説明

携帯用食事指導システム

【課題】健康保険法の改定によって、健康診査の結果、メタボリックシンドローム予防に着目した保健指導の実施が義務づけられ、食事指導をする需要は増えている。しかし従来の食事指導法では、短時間で多人数の患者を指導することは難しい。
【解決手段】
バーコードを貼り付けた料理画像群とバーコードを読み込んで選択した料理の栄養価計算をおこない、結果を印刷する食事診断の機能を持ったノートパソコンとバーコードリーダとプリンタと料理画像群を内容積20000立方センチメートル以内のカバンにいれて、食事指導を実施する場所に持参して、対象者に個別の食事指導を指導者1人で可能とする携帯用食事指導システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事指導の現場に指導者が携帯して、食事指導を行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、国の政策では、医療費の削減が言われており、そのために健康診断後の指導の強化が重要視されている。その指導のひとつに食事指導がある。しかし、対象者である生活習慣病予備軍の受診者は健康に関する危機感が乏しく、食事指導を受ける場合の時間的制約や食事調査票を記入する手間を負担と感じる場合が多い。
【0003】
一方、指導者にとっては、対象者に食事指導を行う機会は増加したが、今までの問診表、思い出し法では一人に30分程度かかってしまうため、短時間で多くの人数を指導できなかった。
【0004】
また、健康に関する関心が高くなり、食事指導の講習会の需要は増えている。しかし、講習会は、一般的に指導者1名対受講者多数で行われ、かつ2時間程度の限られた時間の中で指導者からの一方的な講義形式が主流であった。そのため、受講者は実感に欠けるため、実際の具体的な食生活の改善に結びつかず、参加するだけで終わることが多い。
【0005】
受講者の個別診断をするためのツールとして、ICタグ付フードモデルを利用するものがあるが、指導者が一人で講習会の場所に移動して実施する場合では大きすぎて利用できない。
【特許文献1】特開平9−101946
【特許文献2】特開平7−308292
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食事指導の講習会においては、出張場所を選ばす、指導者一人で受講者に個別の食事診断を行う形式の講習会を実現する。
【0007】
健康診断後の食事指導においては、短時間で多くの人数を指導できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
バーコードを貼り付けた料理画像群とバーコードを読み込んで選択した料理の栄養価計算をおこない、結果を印刷する食事診断の機能を持ったノートパソコンとバーコードリーダとプリンタと料理画像群を内容積20000立方センチメートル以内のカバンにいれて、食事指導を実施する場所に持参して、対象者に個別の食事指導を指導者1人で可能とする携帯用食事指導システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
健康診断後の指導においては、受診者が食事指導を受ける場合の時間的制約が軽減され、食事調査票を記入する手間が無くなり、指導が円滑に行える。
【0010】
講習会においては、場所を選ばず、指導者一人で、個別の食事診断も行う形式で受講者参加型の出前講習会が実施できる。
【0011】
受講者は自分の食事診断結果を見ながら、指導者の話を聞き、自分の食生活の具体的な改善目標を発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、携帯用食事指導システムの概略的な構成を示し説明する。この携帯用食事指導システムは食事指導を行う指導者1が一人で食事診断携帯セット2を携帯して、食事指導を実施する場所4に移動3し、食事指導を行うシステムである。
【0013】
図2には、食事診断携帯セットの携帯時の具体的な構成を示し説明する。この食事診断携帯セットは、内容積20000立方センチメートル以内の手提げカバン、コマつき旅行カバン、アタッシュケース等のカバンに、ノートパソコンとプリンタとバーコードリーダーとバーコードを貼り付けた紙媒体の料理画像群(数十枚)を納めた形態で構成される。
【0014】
図3には、この食事診断携帯セットの概略的な構成を示し説明する。
前記料理画像群は数十枚程度あり、対象者はこの料理画像群から朝、夕、昼、おやつの中から限定した食事について、対象者が食する頻度の高い料理画像を複数枚選択した料理画像データ9を入力する入力部13と、前記料理画像群の料理名(番号)に対応づけて、予め料理について栄養素量を記憶する料理別栄養素量記憶部14と、前記料理別栄養素量記憶部14から料理画像データ9に基づく摂取栄養素量を読み出し、対象者の摂取栄養素量を計算する摂取栄養素量計算部15と、対象者の身体的情報及び身体活動レベルを入力する個人情報入力部10と、予め身体的情報及び身体活動レベルとこれが意味する食事摂取基準量とが対応して記憶されている食事摂取基準量記憶部11と、前記個人情報入力手段から入力された対象者の身体的情報及び身体活動レベルに対応する食事摂取基準量を前記食事摂取基準量記憶部11から読み出し、対象者が摂取すべき栄養素量を計算する所要栄養素量計算部12と、前記摂取栄養素量計算部15で計算した対象者の料理画像データの栄養素量と前記所要栄養素量計算部12で計算した対象者が摂取すべき栄養素量から食事内容を判断する食事診断部16と、この食事診断の結果を記憶する食事診断記憶部17と、この食事診断記憶部17に記憶された食事診断の結果を告知する食事診断表示部18とで構成される。
【0015】
図4には、前述した食事診断携帯セットの食事診断実施時の具体的な構成を示し説明する。この食事診断携帯セットは、ノートパソコン7を利用したものであり、対象者が選択することができる数十枚の料理画像群5と対象者が選択した前記料理画像群5に貼り付けられたバーコード情報を読み込むバーコードリーダ6と対象者の身体的情報及び身体活動レベルを入力するキーボード29と前述した料理別栄養素量と食事摂取基準量及び食事診断の結果を記憶するメモリ20と例えばCPUからなり、対象者の所要栄養素量の計算や摂取栄養素量の計算の結果からや食事診断の結果を生成する計算・判断処理部19と前記食事診断の結果を記憶するメモリ20から食事診断の結果を読出して表示するCRT21と食事診断結果22を印刷出力するためのプリンタ8とで構成される。
【0016】
図5には図1に示した携帯用食事指導システムの講習会における実施例を示して説明する。指導者1は一人で食事診断携帯セット2を携帯して、食事指導の講習会を実施する場所23に移動3し、複数名の受講者24に対して食事診断携帯セットを使って個別の食事診断を行う。受講者24は各自の食事診断結果22を見ながら、指導者1の話を聞き、自分の食生活の具体的な改善目標を発見することができる。
【0017】
図6には図1に示した携帯用食事指導システムの健康診断後の食事指導における実施例を示し説明する。健康診断とは例えば集団検診や郵送による健康相談の結果、食事指導が必要であると判断された対象者に行う食事指導であり、個人の食事診断を行い、診断結果に基づく食生活の改善について指導するものである。指導者は一人で食事診断携帯セット2を携帯して、健康診断後の食事指導の実施場所25まで移動3し、食事診断携帯セット2を使って受診者26に個別の食事診断を行う。受診者26の食事指導終了後、受診者27、受診者28の順に、一人に要する食事診断の時間を短時間にすることによって、限られた時間内に多人数の食事指導を可能とする。
【0018】
図5に示すフローチャートを参照して、このように構成された食事診断携帯セットによる処理について説明する。まず食事診断の対象者がバーコートを添付した料理画像群5から、対象者が食する頻度の高い料理画像を少なくとも1枚以上選択し、料理画像データ9とする。(ステップS1)。
【0019】
次に対象者の身体的情報及び身体活動レベル等の個人情報をキーボード29から入力し(ステップS2)、入力した前記個人情報に基づき、食事摂取基準記憶部から該当する食事摂取基準を読み出し(ステップS3)、所要栄養素量計算部12において、あらかじめ設定された数式により、対象者に必要な栄養所要量を計算する(ステップS4)。
【0020】
ステップS1で選択した料理画像データ9に貼り付けてあるバーコードを、バーコードリーダー6で入力し(ステップS5)、料理別栄養素量記憶部14から該当する料理別栄養素量を読み出し(ステップS6)、摂取栄養素量計算部15において、あらかじめ設定された数式により摂取栄養素量を計算する(ステップS7)。
【0021】
食事診断部16において、あらかじめ設定された数式により前記摂取栄養素量が前記所要栄養素量に対する割合を計算し、対象者の食事診断を行う(ステップS8)。
【0022】
前記食事診断の結果と前記個人情報と料理画像データ9を食事診断記憶部17に登録し、CRT21に表示し(ステップS9)、印刷するかを判断し(ステップS10)、印刷する場合(YES)はプリンタ8を用いて図8に示したような項目を含む食事診断結果22を印刷し、対象者に手渡す。(ステップS11)。印刷しない場合(NO)はCRTを対象者と一緒に見ながら口頭で食事指導を行う。
【産業上の利用可能性】
【0023】
幼稚園、学校等での食育の場で利用できる。
【0024】
病院の管理栄養士が患者の栄養指導に利用できる。
【0025】
栄養士の携帯ツールとして利用できる。
【0026】
食事指導の講習会への指導者派遣事業に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】携帯用食事診断システムの概略的な構成を示す図である。
【図2】食事診断携帯セットの携帯時の具体的な構成を示す図である。
【図3】食事診断携帯セットの概略的な構成を示す図である。
【図4】(図2)に示した食事診断携帯セットの食事診断実施時の具体的な構成を示す図である。
【図5】(図1)に示した携帯用食事指導システムの講習会における実施例を示す図である。
【図6】(図1)に示した携帯用食事指導システムの健康診断後の食事指導における実施例を示す図である。
【図7】食事診断携帯セットによる食事指導処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】食事診断結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1指導者 2食事診断携帯セット 3移動 4食事指導を実施する場所 5料理画像群 6バーコードリーダ 7ノートパソコン 8プリンタ 9料理画像データ 10個人情報入力部 11食事摂取基準記憶部 12所要栄養素量計算部 13入力部 14料理別栄養素量記憶部 15摂取栄養素量計算部 16食事診断部 17食事診断記憶部 18食事診断表示部 19計算・判断処理部 20メモリ 21CRT 22食事診断結果 23食事指導の講習会会場 24受講者 25健康診断後の食事指導の実施場所 26受診者 27受診者 28受診者 29キーボード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
料理画像群が並べられており、対象者が食する頻度の高い料理をこの画像群の中から選択し、食事診断を行う食事指導システムにおいて、対象者の身体的情報及び身体活動レベルを入力する個人情報入力手段と、身体的情報及び身体活動レベルとこれが意味する食事摂取基準量とが対応して記憶されている食事摂取基準量記憶手段と、前記個人情報入力手段から入力された対象者の身体的情報及び身体活動レベルに対応する食事摂取基準量を前記食事摂取基準量記憶手段から読み出し、対象者が摂取すべき栄養素量を計算する所要栄養素量計算手段と、対象者によって選択された料理画像のデータを入力する入力手段と、料理画像データとこの料理画像が意味する栄養素量とが対応して記憶されている料理別栄養素量記憶手段と、前記入力手段から入力された料理画像データに対応する料理の栄養素量を前記料理別栄養素量記憶手段から読み出し、対象者が選択した料理画像の栄養素量を計算する摂取栄養素量計算手段と、前記摂取栄養素量計算手段で計算した対象者の料理画像の栄養素量と、前記所要栄養素量計算手段で計算した対象者が摂取すべき栄養素量から食事内容を判断する食事診断手段と、この食事診断の結果を記憶する食事診断記憶手段と、この食事診断手段で求めた食事内容を告知する食事診断表示手段とを具備するノートパソコンと共に、プリンタとバーコードリーダとバーコードを貼り付けた紙媒体の料理画像群を内容積20000立方センチメートル以内のカバンに納めた食事診断携帯セットを指導者が食事指導を実施する場所まで一人で持参してこれを使って食事診断をすることを特徴とする携帯用食事指導システム。
【請求項2】
前記指導者が食事指導を実施する場所は、食事指導の講習会であることを特徴とする請求項1記載の携帯用食事指導システム
【請求項3】
前記指導者が食事指導を実施する場所は、健康診断の結果、食事指導が必要と判断された人を対象とした個別食事指導を実施する場所であることを特徴とする請求項1記載の携帯用食事指導システム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−40778(P2008−40778A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214040(P2006−214040)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(306029187)有限会社彩加プランニング (2)
【Fターム(参考)】