末に送信されたタグIDと位置情報を空港職員が参照することができる。それによって、空港職員は、迅速に未搭乗者を探し、未搭乗者を搭乗ゲートへ誘導することが可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、搭乗管理サーバは、空港職員が配置されている位置情報と、端末IDとを対応付けて記憶する端末位置情報記憶手段を備えており、搭乗予定時刻を過ぎている場合に搭乗者位置情報記憶手段から検出した無線発信装置の位置情報に最も近い距離の位置情報を有する端末IDを端末位置情報記憶手段から検出する。そして、端末位置情報記憶手段から検出した端末IDに対応する携帯情報端末に、搭乗者位置情報記憶手段から検出した無線発信装置のタグIDと当該タグIDに対応する位置情報とを送信する構成となっている。そのため、搭乗管理サーバが未搭乗者の無線発信装置のタグIDと位置情報とを携帯情報端末に送信する場合に、最も近い距離に存在する携帯情報端末を特定して送信することが可能となる。
【0024】
また、本発明によれば、搭乗管理サーバは、無線受信装置から受信した情報に端末IDが含まれている場合に、端末IDと情報に含まれている位置情報とを対応付けて端末位置情報記憶手段に記録する構成となっている。そのため、搭乗管理サーバでは、携帯情報端末を携帯する空港職員が移動しても、その位置情報を記録することが可能となる。
【0025】
また、本発明によれば、搭乗管理サーバは、無線発信装置から発信され、携帯情報端末によって受信された無線信号に含まれるタグIDと端末IDとを携帯情報端末から受信する。そして、受信した端末IDに対応する位置情報を端末位置情報記憶手段から読み出し、読み出した位置情報を受信したタグIDに対応する搭乗者位置情報記憶手段に記録する構成となっている。そのため、搭乗管理サーバは、無線受信装置から受信する情報に加えて、携帯情報端末から受信する情報に基づいて無線発信装置の位置情報を検出し記録することが可能となる。それによって、無線受信装置がカバーできないエリアに携帯情報端末を携帯する職員を配置することで、無線発信装置の無線信号を検出するエリアを広げることができる。
【0026】
また、本発明によれば、搭乗管理サーバは、ユーザの指示を受けて無線発信装置を自動発行する自動発行装置に接続され、自動発行装置が発行した無線発信装置に付与されているタグIDを含む登録要求を自動発行装置から受信し、登録要求に含まれているタグIDを位置情報記憶手段に登録する。また、搭乗管理サーバは、ユーザから無線発信装置を回収する自動回収装置に接続され、自動回収装置から回収した無線発信装置に付与されているタグIDを含む削除要求を自動回収装置から受信し、削除要求に含まれているタグIDを搭乗者位置情報記憶手段から削除する構成となっている。そのため、搭乗券の発行にともなって搭乗者に無線発信装置を携帯させることができ、また搭乗した場合には、搭乗者位置情報記憶手段から削除することが可能となる。それによって、搭乗予定時刻を過ぎて搭乗していない搭乗者を搭乗者位置情報記憶手段から検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態による携帯情報端末及び搭乗管理サーバ並びに搭乗管理システムを図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による搭乗管理システム1を示す概略ブロック図である。
同図において、無線タグ30は、上述した無線発信装置に該当する装置であり、RFID(Radio Frequency Identification System)方式を具備したICタグが適用され、内蔵電池を利用して自ら数十メートルの距離まで届く無線信号を発信するアクティブタグという種類に分類される無線タグである。また、無線タグ30は、搭乗者31に空港内で携帯され、一意に識別可能なID(以下、タグIDと呼ぶ)が予め付与されており、発信する無線信号には当該タグIDが含まれている。
【0028】
携帯情報端末20は、上述した携帯情報端末に該当し、例えば、PDA(Personal Digital Assitant)のような表示画面が備えられた携帯情報端末が適用され、空港の職員21に携帯される。また、一意に識別可能なID(以下、端末IDと呼ぶ)が予め付与されている。
【0029】
携帯情報端末20において、無線発信部20aは、上述した無線タグ30と同じく、内蔵電池を利用して自ら数十メートルの距離まで届く無線信号を発信する。また、発信する無線信号には端末IDが含まれている。無線受信部20bは、アンテナを備えており、無線タグ30から発信された無線信号を受信し、無線信号からタグIDを読み出す。サーバ送受信部20dは、無線LAN(Local Area Network)などを介して搭乗管理サーバ10に無線受信部20bが読み出したタグIDの情報を送信したり、搭乗管理サーバ10から受信した搭乗者31の情報を受信する。表示部20cは、液晶画面などが適用され、サーバ送受信部20dが搭乗管理サーバ10から受信した情報や、無線受信部20bが受信した無線信号に含まれているタグIDや無線信号を伝播している無線電波の電波強度値などの情報を表示する。
【0030】
無線タグリーダ40a〜40z(以下、各無線タグリーダ40a〜40zを代表して無線タグリーダ40と記載)は、空港内の手続きを行う各窓口や待ち行列が発生する箇所に設置され、無線タグ30あるいは携帯情報端末20から無線信号を受信する。また、無線タグリーダ40は、ネットワーク60に接続され、無線タグ30から受信した無線信号に含まれているタグIDあるいは携帯情報端末20から受信した無線信号に含まれている端末IDを読み出し、読み出したタグIDあるいは端末IDを搭乗管理サーバ10に送信する。
【0031】
自動発行装置16は、搭乗手続き窓口に設置され、搭乗者31の操作によって、搭乗券を発行するとともに、無線タグ30を引渡し口に排出する。また、搭乗管理サーバ10に接続され、搭乗券番号と氏名情報と便名情報とからなる搭乗券に含まれる情報と、無線タグ30のタグIDとを含む登録要求を搭乗管理サーバ10に送信する。
【0032】
自動回収装置17は、搭乗ゲートに設置され、搭乗者31が航空機に搭乗する際に、搭乗者31が返却口に無線タグ30を返却すると、無線タグ30の無線信号を受信する。また、搭乗管理サーバ10に接続され、受信した無線信号に含まれているタグIDを読み出し、タグIDを含む削除要求を搭乗管理サーバ10に送信する。
【0033】
搭乗管理サーバ10は、搭乗者31が携帯する無線タグ30の位置情報を検出し、職員21が携帯する携帯情報端末20に当該位置情報を通知する。搭乗管理サーバ10において、受信部11は、ネットワーク60に接続され、無線タグリーダ40から無線タグ30や携帯情報端末10の位置情報を検出するための情報を受信する。
【0034】
制御部15は、位置情報検出手段15a、位置情報記録手段15b、搭乗情報登録手段15c、搭乗情報削除手段15d、搭乗情報検出手段15e、端末情報検出手段15fを備えている。制御部15において、位置情報検出手段15aは、受信部11が無線タグリーダ40から受信した情報に基づいて、タグIDあるいは端末IDごとに位置情報を検出する。位置情報の検出としては以下の2つの手法がある。
【0035】
(手法1)手法1は、無線タグリーダ40a〜40zごと予め付与されたタグリーダIDと位置情報を対応付けておき、無線タグリーダ40から受信したタグリーダIDに基づいて無線タグ30あるいは携帯情報端末20の位置情報を検出する手法である。
(手法2)手法2は、無線タグリーダ40が無線タグ30あるいは携帯情報端末20から受信した無線信号を伝播する無線電波の電波強度値と無線タグリーダ40a〜40zの位置関係に基づいて相対距離を計算し、その計算結果を利用して無線タグ30あるいは携帯情報端末20の位置情報を検出する手法である。相対距離を計算する方法としては特開2002−236166に開示された最小二乗法による演算方法がある。
【0036】
位置情報記録手段15bは、受信部11から受信した情報に含まれているタグIDあるいは端末IDと、位置情報検出手段15aが検出した位置情報と対応付けてデータベース12に記録する。
搭乗情報登録手段15cは、自動発行装置16から受信した、搭乗券番号と氏名情報と便名情報とタグIDとを対応付けてデータベース12に登録する。
搭乗情報削除手段15dは、自動回収装置17から受信したタグIDに対応するデータベース12のエントリを削除する。
【0037】
搭乗情報検出手段15eは、時計14から時刻情報を受信し、受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている便名情報をデータベース12から検出し、検出した便名情報に基づいてデータベース12に記録されているタグIDと当該タグIDに対応する搭乗券番号と氏名情報と位置情報とを検出する。
端末情報検出手段15fは、搭乗情報検出手段15eが検出した位置情報に基づいて、データベース12から最も近い位置情報を有する端末IDを検出する。
【0038】
情報送受信部13は、無線LANなどを介して携帯端末装置20のサーバ送受信部20dとの間で制御部15から受信した情報の送受信を行う。
【0039】
図2は、データベース12のデータ構成を示した図である。データベース12には位置情報データ12aと、搭乗予定時刻情報データ12bと、搭乗者位置情報データ12cと、端末位置情報データ12dが存在する。
【0040】
図2(a)は、位置情報データ12aのデータ構成を示した図であり、タグリーダIDと位置情報によって1エントリが構成され、タグリーダIDには無線タグリーダ40a〜40zに付与されたタグリーダIDが予め設定される。位置情報には、それぞれの無線タグリーダ40a〜40zが設置された位置の情報が予め設定される。
【0041】
図2(b)は、搭乗予定時刻情報データ12bのデータ構成を示した図であり、航空便の便名と搭乗予定時刻で1エントリが構成され、便名には航空便の便名情報が予め設定される。搭乗予定時刻には、時刻情報が予め設定される。
【0042】
図2(c)は、搭乗者位置情報データ12cのデータ構成を示した図であり、タグIDと搭乗券番号と搭乗者名と便名と位置情報で1エントリが構成され、搭乗券番号には、発行の際に搭乗券に書き込まれた搭乗券番号情報が設定され、搭乗者名には同じく搭乗券に書き込まれた氏名情報が設定される。また、便名には搭乗予定時刻データ12bの便名情報のいずれかに対応する便名情報が設定され、位置情報には、位置情報データ12aの位置情報のいずれかに対応する位置情報が位置情報記録手段15bによって記録される。
【0043】
図2(d)は、端末位置情報データ12dのデータ構成を示した図であり、端末IDと端末アドレスと位置情報で1エントリが構成され、端末IDには、携帯情報端末20に付与された端末IDが設定され、端末アドレスには、サーバ送受信部20dが搭乗管理サーバ10と通信を行う際に必要となるIP(Internet Protocol)アドレスが設定される。また、位置情報には、位置情報データ12aの位置情報のいずれかに対応する位置情報が位置情報記録手段15bによって記録される。
【0044】
図3は、空港内において搭乗者31が搭乗手続きをして航空機に搭乗するまでの搭乗者31の動作を示した図である。最初に、空港に到着すると空港内出入口L1を通過し、搭乗手続きをするために搭乗手続き窓口G1に到達する。ここには自動発行装置16が設置されており、搭乗者31は、自動発行装置16を操作して搭乗券の発行手続きを行う。自動発行装置16は、搭乗券を発行すると共に無線タグ30を引渡し口に排出する。そして、搭乗者31は、引渡し口から排出された無線タグ30を受取り、預ける荷物がある場合には、搭乗手続き窓口G1の職員に荷物を預ける。
【0045】
搭乗者31は、搭乗手続きを終了すると、次にセキュリティチェックG2に向かう。このとき、搭乗時刻まで時間のあるときには、銀行・保険会社L2に向かいお金を引き出したり、海外へ出国する場合には両替を行い、保険会社で保険の契約を行う場合がある。また、売店や飲食店などの空港内の施設L3で、休憩を取ったりする場合がある。
【0046】
次に、搭乗者31がセキュリティチェックG2に到達して、手荷物や身体検査などのセキュリティチェックを受けた後、搭乗者31は、搭乗ゲートG5へ向かうが、海外へ出国する場合には、搭乗ゲートG5へ向かう前に、関税手続き窓口G3や出国審査窓口G4を経由してパスポートや搭乗券の確認を受ける必要がある。セキュリティチェックG2を通過した後、搭乗ゲートG5に到達するまでの間には待合スペースや免税店が設けられており、搭乗者31が立ち寄る場合もある。
【0047】
搭乗者31が搭乗ゲートG5に到達し、搭乗予定時刻になると航空機へ搭乗する。搭乗ゲートG5には、自動回収装置17が設置されており、搭乗者31が航空機に搭乗する際に、自動回収装置17の回収口に搭乗者31が無線タグ30を投入することで、無線タグ30が自動回収装置17によって回収される。
【0048】
無線タグリーダ40は、上記の空港出入口L1から搭乗ゲートG5までの各場所に設置される。空港出入口L1に設置するのは、搭乗手続き窓口G1で手続きを行った搭乗者31が空港内に存在するか否かを判定するためである。また、符号Gで示された、搭乗手続き窓口G1、セキュリティチェックG2、関税手続きG3、出国審査G4、搭乗ゲートG5には待ち行列が発生する可能性があるため、待ち行列をカバーできるように無線タグリーダ40が設置される。
【0049】
なお、自動発行装置16が設置されていない場合には、搭乗手続き窓口の職員が搭乗券を発行し、搭乗手続き窓口に備え付けられた無線タグリーダに無線タグ30からタグIDを読み出させた後に、搭乗者31に無線タグ30を手渡しする。当該無線タグリーダは、搭乗窓口の端末に接続されており、搭乗窓口の職員によって窓口の端末に入力された搭乗券番号と氏名情報と便名情報と、無線タグリーダによって読み出されたタグIDとを含む登録要求を搭乗管理サーバ10に送信する。また、自動回収装置17が設置されていない場合には、搭乗ゲートの職員が無線タグ30を手渡しで回収し、搭乗ゲートに備え付けられた無線タグリーダに回収した無線タグ30からタグIDを読み出させる。当該無線タグリーダは読み出したタグIDを含む削除要求を搭乗管理サーバ10に送信する。
【0050】
次に、図4から図6を参照して、搭乗管理サーバ10及び携帯情報端末20における処理について説明する。
図4は、搭乗管理サーバ10における処理の流れを示したフローチャートである。
最初に、搭乗者31が搭乗手続き窓口G1に到達し、自動発行装置16を操作することによって搭乗券と無線タグ30を受け取る。このとき、自動発行装置16は、搭乗券番号と氏名情報と便名情報とからなる搭乗券に含まれる情報と、無線タグ30のタグIDとを含む登録要求を搭乗管理サーバ10に送信する。搭乗管理サーバ10の搭乗情報登録手段15cは、登録要求を受信し(ステップS1)、搭乗者位置情報データ12cに、登録要求に含まれている情報を登録する(ステップS2)。
【0051】
次に、搭乗管理サーバ10の受信部11が無線タグリーダ40から、あるいは情報送受信部13が携帯情報端末20から情報を受信する(ステップS3)。搭乗管理サーバ10は、受信した情報に基づいて搭乗者位置情報データ12cと端末位置情報データ12dとに位置情報を記録する位置情報登録処理を行う。位置情報登録処理については後述する(ステップS4)。次に、搭乗情報検出手段15cは、時計14から時刻情報を取得し、搭乗予定時刻情報データ12bから搭乗予定時刻を過ぎている便が存在するか否かを判定する(ステップS5)。搭乗予定時刻を過ぎている便が存在する場合にはまだ搭乗していない搭乗者31を検出する搭乗者検出処理を行う。搭乗者検出処理については後述する(ステップS6)。一方、搭乗予定時刻を過ぎている便が存在しない場合には、自動回収装置17から削除要求を受信しているか否かを判定する(ステップS7)。削除要求を受信していない場合にはステップS3に戻る。一方、削除要求を受信している場合には、搭乗情報削除手段15dは、搭乗者位置情報データ12cから削除要求に含まれているタグIDのエントリを削除し、ステップS3へ戻る(ステップS8)。
【0052】
図5は、上述した位置情報登録処理の流れを示したフローチャートである。
最初に、搭乗管理サーバ10の位置情報検出手段15aは、受信した情報が受信部11を介して無線タグリーダ40から受信した情報か、情報送受信部13を介して携帯情報端末20から受信した情報かを判定する(ステップSa1)。無線タグリーダ40から受信した情報の場合には、受信した情報に含まれているIDがタグIDか端末IDかを判定する(ステップSa2)。
【0053】
無線タグリーダ40から受信した情報に含まれているIDがタグIDの場合には、位置情報検出手段15aは、無線タグ30の位置情報を検出する。そして、位置情報記録手段15bは、タグIDに基づいて、検出した位置情報を搭乗者位置情報データ12cに記録する(ステップSa3)。一方、受信した情報に含まれているIDが端末IDの場合には、位置情報検出手段15aは、携帯情報端末20の位置情報を検出する。そして、位置情報記録手段15bは、端末IDに基づいて、検出した位置情報を端末情報データ12dに位置情報を記録する(ステップSa4)。一方、ステップSa1において、位置情報検出手段15aが、受信した情報が携帯情報端末20から受信した情報であると判定した場合には、受信した情報に含まれている端末IDに基づいて、端末位置情報データ12dから端末IDに対応する位置情報を読み出す(ステップSa5)。位置情報記録手段15bは、受信した情報に含まれているタグIDに対応付けて位置情報検出手段15aが端末位置情報データ12dから読み出した位置情報を搭乗者位置情報データ12cに記録する(ステップSa6)。
【0054】
上記のようにして、搭乗管理サーバ10は、無線タグリーダ40から受信した情報と携帯情報端末10から受信した情報とに基づいて、無線タグ30の位置情報を検出して記録することができる。つまり、無線タグリーダ40がカバーしていないエリアであっても、携帯情報端末10が受信した情報からでも無線タグ30の位置情報を検出できるため、より広い範囲をカバーすることが可能となる。それよって、無線タグリーダ40を部分的に導入し、無線タグリーダ40がカバーできないエリアを職員が携帯する携帯情報端末10でカバーすることにより部分的かつ段階的に導入することが可能となり、初期導入時の導入コストを節約することができる。
【0055】
図6は、上述した搭乗者検出処理の流れを示したフローチャートである。最初に、搭乗管理サーバ10の搭乗情報検出手段15eは、搭乗予定時刻を過ぎている便名に基づいて搭乗者位置情報データ12cを検索する(ステップSb1)。そして、検索によって該当するエントリが存在するか否かを判定する(ステップSb2)。該当するエントリが存在しない場合には、図4のステップS5に戻る。一方、該当するエントリが存在する場合には、位置情報が待ち行列の発生する窓口であるか否かを判定する(ステップSb3)。
【0056】
待ち行列の発生する窓口の場合には、端末情報検出手段15fは、予め搭乗管理サーバ10の内部に設定されている当該窓口の端末装置の端末アドレスを検出し、情報送受信部13を介して、当該搭乗者の情報を当該窓口の端末装置に送信する。窓口の端末装置に表示された搭乗者の情報を参照した窓口職員は、当該搭乗者を確認して窓口の手続きを優先することができる。ここで、待ち行列の発生する窓口とは、図3の符号Gで示された搭乗手続き窓口G1、セキュリティチェックG2、関税手続き窓口G3,出国審査窓口G4、搭乗ゲートG5などがある(ステップSb4)。一方、位置情報が待ち行列の発生する窓口以外の場合には、搭乗情報検出手段12eは、無線タグ30が空港外に出ていないかを判定する。空港外に出ているか出ていないかは、空港の出口側と入口側に無線タグリーダ40を設置し、出口側と入口側の無線タグリーダ40で受信した情報の時間の差に基づいて、無線タグ30の移動方向を検出することによって判定する(ステップSb5)。
【0057】
空港外へ無線タグ30が出ていると判定した場合には、端末情報検出手段15fは、出入口の位置情報に基づいて端末アドレスを端末位置情報データ12dから読み出し、情報送受信手段13を介して出入口の警備員の携帯情報端末20に当該搭乗者の情報を送信する(ステップSb6)。また、端末情報検出手段15fは、予め搭乗管理サーバ10の内部に設定されている荷物担当の端末装置の端末アドレスを検出し、情報送受信部13を介して、当該搭乗者の情報を荷物担当の端末装置に送信する(ステップSb7)。
【0058】
携帯情報端末20の表示部20cに表示された搭乗者の情報を参照した出入口の職員21は、空港の出入り口付近で不審と思われる搭乗者を早期に探すことができる。職員21が不審な搭乗者を探す際に、当該搭乗者が無線タグ30を携帯している場合には、携帯情報端末20の表示部20cに表示された無線受信部20bが受信した無線タグ30の電波強度値の大きさに基づく詳細位置情報を参照して、不審と思われる搭乗者が近傍に存在するかを確認することができる。また、端末装置に表示された情報を参照した荷物担当の職員は、当該搭乗者から預かった荷物を確認することで、危険物などの早期発見を行うことができる。
【0059】
一方、ステップSb5で、無線タグ30が空港外に出ていないと判定された場合には、端末情報検出手段15fは、無線タグ30の位置情報の近傍に存在する携帯情報端末10の情報を端末位置情報データ12dから検出する(ステップSb8)。そして、端末情報検出手段15fは、情報送受信部13を介して該当する携帯情報端末20に搭乗者の情報を送信する(ステップSb9)。携帯情報端末20の表示部20cに表示された情報を参照した職員21は、携帯情報端末20の表示部20cに表示された無線受信部20bが受信した無線タグ30の電波強度値の大きさに基づく詳細位置情報を参照して、搭乗者が近傍に存在するかを把握することができる。
【0060】
なお、各窓口に設置された固定端末装置や荷物担当の端末装置の端末アドレスは、携帯情報端末20と同じく端末位情報データ12dに位置情報とともに予め設定されているようにしてもよい。
また、詳細位置情報は、電波強度値の大きさによって表示部の点滅を速くしたり遅くしたりすることによって示すようにしてもよく、また、電波強度値に基づく距離を数値で示すようにしてもよい。
【0061】
また、空港において以下のような幾つかの事件となるケースが想定でき、上記の構成の搭乗管理システム1を活用することで、その対応が現状より迅速かつ簡便に対処することが可能となる。
【0062】
(ケース1)
搭乗者31が手荷物と搭乗券と共に無線タグ30を紛失、あるいは盗難された場合には、搭乗者31が職員21へ手荷物と搭乗券と無線タグ30を空港内で紛失、あるいは盗難されたと申請する。申請を受けた職員21は、携帯端末21を操作することによって搭乗管理サーバ10に接続し、本来搭乗者31が携帯している無線タグ30の現在の位置情報を検出して確認する。そして、職員21が確認した無線タグ30の現在位置の近傍に存在する他の職員21の携帯端末20をさらに搭乗管理サーバ10から検出し、検出した他の職員21の携帯端末20に情報を送信する。情報を受信した携帯端末20の画面を参照した他の職員21は、自らの携帯端末20を用いて該当する無線タグ30の詳細位置情報を確認し、無線タグ30を発見することが可能となる。
【0063】
(ケース1−1)
搭乗者31が無線タグ30を紛失している場合には、職員21が携帯端末20を操作することによって搭乗位置サーバ10に接続し、申請のあった無線タグ30に対応するタグIDを含む無線信号が発信されている位置情報を検出して確認する。その確認した場所が、搭乗者が空港内で過去に存在していた場所と一致すれば、その場所に搭乗者31が無線タグ30と手荷物と搭乗券を置き忘れている可能性が高いと推測できる。
【0064】
ここで、その場所が近くならば、当該職員21と搭乗者31が取りに戻ればよく、また、その場所が遠いのであれば、携帯端末20を利用して近くの他の職員21の携帯端末20に情報を送信し、無線タグ30と手荷物と搭乗券を取りに向かわせて、搭乗者31が後で引き取りに向かうまで他の職員21が預かることもできる。また、搭乗時間が迫っているのであれば、その無線タグ30と搭乗券と手荷物を取りに向かう他の職員21に搭乗ゲートまで届けてもらうように依頼することも可能である。
【0065】
(ケース1−2)
搭乗者31が無線タグ30を盗難されている場合には、他人が該当する無線タグ30を所持して、盗難された無線タグ30に対応するタグIDを含む無線信号が発信されているのであれば、搭乗者31の手荷物と搭乗券が当該他人によって盗まれている可能性がある。当該無線タグ30に対応するタグIDを含む無線信号は携帯端末20によって受信できるため、職員21(この場合には、警備員としてもよい)はその容疑者を確認して尋問や盗難解決の協力を要請できる。
【0066】
(ケース2)
時限性の爆発物などの荷物を預けた搭乗者31は、その搭乗券と無線タグ30を空港内に報知して、空港外へ逃走した場合には、無線タグ30から発信される無線信号に基づいて職員21が携帯端末20を操作して搭乗券と無線タグ30を空港内で早期に発見する。そして、発見直後に、職員21が携帯端末20を操作して搭乗券と無線タグ30を所有していた搭乗者31を搭乗管理サーバ10から直ちに特定することが可能である。次に、荷物係の職員にその搭乗者31が預けた荷物を搭乗予約の航空機から降ろす連絡を行うなどの対処をすることで、携帯端末20と搭乗管理サーバ10の活用と連携により迅速に対応することができる。
【0067】
(ケース3)
搭乗予定時刻に合わせた搭乗者31の搭乗ゲートへの誘導を行う場合には、搭乗管理サーバ10に記録されている個々の搭乗者31の空港内の位置情報に基づいて搭乗予定時刻に搭乗ゲートに到達できない位置に存在する搭乗者31を検出する。これまでは、一斉に搭乗予定時刻を放送し、また搭乗者31に対する案内表示により搭乗のお知らせをしていた。しかし、職員21は、携帯端末20によって当該搭乗者31が搭乗予定時刻に間に合うか否かを判断できるため、各窓口の職員21は、携帯端末20を用いて個々の搭乗者の無線タグ30のタグIDを参照することによって、その搭乗者31に次の行動を促すことが可能となる。例えば、「後何分以内に次の手続きを済ましてください。」とか、「お客様の搭乗予定時刻に間に合うよう、この先の一番空いている窓口をご利用ください。」とか、個々の搭乗者31ごとに助言を行うことができる。それによって、搭乗者31が搭乗予定時刻に間に合わない事態を予防でき、搭乗予定時刻に間に合うよう搭乗者31の行動をある程度制御することが可能となる。
【0068】
上述の搭乗管理サーバ10及び携帯端末装置20は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した搭乗管理サーバの処理、位置情報登録処理、搭乗者検出処理は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態による搭乗管理システムを示すブロック図である。
【図2】同実施形態におけるデータベースのデータ構成を示した図である。
【図3】同実施形態における空港内の手続きの流れを示した図である。
【図4】同実施形態における搭乗管理サーバにおける処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】同実施形態における位置情報登録処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】同実施形態における搭乗者検出処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 搭乗管理サーバ
20 携帯端末装置
20a 無線発信部
20b 無線受信部
20c 表示部
20d サーバ送受信部
30 無線タグ
40 無線タグリーダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける携帯情報端末であって、
前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信するサーバ送受信手段と、
前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する無線信号受信手段と、
前記サーバ送受信手段によって受信された前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示し、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記サーバ送受信手段は、
無線信号受信手段によって受信された前記無線信号に含まれている前記タグIDを読み出し、読み出した前記タグIDと前記端末IDとを含む無線信号を前記搭乗管理サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記無線受信装置に対して前記端末IDを含む無線信号を発信する無線発信手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける搭乗管理サーバであって、
前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する位置情報記録手段と、
計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する搭乗情報検出手段と、
前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する情報送受信手段と、
を備えたことを特徴とする搭乗管理サーバ。
【請求項5】
前記携帯情報端末の位置情報と、前記端末IDとを対応付けて記憶する端末位置情報記憶手段と、
前記搭乗情報検出手段によって検出された前記位置情報に最も近い距離の前記位置情報を有する前記端末IDを前記端末位置情報記憶手段から検出する端末情報検出手段と、を備え、
前記情報送受信手段は、
前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと当該タグIDに対応する前記位置情報とを前記端末情報検出手段によって検出された前記端末IDに対応する前記携帯情報端末に送信することを特徴とする請求項4に記載の搭乗管理サーバ。
【請求項6】
前記位置情報記録手段は、
前記無線受信装置から受信した前記情報に前記端末IDが含まれている場合に、前記端末IDと前記情報に含まれている前記位置情報とを対応付けて端末位置情報記憶手段に記録することを特徴とする請求項5に記載の搭乗管理サーバ。
【請求項7】
前記情報送受信手段は、
前記無線発信装置から発信され、前記携帯情報端末によって受信された前記無線信号に含まれる前記タグIDと前記端末IDとを前記携帯情報端末から受信し、
前記位置情報記録手段は、
前記情報受信手段が受信した前記端末IDに対応する前記位置情報を前記端末位置情報記憶手段から読み出し、読み出した前記位置情報を受信した前記タグIDに対応する前記搭乗者位置情報記憶手段に記録することを特徴とする請求項5または6に記載の搭乗管理サーバ。
【請求項8】
前記無線発信装置を自動発行する自動発行装置に接続され、前記自動発行装置が発行した前記無線発信装置に付与されている前記タグIDを含む登録要求を前記自動発行装置から受信し、前記登録要求に含まれている前記タグIDを前記位置情報記憶手段に登録する搭乗情報登録手段と、
前記無線発信装置を回収する自動回収装置に接続され、前記自動回収装置から回収した前記無線発信装置に付与されている前記タグIDを含む削除要求を前記自動回収装置から受信し、前記削除要求に含まれている前記タグIDを前記搭乗者位置情報記憶手段から削除する搭乗情報削除手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4から7のいずれか1つに記載の搭乗管理サーバ。
【請求項9】
一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信するサーバ送受信手段と、
前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する無線信号受信手段と、
前記サーバ送受信手段によって受信された前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示し、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する表示手段と、によって構成され、
前記搭乗管理サーバは、
前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する位置情報記録手段と、
計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する搭乗情報検出手段と、
前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する情報送受信手段と、
によって構成されることを特徴とする搭乗管理システム。
【請求項10】
一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける搭乗管理方法であって、
前記搭乗管理サーバが、前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する過程と、
前記搭乗管理サーバが、計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎている場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する過程と、
前記搭乗管理サーバが、検出した前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する過程と、
前記携帯端末装置が、前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信する過程と、
前記携帯端末装置が、前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する過程と、
前記携帯端末装置が、受信した前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示する過程と、
前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する過程と、
からなることを特徴とする搭乗管理方法。
【請求項11】
一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける携帯情報端末のコンピュータを、
前記搭乗管理サーバから前記タグIDと前記位置情報とを受信するサーバ送受信手段、
前記無線発信装置から発信された前記無線信号を受信する無線信号受信手段、
前記サーバ送受信手段によって受信された前記タグIDと前記位置情報とを画面に表示し、前記無線信号受信手段によって前記無線信号が受信された場合に、前記無線信号の電波強度値に基づく前記無線発信装置の位置情報と前記無線信号に含まれている前記タグIDとを画面に表示する表示手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
一意に識別可能なタグIDが付与された無線発信装置と、一意に識別可能な端末IDが付与された携帯情報端末と、無線信号を受信する無線受信装置と、前記無線受信装置から受信した情報に基づいて前記無線信号の送信元の位置情報を検出する搭乗管理サーバと、によって構成される搭乗管理システムにおける搭乗管理サーバのコンピュータを、
前記無線受信装置から受信した前記情報に前記タグIDが含まれている場合に、当該情報に含まれている前記位置情報と当該タグIDとを対応付けて搭乗者位置情報記憶手段に記録する位置情報記録手段、
計時手段から受信した時刻情報が搭乗予定時刻を過ぎた場合に、前記搭乗者位置情報記憶手段に記憶されている前記タグIDと、前記タグIDに対応する前記位置情報を検出する搭乗情報検出手段、
前記搭乗情報検出手段によって検出された前記タグIDと前記位置情報とを前記携帯情報端末に送信する情報送受信手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項11または請求項12のいずれかのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−155150(P2006−155150A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343784(P2004−343784)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】