説明

携帯情報端末装置

【課題】出力が小さい小型のモータなどのアクチュエータにより携帯情報端末装置を開閉駆動できるようにし、また携帯情報端末装置の小型化、軽量化を図る。
【解決手段】 第1アーム21は下筐体2の前面4上に設けられ、DCモータ11の駆動により一端部の出力軸14を中心に回動する。第2アーム22は下筐体2の前面4上に設けられ、一端部が第1アーム21の他端部と回動自在に取り付けられている。ガイドレール21は下筐体2の前面上4に設けられ、下筐体2の長手方向をその長さ方向とする。滑りピン33は第2アーム22の他端部に取り付けられ、その一端部はガイドレール21に係合していて当該ガイドレール21内を摺動自在であり、他端部は上筐体3の底面6に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯情報端末装置の開閉機構としては、クラムシェルタイプや、上筐体が下筐体上をスライド移動して開くスライドタイプ、上筐体が下筐体上を回転移動して開くリボルバータイプなどが知られている。
【0003】
クラムシェルタイプの開閉機構においては、モータ駆動により自動で開閉するタイプの機種が知られており、スライドタイプにおいてもヒンジにより半自動で開閉するタイプの機種が知られている(後者については特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004‐350270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなモータ駆動により自動で開閉する携帯電話機などの携帯情報端末装置においては、様々な電子部品が搭載された筐体内の限られたスペース内に開閉駆動用のモータや機構を設ける必要がある。
【0005】
しかしながら、このような携帯情報端末装置においては、モータにかかるトルクが大きく、モータは大出力の大型のものを用いなければならないという不具合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、出力が小さい小型のモータなどのアクチュエータにより携帯情報端末装置を開閉駆動できるようにし、また、機構の動きをコンパクトなものとして、携帯情報端末装置の小型化、軽量化を図ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、この場合の機構を外部に露出しないようにして、ごみなどが堆積しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前面にテンキーが設けられた下筐体と、前面にメインディスプレイが設けられた上筐体と、アクチュエータと、前記下筐体の前面上に設けられ、前記アクチュエータの駆動により一端部の回転軸を中心に回動する第1アームと、前記下筐体の前面上に設けられ、一端部が前記第1アームの他端部に回動自在に取り付けられている第2アームと、前記下筐体の前面上に設けられ、前記下筐体の長手方向をその長さ方向とするガイドレールと、前記第2アームの他端部に取り付けられ、一端部は前記ガイドレールに係合していて当該ガイドレール内を摺動自在であり、他端部は前記上筐体の底面に取り付けられているスライド部材と、を備え、前記アクチュエータの駆動により前記下筐体の前面上を前記上筐体がスライド移動して開閉する、携帯情報端末装置である。
【0009】
この場合に、前記ガイドレールは前記下筐体の前面上における前記上筐体のスライド移動により露出しない領域に設けられているようにしてもよい。
【0010】
また、前記ガイドレール及び前記スライド部材は複数組設けられていて、当該複数のスライド部材のうちのひとつが前記第2アームの他端部に固定されているようにしてもよい。
【0011】
さらに、前記スライド部材は前記ガイドレール内での摺動により、往動、復動の両方を行うようにしてもよい。
【0012】
前記アクチュエータは前記下筐体に設けられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1アームとこれに回動自在に連結された第2アームの2本のアームを駆動して上筐体をスライド移動させるため、1本のアームで駆動する場合に比べてアクチュエータにかかるトルクが低減し、出力が小さい小型のアクチュエータにより携帯情報端末装置を開閉駆動することができる。また、2本のアームが回動して上筐体をスライド移動させるので、1本のアームで駆動する場合に比べてアームの可動範囲をコンパクトなものにすることができる。これらにより、携帯情報端末装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0014】
また、ガイドレールを露出しない領域に設けたときは、ガイドレールなどにはごみなどが堆積することがなく、携帯情報端末装置の開閉動作に影響を与えないようにすることができる。
【0015】
ガイドレールとスライド部材とを複数組設けたときは、複数個所で上筐体をしっかりと支持してスライド移動させるので、上筐体の移動をスムーズにすることができる。
【0016】
さらに、スライド部材がガイドレールの往動、復動の両方を行うときは、携帯情報端末装置を開く動作、閉じる動作の何れも自動で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態である携帯情報端末装置の斜視図である。この携帯情報端末装置1は、スライドタイプの携帯電話である。携帯情報端末装置1は、大別して下筐体2と上筐体3とから構成される。下筐体2の前面4上には図示しないテンキーが設けられていて、上筐体3の前面5上には図示しないメインディスプレイが設けられている。上筐体3は、図1の状態から下筐体2の前面4上を矢印方向にスライド移動して図2の状態となり、下筐体2の前面4上のテンキーが露出して、携帯電話として使用することができる。
【0019】
次に、携帯情報端末装置1の開閉機構について詳細に説明する。
【0020】
図3は、閉じた状態の携帯情報端末装置1の平面図(a)、A‐A断面図(b)、B‐B(c)、図4は、下筐体2部分の平面図(a)、C‐C断面図(b)、D‐D断面図(c)、図5は、下筐体2部分の閉じた状態の平面図、図6は、下筐体2部分の開いた状態の平面図である。
【0021】
下筐体2内にはアクチュエータとなる正逆回転可能なDCモータ11が設けられている。DCモータ11は前面4の面方向を回転軸の方向として設置され、図示しないバッテリーを電源として動作する。DCモータ11の回転は遊星ギアを用いた減速機構12で減速され、所定の連結機構13を介して、その回転方向は90°変換されて、前面4に垂直な方向を軸方向とする出力軸14を回動する。出力軸14の先端部は前面4上に延出している。
【0022】
第1アーム21は、下筐体2の前面4上に設けられ、DCモータ11の駆動により一端部に固定された回転軸である出力軸14を中心に回動する。第2アーム22は、下筐体2の前面4上に設けられ、一端部が回転ピン23により第1アーム21の他端部(出力軸14に取り付けられていない方)と回動自在に取り付けられている。
【0023】
下筐体2の前面4上には、複数、この例では前面4上の左右2本の平行なガイドレール31,32が、下筐体2の長手方向をその長さ方向として設けられている。
【0024】
各ガイドレール31,32には、スライド部材となる滑りピン33,34の各一端部がそれぞれ摺動自在に係合している。滑りピン33には第2アーム22の他端部(第1アーム21が取り付けられていない方)が固定されている。また、滑りピン33,34の各他端部(ガイドレール31,32が係合していない方)は、上筐体3の底面6に回動自在に取り付けられている。第1アーム21と第2アーム22は同じ長さであり、ガイドレール31での滑りピン33の摺動方向上に出力軸14の回転中心がある。
【0025】
以上のような構成で、携帯情報端末装置1を開く時は、DCモータ11を駆動して図5、図6の反時計方向に回転ピン23を回転すると、第1アーム21が出力軸14を中心に反時計方向に回転し、滑りピン33がガイドレール31内を摺動して出力軸14方向に引き寄せられる。これにより、滑りピン34もガイドレール32内を摺動して下筐体2の図中上方向に移動する(図6の状態)。これにより、滑りピン33,34が取り付けられた上筐体3も下筐体2の前面4上をスライド移動して携帯情報端末装置1が開く(図2参照)。
【0026】
また、この状態からモータを逆回転すれば、第1アーム21が出力軸14を中心に時計方向に回転し、滑りピン33,34が取り付けられた上筐体3が下筐体2の前面4上をスライド移動して携帯情報端末装置1が閉じる(図1参照)。
【0027】
この携帯情報端末装置1によれば、第1アーム21とこれに回動自在に連結された第2アーム22の2本のアームを駆動して上筐体3をスライド移動させるため、1本のアームで駆動する場合に比べて、アームの長さを短くすることができ、支点から作用点までの距離を小さくすることができるため、DCモータ11にかかるトルクが低減し、出力が小さい小型のモータにより携帯情報端末装置1を開閉駆動することができる。また、2本のアーム21,22が回動して上筐体3をスライド移動させるので、1本のアームで駆動する場合に比べてアームの可動範囲をコンパクトなものにすることができる。よって、これらの作用により、携帯情報端末装置1の小型化、軽量化を図ることができる。
【0028】
また、携帯情報端末装置1は、完全に開いた状態(図2の状態)で、ガイドレール31,32は、下筐体2の前面4上において、上筐体3のスライド移動により露出しない領域に設けられている。
【0029】
これにより、ガイドレール31,32などにはごみなどが堆積することがなく、携帯情報端末装置1の開閉動作に影響を与えないようにすることができる。
【0030】
また、ガイドレールは複数、この例では下筐体2の前面4上の左右に2本設けられ、この複数のガイドレール31,32と複数の滑りピン33,34により上筐体3の動きを案内するので、上筐体3のスライド移動はスムーズに行われる。
【0031】
前述の例では、DCモータ11を正逆回転可能なモータとしているので、携帯情報端末装置1の開く動作も閉じる動作も図示しない操作ボタンを押すだけで自動で行なうことができる。
【0032】
この場合に、DCモータ11は正転のみ可能なモータを用い、開閉機構によりDCモータ11の回転を正転、逆転両用に切り換えることができるようにしてもよい。
【0033】
また、携帯情報端末装置1の開く動作のみ、又は閉じる動作のみを自動で行えるように構成しても良い。
【0034】
また、本実施例では、アクチュエータとして、DCモータを例に挙げたが、その限りでなく、超音波モータなどをアクチュエータとして利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態である携帯情報端末装置の閉じた状態の斜視図である。
【図2】携帯情報端末装置の開いた状態の斜視図である。
【図3】閉じた状態の携帯情報端末装置の平面図(a)、A‐A断面図(b)、B‐B断面図(c)である。
【図4】携帯情報端末装置の下筐体部分の平面図(a)、C‐C断面図(b)、D‐D断面図(c)である。
【図5】携帯情報端末装置を閉じた状態の下筐体部分の平面図である。
【図6】携帯情報端末装置を開いた状態の下筐体部分の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 携帯情報端末装置
2 下筐体
3 上筐体
4 前面(下筐体)
5 前面(上筐体)
6 底面(上筐体)
11 DCモータ
12 減速機構
13 連結機構
14 出力軸
21 第1アーム
22 第2アーム
23 回転ピン
31 ガイドレール
32 ガイドレール
33 滑りピン
34 滑りピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にテンキーが設けられた下筐体と、
前面にメインディスプレイが設けられた上筐体と、
アクチュエータと、
前記下筐体の前面上に設けられ、前記アクチュエータの駆動により一端部の回転軸を中心に回動する第1アームと、
前記下筐体の前面上に設けられ、一端部が前記第1アームの他端部に回動自在に取り付けられている第2アームと、
前記下筐体の前面上に設けられ、前記下筐体の長手方向をその長さ方向とするガイドレールと、
前記第2アームの他端部に取り付けられ、一端部は前記ガイドレールに係合していて当該ガイドレール内を摺動自在であり、他端部は前記上筐体の底面に取り付けられているスライド部材と、
を備え、
前記アクチュエータの駆動により前記下筐体の前面上を前記上筐体がスライド移動して開閉する、携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記ガイドレールは前記下筐体の前面上における前記上筐体のスライド移動により露出しない領域に設けられている、請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記ガイドレール及び前記スライド部材は複数組設けられていて、当該複数のスライド部材のうちのひとつが前記第2アームの他端部に固定されている、請求項1又は2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記スライド部材は前記ガイドレール内での摺動により、往動、復動の両方を行う、請求項1〜3の何れかの1項に記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは前記下筐体に設けられている、請求項1〜4の何れかの1項に記載の携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−53804(P2008−53804A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225271(P2006−225271)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000240477)並木精密宝石株式会社 (210)
【Fターム(参考)】