説明

携帯機器

【課題】部品点数を削減して防水が確保されたタッチパネルを有した携帯機器を課題とする。
【解決手段】本実施例の携帯機器1は、底壁部72、底壁部72上に設けられた枠状の周壁部44、を含む第1ケース40及び第2ケース70、と、周壁部44に接着された接着部、第1ケース40、第2ケース70に包囲され接着部よりも内側に位置した接点部37、を含む感圧式のタッチパネル30と、接点部37を介してタッチパネル30に電気的に接続された制御基板60と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯機器に関する。特に、抵抗膜式のタッチパネルを備えた携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜式のタッチパネルを備えた携帯機器がある。タッチパネルは、外部装置との電気的接続を確保するための接点部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−38796号公報
【特許文献2】特開2008−181366号公報
【特許文献3】特開平9−115378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような接点部は、タッチパネルの縁側に設けられている。例えば、タッチパネルにフレキシブル基板を接続する場合、フレキシブル基板はタッチパネルの縁から引き出される。このようなフレキシブル基板は、一端はタッチパネル側に接続されるが、他端はケース内に配置された制御基板に接続される。フキレシブル基板をケース内に引き回す際には、フレキシブル基板とケースとの間に防水構造が設けられる。フレキシブル基板とケースとの間から水が浸入するのを防ぐためである。しかしながら、このような防水構造を設けると携帯機器の部品点数が増える。
【0005】
本発明は、部品点数を削減して防水が確保されたタッチパネルを有した携帯機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の携帯機器は、底壁部、前記底壁部上に設けられた枠状の周壁部、を含むケースと、前記周壁部に接着された接着部、前記ケースに包囲され前記接着部よりも内側に位置した接点部、を含む感圧式のタッチパネルと、前記接点部を介して前記タッチパネルに電気的に接続された制御基板と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
部品点数を削減して防水が確保されたタッチパネルを有した携帯機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aは、本実施例の携帯電話1の説明図、図1Bは、表示部の分解斜視図。
【図2】図2は、表示部の断面図。
【図3】図3は、タッチパネルの構造の説明図。
【図4】図4は、タッチパネル30の背面図。
【図5】図5A、5Bは、本実施例の携帯電話の表示部とは異なる構造を有した表示部の説明図。
【図6】図6は、変形例である表示部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
携帯電話を携帯機器の一例として説明する。
図1Aは、本実施例の携帯電話1の説明図である。携帯電話1は、本体部10、表示部20を有している。本体部10、表示部20は、それぞれヒンジ機構により回転可能に連結されている。これにより、本体部10、表示部20は開閉可能に連結される。本体部10には、携帯電話1を操作するための操作キー15が形成されている。表示部20には、タッチパネル30、内部にディスプレイ50が設けられている。
【0010】
図1Bは、表示部20の分解斜視図である。表示部20は、タッチパネル30、第1ケース40、ディスプレイ50、制御基板60、第2ケース70等を含む。タッチパネル30、第1ケース40、ディスプレイ50、制御基板60、第2ケース70は、表示部20の正面側から背面側に順に配置されている。タッチパネル30は、抵抗膜式のタッチパネルである。タッチパネル30には、フレキシブル基板39が接続されている。また、タッチパネル30は、フレキシブル基板39の周囲に切欠部30Pが形成されている。
【0011】
第1ケース40は、略角枠状である。第1ケース40は、略矩形状の開口部42を有している。ディスプレイ50は、操作キー15又はタッチパネル30からの操作に応じて所定の画像を表示する。ディスプレイ50は表示パネルに相当する。制御基板60は、ディスプレイ50を実装している。また、制御基板60の背面側には、フレキシブル基板39が接続されるコネクタ68を有している。制御基板60は、フレキシブル基板39を介してタッチパネル30と電気的に接続されている。
【0012】
制御基板60には、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などが実装されており、タッチパネル30からの出力に応じてタッチパネル30へのタッチ位置を検出する機能を有している。制御基板60は、タッチパネル30と電気的に接続された電子部品に相当する。
【0013】
図2は、表示部20の断面図である。
図2に示すように、タッチパネル30は、意匠シート31、第1センサ32、第2センサ34、補強板38を含む。意匠シート31は、タッチパネル30の最も正面側に配置されている。意匠シート31は、可撓性を有しており合成樹脂製である。意匠シート31は、第1センサ32の正面側に貼り付けられている。意匠シート31は、第1センサ32を保護する機能を有している。意匠シート31は光透過性を有している。
【0014】
第1センサ32、第2センサ34は、詳しくは後述するが、それぞれ導電性膜を有している。補強板38は、第2センサ34の背面側に配置されている。補強板38は、合成樹脂製である。
【0015】
第2ケース70は、底壁部72、底壁部72上に形成された周壁部74、を有している。周壁部74の上端面に第1ケース40が接着されている。第1ケース40は、内側に突出した周壁部44を有している。第1ケース40、第2ケース70は、合成樹脂製である。第1ケース40、第2ケースは、協働で表示部20のケースとして機能する。
【0016】
周壁部44には、タッチパネル30が両面テープ90により接着されている。両面テープ90は防水性を有している。両面テープ90は、表示部20内部への水の浸入を防止する防水部材に相当する。図1Bに示すように、両面テープ90は、タッチパネル30の背面側の周縁に沿うように貼り付けられている。タッチパネル30は、開口部42を塞ぐように第1ケース40に貼り付けられている。タッチパネル30の背面側の周縁部が、第1ケース40に接着されたタッチパネル30の接着部に相当する。詳細には、補強板38の背面側の縁部が接着部に相当する。
【0017】
タッチパネル30には、切欠部30Pが形成されている。切欠部30Pは、第2センサ34、補強板38が部分的に切り欠きられて形成されている。切欠部30Pにより第1センサ32の背面側が部分的に露出する。この第1センサ32の露出した部分に、フレキシブル基板39の一端が接続される接点部37が設けられている。接点部37とフレキシブル基板39とは、ACF接続により接続されている。接点部37は、タッチパネル30と外部装置との電気的な接続を確保する機能を有している。接点部37の数などについては後述する。
【0018】
以上のように、接点部37は、両面テープ90よりも内側に位置し、かつタッチパネル30の背面側に位置する。従って、接点部37及びフレキシブル基板39は、第1ケース40、第2ケース70に包囲される。これにより、防水が確保されている。また、表示部20における防水は、単一の両面テープ90によって確保されている。このため、防水部材の点数が少なくてすみ、表示部20は部品点数が削減されている。
【0019】
また、タッチパネル30の背面側の周縁が第1ケース40に接着されており、タッチパネル30の正面側の周縁は、他の部材に覆われていない。このため、タッチパネル30の正面側の面積を確保することができる。これにより、タッチパネル30の操作領域を確保することができる。例えば、タッチパネル30の正面側の周縁を覆う額縁をケースに設けた場合には、タッチパネル30の操作領域が狭くなる。
【0020】
図3は、タッチパネル30の構造の説明図である。図3に示すように、第1センサ32は、基板32a、基板32aの背面側に形成されたITO膜(Indium tin oxide膜)32bを含む。第2センサ34は、基板34a、基板34aの正面側に形成されたITO膜34bを含む。ITO膜32b、34bは、導電性膜に相当する。
【0021】
基板32aは、フィルム状である。フィルムとしてはポリエステルフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。基板32aは、プラスチックシートであってもよい。プラスチックシートとしては、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンまたはアクリル樹脂のシートなどがある。基板34aは、ガラス製である。基板34aは、フィルム状であってもよいし、プラスチックシートであってもよい。
【0022】
ITO膜32b、34bは、酸化金属膜の一例であり、酸化亜鉛膜(ZnO膜)でもよい。ITO膜32bは、基板32a上にスパッタリング又はCVD方式によって形成することができる。
【0023】
第1センサ32と第2センサ34との間には、貼り合わせ部材36が介在している。貼り合わせ部材36は、ITO膜32bの周縁とITO膜34bの周縁との間に介在している。貼り合わせ部材36は枠状である。貼り合わせ部材36は、タッチパネル30の正面側が押圧されていない状態でITO膜32bとITO膜34bとが接触しないだけのスペースを確保する機能を有している。これにより、ITO膜32b、34bは、離間しつつ対向する。
【0024】
図4は、タッチパネル30の背面図である。
図4に示すように、ITO膜32b、34bにはそれぞれ一対の電極が設けられている。ITO膜32bには、互いに対向する略平行な電極33a、33bが設けられている。ITO膜34bには、互いに対向し略平行な電極35a、35bが設けられている。電極33a、33bと、電極35a、35bとは略直交する。また、接点部37は、接点部37a〜37dを含む。接点部37a〜37dは、それぞれ、電極35a、33b、35b、33aに電気的に接続されている。これらの接続は、配線により確保されている。
【0025】
制御基板60に実装されたCPUは、例えば、電極33a、33b間に電圧を印加した状態でタッチパネル30が押圧されると、ITO膜32b、34bが接触する。この際に、電極35a、35bから電圧値を読み取ることにより、Y方向での押圧位置を検出できる。同様に、電極35a、35b間に電圧を印加した状態でタッチパネル30が押圧された際に、電極33a、33bから電圧値を読み取ることにより、X方向での押圧位置を検出できる。尚、このような押圧位置の検出方法は公知のものである。
【0026】
次に、本実施例の携帯電話1の表示部20とは異なる構造を有した表示部20xについて説明する。図5A、5Bは、本実施例の携帯電話1の表示部20とは異なる構造を有した表示部20xの説明図である。図5Aに示すように、フレキシブル基板39xは、タッチパネル30xの縁から外部に引き出されている。接点部37xは、図5A、5Bに示すようにタッチパネル30xの縁に設けられている。図5Aに示すように、補強板38xの背面側の周縁は、両面テープ90により第1ケース40xの周壁部44xに貼り付けられている。フレキシブル基板39xは、周壁部44xに設けられた貫通孔45xを通過して、第1ケース40x及び第2ケース70x内にまで引き回されている。貫通孔45xは表示部20xの厚み方向に延びている。貫通孔45xとフレキシブル基板39xとの間にはガスケット100xが設けられている。ガスケット100xは、弾性を有している。ガスケット100xは、貫通孔45xとフレキシブル基板39xとの間から水が第1ケース40x及び第2ケース70x内に浸入することを防止している。
【0027】
このように、フレキシブル基板39xがタッチパネル30の縁から引き出されている。換言すれば、接点部37xがタッチパネル30の縁に設けられているので、フレキシブル基板39xを表示部20xの内部に引き回すことにより、ガスケット100xを設ける必要がある。従って、表示部20xには、両面テープ90とガスケット100xとの2つの防水部材が設けられており、部品点数が増大している。
【0028】
しかしながら、本実施例の携帯電話1においては、図2に示したように、上記のようなガスケット100xを設ける必要がない。従って、フレキシブル基板39を設けたことに起因して特別な防水部材を新たに設けなくてもよい。このように本実施例の携帯電話1は部品点数が削減される。
【0029】
また、図5Aに示すように、ガスケット100xの防水性を担保するためには、表示部20xの厚み方向TDでのガスケット100xの長さを、ある程度確保する必要がある。ガスケット100xが短いと、内部に水が浸入する恐れがあるからである。従って、表示部20xの厚み方向TDの大きさが増す。また、フレキシブル基板39xは、タッチパネル30の縁から引き回されているので、表示部20の平面方向PDでの大きさも増す。
【0030】
しかしながら、本実施例の携帯電話1においては、上記のような防水構造を設ける必要がないため、表示部20の厚み方向TDの長さを短くすることができる。同様に、平面方向PDの長さを短くすることができる。
【0031】
また、図5Aに示すように、接点部37x周辺、換言すれば、タッチパネル30xとフレキシブル基板39xとの接続箇所周辺は、外部に露出している。このため、例えば、第2センサ34xとフレキシブル基板39xとの間から第1センサ32xと第2センサ34xとの間へ水が浸入する恐れもある。
【0032】
しかしながら、本実施例の携帯電話1においては、図2に示したように、フレキシブル基板39及び接点部37が、第1ケース40及び第2ケース70に包囲されているので、これらの防水が図られている。
【0033】
次に表示部の変形例について説明する。
図6は、変形例である表示部20mの説明図である。
切欠部30Pmは、第1センサ32m、34m、補強板38mが切り欠きられて形成されている。切欠部30Pmは、スリット状である。また、接点部37mは、ITO膜34b内に形成されている。フレキシブル基板39mは、タッチパネル30mから切欠部30Pmを介して引き回され、コネクタ68に接続されている。このように、接点部37mが露出していなくてもよい。尚、表示部20mは、単一のケース70mを有している。ケース70mは、その開口部の周縁に枠状の周壁部74mが形成されている。周壁部74mの上端面に両面テープ90によりタッチパネル30mが貼り付けられている。
【0034】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0035】
携帯機器は、携帯電話に限定されない。例えば、携帯機器は、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants)、電卓、時計、GPS(Global Positioning System:全地球位置情報システム)、ノートパソコンであってもよい。
【0036】
フレキシブル基板39以外を用いて、タッチパネル30と制御基板60との電気的な接続を確保してもよい。例えば、制御基板60にコネクタピンを設け、タッチパネル30の接点部37がコネクタピンに接触するようにしてもよい。また、制御基板60に板バネ状の切片を設け、接点部37に切片が接触するようにしてもよい。
【0037】
付記1
底壁部、前記底壁部上に設けられた枠状の周壁部、を含むケースと、
前記周壁部に接着された接着部、前記ケースに包囲され前記接着部よりも内側に位置した接点部、を含む感圧式のタッチパネルと、
前記接点部を介して前記タッチパネルに電気的に接続された制御基板と、
を備えた携帯機器。
付記2
前記タッチパネルは、離間しつつ対向配置された第1、第2導電性膜を含み、
前記第2導電性膜は、前記第1導電性膜が部分的に露出した切欠部を含み、
前記接点部は、前記切欠部から露出した前記第1導電性膜の部分に設けられている、付記1の携帯機器。
付記3
前記タッチパネルは、離間しつつ対向配置された第1、第2導電性膜を含み、
前記第1、第2導電性膜は、切欠部を含み、
前記制御基板は、前記接点部と接続し前記切欠部から引き出されたフレキシブル基板と接続している、付記1の携帯機器。
付記4
前記第1、第2導電性膜は、それぞれ一対の電極部を含み、
前記接点部は、前記電極部のそれぞれと導通した複数の接点部を含む、付記2又は3の携帯機器。
付記5
前記接着部は、前記タッチパネルの背面側に位置する、付記1の携帯機器。
付記6
前記タッチパネルの背面側に配置された表示パネルを備えた、付記1の携帯機器。
【符号の説明】
【0038】
1 携帯電話
10 本体部
20 表示部
30 タッチパネル
32 第1センサ
32b、34b ITO膜
34 第2センサ
37 接点部
38 補強板
40 第1ケース
44 周壁部
50 ディスプレイ
60 制御基板
70 第2ケース
72 底壁部
90 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部、前記底壁部上に設けられた枠状の周壁部、を含むケースと、
前記周壁部に接着された接着部、前記ケースに包囲され前記接着部よりも内側に位置した接点部、を含む感圧式のタッチパネルと、
前記接点部を介して前記タッチパネルに電気的に接続された制御基板と、
を備えた携帯機器。
【請求項2】
前記タッチパネルは、離間しつつ対向配置された第1、第2導電性膜を含み、
前記第2導電性膜は、前記第1導電性膜が部分的に露出した切欠部を含み、
前記接点部は、前記切欠部から露出した前記第1導電性膜の部分に設けられている、請求項1の携帯機器。
【請求項3】
前記タッチパネルは、離間しつつ対向配置された第1、第2導電性膜を含み、
前記第1、第2導電性膜は、切欠部を含み、
前記制御基板は、前記接点部と接続し前記切欠部から引き出されたフレキシブル基板と接続している、請求項1の携帯機器。
【請求項4】
前記第1、第2導電性膜は、それぞれ一対の電極部を含み、
前記接点部は、前記電極部のそれぞれと導通した複数の接点部を含む、請求項2又は3の携帯機器。
【請求項5】
前記接着部は、前記タッチパネルの背面側に位置する、請求項1の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107989(P2011−107989A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262355(P2009−262355)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】