説明

携帯情報端末装置、測位制御方法及び測位制御プログラム

【課題】連続して複数の位置測定の要求を受け付けた場合であっても、2つ目以降の位置測定の要求に対して、従来技術に比べて早く処理結果を戻すことができるようにした携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】位置情報を用いる携帯情報端末装置であって、測位手段は、前記携帯情報端末装置の位置を測定し、要求受付手段は、前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付け、測位制御手段は、前記要求受付手段によって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御し、さらに、前記要求受付手段によって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を用いる携帯情報端末装置、測位制御方法及び測位制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末等の携帯情報端末装置により情報を提供する様々なサービスがある。例えば、携帯電話端末内にGPS(Global Positioning System)を内蔵して、そのGPSを用いて利用者の現在の位置情報を取得する。そして、位置情報をサーバ等に送信し、サーバ側は、利用者の現在位置に基いた情報(例えば、近傍の店舗情報等)を携帯電話端末に送信することにより、利用者に各種情報を提供するシステムがある。このシステムにより、利用者は現在地点の周辺の情報を容易に入手することができる。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、ユーザの自由な要求を満たす店を探すことが可能な店検索システムを提供することを課題とし、検索システムサーバは携帯端末から送られてきた位置データ及び希望条件情報を基に、ユーザの現在位置周辺のサーバ登録店へユーザからの希望条件情報を提示し、サーバ登録店はユーザの希望に沿った広告情報を検索システムサーバへ提示し、検索システムサーバは他店の広告情報をWeb上で公開し、サーバ登録店は、他店の状況を見ながらさらによりよい価格等を提供できる場合、最初に提示した広告を変更し、検索システムサーバはユーザに対してサーバ登録店からの広告情報をWeb上等で公開し、予め設定された制限時間後、検索システムサーバはこれまでサーバ登録店から提示された複数の広告情報をユーザの携帯端末へ送信することが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、旅行サービス業者の旅行商品開発に有用な旅行者の動線情報を取得することが可能な旅行者動線情報収集システム及び旅行者動線情報管理サーバ装置を提供することを課題とし、GPSを搭載した携帯電話機と、その携帯電話機に通信ネットワークを介して接続され、観光施設の位置情報を予め蓄積した観光施設情報DBを備えた旅行者動線情報管理サーバ装置とを含むように旅行者動線情報収集システムを構成し、そして、旅行者動線情報管理サーバ装置において、携帯電話機が送信する旅行者の位置・時刻情報を受信し、その情報を旅行者位置情報DBに記憶し、さらに、旅行者位置情報DB及び観光施設情報DBにより旅行者が立ち寄った観光施設を判定することによって、旅行者動線情報及び旅行者動線マッピング情報を生成し、さらに、旅行者動線情報を処理して旅行者動線統計情報を生成することが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、利用者に対し、所望の場所に関する情報を効率的に提供することができる場所情報提供方法及び場所情報提供システムを提供することを課題とし、利用者は、自分が行きたい店舗の店舗識別子を入力し、この情報を携帯電話端末から管理コンピュータに送信し、管理コンピュータは、受信した店舗識別子及び送信した携帯電話端末のメールアドレスに基いて店舗情報記憶部に記憶し、情報管理システムは、携帯電話端末から送信される信号に基いて、利用者の位置情報を定期的に取得し、情報管理システムは、利用者の現在位置から所定範囲にある店舗を抽出し、この店舗の情報を携帯電話端末に送信することが開示されている。
【特許文献1】特開2008−59103号公報
【特許文献2】特開2006−262189号公報
【特許文献3】特開2005−65117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術では、いずれも1つのアプリケーションプログラムが位置情報を利用している。すなわち、単独に位置測定の要求があるにすぎない。位置情報を利用する複数のアプリケーションが同時に動作しているような場合、つまり、連続して複数の位置測定の要求を受け付けた場合は、2つ目以降の位置測定の要求をキューイングして、それぞれを順番に測位処理を行うことになるため、即時性に欠け、2つ目以降の位置測定の要求に対しても1つ目の位置測定の要求に対する処理結果と殆ど同じ結果を返すこととなるにもかかわらず、測位処理を繰り返すため、処理効率が悪いという問題点があった。
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、連続して複数の位置測定の要求を受け付けた場合であっても、2つ目以降の位置測定の要求に対して、従来技術に比べて早く処理結果を戻すことができるようにした携帯情報端末装置、測位制御方法及び測位制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 位置情報を用いる携帯情報端末装置であって、前記携帯情報端末装置の位置を測定する測位手段と、前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付ける要求受付手段と、前記要求受付手段によって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御する測位制御手段を具備し、前記測位制御手段は、前記要求受付手段によって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御することを特徴とする携帯情報端末装置。
【0008】
[2] 前記測位手段は、複数の方法で位置を測定することができ、前記要求受付手段は、要求として測位の方法を指定する測位法指定情報を受け付け、前記測位制御手段は、前記第1の要求と前記第2の要求における測位法指定情報が一致する場合に、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、前記第2の要求元に対して戻すように制御することを特徴とする[1]に記載の携帯情報端末装置。
【0009】
[3] 前記測位制御手段は、前記測位手段から測位結果を得た後であって、所定の期間内に前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、前記第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、前記第2の要求元に対して戻すように制御することを特徴とする[1]又は[2]に記載の携帯情報端末装置。
【0010】
[4] 位置情報を用いる携帯情報端末装置が行う測位制御方法であって、前記携帯情報端末装置は、前記携帯情報端末装置の位置を測定する測位手段を具備し、前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付ける要求受付ステップと、前記要求受付ステップによって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御する測位制御ステップを行い、前記測位制御ステップは、前記要求受付ステップによって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付ステップによって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御することを特徴とする測位制御方法。
【0011】
[5] 位置情報を用いる携帯情報端末装置で動作する測位制御プログラムであって、前記携帯情報端末装置を前記携帯情報端末装置の位置を測定する測位手段と、前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付ける要求受付手段と、前記要求受付手段によって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御する測位制御手段として機能させ、前記測位制御手段は、前記要求受付手段によって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御することを特徴とする測位制御プログラム。
【0012】
前記本発明は次のように作用する。
本発明における携帯情報端末装置、測位制御方法及び測位制御プログラムでは、測位手段は、前記携帯情報端末装置の位置を測定し、要求受付手段は、前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付け、測位制御手段は、前記要求受付手段によって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御し、さらに、前記測位制御手段は、前記要求受付手段によって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御するものである。これによって、連続して複数の位置測定の要求を受け付けた場合であっても、2つ目以降の位置測定の要求に対して、従来技術に比べて早く処理結果を戻すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる携帯情報端末装置、測位制御方法及び測位制御プログラムによれば、連続して複数の位置測定の要求を受け付けた場合であっても、2つ目以降の位置測定の要求に対して、従来技術に比べて早く処理結果を戻すことができる。利用者にとっては、現在の位置に関する最新の状況を的確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはプログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がプログラムの場合は、記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)を含む。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク等で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「所定」という用語は、予め定められたの意の他に、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じての意を含めて用いる。
【0015】
本実施の形態である携帯情報端末装置は、位置情報を用いるものであって、図1に示すように、位置情報要求モジュール110A、位置情報要求モジュール110B、位置処理モジュール120、測位モジュール130を有している。
【0016】
測位モジュール130は、位置処理モジュール120と接続されている。位置処理モジュール120によって制御され、携帯情報端末装置の位置を測定するものである。例えば、GPSである。また、測位モジュール130は、複数の方法で位置を測定することができるものであってもよい。例えば、GPSでは、AGPS方式(Assisted Global Positioning System、固定的に設けた測位点からの情報を(無線)ネットワークを通じて移動体に送り、移動体での測位を支援するシステム)とCell−ID方式(基地局IDを取得して測位するもの)の2種類がある。もちろん、3種類以上であってもよい。どの方式を用いるかは、位置処理モジュール120からの制御による。
【0017】
位置情報要求モジュール110A及び位置情報要求モジュール110Bは、位置処理モジュール120と接続されている。図1では、位置情報要求モジュールは、2つの場合を例示しているが、3つ以上であってもよい。また、1つであったとしても、測位モジュール130に対する位置測定の要求を複数回行うものであればよい。以下の説明においては、2つの場合を主に例示する。また、位置情報要求モジュール110Aと位置情報要求モジュール110Bは、同時に動作し得る。ここで、同時に動作するとは、一方が一時停止し、他方が動作しているような場合も含む。
位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bは、位置情報を用いるアプリケーション・プログラムであり、例えば、携帯情報端末装置の位置からその近辺の地図を表示するもの、その地域の天気予報を表示するもの、近傍の店舗情報を表示するもの等がある。位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bは、位置処理モジュール120に対して、現在の位置を測定することを要求し、その位置情報を取得するものである。位置情報要求モジュールとして、例えば、ウィジェット(widget、アプリケーション・プログラムを構成するプログラム部品又はその組み合わせ)と呼ばれるものが該当する。以下の説明において、アプリケーション・プログラムとして、このウィジェットを含む。
【0018】
また、位置測定の要求として測位の方法を指定する測位法指定情報を含めるようにしてもよい。
また、位置測定の要求としては、現在の位置の測定結果の要求の他に、これから位置が変化したならば通知を求める要求、所定時間おきに位置を知らせることを求める要求等であってもよい。
【0019】
位置処理モジュール120は、位置情報要求モジュール110A、位置情報要求モジュール110B、測位モジュール130と接続されており、要求受付モジュール121、回答モジュール122、測位制御モジュール123、要求日時記憶モジュール124を有している。
【0020】
要求受付モジュール121は、位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bから測位モジュール130に対する位置測定の要求を受け付け、その要求を測位制御モジュール123に渡す。位置測定の要求は、位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bから独立して行われるため、所定期間内に複数回の要求を受け付けることがある。
また、要求受付モジュール121は、要求として測位の方法を指定する測位法指定情報を受け付けるようにしてもよい。
【0021】
回答モジュール122は、測位制御モジュール123によって制御され、要求受付モジュール121が受け付けた要求に対応した測位モジュール130による測位結果を、要求元である位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bに戻す。
【0022】
測位制御モジュール123は、要求受付モジュール121によって要求を受け付けたときに、測位モジュール130に対して、位置を測定させるように制御する。そして、要求受付モジュール121によって第1の要求を受け付けた後であって、測位モジュール130から測位結果を得る前に、要求受付モジュール121によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように回答モジュール122を制御する。例えば、位置情報要求モジュール110Aが第1の要求を行い、その要求に対する測位モジュール130からの測位結果を得る前に、位置情報要求モジュール110Bが第2の要求を行った場合である。この場合に、第1の要求に対する測位結果を第2の要求に対しても戻すようにする。
【0023】
また、測位制御モジュール123は、前記第1の要求と前記第2の要求における測位法指定情報が一致する場合に、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、前記第2の要求元である位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bに対して戻すように回答モジュール122を制御するようにしてもよい。
また、測位制御モジュール123は、測位モジュール130から測位結果を得た後であって、所定の期間内に要求受付モジュール121によって第2の要求を受け付けた場合は、前記第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、前記第2の要求元である位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bに対して戻すように回答モジュール122を制御するようにしてもよい。
そして、測位制御モジュール123は、その測位処理に関する履歴を要求日時記憶モジュール124に記憶させる。例えば、記憶させる情報として、要求受付モジュール121が受け付けた要求元の位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bを特定できる識別子、要求受付モジュール121が要求の一部として受け付けた測位法指定情報、要求受付モジュール121が受けた要求の日時(年、分、秒等を含めてもよい。以下、同様。)、受付結果返信日時(要求を位置処理モジュール120が受け付けたことを返信した日時)、回答モジュール122を介して要求元に測位結果を戻した日時である回答日時、測位モジュール130による測位結果である位置情報等がある。
【0024】
要求日時記憶モジュール124は、測位制御モジュール123による制御によって、測位処理に関する履歴を記憶する。例えば、図5の例に示す測位履歴テーブル500を記憶する。測位履歴テーブル500は、NO.欄502、要求プログラム欄504、要求測位方式欄506、要求日時欄508、受付結果返信日時欄510、回答日時欄512、位置情報欄514を有しており、位置情報欄514は、緯度欄515、経度欄516、測位精度欄517、最終更新日時欄518を有している。
【0025】
NO.欄502は、要求があってから測位結果を戻すまでの履歴を特定できる番号を記憶する。例えば、記憶される履歴毎に順次付された番号である。
要求プログラム欄504は、要求受付モジュール121が受け付けた要求元の位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bを特定できる識別子を記憶する。
要求測位方式欄506は、要求受付モジュール121が要求の一部として受け付けた測位法指定情報を記憶する。
【0026】
要求日時欄508は、要求受付モジュール121が受けた要求の日時を記憶する。
受付結果返信日時欄510は、位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bからの要求を位置処理モジュール120が受け付けたことを返信した日時を記憶する。
回答日時欄512は、回答モジュール122を介して要求元に測位結果を戻した日時である回答日時を記憶する。
位置情報欄514は、測位モジュール130による測位結果である位置情報を記憶する。位置情報を、その情報の種類に応じてそれぞれ緯度欄515、経度欄516、測位精度欄517、最終更新日時欄518に記憶する。
【0027】
なお、本実施の形態が実装される携帯情報端末装置は、図2に示すような携帯電話200であってもよい。携帯電話200は、例えば、電話としての機能を有するように音声入力できるマイク205と、音声出力できるスピーカー204と、電話番号又は位置情報要求モジュール110A等の要求等により文字を入力するための文字入力装置であるキー202と、電波を送受信してデータ通信を行うためのアンテナ203と、キー202による文字入力の結果又は位置情報要求モジュール110A等の処理結果等の表示を行うディスプレイ201と、内蔵しているGPS等を有している。携帯電話200内には、位置情報要求モジュール110A、位置処理モジュール120等のプログラムを実行するCPU、メモリ、通信用回路、GPS等のハードウェアが内蔵されており、携帯情報端末装置を実現するためのソフトウェアであるコンピュータ・プログラムをメモリに記憶させ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、携帯情報端末装置が実現される。
【0028】
図3は、本実施の形態を具現化した場合のモジュール構成例を示す図である。
地図表示プログラム310A、天気予報プログラム310B、プログラム実行制御モジュール320、GPS330を有している。
地図表示プログラム310A又は天気予報プログラム310Bは図1の例に示した位置情報要求モジュール110A又は位置情報要求モジュール110Bに該当し、プログラム実行制御モジュール320は位置処理モジュール120に該当し、GPS330は測位モジュール130に該当する。プログラム実行制御モジュール320は、プログラム実行環境モジュール321、プログラム制御モジュール322を有しており、プログラム実行環境モジュール321、プログラム制御モジュール322が一体となって、位置処理モジュール120内のモジュールを構成している。プログラム実行環境モジュール321は主に要求受付モジュール121、回答モジュール122、測位制御モジュール123に該当し、プログラム制御モジュール322は測位制御モジュール123、要求日時記憶モジュール124に該当する。
【0029】
地図表示プログラム310A及び天気予報プログラム310Bは、プログラム実行制御モジュール320のプログラム実行環境モジュール321と接続されている。地図表示プログラム310A、天気予報プログラム310Bは、それぞれ独立して(他方のプログラムには関係なく)、現在の位置を測定するようにプログラム実行環境モジュール321に要求する。
【0030】
プログラム実行環境モジュール321は、地図表示プログラム310A、天気予報プログラム310B、プログラム制御モジュール322と接続されている。複数のアプリケーション・プログラムが動作可能となるように制御を行い、地図表示プログラム310A等とプログラム制御モジュール322との橋渡しを行う。つまり、地図表示プログラム310A又は天気予報プログラム310Bからの要求を受け付けて、その要求をプログラム制御モジュール322に渡す。そして、プログラム制御モジュール322からの測位結果を受け取って、要求を行った地図表示プログラム310A又は天気予報プログラム310Bに戻すことを行う。
【0031】
プログラム制御モジュール322は、プログラム実行環境モジュール321、GPS330と接続されている。GPS330を含めたハードウェア(GPS330の他にディスプレイ、キー等)の制御を行い、プログラム実行環境モジュール321とGPS330等との橋渡しを行う。つまり、プログラム実行環境モジュール321からの指示を受け付けて、その指示をGPS330等に渡す。そして、GPS330等からの処理結果を受け取ってプログラム実行環境モジュール321に渡す。
GPS330は、プログラム実行制御モジュール320のプログラム制御モジュール322と接続されている。プログラム制御モジュール322からの指示に従って、測位法指定情報に従った測位を行い、その測位結果をプログラム制御モジュール322に戻す。
【0032】
図4は、図3の例で示した各モジュール間の処理例を示すフローチャートである。
ステップS400では、天気予報プログラム310Bが、プログラム実行制御モジュール320に対して、位置情報の更新という位置測定の要求を行う。そして、測位制御モジュール123は、測位履歴テーブル500内に新たな1行を生成して(その際、NO.欄502に新たな番号を記憶させる)、要求受付モジュール121が受け付けた要求を行った天気予報プログラム310Bの識別子を取得して、測位履歴テーブル500の要求プログラム欄504に記憶させる。そして、その要求の一部として受け付けた測位法指定情報を要求測位方式欄506に記憶させる。また、その要求日時を要求日時欄508に記憶させる。
ステップS402では、プログラム実行制御モジュール320が、GPS330に対して、ステップS400で受け付けた要求を行う。
ステップS404では、GPS330が、プログラム実行制御モジュール320に対して、位置情報の更新という位置測定の要求を受け付けたことを、受付結果として戻す。そして、GPS330は、要求内の測位法指定情報に従って測位処理を開始する。
【0033】
ステップS406では、GPS330が、位置測定の処理を行う。
ステップS408では、プログラム実行制御モジュール320が、天気予報プログラム310Bに対して、位置情報の更新という位置測定の要求を受け付けたことを、受付結果として戻す。そして、測位制御モジュール123は、測位履歴テーブル500の受付結果返信日時欄510に、受付結果を戻した日時を記憶させる。
ステップS410では、プログラム実行制御モジュール320が、位置測定の処理中であるという状況にする。例えば、GPS330の処理状況を示す状況フラグ(例えば、「1」ならば処理中、「0」ならば待機中等である)を用いて、その状況フラグを処理中に設定する。この処理は、ステップS404の直後であってもよい。
【0034】
ステップS412では、地図表示プログラム310Aが、プログラム実行制御モジュール320に対して、位置情報の更新という位置測定の要求を行う。そして、測位制御モジュール123は、測位履歴テーブル500内に新たな1行を生成して(その際、NO.欄502に新たな番号を記憶させる)、要求受付モジュール121が受け付けた要求を行った地図表示プログラム310Aの識別子を取得して、測位履歴テーブル500の要求プログラム欄504に記憶させる。そして、その要求の一部として受け付けた測位法指定情報を要求測位方式欄506に記憶させる。また、その要求日時を要求日時欄508に記憶させる。
次に、測位制御モジュール123は、状況フラグを確認し、処理中であるか否かを確認する。処理中である場合は、既に要求を行ったものと測位法指定情報が同じであるか否かを、要求測位方式欄506で確認する。同じならば、GPS330に対しての要求を行わない。もしも同じでないならば、待機させる処理(キューイング)を行う。
ステップS414では、プログラム実行制御モジュール320が、地図表示プログラム310Aに対して、位置情報の更新という位置測定の要求を受け付けたことを、受付結果として戻す。そして、測位制御モジュール123は、測位履歴テーブル500の受付結果返信日時欄510に、受付結果を戻した日時を記憶させる。
ステップS416では、GPS330が、測位処理を完了させる。
【0035】
ステップS418では、GPS330が、プログラム実行制御モジュール320に対して、位置情報の更新イベントとして測位結果を通知する。測位結果として位置情報450を戻す。位置情報450は、緯度、経度、測位精度、最終更新日時等がある。
ステップS420では、プログラム実行制御モジュール320が、位置情報の更新要求に対して、受付結果を返信したプログラムを特定する。つまり、測位履歴テーブル500内の回答日時欄512に何も記憶されていないものを特定する。測位制御モジュール123は、位置情報450を測位履歴テーブル500の特定したプログラムに該当する行の位置情報欄514に記憶させる。そして、状況フラグを待機中にする。
ステップS422では、プログラム実行制御モジュール320が、天気予報プログラム310Bに対して、位置情報の更新イベントを通知する。
【0036】
ステップS424では、天気予報プログラム310Bが、プログラム実行制御モジュール320に対して、位置情報の取得を要求する。
ステップS426では、プログラム実行制御モジュール320が、天気予報プログラム310Bに対して、測定結果としての位置情報452を戻す。そして、測位制御モジュール123は、回答日時欄512に測定結果を戻した日時を記憶させる。
ステップS428では、天気予報プログラム310Bが、位置情報452を用いた処理(その位置に該当する天気予報データをサーバ等から取得して表示する等)を行う。
【0037】
ステップS430では、プログラム実行制御モジュール320が、地図表示プログラム310Aに対して、位置情報の更新イベントを通知する。
ステップS432では、地図表示プログラム310Aが、プログラム実行制御モジュール320に対して、位置情報の取得を要求する。
ステップS434では、プログラム実行制御モジュール320が、地図表示プログラム310Aに対して、測定結果としての位置情報454を戻す。そして、測位制御モジュール123は、回答日時欄512に測定結果を戻した日時を記憶させる。
ステップS436では、地図表示プログラム310Aが、位置情報454を用いた処理(その位置の地図情報データを表示する等)を行う。
【0038】
なお、GPS330は、測位処理に失敗した場合、プログラム実行制御モジュール320に対して、測定結果として測位失敗を通知する。その場合、プログラム実行制御モジュール320は、地図表示プログラム310A、天気予報プログラム310Bに対して、測定結果として測位失敗であることを戻す。
【0039】
図4の例に示した処理においては、状況フラグを処理中から待機中に変更するのは、GPS330から位置情報の更新イベントを受け取った直後のステップS420で行うことを示したが、GPS330から位置情報の更新イベントを受け取った後であって、所定期間が経過した後であってもよい。つまり、所定期間以内であれば、携帯情報端末装置の所有者は急激に移動していない場合が多く、GPS330に測位処理を行わせる必要がないからである。
【0040】
また、その所定期間は、位置情報要求を行うプログラムの種類に応じて変更させてもよい。例えば、天気予報プログラム310Bであれば、比較的広い地域における天気予報の処理を行うので、その所定期間は長く設定してもよいが、近傍の店舗情報を扱うようなアプリケーション・プログラムのような場合は、その所定期間は短く(0も含む)設定すべきである。そのために、測位制御モジュール123は次に説明するような処理を行うようにしてもよい。
GPS330から測位結果を得た日時(より具体的には、状況フラグを処理中から待機中に変更した日時)を記憶しておき、その後に、要求受付モジュール121が位置測定の要求を受け付けた場合であって、測位結果を得た日時から要求受付の日時までの期間が、要求元であるアプリケーション・プログラムの種類に応じて定められている所定期間内であるならば、直前の測位結果を要求元であるアプリケーション・プログラムに戻し、所定期間内でないならば、新たにGPS330に対して、位置を測定させるように制御する。アプリケーション・プログラムの種類は、例えば、予めアプリケーション・プログラムの名称と対応付けたテーブルを用意しておき、要求元のアプリケーション・プログラムの名称を抽出し、そのテーブルを検索することによって、その種類を求めるようにしてもよい。また、アプリケーション・プログラムの種類と前述の所定時間を対応させたテーブルも予め用意しておくようにしてもよい。
【0041】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図6に示すようなコンピュータであり、携帯情報端末装置に組み込まれているものである。位置情報要求モジュール110A、測位制御モジュール123等のプログラムを実行するCPU610と、そのプログラムやデータを記憶するRAM630と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM620と、補助記憶装置であるHD640(半導体メモリであってもよい)と、キーボード、マウス等から操作者の操作によってデータを入力又はCRTや液晶ディスプレイ等にデータを出力して操作者とのインタフェースとなるUI/F650と、CD−R等のリムーバブルメディアに対して読み書きするリムーバブルメディアリーダーライター660と、通信ネットワークと接続するための通信回線I/F670、測位モジュール130として、又は測位モジュール130に含まれるGPS680、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス690により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0042】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納することも可能であり、その場合は、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明としても把握することができる。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能である。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に乗せて搬送することも可能である。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態のモジュール構成例を示す図である。
【図2】携帯情報端末装置の一例である携帯電話を示す説明図である。
【図3】本実施の形態を具現化した場合のモジュール構成例を示す図である。
【図4】各モジュール間の処理例を示すフローチャートである。
【図5】測位履歴テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
110A…位置情報要求モジュール
110B…位置情報要求モジュール
120…位置処理モジュール
121…要求受付モジュール
122…回答モジュール
123…測位制御モジュール
124…要求日時記憶モジュール
130…測位モジュール
310A…地図表示プログラム
310B…天気予報プログラム
320…プログラム実行制御モジュール
321…プログラム実行環境モジュール
322…プログラム制御モジュール
330…GPS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を用いる携帯情報端末装置であって、
前記携帯情報端末装置の位置を測定する測位手段と、
前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付ける要求受付手段と、
前記要求受付手段によって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御する測位制御手段
を具備し、
前記測位制御手段は、前記要求受付手段によって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御する
ことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記測位手段は、複数の方法で位置を測定することができ、
前記要求受付手段は、要求として測位の方法を指定する測位法指定情報を受け付け、
前記測位制御手段は、前記第1の要求と前記第2の要求における測位法指定情報が一致する場合に、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、前記第2の要求元に対して戻すように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記測位制御手段は、前記測位手段から測位結果を得た後であって、所定の期間内に前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、前記第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、前記第2の要求元に対して戻すように制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
位置情報を用いる携帯情報端末装置が行う測位制御方法であって、
前記携帯情報端末装置は、
前記携帯情報端末装置の位置を測定する測位手段
を具備し、
前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付ける要求受付ステップと、
前記要求受付ステップによって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御する測位制御ステップ
を行い、
前記測位制御ステップは、前記要求受付ステップによって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付ステップによって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御する
ことを特徴とする測位制御方法。
【請求項5】
位置情報を用いる携帯情報端末装置で動作する測位制御プログラムであって、
前記携帯情報端末装置を
前記携帯情報端末装置の位置を測定する測位手段と、
前記測位手段に対する位置測定の要求を受け付ける要求受付手段と、
前記要求受付手段によって要求を受け付けたときに、前記測位手段に対して、位置を測定させるように制御する測位制御手段
として機能させ、
前記測位制御手段は、前記要求受付手段によって第1の要求を受け付けた後であって、前記測位手段から測位結果を得る前に、前記要求受付手段によって第2の要求を受け付けた場合は、該第1の要求に対する測位結果を該第2の要求に対する測位結果として、該第2の要求を行った要求元に対して戻すように制御する
ことを特徴とする測位制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−130375(P2010−130375A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303294(P2008−303294)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】