説明

携帯端末機器及び放熱方法

【課題】内部の電子部品で発生する熱による局所的な温度上昇を抑制することができる携帯端末機器及び放熱方法の提供。
【解決手段】電子部品14が実装される基板13の内部に、熱伝導性に優れた銅やアルミニウム、炭素などの部材で形成された1層以上の熱伝導層17を設け、該熱伝導層17によって電子部品14で発生した熱を基板13の面方向に速やかに拡散させ、基板13全面からキー16などの操作手段や筐体に伝達して外部に放熱させる。これにより、大幅なコストアップや携帯通信機の厚みを増すことなく、操作手段や筐体の局所的な温度上昇を抑制して携帯通信機表面の温度を均一にすることができる。また、該構造を用いることにより高性能の電子部品を使用することが可能となり、更に基板の剛性を高めて携帯端末機器の信頼性を向上させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末機器及び放熱方法に関し、特に、発熱する電子部品が基板上に実装される携帯端末機器における該基板の構造及び該基板を用いた放熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される携帯端末機器は、音声による通信機能やメール送受信機能に加えて、TV電話機能、写真撮影機能、TV放送受信機能などの様々な機能が付加されており、これらの機能を実現するために処理能力の向上が図られている。そして、携帯端末機器の高機能化および高性能化に伴って、携帯端末機器の内部に実装される電子部品の消費電力が増加し、その結果、携帯端末機器の温度上昇が問題となっている。
【0003】
このような温度上昇を防ぐために、パーソナルコンピュータなどの電子機器では、発熱量の多い電子部品の表面に放熱用の金属製ヒートシンクやファンなどを取り付けて筐体内部の熱を外部に放熱するなどの処置を行っている。また、特開平11−95871号公報には、携帯用パソコンの筐体の剛性を高めるためのリブに熱伝導性薄膜を設け、発熱部品に接着された放熱板とリブの熱伝導性薄膜とを接触させることにより、発熱部品から生じる熱を筐体に効率よく拡散させる電子機器の放熱構造が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−95871号公報(第3−4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の携帯端末機器は更なる小型化、薄型化が求められていることから、スペース的な制約でパーソナルコンピュータのような放熱構造を設けることは難しい。従って、携帯端末機器では電子部品で発生した熱を筐体に伝達し、筐体から外部に放熱する必要があるが、携帯端末機器の筐体の表面積は小さく、十分な放熱効率が得られないために、電子部品の発熱量が大きいと筐体の温度が上昇してしまう。
【0006】
また、携帯端末機器は薄くする必要があるために電子部品と筐体との間隔を広くすることができず、電子部品で発生した熱が筐体表面へ即座に伝達してしまい、その結果、筐体表面の温度が局所的に上昇してしまうという問題があった。
【0007】
特に、ユーザが操作するキーなどの操作手段やその近傍の筐体の温度が上昇すると操作時に不快感を与えてしまうことから、電子部品で発生する熱を効果的に放熱することができる携帯端末機器の提案が望まれている。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、内部の電子部品で発生する熱による局所的な温度上昇を抑制することができる携帯端末機器及び放熱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の携帯端末機器は、少なくとも1つの発熱性の部品が実装される基板を備える携帯端末機器であって、前記基板の内部に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、前記発熱性の部品で発生した熱が前記熱伝導層を介して前記基板全面に拡散されるものである。
【0010】
本発明においては、前記発熱性の部品が前記基板の一方の面に配置されている構成とすることができる。
【0011】
また、本発明においては、前記基板の前記発熱性の部品が配置されている面以外の面に操作手段を更に含み、前記基板内部の、前記熱伝導層と前記操作手段との間に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が小さい1層以上の熱伝導抑制層を備える構成とすることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記熱伝導層と前記発熱性の部品との間に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材により形成された、前記熱伝導層及び前記発熱性の部品の双方に当接する接続手段を備え、前記接続手段により前記熱伝導層と前記発熱性の部品とが熱的に接続される構成とすることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記発熱性の部品に、該発熱性の部品を実装した状態で前記熱伝導層に当接する放熱用の端子を備え、前記放熱用の端子により前記熱伝導層と前記発熱性の部品とが熱的に接続される構成とすることができ、前記放熱用の端子は、前記発熱性の部品の電気的接続に寄与しない端子であり、前記発熱性の部品の筐体、又は、前記発熱性の部品内部の基板又は構成部品に接続されていることが好ましく、前記放熱用の端子は、BGA(Ball Grid Array)を構成する半田ボールとすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記熱伝導層は、前記基板の法線方向から見て、前記基板の表裏を繋ぐ接続配線が形成される領域を除く前記基板の全面又は一部に形成されている構成とすることもできる。
【0015】
また、本発明においては、前記基板に非耐熱性の部品が実装されており、前記熱伝導層は、前記基板の法線方向から見て、前記非耐熱性の部品が実装される領域を除く前記基板の全面又は一部に形成されている構成とすることもできる。
【0016】
また、本発明においては、前記基板は、前記携帯端末機器の筐体に予め設けられた突起部によって固定されており、前記基板の前記熱伝導層と前記突起部との間の部材が、前記突起部に対応する領域の少なくとも一部において除去され、前記熱伝導層と前記突起部の少なくとも一部とが熱的に接続されている構成とすることもできる。
【0017】
また、本発明においては、前記基板に他の基板が固定され、前記他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、前記基板の熱伝導層と前記他の基板の熱伝導層とが接続手段によって熱的に接続され、前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱が、前記接続手段を介して、前記他の基板に伝達される構成とすることもできる。
【0018】
また、本発明においては、第1の筐体に保持される前記基板と、第2の筐体に保持される他の基板と、前記基板と前記他の基板とを接続する接続基板とを備え、前記他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、前記接続基板の内部又は表面に、前記接続基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記接続基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、前記基板の熱伝導層及び前記接続基板の熱伝導層と、前記接続基板の熱伝導層及び前記他の基板の熱伝導層とが接続手段によって熱的に接続され、前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱が、前記接続手段及び前記接続基板を介して、前記他の基板に伝達される構成とすることもできる。
【0019】
また、本発明においては、前記携帯端末機器は携帯電話機又は携帯型コンピュータ、携帯型ゲーム機とすることが好ましい。
【0020】
また、本発明の放熱方法は、少なくとも1つの発熱性の部品が実装される基板を備える携帯端末機器における放熱方法であって、前記基板の内部に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、前記熱伝導層により前記発熱性の部品で発生した熱を前記基板の面方向に拡散させるものである。
【0021】
本発明においては、前記基板の前記発熱性の部品が配置されている面以外の面に操作手段を更に含む構成において、前記基板内部の、前記熱伝導層と前記操作手段との間に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が小さい1層以上の熱伝導抑制層を設け、前記熱伝導抑制層により前記発熱性の部品で発生した熱の前記操作手段への伝達を抑制する構成とすることができる。
【0022】
また、本発明においては、前記熱伝導層と前記発熱性の部品とを、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材により形成された接続手段で熱的に接続し、前記発熱性の部品で発生した熱を、前記接続手段を介して、前記熱伝導層に伝達する構成とすることもできる。
【0023】
また、本発明においては、前記携帯端末機器の筐体に前記基板を固定するための突起部を設け、前記基板の前記熱伝導層と前記突起部との間の部材を、前記突起部に対応する領域の少なくとも一部において除去して前記熱伝導層と前記突起部とを熱的に接続し、前記発熱性の部品で発生した熱を、前記熱伝導層及び前記突起部を介して、前記筐体に伝達する構成とすることもできる。
【0024】
また、本発明においては、前記基板に固定される他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、前記基板の熱伝導層と前記他の基板の熱伝導層とを接続手段によって熱的に接続し、前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱を、前記接続手段を介して、前記他の基板に伝達する構成とすることもできる。
【0025】
また、本発明においては、第1の筐体に保持される前記基板と、第2の筐体に保持される他の基板と、前記基板と前記他の基板とを接続する接続基板とを備える構成において、前記他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、前記接続基板の内部又は表面に、前記接続基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記接続基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、前記基板の熱伝導層及び前記接続基板の熱伝導層と、前記接続基板の熱伝導層及び前記他の基板の熱伝導層とを接続手段によって熱的に接続し、前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱を、前記接続手段及び前記接続基板を介して、前記他の基板に伝達する構成とすることもできる。
【0026】
このように、本発明の構成によれば、電子部品で発生した熱は該電子部品が実装されている基板に配設された1層以上の熱伝導層によって基板の面方向に拡散され、基板全面からキーなどの操作手段や筐体全体、更には該基板に接続される他の基板や他の基板に実装される部品、他の基板を格納する他の筐体などに伝達されて外部に放熱されるため、操作手段や筐体の温度が局所的に上昇することがなく、効率的に放熱することができる。そして、このような簡単な放熱構造を用いることによって、大幅なコストアップ等を招くことなく、また、携帯端末機器の厚みを増すことなく、局所的な温度上昇による操作時の不快感を解消することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明の携帯端末機器及び放熱方法によれば、下記記載の効果を奏する。
【0028】
本発明の第1の効果は、電子部品で発生する熱によるキーなどの操作手段や筐体の局所的な温度上昇を抑制し、携帯端末機器表面の温度を均一にすることができるということである。その理由は、電子部品で発生した熱は該電子部品が実装されている基板に配設された1層以上の熱伝導層によって基板の面方向に拡散され、基板全面から操作手段や筐体全体、該基板に接続される他の基板や他の基板に実装される部品、他の基板を格納する他の筐体などに伝達されて外部に放熱されるからである。
【0029】
また、本発明の第2の効果は、大幅なコストアップ等を招くことなく、また、携帯端末機器の厚みを増すことなく、電子部品で発生する熱を効果的に放熱することができるということである。その理由は、サイズの大きい金属製ヒートシンクやファンなどを取り付けるのではなく、基板内部に熱伝導性部材を層状に配設するという簡単な構造によって電子部品で発生した熱を分散させて操作手段や筐体全体で放熱することができるからである。
【0030】
そして、このような放熱構造を採用することにより高性能の電子部品を使用することが可能となる。また、基板内部に熱伝導層を設けることにより、該熱伝導層によって基板の剛性を上げることができ、その結果、落下時やキー打鍵時などの外力からの基板の変形を抑制し電子部品の接続信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
従来技術で説明したように、携帯端末機器の多機能化、高性能化に伴って電子部品の発熱量が増加しているが、携帯端末機器は小型化、軽量化、薄型化も求められているために、パソコンなどで用いられている金属製ヒートシンクやファンを使用することができず、その結果、電子部品で発生した熱によってキーなどの操作手段や筐体の温度が局所的に上昇し、キー操作時にユーザに不快感を与えるという問題があった。
【0032】
この問題に対して、筐体による放熱効果を高めるために、筐体内面に熱伝導性部材を配設する構造(例えば、特開2002−323936号公報)や筐体の内側に金属シャーシを設ける構造(例えば、特開平2−262724号公報)、筐体自体をマグネシウム合金などの熱伝導性のよい部材で形成する構造(例えば、特開2000−253115号公報)などが提案されている。
【0033】
しかしながら、携帯端末機器は薄くする必要があることから、電子部品が実装される基板にキーシートを介して数字キーや方向キーなどの操作手段が直接取り付けられており、その結果、電子部品で発生した熱が操作手段に直接伝達してしまう。従って、筐体の熱伝導性を高めたとしても操作手段の温度上昇を抑えることができず、キー操作時にユーザに不快感を与えるという問題を解決することができない。
【0034】
そこで、本発明では、筐体内部に熱伝導性部材を配設したり、筐体自体を熱伝導性のよい部材で形成するのではなく、発熱する電子部品が実装される基板自体に熱伝導性部材を配設して電子部品で発生した熱を直ちに基板全体に拡散させる。このような構造を用いることによって、基板にキーシートを介して操作手段が直接取り付けられて構造においても操作手段やその近傍の筐体の局所的な温度上昇を抑制し、キー操作時にユーザに不快感を与えるという問題を解決している。
【実施例1】
【0035】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器及び放熱方法について、図1乃至図13を参照して説明する。図1は、第1の実施例に係る携帯端末機器の基本構成を示す図であり、図2は、携帯端末機器の機能を示すブロック図である。また、図3は、キー操作部の断面構造を模式的に示す図であり、図4は、熱の伝わり方を模式的に示す図である。また、図5、図6、図8及び図9は、キー操作部の断面構造のバリエーションを示す図であり、図7は、本実施例の基板に搭載される電子部品の構造を模式的に示す斜視図であり、図10乃至図12は、熱伝導層の形状のバリエーションを示す図である。また、図13は、従来の携帯端末機器における熱の伝わり方を模式的に示す図である。なお、以下では携帯端末機器として携帯電話機を例にして説明するが、携帯端末機器は少なくとも操作手段と表示手段とを備えていればよく、例えば、PDAなどの携帯型コンピュータや薄型のデジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの任意の携帯機器に対して同様に適用することができる。
【0036】
図1及び図2に示すように、一般に携帯端末機器1(携帯電話機)は、待ち受け画面、各種機能の設定画面、web画面等の表示を行う液晶表示素子やEL発光素子などで形成された表示部3と、数字キーや方向キー、特殊機能キー等の複数のキーが配列されたキー操作部2と、電話の交信、メールの送受信、web画面の受信等を行う無線通信部8及びアンテナ9と、音声の入出力や着信音の出力を行うスピーカ4及びマイク5と、各種設定値を記憶する内部記憶装置6と、これらを制御する制御部7とを備えている。そして、キー操作部2の内部には携帯端末機器1の各種機能を実現するための様々な電子部品が配置されている。
【0037】
上記携帯端末機器1のキー操作部2の断面構造は、例えば、図3に示すようになり、キー操作部2側の上筐体11と、上筐体11に嵌合する下筐体12と、上筐体11及び下筐体12の内部に配設され、各々の筐体の突起部11a及び12aによって保持される基板13と、基板13のキー操作部2側に配設されたキーシート15と、キーシート15上に配設された数字キーや方向キー、特殊機能キー等のキー16と、基板13のキー操作部2と反対側の面に配設された1以上の電子部品14とで構成され、基板13の内部には、少なくとも基板13の主構成材料(配線材料などを除く基材を構成する材料)よりも熱伝導率の大きい部材(以下、熱伝導性部材と呼ぶ。)が基板13の面方向に配設された1以上の層状の熱伝導層17が設けられている。
【0038】
なお、この熱伝導性部材の種類や厚さなどは特に限定されず、銅やアルミニウムなどの金属材料を用いて形成してもよいし、炭素などの電気絶縁性の高い材料を用いて形成してもよく、また、これらの材料の薄膜としてもよいし、これらの材料を樹脂などに分散された薄板としてもよい。また、基板13の製造方法も特に限定されず、一般的な積層基板の製造方法を利用してもよいし、例えば、予め配線パターンが形成された基材を2枚形成しておき、一方の基材の表面に熱伝導層17を形成し、その上に他方の基材を接着剤などを用いて貼り合わせる等の方法で製造することもできる。また、図では、熱伝導層17を基板13の厚さ方向の略中央に形成しているが、熱伝導層17は基板13の内部に形成されていればよく、電子部品14の実装面に近い位置に形成されていてもよいし、キー操作面に近い位置に形成されていてもよい。
【0039】
また、図では、基板13上に2つの電子部品14を実装しているが、電子部品14の数やサイズ、配置などは限定されず、その中に少なくとも1つの発熱する電子部品14(駆動することによって少なくとも環境温度よりも高い温度となる発熱性の部品、例えば、パワーアンプや充電ICなど)が含まれていればよい。また、各々の電子部品14の構成も限定されず、トランジスタやトランスなどの個別の機能を実現する部品としてもよいし、個別の機能を実現する部品を複数含む増幅器や電圧変換器などの集合体としてもよい。また、図では一方の面のみに電子部品14を実装しているが、他方の面(キー操作面)にスペースがある場合にはキー操作面側にも電子部品14を実装してもよい。
【0040】
次に、基板13上に実装された電子部品14で発生した熱の伝わり方について、図面を参照して説明する。
【0041】
まず、基板13内に熱伝導層が形成されていない従来の携帯端末機器では、図13に示すように、基板13の一方の面に実装された電子部品14の内のいずれかで熱が発生すると(図では発熱部19を黒く表示している。)、発生した熱は空気層18には伝わりにくく物が接触している方向に伝わりやすいため、電子部品14から基板13に伝達され、基板13内部で等方的に拡散する。ここで基板13の厚さは面方向の寸法に比べて十分に小さいために基板13に流入した熱は速やかに基板13の反対面に伝達され、基板13の反対面に接続されているキーシート15を介して各々のキー16に伝達する。そのため、発熱している電子部品14に近い位置に配置されているキー16やその近傍の上筐体11のみが高温になる傾向がある。
【0042】
ここで、キー16は押圧操作ができるように筐体(ここでは上筐体11)とは分離して形成されており、また、キーシート15もキー16以外から押圧されないように筐体と分離して配置されているため、従来例に示すように筐体の内面に熱伝導性部材や金属シャーシを設けたり筐体自体を熱伝導性部材で形成したとしても、キー16に直接伝達した熱を効果的に放熱することはできず、キー16や筐体の局部的な温度上昇を抑制することはできない。
【0043】
これに対して、本実施例の携帯端末機器1では、図4に示すように、基板13の一方の面に実装された電子部品14で発生した熱は同様に基板13に伝達されるが、基板13の内部には熱伝導性に優れた熱伝導層17が基板13の面方向に層状に配設されているため、基板13に伝達した熱はこの熱伝導層17を介して基板13の面方向に速やかに拡散する。そして、熱伝導層17全体に拡散した熱は基板13の反対側の面全体に伝達され、キーシート15を介して全てのキー16に伝達される共に、基板13を保持、固定する突起部11a及び12aを介して上筐体11及び下筐体12にも伝達される。これにより、電子部品14が発熱したとしても該電子部品14近傍のキー16や上筐体11のみが高温になるという不具合を防止することができる。
【0044】
なお、図3及び図4では、基板13の内部に熱伝導層17のみを設けたが、熱伝導層17に伝達した熱をキーシート15やキー16に伝わりにくくする構造を設けることもできる。例えば、図5に示すように、基板13内の熱伝導層17よりもキー操作面側に任意の厚さの熱伝導抑制層22を設け、その熱伝導抑制層22によって熱伝導層17に伝導した熱をキーシート15やキー16以外の部分(例えば、突起部11a及び12aを介して上筐体11及び下筐体12)に逃がすことにより、キー16の温度上昇を抑制することができる。この熱伝導抑制層22は、例えば、少なくとも基板13の主構成材料よりも熱伝導率の小さい部材を用いて形成してもよいし、基板13に微細な空孔を設けて基板13に熱伝導率の小さい領域を形成して熱伝導抑制層22として機能させてもよい。
【0045】
また、図3及び図4では、基板13の内部に層状の熱伝導層17のみを設けたが、電子部品14で発生した熱を速やかに熱伝導層17に伝達することができるような構造を設けることもできる。例えば、図6に示すように、基板13の発熱する電子部品14が実装される部分に熱伝導層17に接続される1以上の接続部17aを形成し、その接続部17aに接触するように電子部品14を実装する(例えば、接続部17aを基板13から突出するように形成し、電子部品14の実装時に突出部が潰れるように実装する)ことによって熱伝導層17と電子部品14の裏面とを熱的に接続し、電子部品14で発生した熱を速やかに熱伝導層17に伝達させることができる。この接続部17aを形成する方法は特に限定されないが、例えば、基板13の電子部品14が実装される部分に実装面側から熱伝導層17に達する1以上の孔を形成し、その孔の内部に熱伝導性部材(熱伝導層17と同じ部材としてもよいし、異なる部材としてもよい。)を埋設してもよいし、キー操作面側から基板13を貫通する1以上の貫通孔を形成し、その貫通孔の内部に上記熱伝導性部材を埋設してもよい。
【0046】
また、このような接続部17aを形成する場合において電子部品14から接続部17aに速やかに熱が伝導するように、図7(a)に示すように、電子部品14の基板実装面側に金属板23などの熱伝導性のよい部材を予め設けておき、この金属板23と接続部17aとを接触させるようにしてもよい。また、電子部品14がBGA(Ball Grid Array)によって基板13に接続される場合は、図7(b)に示すように、BGA24を構成する半田ボールの中に電子部品14の電気接続に寄与しない1以上の接続用半田ボール24a(接続用半田ボール24aの位置は図の構成に限定されない。)を設けておき、この接続用半田ボール24aに対向する位置に熱伝導層17に達する孔を形成し、電子部品14の実装時に接続用半田ボール24aを溶かして孔の内部を半田で埋設して熱伝導層17に接触させるようにしてもよいし、電子部品14がピンによって基板13に接続される場合は、図7(c)に示すように、ピン25の中に電子部品14の電気接続に寄与しない1以上の接続用ピン25a(接続用ピン25aの位置は図の構成に限定されない。)を設けておき、この接続用ピン25aに対向する位置に熱伝導層17に達する孔を形成し、電子部品14の実装時に接続用ピン25aを熱伝導層17に接触させるようにしてもよい。
【0047】
なお、上記接続用半田ボール24aや接続用ピン25aは、電子部品14の筐体に接続されていてもよいし、電子部品14内部の構成部材(例えば、電子部品14を構成する個々の部品や内部の回路基板など)に接続されていてもよく、接続用半田ボール24aや接続用ピン25aを電子部品14内部の発熱体に直接熱的に接触させることにより、発生した熱を電子部品14内部に蓄熱させずに速やかに外部に伝導させることができ、電子部品14自体の温度上昇を抑えることができるため、電子部品14の性能を向上させることもできる。
【0048】
また、図3乃至図6では、基板13の内部に熱伝導層17を1層設けているが、本発明では基板13の面方向への熱伝導を促進できるように熱伝導層17が形成されていればよく、例えば、図8に示すように、基板13の内部に複数層(図では2層)の熱伝導層17を設けてもよく、また、それらの複数の熱伝導層17を上記と同様に1以上の接続部17aによって熱的に接続する構成としてもよい。
【0049】
また、図3乃至図6及び図8では、上筐体11の突起部11a及び下筐体12の突起部12aによって基板13が固定される構造としたが、熱伝導層17に伝達された熱を上筐体11及び下筐体12に速やかに伝達することができるような構造を設けることもできる。例えば、図9に示すように、突起部11a及び12aに対応する部分の熱伝導層17の一部又は全部を露出させておき、熱伝導層17と突起部11a及び12aの少なくとも一部とを熱的に接続し、熱伝導層17に伝達された熱を上筐体11及び下筐体12に速やかに伝達させる構造とすることもできる。
【0050】
また、図3乃至図6及び図8、図9の構造において、熱伝導層17は基板13の全面に形成してもよいが、熱伝導層17は基板13の面方向に広がりを有する構造であればよく、電子部品14で発生した熱を速やかに基板13の面方向に伝達できる限りにおいて、必ずしも基板13の全面に形成されている必要はなく、例えば、図10に示すように、熱伝導層17を格子状やスリット(これらは規則的な形状としてもよいし、幅やピッチが異なる不規則な形状としてもよい。)などにしてもよい。
【0051】
また、熱伝導層17を炭素などの絶縁性のよい材料を用いて形成した場合は、熱伝導層17と基板13の表裏面を接続するための接続配線などとがショートすることはないが、熱伝導層17を銅やアルミニウムなどの金属部材を用いて形成した場合は、熱伝導層17と接続配線とがショートする恐れがある。そのような場合には、図11に示すように、基板13の法線方向から見て、接続配線21を除く基板13の全面又は一部に熱伝導層17を形成することもできる。
【0052】
また、熱伝導層17を基板13の全面に配設した場合、一部の電子部品14で発生した熱は他の電子部品14にも伝わって他の電子部品14の温度も上昇させてしまうが、電子部品14の中には温度の影響を受けにくいもの(すなわち、温度が上昇しても正常に動作する又は特性が変化しない耐熱性の部品)と温度の影響を受けやすいもの(すなわち、温度が上昇すると正常に動作しない又は特性が劣化する非耐熱性の部品)とがあり、これらの電子部品14が混在している場合に、一部の電子部品14で発生した熱によって非耐熱性の部品の温度が上昇するのは好ましくない。そこで、非耐熱性の部品が混在している場合には、図12に示すように、基板13の法線方向から見て、非耐熱性の部品14bを除く基板13の全面又は一部に熱伝導層17を形成し、非耐熱性の部品14b近傍の温度を上昇させないようにすることもできる。
【0053】
このように、基板13の内部に1以上の熱伝導層17を層状に配設することにより、電子部品14で発生した熱を基板13の面方向に速やかに伝達させることができ、これにより、発熱する電子部品14近傍のキー16や筐体の温度が局所的に上昇するという問題を回避することができ、効率的に熱を外部に放出することができる。また、局所的な温度上昇を抑制することができるため、電子部品14の選択の自由度が増し、高性能の電子部品14を使用することも可能となる。更に、基板13を積層構造にすることによって基板13の剛性を高め、携帯端末機器1の信頼性を高めることもできる。
【実施例2】
【0054】
次に、本発明の第2の実施例に係る携帯端末機器及び放熱方法について、図14及び図15を参照して説明する。図14及び図15は、第2の実施例に係る携帯端末機器内部の基板の構造を模式的に示す断面図である。なお、本実施例でも携帯端末機器として携帯電話機を例にして説明するが、携帯端末機器は少なくとも操作手段と表示手段とを備えたものであればよい。
【0055】
前記した第1の実施例では、電子部品14で発生した熱を該電子部品14が実装される基板13を保持する筐体(上筐体11及び下筐体12)やキーシート15及びキー16全体に伝達して放熱させる構成としたが、更に放熱効率を高めるために、電子部品14で発生した熱を携帯端末機器1を構成する他の部品に伝導させる構成とすることもできる。
【0056】
例えば、近年の携帯端末機器1はメモリーカードなどの記録媒体を装填するためのスロットなどを備えており、このスロットは多少温度が上昇しても動作上問題は生じない。そこで、例えば、図14に示すように、第1の実施例で示した基板13に、スロット26などが配置される第2の基板13aが固定されている構造において、第2の基板13aの内部又は表面にも1以上の熱伝導層17(基板13の熱伝導層17と同じであっても異なっていてもよい。)を設け、基板13の熱伝導層17と第2の基板13aの熱伝導層17とを熱的接続手段(第2の基板13aを固定する支柱を兼ねる接続部17aや金属ワイヤーなど)によって熱的に接続させる。
【0057】
このような構造にすることによって、電子部品14で発生した熱は、基板13内部の熱伝導層17から接続部17aを介して第2の基板13aの熱伝導層17に伝わり、スロット26の温度を上昇させて放熱されるため放熱経路を増やすことができ、これにより、キー16などの温度上昇が問題となる部品への熱の伝達を更に抑制することができる。
【0058】
また、近年の携帯端末機器1は、小型化を実現するために折りたたみ可能な構造を採用しているものが多く、携帯電話機の場合は、図1に示すように、キー操作部2が配置される部分と表示部3が配置される部分の2つの部分で構成される。その場合に、キー16などのユーザが直接触る部品は温度上昇が問題となるが、表示部3や表示部3を保持する筐体などのユーザが触らない部分は多少温度が上昇しても問題は生じない。そこで、例えば、図15に示すように、第1の実施例で示した基板13と表示部側基板13bとがフレキシブル基板13cなどの接続手段を介して接続されている構造において、表示部側基板13bの内部にも1以上の熱伝導層17(基板13の熱伝導層17と同じであっても異なっていてもよい。)を設け、基板13と表示部側基板13bとを熱的接続手段(フレキシブル基板13cの内部又は表面に設けた熱伝導層17や金属ワイヤーなど)によって熱的に接続させる。
【0059】
このような構造にすることによって、基板13に搭載された電子部品14で発生した熱は、基板13内部の熱伝導層17からフレキシブル基板13cを介して表示部側基板13bの熱伝導層17に伝わり、表示部側基板13bを固定する筐体などの温度を上昇させて放熱されるため放熱経路を増やすことができ、これにより、キー16などの温度上昇が問題となる部品への熱の伝達を更に抑制することができる。
【0060】
なお、上記各実施例では基板13の内部に熱伝導層17を設けているが、基板13自体を熱伝導性部材が分散された熱伝導性に優れた材料を用いて形成してもよい。また、上記実施例では、基板13の一方の面にキーシート15を介してキー16が配置され、他方の面に電子部品14が実装される構成としたが、これらが基板13の同じ面に配置されている構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】携帯端末機器の構成を示す図である。
【図2】携帯端末機器の基本的な機能を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器のキー操作部の構造を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器のキー操作部における熱の伝わり方を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器のキー操作部の他の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器のキー操作部の他の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器の基板に搭載される電子部品の構造を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器のキー操作部の他の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る携帯端末機器のキー操作部の他の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係る熱伝導層の形状のバリエーションを示す平面図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係る熱伝導層の形状のバリエーションを示す平面図である。
【図12】本発明の第1の実施例に係る熱伝導層の形状のバリエーションを示す平面図である。
【図13】従来の携帯端末機器のキー操作部における熱の伝わり方を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る携帯端末機器の基板の構造を模式的に示す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施例に係る携帯端末機器の基板の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 携帯端末機器
2 キー操作部
3 表示部
4 スピーカ
5 マイク
6 内部記憶装置
7 制御部
8 無線通信部
9 アンテナ
11 上筐体
11a 突起部
12 下筐体
12a 突起部
13 基板
13a 第2の基板
13b 表示部側基板
13c フレキシブル基板
14 電子部品
14a 発熱性の部品
14b 非耐熱性の部品
15 キーシート
16 キー
17 熱伝導層
17a 接続部
18 空気層
19 発熱部
20 熱伝導層除去領域
21 接続配線
22 熱伝導抑制層
23 熱伝導板
24 BGA
24a 接続用半田ボール
25 ピン
25a 接続用ピン
26 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱性の部品が実装される基板を備える携帯端末機器であって、
前記基板の内部に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、前記発熱性の部品で発生した熱が前記熱伝導層を介して前記基板全面に拡散されることを特徴とする携帯端末機器。
【請求項2】
前記発熱性の部品が前記基板の一方の面に配置されていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末機器。
【請求項3】
前記基板の前記発熱性の部品が配置されている面以外の面に操作手段を更に含み、
前記基板内部の、前記熱伝導層と前記操作手段との間に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が小さい1層以上の熱伝導抑制層を備えることを特徴とする請求項2記載の携帯端末機器。
【請求項4】
前記熱伝導層と前記発熱性の部品との間に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材により形成された、前記熱伝導層及び前記発熱性の部品の双方に当接する接続手段を備え、前記接続手段により前記熱伝導層と前記発熱性の部品とが熱的に接続されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項5】
前記発熱性の部品に、該発熱性の部品を実装した状態で前記熱伝導層に当接する放熱用の端子を備え、前記放熱用の端子により前記熱伝導層と前記発熱性の部品とが熱的に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項6】
前記放熱用の端子は、前記発熱性の部品の電気的接続に寄与しない端子であり、前記発熱性の部品の筐体、又は、前記発熱性の部品内部の基板又は構成部品に接続されていることを特徴とする請求項5記載の携帯端末機器。
【請求項7】
前記放熱用の端子は、BGA(Ball Grid Array)を構成する半田ボールであることを特徴とする請求項6記載の携帯端末機器。
【請求項8】
前記熱伝導層は、前記基板の法線方向から見て、前記基板の表裏を繋ぐ接続配線が形成される領域を除く前記基板の全面又は一部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項9】
前記基板に非耐熱性の部品が実装されており、
前記熱伝導層は、前記基板の法線方向から見て、前記非耐熱性の部品が実装される領域を除く前記基板の全面又は一部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項10】
前記基板は、前記携帯端末機器の筐体に予め設けられた突起部によって固定されており、
前記基板の前記熱伝導層と前記突起部との間の部材が、前記突起部に対応する領域の少なくとも一部において除去され、前記熱伝導層と前記突起部の少なくとも一部とが熱的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項11】
前記基板に他の基板が固定され、
前記他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、
前記基板の熱伝導層と前記他の基板の熱伝導層とが接続手段によって熱的に接続され、
前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱が、前記接続手段を介して、前記他の基板に伝達されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項12】
第1の筐体に保持される前記基板と、第2の筐体に保持される他の基板と、前記基板と前記他の基板とを接続する接続基板とを備え、
前記他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、
前記接続基板の内部又は表面に、前記接続基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記接続基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を備え、
前記基板の熱伝導層及び前記接続基板の熱伝導層と、前記接続基板の熱伝導層及び前記他の基板の熱伝導層とが接続手段によって熱的に接続され、
前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱が、前記接続手段及び前記接続基板を介して、前記他の基板に伝達されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項13】
前記携帯端末機器は携帯電話機であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項14】
前記携帯端末機器は携帯型コンピュータ又は携帯型ゲーム機であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載の携帯端末機器。
【請求項15】
少なくとも1つの発熱性の部品が実装される基板を備える携帯端末機器における放熱方法であって、
前記基板の内部に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、前記熱伝導層により前記発熱性の部品で発生した熱を前記基板の面方向に拡散させることを特徴とする放熱方法。
【請求項16】
前記基板の前記発熱性の部品が配置されている面以外の面に操作手段を更に含む構成において、
前記基板内部の、前記熱伝導層と前記操作手段との間に、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が小さい1層以上の熱伝導抑制層を設け、前記熱伝導抑制層により前記発熱性の部品で発生した熱の前記操作手段への伝達を抑制することを特徴とする請求項15記載の放熱方法。
【請求項17】
前記熱伝導層と前記発熱性の部品とを、前記基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材により形成された接続手段で熱的に接続し、前記発熱性の部品で発生した熱を、前記接続手段を介して、前記熱伝導層に伝達することを特徴とする請求項15又は16に記載の放熱方法。
【請求項18】
前記携帯端末機器の筐体に前記基板を固定するための突起部を設け、
前記基板の前記熱伝導層と前記突起部との間の部材を、前記突起部に対応する領域の少なくとも一部において除去して前記熱伝導層と前記突起部とを熱的に接続し、前記発熱性の部品で発生した熱を、前記熱伝導層及び前記突起部を介して、前記筐体に伝達することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一に記載の放熱方法。
【請求項19】
前記基板に固定される他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、
前記基板の熱伝導層と前記他の基板の熱伝導層とを接続手段によって熱的に接続し、
前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱を、前記接続手段を介して、前記他の基板に伝達することを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一に記載の放熱方法。
【請求項20】
第1の筐体に保持される前記基板と、第2の筐体に保持される他の基板と、前記基板と前記他の基板とを接続する接続基板とを備える構成において、
前記他の基板の内部又は表面に、前記他の基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記他の基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、
前記接続基板の内部又は表面に、前記接続基板の主構成材料よりも熱伝導率が大きい熱伝導性の部材が前記接続基板の面方向に配設された1層以上の熱伝導層を設け、
前記基板の熱伝導層及び前記接続基板の熱伝導層と、前記接続基板の熱伝導層及び前記他の基板の熱伝導層とを接続手段によって熱的に接続し、
前記基板に実装された前記発熱性の部品で発生した熱を、前記接続手段及び前記接続基板を介して、前記他の基板に伝達することを特徴とする請求項15乃至19のいずれか一に記載の放熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−173290(P2006−173290A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362272(P2004−362272)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】