携帯機
【課題】電子キーにおいて、ユーザによる携帯機の把持方向に関わらず振り操作に基づき所望の遠隔制御を行うことにある。
【解決手段】マイコン23を通じてユーザによる電子キー2の把持方向が判断される。また、加速度センサ21を通じて電子キー2を基準とした振り操作方向が検出される。よって、マイコン23は、把持方向に係る判断結果及び加速度センサ21の検出結果に基づき、ユーザを基準とした電子キー2の振り操作方向を判断可能となる。これにより、ユーザによる電子キー2の把持方向がたとえ異なっても、その振り方向に対応してスライドドアを開閉させることができる。よって、ユーザは、電子キー2の振り操作を通じて確実に所望の制御を行うことができる。
【解決手段】マイコン23を通じてユーザによる電子キー2の把持方向が判断される。また、加速度センサ21を通じて電子キー2を基準とした振り操作方向が検出される。よって、マイコン23は、把持方向に係る判断結果及び加速度センサ21の検出結果に基づき、ユーザを基準とした電子キー2の振り操作方向を判断可能となる。これにより、ユーザによる電子キー2の把持方向がたとえ異なっても、その振り方向に対応してスライドドアを開閉させることができる。よって、ユーザは、電子キー2の振り操作を通じて確実に所望の制御を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、振り操作に基づき制御対象を制御可能に構成される携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両及び住宅等の制御対象との間での無線通信を通じて、ドアの施解錠をはじめとする各種制御を行う電子キー(携帯機)が知られている。車両用の電子キーには、ドアの施錠及び解錠を行うロックスイッチ及びアンロックスイッチの他、ドアウインドウやスライドドアを開閉させるドア開閉スイッチ等の各種スイッチが設けられている。よって、ユーザは複数のスイッチから所望のスイッチを黙視したうえで押し操作する必要があった。そして、それがスイッチの押し間違えを誘発する一因となっていた。そこで、例えば、特許文献1に記載の電子キーにおいては、許可スイッチを押した状態での振り操作によって制御対象の遠隔制御が可能に構成されている。
【0003】
具体的には、図14(a)に示されるように、電子キー101は、自身に設定される3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の加速度を検出する加速度センサを備える。許可スイッチ102が押された状態で電子キー101が右方向に振り操作されたとき、X軸方向にプラスの加速度が検出される。このとき、電子キー101は例えば車両ドアの解錠を要求する旨の無線信号を車両に送信する。車両は前記無線信号を受信すると車両ドアの解錠を実行する。
【0004】
そして、許可スイッチ102が押された状態で電子キー101が左方向に振り操作されたとき、X軸方向にマイナスの加速度が検出される。このとき、電子キー101は、例えば車両ドアの施錠を要求する旨の無線信号を車両に送信する。車両は前記無線信号を受信すると車両ドアの施錠を実行する。
【0005】
以上のように、電子キーの振り操作によって制御対象の遠隔制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−303026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電子キーはユーザによって常に一定方向に把持されるとは限らない。図14(b)においては、電子キー101は上記図14(a)と上下方向(Y軸方向)が反対の向きで把持されている。この場合、電子キー101が右方向に振り操作されたときX軸方向にマイナスの加速度が検出される。このため、電子キー101が右方向に振り操作されたにも関わらず上記と異なって車両ドアの施錠が実行される。これと同様にして電子キー101が左方向に振り操作されたときには、X軸方向にプラスの加速度が検出されて上記と異なって車両ドアの解錠が実行される。
【0008】
このように、ユーザによって正しい方向に振り操作されたにも関わらず、その電子キーの向きによって所望の遠隔制御が実行されないおそれがあった。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザによる携帯機の把持方向に関わらず振り操作に基づき所望の遠隔制御が可能となる携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、携帯機を基準とした振り操作方向を検出するモーションセンサと、ユーザによる前記携帯機の把持方向を判断する把持方向判断手段と、前記モーションセンサの検出結果及び前記把持方向判断手段の判断結果に基づきユーザを基準とした前記携帯機の振り操作方向を判断し、判断された振り操作方向に基づく内容の制御を要求する旨の無線信号を制御対象に送信する制御装置と、を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、把持方向判断手段を通じてユーザによる携帯機の把持方向が判断される。また、モーションセンサを通じて携帯機を基準とした振り操作方向が検出される。よって、把持方向判断手段の判断結果及びモーションセンサの検出結果に基づき、ユーザを基準とした携帯機の振り操作方向が判断可能となる。これにより、ユーザによる携帯機の把持方向がたとえ異なっても、ユーザを基準として同じ方向に振り操作されたときには同一の制御を要求する旨の無線信号が送信される。よって、ユーザは、携帯機の振り操作を通じて確実に所望の制御を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯機において、前記携帯機は、その一端側からユーザによって把持される第1の把持方向と、その他端側からユーザによって把持される第2の把持方向との何れかの方向から把持され、前記把持方向判断手段はユーザの手指の接近を検出する近接センサと、前記近接センサの検出結果に基づき前記携帯機の把持方向を判断する判断部と、を備え、前記近接センサは、前記携帯機の表面における、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第1の範囲及び前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第2の範囲の少なくとも何れか一方の範囲に設けられることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、近接センサは、携帯機の表面における、第1の把持方向においてユーザの手指が接近する第1の範囲及び第2の把持方向においてユーザの手指が接近する第2の範囲の少なくとも何れか一方の範囲に設けられる。よって、近接センサの検出結果に基づき第1の範囲及び第2の範囲の何れにユーザの手指が接近しているか、ひいては携帯機の把持方向が第1及び第2の把持方向の何れであるかが判断可能となる。なお、接近とは、携帯機に手指が近づくことに加えて、手指が接触することも含む概念である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の携帯機において、前記振り操作時とは異なる制御を要求する旨の無線信号を送信する際に操作される、又は操作されているときにのみ前記振り操作に基づき前記無線信号が送信されるスイッチを備え、前記近接センサは前記第1の範囲にのみ設けられ、前記第1の範囲は、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近する範囲であって、前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近しない範囲であることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、近接センサは、第1の把持方向から携帯機が把持されている状態においてスイッチが操作されるときユーザの手指の接近を検出するとともに、第2の把持方向から携帯機が把持されている状態においてスイッチが操作されるときユーザの手指の接近を検出しない。従って、単一の近接センサで携帯機の把持方向が判断可能となる。これにより、携帯機をより簡易に構成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯機において、前記スイッチはドアの施錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される施錠スイッチと、ドアの解錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される解錠スイッチと、からなるとともに、前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチは前記両把持方向に沿って設けられ、前記第1の範囲は前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチ間に形成されることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、第1の範囲に設置される近接スイッチは、施錠スイッチ及び解錠スイッチ間に設けられる。例えば、第1の把持方向において手前側から施錠スイッチ、近接センサ及び解錠スイッチの順に並んでいるとする。この場合、第1の把持方向において施錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出せず、解錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出する。一方、第2の把持方向においては、施錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出し、解錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出しない。このため、スイッチが2つの場合であっても、1つの近接センサにて携帯機の把持方向の判断が可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の携帯機において、前記近接センサは、前記携帯機の裏面における前記一端側及び前記他端側の少なくとも何れか一方の角部に設けられることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、近接センサは、携帯機の裏面における一端側及び他端側の角部の少なくとも何れか一方に設けられている。ここで、これら角部は、携帯機を第1又は第2の把持方向から把持したときにユーザの手に最も接触し易い位置である。従って、近接センサは、ユーザが携帯機を把持したとき、ユーザの接近を確実に検出できる。これにより、携帯機の把持方向がより確実に判断される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子キーにおいて、ユーザによる携帯機の把持方向に関わらず振り操作に基づき所望の遠隔制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態における電子キーシステムの構成図。
【図2】第1の実施形態における電子キーの斜視図。
【図3】第1の実施形態における車両の上面図。
【図4】第1の実施形態における(a)は第1の把持方向における電子キーの操作時の説明図、(b)は第2の把持方向における電子キーの操作時の説明図。
【図5】第1の実施形態における操作されるスイッチ、近接センサの検出結果、及び把持方向の判断結果を示した表。
【図6】第1の実施形態における加速度センサの検出結果及び振り操作方向の判断結果を示した表。
【図7】第1の実施形態における操作されるスイッチ及び振り操作方向に基づく要求する制御内容を示した表。
【図8】第1の実施形態における各種要求信号送信に係る制御プログラムの処理手順を示したフローチャート。
【図9】第2の実施形態における背面側からの電子キーの斜視図。
【図10】第2の実施形態における(a)は第1の把持方向における電子キーの操作時の説明図、(b)は第2の把持方向における電子キーの操作時の説明図。
【図11】第3の実施形態における電子キーの斜視図。
【図12】他の実施形態における電子キーの正面図。
【図13】他の実施形態における電子キーの正面図。
【図14】(a)及び(b)は背景技術における異なる把持方向にて電子キーが把持された状態における電子キーの振り操作時の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した第1の実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の車両には、電子キーシステム1が搭載されている。電子キーシステム1では、ユーザが所持する電子キー2(送信側)と、車載装置3(受信側)との間で無線信号による単方向通信が可能である。
【0023】
図2に示すように、電子キー2は、その表面に車両ドアを施錠する際に操作されるロックスイッチ27と、車両ドアを解錠する際に操作されるアンロックスイッチ26と、これらスイッチ26,27間に設けられる近接センサ28と、を備えている。
【0024】
ロックスイッチ27及びアンロックスイッチ26はプッシュ式スイッチである。また、近接センサ28はユーザの手指の接近を検出する。本例では、近接スイッチとして静電容量型が採用されている。
【0025】
図3に示すように、車両4における後側のサイドドアは右側のスライドドア6R及び左側のスライドドア6Lにて構成されている。各スライドドア6L,6Rは車両4に対して前後方向にスライドすることで開閉する。
【0026】
ユーザはスライドドア6L,6Rを含む全ての車両ドアが閉じた状態において、電子キー2のアンロックスイッチ26又はロックスイッチ27を押下することで、全ての車両ドアの施錠又は解錠を行うことができる。さらに、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27を押下した状態を保ったまま、スライドドア6R,6Lを移動させたい方向に振り操作をすることで、同方向に自動でスライドドア6R,6Lを開閉させることができる。
【0027】
次に、電子キーシステム1を構成する電子キー2及び車載装置3の構成について説明する。
(電子キー2)
図1に示すように、電子キー2は、ロックスイッチ27、アンロックスイッチ26及び近接センサ28に加えて、マイコン(マイクロコンピュータ)23と、送信回路24と、送信アンテナ25と、加速度センサ21とを備えている。なお、電子キー2には図示しない電池が内蔵され、同電池から各部に動作電源が供給される。
【0028】
加速度センサ21は、電子キー2が振られたときに生じる加速度に応じた電圧を検出結果として、マイコン23に出力する。加速度センサ21は3軸方向(図2の左上に示す互いに直交するX軸、Y軸、Z軸)の加速度を検知可能である。加速度センサ21には機械式、光学式、半導体式等のものがあるが電子キー2に内蔵可能であって振り操作に基づく加速度を検出できるものであれば何れであってもよい。
【0029】
マイコン23は、不揮発性のメモリ23aを備えるとともに、そのメモリ23aには、電子キー2の把持方向、振り操作の有無及びその方向等の判断基準となるデータ、並びに電子キー2毎に設定されたIDコード(識別コード)等が記憶されている。
【0030】
アンロックスイッチ26が操作されるとその旨を示す操作信号Suがマイコン23に出力され、ロックスイッチ27が操作されるとその旨を示す操作信号Slがマイコン23に出力される。操作信号Sl,Suはロックスイッチ27又はアンロックスイッチ26が押下されている限りは出力され続け、押下されなくなると出力は停止する。マイコン23は操作信号Sl,Suの入力の有無に基づきアンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作の有無を検知する。
【0031】
マイコン23は、いずれかの操作信号Sl,Suの入力を契機として加速度センサ21及び近接センサ28へ電力を供給して、これらを起動させる。そして、近接センサ28の検出結果に基づき電子キー2の把持方向を判断した後、振り操作の有無及び振り操作の方向の判断を行う。マイコン23は、操作信号Sl,Suが検知できなくなった時点で加速度センサ21及び近接センサ28への電力の供給を停止する。すなわち、マイコン23は、操作信号Sl,Suが検知されない期間においては上記把持方向等の判断は行わない。
【0032】
マイコン23は、アンロックスイッチ26が操作されたことを、操作信号Suの入力を通じて認識すると、IDコード及びドアの解錠を要求する旨のコードを含む解錠要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。送信回路24は、入力された解錠要求信号を所定周波数帯の電波に変調して、その変調した解錠要求信号を送信アンテナ25を通じて送信する。
【0033】
また、マイコン23は、ロックスイッチ27が操作されたことを、操作信号Slの入力を通じて認識すると、IDコード及びドアの施錠を要求する旨のコードを含む施錠要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。送信回路24は、入力された施錠要求信号を所定周波数帯の電波に変調して、その変調した施錠要求信号を送信アンテナ25を通じて送信する。なお、本実施形態において所定周波数帯とはUHF(Ultra High Frequency)帯である。
【0034】
マイコン23は、操作信号Sl,Suを検知したときの近接センサ28の検出結果に基づきユーザによる電子キー2の把持方向を判断する。そして、マイコン23は、判断された把持方向、及び操作信号Sl,Suを検知した状態での加速度センサ21の検出結果に基づきユーザを基準とした電子キー2の振り操作方向を判断し、その振り操作方向に応じてスライドドア6R,6Lの開閉を要求する。
【0035】
詳しくは、図4(a)及び(b)に示すように、電子キー2は主に2種類の把持方向から把持される。図4(a)に示すように、ロックスイッチ27を手前側にした把持方向を第1の把持方向とする。また、図4(b)に示すように、アンロックスイッチ26を手前側にした把持方向を第2の把持方向とする。本例では、電子キー2の背面が人指し指、中指等で支えられた状態で親指にてアンロックスイッチ26及びロックスイッチ27が操作される。
【0036】
図5の表に示すように、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作時における近接センサ28の検出結果に基づき第1及び第2の把持方向の何れで電子キー2が把持されているかが判断される。すなわち、近接センサ28及びマイコン23は把持方向判断手段に相当する。
【0037】
具体的には、図4(a)に示すように、第1の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、ロックスイッチ27が操作されるときには近接センサ28の上方には手指が接近しない。従って、近接センサ28は手指の接近を検出しない。よって、図5の表の上段に示すように、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ28の検出がなければ第1の把持方向であると判断される。
【0038】
同様に、図4(a)に示すように、第1の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、アンロックスイッチ26が操作されるときには親指が近接センサ28の上方に位置する。このため、近接センサ28は手指の接近を検出する。よって、図5の表の下段に示すように、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ28の検出があれば第1の把持方向であると判断される。
【0039】
また、図4(b)に示すように、第2の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、アンロックスイッチ26が操作されるときには近接センサ28に手指が接近しない。従って、近接センサ28は手指の接近を検出しない。よって、図5の表の中段に示すように、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ28の検出がなければ第2の把持方向であると判断される。
【0040】
同様に、図4(b)に示すように、第2の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、ロックスイッチ27が操作されるときには親指が近接センサ28の上方に位置する。従って、近接センサ28は手指の接近を検出する。よって、図5の表の中段に示すように、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ28の検出があれば第2の把持方向であると判断される。
【0041】
そして、マイコン23は、図6の表に示すように、判断された第1及び第2の把持方向と加速度センサ21の検出結果とを照らし合わしてユーザを基準とした振り操作方向を判断する。
【0042】
マイコン23は、加速度センサ21により検出されるX軸方向の加速度と、しきい値Gth1,Gth2とを比較して振り操作の有無を判断する。図3のXY軸の座標系に示すように、しきい値Gth1はX軸方向の加速度においてプラスの値であって振り操作に伴う加速度未満に設定される。しきい値Gth2はX軸方向の加速度においてマイナスの値であって振り操作に伴う加速度より大きく設定されている。
【0043】
具体的には、図3に示すように、ユーザは第1の把持方向から電子キー2を把持しつつ右方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第1の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth1を超えるX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として右方向に振り操作された旨判断する。
【0044】
これと同様に、ユーザは第1の把持方向から電子キー2を把持しつつ左方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第1の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth2未満(絶対値とした場合にはしきい値Gth2を超える)のX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として左方向に振り操作された旨判断する。
【0045】
第2の把持方向から電子キー2が把持された場合には、図3の左下円中に示すように、X軸及びY軸の加速度の正負が逆転する。よって、振り方向の判断は左右で逆となる。
すなわち、ユーザは第2の把持方向から電子キー2を把持しつつ右方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第2の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth2未満のX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として右方向に振り操作された旨判断する。
【0046】
また、ユーザは第2の把持方向から電子キー2を把持しつつ左方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第2の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth1を超えるX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として左方向に振り操作された旨判断する。
【0047】
以上によって、第1及び第2の把持方向の何れから電子キー2が把持された場合であっても、ユーザを基準とした振り操作方向(右方向及び左方向)が正しく判断される。
マイコン23は、図7の表に示すように、操作されたスイッチ26,27(正確には入力される操作信号Su,Sl)及びユーザを基準とした振り操作方向に基づき両スライドドア6R,6Lの何れかに対応する開ドア要求信号又は閉ドア要求信号を生成する。
【0048】
マイコン23は、操作信号Suを検知した状態にて、ユーザからみて右方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び左側スライドドア6Lを開くことを要求する旨のコードを含む開ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0049】
また、マイコン23は操作信号Suを検知した状態にて、ユーザからみて左方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び右側スライドドア6Rを開くことを要求する旨のコードを含む開ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0050】
さらに、マイコン23は操作信号Slを検知した状態にて、右方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び右側スライドドア6Rを閉じることを要求する旨のコードを含む閉ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0051】
また、マイコン23は操作信号Slを検知した状態にて、左方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び左側スライドドア6Lを閉じることを要求する旨のコードを含む閉ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0052】
送信回路24は、入力された開ドア要求信号若しくは閉ドア要求信号を所定周波数帯の電波に変調して、その変調された信号を送信アンテナ25を介して送信する。
(車載装置3)
図1に示すように、車載装置3は、受信アンテナ31と、受信回路32と、車載制御部33とを備えている。受信アンテナ31は、電子キー2から送信されてくる各種要求信号(施錠要求信号、解錠要求信号、開ドア要求信号、閉ドア要求信号)を受信する。受信回路32は、受信アンテナ31により受信された各種要求信号を復調し、その復調した各種要求信号を車載制御部33に出力する。
【0053】
車載制御部33は、不揮発性のメモリ33aを備えるとともに、そのメモリ33aには、電子キー2のIDコードと同一のIDコードが記憶されている。車載制御部33は、受信回路32からの各種要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合を行う。
【0054】
車載制御部33は、解錠要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、ドア制御装置40を介して車両ドアの解錠を実行する。
【0055】
また、車載制御部33は、施錠要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、ドア制御装置40を介して車両ドアの施錠を実行する。
【0056】
車載制御部33は、右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lに対応する開ドア要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、スライドドア装置41を介して右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lを開放する。
【0057】
また、車載制御部33は、右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lに対応する閉ドア要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、スライドドア装置41を介して右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lを閉じる。
【0058】
次に、マイコン23が実行する各種要求信号の送信に係る制御プログラムについて説明する。当該制御プログラムは図8のフローチャートに従って実行される。この制御プログラムは、何れかの操作信号Su,Slが入力されたとき開始される。
【0059】
まず、入力された操作信号Su,Slに基づき解錠要求信号又は施錠要求信号が送信される(S101)。そして、上記図5を参照して説明したように、入力された操作信号Su,Sl及び近接センサ28の検出結果に基づき、電子キー2が第1及び第2の把持方向の何れから把持されているかが判断される(S102)。つぎに、操作信号Su,Slの入力が継続しているか否かが判断される(S103)。操作信号Su,Slの入力が継続していない旨判断された場合(S103でNO)、すなわち、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作が解除された場合には開ドア要求信号等を送信することなく、当該制御プログラムは終了される。一方、操作信号Su,Slの入力が継続している旨判断された場合(S103でYES)、ステップS102にて判断された把持方向及び加速度センサ21の検出結果に基づきユーザを基準とした振り操作方向が判断される(S104)。そして、上記図7を参照して説明したように、振り操作方向及び操作されるスイッチ26,27(正確には操作信号Su,Sl)に基づき、両スライドドア6R,6Lの何れかに対応する開ドア要求信号又は閉ドア要求信号が送信される(S105)。以上で当該制御プログラムは終了される。
【0060】
以上の構成により、電子キー2の把持方向に基づきユーザを基準とした振り操作方向が判断される。ここで、電子キー2の把持方向が判断されない構成においては、例えば図3の左下円中に示すように、第2の把持方向にて電子キー2を右方向に振ったときには、図3の右側に破線で示すように第1の把持方向にて電子キー2を左方向に振ったときと同様の判断、すなわち、右方向に振り操作された旨の判断がされる。これにより、当該構成においては、例えば左側スライドドア6Lを開放したいのにも関わらず、把持方向が異なることで右側スライドドア6Rが開放されるおそれがあった。その点、本実施形態においては、図3の左下円中に示すように、第2の把持方向にて電子キー2が把持された場合であっても、正しくユーザが右方向に振り操作した旨判断されて、所望の左側スライドドア6Lを開放させることができる。
【0061】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)マイコン23を通じてユーザによる電子キー2の把持方向が判断される。また、加速度センサ21を通じて電子キー2を基準とした振り操作方向が検出される。よって、マイコン23は、把持方向に係る判断結果及び加速度センサ21の検出結果に基づき、ユーザを基準とした電子キー2の振り操作方向を判断可能となる。これにより、ユーザによる電子キー2の把持方向がたとえ異なっても、その振り方向に対応してスライドドアを開閉させることができる。よって、ユーザは、電子キー2の振り操作を通じて確実に所望の制御を行うことができる。
【0062】
(2)近接センサ28はロックスイッチ27及びアンロックスイッチ26間に設けられる。第1の把持方向においては、手前側からロックスイッチ27、近接センサ28及びアンロックスイッチ26の順に並んでいる。この場合、第1の把持方向においてロックスイッチ27を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出せず、アンロックスイッチ26を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出する。一方、第2の把持方向においては、ロックスイッチ27を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出し、アンロックスイッチ26を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出しない。このため、単一の近接センサ28にて、各スイッチ26,27の操作時における電子キー2の把持方向の判断が可能となる。これにより、電子キー2をより簡易に構成することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した第2の実施形態について図9及び図10を参照して説明する。この実施形態の電子キーは、近接センサの位置が上記第1の実施形態と異なっている点を除き上記第1の実施形態と同様に構成される。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態においては、電子キー2には一対の近接センサ38a,38bが設けられている。両近接センサ38a,38bは電子キー2の裏面(両スイッチ26,27がない面)側に設けられている。具体的には、近接センサ38aは電子キー2の長手方向における上側の角部39aに、近接センサ38bは電子キー2の長手方向における下側の角部39bにそれぞれ設けられている。各近接センサ38a,38bは、その半分が電子キー2の裏面に位置するとともに、残りの半分は電子キー2の短手側の側面(図9の左右方向に延びる面)に位置する。
【0064】
上述のように近接センサ38a,38bとしては静電容量型が採用されている。ここで、静電容量型の近接センサは、手指の接近のみならず、自身への接触面積に応じた静電容量の変化に基づき、手指の接触面積を検出することもできる。
【0065】
図10(a)に示すように、第1の把持方向から電子キー2が把持されている場合、近接センサ38bの大半には掌が接触するとともに、近接センサ38aにはほとんど手指が接触していない状態となる。また、図10(b)に示すように、第2の把持方向から電子キー2が把持されている場合、近接センサ38aの大半には掌が接触するとともに、近接センサ38bにはほとんど手指が接触していない状態となる。
【0066】
よって、マイコン23は、近接センサ38a,38bの検出結果、詳しくは静電容量を比較して把持方向を判断できる。具体的には、マイコン23は、近接センサ38bの静電容量が近接センサ38aより大きいとき、第1の把持方向で把持されている旨判断する。また、マイコン23は、近接センサ38aの静電容量が近接センサ38bより大きいとき、第2の把持方向で把持されている旨判断する。以下、上記実施形態と同様に判断された把持方向及び加速度センサ21の検出結果に基づき振り操作方向が判断されて、開ドア要求信号又は閉ドア要求信号が送信される。
【0067】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(3)近接センサ38a,38bは、電子キー2の裏面側の角部39a,39bに設けられている。従って、電子キー2が第1及び第2の把持方向で把持されたとき、近接センサ38a,38bの何れか一方は、ユーザの接触を確実に検出できる。これは、電子キー2の角部39a,39bは、ユーザが電子キー2を把持したときに最も掌に接触し易い位置だからである。これにより、電子キー2の把持方向がより確実に判断される。
【0068】
(4)また、例えば、ユーザの一方の手で電子キー2を把持した状態において、他方の手で電子キー2の表面(アンロックスイッチ26等が設けられる面)に対して垂直方向にアンロックスイッチ26又はロックスイッチ27が押し操作された場合であっても、第1及び第2の把持方向の判断が正しく行われる。これは、本実施形態においては、電子キー2が把持される掌との接触を通じて電子キー2の把持方向の判断が行われるところ、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作時における手指の延出態様は把持方向の判断の際に問題とならないからである。
【0069】
このため、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27の配置態様に関わらず、電子キー2の把持方向の判断が可能となる。
(第3の実施形態)
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した第3の実施形態について図11を参照して説明する。この実施形態の電子キーは、近接センサの数が上記第2の実施形態と異なっている。
【0070】
本実施形態においては、図11に示すように、近接センサ38aが省略されている点を除き第2の実施形態と同一の構成である。
第1の把持方向において近接センサ38bが掌に大きく接触するのに対して、第2の把持方向において近接センサ38bは掌及び手指にほとんど接触しない。このため、第1及び第2の把持方向間においては近接センサ38bの静電容量には大きく差がある。
【0071】
よって、第1及び第2の把持方向で把持されたときの近接センサ38bの両静電容量間にしきい値を設定する。そして、マイコン23は、近接センサ38bの静電容量がしきい値を超えた旨判断したとき第1の把持方向で把持されていると判断し、しきい値以下である旨判断したとき第2の把持方向で把持されていると判断する。
【0072】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(5)近接センサ38bが一つの場合であっても、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。これにより、電子キー2をより簡易に構成することができる。
【0073】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第1及び第2の実施形態においては、電子キーシステム1として送信側である電子キー2から各種要求信号が受信側である車載装置3に単方向に送信される、いわゆるワイヤレスキーシステムが採用されていた。しかし、車載装置3から送信される要求信号に応じて電子キー2が自動で応答信号を返信することで、ユーザが電子キーの操作をすることなく車両ドアの施解錠等が可能となる、いわゆるキー操作フリーシステムを採用してもよい。本構成によれば、電子キー2は、例えば車両側からの要求信号を受信したとき振り操作の有無及びその方向の判断を開始する。よって、上記各実施形態において振り操作の有無等の判断開始のトリガとされていたロックスイッチ27及びアンロックスイッチ26を省略することも可能である。本構成においては、近接センサは上記第2及び第3の実施形態と同様に構成されることが好ましい。
【0074】
・また、上記ワイヤレスキーシステムを採用した場合であっても、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27を省略可能である。この場合、車両ドアの施解錠についても所定パターンの振り操作により行う。
【0075】
・さらに、第1〜第3の実施形態におけるアンロックスイッチ26及びロックスイッチ27に代えて単一の施解錠スイッチを設けてもよい。施解錠スイッチが操作されると施解錠状態の切り替えを要求する旨の要求信号が車両に送信される。これにより、車両ドアの施解錠状態が切り替えられる。具体的には、図12に示すように、施解錠スイッチ55の下方に近接センサ28が設けられている。本構成においても、第1の把持方向から電子キー2が把持された状態において施解錠スイッチ55が操作されたとき近接センサ28は手指の接近を検出し、第2の把持方向から電子キー2が把持された状態において施解錠スイッチ55が操作されたとき近接センサ28は手指の接近を検出しない。よって、上記各実施形態と同様に把持方向、ひいては振り操作方向の正確な判断が可能となる。
【0076】
また、施解錠スイッチ55に代えて振り操作を許容するか否かを切り替えるスイッチを設けてもよい。本構成においては、マイコン23は、前記スイッチからの操作信号を受けたときにのみ、振り操作の有無、及びその方向を判断する。
【0077】
・第1の実施形態においては、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27間に近接センサ28が設けられていた。しかし、近接センサ28が設けられる位置はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27におけるそれぞれの左右方向の両側に新たな近接センサ51〜54を設けてもよい。これにより、電子キー2が同図の右方向(第3の把持方向)から把持された場合や同図の左方向(第4の把持方向)から把持された場合であっても、振り操作によってユーザの所望の制御が可能となる。
【0078】
具体的には、電子キー2が第3の把持方向から把持された場合には、図13の2点鎖線で示した態様で手指にてアンロックスイッチ26が操作される。すなわち、マイコン23は、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ52に手指が接近している旨判断したとき、第3の把持方向から把持されている旨判断する。これと同様にして、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ54に手指が接近している旨判断したとき、第3の把持方向から把持されている旨判断する。また、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ51に手指が接近している旨判断したとき、第4の把持方向から把持されている旨判断する。これと同様にして、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ53に手指が接近している旨判断したとき、第4の把持方向から把持されている旨判断する。なお、近接センサ52及び近接センサ54の少なくとも何れか一方に手指が接近している旨判断されたとき第3の把持方向から把持されている旨判断されてもよい。また、これと同様に、近接センサ51及び近接センサ53の少なくとも何れか一方に手指が接近している旨判断されたとき第4の把持方向から把持されている旨判断されてもよい。
【0079】
マイコン23は、電子キー2が第3の把持方向から把持されている旨判断した場合には、Y軸方向の加速度がしきい値Gth1を超えたとき右方向に振り操作されている旨判断する。また、マイコン23はY軸方向の加速度が第2のしきい値Gth2未満の場合、左方向に振り操作されている旨判断する。第4の把持方向から把持されている場合には、これと左右逆の振り操作方向に係る判断が行われる。
【0080】
・第2及び第3の実施形態においては、近接センサ38a,38bは電子キー2の角部39a,39bに設けられていた。しかし、第1の把持方向又は第2の把持方向にて電子キー2が把持されたとき、ユーザの手が接近する位置であれば角部39a,39bに限定されない。例えば、近接センサを裏面だけに設けてもよいし、側面にのみ設けてもよい。
【0081】
・上記各実施形態においては、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27が操作されたとき加速度センサ21及び近接センサ28への電力供給が開始されていた。しかし、常時、加速度センサ21及び近接センサ28に電力が供給されてもよい。本構成によれば、上記第2及び第3の実施形態においては、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作前、すなわち電子キー2を把持した時点で把持方向の判断が可能となる。よって、より迅速に振り操作に基づく遠隔制御が可能となる。
【0082】
・上記各実施形態においては、電子キー2の振り操作方向は右方向又は左方向であった。しかし、振り操作方向はこれに限定されるものではない。
・上記各実施形態においては、電子キー2を基準とした振り操作方向を検出するモーションセンサとして加速度センサ21が設けられていた。しかし、電子キー2を基準とした振り操作方向を検出可能であれば加速度センサに限らず、例えば速度センサであってもよい。
【0083】
・上記各実施形態においては、近接センサとして静電容量型が採用されていたが、その他例えば磁気型や高周波発振型を採用してもよい。
・さらに、ユーザの手指の接近を検出できれば近接センサに限らない。例えば、第1の実施形態における近接センサ28に代えて、極めて弱い操作力でオンとなる機械式のスイッチを設けてもよい。この場合、図2に示すように、例えばユーザは第1の把持方向から電子キー2を把持した状態でアンロックスイッチ26を操作するとき、意図せず手指にて上記スイッチを操作する。このときには、アンロックスイッチ26の操作時に手指が上記スイッチに接する必要がある。これにより、上記実施形態と同様に、把持方向、ひいては振り操作方向の正確な判断が可能となる。
【0084】
・上記各実施形態においては、電子キー2は車両ドアの施解錠及びスライドドアの開閉が可能に構成されていた。しかし、電子キー2の制御対象はこれに加えて、若しくは代えて、例えば、パワーウインドウ装置やエンジンの始動が可能に構成されてもよい。また、制御対象は車両に限らず住宅に適用してもよい。さらに、電子キー2ではなく携帯機(コントローラ)として、振り操作に基づき通信機能を有する電子機器を遠隔制御可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
2…電子キー、3…車載装置、21…加速度センサ(モーションセンサ)、23…マイコン(判断部)、26…アンロックスイッチ、27…ロックスイッチ、28,38a,38b…近接センサ、39a,39b…角部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、振り操作に基づき制御対象を制御可能に構成される携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両及び住宅等の制御対象との間での無線通信を通じて、ドアの施解錠をはじめとする各種制御を行う電子キー(携帯機)が知られている。車両用の電子キーには、ドアの施錠及び解錠を行うロックスイッチ及びアンロックスイッチの他、ドアウインドウやスライドドアを開閉させるドア開閉スイッチ等の各種スイッチが設けられている。よって、ユーザは複数のスイッチから所望のスイッチを黙視したうえで押し操作する必要があった。そして、それがスイッチの押し間違えを誘発する一因となっていた。そこで、例えば、特許文献1に記載の電子キーにおいては、許可スイッチを押した状態での振り操作によって制御対象の遠隔制御が可能に構成されている。
【0003】
具体的には、図14(a)に示されるように、電子キー101は、自身に設定される3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の加速度を検出する加速度センサを備える。許可スイッチ102が押された状態で電子キー101が右方向に振り操作されたとき、X軸方向にプラスの加速度が検出される。このとき、電子キー101は例えば車両ドアの解錠を要求する旨の無線信号を車両に送信する。車両は前記無線信号を受信すると車両ドアの解錠を実行する。
【0004】
そして、許可スイッチ102が押された状態で電子キー101が左方向に振り操作されたとき、X軸方向にマイナスの加速度が検出される。このとき、電子キー101は、例えば車両ドアの施錠を要求する旨の無線信号を車両に送信する。車両は前記無線信号を受信すると車両ドアの施錠を実行する。
【0005】
以上のように、電子キーの振り操作によって制御対象の遠隔制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−303026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電子キーはユーザによって常に一定方向に把持されるとは限らない。図14(b)においては、電子キー101は上記図14(a)と上下方向(Y軸方向)が反対の向きで把持されている。この場合、電子キー101が右方向に振り操作されたときX軸方向にマイナスの加速度が検出される。このため、電子キー101が右方向に振り操作されたにも関わらず上記と異なって車両ドアの施錠が実行される。これと同様にして電子キー101が左方向に振り操作されたときには、X軸方向にプラスの加速度が検出されて上記と異なって車両ドアの解錠が実行される。
【0008】
このように、ユーザによって正しい方向に振り操作されたにも関わらず、その電子キーの向きによって所望の遠隔制御が実行されないおそれがあった。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザによる携帯機の把持方向に関わらず振り操作に基づき所望の遠隔制御が可能となる携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、携帯機を基準とした振り操作方向を検出するモーションセンサと、ユーザによる前記携帯機の把持方向を判断する把持方向判断手段と、前記モーションセンサの検出結果及び前記把持方向判断手段の判断結果に基づきユーザを基準とした前記携帯機の振り操作方向を判断し、判断された振り操作方向に基づく内容の制御を要求する旨の無線信号を制御対象に送信する制御装置と、を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、把持方向判断手段を通じてユーザによる携帯機の把持方向が判断される。また、モーションセンサを通じて携帯機を基準とした振り操作方向が検出される。よって、把持方向判断手段の判断結果及びモーションセンサの検出結果に基づき、ユーザを基準とした携帯機の振り操作方向が判断可能となる。これにより、ユーザによる携帯機の把持方向がたとえ異なっても、ユーザを基準として同じ方向に振り操作されたときには同一の制御を要求する旨の無線信号が送信される。よって、ユーザは、携帯機の振り操作を通じて確実に所望の制御を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯機において、前記携帯機は、その一端側からユーザによって把持される第1の把持方向と、その他端側からユーザによって把持される第2の把持方向との何れかの方向から把持され、前記把持方向判断手段はユーザの手指の接近を検出する近接センサと、前記近接センサの検出結果に基づき前記携帯機の把持方向を判断する判断部と、を備え、前記近接センサは、前記携帯機の表面における、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第1の範囲及び前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第2の範囲の少なくとも何れか一方の範囲に設けられることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、近接センサは、携帯機の表面における、第1の把持方向においてユーザの手指が接近する第1の範囲及び第2の把持方向においてユーザの手指が接近する第2の範囲の少なくとも何れか一方の範囲に設けられる。よって、近接センサの検出結果に基づき第1の範囲及び第2の範囲の何れにユーザの手指が接近しているか、ひいては携帯機の把持方向が第1及び第2の把持方向の何れであるかが判断可能となる。なお、接近とは、携帯機に手指が近づくことに加えて、手指が接触することも含む概念である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の携帯機において、前記振り操作時とは異なる制御を要求する旨の無線信号を送信する際に操作される、又は操作されているときにのみ前記振り操作に基づき前記無線信号が送信されるスイッチを備え、前記近接センサは前記第1の範囲にのみ設けられ、前記第1の範囲は、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近する範囲であって、前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近しない範囲であることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、近接センサは、第1の把持方向から携帯機が把持されている状態においてスイッチが操作されるときユーザの手指の接近を検出するとともに、第2の把持方向から携帯機が把持されている状態においてスイッチが操作されるときユーザの手指の接近を検出しない。従って、単一の近接センサで携帯機の把持方向が判断可能となる。これにより、携帯機をより簡易に構成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯機において、前記スイッチはドアの施錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される施錠スイッチと、ドアの解錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される解錠スイッチと、からなるとともに、前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチは前記両把持方向に沿って設けられ、前記第1の範囲は前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチ間に形成されることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、第1の範囲に設置される近接スイッチは、施錠スイッチ及び解錠スイッチ間に設けられる。例えば、第1の把持方向において手前側から施錠スイッチ、近接センサ及び解錠スイッチの順に並んでいるとする。この場合、第1の把持方向において施錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出せず、解錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出する。一方、第2の把持方向においては、施錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出し、解錠スイッチを操作する際には近接センサは手指の接近を検出しない。このため、スイッチが2つの場合であっても、1つの近接センサにて携帯機の把持方向の判断が可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の携帯機において、前記近接センサは、前記携帯機の裏面における前記一端側及び前記他端側の少なくとも何れか一方の角部に設けられることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、近接センサは、携帯機の裏面における一端側及び他端側の角部の少なくとも何れか一方に設けられている。ここで、これら角部は、携帯機を第1又は第2の把持方向から把持したときにユーザの手に最も接触し易い位置である。従って、近接センサは、ユーザが携帯機を把持したとき、ユーザの接近を確実に検出できる。これにより、携帯機の把持方向がより確実に判断される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子キーにおいて、ユーザによる携帯機の把持方向に関わらず振り操作に基づき所望の遠隔制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態における電子キーシステムの構成図。
【図2】第1の実施形態における電子キーの斜視図。
【図3】第1の実施形態における車両の上面図。
【図4】第1の実施形態における(a)は第1の把持方向における電子キーの操作時の説明図、(b)は第2の把持方向における電子キーの操作時の説明図。
【図5】第1の実施形態における操作されるスイッチ、近接センサの検出結果、及び把持方向の判断結果を示した表。
【図6】第1の実施形態における加速度センサの検出結果及び振り操作方向の判断結果を示した表。
【図7】第1の実施形態における操作されるスイッチ及び振り操作方向に基づく要求する制御内容を示した表。
【図8】第1の実施形態における各種要求信号送信に係る制御プログラムの処理手順を示したフローチャート。
【図9】第2の実施形態における背面側からの電子キーの斜視図。
【図10】第2の実施形態における(a)は第1の把持方向における電子キーの操作時の説明図、(b)は第2の把持方向における電子キーの操作時の説明図。
【図11】第3の実施形態における電子キーの斜視図。
【図12】他の実施形態における電子キーの正面図。
【図13】他の実施形態における電子キーの正面図。
【図14】(a)及び(b)は背景技術における異なる把持方向にて電子キーが把持された状態における電子キーの振り操作時の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した第1の実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の車両には、電子キーシステム1が搭載されている。電子キーシステム1では、ユーザが所持する電子キー2(送信側)と、車載装置3(受信側)との間で無線信号による単方向通信が可能である。
【0023】
図2に示すように、電子キー2は、その表面に車両ドアを施錠する際に操作されるロックスイッチ27と、車両ドアを解錠する際に操作されるアンロックスイッチ26と、これらスイッチ26,27間に設けられる近接センサ28と、を備えている。
【0024】
ロックスイッチ27及びアンロックスイッチ26はプッシュ式スイッチである。また、近接センサ28はユーザの手指の接近を検出する。本例では、近接スイッチとして静電容量型が採用されている。
【0025】
図3に示すように、車両4における後側のサイドドアは右側のスライドドア6R及び左側のスライドドア6Lにて構成されている。各スライドドア6L,6Rは車両4に対して前後方向にスライドすることで開閉する。
【0026】
ユーザはスライドドア6L,6Rを含む全ての車両ドアが閉じた状態において、電子キー2のアンロックスイッチ26又はロックスイッチ27を押下することで、全ての車両ドアの施錠又は解錠を行うことができる。さらに、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27を押下した状態を保ったまま、スライドドア6R,6Lを移動させたい方向に振り操作をすることで、同方向に自動でスライドドア6R,6Lを開閉させることができる。
【0027】
次に、電子キーシステム1を構成する電子キー2及び車載装置3の構成について説明する。
(電子キー2)
図1に示すように、電子キー2は、ロックスイッチ27、アンロックスイッチ26及び近接センサ28に加えて、マイコン(マイクロコンピュータ)23と、送信回路24と、送信アンテナ25と、加速度センサ21とを備えている。なお、電子キー2には図示しない電池が内蔵され、同電池から各部に動作電源が供給される。
【0028】
加速度センサ21は、電子キー2が振られたときに生じる加速度に応じた電圧を検出結果として、マイコン23に出力する。加速度センサ21は3軸方向(図2の左上に示す互いに直交するX軸、Y軸、Z軸)の加速度を検知可能である。加速度センサ21には機械式、光学式、半導体式等のものがあるが電子キー2に内蔵可能であって振り操作に基づく加速度を検出できるものであれば何れであってもよい。
【0029】
マイコン23は、不揮発性のメモリ23aを備えるとともに、そのメモリ23aには、電子キー2の把持方向、振り操作の有無及びその方向等の判断基準となるデータ、並びに電子キー2毎に設定されたIDコード(識別コード)等が記憶されている。
【0030】
アンロックスイッチ26が操作されるとその旨を示す操作信号Suがマイコン23に出力され、ロックスイッチ27が操作されるとその旨を示す操作信号Slがマイコン23に出力される。操作信号Sl,Suはロックスイッチ27又はアンロックスイッチ26が押下されている限りは出力され続け、押下されなくなると出力は停止する。マイコン23は操作信号Sl,Suの入力の有無に基づきアンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作の有無を検知する。
【0031】
マイコン23は、いずれかの操作信号Sl,Suの入力を契機として加速度センサ21及び近接センサ28へ電力を供給して、これらを起動させる。そして、近接センサ28の検出結果に基づき電子キー2の把持方向を判断した後、振り操作の有無及び振り操作の方向の判断を行う。マイコン23は、操作信号Sl,Suが検知できなくなった時点で加速度センサ21及び近接センサ28への電力の供給を停止する。すなわち、マイコン23は、操作信号Sl,Suが検知されない期間においては上記把持方向等の判断は行わない。
【0032】
マイコン23は、アンロックスイッチ26が操作されたことを、操作信号Suの入力を通じて認識すると、IDコード及びドアの解錠を要求する旨のコードを含む解錠要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。送信回路24は、入力された解錠要求信号を所定周波数帯の電波に変調して、その変調した解錠要求信号を送信アンテナ25を通じて送信する。
【0033】
また、マイコン23は、ロックスイッチ27が操作されたことを、操作信号Slの入力を通じて認識すると、IDコード及びドアの施錠を要求する旨のコードを含む施錠要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。送信回路24は、入力された施錠要求信号を所定周波数帯の電波に変調して、その変調した施錠要求信号を送信アンテナ25を通じて送信する。なお、本実施形態において所定周波数帯とはUHF(Ultra High Frequency)帯である。
【0034】
マイコン23は、操作信号Sl,Suを検知したときの近接センサ28の検出結果に基づきユーザによる電子キー2の把持方向を判断する。そして、マイコン23は、判断された把持方向、及び操作信号Sl,Suを検知した状態での加速度センサ21の検出結果に基づきユーザを基準とした電子キー2の振り操作方向を判断し、その振り操作方向に応じてスライドドア6R,6Lの開閉を要求する。
【0035】
詳しくは、図4(a)及び(b)に示すように、電子キー2は主に2種類の把持方向から把持される。図4(a)に示すように、ロックスイッチ27を手前側にした把持方向を第1の把持方向とする。また、図4(b)に示すように、アンロックスイッチ26を手前側にした把持方向を第2の把持方向とする。本例では、電子キー2の背面が人指し指、中指等で支えられた状態で親指にてアンロックスイッチ26及びロックスイッチ27が操作される。
【0036】
図5の表に示すように、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作時における近接センサ28の検出結果に基づき第1及び第2の把持方向の何れで電子キー2が把持されているかが判断される。すなわち、近接センサ28及びマイコン23は把持方向判断手段に相当する。
【0037】
具体的には、図4(a)に示すように、第1の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、ロックスイッチ27が操作されるときには近接センサ28の上方には手指が接近しない。従って、近接センサ28は手指の接近を検出しない。よって、図5の表の上段に示すように、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ28の検出がなければ第1の把持方向であると判断される。
【0038】
同様に、図4(a)に示すように、第1の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、アンロックスイッチ26が操作されるときには親指が近接センサ28の上方に位置する。このため、近接センサ28は手指の接近を検出する。よって、図5の表の下段に示すように、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ28の検出があれば第1の把持方向であると判断される。
【0039】
また、図4(b)に示すように、第2の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、アンロックスイッチ26が操作されるときには近接センサ28に手指が接近しない。従って、近接センサ28は手指の接近を検出しない。よって、図5の表の中段に示すように、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ28の検出がなければ第2の把持方向であると判断される。
【0040】
同様に、図4(b)に示すように、第2の把持方向から電子キー2が把持されている状態において、ロックスイッチ27が操作されるときには親指が近接センサ28の上方に位置する。従って、近接センサ28は手指の接近を検出する。よって、図5の表の中段に示すように、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ28の検出があれば第2の把持方向であると判断される。
【0041】
そして、マイコン23は、図6の表に示すように、判断された第1及び第2の把持方向と加速度センサ21の検出結果とを照らし合わしてユーザを基準とした振り操作方向を判断する。
【0042】
マイコン23は、加速度センサ21により検出されるX軸方向の加速度と、しきい値Gth1,Gth2とを比較して振り操作の有無を判断する。図3のXY軸の座標系に示すように、しきい値Gth1はX軸方向の加速度においてプラスの値であって振り操作に伴う加速度未満に設定される。しきい値Gth2はX軸方向の加速度においてマイナスの値であって振り操作に伴う加速度より大きく設定されている。
【0043】
具体的には、図3に示すように、ユーザは第1の把持方向から電子キー2を把持しつつ右方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第1の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth1を超えるX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として右方向に振り操作された旨判断する。
【0044】
これと同様に、ユーザは第1の把持方向から電子キー2を把持しつつ左方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第1の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth2未満(絶対値とした場合にはしきい値Gth2を超える)のX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として左方向に振り操作された旨判断する。
【0045】
第2の把持方向から電子キー2が把持された場合には、図3の左下円中に示すように、X軸及びY軸の加速度の正負が逆転する。よって、振り方向の判断は左右で逆となる。
すなわち、ユーザは第2の把持方向から電子キー2を把持しつつ右方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第2の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth2未満のX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として右方向に振り操作された旨判断する。
【0046】
また、ユーザは第2の把持方向から電子キー2を把持しつつ左方向に振ったとする。この場合、電子キー2が第2の把持方向から把持されていると判断された状態で、しきい値Gth1を超えるX軸方向の加速度が検出される。このため、マイコン23は、図6に示すように、ユーザを基準として左方向に振り操作された旨判断する。
【0047】
以上によって、第1及び第2の把持方向の何れから電子キー2が把持された場合であっても、ユーザを基準とした振り操作方向(右方向及び左方向)が正しく判断される。
マイコン23は、図7の表に示すように、操作されたスイッチ26,27(正確には入力される操作信号Su,Sl)及びユーザを基準とした振り操作方向に基づき両スライドドア6R,6Lの何れかに対応する開ドア要求信号又は閉ドア要求信号を生成する。
【0048】
マイコン23は、操作信号Suを検知した状態にて、ユーザからみて右方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び左側スライドドア6Lを開くことを要求する旨のコードを含む開ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0049】
また、マイコン23は操作信号Suを検知した状態にて、ユーザからみて左方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び右側スライドドア6Rを開くことを要求する旨のコードを含む開ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0050】
さらに、マイコン23は操作信号Slを検知した状態にて、右方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び右側スライドドア6Rを閉じることを要求する旨のコードを含む閉ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0051】
また、マイコン23は操作信号Slを検知した状態にて、左方向への振り操作があると判断した場合には、IDコード及び左側スライドドア6Lを閉じることを要求する旨のコードを含む閉ドア要求信号を生成して、それを送信回路24に出力する。
【0052】
送信回路24は、入力された開ドア要求信号若しくは閉ドア要求信号を所定周波数帯の電波に変調して、その変調された信号を送信アンテナ25を介して送信する。
(車載装置3)
図1に示すように、車載装置3は、受信アンテナ31と、受信回路32と、車載制御部33とを備えている。受信アンテナ31は、電子キー2から送信されてくる各種要求信号(施錠要求信号、解錠要求信号、開ドア要求信号、閉ドア要求信号)を受信する。受信回路32は、受信アンテナ31により受信された各種要求信号を復調し、その復調した各種要求信号を車載制御部33に出力する。
【0053】
車載制御部33は、不揮発性のメモリ33aを備えるとともに、そのメモリ33aには、電子キー2のIDコードと同一のIDコードが記憶されている。車載制御部33は、受信回路32からの各種要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合を行う。
【0054】
車載制御部33は、解錠要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、ドア制御装置40を介して車両ドアの解錠を実行する。
【0055】
また、車載制御部33は、施錠要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、ドア制御装置40を介して車両ドアの施錠を実行する。
【0056】
車載制御部33は、右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lに対応する開ドア要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、スライドドア装置41を介して右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lを開放する。
【0057】
また、車載制御部33は、右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lに対応する閉ドア要求信号に含まれるIDコードと、メモリ33aに記憶されるIDコードとの照合が成立した旨判断すると、スライドドア装置41を介して右側スライドドア6R又は左側スライドドア6Lを閉じる。
【0058】
次に、マイコン23が実行する各種要求信号の送信に係る制御プログラムについて説明する。当該制御プログラムは図8のフローチャートに従って実行される。この制御プログラムは、何れかの操作信号Su,Slが入力されたとき開始される。
【0059】
まず、入力された操作信号Su,Slに基づき解錠要求信号又は施錠要求信号が送信される(S101)。そして、上記図5を参照して説明したように、入力された操作信号Su,Sl及び近接センサ28の検出結果に基づき、電子キー2が第1及び第2の把持方向の何れから把持されているかが判断される(S102)。つぎに、操作信号Su,Slの入力が継続しているか否かが判断される(S103)。操作信号Su,Slの入力が継続していない旨判断された場合(S103でNO)、すなわち、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作が解除された場合には開ドア要求信号等を送信することなく、当該制御プログラムは終了される。一方、操作信号Su,Slの入力が継続している旨判断された場合(S103でYES)、ステップS102にて判断された把持方向及び加速度センサ21の検出結果に基づきユーザを基準とした振り操作方向が判断される(S104)。そして、上記図7を参照して説明したように、振り操作方向及び操作されるスイッチ26,27(正確には操作信号Su,Sl)に基づき、両スライドドア6R,6Lの何れかに対応する開ドア要求信号又は閉ドア要求信号が送信される(S105)。以上で当該制御プログラムは終了される。
【0060】
以上の構成により、電子キー2の把持方向に基づきユーザを基準とした振り操作方向が判断される。ここで、電子キー2の把持方向が判断されない構成においては、例えば図3の左下円中に示すように、第2の把持方向にて電子キー2を右方向に振ったときには、図3の右側に破線で示すように第1の把持方向にて電子キー2を左方向に振ったときと同様の判断、すなわち、右方向に振り操作された旨の判断がされる。これにより、当該構成においては、例えば左側スライドドア6Lを開放したいのにも関わらず、把持方向が異なることで右側スライドドア6Rが開放されるおそれがあった。その点、本実施形態においては、図3の左下円中に示すように、第2の把持方向にて電子キー2が把持された場合であっても、正しくユーザが右方向に振り操作した旨判断されて、所望の左側スライドドア6Lを開放させることができる。
【0061】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)マイコン23を通じてユーザによる電子キー2の把持方向が判断される。また、加速度センサ21を通じて電子キー2を基準とした振り操作方向が検出される。よって、マイコン23は、把持方向に係る判断結果及び加速度センサ21の検出結果に基づき、ユーザを基準とした電子キー2の振り操作方向を判断可能となる。これにより、ユーザによる電子キー2の把持方向がたとえ異なっても、その振り方向に対応してスライドドアを開閉させることができる。よって、ユーザは、電子キー2の振り操作を通じて確実に所望の制御を行うことができる。
【0062】
(2)近接センサ28はロックスイッチ27及びアンロックスイッチ26間に設けられる。第1の把持方向においては、手前側からロックスイッチ27、近接センサ28及びアンロックスイッチ26の順に並んでいる。この場合、第1の把持方向においてロックスイッチ27を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出せず、アンロックスイッチ26を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出する。一方、第2の把持方向においては、ロックスイッチ27を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出し、アンロックスイッチ26を操作する際には近接センサ28は手指の接近を検出しない。このため、単一の近接センサ28にて、各スイッチ26,27の操作時における電子キー2の把持方向の判断が可能となる。これにより、電子キー2をより簡易に構成することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した第2の実施形態について図9及び図10を参照して説明する。この実施形態の電子キーは、近接センサの位置が上記第1の実施形態と異なっている点を除き上記第1の実施形態と同様に構成される。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態においては、電子キー2には一対の近接センサ38a,38bが設けられている。両近接センサ38a,38bは電子キー2の裏面(両スイッチ26,27がない面)側に設けられている。具体的には、近接センサ38aは電子キー2の長手方向における上側の角部39aに、近接センサ38bは電子キー2の長手方向における下側の角部39bにそれぞれ設けられている。各近接センサ38a,38bは、その半分が電子キー2の裏面に位置するとともに、残りの半分は電子キー2の短手側の側面(図9の左右方向に延びる面)に位置する。
【0064】
上述のように近接センサ38a,38bとしては静電容量型が採用されている。ここで、静電容量型の近接センサは、手指の接近のみならず、自身への接触面積に応じた静電容量の変化に基づき、手指の接触面積を検出することもできる。
【0065】
図10(a)に示すように、第1の把持方向から電子キー2が把持されている場合、近接センサ38bの大半には掌が接触するとともに、近接センサ38aにはほとんど手指が接触していない状態となる。また、図10(b)に示すように、第2の把持方向から電子キー2が把持されている場合、近接センサ38aの大半には掌が接触するとともに、近接センサ38bにはほとんど手指が接触していない状態となる。
【0066】
よって、マイコン23は、近接センサ38a,38bの検出結果、詳しくは静電容量を比較して把持方向を判断できる。具体的には、マイコン23は、近接センサ38bの静電容量が近接センサ38aより大きいとき、第1の把持方向で把持されている旨判断する。また、マイコン23は、近接センサ38aの静電容量が近接センサ38bより大きいとき、第2の把持方向で把持されている旨判断する。以下、上記実施形態と同様に判断された把持方向及び加速度センサ21の検出結果に基づき振り操作方向が判断されて、開ドア要求信号又は閉ドア要求信号が送信される。
【0067】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(3)近接センサ38a,38bは、電子キー2の裏面側の角部39a,39bに設けられている。従って、電子キー2が第1及び第2の把持方向で把持されたとき、近接センサ38a,38bの何れか一方は、ユーザの接触を確実に検出できる。これは、電子キー2の角部39a,39bは、ユーザが電子キー2を把持したときに最も掌に接触し易い位置だからである。これにより、電子キー2の把持方向がより確実に判断される。
【0068】
(4)また、例えば、ユーザの一方の手で電子キー2を把持した状態において、他方の手で電子キー2の表面(アンロックスイッチ26等が設けられる面)に対して垂直方向にアンロックスイッチ26又はロックスイッチ27が押し操作された場合であっても、第1及び第2の把持方向の判断が正しく行われる。これは、本実施形態においては、電子キー2が把持される掌との接触を通じて電子キー2の把持方向の判断が行われるところ、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作時における手指の延出態様は把持方向の判断の際に問題とならないからである。
【0069】
このため、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27の配置態様に関わらず、電子キー2の把持方向の判断が可能となる。
(第3の実施形態)
以下、本発明を電子キーシステムに具体化した第3の実施形態について図11を参照して説明する。この実施形態の電子キーは、近接センサの数が上記第2の実施形態と異なっている。
【0070】
本実施形態においては、図11に示すように、近接センサ38aが省略されている点を除き第2の実施形態と同一の構成である。
第1の把持方向において近接センサ38bが掌に大きく接触するのに対して、第2の把持方向において近接センサ38bは掌及び手指にほとんど接触しない。このため、第1及び第2の把持方向間においては近接センサ38bの静電容量には大きく差がある。
【0071】
よって、第1及び第2の把持方向で把持されたときの近接センサ38bの両静電容量間にしきい値を設定する。そして、マイコン23は、近接センサ38bの静電容量がしきい値を超えた旨判断したとき第1の把持方向で把持されていると判断し、しきい値以下である旨判断したとき第2の把持方向で把持されていると判断する。
【0072】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(5)近接センサ38bが一つの場合であっても、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。これにより、電子キー2をより簡易に構成することができる。
【0073】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第1及び第2の実施形態においては、電子キーシステム1として送信側である電子キー2から各種要求信号が受信側である車載装置3に単方向に送信される、いわゆるワイヤレスキーシステムが採用されていた。しかし、車載装置3から送信される要求信号に応じて電子キー2が自動で応答信号を返信することで、ユーザが電子キーの操作をすることなく車両ドアの施解錠等が可能となる、いわゆるキー操作フリーシステムを採用してもよい。本構成によれば、電子キー2は、例えば車両側からの要求信号を受信したとき振り操作の有無及びその方向の判断を開始する。よって、上記各実施形態において振り操作の有無等の判断開始のトリガとされていたロックスイッチ27及びアンロックスイッチ26を省略することも可能である。本構成においては、近接センサは上記第2及び第3の実施形態と同様に構成されることが好ましい。
【0074】
・また、上記ワイヤレスキーシステムを採用した場合であっても、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27を省略可能である。この場合、車両ドアの施解錠についても所定パターンの振り操作により行う。
【0075】
・さらに、第1〜第3の実施形態におけるアンロックスイッチ26及びロックスイッチ27に代えて単一の施解錠スイッチを設けてもよい。施解錠スイッチが操作されると施解錠状態の切り替えを要求する旨の要求信号が車両に送信される。これにより、車両ドアの施解錠状態が切り替えられる。具体的には、図12に示すように、施解錠スイッチ55の下方に近接センサ28が設けられている。本構成においても、第1の把持方向から電子キー2が把持された状態において施解錠スイッチ55が操作されたとき近接センサ28は手指の接近を検出し、第2の把持方向から電子キー2が把持された状態において施解錠スイッチ55が操作されたとき近接センサ28は手指の接近を検出しない。よって、上記各実施形態と同様に把持方向、ひいては振り操作方向の正確な判断が可能となる。
【0076】
また、施解錠スイッチ55に代えて振り操作を許容するか否かを切り替えるスイッチを設けてもよい。本構成においては、マイコン23は、前記スイッチからの操作信号を受けたときにのみ、振り操作の有無、及びその方向を判断する。
【0077】
・第1の実施形態においては、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27間に近接センサ28が設けられていた。しかし、近接センサ28が設けられる位置はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、アンロックスイッチ26及びロックスイッチ27におけるそれぞれの左右方向の両側に新たな近接センサ51〜54を設けてもよい。これにより、電子キー2が同図の右方向(第3の把持方向)から把持された場合や同図の左方向(第4の把持方向)から把持された場合であっても、振り操作によってユーザの所望の制御が可能となる。
【0078】
具体的には、電子キー2が第3の把持方向から把持された場合には、図13の2点鎖線で示した態様で手指にてアンロックスイッチ26が操作される。すなわち、マイコン23は、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ52に手指が接近している旨判断したとき、第3の把持方向から把持されている旨判断する。これと同様にして、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ54に手指が接近している旨判断したとき、第3の把持方向から把持されている旨判断する。また、アンロックスイッチ26が操作されたとき近接センサ51に手指が接近している旨判断したとき、第4の把持方向から把持されている旨判断する。これと同様にして、ロックスイッチ27が操作されたとき近接センサ53に手指が接近している旨判断したとき、第4の把持方向から把持されている旨判断する。なお、近接センサ52及び近接センサ54の少なくとも何れか一方に手指が接近している旨判断されたとき第3の把持方向から把持されている旨判断されてもよい。また、これと同様に、近接センサ51及び近接センサ53の少なくとも何れか一方に手指が接近している旨判断されたとき第4の把持方向から把持されている旨判断されてもよい。
【0079】
マイコン23は、電子キー2が第3の把持方向から把持されている旨判断した場合には、Y軸方向の加速度がしきい値Gth1を超えたとき右方向に振り操作されている旨判断する。また、マイコン23はY軸方向の加速度が第2のしきい値Gth2未満の場合、左方向に振り操作されている旨判断する。第4の把持方向から把持されている場合には、これと左右逆の振り操作方向に係る判断が行われる。
【0080】
・第2及び第3の実施形態においては、近接センサ38a,38bは電子キー2の角部39a,39bに設けられていた。しかし、第1の把持方向又は第2の把持方向にて電子キー2が把持されたとき、ユーザの手が接近する位置であれば角部39a,39bに限定されない。例えば、近接センサを裏面だけに設けてもよいし、側面にのみ設けてもよい。
【0081】
・上記各実施形態においては、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27が操作されたとき加速度センサ21及び近接センサ28への電力供給が開始されていた。しかし、常時、加速度センサ21及び近接センサ28に電力が供給されてもよい。本構成によれば、上記第2及び第3の実施形態においては、アンロックスイッチ26又はロックスイッチ27の操作前、すなわち電子キー2を把持した時点で把持方向の判断が可能となる。よって、より迅速に振り操作に基づく遠隔制御が可能となる。
【0082】
・上記各実施形態においては、電子キー2の振り操作方向は右方向又は左方向であった。しかし、振り操作方向はこれに限定されるものではない。
・上記各実施形態においては、電子キー2を基準とした振り操作方向を検出するモーションセンサとして加速度センサ21が設けられていた。しかし、電子キー2を基準とした振り操作方向を検出可能であれば加速度センサに限らず、例えば速度センサであってもよい。
【0083】
・上記各実施形態においては、近接センサとして静電容量型が採用されていたが、その他例えば磁気型や高周波発振型を採用してもよい。
・さらに、ユーザの手指の接近を検出できれば近接センサに限らない。例えば、第1の実施形態における近接センサ28に代えて、極めて弱い操作力でオンとなる機械式のスイッチを設けてもよい。この場合、図2に示すように、例えばユーザは第1の把持方向から電子キー2を把持した状態でアンロックスイッチ26を操作するとき、意図せず手指にて上記スイッチを操作する。このときには、アンロックスイッチ26の操作時に手指が上記スイッチに接する必要がある。これにより、上記実施形態と同様に、把持方向、ひいては振り操作方向の正確な判断が可能となる。
【0084】
・上記各実施形態においては、電子キー2は車両ドアの施解錠及びスライドドアの開閉が可能に構成されていた。しかし、電子キー2の制御対象はこれに加えて、若しくは代えて、例えば、パワーウインドウ装置やエンジンの始動が可能に構成されてもよい。また、制御対象は車両に限らず住宅に適用してもよい。さらに、電子キー2ではなく携帯機(コントローラ)として、振り操作に基づき通信機能を有する電子機器を遠隔制御可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
2…電子キー、3…車載装置、21…加速度センサ(モーションセンサ)、23…マイコン(判断部)、26…アンロックスイッチ、27…ロックスイッチ、28,38a,38b…近接センサ、39a,39b…角部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機を基準とした振り操作方向を検出するモーションセンサと、
ユーザによる前記携帯機の把持方向を判断する把持方向判断手段と、
前記モーションセンサの検出結果及び前記把持方向判断手段の判断結果に基づきユーザを基準とした前記携帯機の振り操作方向を判断し、判断された振り操作方向に基づく内容の制御を要求する旨の無線信号を制御対象に送信する制御装置と、を備えた携帯機。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯機において、
前記携帯機は、その一端側からユーザによって把持される第1の把持方向と、その他端側からユーザによって把持される第2の把持方向との何れかの方向から把持され、
前記把持方向判断手段はユーザの手指の接近を検出する近接センサと、前記近接センサの検出結果に基づき前記携帯機の把持方向を判断する判断部と、を備え、
前記近接センサは、前記携帯機の表面における、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第1の範囲及び前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第2の範囲の少なくとも何れか一方の範囲に設けられる携帯機。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯機において、
前記振り操作時とは異なる制御を要求する旨の無線信号を送信する際に操作される、又は操作されているときにのみ前記振り操作に基づき前記無線信号が送信されるスイッチを備え、
前記近接センサは前記第1の範囲にのみ設けられ、
前記第1の範囲は、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近する範囲であって、前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近しない範囲である携帯機。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯機において、
前記スイッチはドアの施錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される施錠スイッチと、ドアの解錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される解錠スイッチと、からなるとともに、前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチは前記両把持方向に沿って設けられ、
前記第1の範囲は前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチ間に形成される携帯機。
【請求項5】
請求項2に記載の携帯機において、
前記近接センサは、前記携帯機の裏面における前記一端側及び前記他端側の少なくとも何れか一方の角部に設けられる携帯機。
【請求項1】
携帯機を基準とした振り操作方向を検出するモーションセンサと、
ユーザによる前記携帯機の把持方向を判断する把持方向判断手段と、
前記モーションセンサの検出結果及び前記把持方向判断手段の判断結果に基づきユーザを基準とした前記携帯機の振り操作方向を判断し、判断された振り操作方向に基づく内容の制御を要求する旨の無線信号を制御対象に送信する制御装置と、を備えた携帯機。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯機において、
前記携帯機は、その一端側からユーザによって把持される第1の把持方向と、その他端側からユーザによって把持される第2の把持方向との何れかの方向から把持され、
前記把持方向判断手段はユーザの手指の接近を検出する近接センサと、前記近接センサの検出結果に基づき前記携帯機の把持方向を判断する判断部と、を備え、
前記近接センサは、前記携帯機の表面における、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第1の範囲及び前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態においてユーザの手指が接近する第2の範囲の少なくとも何れか一方の範囲に設けられる携帯機。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯機において、
前記振り操作時とは異なる制御を要求する旨の無線信号を送信する際に操作される、又は操作されているときにのみ前記振り操作に基づき前記無線信号が送信されるスイッチを備え、
前記近接センサは前記第1の範囲にのみ設けられ、
前記第1の範囲は、前記第1の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近する範囲であって、前記第2の把持方向から前記携帯機が把持されている状態において前記スイッチが操作されるときにユーザの手指が接近しない範囲である携帯機。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯機において、
前記スイッチはドアの施錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される施錠スイッチと、ドアの解錠を要求する旨の前記無線信号を送信する際に操作される解錠スイッチと、からなるとともに、前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチは前記両把持方向に沿って設けられ、
前記第1の範囲は前記施錠スイッチ及び前記解錠スイッチ間に形成される携帯機。
【請求項5】
請求項2に記載の携帯機において、
前記近接センサは、前記携帯機の裏面における前記一端側及び前記他端側の少なくとも何れか一方の角部に設けられる携帯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−102535(P2012−102535A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251863(P2010−251863)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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