説明

携帯端末装置、表示制御方法、及び表示制御プログラム

【課題】細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】本携帯端末装置は、タッチパネルを介してイメージを入力する入力検知部10と、入力検知部10により入力されたイメージと、入力検知部10によりイメージを入力するための入力領域Dの端部の少なくとも一部を提示する入力領域提示線Lと、を表示する表示部30と、入力領域Dの端部が枠線Lに基づいて認識されるよう、表示部30により表示される表示領域を制御する表示制御部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末装置として、キー操作による入力の代わりに、もしくはキー操作による入力とは別に、表示画面上をタッチして入力を行う所謂タッチパネル機能を搭載した携帯端末装置が普及している。タッチパネル機能を搭載した携帯端末装置によれば、直感的な入力を行うことができ、ユーザにとって理解しやすい入力を行うことができる。
【0003】
一方、携帯端末装置は、一般的に表示画面が小型であることが多い。この場合、例えばスケジュール機能により予定を書き込むなど、小さな文字をタッチパネルにより入力するときには、文字、図形、記号等をユーザの思い通りに入力することができないことがある。
【0004】
小さな画面等で小さな文字等を入力するための装置として、小さな表示画面で手書きイメージを入力する際、手書きに適したサイズの枠を表示し、入力が完了した時点でイメージを適切なサイズに縮小して表示する手書き入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この手書き入力装置によれば、操作者は、表示画面上の手書き表示領域に情報を直接手書きするのではなく、手書き表示範囲より拡大された枠内に情報を手書きすることができるので、例えば画数の多い文字や複雑なパターン等の手書き入力を容易に行うことができる。
【0005】
また、小さな文字を描くために描画部分を拡大する機能を有し、座標入力面の右端(下端)を含む領域にある描画方向判定面におけるタッチやドラッグのデタッチから所定の時間タッチが検出されない場合には、横方向(縦方向)にスクロールするタッチパネル付きディスプレイ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。このディスプレイ装置によれば、自動的にスクロールの方向を判定して行の始端に向けて画像をスクロールすることができる。
【0006】
また、小さな文字を描くために描画部分を拡大する機能を有し、入力位置が拡大画面の端に近づいたときに、手書き入力できるスペースを確保するためにスクロールする表示装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。この表示装置によれば、拡大画面上の入力位置と拡大画面の端との間にスペースが生じ、このスペースに手書き入力を連続して行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−124164号公報
【特許文献2】特開2004−046797号公報
【特許文献2】特開2009−098990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、携帯端末装置のカレンダー機能やスケジュール機能を利用して手書きイメージを入力する場合には、あらかじめ定められた枠線内に入力しなければならないことがある。そして、その枠線内に細かい手書きイメージを入力する場合には、携帯端末装置の小さな表示画面に表示されるイメージを拡大表示させる拡大画面とする必要がある。
【0009】
しかしながら、拡大画面とした場合には、ユーザがタッチパネルで手書き入力を行うための入力領域の指標となる枠線を表示画面上で確認することができないことがあった。この場合には、ユーザはどこまでが所望の入力領域となるか把握することができず、ユーザの意図通りに手書きイメージを入力できないことがあった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能な携帯端末装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯端末装置は、タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、前記入力部により入力されたイメージと、前記入力部によりイメージを入力するための入力領域の端部の少なくとも一部を提示する入力領域提示線と、を表示する表示部と、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示部により表示される表示領域を制御する表示制御部と、を備える。
【0012】
この構成により、入力領域の目安となる入力領域提示線が認識できる状態とすることで、入力領域の端部までの距離つまりどの程度手書き入力が可能なスペースが残っているかをユーザが理解しやすくなる。したがって、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能となる。
【0013】
また、本発明の携帯端末装置は、前記入力部が、前記表示領域を制御するための制御入力を行い、前記表示制御部が、前記入力部による前記制御入力に基づいて前記表示領域を制御する入力追従制御部と、前記入力追従制御部により制御された表示領域において、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示領域を補正する表示領域補正部と、を備える。
【0014】
この構成により、拡大操作や移動操作に伴って表示領域が変化したときに、入力領域提示線を確認することができなくなり、入力領域提示線を確認することができず、入力領域の範囲が認識することができなくなるような操作が行われた場合であっても、表示領域を自動的に補正することで、所望の入力領域を容易に認識することができる。
【0015】
また、本発明の携帯端末装置は、前記表示領域補正部が、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示部の拡大率を補正する携帯端末装置。
【0016】
この構成により、例えば拡大操作により拡大率を上げ過ぎてしまい、入力領域提示線を確認することができず、入力領域の範囲が認識することができなくなるような操作が行われた場合であっても、拡大率を自動的に調整することで、所望の入力領域を容易に認識することができる。
【0017】
また、本発明の携帯端末装置は、前記表示領域補正部が、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示領域の位置を補正する。
【0018】
この構成により、例えば移動操作により表示領域を移動し過ぎてしまい、入力領域の範囲を認識できなくなった場合であっても、表示領域の位置や移動量を自動的に調整することで、所望の入力領域を容易に認識することができる。
【0019】
また、本発明の携帯端末装置は、前記表示領域補正部が、前記入力部による入力方向とは直交する方向に複数の前記入力領域提示線が提示されるよう、前記表示領域を補正する。
【0020】
この構成により、入力領域提示線が少なくとも2本以上提示される状態とすることで、その入力領域提示線から直接的又は間接的に、所望の入力領域を容易に認識することができる。
【0021】
また、本発明の携帯端末装置は、前記表示領域補正部が、前記表示領域の補正前及び前記表示領域の補正後での前記表示領域の変化量が所定量以下の場合に限り、前記表示領域を補正する携帯端末装置。
【0022】
この構成により、若干の表示領域の補正により入力領域を認識することができる場合に限り、表示領域の補正を行うようにすることができる。したがって、ユーザにとっては、拡大入力や移動入力に伴う表示領域の変化に違和感がなく、かつ、所望の入力領域を容易に認識することができる。
【0023】
また、本発明の表示制御方法は、タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、前記イメージと、前記イメージを入力するための入力領域の端部の少なくとも一部を提示する入力領域提示線と、を表示部により表示するステップと、前記イメージが入力されるときに、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示部により表示される表示領域を制御するステップと、を有する。
【0024】
この方法により、入力領域の目安となる入力領域提示線が認識できる状態とすることで、入力領域の端部までの距離つまりどの程度手書き入力が可能なスペースが残っているかをユーザが理解しやすくなる。したがって、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能となる。
【0025】
また、本発明の表示制御プログラムは、上記の表示制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0026】
このプログラムにより、入力領域の目安となる入力領域提示線が認識できる状態とすることで、入力領域の端部までの距離つまりどの程度手書き入力が可能なスペースが残っているかをユーザが理解しやすくなる。したがって、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の携帯端末装置によれば、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における入力領域と入力領域提示線を説明するための図
【図3】(A)〜(C)本発明の実施形態における拡大率制御入力を説明するための図
【図4】(A)〜(C)本発明の実施形態における演算補正処理を説明するための図
【図5】(A)〜(B)本発明の実施形態におけるカレンダーの日付を考慮した演算補正処理を説明するための図
【図6】本発明の実施形態における携帯端末装置が手書きイメージを入力するときの第1動作例を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態における携帯端末装置が手書きイメージを入力するときの第2動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0030】
本発明の実施形態における携帯端末装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ等、表示画面を有する機器を広く含む。特に、イメージを入力するためのタッチパネルの面積が小さな機器を想定している。以下、携帯端末装置を例に説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図である。図1に示す携帯端末装置1は、入力検知部10、表示制御部20、表示部30、を有して構成される。また、表示制御部20は、拡大率算出部21、移動量算出部22、演算補正部23、を有して構成される。
【0032】
入力検知部10は、タッチパネルを有し、指等での接触又は押下による手書き入力を検知する。例えば、ユーザが指等をタッチパネル上で連続的に移動させることにより、入力検知部10は、その指等の移動を軌跡として検知する。入力検知部10により入力された(描かれた)イメージの軌跡の情報(軌跡情報)は、例えば座標情報の集合により表される。
【0033】
また、入力検知部10は、表示部30の拡大率を制御するための入力(拡大率制御入力)を検知する。拡大率制御入力の詳細については後述する。また、入力検知部10は、表示部30に表示される表示領域を移動するための入力(移動入力)を検知する。この移動入力がされると、表示画面がスライドされる。移動入力の詳細については後述する。
【0034】
なお、ここでのイメージとは、文字、図形、記号などの画像を広く含み、後述する通常画面では入力が困難なイメージを主に想定している。
【0035】
また、入力手段(指等)としては、指以外にタッチペン等であってもよく、タッチパネルに対して細かい入力を行うことが困難な入力手段が広く含まれる。
【0036】
表示制御部20は、表示部30により表示されるイメージを形成する。入力検知部10により入力されたイメージのサイズが、表示画面のサイズよりも大きい場合には、イメージの一部を切出して表示対象となるイメージを形成する。
【0037】
また、表示制御部20は、表示部30により表示される表示領域を制御する。例えば、表示領域を大きくしたり小さくしたりすべく、表示部30の拡大率を制御する。また、例えば、スライドにより表示領域を移動させることにより表示領域を制御する。なお、表示制御部20による表示領域の制御には、操作入力に伴う表示領域の制御、後述する演算補正部23による表示領域の補正、の少なくとも一方を含む。
【0038】
拡大率算出部21は、入力検知部10による拡大率制御入力に基づいて、設定すべき表示部30の拡大率を算出する。つまり、拡大率算出部21は、拡大率制御入力に基づく表示領域の制御を行う入力追従制御部としての機能を有する。拡大率算出の詳細については後述する。
【0039】
また、算出された拡大率が反映された表示画面としては、拡大率が1より大きい画面である拡大画面と、拡大率が1(等倍)の画面である通常画面と、がある。主に、拡大画面は、通常画面では手書き入力が困難な細かい入力を行う場合に利用され、通常画面は、通常の一般的な入力を行う場合に利用される。なお、拡大画面を多段階で切り替えるようにしてもよいし、拡大率が1より小さい縮小画面を利用することもできる。
【0040】
移動量算出部22は、入力検知部10による移動入力に基づいて、スライドによる表示領域の移動量を算出する。つまり、移動量算出部22は、移動入力に基づく表示領域の制御を行う入力追従制御部としての機能を有する。移動量算出の詳細については後述する。
【0041】
演算補正部23は、入力検知部10によりイメージが入力されるときに、入力領域の端部が入力領域提示線に基づいて認識されるように、拡大率又は表示領域の移動量つまり表示領域の位置を補正する演算補正処理を行う。演算補正処理の詳細については後述する。
【0042】
ここで、入力領域とは、入力検知部10によりイメージを入力するための所望の領域である。また、入力領域提示線とは、入力領域の外縁などの端部の少なくとも一部を提示するものである。入力領域提示線は、その入力領域内にイメージが描かれることが必須なものとして用いられる場合もあるし、その入力領域外に渡ってイメージが描かれても良いが、一応の指標として用いられる場合もある。また、入力領域提示線の情報は、図示しないメモリに格納されている。図2に示す例では、格子状の枠線Lが入力領域提示線に相当し、枠線Lで区切られた各領域Dが入力領域に相当する。なお、図2に示すように、各領域Dが連結された領域が入力領域に相当するようにしてもよい。
【0043】
このように、表示制御部20は、イメージ入力時に入力領域の範囲が認識されるように、表示領域を制御する。
【0044】
表示部30は、液晶パネル等で構成され、表示制御部20により形成されたイメージを表示する。イメージは、表示制御部20により設定された拡大率及び表示領域の位置で表示される。また、表示部30は、入力領域提示線を表示する。
【0045】
なお、本実施形態で説明する表示制御方法の各ステップを実行させるための表示制御プログラムは、携帯端末装置1内の所定のメモリ(不図示)に格納される。
【0046】
次に、拡大率制御入力及び拡大率算出の詳細について説明する。
本実施形態の拡大率制御入力としては、後述するピンチ操作による入力、タッチパネル上で拡大画面で表示される拡大領域の端部を指定する入力、の2つを主に想定している。ただし、これ以外の入力方法で拡大率制御入力を行ってもよい。
【0047】
まず、ピンチ操作を行う場合について説明する。
入力検知部10のタッチパネルは、マルチタッチ方式を採用しており、複数の指等によるタッチパネルへの同時入力を認識できる機能を有している。タッチパネルに対して複数の指等で入力し、入力検知部10が複数の入力座標(第1の入力座標)を検出すると、拡大率算出部21は、指等の間隔つまり入力検知部10により検知された複数の入力座標(第1の入力座標)間の距離(第1の距離)を算出する。
【0048】
タッチパネルへの入力状態で、図3(A)に示すようなユーザが複数の指等FGを広げたり狭めたりする操作(ピンチ操作)を行ったとき、入力検知部10は、操作後の複数の入力座標(第2の入力座標)を検出する。そして、拡大率算出部21は、操作後の指等の間隔つまり入力検知部10により検知された操作後の複数の入力座標(第2の入力座標)間の距離(第2の距離)を算出する。
【0049】
そして、拡大率算出部21は、第1の距離と第2の距離との比に基づいて、表示部30の表示画面の拡大率を算出する。例えば、第2の距離が第1の距離よりも長い程、表示部30の表示画面の拡大率は大きくなる。一方、第2の距離が第1の距離よりも短い程、表示部30の表示画面の拡大率は小さくなる。
【0050】
続いて、拡大領域の端部を指定する場合について説明する。
図3(B)に示すように、ユーザが指等により通常画面のときに点A及び点Bをタッチすることで、入力検知部10は点A及び点Bへの入力を検知する。すると、拡大率算出部21は、例えば、点A及び点Bを矩形の対向する頂点として認識する。そして、拡大率算出部21は、図3(C)に示すように、点A及び点Bが拡大画面の対向する頂点に位置するように、表示部30の表示画面の拡大率を算出する。そして、表示制御部20は、表示部30の表示画面を、算出された拡大率の拡大画面とする。
【0051】
なお、図面においては、「3X」とは通常画面の3倍の拡大率の拡大画面を示しており、「1X」とは1倍の拡大率(等倍)の通常画面を示している。
【0052】
次に、移動入力及び移動量算出の詳細について説明する。
本実施形態の移動入力としては、後述するフリック操作又はスライド操作による入力を主に想定している。ただし、これ以外の入力方法で移動入力を行ってもよい。ここで、フリック操作とは、指等をタッチパネル面に接触した状態で指等の位置を移動させ、移動速度を保ったまま指を離す操作を行うことを指す。また、スライド操作とは、指等をタッチパネルに接触した状態で移動させ、一般的に真上方向(タッチパネルに対して垂直方向に遠ざかる方向)に指等を離す操作を行うことを指す。
【0053】
タッチパネルへの入力状態で、指等を任意の方向にスライドする操作又はフリック操作を行ったとき、入力検出部10によりフリック操作又はスライド操作後の入力座標(第3の入力座標)を検出する。そして、移動量算出部22は、フリック操作又はスライド操作後の入力座標(第3の入力座標)とフリック操作又はスライド操作前の入力座標(第1の入力座標)との距離を算出する。
【0054】
そして、移動量算出部22は、第1の入力座標と第3の入力座標との距離に基づいて、表示領域の移動量を算出する。そして、表示制御部20は、表示部30に表示される表示領域を、算出された移動量に基づいて、移動させる。なお、表示制御部20は、タッチパネル上での指等の移動方向と表示部30により表示される表示領域の移動方向とが一致するように、表示領域を移動させる。
【0055】
次に、演算補正部23による演算補正処理の詳細について説明する。
拡大率制御入力や移動入力が行われた場合には、その入力に応じた表示領域の制御が行われる。しかしながら、これらの入力はユーザの任意の入力であるため、この拡大率又は移動量に基づいて表示領域を変更した場合には、表示部30に入力領域提示線が表示されない状態となり、入力領域が具体的に把握できない場合がある。例えば、図4(A)に示すように、上下方向に1本だけ枠線Lが表示されており、横方向に文字等のイメージを描く場合には、入力領域の終端がどの位置にあるのかを認識できない。そこで、演算補正処理により、入力領域の終端の位置が認識されるように、ユーザ入力に基づく拡大率又は移動量を補正する微調整を行う。つまり、表示領域を補正する。
【0056】
図4(B)に示すように、演算補正部23は、入力領域の終端を示す枠線LLが表示部30に表示されるよう、拡大率又は移動量を補正してもよい。入力領域の終端とは、例えば手書き入力方向が横方向の場合には右端、手書き入力方向が縦方向の場合には下端である。
【0057】
また、図4(C)に示すように、演算補正部23は、入力領域の終端を示す枠線LLではなく、表示部30に枠線Lが2本以上表示される状態とし、それらの枠線Lから、入力領域の終端を認識されるようにしてもよい。例えば、枠線Lが格子状に表示されている場合には、枠線L同士の間隔から、入力領域の終端を認識することができる。なお、ここでカウントされる枠線Lは、イメージの入力方向(図4(C)では左右方向)と直交する方向(図4(C)では上下方向)に延びる枠線である。つまり、演算補正部23は、入力検知部10による入力方向とは直交する方向に複数の枠線Lが提示されるように表示領域を補正する。
【0058】
また、携帯端末装置1がカレンダー機能によりカレンダーを表示部30により表示するときに、拡大画面とした場合、図5(A)に示すような表示となることが考えられる。図5(A)では、カレンダーの日付が表示部30により表示される表示領域の外側に位置している。このような場合であっても、演算補正処理を行うことで、カレンダーの日付の全部又は図5(B)に示すようにカレンダーの日付の一部が、表示部30により表示されるようになる。
【0059】
理想的には、カレンダーの日付の全部を認識することができれば、表示された日付の間隔から、入力領域の終端を認識することができるので、好ましい。ただし、カレンダーの日付が欠けた状態で表示されている場合であっても、入力領域の終端を認識することができれば、ユーザは間接的に入力領域の範囲を理解することができる。
【0060】
演算補正処理には、拡大率を小さくすることで補正する処理(第1補正処理)、表示領域の移動量を補正する処理(第2補正処理)、の2つが考えられる。ここでは、拡大率算出部21により算出された拡大率が3倍であり、拡大率が3倍であると表示部30の表示では入力領域の終端が認識できない場合を想定する。
【0061】
第1補正処理の場合、演算補正部23は、表示領域の位置を変更せずに、3倍の拡大率を順次小さくしていく。つまり、3倍、2.9倍、2.8倍のように補正する。そして、演算補正部23は、補正された拡大率で表示された場合に入力領域の終端が認識できるか否かを判断し、認識できる拡大率に補正された時点で、第1補正処理を終了する。例えば、第1補正処理により、図4(A)に示した状態から図4(B)に示した状態となる。
【0062】
第2補正処理の場合、演算補正部23は、3倍の拡大率は変更せずに、表示領域の移動量を順次変更していく。つまり、入力領域の終端方向に表示領域を移動していく。そして、演算補正部23は、補正された表示領域の移動量だけ移動された位置で表示部30によりイメージが表示された場合に、入力領域の終端が認識できるか否かを判断し、認識できる表示領域の位置に補正された時点で、第2補正処理を終了する。例えば、第2補正処理により、図4(A)に示した状態から図4(C)に示した状態となる。
【0063】
なお、演算補正部23は、演算補正処理を常に行うのではなく、所定の条件を満たした場合にのみ、演算補正処理を行うようにしてもよい。例えば、表示領域を変更するときに、その変更前後、つまり入力に伴う表示領域の制御前から補正後までの表示領域の変化量が所定量以下の場合にのみ、演算補正処理を行うようにする。
【0064】
例えば、演算補正部23は、拡大率の変化量が5%以内で済む場合に限り、第1補正処理を行ってもよい。この場合、補正前の拡大率が3倍であり、補正後の拡大率が2.9倍とした場合に入力領域の終端を認識することができる場合には、補正前後の拡大率の変化が5%以内であるので、第1補正処理を行う。一方、補正前の拡大率が3倍であり、補正後の拡大率が2.8%とした場合に入力領域の終端を認識することができる場合には、補正前後の拡大率の変化が5%以上であるので、第1補正処理を行わない。
【0065】
また、例えば、演算補正部23は、表示領域の移動量を補正する場合、移動量を5%以内で増量することで入力領域の終端が認識できる場合に、第2補正処理を行ってもよい。また、補正前後の表示領域の重複部分が95%以上である場合に、第2補正処理を行ってもよい。また、演算補正部23は、入力領域の終端を認識することができるまでの補正前後の移動距離が、表示領域における入力領域の終端方向の長さ(例えば表示部30の左右方向の長さ)の5%以下である場合に、第2補正処理を行ってもよい。
【0066】
このような演算補正処理を行うことで、ユーザによる拡大率制御入力や移動入力を反映しつつ、違和感なく、入力領域の範囲を理解することができる。したがって、細かい手書きイメージを入力する場合であっても、容易かつ高精度に入力を行うことができる。
【0067】
なお、演算補正部23は、演算補正処理として、第1補正処理及び第2補正処理のいずれかのみを行うようにしてもよいし、両方を組み合わせて行うようにしてもよい。
【0068】
次に、携帯端末装置1が手書きイメージを入力するときの動作について説明する。
図6は、携帯端末装置1が手書きイメージを入力するときの第1動作例を示すフローチャートである。ここでは、演算補正部23が第1補正処理を行うことを想定している。
【0069】
まず、入力検知部10は、拡大率制御入力(拡大操作)を検出する(ステップS101)。拡大率算出部21は、拡大率制御入力に基づいて、拡大画面の拡大率を算出する(ステップS102)。そして、表示制御部20は、拡大率算出部21により算出された拡大率の拡大画面で表示される枠線(イメージの入力方向と直交する方向に延びる枠線)の数が2本以上であるか否かを判定する(ステップS103)。上記拡大画面で表示される枠線の数が2本以上である場合には、入力領域の終端を認識することができるので、拡大率算出部21は、算出された拡大率に確定する(ステップS104)。
【0070】
一方、上記拡大画面で表示される枠線の数が2本未満である場合には、演算補正部23は、第1補正処理を行う(ステップS105)。第1補正処理を行う場合とは、図4(A)に示すように、算出された拡大率を若干補正することで、入力領域の終端が認識できる場合である。第1補正処理により、拡大画面の拡大率が補正され、例えば図4(B)に示すように、入力領域の終端を示す枠線LLが表示部30により表示されることになる。そして、拡大率算出部21は、補正された拡大率に確定する(ステップS104)。
【0071】
続いて、表示制御部20は、確定された拡大率の表示画面で表示されるイメージを形成する。そして、表示部30は、表示制御部20により形成されたイメージを表示する(ステップS106)。
【0072】
細かい手書きイメージを描く場合には、拡大率を大きくする程、拡大画面にどの表示領域のイメージが表示されているか把握できなくなることがある。このような場合であっても、携帯端末装置1の第1動作例によれば、拡大率を補正することで、入力領域の端部を認識することができるようになる。これにより、細かい手書きイメージを容易かつ正確に描くことができる。
【0073】
次に、図7は、携帯端末装置1が手書きイメージを入力するときの第2動作例を示すフローチャートである。ここでは、演算補正部23が第2補正処理を行うことを想定している。
【0074】
まず、入力検知部10は、移動入力(移動操作)を検出する(ステップS201)。移動量算出部22は、移動入力に基づいて、表示領域が移動した移動量を算出する(ステップS202)。そして、表示制御部20は、移動量算出部22により算出された移動量だけ表示領域を移動させ、表示画面で表示される枠線つまり表示領域に含まれる枠線の数が2本以上であるか否かを判定する(ステップS203)。上記表示画面で表示される枠線の数が2本以上である場合には、入力領域の終端を認識することができるので、移動量算出部22は、算出された移動量に確定し、表示領域の位置が確定する(ステップS204)。
【0075】
一方、上記表示画面で表示される枠線の数が2本未満である場合には、演算補正部23は、第2補正処理を行う(ステップS205)。第2補正処理を行う場合とは、図4(A)に示すように、算出された移動量を若干補正することで、入力領域の終端が認識できる場合である。第2補正処理により、表示領域の移動量が補正され、入力領域の終端を示す枠線が表示部30により表示されたり、図4(C)に示すように入力領域の終端を示唆する枠線が表示部30により表示されたりすることになる。そして、移動量算出部22は、補正された移動量に確定し、これに対応する表示領域の位置が確定する(ステップS204)。
【0076】
続いて、表示制御部20は、確定された移動量だけ移動された位置でのイメージを形成する。そして、表示部30は、表示制御部20により形成されたイメージを表示する(ステップS206)。
【0077】
タッチパネルでの入力では、指等の動きに追従して表示領域の移動量が変化するので、ユーザ所望の位置へ移動させることが困難なことがある。このような場合であっても、携帯端末装置1の第2動作例によれば、表示領域の移動量を補正することで、入力領域の端部を認識することができるようになる。これにより、細かい手書きイメージを容易かつ正確に描くことができる。
【0078】
なお、第1動作例では、携帯端末装置1が拡大操作の検知後に拡大率の補正を行うことを説明したが、表示領域の移動操作の検知後に表示部30の拡大率の補正を行うようにしてもよい。また、第2動作例では、携帯端末装置1が表示領域の移動操作の検知後に移動量の補正を行うことを説明したが、拡大操作の検知後に表示部30に表示される表示領域の位置の補正を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、細かい手書きイメージを容易に描くことが可能な携帯端末装置、表示制御プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 携帯端末装置
10 入力検知部
20 表示制御部
21 拡大率算出部
22 移動量算出部
23 演算補正部
30 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、
前記入力部により入力されたイメージと、前記入力部によりイメージを入力するための入力領域の端部の少なくとも一部を提示する入力領域提示線と、を表示する表示部と、
前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示部により表示される表示領域を制御する表示制御部と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
前記入力部は、前記表示領域を制御するための制御入力を行い、
前記表示制御部は、前記入力部による前記制御入力に基づいて前記表示領域を制御する入力追従制御部と、前記入力追従制御部により制御された表示領域において、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示領域を補正する表示領域補正部と、を備える携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末装置であって、
前記表示領域補正部は、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示部の拡大率を補正する携帯端末装置。
【請求項4】
請求項2に記載の携帯端末装置であって、
前記表示領域補正部は、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示領域の位置を補正する携帯端末装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記表示領域補正部は、前記入力部による入力方向とは直交する方向に複数の前記入力領域提示線が提示されるよう、前記表示領域を補正する携帯端末装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記表示領域補正部は、前記表示領域の補正前及び前記表示領域の補正後での前記表示領域の変化量が所定量以下の場合に限り、前記表示領域を補正する携帯端末装置。
【請求項7】
タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、
前記イメージと、前記イメージを入力するための入力領域の端部の少なくとも一部を提示する入力領域提示線と、を表示部により表示するステップと、
前記イメージが入力されるときに、前記入力領域の端部が前記入力領域提示線に基づいて認識されるよう、前記表示部により表示される表示領域を制御するステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の表示制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168886(P2012−168886A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31152(P2011−31152)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】