説明

携帯用装置、及びかかる携帯用装置のためのタッチディスプレイ

アクティブマトリクス型の表示素子101及びタッチエレメント103を有するタッチディスプレイ100を有する携帯用装置が提供される。タッチエレメント103は、アクティブマトリクス型の表示素子101の見る人にとって遠い側に配置され、これにより表示特性に影響を与えない。タッチエレメント103は、第一及び第二の導電層113,115を有し、それぞれが複数の導体を有する。導電層113,115は、印加された圧力から生じる圧力ポイントに応答して2つの導電層113,115の2つの導体間の電気伝導度を変える圧力感知層117を挟む。したがって、正確な位置の検出が達成される。導体は、アクティブマトリクスと配列される場合があり、較正の要件が回避される場合がある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用装置、及び携帯用装置のためのタッチディスプレイ(touch sensitive display)に関し、特に、アクティブマトリクス型表示素子及びタッチエレメント(touch sensitive element)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、縮小されたサイズ及び多くのタイプの家電機器の拡大された移動性に向けて一般的なトレンドとなってきている。たとえば、携帯用電話、コンピュータ、パーソナルミュージックシステム及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)は、益々広がってきている。
【0003】
ハンドヘルド及びポータブルコンピュータエレクトロニクス及びコンピューティングの市場は、過去十年の間で著しく多様化してきている。高い解像度を有する改善されたディスプレイとなる増加する情報量を表示可能な小型装置がトレンドとなってきている。
【0004】
さらに、ユーザインタフェースが著しく進歩してきており、直感的なインタラクションメカニズムを提供することに多くの試みがなされてきている。ユーザ入力を受けるための頻繁に使用される方法は、装置におけるタッチスクリーンを組み入れることによる。これにより、タッチディスプレイにタッチするユーザによるユーザインタラクションが可能となる。
【0005】
従来、タッチディスプレイは、表示素子の上に位置された透明なタッチスクリーンにより形成される。タッチスクリーンは、したがってユーザに直面し、ユーザによりプレスされたとき、装置はプレスされた位置を検出し、この検出に応じて動作する場合がある。このように、タッチスクリーン装置は、プレスされているポイントの座標を識別し、装置は、選択されたアクションを決定及び実行することができる。
【0006】
しかし、従来のタッチディスプレイは、複数のタッチを検出することができない。それぞれタッチされた位置から得られたそれぞれの信号は、区別可能ではない信号と同じ電極で流れる。結果として、信号はオーバラップし、全ての生成された信号の重ね合わせを検出することができる。
【0007】
さらに、従来のタッチディスプレイは高価であって、製造するのに複雑化される傾向にある。さらに、機械的に感度が高く、機械的な故障となりがちである。また、従来のタッチディスプレイは、表示素子の上に位置されるタッチスクリーンを典型的に有し、したがってユーザと表示素子との間に位置される。これは、タッチディスプレイの光学的な性能を低下させ、タッチスクリーンを実現するために適切な光学特性を有する材料が使用されることを必要とする。
【0008】
さらに、従来のディスプレイは、結果的に得られるタッチディスプレイの著しい厚さとなる多数の層を含む傾向にある。多くの従来のディスプレイにかかる更なる問題点は、正確な位置の検出を提供し、特にタッチディスプレイで表示される画像に関する正確な位置の検出を提供するために注意深い較正を必要とすることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改善されたタッチディスプレイが必要とされ、特に、機械的な信頼性の改善、コストの低減、製造の複雑さの低減、厚さの低減、較正の要件の低減及び光学特性の改善を可能にするタッチディスプレイが必要とされる。
【0010】
したがって、本発明は、1以上の先に記載された問題点又はこれらの組み合わせを緩和、軽減又は除去することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様によれば、タッチディスプレイが提供され、見る人(viewer)にとって近い側と見る人にとって遠い側を有するアクティブマトリクス型の表示素子、及び、アクティブマトリクス型の表示素子の見る人にとって遠い側に配置されるタッチエレメントを有しており、第一の複数の導体を有する第一の導電層、第二の複数の導体を有する第二の導電層、及び、第一及び第二の導電層の間に挟まれ、印加された圧力から得られる圧力ポイントに応答して第一の複数の導体のうちの第一の導体と第二の複数の導体のうちの第二の導体との間の電気伝導性を変えるために作用する圧力感知層を有する。
【0012】
さらに、本発明は、タッチディスプレイの改善を可能にし、タッチエレメントは見る人から離れて配置される。したがって、本発明は、見る人とアクティブマトリクスディスプレイとの間にないようにタッチエレメントが配置されるのを可能にする。これにより、タッチエレメントは、タッチディスプレイの画像の光学特性に影響を与えない。タッチエレメントの光学特性は重要ではなく、特に、タッチエレメントは、たとえば半透明又は不透明材料からなる場合がある。したがって、ディスプレイの改善された画像が得られる場合がある。
【0013】
本発明は、圧力感知層が使用されるのを可能にし、伝導率を変えるために変形を僅かに必要とし、又は全く必要としない。したがって、アクティブマトリクス型の表示素子及び導電層の機械的な圧力及び感度が著しく低減され、信頼性が改善される。
【0014】
また、本発明は、容易に製造され、費用対効果の高いタッチディスプレイを可能にする。さらに、低減された厚さを有するタッチディスプレイとなる層構造が達成される場合がある。
【0015】
第一及び第二の複数の導体は、特に、絶縁層に形成される第一及び第二の複数の電極又は電気的に伝導性のあるパスである場合がある。アクティブマトリクス型の表示素子は、反射型のアクティブマトリクス型の表示素子であることが好ましい。導電率の変更は、低減された導電率である場合があるが、第一の導体と第二の導体との間を電流が流れるのを可能にする増加された導電率であることが好ましい。この電流は、感知装置により検出される場合があり、これにより圧力ポイントの位置の検出を可能にする。タッチエレメントは、アクティブマトリクス型の表示素子の隣に直接的に配置されるが、好ましくは、パッシベーション層のような1以上の層がタッチエレメントとタッチディスプレイとの間に配置される。
【0016】
本発明の特徴によれば、タッチエレメントは、複数の圧力感知素子を含んでいる。
このことは、実用的及び便利な実現を可能とし、位置の決定が圧力感知素子に関連する導電性の変化を検出することに基づく場合がある。圧力感知素子は、たとえば複数の個別の素子を含むタッチエレメントにより形成されるか、又は、たとえば第一及び第2の導電層を含む他の層とのインタラクションにより形成される場合がある。
【0017】
本発明の異なる特徴によれば、複数のタッチエレメントは、第一及び第二の複数の導体により形成される。
好ましくは、タッチエレメントは均質な層であり、圧力感知素子が第一及び第二の導電層からなる導体により形成される。特に、圧力感知素子は、第一の装置の導体と第二の層の導体との間でそれぞれオーバラップする領域で形成される場合がある。これにより、シンプルかつ低コストの実現が可能となり、圧力感知素子の正確な位置合わせが達成される場合がある。
【0018】
本発明の異なる特徴によれば、複数の圧力感知素子は、アクティブマトリクス型の表示素子の画素と配列される。
このことは、圧力感知素子と表示された画像との間の非常に簡単かつ正確な対応関係が可能となり、較正の要件を除去又は軽減する場合がある。好ましくは、第一及び第二の導電層からなる導体をアクティブマトリクス型の表示素子の画素との配列によりアラインメントが達成される。
【0019】
本発明の異なる特徴によれば、第一の複数の導体は、圧力感知アレイからなる行を形成する。これは、タッチエレメントとアクティブマトリクス型の表示素子との間の対応関係を可能にする特にシンプルかつ便利な実現が提供される。
【0020】
本発明の異なる特徴によれば、第二の複数の導体は、圧力感知アレイからなる列を形成する。これは、タッチエレメントとアクティブマトリクス型の表示素子との間の対応関係を可能にする特にシンプルかつ便利な実現を提供する。
【0021】
本発明の異なる特徴によれば、圧力感知層は、電気的な伝導率を変更するために作用する圧電材料を有する。これは、特に適切な実現を可能にする。特に、これはプロセスの互換性を提供し、したがって、ポリマーベースのアクティブマトリクス型の表示素子について製造の複雑さ及びコストの低減を提供する。さらに、検出可能な伝導率の変化となるため、したがって材料の性能及び圧力ポイントの検出の精度の改善となる、圧電材料について非常に僅かな変形が必要とされる。
【0022】
本発明の異なる特徴によれば、圧力感知層は、電気的な伝導率を変更するために作用するMEM(Micro-ElectroMechanical)スイッチを有する。これは、複数の適切な実現を可能にする。特に、これは、プロセスの互換性を提供し、したがって、アモルファスシリコンベースのアクティブマトリクス型の表示素子について製造の複雑さ及びコストの低減が提供される。
【0023】
本発明の異なる特徴によれば、タッチディスプレイは、第一の導体と第二の導体との間の電気的な伝導率における変化に応答して、圧力ポイントの位置を決定するために作用する検出手段を更に有する。これは、正確な位置の検出を可能にする有利な実現を提供する。好ましくは、検出手段は、電流又は電荷が変化した伝導率のために第一及び第二の導体の間で流れるのを検出する場合がある。
【0024】
本発明の異なる特徴によれば、検出手段は、複数の同時の圧力ポイントを検出するために作用する。好ましくは、検出手段は、第一及び第二の複数の導体のうちの複数の異なる導体の間の変化した導電率を同時に検出する。これは、タッチディスプレイを組み込んだ装置のフレキシビリティを増加し、機能性を改善するのを可能にする。
【0025】
本発明の異なる特徴によれば、検出手段は、第一の導体の信号を出力する信号源、圧力ポイントに応答して第一の導体と第二の導体との間で形成されている電気的な伝導率により生じる電気信号を検出するために第二の導体に結合される感知増幅器を有する。これは、圧力ポイントの位置を検出するための、適切、実用的かつ低い複雑さの手段を提供する。
【0026】
本発明の異なる特徴によれば、電気信号は電荷であり、感知増幅器は、電荷を感知する増幅器である。これは、帯電された伝導率を検出する特定の適切な方法を提供する。
【0027】
本発明の異なる特徴によれば、タッチディスプレイは、ディスプレイ制御信号を提供するために作用するバッファ増幅器を有するディスプレイコントローラを更に有し、タッチディスプレイは、ディスプレイドライバコンフィギュレーションにおけるバッファ増幅器として、圧力ポイント検出のコンフィギュレーションにおける信号源として1つの増幅器を結合するために作用する。
【0028】
これは、タッチディスプレイの複雑さ及びコンポーネントコストの低減を可能にし、したがって製造コストの低減を可能にする特定の有利な実現を可能にする。
【0029】
本発明の異なる特徴によれば、タッチディスプレイは、ディスプレイコントロール信号を提供するために作用するバッファ増幅器を有するディスプレイコントローラを更に有しており、タッチディスプレイは、ディスプレイドライバのコンフィギュレーションにおけるバッファ増幅器として、圧力ポイント検出のコンフィギュレーションにおける感知増幅器として1つの増幅器を結合するために作用する。
【0030】
これは、タッチディスプレイの複雑さ及びコンポーネントコストの低減を可能にし、したがって製造コストを低減する。
【0031】
本発明の第二の態様によれば、先に記載されたようなタッチディスプレイを有する携帯用装置が提供される。
本発明のこれらの態様、特徴及び利点、並びに他の態様、特徴及び利点は、以下に記載される実施の形態を参照して明らかにされるであろう。本発明の実施の形態は、例示により、添付図面を参照して記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下の記載は、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、モバイルフォン又はパーソナルミュージックシステムのような携帯用装置に適用可能な本発明の実施の形態に焦点合わせされる。しかし、本発明はこの応用に限定されるものではないが、多くの他の携帯用装置又は非携帯用装置にも適用される場合があることを理解されたい。
【0033】
図1は、本発明の好適な実施の形態に係る、タッチディスプレイ100の断面図を例示する図である。
【0034】
タッチディスプレイ100は、アクティブマトリクス型の表示素子101、及びパッシベーション層105により分離されるタッチエレメント103を有する。他の実施の形態では、マトリクス型の表示素子101は、タッチエレメント103の隣にある場合があるか、若しくは、マトリクス型の表示素子101とタッチエレメント103との間に配置される他の及び/又は更なる層が配置される場合がある。
【0035】
アクティブマトリクス型の表示素子101は、見る人にとって近い側と見る人にとって遠い側を有する。図1では、見る人にとって近い側が上側として示されており、見る人にとって遠い側が下側として示されている。したがって、使用中、図1のタッチディスプレイ100は、レイヤ構造の上端から見られる。
【0036】
好適な実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示素子101は、3つのレイヤを有する。見る人にとって遠い側に最も近いのは、アクティブマトリクス型のレイヤ107であり、ピクセルトランジスタ及び関連する画素電極を有する。アクティブマトリクスレイヤ107の上にあるのは、アクティブマトリクスレイヤの対応する画素電荷に応答して、光学特性を変化するために作用する電気泳動の電気−光レイヤ109である。電気泳動の電気−光レイヤ109の上には、タッチディスプレイ100のプロテクションを提供する保護層111である。
【0037】
好適な実施の形態では、保護層111は、好ましくはプラスティックであり、タッチディスプレイ100の上のユーザのプレスに応答してタッチエレメント103に伝達されている分散された高圧のアクチベーションを可能にするために適する。
【0038】
好適な実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示素子101は、当業者に知られているような反射型のアクティブマトリクス型の表示素子であり、簡略さ及び明確さのために、更なる詳細がここでは提供されない。
【0039】
好適な実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示素子101及びタッチエレメント103は、パッシベーション層により分離されており、この層はアクティブマトリクス型の表示素子からタッチエレメントを分離し、アクティブマトリクス構造が構築されるために表面を平面にする。
【0040】
好適な実施の形態のタッチエレメント103は、第一の導電層113と第二の導電層115とを有し、これらの間に圧力感知層117が挟まれる。第二の導電層115は、好ましくはガラス基板である基板119に配置されている。
【0041】
好適な実施の形態では、第一及び第二の導電層113,115の両者がパターニングされている。したがって、第一の導電層113は第一の複数の導体を有し、第二の導電層115は、第二の複数の導体を有している。好適な実施の形態では、第一及び第二の複数の導体が全体としてマトリクスのアレンジメントを構成しており、第一の複数の導体は、第二の複数の導体に実質的に垂直である。したがって、一方の複数の導体は、タッチマトリクスの行を形成し、他方の複数の導体は、タッチマトリクスの列を形成する。
【0042】
好適な実施の形態では、圧力感知レイヤ117は、印加された圧力から生じる圧力ポイントに応答して、第一の複数の導体のうちの第一の導体と第二の複数の導体のうちの第二の導体との間の電気的な伝導性を変化するために作用する材料を有する。したがって、ユーザがタッチディスプレイ100の上を押した場合、この圧力は、圧力感知レイヤ117に伝達され、これに応じて、第一及び第二の導電層113,115の間の伝導率を局所的に変化させる。たとえば、圧力感知レイヤ117は、圧力が印加されたときに導電率を増加する(抵抗を低減する)圧電材料を有する場合がある。
【0043】
導電率における変化は、たとえば、異なる導電層113,115の導体間の抵抗を測定することで検出することができる。それら導体の間で導電パスが形成されているのを検出することで、圧力ポイントの位置が決定される場合がある。
【0044】
したがって、本発明の好適な実施の形態によれば、タッチの機能は、アクティブマトリクス型の表示素子101の下に配置される3つのレイヤにより達成される。したがって、タッチエレメント103は、アクティブマトリクス型の表示素子101と見る人との間にはなく、したがって、アクティブマトリクス型の表示素子101の光学特性を損なわない。したがって、非常に改善された光学特性が達成される。
【0045】
さらに、レイヤ構造は容易に製造され、低減された厚さを有するタッチディスプレイを提供する場合がある。さらに、印加された圧力に応答して伝導率を変化させるために非常に僅かな変形を必要とする(又は変形を必要としない)圧力感知レイヤが使用される場合があるので、低い機械的な圧力及びベンディングのみが生じ、これにより改善されかつ更に信頼性の高いタッチディスプレイとなる。
【0046】
アクティブマトリクス型の表示素子は、矩形のアレイで配列される多数の画素を典型的に有する。典型的に、同じアレイの行における全ての画素は、同じディスプレイコントローラ出力に結合され、同じアレイの列における全ての画素は、別のディスプレイコントローラ出力に結合される。したがって、個々の画素は、対応する行及び列電極に適切な信号を出力することで制御される場合がある。
【0047】
好適な実施の形態では、タッチエレメントは、複数の圧力感知エレメントを有する。好ましくは、圧力感知エレメントのそれぞれは、アクティブマトリクス型の表示素子の特定の画素に対応する。したがって、好適な実施の形態では、圧力感知エレメントは、アクティブマトリクス型の表示素子の画素と配列される。
【0048】
好適な実施の形態では、圧力感知エレメントは、圧力感知レイヤにおける個々の構造として形成されるが、導電層と圧力感知レイヤとの間のインタラクションにより形成される。特に、圧力感知エレメントは、第一及び第二の導電層の導体の幾何学的形状により形成される。したがって、圧力感知エレメントは、第一の導電層の導体が第二の導電層の導体にオーバラップする位置であればどこであっても形成される場合がある。
【0049】
好適な実施の形態では、第一の導電層は、多数の導体を有し、これらのそれぞれは、アクティブマトリクス型の表示素子の列に配列される。同様に、第二の導電層は、多数の導体を有しており、それらのそれぞれは、アクティブマトリクス型の表示素子の行と配列される。したがって、2つのレイヤの導体は、画素と配列されるオーバラップするエリアのアレイを形成する。2つの導体層の間に挟まれる圧力感知層は印加された圧力に応答して伝導率を変えるので、それぞれオーバラップする領域は圧力感知エレメントを形成する。圧力感知エレメントに印加されている圧力は、対応する行の導体と列の導体との間の導電率における変化を検出することで検出することができる。したがって、アクティブマトリクス型の表示素子の画素と配列される圧力感知エレメントを有するタッチアレイが達成される。
【0050】
これに応じて、表示された画像と固有に配列される非常に正確な位置判定が達成される。これは、タッチディスプレイの性能を改善し、タッチエレメントのキャリブレーションの要件、及びタッチエレメントとアクティブマトリクス型の表示素子との間のアラインメントを除く。
【0051】
アレイにおける実質的に垂直な画素の方向を示すために用語「列」及び「行」が使用され、用語「行」及び「列」は、交換可能に使用される場合があることを理解されたい。
【0052】
好適な実施の形態では、圧力感知層は、電気伝導度を変えるために作用するピエゾ電気材料を有する。
【0053】
図2は、ピエゾ電気材料の部分的な圧縮(fractional compression)の関数としての電気抵抗を例示している。図2に例示されるように、抵抗は、15%以下の部分的な圧縮について、109オームを超える抵抗から1メガオーム前後に減少する場合がある。この差は、容易に正確に検出される場合があり、したがってタッチディスプレイの非常に小さな圧縮が必要とされる。これは、レイヤのベンディング又はフレキシングによって生じる機械的なストレスが最小化されるのを可能にし、改善された機械的な信頼性を提供する。
【0054】
他の実施の形態では、圧力感知層は、電気伝導度を変えるために作用するマイクロ・エレクトロメカニカル(MEM: Micro-ElectroMechanical)スイッチを有する。MEMは、典型的にミクロンスケールの構造であって、第一の導電層の導体は、第二の導電層の導体から通常は機械的に分離されている。MEMスイッチに加えられる圧力は、第一の導電層の導体が第二の導電層の導体と物理的な接触をなし、これにより電気的なコネクションを確立するやり方で、構造を瞬間的に変形する。
【0055】
圧力感知層の好適な実現は、製造の間の異なる層のプロセスの互換性に依存する場合がある。したがって、MEMスイッチ層は、アモルファスシリコンに実現されるアクティブマトリクスにより適しており、圧電材料は、ポリマーエレクトロニクスを使用して実現されるアクティブマトリクスについてより適している。
【0056】
好適な実施の形態では、タッチディスプレイは、第一及び第二の導体層の導体間の電気伝導度における変化に応じて圧力ポイントの位置を決定することができる検出手段を更に有する。好適な実施の形態では、タッチエレメントの検出手段の全部又は一部は、1つの集積回路におけるアクティブマトリクス型の表示素子のアドレス指定手段と含まれる場合がある。
【0057】
図3は、アクティブマトリクス型の表示素子の従来のディスプレイコントローラを例示する。
【0058】
アクティブマトリクス型の表示素子101は、多数の画素を有する。1つの画素に関連するコンポーネントは、図3に例示される。ピクセルトランジスタ301は、行電極303に結合されるゲート、列電極305に結合されるドレインを有する。ピクセルトランジスタ301のソースは、電気泳動の電気−光レイヤの光学状態を変更する電荷を記憶するピクセルキャパシタ307に結合される。したがって、ピクセルキャパシタ307は、画素の領域の大部分について物理的に延びる。
【0059】
行バッファ増幅器309は、行電極303に結合され、ピクセルトランジスタ301のゲートに行駆動信号を供給するために作用する。同様に、列バッファ増幅器311は、列電極305に結合され、ピクセルトランジスタ301のゲートに列駆動信号を供給するために作用する。列バッファ増幅器311は、所望の明るさレベルの画素に対応する信号VGreyを受ける。
【0060】
動作において、電圧を行電極303に印加し、これによりピクセルトランジスタをオンに切替えることで、電荷はピクセルキャパシタ307に供給され、ピクセルキャパシタから引き出される場合がある。次いで、ピクセルキャパシタ307に電荷を供給するか、又はピクセルキャパシタ307から電荷を引き出すため、適切な信号が列電極に印加される場合がある。
【0061】
図4は、本発明の好適な実施の形態に係るタッチディスプレイの駆動回路400を例示している。
例示されるように、駆動回路400は、図3に例示されるように従来のディスプレイ駆動回路から多数のコンポーネントを再使用し、同じ参照符号は、対応するコンポーネントについて使用されている。
【0062】
しかし、図3の回路とは対照的に、図4の駆動回路400の行バッファ増幅器309は、行の差動スイッチ401を通して行電極に結合されている。同様に、図4の駆動回路400の列バッファ増幅器311は、列の差動スイッチ403を通して列電極305に結合される。さらに、信号VGreyは、入力差動スイッチ405を通して列バッファ増幅器311に結合される。
【0063】
3つの差動スイッチ401,403,405は、コンフィギュレーション信号408により全て制御される。コンフィギュレーション信号408がディスプレイドライバコンフィギュレーションにあるとき、3つの差動スイッチ401,403,405は、図4における Oで例示されるようにコネクションを閉じる。見ることができるように、図3及び図4に駆動回路はこの状況では機能的に等価であり、信号を制御するための従来のアプローチが使用される場合がある。
【0064】
しかし、コンフィギュレーション信号408が圧力ポイントの検出又はタッチスクリーンコンフィギュレーションにあるとき、差動スイッチ401,403,405は、図4における Oにより例示されるコネクションが開かれ、 Oにより例示されないコネクションが閉じられる、逆のポジションを取る。
【0065】
図4に例示されるように、行バッファ増幅器309は、このコネクションでは、タッチエレメントの第一の導電層の行電極に結合される。さらに、列バッファ増幅器311は、(増幅器の出力と入力との間で結合されるキャパシタ409を使用して)感知増幅器、特に電荷感知増幅器として結合される。電荷感知増幅器の入力は、タッチエレメントの第二の導電層の列電極411に結合される。電荷感知増幅器の出力は、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)413に結合される。
【0066】
先に記載されるように、行電極407と列電極411との間に電気伝導度を変えるために作用する圧力感知エレメントが形成される。特に、スイッチ415が形成される場合がある。
【0067】
動作において、圧力ポイント検出コンフォギュレーションでは、行バッファ増幅器309は、行電極407に信号(たとえば電圧)を出力する場合がある。圧力が圧力感知エレメント415の位置に印加された場合、電荷は列電極411に生じる。この電荷は、電荷感知増幅器311により検出され、この電荷感知増幅器311は、これに応じて、ADC413によりデジタル化される出力電圧を発生する。圧力感知エレメント415の位置は正確に知られているので、正確な位置の判定が達成される。さらに、好適な実施の形態では印加された圧力に依存する圧力感知エレメントの導電率に電荷は依存するので、印加された圧力の大きさに関する情報が発生される。
【0068】
記載された先の回路は、低減された製造コスト及び低減された複雑さを可能にする。特に、駆動回路は、アクティブマトリクス型の表示素子の(行及び列)バッファ増幅器がタッチエレメントの信号源及び/又は感知増幅器として再使用されるのを可能にする。さらに、必要な増幅器の数が実質的に低減されるだけでなく、ディスプレイ駆動回路とアクティブマトリクス型ディスプレイとの間で必要とされる導体の数が低減される場合がある。
【0069】
好適な実施の形態の更なる利点は、複数の同時の圧力ポイントが検出されるのを可能にする点である。たとえば、2つのタッチエレメントが異なる行電極と列電極との間のコネクションを形成する場合、それぞれの列電極の感知増幅器は、タッチの指示を独立して発生する場合がある。
【0070】
好適な実施の形態では、タッチエレメントは、ピエゾ抵抗材料を挟む2つのパターニングされた導体層を有する。しかし、他の実施の形態では、導体がパターニングされない場合があることを理解されたい。したがって、複数の導体は、個別に分離された導体である必要はなく、パターニングされていない導体層において異なるオーバラップする動的に変動する導電性のパス又は方向である場合がある。
【0071】
本発明は、適切な形式で実現することができる。本発明の実施の形態のエレメント及びコンポーネントは、適切なやり方で物理的、機能的及び論理的に実現される場合がある。たしかに、1つのユニットで、複数のユニットで、又は他の機能ユニットの一部として機能が実現される場合がある。
【0072】
本発明は、好適な実施の形態と共に記載されてきたが、本実施の形態で述べた特定の構成に限定されることが意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲により制限される。請求項では、用語「有する“comprising”」は他のエレメント又はステップの存在を排除しない。さらに、個々に列挙されたが、複数の手段、エレメント又は方法ステップは、たとえば単一のユニット又はプロセッサにおり実現される場合がある。さらに、個々の機能が異なる請求項に含まれる場合があるが、これらは有利にも結合される場合があり、異なる請求項での包含は、特徴の組み合わせが実施可能及び/又は有利ではないことを意味しない。さらに、単数の参照は複数を排除しない。したがって“a”、“an”、“first”、“second”等への参照は、複数であることを排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係るタッチディスプレイの断面図を例示する図である。
【図2】圧電材料の部分的な圧縮の関数として電気抵抗を例示する図である。
【図3】アクティブマトリクス型の表示素子の従来のディスプレイコントローラを例示する図である。
【図4】本発明の好適な実施の形態に係るタッチディスプレイの駆動回路を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見る人にとって近い側と見る人にとって遠い側とを有するアクティブマトリクス型の表示素子と、
前記アクティブマトリクス型の表示素子の見る人にとって遠い側に配置されるタッチエレメントと、
第一の複数の導体を含む第一の導電層と、
第二の複数の導体を含む第二の導電層と、
前記第一の導電層と前記第二の導電層との間に挟まれ、印加された圧力から生じる圧力ポイントに応答して、前記第一の複数の導体の第一の導体と前記第二の複数の導体の第二の導体との間の電気伝導度を変えるために作用する圧力感知層と、
を有することを特徴とするタッチディスプレイ。
【請求項2】
前記タッチエレメントは複数の圧力感知エレメントを含む、
請求項1記載のタッチディスプレイ。
【請求項3】
前記複数のタッチエレメントは、前記第一及び第二の複数の導体により形成される、
請求項2記載のタッチディスプレイ。
【請求項4】
前記複数の圧力感知エレメントは、前記アクティブマトリクス型の表示素子の画素と配列される、
請求項2記載のタッチディスプレイ。
【請求項5】
前記第一の複数の導体は、圧力感知アレイの行を形成する、
請求項1記載のタッチディスプレイ。
【請求項6】
前記第二の複数の導体は、圧力感知アレイの列を形成する、
請求項1記載のタッチディスプレイ。
【請求項7】
前記圧力感知層は、電気伝導度を変えるために作用する圧電材料を含む、
請求項1記載のタッチディスプレイ。
【請求項8】
前記圧力感知層は、電気伝導性を変更するために作用するマイクロ・エレクトロメカニカルスイッチを含む、
請求項1記載のタッチディスプレイ。
【請求項9】
前記第一の導体と前記第二の導体との間の電気伝導性における変化に応答して前記圧力ポイントの位置を決定するために作用する検出手段を更に有する、
請求項1記載のタッチディスプレイ。
【請求項10】
前記検出手段は、複数の同時の圧力ポイントを検出するために作用する、
請求項9記載のタッチディスプレイ。
【請求項11】
前記検出手段は、前記第一の導体に信号を出力する信号源と、前記圧力ポイントに応答して前記第一の導体と前記第二の導体との間で形成される電気伝導度により生じる電気信号を検出するために前記第二の導体に結合される感知増幅器とを有する、
請求項9記載のタッチディスプレイ。
【請求項12】
前記電気信号は電荷であって、前記感知増幅器は電荷感知増幅器である、
請求項11記載のタッチディスプレイ。
【請求項13】
表示制御信号を提供するために作用するバッファ増幅器を有するディスプレイコントローラを更に有し、
前記タッチディスプレイは、ディスプレイドライバコンフィギュレーションにおけるバッファ増幅器として、圧力ポイントの検出のコンフィギュレーションにおける信号源として単一の増幅器を結合するために作用する、
請求項11記載のタッチディスプレイ。
【請求項14】
表示制御信号を提供するために作用するバッファ増幅器を有するディスプレイコントローラを更に有し、前記タッチディスプレイは、ディスプレイドライバのコンフィギュレーションにおけるバッファ増幅器として、圧力ポイント検出コンフィギュレーションにおける感知増幅器として単一の増幅器を結合するために作用する、
請求項11記載のタッチディスプレイ。
【請求項15】
請求項1記載のタッチディスプレイを有する携帯用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−500884(P2007−500884A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520942(P2006−520942)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051173
【国際公開番号】WO2005/008462
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】