説明

携帯端末用スピーカアクセサリ

【課題】 携帯端末と共に持ち歩いても苦にならない重さ且つ寸法で、且つ、携帯端末に取り付けた時に、高音域から中低音域まで高品質,大音量での音楽再生ができるようにする。
【解決手段】
スピーカアクセサリ10のスピーカ結合部13は、携帯電話端末の音楽用スピーカ4が当接された時に、その音楽用スピーカ4の出力音を筐体内部へ取り込むための貫通穴部を備えている。また、スピーカアクセサリ10は、その筐体内部に、スピーカ結合部13の貫通穴部が配された位置が音取込部11aとなされ、その音取込部11aから開口端11bに向けて断面積が略々一定の割合で増加するように形成されていると共に、音取込部11aを中心として渦巻き状に曲げられ、開口端11bが外部に露出した形状となされた音響管11を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末等のような内蔵スピーカを備えた携帯端末に好適な携帯端末用スピーカアクセサリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、携帯電話端末においても、携帯型の音楽プレーヤと同様に楽曲1曲分全てを高音質にて再生できる機能を備えているものが商品化されている。また、このような音楽再生機能を備えた携帯電話端末において、再生音楽の出力デバイスとしては、一般的には、端末本体に接続したイヤホンや内蔵スピーカが用いられている。
【0003】
ところで、従来より、携帯電話端末は、小型且つ軽量、薄型であることに重点がおかれる傾向にあり、したがって、端末筐体サイズも年々小型且つ薄型化されてきている。一方、端末筐体が小型,薄型化されると、例えば内蔵スピーカにより音を出力する際の音響空間を十分に確保することができなくなる。そして、音響空間を十分に確保できないと、特に低音域の特性が犠牲になってしまう。
【0004】
このため、従来より、携帯電話端末における不充分な音響特性を改善するためのアクセサリとして、様々な外付けスピーカが商品化されている。
【0005】
また、特開2005−136895号の公開特許公報(特許文献1)には、携帯電話端末に内蔵されているステレオスピーカから発生して当該端末正面以外の方向に向かう音のうちの少なくとも一部の音を、その端末正面方向に向かわせる方向変換手段を備えた卓上ホルダ及び視聴システムが開示されている。この公報記載の技術によれば、卓上ホルダに保持された状態で表示画面を見ながら音楽等を聴く際に、十分な音量や高音質で音楽を聴くことができるようになる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−1368965号公報(図4,図7、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような外付けスピーカは、電源が必要であり、また、携帯電話端末と共に持ち運ぶには重量が重く、寸法も大きいため、例えば外出先等でその外付けスピーカを用いて音楽を楽しむのには不便であるという問題がある。さらに、外付けスピーカには、殆どの場合、いわゆるホーン形スピーカが採用されており、当該ホーン形スピーカは主に高域音用が多く、中低音用のものは殆ど発売されていないため、中低音域が弱い迫力の無い音になってしまう。
【0008】
一方、上記特開2005−136895号の公開特許公報に記載の卓上ホルダによれば、或る程度の音量と音質を得ることはできるようになるが、これはあくまで卓上ホルダであり、略々据置状態で使用されるものであるため、携帯電話端末と一緒に持ち歩くには不向きである。また、この卓上ホルダの場合、携帯電話端末の内蔵スピーカから発生する音の向かう方向を変更することに主眼が置かれた設計となされているため、より高品質且つ大きな音量での音楽再生に対する要求を完全に満たすまでには至っておらず、したがって、更なる高品質且つ大きな音量での音楽再生を可能とする技術の開発が待たれている。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、携帯端末と共に持ち歩いても苦にならない重さ且つ寸法で、且つ、高音域から中低音域まで高品質,大音量での音楽再生を可能とする、携帯端末用スピーカアクセサリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末用スピーカアクセサリは、携帯端末のスピーカ音出力部が当接されると共に筐体内部への貫通穴部を備えたスピーカ結合部と、スピーカ結合部の貫通穴部が配された位置が音取込部となされ、その音取込部から開口端に向けて断面積が徐々に変化するように形成されていると共に、音取込部を中心として渦巻き状に曲げられ、開口端が外部に露出した形状となされた音響管部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
すなわち、本発明によれば、音取込部から開口端までの距離を十分に長くし、且つ、音取込部から開口端に向けて断面積が徐々に変化するような形状の音響管により、中低音域の音響特性を改善し、また、当該音響管の形状を、音取込部を中心とした渦巻き状とすることにより、音取込部から開口端までの十分な距離を確保しつつ、全体的な外形寸法をコンパクトにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯端末用スピーカアクセサリによれば、携帯端末と共に持ち歩いても苦にならない重さ且つ寸法で、且つ、携帯端末に取り付けた時に、高音域から中低音域まで高品質,大音量での音楽再生が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の携帯端末用スピーカアクセサリの一実施形態について説明する。
【0014】
なお、本実施形態では、本発明の携帯端末の一例として、携帯電話端末を挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0015】
〔携帯電話端末の外観〕
図1及び図2には、本発明実施形態の一例として使用する携帯電話端末の概略的な外観構成を示す。なお、図1には本発明実施形態の携帯電話端末1を正面側から見た図を、図2は背面側から見た図を示している。
【0016】
本実施形態の携帯電話端末1においては、図1に示すように、正面側には、例えば液晶デバイスにより構成されたディスプレイ2、電話番号や文字等を入力するためのテンキーやその他の操作デバイスを備えた操作部3、図示を省略している受話用のスピーカや送話用のマイクロホン等が配されている。また、背面側には、着信音や音楽用のスピーカ(以下、音楽用スピーカ4とする。)が配されている。
【0017】
〔スピーカアクセサリ〕
ここで、上記携帯電話端末1の音楽用スピーカ4を用いて音楽再生を行う場合において、当該携帯電話端末1は、その端末筐体サイズが小さく、十分な音響空間を確保できないため、特に中低音域の特性が犠牲となっている。
【0018】
このため、本実施形態では、携帯電話端末1の音楽用スピーカ4にて音楽再生を行う場合における中低音域特性改善用の外付けアクセサリとして、図3〜図6に示すようなスピーカアクセサリ10を用意している。
【0019】
なお、図3と図4は、携帯電話端末1とスピーカアクセサリ10の概略的な外観斜視図を示しており、図3には、携帯電話端末1にスピーカアクセサリ10が取り付けられる前の状態を、図4には、携帯電話端末1にスピーカアクセサリ10が取り付けられた状態を示している。また、図5には、携帯電話端末1にスピーカアクセサリ10が取り付けられた状態における上記携帯電話端末1の音楽用スピーカ4近傍の概略的な断面、及び、上記スピーカアクセサリ10の概略的な断面を示している。また、図6には、スピーカアクセサリ10の筐体内に設けられている音響管11の概略構成を示している。
【0020】
本実施形態のスピーカアクセサリ10は、図3に示すように、例えばABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂により筐体等が形成されており、その筐体表面上に、上記携帯電話端末1の音楽用スピーカ4の形状に略々合わせられた貫通穴部を有するスピーカ接合部13が設けられている。また、スピーカ接合部13には、図3及び図5に示すように、例えば 音楽用スピーカ4の形状に略々合わせられたリング状のゴムパッキン13aが設けられている。そして、当該ゴムパッキン13aのリング内部が、当該スピーカ接合部13の貫通穴部となされている。
【0021】
ここで、携帯電話端末1にスピーカアクセサリ10が取り付けられた時には、図4及び図5に示すように、上記スピーカ接合部13のリング状ゴムパッキン13aと、上記携帯電話端末1の音楽用スピーカ4の外形部分とが密着する。当該リング状ゴムパッキン13aは、音楽用スピーカ4の外形部分との間の密閉性を高めることで、音が外部に漏れたり外部からの雑音が入るのを防ぐ役割を有すると共に、音楽用スピーカ4が上記スピーカ接合部13の貫通穴部の位置からずれるのを防ぐ役割も有している。すなわち、携帯電話端末1にスピーカアクセサリ10が取り付けられた場合、図5に示すように、携帯電話端末1の筐体1aとスピーカアクセサリ10の筐体10aは略々接することになり、また、この時、音楽用スピーカ4の前面を保護すると共に音を通過させるための保護部材4aの外周部分は上記ゴムパッキン13aのリングと密着することになる。したがって、その状態で上記携帯電話端末1の音楽用スピーカ4から音が出力された場合、当該音楽用スピーカ4から出力された音は、上記スピーカ接合部13の貫通穴部を通じて当該スピーカアクセサリ10の筐体内部へと放射されることになる。なお、ゴムパッキン13aは、より密閉性と位置ずれ防止の効果を高めるために、上記音楽用スピーカ4の外形部分を立体的に覆うような形状となされていても良い。
【0022】
また、当該スピーカアクセサリ10の筐体内部には、図3及び図6に示すように、渦巻き状の音響管11が設けられている。
【0023】
上記音響管11は、上記スピーカ結合部13の貫通穴部が配されている位置が音取込部11aとなり、その音取込部11aから開口端(音放出部)11bに向けて断面積が徐々に変化(例えば略々一定の割合で増加)するように形成されていると共に、その管部形状が上記音取込部11aを中心とした渦巻き状に曲げられた形状となされている。すなわち、音響管11は、スロートから開口端に向けて断面積が徐々に変化するようないわゆるハイパーボリックホーン形において、上記スロート部分を中心にして音響管を渦巻き状に形成し、開口端が外部に向けられるような形状とすることにより、スロートから開口端までの距離を十分に長くして中低音域の音響特性を向上させる一方で、その外形形状を小さく(つまり全体的な大きさを小さく)するようになされている。本実施形態のスピーカアクセサリ10によれば、上記図3及び図6に示す渦巻き状の音響管11を備えることにより、上記スピーカ接合部13を介して当該筐体内部に放射された上記音楽用スピーカ4の音は、図6に示すように、上記音取込部11aから渦巻き状の管部を通って開口端11bまで進み、その開口端11aから外部へ放出されることになる。
【0024】
なお、本実施形態において、式(1)を適用して上記音響管11の特性設計を行っている。式(1)中のSはホーン(音響管)の断面積、mは広がり定数、xは距離、Tは係数である。
【0025】
S=S0(coshmx + T*sinhmx) (1)
また、本実施形態において、音響管11の遮断周波数fcは式(2)にて表すことができ、当該遮断周波数fcは、中低音域の特性を向上させるために例えば500Hzに設定され、開口径は遮断周波数fcの1/2から1/3となされている。式(2)中のmは広がり定数、cは音速、πは円周率である。
【0026】
fc=mc/4π (2)
これにより、本実施形態においては、例えば図7の音圧周波数応答特性図に示すように、最低共振周波数付近での特性が改善され、端末単体の場合(つまり音楽用スピーカ4のみの場合)と比較して、低音領域で最大22dBの音圧増加を実現可能となっている。なお、図7において、携帯電話端末単体のスピーカ(音楽用スピーカ4)は、一例として、定格インピーダンスが8Ω、定格入力が0.3W、出力音圧レベル85dB/0.1W/0.1m、最低共振周波数が750±150Hz、実行周波数帯域が400Hz〜20kHzであるものを使用している。
【0027】
〔まとめ〕
以上説明したように、本実施形態のスピーカアクセサリによれば、上述した渦巻き形の音響管11を備えているため、携帯電話端末1の音楽用スピーカ4の周波数特性や指向性などの放射特性を改善できると共に、放射効率の向上により増幅した音を得ることが可能となり、携帯電話端末1の音楽用スピーカ4のみでは実現が難しかった、中低音域が充実した高音質で且つ十分な音圧の音を空間に放射することが可能となる。
【0028】
本実施形態のスピーカアクセサリにおいては、携帯電話端末1の音楽用スピーカ4から出力された音を増幅する作用のみを備え、例えば音量の調整や楽曲の選択,音質の調整などは携帯電話端末1側で操作するようになされており、電気的な処理は一切行わず、アンプなども搭載されていないため電源が不要であり、また、ABS樹脂等により作成可能となされているため軽量で持ち運びも容易となり、したがって、例えば部屋や街などで当該スピーカアクセサリを携帯電話端末に取り付けるにより、場所を選ばず、高音質な音楽再生を実現可能となる。
【0029】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明にかかる技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0030】
上述の実施形態では、外付けアクセサリの例のみを挙げたが、例えば携帯電話端末の充電台などと組み合わせることにより、携帯電話端末の音響特性を改善可能な充電ドック或いはクレードルを実現することも可能となる。
【0031】
また、上述の実施形態では、音楽再生を例に挙げたが、受話音声の増幅にも適用可能であり、例えばいわゆるテレビ電話での通話時に使用すれば、テレビ電話の通話相手の声をはっきりと聞こえるようにすることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態のスピーカアクセサリは、更に小型化することで、携帯電話端末のストラップに取り付けることも可能となる。
【0033】
また、本実施形態のスピーカアクセサリは、スピーカ接合部13と音響管11がそれぞれ一つとなされた例を挙げているが、例えば、二つのスピーカ接合部とそれに各々繋がった二つの音響管を設け、二つのスピーカ接合部を左右二つのチャンネルのステレオ音楽用スピーカに繋げるようにすれば、ステレオ音声にも対応可能となる。
【0034】
その他、本実施形態のスピーカアクセサリが取り付けられる携帯電話端末は、図1,2の例のようないわゆるストレートタイプの端末だけでなく、いわゆる折り畳みタイプやジャックナイフタイプなど、様々なタイプの端末、或いは、音楽再生出力機能を備えたPDA等の携帯端末にも対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明実施形態で使用する携帯電話端末を正面側からみた概略的な外観図である。
【図2】本発明実施形態で使用する携帯電話端末を背面側からみた概略的な外観図である。
【図3】携帯電話端末にスピーカアクセサリが取り付けられる前の状態を示した外観斜視図である。
【図4】携帯電話端末にスピーカアクセサリが取り付けられた状態を示した外観斜視図である。
【図5】携帯電話端末にスピーカアクセサリが取り付けられた状態における、当該携帯電話端末の音楽用スピーカの近傍、及び、スピーカアクセサリの概略的な断面図である。
【図6】スピーカアクセサリの筐体内に設けられている音響管の概略構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態の携帯電話端末単体の音響特性及びスピーカアクセサリを用いた場合の音響特性の説明に用いる音圧周波数応答特性図である。
【符号の説明】
【0036】
1 携帯電話端末、1a 携帯電話端末の筐体、2 ディスプレイ、3 操作部、4 音楽用スピーカ、4a 音楽用スピーカの保護部材、10 スピーカアクセサリ、10a スピーカアクセサリの筐体、11 渦巻き状の音響管、11a 渦巻き状音響管の音取込部、11b 渦巻き状音響管の開口端(音放出部)、13 スピーカ接合部、13a リング状ゴムパッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末のスピーカ音出力部が当接されると共に、筐体内部への貫通穴部を備えたスピーカ結合部と、
上記スピーカ結合部の貫通穴部が配された位置が音取込部となされ、その音取込部から開口端に向けて断面積が徐々に変化するように形成されていると共に、上記音取込部を中心として渦巻き状に曲げられ、上記開口端が外部に露出した形状となされた音響管部と、
を有することを特徴とする携帯端末用スピーカアクセサリ。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末用スピーカアクセサリであって、
上記音響管部は、音取込部から開口端に向けて断面積が略々一定の割合で増加するように形成されていることを特徴とする携帯端末用スピーカアクセサリ。
【請求項3】
請求項1記載の携帯端末用スピーカアクセサリであって、
上記スピーカ結合部は、リング内部が上記貫通穴部となっているリング状のゴムパッキンを有することを特徴とする携帯端末用スピーカアクセサリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−110656(P2007−110656A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302201(P2005−302201)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】