説明

携帯無線端末

【課題】両手で操作を行う携帯無線端末において、使用者の手の影響を低減して高いアンテナ性能を実現する。
【解決手段】携帯無線機301によれば、操作部106を第1操作部302、第2操作部303といった2つの操作部から成り、第1操作部と第2操作部の間隔をd1<d2<d3となるように設定し、無線通信用アンテナ部203を第1操作部302、第2操作部303の中間位置かつヒンジ部104とは対抗する端部に配置するようにしたので、使用者の手202が無線通信用アンテナ部203に近接することなく、高いアンテナ性能を実現できる。なお、無線通信用アンテナ部203は線状又は板状形状で構成されるモノポールアンテナだけでなく、板状逆Fアンテナ、パッチアンテナでも同等の効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両手で入力操作を行う携帯無線端末において、使用者の手の影響を低減して高いアンテナ性能を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの登場により表示部とキーボード入力部を搭載する携帯無線端末が増えている。また、携帯無線端末の機能の一部を分担させた小型子機を内蔵するタイプの携帯無線端末も発表されている。
一般に携帯無線端末は携帯性を重要視するため、ノートPCに比べ小型である。そのため、キーボード入力部は表示部以外の筐体全体にわたって配置されることが多い。
その場合、無線通信用のアンテナは筐体内の空きスペースを有効活用するために、上筐体又は下筐体の端部位置に配置されることが多い。
【0003】
上筐体と下筐体とが開閉可能に連結された携帯無線端末では、バッテリは機器本体の大きさに対して占める割合が大きいことから、表示部とは別の下筐体に配置される場合が多い。バッテリが下筐体に配置される場合、無線部も下筐体内に配置される場合が多く、無線通信用のアンテナは下筐体内に配置されることが多い。
なお、無線通信用アンテナを下筐体内に配置する場合、筐体や内部部品との近接により、アンテナ性能が低下しないようにアンテナを最外壁に取り付ける構成(例えば、特許文献1参照)や、小型子機を内蔵する携帯無線端末においては小型子機を搭載した状態で子機のアンテナが筐体の外に飛び出す構成(例えば、特許文献2参照)又は小型子機を搭載した状態で子機のアンテナと重なる領域に親機の金属物を配置しない構成(例えば、特許文献3参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−141724号公報
【特許文献2】特開2009−088839号公報
【特許文献3】特開2002−016418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示部とキーボード入力部を搭載する携帯無線端末ではノートPCに比べ筐体のサイズが小さいため、使用者が両手で入力する際に手と無線通信用アンテナが近接するという課題がある。
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、表示部とキーボード入力部を搭載する携帯無線端末において、下筐体内に無線通信用アンテナを搭載しながらも、使用者の手の影響を低減し、高いアンテナ性能を備えた携帯無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯無線端末は、第1の筐体と、前記第1の筐体内に配置される表示部と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体を回動可能に接続するヒンジ部と、前記第2の筐体に配置される操作部と、前記第2の筐体内に配置される無線部と、前記無線部と整合回路を介して接続される無線通信用アンテナ部とを備え、前記操作部は第1操作部、第2操作部とから成り、前記ヒンジ部と最近接する前記第2の筐体の一辺から対抗する辺に対して前記第1操作部と前記第2操作部の間隔が段階的に広くなるように配置され、前記無線通信用アンテナ部は前記第1操作部と前記第2操作部の間に配置される。
上記構成によれば、表示部と操作部を搭載する携帯無線端末において、使用者の手の影響を低減し、高いアンテナ性能を確保することができる。
さらに、携帯無線端末に、前記第2の筐体内に着脱可能に配置される第3の筐体を備え、前記無線通信用アンテナ部を前記第3の筐体内に設ける。
上記構成によれば、携帯無線端末の機能の一部を分担させた小型子機を内蔵するタイプの携帯無線端末においても、使用者の手の影響を低減し、高いアンテナ性能を確保することができる。
また、前記無線通信用アンテナ部を板状逆Fアンテナとすることで、より使用者の手の影響を低減することができる。
さらに、前記無線通信用アンテナ部を平衡給電することで、前記第2の筐体に流れるアンテナ電流を低減することができ、使用者の手の影響をさらに低減することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、両手で操作を行う携帯無線端末において、使用者の手の影響を軽減してアンテナ性能を高める効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来構成に係る携帯無線端末の概略構成を示す外観斜視図
【図2】従来構成に係る携帯無線端末の使用状態を示す外観正面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る携帯無線端末の使用状態を説明するための外観概略図
【図4】本発明の実施の形態2に係る携帯無線端末の使用状態を説明するための外観概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態1に係る携帯無線端末を示す上で前提となる従来の携帯無線端末の概略図である。同図において、本実施の形態の携帯無線機101は2つ以上の筐体から構成される携帯無線端末である。
携帯無線端末101は第1の筐体103と第2の筐体105、第1の筐体103と第2の筐体105を回転可動に接続するヒンジ部104とから構成されている。第一の筐体103上には表示部102が配置され、第2の筐体上に操作部106が構成される。操作部106は使用者の要望に応じて、QWERTY配列や、携帯無線端末に固有のキー配列が選択される。第1の筐体103、第2の筐体105は略100mm×50mmのサイズで構成される。
図2に従来構成に係る携帯無線端末の使用状態を表す正面図を示す。なお、図2において前述した図1の携帯無線機101と共通する部分には同一の符号を付ける。
携帯無線端末201には無線通信用の無線通信用アンテナ部203を備える。無線通信用アンテナ部203は線状又は板状の導体で構成され、モノポールアンテナとして動作する。例えば、動作周波数は2GHz帯で設定され、第2の筐体105の端部に配置される。そのため、従来構成に係る携帯無線端末において、使用者の手202が操作部106に配置される状態では無線通信用無線通信用アンテナ部203は使用者の手202と近接した状態で配置される。
【0010】
(実施の形態1)
図3に本実施の形態1に係る携帯無線端末の使用状態を説明するための概略図を示す。なお、図3において前述した図1の携帯無線端末101及び図2の携帯無線端末201と共通する部分には同一の符号を付ける。
本実施の形態1に係る携帯無線端末は第2の筐体105上に第1操作部302、第2操作部303を備える。第1操作部302及び第2操作部303は操作部106を中央部から左右に分割した構成にしたものである。第1操作部302と第2操作部303は第1操作部と第2操作部の間隔d1、d2、d3を隔てて第2の筐体105上に配置される。第1操作部と第2操作部の間隔d1、d2、d3は段階的に大きくなり、d1<d2<d3の関係が成り立つ。例えばd1=5mm、d2=7.5mm、d3=10mmで設定される。無線通信用アンテナ部203は第1操作部302、第2操作部303の中間位置かつヒンジ部104とは対抗する端部に配置される。
このように本実施の形態の携帯無線機301によれば、操作部106を第1操作部302、第2操作部303といった2つの操作部から成り、第1操作部と第2操作部の間隔をd1<d2<d3となるように設定し、無線通信用アンテナ部203を第1操作部302、第2操作部303の中間位置かつヒンジ部104とは対抗する端部に配置するようにしたので、使用者の手202が無線通信用アンテナ部203に近接することなく、高いアンテナ性能を実現できる。
なお、無線通信用アンテナ部203は線状又は板状形状で構成されるモノポールアンテナだけでなく、板状逆Fアンテナ、パッチアンテナでも同等の効果を有する。
図4に本実施の形態2に係る携帯無線端末の使用状態を説明するための正面図を示す。図4において、前述した図1の携帯無線端末101、図2の携帯無線端末201及び図3の携帯無線端末301と共通する部分には同一の符号を付ける。
本実施の形態2は本実施の形態1に第3の筐体402を追加した構成である。第3の筐体402は第2の筐体105内に内蔵され、第2の筐体105と着脱可能な構造で固定される。また、無線通信用アンテナ部203は第3の筐体に内蔵される。
このように本実施の形態の携帯無線機401によれば、第3の筐体を備えた携帯無線端末において、操作部106を第1操作部302、第2操作部303に分割し、第1操作部と第2操作部の間隔をd1<d2<d3となるように設定し、無線通信用アンテナ部203を第1操作部302、第2操作部303の中間位置かつヒンジ部104とは対抗する端部に配置するようにしたので、使用者の手202が無線通信用アンテナ部203に近接することなく、高いアンテナ性能を実現できる。なお、無線通信用アンテナ部203は線状又は板状形状で構成されるモノポールアンテナだけでなく、板状逆Fアンテナ、パッチアンテナでも同等の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、両手で操作を行う携帯無線端末で、使用者の手の影響を低減してアンテナ性能を高める効果を有し、セルラ、GPS、近距離無線通信、ワイヤレスLAN、テレビ等の様々な無線アプリケーションを実行可能な携帯無線端末への適用が可能である。
【符号の説明】
【0012】
101、201、301、401 携帯無線端末
102 表示部
103 第1の筐体
104 ヒンジ部
105 第2の筐体
106 操作部
202 使用者の手
203 無線通信用アンテナ部
302 第1操作部
303 第2操作部
304 第1操作部と第2操作部の間隔d1
305 第1操作部と第2操作部の間隔d2
306 第1操作部と第2操作部の間隔d3
402 第3の筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、前記第1の筐体内に配置される表示部と、
第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体を回動可能に接続するヒンジ部と、
前記第2の筐体に配置される操作部と、
前記第2の筐体内に配置される無線部と、
前記無線部と整合回路を介して接続される無線通信用アンテナ部とを備え、
前記操作部は第1操作部、第2操作部に分離され、前記ヒンジ部と最近接する前記第2の筐体の一辺から対抗する辺に対して前記第1操作部と前記第2操作部の間隔が段階的に広くなるように配置され、前記無線通信用アンテナ部は前記第1操作部と前記第2操作部の間に配置されることを特徴とする携帯無線端末
【請求項2】
前記第2の筐体内に着脱可能に配置される第3の筐体を備え、前記無線通信用アンテナ部を前記第3の筐体内に設けたことを特徴とした請求項1記載の携帯無線端末
【請求項3】
前記無線通信用アンテナ部に板状逆Fアンテナを配置することを特徴とする請求項1乃至2記載の携帯無線端末
【請求項4】
前記無線通信用アンテナ部に平衡系のアンテナを配置することを特徴とする請求項1乃至2記載の携帯無線端末

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−80190(P2012−80190A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221129(P2010−221129)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】