説明

携帯端末、携帯端末の画像送信方法、テレビ通話システム、及び携帯端末の制御プログラム

【課題】 携帯端末に搭載された加速度センサがスピーカの鳴動やバイブレータの振動を検出しても、携帯端末のユーザの画像が通話相手のディスプレイに違和感なく表示されるようにすること。
【解決手段】 画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた携帯端末において、該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算し、該撮像手段により撮像された画像を、該平均値に基づいて傾斜補正し、該傾斜補正された画像を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサが搭載された携帯端末、携帯端末の画像送信方法、テレビ通話システム、及び携帯端末の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、映像対話システムが開示されている。対話者の内の一方対話者の画像を、一方対話者側のディスプレイから離れた位置に設けられた1つの撮像装置で撮像して他方対話者に送信すると、他方対話者のディスプレイにはその一方対話者の視線が他方対話者以外を見ているように映る。一方対話者が、撮像装置でなく、撮像装置から離れているディスプレイに映る他方対話者の映像を見ているからである。そのため、両対話者は、互いに視線が合わないという違和感を覚える。
【0003】
そこで、特許文献1は、このような違和感を解消するために、ディスプレイの両脇に2つの撮像装置を配置し、これらの撮像装置から得られた画像を合成し、あたかも両撮像装置の中央から撮像したかのような画像を生成し、合成された画像を相手方に送信する技術を開示する。
【0004】
また、特許文献2は、撮像装置に3軸加速度センサを搭載することにより、撮像装置の向きを判断し、撮像画像平面と撮像装置の光軸が直交するように撮像画像を補正する技術を開示する。
【0005】
これらの技術を、携帯端末に搭載することにより、画像を適切に補正してテレビ通話可能な携帯端末を製造し、テレビ通話システムを構築することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−251562号公報
【特許文献2】特開2007−43545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、加速度センサが搭載された携帯端末においては、テレビ通話の他方対話者の音声や他方対話者側の周辺音が一方対話者側の携帯端末のスピーカから流れる際、スピーカの鳴動が携帯端末の回路基板に振動を与えることにより、加速度センサが作動することがある。
【0008】
そのため、一方対話者側の携帯端末が傾斜せずに一方対話者が携帯端末に対して正対しているにも関わらず、一方対話者側の携帯端末から送信しようとする一方対話者の画像が一方対話者側の携帯端末により傾斜補正されてから送信されてしまい、他方対話者側のディスプレイに一方対話者の画像が傾斜して表示されてしまうという問題点があった。
【0009】
また、特に携帯電話機のような携帯端末の場合においては、電話やメールの着信等を通知するバイブレータが振動する際にも同様の問題点が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するために、携帯端末に搭載された加速度センサがスピーカの鳴動やバイブレータの振動を検出しても、携帯端末のユーザの画像が通話相手のディスプレイに違和感なく表示されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による携帯端末は、画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備え、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算手段と、
該撮像手段により撮像された画像を、該平均値計算手段により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正手段と、
該画像補正手段により傾斜補正された画像を送信する画像送信手段と、
をさらに備える。
【0012】
本発明による携帯端末の画像送信方法は、画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた携帯端末の画像送信方法であって、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する第1ステップと、
該撮像手段により撮像された画像を、該第1ステップにおいて計算された平均値に基づいて傾斜補正する第2ステップと、
該傾斜補正された画像を送信する第3ステップと、
を備える。
【0013】
本発明によるテレビ通話システムは、
画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた第1携帯端末と、
画像を表示する画像表示手段を備えた第2通信端末と、
を備えたテレビ通話システムであって、
該第1携帯端末は、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算手段と、
該撮像手段により撮像された画像を、該平均値計算手段により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正手段と、
該画像補正手段により傾斜補正された画像を該第2通信端末に送信する画像送信手段と、をさらに備え、
該第2通信端末は、
該第1携帯端末の画像送信手段から送信された画像を、該画像表示手段により表示する。
【0014】
本発明によるプログラムは、
画像を撮像する撮像処理と、
振動を発生する振動発生処理と、
加速度を検出する加速度検出処理と、
振動発生期間中、該加速度検出処理により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算処理と、
該撮像処理により撮像された画像を、該平均値計算処理により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正処理と、
該画像補正処理により傾斜補正された画像を送信する画像送信処理と、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザ画像は加速度の平均値を用いて傾斜補正されてから送信されるので、ユーザ画像を通話相手のディスプレイに違和感なく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態である携帯電話機1の回路ブロック図である。
【図2】図2は、携帯電話機1のスピーカ7、加速度センサ13、及びバイブレータ15の配置関係を示す図である。
【図3】図3は、携帯電話機1のアプリ情報記憶部20の構成図である。
【図4】図4は、携帯電話機1の全体動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、携帯電話機1の全体動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1実施形態に係る図4の平均化処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図7は、加速度センサ13が出力する加速度の模式図である。
【図8】図8は、図7の加速度センサ13の出力加速度の補正後の模式図である。
【図9】図9は、携帯電話機1のユーザ画像が通話相手のディスプレイにどう表示されるかを示す図である。Aは、本発明により中間値を用いて傾斜補正した場合、BとCは、中間値を用いずに傾斜補正した場合を示す。
【図10】図10は、第2実施形態に係る図4の平均化処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】図11は、第3実施形態に係る図4の平均化処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図12は、付記1の構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1実施形態>
(1)携帯端末の構成
図1は、本発明に係る携帯端末を携帯電話機1に適用した場合の構成を示す回路ブロック図である。なお、本発明の携帯端末は、携帯電話機だけでなく、スマートフォン、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ハンディターミナル、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ等の、加速度センサが搭載可能で携帯可能な種々の形態をとることができる。
【0018】
図1に示されているように、携帯電話機1は、中央制御部2、無線通信部(送受信部)3、アンテナ4、音声信号処理部5、マイク6、スピーカ7、表示部8、操作部9、アプリ情報記憶部10、計時部11、プログラム記憶部12、加速度センサ13、カメラ部14、バイブレータ15、及び電源部16を備える。
携帯電話機1は、不図示の基地局、交換機、及び移動体通信網を介して相手側の携帯電話機に接続されて音声通話及びテレビ通話、並びにメールの送受信が可能となっている。
テレビ通話は、呼の制御にSIP(Session Initiation Protocol)を用い、映像・音声の伝送にRTP(Real Time Transport Protocol)を用いたSIP/RTPの他、H.324/M等のITU(国際電気通信連合)が策定する規格に準拠して行うことができる。
H.323やH.324に準拠することにより、インターネットに接続されているパーソナルコンピュータや、公衆電話網に接続されている固定電話ともテレビ通話を行うことができる。
【0019】
中央制御部2は、不図示のCPUを備え、電源部16から電力供給を受けてプログラム記憶部12に記憶されたプログラムに従って携帯電話機1の各部の動作を制御する。
中央制御部2は、また、不図示のA/D変換部を備え、加速度センサ13からの入力を所定のサンプリング周波数でA/D変換して互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)の加速度データを得る。この加速度データは後述する平均化処理に用いられ、平均化処理により得られる平均値に基づいて画像の傾斜補正が行われる。
【0020】
プログラム記憶部12には、後述する図4乃至図6に示されたフローチャートを実行させるためのプログラムや、各種のアプリケーションを実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。
無線通信部3は、携帯電話機1が音声通話を行う際は、アンテナ4を介して受信された受話信号(無線信号)を復調して受話データに変換する。
【0021】
音声信号処理部5は受話データをD/A変換して得られるアナログ受話信号をスピーカ7に提供し、スピーカ7は提供されたアナログ受話信号に基づいて受話音声を発する。
マイク6は入力された送話音声をアナログ送話信号に変換して音声信号処理部5に提供し、音声信号処理部5は提供されたアナログ送話信号をA/D変換して送話データを得る。
無線通信部3は送話データを送信信号に変調し、送信信号がアンテナ4を介して送信される。
【0022】
無線通信部3は、携帯電話機1がアンテナ4を介して送受信する電波の変調及び復調を行う。
無線通信部3は、また、携帯電話機1がテレビ電話機能を実行する際は、パケットを受信して、パケットに含まれる符号化された受信映像データ及び受信音声データを復号化し、受信映像データ及び受信音声データを中央制御部2に提供する。
受信映像データは表示部8により表示され、受信音声データは音声信号処理部5によりアナログ受信音声信号にD/A変換されてスピーカ7により音声が発せられる。
無線通信部3は、また、カメラ部14により撮影され中央制御部2を介して提供される送信映像データと、マイク6から入力され音声信号処理部5でA/D変換された送信音声データとを符号化し、パケット化して、アンテナ4より送信する。
【0023】
表示部8は、液晶ディスプレイと液晶駆動装置を備え、電話着信時の相手電話番号、電波状態、電池残量等の情報や、電子メールやWebサイトの内容を表示する。
表示部8は、また、テレビ通話を実施する際、通話相手の映像(たとえば顔)を表示する。
【0024】
操作部9は、携帯電話機1の操作用のキーを備え、具体的には、電源キー、数字や文字を入力する入力キー、アプリケーションの起動や終了を指示するアプリケーションキー、着信通知をスピーカ7により音を鳴らすことで通知するのかバイブレータ16により振動で通知するのかを設定するマナーモードキー等を備える。
【0025】
アプリ情報記憶部10には、各種アプリケーションに関連するデータが格納されている。たとえば、図3に示されているように、アプリ情報記憶部10は、アドレス帳機能のアドレス帳情報(氏名、電話番号、メールアドレス等)を記憶するアドレス帳情報記憶部10A、送受信メールの内容を記憶するメール情報記憶部10B、WebサイトのURL情報などを記憶するWeb情報記憶部10C等のデータ記憶領域を備える。
アプリ情報記憶部10は、さらに、スピーカから放音するときに「1」に設定され、スピーカから放音しないときに「0」に設定されるスピーカフラグを記憶するスピーカフラグ記憶部10Dと、バイブレータを振動させるときに「1」に設定され、バイブレータを振動させないときに「0」に設定されるバイブレータフラグを記憶するバイブフラグ記憶部10Eとを備える。
【0026】
計時部11は、年月日、時分秒に関する時間情報を計時し、計時されたデータは中央制御部2に提供される。
【0027】
加速度センサ部13は、たとえば3軸加速度センサを備える。3軸加速度センサに限らず、3軸加速度センサと3軸地磁気センサをワンチップ化した6軸センサを備えていてもよい。
3軸の加速度から、携帯電話機1に生じる各軸方向の振動の有無及びその大きさを知ることができる。したがって、携帯電話機1に歩数計機能が搭載されている場合、歩数カウントのためのツールとして利用することができる。
また、3軸の加速度から、携帯電話機1の傾斜(姿勢)を判断できる。したがって、携帯電話機1の傾斜の向き及び程度に応じて相手の画像を回転表示することにより、テレビ通話時に携帯電話機1が傾いていても、携帯電話機1の表示部8に相手の画像(たとえば顔)を正立させることができる。
また、3軸地磁気センサにより、方位を知ることができる。上記3軸加速度センサと組み合わせた場合、3軸加速度センサにより携帯電話機1の傾斜が分かっているので、得られた地磁気データからその傾斜分を差し引いて地磁気データを補正することにより、携帯電話機1が傾いていても電子コンパスとしての携帯電話機1による方位指示を精度良く行うことができる。
【0028】
カメラ部14は、静止画撮影や動画撮影を用途とした撮像目的のカメラであり、レンズ及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電変換素子を備え、レンズで集光した光をCMOSセンサに結像し、CMOSセンサは受光した光を光電変換して画像データを中央制御部2に出力する。
【0029】
バイブレータ16は、回転軸に偏心錘が取り付けられたモーターを備える。電話やメールの着信時にモーターが回転することにより振動が発生され、ユーザに電話やメールの着信を振動で報知する。
【0030】
スピーカ7、加速度センサ13、及びバイブレータ16は、図3に示されるように同じ回路基板上17上に近接して搭載されている。
そのため、テレビ通話時の通話相手の声や通話相手の周辺の音を報音する際にスピーカ7が回路基板17に余剰振動を発生させ、加速度センサ13がこの余剰振動を検出する。
同様に、テレビ通話時に電話やメールの着信があるとバイブレータ16が振動し、加速度センサ13がこの振動を検出する。
電源部16は、上述した各回路部に電圧を供給して、各回路部を駆動する。
【0031】
中央制御部2、プログラム記憶部12、及びアプリ情報記憶部10は、全体として、平均値計算手段及び画像補正手段の機能を実現する。
【0032】
(2)携帯端末の動作
次に、上述した第1実施形態に係る携帯電話機1の動作について説明する。
(2−1)メインルーチン
図4及び図5は、携帯電話機1のメインルーチンの動作を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、中央制御部2によって実行される。
まず、中央制御部2は、携帯電話機1の電源がオン操作されたか否かを判断する(ステップS1)。電源オンの操作がされなければこのステップに待機し、オン操作がされれば動作に必要なパラメータを初期化する初期化処理を行い(ステップS2)、続いて待受処理を行う(ステップS3)。待受処理では網側に位置登録を行った後、電話の着信などの待受状態に入る。
【0033】
次に、中央制御部2は、テレビ通話を開始すべきか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、ユーザが操作部9を操作して通話相手の電話番号を入力してオフフック操作し、通話相手と呼が成立してテレビ通話を開始できる状態の下において、データの送受信を開始すべきか否かを判断する。あるいは、通話相手から呼の確立の要求があり、これに対してユーザが操作部9を操作してオフフック操作し、通話相手と呼が成立してテレビ通話を開始できる状態の下において、データの送受信を開始すべきか否かを判断する。
【0034】
テレビ通話を開始しないときは、待受処理(ステップS3)に戻る。
テレビ通話を開始するときは、テレビ通話処理が可能な状態となる。すなわち、マイク6から入力されたユーザの音声やカメラ部14により撮影された映像が、通話相手に対して送信される。逆に、通話相手からの音声はスピーカ7から放音され、映像は表示部8に表示される。
【0035】
テレビ通話を開始するときは、中央制御部2は、スピーカ7を鳴動させるか否かを判断する(ステップS6)。すなわち、通話相手からの音声をスピーカ7から放音させるか否か、あるいはテレビ通話中にメールや電話の着信がありその着信を知らせるためにスピーカ7を放音させるか否かを判断する。
スピーカ7を鳴動させるとき、スピーカフラグを1に設定し(ステップS7)、続いてスピーカ7を鳴動させる(ステップS8)。
【0036】
スピーカ7を鳴動させた後、又はスピーカを鳴動させないとき(ステップS6でNOのとき)、バイブレータ15を振動させるか否かを判断する(ステップS9)。
バイブレータ15を振動させるとき、バイブフラグを1に設定し、続いてバイブレータ15を振動させる(ステップS11)。
バイブレータ15を振動させた後、又はバイブレータ15を振動させないとき(ステップS9でNOのとき)、スピーカフラグが1か否か又はバイブフラグが1か否かを判断する。
いずれのフラグも1でなければ、ステップS5に戻る。
いずれか一方のフラグが1のとき又はいずれのフラグも1のとき、平均化処理に移る(ステップS12)。平均化処理では、第1実施形態に係る図6のサブルーチン、第2実施形態に係る図10のサブルーチン、又は第3実施形態に係る図11のサブルーチンがコールされる。平均化処理の詳細は後述するが、端的には加速度センサ13の出力を平均化して平均値を得る処理を行う。
平均化処理により平均値が得られると、続いて、得られた平均値を用いて、送信画像を補正送信する(ステップS13)。ここでの補正とは、送信画像の傾斜ないし回転を補正することをいう。
【0037】
続いて、スピーカフラグが1か否かを判断する(ステップS14)。スピーカフラグが1のとき、スピーカの鳴動を終了させるか否かを判断する(ステップS15)。
スピーカの鳴動を終了させるときは、スピーカフラグを0にする(ステップS16)。他方、スピーカの鳴動を終了させないときは、平均化処理(ステップS12)に戻って、ステップS13〜ステップ15の処理及び判断を継続する。
ステップS16でスピーカフラグを0としたとき、又はステップS14においてスピーカフラグが1でないと判断されたとき、バイブフラグが1か否かを判断する。
バイブフラグが1でないときは、スピーカを鳴動させるか否かの判断(ステップS5)に戻って、ステップS6〜ステップ17の処理及び判断を継続する。
他方、バイブフラグが1であるときは、バイブレータの振動を終了させるか否かを判断する(ステップS18)。
【0038】
バイブレータの振動を終了させないときは、平均化処理(ステップS12)に戻って、ステップS13〜ステップ18の処理及び判断を継続する。
他方、バイブレータの振動を終了させるときは、バイブフラグを0にし(ステップS19)、テレビ通話を終了するか否かを判断する(ステップS20)。
テレビ通話を終了しないときは、ステップS5〜S20の処理及び判断を継続する。
テレビ通話を終了するときは、続いて携帯電話機1の電源をOFFするか否かを判断する。
電源をOFFしないときは待受処理(ステップS3)に戻り、OFFするときはOFFして処理を終える。
【0039】
(2−2)サブルーチン
次に、ステップS12によりコールされる平均化処理に係るサブルーチンについて、図6を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る平均化処理においては、加速度センサ13から不図示のA/D変換部に入力され、A/D変換部から得られた加速度データに基づいて、加速度データの平均値を計算する。
たとえば、バイブレータ15が振動中、加速度センサ13のX軸についての出力が図7のとおりであるとする。
このとき、携帯電話機1に搭載されている通常の補正機能を実行すると、加速度の変化が大きいので、中央制御部2はカメラ部14で撮像されたユーザ画像の傾斜を大きく補正し、相手に対して送信する。
そのため、相手の携帯端末において、図9Bや図9Cのように画像が大きく傾いてユーザ画像が表示されてしまう。
そこで、本実施形態では、A/D変換部から得られた加速度データの連続する2つのピーク値から平均値を計算する(ステップS12−2)。この平均値を図7との対比のために線で結んで示すと図8のとおりであり、加速度の変動が抑えられていることが分かる。
この処理を終えると、中央制御部2は処理をメインルーチンに戻す。
先のステップS13においては、この平均値が送信画像の補正に用いられるので、テレビ通話相手の携帯端末においては、図9Bや図9Cのようにユーザ画像が大きく傾くことなく、図9Aのように略正立して表示される。
【0040】
<第2実施形態>
第2実施形態は、平均を算出する方法が第1実施形態と異なる。具体的には、第1実施形態では連続する2つのピーク値から平均値を求めたが、第2実施形態では一定の期間ごとに、その一定の期間における、最大値と最小値から、平均値を求める。
以下、図10を参照しつつ説明する。
図10は、ステップS12でコールされる平均化処理のサブルーチンである。
本実施形態においては、一定の期間ごとに、その一定の期間における、最大値と最小値から、平均値が計算される(ステップS12−3)。
この処理を終えると、中央制御部2は処理をメインルーチンに戻す。
本実施形態において、「一定の期間」をどう設定するかは設計レベルの事項であるが、たとえば、1(ms)とすることが考えられる。
先のステップS13においては、この平均値が送信画像の補正に用いられるので、テレビ通話相手の携帯端末においては、図9Bや図9Cのようにユーザ画像が大きく傾くことなく、図9Aのように略正立して表示される。
【0041】
<第3実施形態>
第3実施形態においては、第2実施形態のように、平均値は一定の期間ごとに計算する。
しかしながら、第3実施形態においては、第2実施形態と異なり、スピーカ7が鳴動する場合とバイブレータ15が振動する場合とで「一定の期間」の長さが異なる。
以下、図11を参照しつつ説明する。
図11は、ステップS12でコールされる平均化処理のサブルーチンである。
中央制御部2は、スピーカフラグが1か否かを判断する(ステップS12−3)。
スピーカフラグが1のとき、期間t1において、最大値と最小値から平均値を計算する。
他方、スピーカフラグが1でないとき、換言すればバイブフラグが1のとき、期間t2において、最大値と最小値から平均値を計算する。
期間t1又はt2で平均値を計算した後、中央制御部2は処理をメインルーチンに戻す。
これにより、スピーカ7が鳴動しているのか、それともバイブレータ15が振動しているのかに応じて、異なる期間を設定して平均値を求めることができる。
このようにサンプリングする期間を異ならせるのは、一般的に、携帯電話機に搭載されるバイブレータの振動は約150(Hz)、人の声は約300〜800(Hz)と、周波数に相違があるからである。
すなわち、スピーカ7の鳴動の場合にはt1として例えば1/500(s/Hz)=2(ms)を、バイブレータ15の振動の場合にはt2として例えば1/150(s/Hz)≒7(ms)を設定することにより、より適切に平均値を求めて、加速度の変動幅を軽減することができる。
先のステップS13においては、この平均値が送信画像の補正に用いられるので、テレビ通話相手の携帯端末においては、図9Bや図9Cのようにユーザ画像が大きく傾くことなく、図9Aのように略正立して表示される。
【0042】
<付記1乃至8>
以下、本発明の一側面について、付言する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
図12は、付記1の構成図である。
この図に示すように、付記1に係る発明は、
画像を撮像する撮像手段21と、振動を発生する振動発生手段22と、加速度を検出する加速度検出手段23と、を備えた携帯端末であって、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算手段24と、
該撮像手段により撮像された画像を、該平均値計算手段により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正手段25と、
該画像補正手段により傾斜補正された画像を送信する画像送信手段26と、
をさらに備えた携帯端末である。
(付記2)
付記2に係る発明は、
該平均値計算手段は、所定の期間における加速度の最大値と最小値から平均値を計算する付記1に記載の携帯端末である。
(付記3)
付記3に係る発明は、
該振動発生手段は、第1振動発生手段と第2振動発生手段を備え、
該平均値計算手段は、該第1振動発生手段による振動か該第2振動発生手段による振動かに応じて、該所定の期間を異ならせて平均値を計算する、
付記2に記載の携帯端末である。
(付記4)
付記4に係る発明は、
画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた携帯端末の画像送信方法であって、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する第1ステップと、
該撮像手段により撮像された画像を、該第1ステップにおいて計算された平均値に基づいて傾斜補正する第2ステップと、
該傾斜補正された画像を送信する第3ステップと、
を備えた携帯端末の画像送信方法である。
(付記5)
付記5に係る発明は、
該第1ステップにおいて、所定の期間における加速度の最大値と最小値から平均値を計算する付記4に記載の携帯端末の画像送信方法である。
(付記6)
付記6に係る発明は、
該振動発生手段は、第1振動発生手段と第2振動発生手段を備え、
該第1ステップにおいて、該第1振動発生手段による振動か該第2振動発生手段による振動かに応じて、該所定の期間を異ならせて平均値を計算する、
付記5に記載の携帯端末の画像送信方法である。
(付記7)
付記7に係る発明は、
画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた第1携帯端末と、
画像を表示する画像表示手段を備えた第2通信端末と、
を備えたテレビ通話システムであって、
第1携帯端末は、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算手段と、
該撮像手段により撮像された画像を、該平均値計算手段により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正手段と、
該画像補正手段により傾斜補正された画像を該第2通信端末に送信する画像送信手段と、をさらに備え、
該第2通信端末は、
該第1携帯端末の画像送信手段から送信された画像を、該画像表示手段により表示する、テレビ通話システムである。
(付記8)
付記8に係る発明は、
画像を撮像する撮像処理と、
振動を発生する振動発生処理と、
加速度を検出する加速度検出処理と、
振動発生期間中、該加速度検出処理により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算処理と、
該撮像処理により撮像された画像を、該平均値計算処理により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正処理と、
該画像補正処理により傾斜補正された画像を送信する画像送信処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0043】
2 中央制御部(平均値計算手段、画像補正手段)
3 無線通信部(画像送信手段)
10 アプリ情報記憶部(平均値計算手段、画像補正手段)
12 プログラム記憶部(平均値計算手段、画像補正手段)
13 加速度センサ(加速度検出手段)
14 カメラ部(撮像手段)
15 バイブレータ(振動発生手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた携帯端末であって、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算手段と、
該撮像手段により撮像された画像を、該平均値計算手段により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正手段と、
該画像補正手段により傾斜補正された画像を送信する画像送信手段と、
をさらに備えた携帯端末。
【請求項2】
該平均値計算手段は、所定の期間における加速度の最大値と最小値から平均値を計算する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
該振動発生手段は、第1振動発生手段と第2振動発生手段を備え、
該平均値計算手段は、該第1振動発生手段による振動か該第2振動発生手段による振動かに応じて、該所定の期間を異ならせて平均値を計算する、
請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた携帯端末の画像送信方法であって、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する第1ステップと、
該撮像手段により撮像された画像を、該第1ステップにおいて計算された平均値に基づいて傾斜補正する第2ステップと、
該傾斜補正された画像を送信する第3ステップと、
を備えた携帯端末の画像送信方法。
【請求項5】
該第1ステップにおいて、所定の期間における加速度の最大値と最小値から平均値を計算する請求項4に記載の携帯端末の画像送信方法。
【請求項6】
該振動発生手段は、第1振動発生手段と第2振動発生手段を備え、
該第1ステップにおいて、該第1振動発生手段による振動か該第2振動発生手段による振動かに応じて、該所定の期間を異ならせて平均値を計算する、
請求項5に記載の携帯端末の画像送信方法。
【請求項7】
画像を撮像する撮像手段と、振動を発生する振動発生手段と、加速度を検出する加速度検出手段と、を備えた第1携帯端末と、
画像を表示する画像表示手段を備えた第2通信端末と、
を備えたテレビ通話システムであって、
該第1携帯端末は、
該振動発生手段による振動が発生している期間中、該加速度検出手段により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算手段と、
該撮像手段により撮像された画像を、該平均値計算手段により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正手段と、
該画像補正手段により傾斜補正された画像を該第2通信端末に送信する画像送信手段と、をさらに備え、
該第2通信端末は、
該第1携帯端末の画像送信手段から送信された画像を、該画像表示手段により表示する、テレビ通話システム。
【請求項8】
画像を撮像する撮像処理と、
振動を発生する振動発生処理と、
加速度を検出する加速度検出処理と、
振動発生期間中、該加速度検出処理により検出された加速度から加速度の平均値を計算する平均値計算処理と、
該撮像処理により撮像された画像を、該平均値計算処理により計算された平均値に基づいて傾斜補正する画像補正処理と、
該画像補正処理により傾斜補正された画像を送信する画像送信処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−26775(P2013−26775A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158946(P2011−158946)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】