説明

携帯端末装置及び携帯端末装置の電源制御方法並びにプログラム

【課題】電源スイッチとして機能させるキーをユーザが自由に設定できる携帯端末装置の消費電力を少なくする。
【解決手段】ユーザは、携帯端末装置1の電源を投入する場合、自身が予め定めておいた電源投入用キー操作を行う。電源制御回路4は、携帯端末装置1が備えている複数のキー2−1〜2−nの内の何れかが操作されることにより電源を投入する。これにより、本体制御部5は、動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたか否かを判定する。そして、行われていないと判定した場合は、不正な利用者がキー操作を行ったと判断し、電源制御回路4に対して電源オフ信号を送信する。電源オフ信号bを受信した電源制御回路4では、電源を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯端末装置に関し、特に、電源スイッチとして機能させるキーをユーザが自由に設定することができる携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機などの携帯端末装置は、電源スイッチが固定的に定められているものが一般的であった。このため、従来の一般的な携帯端末装置は、ユーザによっては使い勝手が悪いという問題があると共に、セキュリティが低下するという問題があった。使い勝手に関しては、例えば、右利きのユーザが操作しやすいキーに電源スイッチが割り当てられている場合には、左利きのユーザにとっては使い勝手が悪くなることがある。また、セキュリティに関しては、電源スイッチの押下後に、暗証番号の入力を求める認証用ソフトウェアを起動し、正しい暗証番号が入力された場合のみ、携帯端末装置の利用を可能にするという方法を利用することより、ある一定の効果は得られるが、電源が入り認証用ソフトウェアが起動する分だけセキュリティが低下してしまう。
【0003】
また、携帯電話機が備えている複数のキーの中から、電源スイッチとして機能させるキーをユーザが自由に選択できるようにした携帯電話機も従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載されている携帯電話機は、電源スイッチの設定時にユーザが最初に操作したキーを電源スイッチに割り当てるようにしている。そして、電源スイッチに割り当てられたキーのキー情報はメモリに格納され、CPUが行う電源スイッチ監視処理において利用される。CPUは、上記メモリに格納されたキー情報が示すキー(電源スイッチ)が操作されたか否かを常時監視し、電源が遮断されている時に電源スイッチが操作されたことを検出した場合には、電源を投入し、電源が投入されている時に電源スイッチが操作されたことを検出した場合には、電源を遮断するという電源スイッチ監視処理を実行する。
【0005】
【特許文献1】特開2000−285080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている従来の技術によれば、ユーザは、自身が使い易いキーを電源スイッチとすることができるので、使い勝手が向上する。また、携帯電話機を不正に利用しようとしても、ユーザによって設定された電源スイッチを操作しなければ、電源がオンとならないので、セキュリティが向上する。
【0007】
しかし、特許文献1に記載されている従来の技術は、電源を遮断している場合も、CPUによる電源スイッチ監視処理が実行されるため、消費電力が多くなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、電源スイッチとして機能させるキーを自由に設定できるようにした携帯端末装置における消費電力を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる第1の携帯端末装置は、
複数のキーを備えた携帯端末装置において、
前記複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入し、電源オフ信号を受信することにより電源を遮断する電源制御回路と、
電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を前記電源制御回路へ送信する本体制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる第2の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、
前記本体制御部は、動作開始後に最初に検出したキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる第3の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、
前記電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を保持する記憶部を有し、前記本体制御部は、前記記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる第4の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、
前記電源投入用キー操作が、複数のキー操作の組み合わせであることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる第5の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、
前記本体制御部が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われた場合、認証処理を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる第1の携帯端末装置の電源制御方法は、
複数のキーを備えた携帯端末装置の電源制御方法において、
電源制御回路が、前記複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入し、
本体制御部が、電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を前記電源制御回路へ送信し、
前記電源制御回路が、電源オフ信号を受信することにより電源を遮断することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる第2の携帯端末装置の電源制御方法は、第1の携帯端末装置の電源制御方法において、
前記本体制御部は、動作開始後に最初に検出したキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる第3の携帯端末装置の電源制御方法は、第1の携帯端末装置の電源制御方法において、
前記電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を記憶部に保持させ、
前記本体制御部は、前記記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる第1のプログラムは、
複数のキーと、前記複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入し、電源オフ信号を受信することにより電源を遮断する電源制御回路とを備えたコンピュータを、
電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を前記電源制御回路へ送信する本体制御部として機能させる。
【0018】
本発明にかかる第2のプログラムは、第1のプログラムにおいて、
前記本体制御部は、動作開始後に最初に検出したキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0019】
本発明にかかる第3のプログラムは、第1のプログラムにおいて、
前記コンピュータが、前記電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を保持する記憶部を有し、且つ、
前記本体制御部は、前記記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0020】
〔作用〕
ユーザは、携帯端末装置の電源を投入する場合、自身が予め定めておいた電源投入用キー操作を行う。電源制御回路は、携帯端末装置が備えている複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入する。これにより、本体制御部は、動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたか否かを判定する。そして、行われていないと判定した場合は、不正な利用者がキー操作を行ったと判断し、電源制御回路に対して電源オフ信号を送信する。電源オフ信号を受信した電源制御回路では、電源を遮断する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電源スイッチとして機能させるキーを自由に設定できるようにした携帯端末装置における消費電力を低減させることが可能になる。その理由は、携帯端末装置が備えている複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入する電源制御回路を備えると共に、電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を電源制御回路へ送信して電源を遮断させる本体制御部とを備えているからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
〔第1の実施の形態の構成の説明〕
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態にかかる携帯電話機などの携帯端末装置1は、テンキーやファンクションキー等の複数のキーを有するキー部2と、LCD等の表示部3とを備えている。図2を参照すると、携帯端末装置1は、筐体内部に電源制御回路4と、本体制御部5と、電源投入用キー操作記憶部6と、バッテリ7とを備えている。なお、図2においては、キー部2に設けられているキーとしてn個のキー2−1〜2−nを示している。
【0024】
電源制御回路4は、検出部41と、制御部42と、接点43とを備えており、バッテリ7から常時動作電源が供給されている。
【0025】
検出部41は、複数のキー2−1〜2−nの内の何れかが操作されたことを検出すると、制御部42に対して検出信号aを出力する。
【0026】
制御部42は、検出部41からの検出信号aを受信すると接点43をオン状態にし、本体制御部5を含む装置各部に動作電源を供給する。更に、制御部42は、本体制御部5からの電源オフ信号bを受信すると、接点43をオフ状態にし、動作電源の供給を停止する。
【0027】
電源投入用キー操作記憶部6は、例えば、不揮発性メモリにより構成され、電源投入時にユーザが行うべきキー操作(電源投入用キー操作)の内容が登録される。
【0028】
本体制御部5は、携帯端末装置1の制御を行う部分であり、例えば、CPU(コンピュータ)により実現される。本体制御部5は、電源制御回路4によって電源が投入されることにより動作を開始し、電源投入用キー操作として、電源投入用キー操作記憶部6に登録されている電源投入用キー操作と同じキー操作が行われたか否かを判定し、行われていなければ、電源制御回路4に対して電源オフ信号bを送信する機能を有する。更に、本体制御部5は、ユーザの指示に従って電源投入用キー操作を設定させるための設定画面を表示部3に表示し、ユーザが上記設定画面を用いて設定した電源投入用キー操作の内容を電源投入用キー操作記憶部6へ登録する機能を有する。更に、本体制御部5は、電源が投入されている状態において、電源投入用キー操作が行われた場合、電源オフ信号bを出力する機能を有する。これらの機能以外にも、本体制御部5は、通常の携帯端末装置が備えている通話機能、認証機能などを実現するための機能を有している。なお、本体制御部5はCPU等によって実現されるため、その消費電力は、本体制御部5よりも多くなる。
【0029】
なお、本体制御部5をコンピュータによって実現する場合には、例えば、次のようにする。コンピュータを本体制御部5として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータを本体制御部5として機能させる。
【0030】
〔第1の実施の形態の動作の説明〕
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0031】
〔電源投入時の動作〕
先ず、電源投入時の動作について説明する。ユーザは、携帯端末装置1の電源を投入する場合、キー部2を用いて電源を投入するための電源投入用キー操作を行う。電源投入用キー操作は、ユーザ自身が予め設定しておいたキー操作であり、ユーザは、任意のキー操作を電源投入用キー操作として設定することができる。例えば、単一キーの押下や、複数キーの同時押下などを電源投入用キー操作として設定することができる。なお、電源投入用キー操作の設定方法については、後で説明する。
【0032】
電源制御回路4内の検出部41は、図3(A)に示すように、キー部2に設けられているキー2−1〜2−nの何れかが操作されたことを検出すると、制御部42に対して検出信号aを出力する。これにより、制御部42は、図3(B)に示すように、接点43をオン状態にし、本体制御部5などの装置各部に動作電源を供給する。
【0033】
本体制御部5は、電源が投入されると動作を開始し、先ず、現時点において行われているキー操作を検出する(図4のステップS41)。なお、ステップS41の処理を開始した時点において、ユーザが既にキーから指を離してしまっている場合は、キー操作を検出することができないが、電源制御回路4及び本体制御部5の処理速度は、ユーザが行うキー操作に比べて十分に速いので、そのような事態が発生することはほとんどない。
【0034】
その後、本体制御部5は、ステップS41で検出したキー操作と、電源投入用キー操作記憶部6に登録されている電源投入用キー操作とが一致するか否かを判定する(ステップS42)。
【0035】
そして、両者が一致する場合(ステップS42がYES)は、認証機能の起動などのスタートアップ処理を開始する(ステップS43)。例えば、電源投入用キー操作記憶部6にキー2−1、2−nのキー情報が登録されていれば、この2つのキー2−1、2−nが同時に操作された場合、ステップS42の判断結果がYESとなる。これに対して、両者が一致しない場合(ステップS42がNO)は、不正利用であると判断し、終了処理を行った後(ステップS43)、図3(C)に示すように、電源制御回路4に対して電源オフ信号bを出力する(ステップS44、S45)。
【0036】
これにより、電源制御回路4内の制御部43は、図3(B)に示すように、接点43をオフ状態にし、電源を遮断する。
【0037】
図3(D)は、電源投入時の消費電力を示している。本実施の形態では、キー操作が行われる前は、電源制御回路4のみに電源を供給し、CPU等によって実現されている消費電力の多い本体制御部5には電源を供給しないようにしているので、消費電力を低く抑えることが可能になる。
【0038】
なお、上述した説明では、ユーザが電源投入時にキー操作を1回だけ行うことを前提にしているが、電源投入時に複数回のキー操作を許可するようにしても良い。その場合には、ステップS41において次のような処理を行うようにすれば良い。即ち、何らかのキー操作を検出するまでは、ステップS41の処理を継続して行い、何らかのキー操作を最初に検出した時点でステップS41の処理を終了する。但し、ステップS41の処理を開始してから所定時間(例えば、5秒)が経過しても、何らかのキー操作を検出できなかった場合は、ステップS41の処理を終了する。このようにすることにより、ステップS41の開始時点においてユーザがキーから指を離してしまっている場合においても、ユーザが再度、電源投入用キー操作を行うことにより、電源を投入することが可能になる。
【0039】
〔電源投入用キー操作の設定時の動作〕
次に、電源投入用キー操作の設定時の動作を説明する。ユーザは、電源投入用キー操作を設定する場合、メニューから電源投入用キー操作の設定を選択する。
【0040】
これにより、本体制御部5は、図5のフローチャートに示すように表示部3に電源投入用キー操作の設定画面を表示する(ステップS51)。ユーザは、設定画面が表示されると、例えば、電源投入時に操作するキーを全て押下することにより、電源投入用キー操作の内容を入力する。本体制御部5は、電源投入用キー操作の内容が入力されると、それを電源投入用キー操作記憶部6に格納する(ステップS52がYES、S53)。
【0041】
〔第1の実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、電源スイッチとして機能させるキーをユーザが自由に設定できるようにした携帯端末装置1における消費電力を低減させることが可能になる。その理由は、携帯端末装置1が備えている複数のキー2−1〜2−nの内の何れかが操作されることにより電源を投入する電源制御回路4を備えると共に、電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号bを電源制御回路4へ送信して電源を遮断させる本体制御部5とを備えているからである。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明にかかる携帯端末装置の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を保持するキー操作記憶部を有し、本体制御部は、上記キー操作記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする。
【0043】
〔第2の実施の形態の構成の説明〕
図6を参照すると、本実施の形態の携帯端末装置1aは、電源制御回路4及び本体制御部5の代わりにそれぞれ電源制御回路4a及び本体制御部5aを備えている点が、図2に示した第1の実施の形態の携帯端末装置1と相違している。
【0044】
電源制御回路4aは、キー操作記憶部44が追加されている点が図2に示した電源制御回路4と相違している。
【0045】
キー操作記憶部44には、電源遮断後に最初に行われたキー操作の内容が保持される。このキー操作記憶部44は、例えば、キー2−1〜2−n毎のビットb1〜bnを有し、電源オフ信号bが入力されることによりクリアされ、クリア後、最初に操作されたキーに対応するビットを有効にするレジスタ45から構成することができる。なお、複数のキーが同時に操作された場合は、複数のビットが同時に有効にされる。
【0046】
本体制御部5aは、ユーザが電源投入用キー操作を行ったか否かを、キー操作記憶部44に保持されているキー操作の内容と電源投入用キー操作記憶部6に保持されているキー操作の内容とに基づいて判定する点が、図2に示した本体制御部5と相違している。なお、本体制御部5aも本体制御部5と同様にコンピュータにより実現することができる。
【0047】
〔第2の実施の形態の動作の説明〕
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0048】
電源が遮断されている状態において、ユーザが電源を投入するために電源投入用キー操作を行うと、電源制御回路4a内のキー操作記憶部44は、そのキー操作の内容を保持し、検出部41は、制御部42に対して検出信号aを出力する。ここで、レジスタ45を用いてキー操作の内容を保持する場合には、操作されたキーに対応するビットを有効にする。なお、1ビットでも有効になっているビットが存在する場合には、キー操作が行われても、レジスタ45の記憶内容は変更しない。
【0049】
制御部42は、検出信号aが入力されると、接点43をオン状態にし、本体制御部5aを含む装置各部に電源を供給する。
【0050】
本体制御部5aは、電源が投入されることにより動作を開始し、図7のフローチャートに示す処理を行う。先ず、本体制御部5aは、キー操作記憶部44に登録されているキー操作(電源制御回路4aが電源を投入する契機として使用したキー操作)の内容を入力する(ステップS71)。
【0051】
その後、本体制御部5aは、ステップS71で入力したキー操作の内容と、電源投入用キー操作記憶部6に登録されている電源投入用キー操作の内容とが一致するか否かを判定する(ステップS72)。そして、両者が一致する場合(ステップS72がYES)は、認証機能の起動などのスタートアップ処理を開始する(ステップS73)。これに対して、両者が一致しない場合(ステップS72がNO)は、終了処理を行った後、電源制御回路4aに対して電源オフ信号bを出力する(ステップS74、S75)。
【0052】
これにより、電源制御回路4a内の制御部42は、接点43をオフ状態にし、電源を遮断する。また、キー操作記憶部44に記憶されていたキー操作の内容は、電源オフ信号bが出力されることによりクリアされる。これにより、キー操作保持部44は、新たなキー操作が行われた場合、そのキー操作の内容を保持可能な状態になる。
【0053】
〔第2の実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、第1の実施の形態が有している効果に加え、本体制御部5aが動作を開始する前に、ユーザがキー操作(電源制御回路4aが電源を投入する契機に使用したキー操作)を終了していても、ユーザが行ったキー操作が、ユーザによって予め指定されている電源投入用キー操作であるか否かを判定することが可能になるという効果を得ることができる。その理由は、電源制御回路4aが電源をオンとする契機に使用したキー操作の内容を保持するキー操作記憶部44を有し、本体制御部5aは、上記キー操作記憶部44に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定するようにしているからである。
【0054】
〔他の実施の形態〕
なお、上述した第1及び第2の実施の形態では説明しなかったが、電源の投入操作に失敗した回数(ステップS42、S72の判断結果がNOとなった回数)をメモリに記録しておき、その回数が所定回数以上になった場合には、携帯端末装置1、1aを起動できなくするようにしても良い。このようにすることにより、セキュリティを高めることができる。更に、第1及び第2の実施の形態では、不揮発性メモリから構成される電源投入用キー操作記憶部6を利用するようにしたが、SIM(subscriber identify module) カードを電源投入用キー操作記憶部6として利用するようにしても良い。このようにすることにより、ユーザが携帯端末装置を新たな携帯端末装置と交換するような場合、SIMカードを新たな携帯端末装置に実装するだけで、以前と同じキー操作で電源を投入することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、携帯電話機などの携帯端末装置の電源制御技術に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明にかかる携帯端末装置の第1の実施の形態の外観図である。
【図2】本発明にかかる携帯端末装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図3】電源制御回路4の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図4】電源投入時における本体制御部5の処理例を示すフローチャートである。
【図5】電源投入用キー操作の設定時における本体制御部5の処理例を示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかる携帯端末装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図7】電源投入時における本体制御部5aの処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1、1a…携帯端末装置
2…キー部
2−1〜2−n…キー
3…表示部
4、4a…電源制御回路
41…検出部
42…制御部
43…接点
44…キー操作記憶部
45…レジスタ
5、5a…本体制御部
6…電源投入用キー操作記憶部
7…バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを備えた携帯端末装置において、
前記複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入し、電源オフ信号を受信することにより電源を遮断する電源制御回路と、
電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を前記電源制御回路へ送信する本体制御部とを備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末装置において、
前記本体制御部は、動作開始後に最初に検出したキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1記載の携帯端末装置において、
前記電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を保持する記憶部を有し、前記本体制御部は、前記記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1記載の携帯端末装置において、
前記電源投入用キー操作が、複数のキー操作の組み合わせであることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1記載の携帯端末装置において、
前記本体制御部が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われた場合、認証処理を行うことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
複数のキーを備えた携帯端末装置の電源制御方法において、
電源制御回路が、前記複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入し、
本体制御部が、電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を前記電源制御回路へ送信し、
前記電源制御回路が、電源オフ信号を受信することにより電源を遮断することを特徴とする携帯端末装置の電源制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の携帯端末装置の電源制御方法において、
前記本体制御部は、動作開始後に最初に検出したキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする携帯端末装置の電源制御方法。
【請求項8】
請求項6記載の携帯端末装置の電源制御方法において、
前記電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を記憶部に保持させ、
前記本体制御部は、前記記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とする携帯端末装置の電源制御方法。
【請求項9】
複数のキーと、前記複数のキーの内の何れかが操作されることにより電源を投入し、電源オフ信号を受信することにより電源を遮断する電源制御回路とを備えたコンピュータを、
電源の投入により動作を開始し、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作が行われたかどうかを判定し、行われていなければ電源オフ信号を前記電源制御回路へ送信する本体制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムにおいて、
前記本体制御部は、動作開始後に最初に検出したキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項9記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータが、前記電源制御回路が電源を投入する契機に使用したキー操作の内容を保持する記憶部を有し、且つ、
前記本体制御部は、前記記憶部に保持されているキー操作が、電源投入用キー操作として予めユーザによって指定されたキー操作と同じかどうかを判定することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−153935(P2008−153935A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339789(P2006−339789)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】