説明

携帯端末、アラーム報知システム、アラーム報知方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】既存の設備を有効に活用するとともに、アラーム報知を行う対象の移動について個別に特定でき、目的地到着を携帯端末が自動的に検知してアラーム報知を行う携帯端末を提供する。
【解決手段】GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末であって、ユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定手段と、GPS衛星からの位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測手段と、アラーム条件設定手段により設定された条件と計測手段により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定手段と、アラーム判定手段によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、ユーザが目的地に接近していると判定された場合にアラーム報知を行うアラーム報知手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、アラーム報知システム、アラーム報知方法、プログラム、及び記録媒体に関し、特に、例えば電車やバス等の公共交通機関を利用するユーザが目的地に特着あるいは接近したことを知らせるためのアラーム報知技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電車やバス等の公共交通機関に乗るユーザが例えば寝過ごして目的地を通過することを防止しようとする場合、携帯電話機のアラームメッセージ機能を利用することが考えられる。この種の携帯電話機では、アラームメッセージの内容及びこのメッセージの表示が作動する時刻をあらかじめ設定しておき、この設定時刻になったことが検出されると、アラームによる報知とともにメッセージの表示が行われる。アラームによる報知は、例えば「ピッピピ」というようなアラーム音や、バイブレータを用いた振動によりなされる。
【0003】
しかしながら、上記のようなアラームメッセージ機能では、ユーザは携帯電話機によるアラーム報知を用いる場合にその都度アラーム設定を行わなければならない。このため、ユーザがアラーム設定を忘れたり、またアラーム設定に際してアラーム時刻等の設定ミスが発生したりして、アラーム機能を有効に利用することができない事態が生じるおそれがある。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1では、あらかじめ行先駅名を入力しておくだけで、目的地に到着したことを使用者に自動的に報知するアラーム出力方法が開示されている。当該アラーム出力方法では、行先の駅名情報をあらかじめ駅データ設定部に登録しておき、駅から無線信号で駅名コードを受信にしたとき、登録した駅名情報と受信した駅名コードを比較照合する。一致した場合にはアラーム信号を発生させてユーザに目的駅への到着を放置する。
【0005】
また、例えば特許文献2では、交通機関が延着した場合にも正確に到着時に報知することが可能な到着報知システムが開示されている。当該到着報知システムでは、各交通機関に到着地点コードの発信設備を配し、各携帯情報端末に目的の到着地点コードを登録する。そして、発信設備から発せられる到着地点コードを携帯情報端末で確認し、登録されている目的地点コードと一致したときにアラームにより到着を報知する。
【特許文献1】特開平11−163781号公報
【特許文献2】特開2002−319999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1のアラーム出力方法では、例えば家から歩いて駅に到着したときにアラームが作動してしまうことが考えられる。これは、降車時の乗り過ごし防止のためにアラーム機能を利用したい場合には、ユーザにとって逆に迷惑な機能となってしまう。このため、目的地到着のアラーム報知を行う対象の移動を個別に特定できるようにすることがユーザビリティの向上につながる。
【0007】
また、特許文献1のアラーム出力方法は駅名コードの無線発信設備を駅に設ける必要があり、特許文献2の到着報知システムは各交通機関に到着地点コードの発信設備を配する必要がある。つまり、これらのサービスを幅広い地域で受けようとした場合には相当の設備投資コストがかかってしまう。このため、例えばGPS衛星から位置情報を取得可能にするGPS技術や、目的地までの経路や所要時間等を取得できる交通案内システムといった既存の設備を利用できることは望ましい。
【0008】
そこで、本発明は、既存の設備を有効に活用するとともに、アラーム報知を行う対象の移動について個別に特定でき、目的地到着を携帯端末が自動的に検知してアラーム報知を行う携帯端末、アラーム報知システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の携帯端末は、GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末であって、携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定手段と、GPS衛星からの位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測手段と、アラーム条件設定手段により設定された条件と計測手段により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定手段と、アラーム判定手段によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知手段と、を有する。
【0010】
また、本発明の第1のアラーム報知システムは、GPS通信を行うGPS衛星と、GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末と、経路情報を保持する外部サーバとを含んで構成されるアラーム報知システムであって、携帯端末は、携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定手段と、GPS衛星からの位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測手段と、アラーム条件設定手段により設定された条件と計測手段により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定手段と、アラーム判定手段によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知手段と、を有する。
【0011】
また、本発明の第1のアラーム報知方法は、GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末におけるアラーム報知方法であって、携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定ステップと、GPS衛星からの位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測ステップと、アラーム条件設定ステップにより設定された条件と計測ステップにより計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定ステップと、アラーム判定ステップによりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知ステップと、を有する。
【0012】
また、本発明の第1のプログラムは、GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末に用いられるプログラムであって、携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定機能と、GPS衛星からの位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測機能と、アラーム条件設定機能により設定された条件と計測機能により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定機能と、アラーム判定機能によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知機能と、をコンピュータに実現させる。
【0013】
また、本発明の第1の記録媒体は、上記のプログラムを記録しコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既存の設備を有効に活用するとともに、アラーム報知を行う対象の移動について個別に特定でき、目的地到着を携帯端末が自動的に検知してアラーム報知を行う携帯端末、アラーム報知システム等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明が適用される携帯端末は、図1に示すように、GPS機能を備えるもので、アラーム条件設定手段2、計測手段3、アラーム判定手段4、アラーム報知手段、GPS手段6、時計手段7を有する。アラーム条件設定手段2は、目的地接近に対してアラームを行うための条件(移動時刻、移動速度、目的地等)を設定する。計測手段3は、GPS衛星8からの位置情報と時計手段7による時刻情報とを用いて諸データ(目的地までの距離、到着予定時刻、移動速度等)を計測する。アラーム判定手段4は、設定された条件と計測されたデータとに基づいて、アラーム報知の対象となる移動かどうか及び目的地に接近しているかどうかを判定する。アラーム報知手段5は、アラーム報知対象の移動かつ目的地接近と判定された場合にアラーム報知を行う。
【0016】
アラーム判定手段4は、設定された移動時刻条件及び移動速度条件と計測された移動時刻及び移動速度とに基づいてアラーム報知対象の移動か否かを判定するアラーム対象移動判定手段と、計測された目的地までの距離が所定の閾値以下の場合に目的地接近と判定する目的地接近判定手段とを有するように構成してもよい。
【0017】
また、アラーム判定手段4は、計測された目的地までの距離から目的地接近と判定した場合であっても、計測手段3により計測された予測到着時刻と接近中の現在時刻を比較して両時刻に所定の閾値以上の乖離があったときにはユーザの移動をアラーム報知の対象外と判定するように構成してもよい。
【0018】
また、アラーム判定手段4は、計測された目的地までの距離から目的地接近と判定した場合で、かつ、計測手段3により計測された予測到着時刻と接近中の現在時刻を比較して両時刻に所定の閾値以上の乖離があった場合であっても、ユーザの移動経路上における遅延や事故の情報を外部サーバ(例えば交通案内システムで用いられるもの)から取得したときにはユーザの移動をアラーム報知の対象と判定するように構成してもよい。
【0019】
本発明では、移動時刻、移動速度、目的地を含むアラーム条件を設定することで、アラーム報知を行う移動を個別に特定することを可能としている。また、設定した条件に照らして判定を行うために必要な計測データを、GPS衛星や外部サーバから取得しており、既存の設備を有効に利用している。そして、一旦アラーム条件が設定されれば、ユーザの移動に関して移動時刻、移動速度、目的地までの距離等を計測して、条件を満たすかどうかを自動で判断し、条件を満たす場合にアラームを作動させて目的地接近を知らせる。このため、アラーム機能の利用のたびに逐次アラーム設定を行う必要がない。
【0020】
以下、図2から図5を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図2は、本実施形態におけるアラーム報知システムの構成を示した図である。本実施形態のアラーム報知システムは、携帯電話機10、移動経路案内サーバ50、GPS衛星80を含んで構成される。移動経路案内サーバ50は、先に述べたように、到着希望時刻までに目的地に到着することが可能な経路を提供する交通案内システムや、ユーザが指定した出発地から目的地までの経路を検索して提供する経路検索サービスにおいて用いられるサーバ装置である。GPS衛星80はGPS受信機能を持つ端末装置に電波を発信し、端末装置はこの電波を受信し現在位置を測定して位置情報を得る。
【0021】
図3は、本実施形態の携帯電話機10の内部構成を示した機能ブロック図である。携帯電話機10は、制御部11、メモリ部12、入力表示部13、GPS部14、内部時計15、送受信部16、アラーム条件設定部17、移動速度計測部18、アラーム対象移動判定部19、到着時刻予測部20、目的地接近判定部21、アラーム部22を備える。
【0022】
制御部11は、メモリ部12に格納された制御プログラムに従って、携帯電話機10の全体動作を制御する。メモリ部12は、携帯電話機10の全体動作の制御プログラムや個別のアプリケーションプログラム(メール機能、ネット機能等)を格納する領域、作業領域を有する。入力表示部13は、ユーザの操作内容の入力を受け付け、また通信中のデータや機器状態の表示を行う。GPS部14は、GPS衛星からの電波を受信して位置情報を取得する。内部時計15は正確な時刻情報を保持する。送受信部16は、ネットワーク接続された外部サーバからデータを送受信する。
【0023】
アラーム条件設定部17は、アラーム条件設定手段2に対応する構成で、入力表示部13から入力された時刻、速度、地名のデータをアラーム条件(移動時刻条件、移動速度条件、目的地条件)として設定する。移動速度計測部18は、計測手段3に対応する構成で、GPS部14が取得した自機の位置情報と内部時計15からの時刻情報とを用いて移動速度を計測する。
【0024】
アラーム対象移動判定部19は、アラーム判定手段4に対応する構成で、アラーム条件設定部17で設定された移動時間条件及び移動速度条件と、内部時計15からの時刻情報(移動時刻)及び移動速度計測部18で計測された移動速度とを用いて、ユーザの移動がアラーム報知対象の移動か否かを判定する。到着時刻予測部20は、計測手段3に対応する構成で、送受信部16が外部サーバから取得した目的地の位置情報、GPS部14からの自機の位置情報、移動速度計測部18で計測した移動速度を用いて目的地への到着時刻を予測する。
【0025】
目的地接近判定部21は、計測手段3及びアラーム判定手段4に対応する構成で、送受信部16が外部サーバから取得した目的地の位置情報、GPS部14からの自機の位置情報を用いて目的地までの距離を求め、目的地までの接近したか否かを判定する。アラーム部22は、アラーム報知手段5に相当する構成で、アラーム対象移動判定部19によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、目的地接近判定部21により目的地に接近したと判定された場合に、アラーム機能を作動させて目的地接近あるいは目的地到着を報知する。
【0026】
図4は、本実施形態におけるアラーム報知動作を説明するためのチャート図である。まず、アラーム条件設定部17において、ユーザの行っている移動がアラーム報知の対象か否かを判定するための条件設定をあらかじめ行う(ステップS1)。設定内容は、移動時間条件、移動速度条件、目的地条件である。移動時間条件では、アラーム対象の移動を行う時間帯の条件設定を行う(例:22:00〜3:00)。移動速度条件では、アラームの対象の移動を行う速度条件の設定を行う(例:平均時速20km〜60km)。目的地条件では、アラームの対象の移動における到着地点の設定を行い、デフォルト設定で通常利用する目的地情報を設定し、一時設定で一時利用する目的地情報を設定する(例:デフォルト設定−船橋、一時設定−池袋)。
【0027】
そして、上記のようにアラーム条件の設定を行うと、メモリ部12(図3)の所定領域に設定内容が格納されるとともに、移動速度条件、時間帯条件、目的地条件が出力される(ステップS1)。移動速度条件は移動速度計測部18に入力され(ステップS2)、時間帯条件はアラーム対象移動判定部19に入力され(ステップS3)、目的地条件は目的地接近判定部21に入力される(ステップS4)。
【0028】
続いて、移動速度計測部18は、GPS部14から出力された自機の位置情報を入力する(ステップS5、ステップS6)。また、内部時計15から出力された現在の時刻情報を入力する(ステップS7、ステップS8)。移動速度計測部18は、位置情報及び時刻情報の取得を所定のタイミングで行い、これらの情報を用いてユーザ(携帯電話機)の移動速度を一定間隔で算出する(ステップS9)。そして、移動速度計測部18は、算出した移動速度と移動速度条件とを照合し、数値化(例えば条件適合は“0”、条件不適合は“1”とする等)した条件適合結果を求める。一定間隔で算出された移動速度及びそれに合わせて求められた条件適合結果は、メモリ部12(図3)の所定領域に格納されるとともに、数値化した条件適合結果をアラーム対象移動判定部19に出力する(ステップS9)。
【0029】
アラーム対象移動判定部19は、複数の数値データとして取得した条件適合結果について平均値を求める。そして、この平均値と閾値とを比較して、移動速度条件に関し、ユーザの移動がアラーム報知対象の移動にあたるか否かの判定を行う。平均値が閾値以上の場合はアラーム報知対象の移動と判定し、平均値が閾値を下回った場合は報知対象外の移動と判定する。また、アラーム対象移動判定部19は、所定のタイミングで内部時計15から時刻情報を取得する(ステップS11、ステップS12)。そして、取得した時刻情報と移動時刻条件とを照合し、数値化した条件適合結果を求め、条件適合結果をメモリ部12(図3)の所定領域に格納する。そして、移動速度条件の場合と同様に、平均値の算出と閾値との比較を行い、アラーム報知対象の移動かを判定する。
【0030】
なお、アラーム対象移動判定部19は、移動速度条件と移動時間条件の双方の条件についての判定で報知対象と判断された場合に、最終的にアラーム報知対象の移動と判定する(ステップS13)。そして、アラーム対象移動判定部19は、アラーム対象移動の判定結果を到着時刻予測部20及びアラーム部22に出力する(ステップS13〜ステップS15)。
【0031】
到着時刻予測部20は、アラーム対象移動判定部19からの対象移動の判定結果を入力する(ステップS14)。また、GPS部14から出力された自機の位置情報を入力する(ステップS16、ステップS17)。また、移動経路案内サーバ50(図2)から取得した目的地の位置情報を送受信部16(図3)から入力し、メモリ部12(図3)の所定領域に格納する。そして、到着時刻予測部20は、入力した自機の位置情報、メモリ部12に格納された目的地の位置情報及び移動速度を用いて目的地への予測到着時刻を算出し、目的地接近判定部21に出力する(ステップS18)。
【0032】
なお、GPS衛星80から取得した自機の位置情報を送受信部16により移動経路案内サーバ50に送信し、移動経路案内サーバ50において目的地への予測到着時刻が計算されるように構成することもできる。この場合、移動経路案内サーバ50で計算された予測到着時刻が到着時刻予測部20により取得され、目的地接近判定部21に入力されることになる。
【0033】
続いて、目的地接近判定部21は、到着時刻予測部20から予測到着時刻を入力する。また、GPS部14から出力された自機の位置情報を入力し、内部時計15から出力された現在の時刻情報を入力する(ステップS20〜ステップS23)。また、移動経路案内サーバ50(図2)から取得した遅延事故情報を送受信部16(図3)から入力し、メモリ部12(図3)の所定領域に格納する。そして、目的地接近判定部21は、入力した自機の位置情報、メモリ部12(図3)に格納された目的地の位置情報を用いて、ユーザ(携帯電話機10)が目的地に接近したか否かの判定を行う(ステップS24)。また、入力した予測到着時刻、メモリ部12(図3)に格納された遅延事故情報を用いて、アラーム報知対象かつ目的地接近と判断された移動について、さらにアラーム報知を行うか否かの判定を行う。
【0034】
目的地接近判定部21は、アラーム対象の移動と判定し、目的地接近と判定した場合でも、アラームの誤報を防ぐため、予測到着時刻と現在時刻とを比較し、両時刻に一定以上の乖離がある場合は、アラーム対象移動の判定を解除し、対象外の移動とする。また、予測到着時刻と現在時刻とで一定以上の乖離があっても、取得した遅延事故情報が移動経路上のものである場合には、アラーム対象移動の判定を解除せず、アラーム対象の移動とする。
【0035】
そして、アラーム部22は、対象判定結果(ステップS15)がアラーム報知対象の移動であり、接近判定結果(ステップS25)が目的地接近である場合に、ユーザの移動に対して発信音や振動によるアラーム報知を行う(ステップS26)。
【0036】
図5は、本実施形態におけるアラーム対象判定及び目的地接近判定の流れを示したフローチャートである。まず、アラーム対象移動判定部19や目的地接近判定部21は、設定されたアラーム条件、計測された諸データを取得する(ステップS101)。アラーム条件は移動速度条件、移動時間条件、目的地条件であり、計測データは移動速度、移動時間、自機や目的地の位置情報、時刻情報である。
【0037】
次いで、移動時刻条件について、計測データと設定条件を比較して条件を満たすか判断する(ステップS102)。移動時刻条件を満たす場合(ステップS102/YES)は、移動速度条件について、計測データと設定条件を比較して条件を満たすか判断する(ステップS103)。移動速度条件も満たす場合(ステップS103/YES)には、目的地までの距離、予測到着時刻を算出する(ステップS104)。逆に、移動時刻条件あるいは移動速度条件のいずれか1つでも満たさない場合(ステップS102/NO、ステップS103/NO)は、アラーム対象外の移動と判定する(ステップS109)。
【0038】
そして、はじめに目的地までの距離を閾値と比較し(ステップS105)、閾値以下の場合(ステップS105/YES)はとりあえず目的地接近と判定する。目的地までの距離が閾値を上回る場合(ステップS105/NO)は、目的地接近ではないと判定する(ステップS110)。
【0039】
とりあえず目的地接近と判定された場合は、予測到着時刻と接近時刻(現在時刻)との比較を行う(ステップS106)。両時刻が閾値以上乖離していない場合(ステップS106/NO)はアラーム対象移動かつ目的地接近と判定する(ステップS108)。両時刻が閾値以上乖離している場合は、さらに移動経路上に遅延や事故があるか判断する(ステップS107)。
【0040】
ここで遅延や事故がある場合(ステップS107/YES)は、予測到着時刻と現在時刻が乖離していても、アラーム対象移動かつ目的地接近と判定する(ステップS108)。逆に、遅延や事故がない場合(ステップS107/NO)は、目的地までの距離が一定以下としても、アラーム対象外の移動と判定する(ステップS109)。
【0041】
そして、アラーム対象移動かつ目的地接近と判定された移動に対して、アラーム報知を行う(ステップS111)。アラーム対象外と判定された移動や、アラーム対象でも目的地接近でないと判定された移動は、アラーム報知を行うことなく処理を終了する。
【0042】
本実施形態によれば、ユーザは都度の条件設定の操作をすることなく、アラーム機能を利用することができ、ユーザの操作負荷が軽減される。また、そのために登録作業忘れ等による誤動作(動作しない場合を含む)を防ぐことができる。その理由は、ユーザの移動状態に関して、その移動に対するアラーム報知の要否を自動判定し、アラーム報知のための一連の処理を開始するためである。また、アラームは固定的な時刻の設定ではなく、場所によるアラーム報知要否の判定を行うことから、アラーム報知時刻は動的となるためである。
【0043】
また、本実施形態によれば、各公共交通機関(車両等)への装置の設置は不要となり、大幅なコスト削減が可能となる。また、アラーム報知は、利用する車両(情報提供装置の有無)やひいては交通手段(電車、バス等)に関係なく利用可能となる。その理由は、位置情報を提供する装置はGPS衛星を利用するためである。
【0044】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0045】
すなわち、上記した実施形態における携帯電話機は、プログラムの命令によりコンピュータで実行される処理、手段、機能によって動作する。当該プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、先に述べたような所定の処理や機能、例えば、アラーム対象移動判定部19により、移動時間及び移動速度について設定条件と計測データとを比較しユーザの移動がアラーム対象となるか否かを判定する処理を行う。また、目的地接近判定部21により、目的地までの距離を求めて目的地接近を判定するとともに、さらに予測到着時刻、移動経路上の遅延事故情報を用いてアラーム報知を行うべき移動かどうかを判定する処理を行う。このように、上記実施形態における各処理や手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現されるものである。
【0046】
そして、上記実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、すなわち記憶メディアを介して、例えば携帯電話機のコンピュータ(CPU)が記憶メディアに格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明の目的は達成される。また、プログラムは、記録メディアを介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもでき、これによっても同様に本発明の目的は達成される。
【0047】
この場合、記憶メディアから読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記憶した記憶メディアは本発明を構成する。
【0048】
また、プログラムコードを供給するための記憶メディアとしては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、不揮発性のメモリカード、ROM、磁気テープ等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明が適用される携帯端末の構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係るアラーム報知システムの概略構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機の内部構成を示した機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態におけるアラーム報知動作を説明するためのチャート図である。
【図5】本発明の実施形態におけるアラーム対象判定及び目的地接近判定の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 携帯端末
2 アラーム条件設定手段
3 計測手段
4 アラーム判定手段
5 アラーム報知手段
6 GPS手段
7 時計手段
8,80 GPS衛星
10 携帯電話機
11 制御部
12 メモリ部
13 入力表示部
14 GPS部
15 内部時計
16 送受信部
17 アラーム条件設定部
18 移動速度計測部
19 アラーム対象移動判定部
20 到着時刻予測部
21 目的地接近判定部
22 アラーム部
50 移動経路案内サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末であって、
前記携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定手段と、
前記GPS衛星からの前記位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測手段と、
前記アラーム条件設定手段により設定された条件と前記計測手段により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定手段と、
前記アラーム判定手段によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、前記ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、前記目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知手段と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記計測手段は、目的地の位置情報及び前記GPS衛星からの前記位置情報を用いて目的地までの距離を計測し、
前記アラーム判定手段は、
前記アラーム条件設定手段により設定された移動時刻条件及び移動速度条件と前記計測手段により計測された移動時刻及び移動速度とに基づいて、前記ユーザの移動がアラーム報知の対象となる移動か否かを判定するアラーム対象移動判定手段と、
前記計測手段により計測された目的地までの距離が所定の閾値以下であるときに前記ユーザが目的地に接近していると判定する目的地接近判定手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記計測手段は、目的地の位置情報、前記GPS衛星からの前記位置情報、前記内部時計を用いて目的地までの距離及び予測到着時刻を計測し、
前記アラーム判定手段は、前記計測手段により計測された目的地までの距離から前記ユーザが目的地に接近していると判定した場合であっても、前記計測手段により計測された予測到着時刻と接近中の現在時刻を比較して両時刻に所定の閾値以上の乖離があったときには前記ユーザの移動をアラーム報知の対象外と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記計測手段は、目的地の位置情報、前記GPS衛星からの前記位置情報、前記内部時計を用いて目的地までの距離及び予測到着時刻を計測し、
前記アラーム判定手段は、前記計測手段により計測された目的地までの距離から前記ユーザが目的地に接近していると判定した場合で、かつ、前記計測手段により計測された予測到着時刻と接近中の現在時刻を比較して両時刻に所定の閾値以上の乖離があった場合であっても、前記ユーザの移動経路上における遅延や事故の情報を外部サーバから取得したときには前記ユーザの移動をアラーム報知の対象と判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記アラーム条件設定手段は、デフォルト設定により日常的に利用する目的地の条件設定を行い、一時設定により一時的に利用する目的地の条件設定を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記計測手段は、移動時刻や移動速度を一定間隔で計測し、
前記アラーム判定手段は、前記前記アラーム条件設定手段により設定された移動時刻条件及び移動速度条件と前記計測手段により計測された移動時刻及び移動速度とから得た一定時間ごとの数値化された条件適合結果の平均値を算出し、前記平均値が所定の閾値以上の場合に前記ユーザの移動をアラーム報知の対象と判定し、前記平均値が所定の閾値を下回った場合に前記ユーザの移動をアラーム報知の対象外と判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
GPS通信を行うGPS衛星と、前記GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末と、経路情報を保持する外部サーバとを含んで構成されるアラーム報知システムであって、
前記携帯端末は、
前記携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定手段と、
前記GPS衛星からの前記位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測手段と、
前記アラーム条件設定手段により設定された条件と前記計測手段により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定手段と、
前記アラーム判定手段によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、前記ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、前記目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知手段と、
を有することを特徴とするアラーム報知システム。
【請求項8】
前記計測手段は、目的地の位置情報及び前記GPS衛星からの前記位置情報を用いて目的地までの距離を計測し、
前記アラーム判定手段は、
前記アラーム条件設定手段により設定された移動時刻条件及び移動速度条件と前記計測手段により計測された移動時刻及び移動速度とに基づいて、前記ユーザの移動がアラーム報知の対象となる移動か否かを判定するアラーム対象移動判定手段と、
前記計測手段により計測された目的地までの距離が所定の閾値以下であるときに前記ユーザが目的地に接近していると判定する目的地接近判定手段と、
を有することを特徴とする請求項7に記載のアラーム報知システム。
【請求項9】
GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末におけるアラーム報知方法であって、
前記携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定ステップと、
前記GPS衛星からの前記位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測ステップと、
前記アラーム条件設定ステップにより設定された条件と前記計測ステップにより計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定ステップと、
前記アラーム判定ステップによりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、前記ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、前記目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知ステップと、
を有することを特徴とするアラーム報知方法。
【請求項10】
前記計測ステップは、目的地の位置情報及び前記GPS衛星からの前記位置情報を用いて目的地までの距離を計測し、
前記アラーム判定ステップは、
前記アラーム条件設定ステップにより設定された移動時刻条件及び移動速度条件と前記計測ステップにより計測された移動時刻及び移動速度とに基づいて、前記ユーザの移動がアラーム報知の対象となる移動か否かを判定するアラーム対象移動判定ステップと、
前記計測ステップにより計測された目的地までの距離が所定の閾値以下であるときに前記ユーザが目的地に接近していると判定する目的地接近判定ステップと、
を有することを特徴とする請求項9に記載のアラーム報知方法。
【請求項11】
GPS衛星から自機の位置情報を取得するGPS機能を備える携帯端末に用いられるプログラムであって、
前記携帯端末を携行して移動するユーザの目的地接近に対してアラーム報知を行うための条件として、移動時刻、移動速度、目的地を含む条件を設定するアラーム条件設定機能と、
前記GPS衛星からの前記位置情報及び内部時計を用いて、距離、時刻、速度を含むデータを計測する計測機能と、
前記アラーム条件設定機能により設定された条件と前記計測機能により計測されたデータとに基づいて、アラーム対象移動及び目的地接近を判定するアラーム判定機能と、
前記アラーム判定機能によりアラーム報知対象の移動と判定され、かつ、前記ユーザが目的地に接近していると判定された場合に、前記目的地接近に対してアラーム報知を行うアラーム報知機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記計測機能は、目的地の位置情報及び前記GPS衛星からの前記位置情報を用いて目的地までの距離を計測し、
前記アラーム判定機能は、
前記アラーム条件設定機能により設定された移動時刻条件及び移動速度条件と前記計測機能により計測された移動時刻及び移動速度とに基づいて、前記ユーザの移動がアラーム報知の対象となる移動か否かを判定するアラーム対象移動判定機能と、
前記計測機能により計測された目的地までの距離が所定の閾値以下であるときに前記ユーザが目的地に接近していると判定する目的地接近判定機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のプログラムを記録しコンピュータ読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−177607(P2009−177607A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15223(P2008−15223)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】