説明

携帯端末データの印刷装置

【課題】携帯端末を接続せずにデータ出力でき、かつ活用しやすいデータを得ると共に、印刷用紙の無駄を抑制できる携帯端末データの印刷装置を提供する。
【解決手段】携帯電話2から無線送信されるデータを受信する受信部3と、この受信部3で受信したデータを記憶する記憶部8と、この記憶部8に記憶したデータの中から選択し、所定の表示形式に配列して出力する情報処理部5と、この情報処理部5から出力されるデータを印刷するプリンタ部7と、ユーザにより操作され、データ出力指示を情報処理部5に入力する操作部6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯端末のデータを印刷する携帯端末データの印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末は多機能化されており、画像及び電子メールを受信したり、業務上のメモを記憶する状況が増えているため、携帯端末内の複数のデータを印刷する技術が求められている。
【0003】
この種の従来技術として、特許文献1には、携帯電話が接続コードを介して着脱可能に接続され、携帯電話からのデータをデータ受信手段で受信するプリンタを備えた携帯電話のデータ印刷システムが記載されている。上記構成では、接続コードを介して携帯電話をプリンタに接続した状態で、携帯電話のデータを送信してプリンタのデータ受信手段で受信して印刷する。これにより、パーソナルコンピュータやモバイルコンピュータなどの周辺機器を介さずに、携帯電話のデータを印刷することができる。
【0004】
また、特許文献2には、プリントサーバを構築する印刷順制御モジュールが、条件保管テーブル内に任意に設定されたソート抽出条件に従ってドキュメンタリキュー内の各印刷ジョブを検索することによって、各印刷ジョブの印刷データから当該抽出条件に合致する情報を抽出すると共に、抽出した各情報をキーとして複数の印刷ジョブの印刷順を変更し、この印刷順にしたがって複数の印刷ジョブをジョブ単位毎に印刷させるようにした印刷制御装置が記載されている。上記構成では、印刷毎に特別な操作を行うことなく、複数の印刷ジョブの印刷順を任意に自動変更した印刷制御を実現できる。
【特許文献1】特開2003−241911号公報
【特許文献2】特開2003−280843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来技術では、携帯電話内の複数のデータを出力する場合、1つのデータを1枚の用紙に印刷するため余白部分を多く残すことになり、印刷用紙の無駄が発生するという問題があった。また、携帯電話内のデータは簡素な形式で記憶されるため、印刷された出力データの活用が難しい場合があり、さらに、接続コードを介して携帯電話をプリンタに接続できない環境にある場合には、携帯電話内のデータをプリンタに出力できないという問題もあった。
【0006】
また、特許文献2に記載されている従来技術では、携帯電話内の複数のデータを出力する場合、複数の印刷ジョブをジョブ単位毎に印刷し、1つのデータを1枚の用紙に印刷するため、余白部分を多く残すことになり印刷用紙の無駄が発生するという問題があった。また、出力データを使用する際に、ユーザにとって内容が把握しやすい表示形式になっていないため、出力データの活用が難しい場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、携帯端末の接続を要せずに携帯端末からデータを出力でき、かつユーザにとって活用しやすい印刷データを得られると共に、印刷用紙の無駄を抑制することができる携帯端末データの印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する請求項1の発明は、携帯端末から送信されるデータを受信する受信部と、この受信部で受信した前記データを記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した前記データの中から選択し、所定の表示形式に配列して出力する情報処理部と、この情報処理部から出力されるデータを印刷するプリンタ部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の携帯端末データの印刷装置であって、ユーザにより操作され、前記データの出力条件を含むデータ出力指示を前記情報処理部に対して入力する操作部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の携帯端末データの印刷装置であって、前記記憶部は、複数の発信元毎に前記データを記憶すると共に、前記情報処理部は、指定された前記発信元に関する前記データを選択的に出力することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の携帯端末データの印刷装置であって、前記受信部、前記記憶部及び前記情報処理部を有するサーバを備えると共に、前記プリンタ部が通信ネットワークを介して前記サーバに接続されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、携帯端末から無線送信されるデータを受信部で受信するので、携帯端末の接続を要せずに、携帯端末からデータを出力してプリンタ部で印刷することができる。また、受信部で受信した前記データを記憶部により記憶し、情報処理部により前記データの中から選択して所定の表示形式に配列して出力し、プリンタ部で印刷するので、ユーザにとって活用しやすい印刷データが得られると共に、余白部分を少なくして印刷用紙の無駄を抑制することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ユーザが操作部を操作してデータの出力条件を含むデータ出力指示を入力すると、情報処理部では前記出力条件に応じて前記データの中から選択し、所定の表示形式に配列して出力する。これにより、ユーザにとってさらに活用しやすい印刷データを得ることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、受信部で受信したデータを発信元毎に記憶部で記憶すると共に、指定された発信元に関する前記データを情報処理部により選択的に出力するので、ユーザは所望の発信元に限定して必要な出力データを得ることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1項の発明の効果に加え、サーバが受信部、記憶部及び情報処理部を備えると共に、通信ネットワークを介してプリンタ部が接続されるので、既成のパソコンなどを前記サーバとして用いることができ、費用の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る携帯端末データの印刷装置を示すブロック図、図2は、本実施形態に係る印刷装置へのデータ送信を説明する図、図3は、本実施形態に係る印刷装置のデータ出力を説明する図、図4は、本実施形態に係る印刷装置のデータ処理手順を示すフローチャートである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の携帯端末データの印刷装置1は、携帯端末、例えば携帯電話2からのデータを受信する受信部3と、携帯電話2へデータを送信する送信部4と、これらの受信部3及び送信部4などに接続され、種々の情報処理を行う情報処理部5と、この情報処理部5に接続される操作部6及びプリンタ部7と、受信部3及び情報処理部5に接続される記憶部8とを備えている。この記憶部8は、データを一時保存する第1記憶部8aと、データベース機能を有する第2記憶部(DB)8bと、既定の表示形式を記憶する第3記憶部(RAM)8cと、1頁分の出力データの内容を記憶する第4記憶部8dとから構成されている。
【0018】
図2に示すように、携帯電話2は、例えば発信元(携帯電話番号あるいはEメールアドレス)を含むヘッダA1と、「明日は打ち合わせ」などの本文A2の項目を含むデータAを作成し、発信日時とともに送信する。
【0019】
印刷装置1は、受信部3にて受信したデータAから受信日時、発信日時、発信元、本文及び添付などを項目毎にデータを抽出して、第2記憶部8bの情報記憶領域に発信元毎(ヘッダA1毎)の保存データBとして記憶する。また、図3に示すように、ユーザは、操作部6を介して保存データBの中から出力する項目(発信元、受信日、本文等)の出力条件C1を含むデータ出力指示Cを入力すると共に、第3記憶部8cに記憶されている既定の表示形式の中から任意のものを選択する。その結果、プリンタ部7により、選択した発信元D1に関する受信日時毎のメッセージD2〜D4を含むフォームDが印刷される。
【0020】
上記実施形態にあっては、図4に示す処理手順S1〜S10に従って携帯端末データの出力及び印刷を行うようになっている。すなわち、手順S1として携帯電話2にてデータAを作成し、手順S2として、携帯電話2からEメールにてデータAを無線送信する。次いで手順S3として、印刷装置1は受信部3により上記データAを受信し、手順S4として、第1記憶部8aに一時保存すると共に、手順S5として、上記データAから必要な項目毎にデータを抽出して、第2記憶部8bの情報記憶領域に発信元毎の保存データBとして記憶し、手順S6として、第1記憶部8aに一時保存したデータAを廃棄する。
【0021】
次いで手順S7として、ユーザが操作部6を介してデータ出力指示Cを入力すると共に、第3記憶部8cに記憶される既定の表示形式の中から任意のものを選択すると、手順S8として、第2記憶部8bに記憶される保存データBの中から上記出力条件C1に基づいて検索し、手順S9として、検索したデータを選択された表示形式のものに当てはめて出力する。その結果、手順S10として、プリンタ部7によりフォームDが印刷される。
【0022】
以上、説明したように、本発明によれば、携帯電話2から無線送信されるデータAを受信部3で受信するので、携帯電話2の接続を要せずに、携帯電話2からデータAを出力してプリンタ部7で印刷することができる。また、受信部3で受信したデータAを記憶部8により記憶しておき、情報処理部5により上記データAの中から選択して所定の表示形式に配列して出力し、プリンタ部7で印刷するので、ユーザにとって活用しやすい印刷データが得られると共に、余白部分が少ない出力結果が得られるので印刷用紙の無駄を抑制することができる。
【0023】
また、本発明によれば、ユーザが印刷装置1の操作部6を操作してデータの出力条件C1を含むデータ出力指示Cを入力すると、情報処理部5では上記出力条件C1に応じて上記データAの中から選択し、所定の表示形式に配列して出力するので、ユーザにとってさらに活用しやすい印刷データを得ることができる。
【0024】
また、本発明によれば、受信部3で受信したデータAから受信日時、発信元、本文及び添付などのデータを項目毎に抽出し、第2記憶部8bの情報記憶領域に発信元毎の保存データBとして記憶しておき、情報処理部5により検索して、指定された発信元に関するデータを選択的に出力するので、ユーザは所望の発信元に限定して必要な出力データを得ることができる。
【0025】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0026】
例えば、上記実施形態では、ユーザが操作部6を操作してデータ出力を行うとき、保存データBの中から検索したデータを選択された表示形式のものに当てはめて出力し、フォームDをプリンタ部7で印刷するようにしたが、検索したデータを選択された表示形式のものに当てはめて出力するときに、そのデータを第4記憶部8dに一時記憶しておき、印刷用紙の1頁分のデータが溜まった時点で自動的に出力してプリンタ部7で印刷することもできる。この場合、印刷用紙の無駄をさらに抑制することができる。
【0027】
また、上記実施形態では、ユーザが操作部6を操作することにより手動でデータ出力を行うようにしたが、所定件数が溜まったら自動的にデータ出力を行ってプリンタ部7で印刷することもできる。さらに、緊急時などに携帯電話2からデータ出力を指示してプリンタ部7で印刷し、その後、送信部4から携帯電話2に対してEメールでデータ出力が完了したことを通知することもできる。
【0028】
図5は、本発明の他の実施形態に係る携帯端末データの印刷装置を示すブロック図である。なお、図5において前述した図1〜図4に示すものと同様のものには同一符号を付してある。
【0029】
図5に示すように、本実施形態の携帯端末データの印刷装置1Aは、受信部3、送信部4、記憶部8、及び情報処理部5を有するサーバ10を備えており、通信ネットワーク11を介してプリンタ部7が接続されると共に、サーバ10に操作部6が付設されている。
【0030】
本発明によれば、既成のパソコンなどをサーバ10として用いることにより、費用の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末データの印刷装置を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る印刷装置へのデータ送信を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る印刷装置のデータ出力を説明する図である。
【図4】本実施形態に係る印刷装置のデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る携帯端末データの印刷装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
1,1A…携帯端末データの印刷装置、2…携帯電話(携端末帯)、3…受信部、5…情報処理部、6…操作部、7…プリンタ部、8…記憶部、8b…第2記憶部(DB)、10…サーバ、11…通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末から無線送信されるデータを受信する受信部と、
この受信部で受信した前記データを記憶する記憶部と、
この記憶部に記憶した前記データの中から選択し、所定の表示形式に配列して出力する情報処理部と、
この情報処理部から出力されるデータを印刷するプリンタ部とを備えたことを特徴とする携帯端末データの印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末データの印刷装置であって、
ユーザにより操作され、前記データの出力条件を含むデータ出力指示を前記情報処理部に対して入力する操作部を設けたことを特徴とする携帯端末データの印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の携帯端末データの印刷装置であって、
前記記憶部は、複数の発信元毎に前記データを記憶すると共に、
前記情報処理部は、指定された前記発信元に関する前記データを選択的に出力することを特徴とする携帯端末データの印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の携帯端末データの印刷装置であって、
前記受信部、前記記憶部及び前記情報処理部を有するサーバを備えると共に、
前記プリンタ部が通信ネットワークを介して前記サーバに接続されたことを特徴とする携帯端末データの印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−69720(P2010−69720A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239584(P2008−239584)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】