説明

携帯無線機

【課題】回転2軸型携帯電話において、使用する無線部に応じて高いアンテナ利得を得ること。
【解決手段】本発明は、第1筐体と、第2筐体と、第3筐体と、第1筐体と第2筐体とを一方の軸で回動自在に連結された第1ヒンジと、第2筐体と第3筐体とを一方の軸と直交する他方の軸で回転自在に連結する第2ヒンジと、を備えた携帯無線機であって、第3筐体に設けられた表示部と、第1筐体内に設けられた第1回路基板と、第3筐体内に設けられた第2回路基板と、第1回路基板上に配置された第1無線部と、第1無線部に接続された第1アンテナ素子と、第2回路基板上に配置された第2無線部と、第2無線部に接続された第2アンテナ素子と、をさらに備え、表示部が見えない状態で携帯無線機が閉じられている状態において、第1無線部は、第2無線部に比べて使用される頻度が高く、第1アンテナ素子は、第2アンテナ素子に比べて第1筐体から離れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線システムが搭載された回転2軸型携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例1として、特許文献1では、以下の構成により、アンテナ内蔵部である上筐体301反転前後でアンテナ性能の維持を実現している。図3は、従来例1のアンテナの構成を示す図である。図3に示すように、平衡アンテナ303が上筐体301反転軸中心とした回転対称形とすることで、上筐体301反転前後で平衡アンテナ303と下筐体内金属302との間隔は変わらずアンテナ性能の維持が実現できる。
【0003】
従来例2として、特許文献2では、以下の構成により、2種類の閉じた状態でアンテナ性能を良好に保持し、アンテナ性能の均一化を実現している。図4は、従来例2のアンテナの構成を示す図である。図4に示すように、表示部が見える閉じ状態と表示部が見えない閉じ状態の2種類の閉じ状態のいずれであるかを検知することで下筐体に設けた導電性部品402の位置を検知する検知部の結果に基づき、切替え部400が、無線部と第1給電部403A又は第2給電部403Bとの間の接続をいずれかに切り替えることで2種類の閉じた状態でアンテナ性能を良好に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−019808号公報
【特許文献2】特開2007−049215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている平衡アンテナ303では、平衡アンテナ303の両端(303aまたは303b)の素子のうち一方の素子は必ず下筐体内金属302と近接するためアンテナ性能が劣化する。
【0006】
また、図4に示す特許文献2に開示されているアンテナ401では、切替え部400にスイッチが必要なためコストが高くなり部品の実装面積が拡大する。
【0007】
本発明の目的は、複数の無線部を搭載した回転2軸型携帯無線機において、使用する無線部に応じて高いアンテナ利得を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の携帯無線機は、第1筐体と、第2筐体と、第3筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを一方の軸で回動自在に連結された第1ヒンジと、前記第2筐体と前記第3筐体とを前記一方の軸と直交する他方の軸で回転自在に連結する第2ヒンジと、を備えた携帯無線機であって、前記第3筐体に設けられた表示部と、前記第1筐体内に設けられた第1回路基板と、前記第3筐体内に設けられた第2回路基板と、前記第1回路基板上乃至第2回路基板上に配置された第1無線部と、前記第1無線部に接続された第1アンテナ素子と、前記第1回路基板上乃至第2回路基板上に配置された第2無線部と、前記第2無線部に接続された第2アンテナ素子と、をさらに備え、前記表示部が見えない状態で前記携帯無線機が閉じられている状態において、前記第1無線部は、前記第2無線部に比べて使用される頻度が高く、前記第1アンテナ素子は、前記第2アンテナ素子に比べて前記第1筐体から離れているように構成した。
【0009】
また、上記携帯無線機は、前記表示部が見える状態で前記携帯無線機が閉じられている状態において、前記第2無線部は、前記第1無線部に比べて使用される頻度が高く、前記第2アンテナ素子は前記第1アンテナ素子に比べ前記第1筐体から離れている。
【0010】
また、上記携帯無線機は、前記第1アンテナ素子と前第2アンテナ素子は前記第3筐体内の端部において、前記第2ヒンジから離間する側に配置される。
【0011】
また、上記携帯無線機は、前記第1無線部および前記第1アンテナ素子はBluetoothを用途として使用し、前記第2無線部および前記第2アンテナ素子は無線LAN(Wi−Fi)を用途として使用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る携帯無線端末によれば、複数の無線部を搭載した回転2軸型携帯無線機において、使用する無線部に応じて高いアンテナ利得を得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】回転2軸型携帯電話機100の全体構成を示す図
【図2】回転2軸型携帯電話機100の各状態におけるアンテナ素子の配置例(1)を示し、図2(a)は縦開き状態でのアンテナ素子の配置、図2(b)は、閉じ状態でのアンテナ配置、図2(c)は、ビューア状態でのアンテナ配置を示す図。
【図3】従来例1のアンテナ構成を示す図
【図4】従来例2のアンテナ構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る携帯無線端末の一例である回転2軸型携帯電話機100(以下、携帯電話機100という)について、図1および図2を参照して説明する。
【0015】
本実施形態の携帯電話機100は、第1筐体101と、第2筐体102と、第3筐体103と、を備える。
第1筐体の表面101Aには、入力キー113および機能キー114を多数備えた操作部115が設けられている。
【0016】
また、第3筐体の表面には、103Aに表示部112が設けられている。
【0017】
携帯電話機100は、表示部112が見えない状態で、第1筐体101および第3筐体103が互いに重なり合う閉じ状態と、閉じ状態から第1回動軸11(Y軸)を中心として、第1筐体101に対して第2筐体102および第3筐体103が一体的に回動することによる開き状態と、第2回動軸12(Z軸)を中心として、第2筐体に対して第3筐体が回動し、表示部112が見える状態で第1筐体101および第3筐体103が互いに重なり合うビューア状態とが得られる。
【0018】
第1ヒンジ部106は、第1筐体101と第2筐体102を連結するとともに、第1筐体101に対して第2筐体102が回動するための支軸部材である。
【0019】
第1のヒンジ部106は、その軸線が前述した第1回動軸11(Y軸)に沿って配置され、第1筐体101の厚み方向に対して直交するとともに、下筐体101の短辺方向(幅方向)に沿って設けられている。
【0020】
第2ヒンジ部107は、第2筐体102と第3筐体103とを連結するとともに、第1筐体101および第2筐体102に対して第3筐体103が回動するための支軸としての部材とされている。
【0021】
第2ヒンジ部107は、その軸線が前述した第2回動軸12(Z軸)に沿って配置され、閉じおよびビューア時の上筐体102の厚み方向に対して直交するとともに、第3筐体103の長辺方向(長手方向)に沿って設けられている。
【0022】
第2ヒンジ部107は、一端部が第2筐体102に連結され、他端部が第3筐体103に連結されている。従って、第3筐体103は、第2ヒンジ107により片持ち支持されている。
【0023】
ここで、第1回動軸11および第2回動軸12とは、携帯電話機100が閉じ状態から開き状態あるいはビューア状態に移行する際の第1筐体101および第3筐体103の回転中心線の方向を指す。
【0024】
具体的には、第1回動軸11は第1筐体101の厚み方向に対して直交するとともに第1筐体101の短辺方向(幅方向)に沿う方向(図中、Y軸)とされている。また、第2回動軸12は第3筐体103の厚み方向に対して直交するとともに第3筐体103の長辺方向(長手方向)に沿う方向(図中、X軸)とされている。これらの第1回動軸11および第2回動軸12は、互いに直交している。
【0025】
なお、本発明において、第1ヒンジ部106および第2ヒンジ部107は、第1筐体101に対する第2筐体102および第3筐体103の回動、あるいは第2筐体102に対する第3筐体103の回動に伴って、第1ヒンジ106または第2ヒンジ107が軸まわりに回転する。
【0026】
次に図2を参照して、本実施形態の携帯電話機100において、本発明の特徴のひとつであるアンテナ配置について、説明する。図2は、携帯電話機100の各状態におけるアンテナ素子の配置例を示す。図2(a)は、開き状態でのアンテナ素子の配置、図2(b)は、閉じ状態でのアンテナ素子の配置、図2(c)は、ビューア状態でのアンテナ素子の配置を示す。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の携帯電話機100では第2回路基板105上に第1無線部と第2無線部の複数の無線システムが設けられている。第1無線部108は、第2無線部110に比べ閉じ状態において、主として動作するアプリケーションに対応している。また、第2無線部111は、第1無線部108に比べビューア閉じ状態において、主として動作するアプリケーションに対応している。なお、主として動作するとは、第1の無線部乃至第2の無線部に対応するアプリケーションの使用頻度が高いことを示す。例えば、各無線部の具体的なアプリケーションとして第1無線部108が、Bluetooth、第2無線部111が、WLAN(Wi−Fi)の場合、Bluetoothは閉じ状態において、ワイヤレスイヤホンで音楽を聴く使用ケースが多い。一方、WLANは、ビューア閉じ状態において、表示部112を見ながらwebを参照する使用ケースが多く、閉じ状態における使用ケースは、Bluetoothに比べて少ない。
【0028】
第1アンテナ素子109は、第2回路基板105の端部の第2ヒンジ部107から離間する側において、第1給電点116を介して第2回路基板105に接続されている。また、第2アンテナ素子110は、第2回路基板105の端部の第2ヒンジ部107と第1アンテナ素子109から離間する側において、第2給電点117を介して第2回路基板105に接続される。なお、図示していないが、第1回路基板104と第2回路基板105はその全面に亘ってグランドパターンが形成されている。また、第1給電点116の位置は第2回路基板105の端部の第2ヒンジ部107から離間する側に限定されるものではなく、第1給電点116の位置は第2回路基板105のどの位置でも配置可能である。第2給電点117の位置も第1給電点116の位置と同様に第2回路基板105のどの位置でも配置可能である。
【0029】
各アンテナ素子は、略L字の形状を有している。なお、各アンテナ素子のグランドは、各アンテナ素子が接続されている回路基板のグランドパターンである。
【0030】
図2(b)に示すように、携帯電話機100が閉じた状態において、第2回路基板105は、筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104と重なっている。第1アンテナ素子109は、第2アンテナ素子110に対し筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104から離間する側に配置されている。なお、第1アンテナ素子109の全体が第2アンテナ素子110に対し筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104から離間する側に配置されることが望ましいが、第1アンテナ素子109の一部が第2アンテナ素子110に比べ筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104から離間する側に配置されている場合でも高いアンテナ利得を得ることができる。
【0031】
図2(c)は、携帯電話機100がビューアとした状態を示している。第2アンテナ素子110は、第1アンテナ素子109に対し筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104から離間する側に配置されている。なお、図2(b)の場合と同様に第2アンテナ素子110の全体が第1アンテナ素子109に対し筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104から離間する側に配置されることが望ましいが、第2アンテナ素子110の一部が第1アンテナ素子109に比べ筐体厚み方向(X軸)で第1回路基板104から離間する側に配置されている場合でも高いアンテナ利得を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、携帯電話、ノートパソコン、携帯型ゲーム、携帯型オーディオ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子ブック、電子辞書、等々の回転2軸型の機構を備え、かつ、複数のアンテナを備える電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
11 第1回動軸
12 第2回動軸
100 回転2軸型携帯電話機
101 第1筐体
101A 第1筐体表面
102 第2筐体
103 第3筐体
103A 第3筐体表面
104 第1回路基板
105 第2回路基板
106 第1ヒンジ部
107 第2ヒンジ部
108 第1無線部
109 第1アンテナ素子
110 第2アンテナ素子
111 第2無線部
112 表示部
113 入力キー
114 機能キー
115 操作部
116 第1給電点
117 第2給電点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
第3筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを一方の軸で回動自在に連結された第1ヒンジと、
前記第2筐体と前記第3筐体とを前記一方の軸と直交する他方の軸で回転自在に連結する第2ヒンジと、を備えた携帯無線機であって、
前記第3筐体に設けられた表示部と、
前記第1筐体内に設けられた第1回路基板と、
前記第3筐体内に設けられた第2回路基板と、
前記第1回路基板上乃至第2回路基板上に配置された第1無線部と、
前記第1無線部に接続された第1アンテナ素子と、
前記第1回路基板上乃至第2回路基板上に配置された第2無線部と、
前記第2無線部に接続された第2アンテナ素子と、
をさらに備え、
前記表示部が見えない状態で前記携帯無線機が閉じられている状態において、前記第1無線部は、前記第2無線部に比べて使用される頻度が高く、前記第1アンテナ素子は、前記第2アンテナ素子に比べて前記第1筐体から離れていることを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
前記表示部が見える状態で前記携帯無線機が閉じられている状態において、前記第2無線部は、前記第1無線部に比べて使用される頻度が高く、前記第2アンテナ素子は前記第1アンテナ素子に比べ前記第1筐体から離れていることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項3】
前記第1アンテナ素子と前第2アンテナ素子は前記第3筐体内の端部において、
前記第2ヒンジから離間する側に配置されることを特徴とする請求項1乃至2に記載の携帯無線機。
【請求項4】
前記第1無線部および前記第1アンテナ素子は、Bluetoothを用途として使用し、
前記第2無線部および前記第2アンテナ素子は、無線LAN(Wi−Fi)を用途として使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233996(P2011−233996A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100590(P2010−100590)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】