説明

携帯端末装置

【課題】コストを安価に抑えつつ電池カバーの強度アップを図る。
【解決手段】電池20を収容した携帯端末装置10において、軸受け部21及び軸22を介して一端を装置本体11に回動可能に連結された電池カバー18と、この電池カバー18に設けられ、装置本体11側と嵌合して軸受け部21及び軸22を補強する補強リブ30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、水道、電力量等の使用量を示す積算メータの値を定期的に検針する際等に用いられ、電池室を塞ぐ電池カバーを有する携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特にHHT(Hand Held Terminal)などの業務用に使用される持ち運び用の携帯端末装置の場合、例えばスキャナー装置等の使用により電力の消費量が多くなっているため、定期的に充電池の交換が必要である。
【0003】
このため、使用頻度の高いユーザーは、内蔵電池として、大容量の電池を使用することが多くなっているが、それでも電池容量が不足した場合、予備電池を携帯していて、電池を交換することもしばしばである。
【0004】
しかし、図1に示すように、例えば、大容量の電池を内蔵した装置本体を不慮に落下させた場合、落下時の衝撃により、一端を装置本体に回動可能に連結された電池カバー118に覆われた電池(図示せず)が上方(外方)に押しあがり、電池カバー118の軸受け部121や、装置本体側の軸122に電池の荷重が加わる。こうして、軸受け部121と軸122の一方又は双方が破損するというおそれがあった。
【0005】
これに対し、回動可能に連結された電池カバー118の連結部の構造を強固にした場合、現状の金型を用いてモールド成形することが困難となる。また、連結部に金属等を用いて強度を高めようとすると、部品点数が増加したり取付作業が増大して、高価になってしまう。
【0006】
一方、従来技術として、例えば特許文献1には、電池カバーの左右端に凸部、その中間に段付き爪を設け、これらの凸部及び段付き爪がケース本体に夫々嵌合する凹部及び係合孔を設け、電池カバーをボス部と段付き爪による回動形式でケース本体に開閉可能に取り付けた技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、電池カバーに設けたカバー側爪、及び電子機器を構成する下外ケースに設けたケース側爪、に対して両爪を嵌合する方向に付勢する弾性バネ片を設け、下外ケースと電池カバーとを簡単には外れないようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−138641号公報
【特許文献2】特開2007−201097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれにも、電池カバーのケース本体との連結部を補強するための部材は設けられていない。このため、例えば装置本体を不慮に落下等させた場合には、落下時の衝撃等により電池カバーの連結部が破損するおそれがあった。
【0010】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、低コストで電池カバーの強度アップを図ることができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電池を収容した携帯端末装置において、
連結部を介して一端を装置本体に回動可能に連結された電池カバーと、
該電池カバーに設けられ、装置本体側と嵌合して前記連結部を補強する補強部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の電池カバーは連結部を介して開閉する回動式のカバーであり、電池カバーに設けられた補強部材が装置本体側に嵌合する構成を有していて、例えば誤って装置本体を落下等させた場合にも、補強部材が落下時の衝撃力を受けて連結部に加わる応力を緩和し、連結部の破損を防止する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低コストで電池カバーの強度アップを図ることができる。こうして、電池カバーの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の携帯端末装置の電池カバーの外観図である。
【図2】携帯端末装置を表面側から見た外観図である。
【図3】携帯端末装置を裏面側から見た外観図である。
【図4】本実施の形態の電池カバーの外観図である。
【図5】本実施の形態の電池カバーを開放したときの携帯端末装置を裏面側から見た外観図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】図4のA−A断面図である。
【図8】図3のD−D断面図である。
【図9】図4のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図2は、携帯端末装置(HHT)を表面側から見た外観図であり、図3は、携帯端末装置を裏面側から見た外観図である。
【0016】
HHT等の携帯端末装置は、例えば、ガス、水道、電力量等の検針時に携帯されて、公共料金情報や商品販売情報を記憶したり、そのデータを用紙に印刷可能な装置として公知である。
【0017】
この携帯端末装置10は、図2に示すように、細長い矩形状の装置本体11の表面側に、メニュー画面や記憶されたデータを出力する液晶ディスプレー12、データを操作入力するキーボード14、カード挿入部17を有しカード情報を読み取るカード読取部16を有している。
【0018】
また、図3に示すように、装置本体11の裏面側には、電池20を収容すべく装置本体11に回動可能に連結された電池カバー18を有している。
【0019】
この図3において、電池カバー18は、左右(幅方向)一対の連結部19,19を介して装置本体11に回動可能に連結されている。この電池カバー18は、装置本体11側のロックレバー28を図3の左右方向に操作することによって、装置本体11に対しロック又はロック解除される。なお、電池20は、装置本体11を駆動する駆動源となっている。
連結部19は、軸受け部21と軸22とを有し、本実施の形態では、この軸22に軸受け部21が回動可能に嵌合されている。
【0020】
図4は、電池カバー18を正面側(表面側)から見たときの外観図である。なお、図4のX−X方向を幅方向、Y−Y方向を縦方向と呼んで説明を容易にする。
図4に示すように、電池カバー18は、縦方向の一端側(図4の下方側)に形成された一対の連結部19、19(ここでは軸受け部21、21)と、この一対の連結部19、19の幅方向の中間に設けられて連結部19を補強する補強リブ(補強部材)30と、縦方向の先端側(図4の上方側)及び幅方向の両端側に設けられた3個の台座32,33,33と、幅方向の両端側において縦方向に滑らかに突出された開閉用の取手34,36と、を有している。
【0021】
本実施の形態では、補強リブ30は幅方向に延在され、電池カバー18と同一材料(樹脂)かつ一体に形成されて、装置本体11側と適度に嵌合している。このように、電池カバー18と補強リブ30とが同一材料であることから、例えば金型を用いて、補強リブ30を有する電池カバー18を精度良く大量に製造することができる。これに対し、例えば補強リブ30を電池カバー18と別材料で構成したとすると、成形作業も煩雑となり、製造コストも増大してしまう。
【0022】
また、連結部19の軸受け部21は、切り欠き円筒状をなし、円周方向の一部に切り欠き21aが設けられている。本実施の形態では、この軸受け部21に回動可能に嵌合する軸22(図3及び図6参照)は、装置本体11から幅方向の内側に向けて突出するように形成されている。なお、軸受け部21に形成された切り欠き21aについては後述する。
【0023】
また、3個の台座32,33,33は、装置本体11を、電池カバー18が下になるように置いたときに、該電池カバー18を支持する役目をなしている。また、開閉用の取手34,36は、装置本体11を片手で持った状態においても、これらを指で押し開けることで電池カバー18を容易に開閉することができる。
【0024】
また、本実施の形態では、軸受け部21と補強リブ30とを電池カバー18に設け、軸22を装置本体11に設けた場合について説明するが、これに限らない。例えば、軸22と補強リブ30を電池カバー18に設け、軸受け部21を装置本体11に設けるような構成としてもよい。
【0025】
図5は、電池カバー18を開放(矢印E方向)したときの携帯端末装置10を裏面側から見た外観図である。
図5に示すように、電池20を覆う電池カバー18は、装置本体11に対し軸22(図3及び図6参照)を中心として回動して開閉される。また、電池カバー18の縦方向(図5のY方向)の先端側には、その内面側に断面略L字状のロック受け24,24が設けられている。さらに、このロック受け24,24に対応する装置本体11側には、ロック爪26、26が設けられている。
【0026】
このロック爪26は、ロックレバー28の操作によって幅方向(図5のX方向)に移動するようになっている。こうして、電池カバー18が装置本体11側に閉じられると、ロックレバー28の操作によりロック爪26が移動してロック受け24に嵌合される。このため、この嵌合状態では、電池カバー18が装置本体11から不用意に外れることはない。
【0027】
次に、図6は、図3のC−C断面図、図7は、図4のA−A断面図である。また、図8は、図3のD−D断面図、図9は、図4のB−B断面図である。
図6及び図7に示すように、電池カバー18の内面側には、複数(4個)のリブ部52、53,54、55が設けられている。これらのリブ部52〜55は、電池カバー18の剛性を高めるとともに、特に内側のリブ部53,54にあっては、収容された電池20(図6参照)に当接して該電池20のガタツキを防止している。
【0028】
また、電池カバー18の縦方向(図7のY方向)の一端側(図7の下方側)のリブ部52から、軸受け部21が一体に突設されている。前述したように、この軸受け部21は切り欠き円筒状をなして、円周方向の一部に切り欠き21aが設けられている。
【0029】
この軸受け部21は、図5及び図6に示すように、装置本体11から幅方向(図4のX方向)の内側に突出された軸22、22に回動可能に嵌合されている。
なお、電池カバー18を開放したときには、該電池カバー18は装置本体11のストッパ部38(図6参照)に当接して、それ以上の回動が規制される。そして、電池カバー18にさらなる圧力を作用させて該電池カバー18を回動しようとすると、軸受け部21には過大な負荷が加わる。
【0030】
しかし、この場合にも、軸受け部21の周囲に形成された切り欠き21aにより、軸受け部21は軸22から外れる。これにより、電池カバー18を開放した時の不用意な操作による連結部19(例えば軸受け部21)の破損を防止することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態では、図8及び図9に示すように、電池カバー18の縦方向(図9のY方向)の一端側(図9の下方側)のリブ部52から、補強リブ30が一体に突設されている。この補強リブ30は、傾斜凸部42と矩形凸部44とを有している。また、傾斜凸部42と矩形凸部44との間には、三角形状の隙間41が形成されている。
【0032】
一方、図8において、装置本体11の裏面内側には、Z方向の一方(図8の下方側)に傾斜して突出する傾斜凸部46と、この傾斜凸部46の下方にて穿設された凹部48とを有している。
【0033】
そして、電池カバー18を装置本体11に装着した状態では、この凹部48に補強リブ30の矩形凸部44が嵌合し、かつ傾斜凸部46が補強リブ30の三角形状の隙間41に嵌合している。この場合、装置本体11の凹部48と補強リブ30の矩形凸部44とは接触面47で互いに接触している。さらに、この装置本体11の凹部48と補強リブ30の矩形凸部44とは、電池カバー18の開閉時に軸受け部21が軸22を中心として回動するときは、接触面47で接触を保つようになっている。
【0034】
このため、例えば装置本体11を誤って落下等させた場合には、一般にその衝撃により内部の電池20が外方に押し上げられ、連結部19(軸受け部21と軸22)に過大な負荷が加わることになる。しかし、この場合にも、本実施の形態では、その衝撃力を連結部19と接触面47とで受けることができ、連結部19に加えられる負荷が小さくなる。
【0035】
すなわち、本実施の形態によれば、誤って装置本体11を落下等させて過大な衝撃力が加わった場合にも、連結部19に加わる負荷の一部を、補強リブ30と連結部19とで受けることができる。このため、連結部19に加わる力は小さくなって電池カバー18の破損を防止することができる。
【0036】
この場合、本実施の形態によれば、新たな部品(例えば金属製の)を追加することなく連結部19の補強を図ることができる。このため、製造コストを増加することなく、電池カバー18の連結部19の破損を防止することができる。また、本実施の形態によれば、補強リブ30を追加するだけで電池カバー18の破損を防止することができるので、ユーザーの費用負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 携帯端末装置
11 装置本体
12 液晶ディスプレー
14 キーボード
16 カード読取部
17 カード挿入部
18 電池カバー
19 連結部
20 電池
21 軸受け部
21a 切り欠き
22 軸
24 ロック受け
26 ロック爪
28 ロックレバー
30 補強リブ
32 台座
33 台座
34 取手
36 取手
38 ストッパ部
41 隙間
42 傾斜凸部
44 矩形凸部
46 傾斜凸部
47 接触面
48 凹部
52 リブ部
53 リブ部
54 リブ部
55 リブ部
118 電池カバー
121 軸受け部
122 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収容した携帯端末装置において、
連結部を介して一端を装置本体に回動可能に連結された電池カバーと、
該電池カバーに設けられ、装置本体側と嵌合して前記連結部を補強する補強部材と、を備えた
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記電池カバーと前記補強部材とを同一材料かつ一体に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記連結部は軸受け部と軸とを有し、
前記軸受け部と前記補強部材とを前記電池カバーに設け、前記軸を装置本体に設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記連結部は軸受け部と軸とを有し、
前記軸と前記補強部材とを前記電池カバーに設け、前記軸受け部を装置本体に設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−79485(P2012−79485A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222050(P2010−222050)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】