説明

携帯端末

【課題】筐体の内部にアンテナエレメントと、アンテナエレメントと接続する給電端子を有する回路基板とを備えた携帯端末において、アンテナエレメントと給電端子との接続性を向上できると共に、筐体の薄型化を実現することが容易な携帯端末を提供すること。
【解決手段】本発明の携帯端末は、筐体と、アンテナエレメント60と、筐体の内部に配置され、アンテナエレメント60と高周波的に接続する給電端子73を有する回路基板70と、アンテナエレメント60及び回路基板70のいずれか一方に形成された磁石と、アンテナエレメント60及び回路基板70のいずれか他方に形成された磁性体材料からなる磁性体部材と、を備え、アンテナエレメント60と給電端子73とは、前記磁石と前記磁性体部材との間において発生する磁力により高周波的に接続可能な位置まで接近可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機などの携帯端末においては、通信機能を実現するために、筐体の内部に、アンテナ部の金属部分であるアンテナエレメントと、アンテナエレメントと接続して給電を行う給電端子を有する回路基板とを備えていることが多い(例えば、下記特許文献1参照)。このような構成を有する携帯端末においては、携帯端末に衝撃や振動などが加わった際におけるアンテナエレメントと給電端子との接続性を確保するために、アンテナエレメントと給電端子との間に伸縮自在なピン部材やバネ部材を介在させることがある。
【0003】
【特許文献1】特開2008−244879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の構成を採用すれば、アンテナエレメントと給電端子との接続性をある程度確保することができるが、十分とは言えず、アンテナエレメントと給電端子との接続性の更なる向上が望まれている。また、ピン部材やバネ部材を用いた構成では、ピン部材やバネ部材の存在により筐体の薄型化が困難である。
【0005】
従って、本発明は、筐体の内部にアンテナエレメントと、アンテナエレメントと接続する給電端子を有する回路基板とを備えた携帯端末において、アンテナエレメントと給電端子との接続性を向上できると共に、筐体の薄型化を実現することが容易な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、アンテナエレメントと、筐体の内部に配置され、前記アンテナエレメントと高周波的に接続する給電端子を有する回路基板と、前記アンテナエレメント及び前記回路基板のいずれか一方に形成された磁石と、前記アンテナエレメント及び前記回路基板のいずれか他方に形成された磁性体材料からなる磁性体部材と、を備え、前記アンテナエレメントと前記給電端子とは、前記磁石と前記磁性体部材との間において発生する磁力により高周波的に接続可能な位置まで接近可能に構成されている携帯端末に関する。
【0007】
また、前記アンテナエレメントの全体が前記磁石から形成され、前記磁力は、前記磁石により発生することが好ましい。
【0008】
また、前記アンテナエレメントの一部が前記磁石から形成され、前記磁力は、前記回路基板を前記回路基板の厚み方向に視た場合に前記アンテナエレメントの前記磁石が前記給電端子と重なる位置に位置することにより発生することが好ましい。
【0009】
また、前記筐体に重なる状態を形成可能に前記筐体に連結部を介して連結され、内部に磁性体材料からなる第2磁性体部材が配置される第2筐体を備え、前記第2磁性体部材は、前記第2筐体を前記筐体に重ねた状態で前記筐体と前記第2筐体とが重なる方向に視た場合に、少なくとも前記磁石の一部と重なる位置に位置することが好ましい。
【0010】
また、前記磁石は、前記筐体における前記連結部とは反対側の端部の近傍に配置され、前記第2磁性体部材は、前記第2筐体における前記連結部とは反対側の端部の近傍に配置されることが好ましい。
【0011】
また、開閉状態を形成可能に前記筐体に連結される第2筐体を備え、前記第2筐体の内部に配置され、前記磁力を利用して前記筐体と前記第2筐体との前記開閉状態を検出する開閉センサを備え、前記開閉センサは、前記第2筐体を前記筐体に重ねた状態で前記筐体と前記第2筐体とが重なる方向に視た場合に、少なくとも前記磁石の一部と重なる位置に位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、筐体の内部にアンテナエレメントと、アンテナエレメントと接続する給電端子を有する回路基板とを備えた携帯端末において、アンテナエレメントと給電端子との接続性を向上できると共に、筐体の薄型化を実現することが容易な携帯端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1により、本発明の携帯端末に係る第1実施形態の携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態の携帯電話機1を開いた状態を示す外観斜視図である。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態の携帯電話機1は、筐体としての操作部側筐体2と、第2筐体としての表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことで開閉状態を形成可能に構成される。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態をいい、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
【0015】
操作部側筐体2は、その外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12とが、それぞれ露出するように構成される。
【0016】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とにより構成される。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、あるいは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0017】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側とは反対の外端部(下端部)側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0018】
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置される。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキーと、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置される。インターフェースは、キャップにより覆われている。各インターフェースは、不使用時にはキャップにより覆われる。
【0019】
表示部側筐体3は、その外面がフロントケース3aとリアケース3bとにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしての音声出力部22とが、それぞれ露出して配置される。ここで、表示部21は、液晶パネル、この液晶パネルを駆動する駆動回路、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部などから構成される。
【0020】
次いで、図2から図4により、第1実施形態における操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図2は、第1実施形態の携帯電話機1を開いた状態における内部を模式的に示す正面図である。図3は、第1実施形態の携帯電話機1を閉じた状態における内部を示す側面図である。図4は、第1実施形態における操作部側筐体2の回路基板70及びアンテナエレメント60を模式的に示す図で、(A)は操作部側筐体2の正面側から視た図、(B)は(A)に示すA−A線断面図である。
【0021】
なお、図2及び図3においては、仮想的に、操作部側筐体2の内部の構成部材について、回路基板70、アンテナエレメント60などのみを示すと共に、表示部側筐体3の内部の構成部材について、プリント基板35、第2磁性体部材36などのみを示している。図4においては、回路基板70、アンテナエレメント60などのみを示している。
【0022】
図2から図4に示すように、操作部側筐体2は、その内部に、詳細にはフロントケース2aとリアケース2bとの間に、図2に示すように、回路基板70、シールドケース(図示せず)、アンテナエレメント60を備えている。
回路基板70は、その第1面70a側(フロントケース2a側)に、携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品71と、基準電位パターン層75と、メインアンテナ部のアンテナエレメント60(詳細は後述)に給電を行う給電端子73とを、備えている。
【0023】
回路基板70には、メインアンテナ部やサブアンテナ部が送受信する信号を処理する信号処理部を含む各種電子部品71や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0024】
シールドケースは、外部からの高周波等のノイズが回路基板70に配置される各種電子部品71に作用するのを抑制すると共に、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等から放出されるノイズを遮蔽して、他の電子部品やアンテナに接続される受信回路等に作用することを抑制する。
【0025】
基準電位パターン層75は、シールドケースのリブに当接し、電気的に接続される。基準電位パターン層75は、上述の各回路ブロックを区画するように形成される(図2及び図4においては、基準電位パターン層75のパターンを簡略化して示している。)。基準電位パターン層75は、回路基板70の第1面70aの表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。
【0026】
給電端子73は、アンテナエレメント60と高周波的に接続して、アンテナエレメント60に給電を行うための端子である。ここでいう「高周波的に接続」には、給電端子73とアンテナエレメント60とが容量結合により高周波的に接続した場合のみならず、給電端子73とアンテナエレメント60とが当接することにより機械的に(電気的に)接続している場合も含む。
また、給電端子73は、回路基板70の内部を通じて、RF回路に電気的に接続している。
【0027】
メインアンテナ部は、合成樹脂からなる基台(図示せず)及びアンテナエレメント60を主体として構成される。アンテナエレメント60は、操作部側筐体2における連結部4とは反対側の端部(下端部)の近傍に配置される。アンテナエレメント60は、その全体が板状の磁石から形成され、その厚み方向に視た場合に、L字形状を有している。L字形状のアンテナエレメント60は、操作部側筐体2の長手方向(図4(A)における上下方向)に延びる(以下この部分を「第1片61」ともいう)と共に、操作部側筐体2の幅方向(図4(A)における左右方向)に延びており(以下この部分を「第2片65」ともいう)、全体としてL字形状を有している。
【0028】
回路基板70とアンテナエレメント60とは、それらの厚み方向を一致させて、それらの厚み方向に視た場合に重なるように配置している。詳述すると、回路基板70及びアンテナエレメント60それぞれの厚み方向に視た場合に、回路基板70の給電端子73とアンテナエレメント60の第1片61の大部分とは、重なるように配置している。回路基板70の給電端子73とアンテナエレメント60の第1片61とは当接していない(機械的に接触していない)が、高周波的に接続するようになっている。
アンテナエレメント60の第2片65は、回路基板70とは重なっておらず、回路基板70よりも外側に配置している。
【0029】
アンテナエレメント60と給電端子73とは磁力により高周波的に接続可能な位置まで接近可能に構成されている。アンテナエレメント60が磁石から形成され、給電端子73自体やその周辺に鉄などの磁性体材料からなる磁性体部材が存在しているため、アンテナエレメント60の磁石と当該磁性体部材との間において磁力が発生し、この磁力により給電端子73がアンテナエレメント60に接近する。
【0030】
「高周波的に接続可能な位置まで接近可能」な態様としては、例えば、第1の態様として、通常状態(特に衝撃や振動が加わっていない状態)でも、アンテナエレメント60と給電端子73とが高周波的に接続可能な位置に配置されているが、携帯電話機1に衝撃や振動が加わること等によりアンテナエレメント60と給電端子73とが離れたときや離れそうになったときに高周波的に接続可能な位置に復帰する態様が挙げられる。
【0031】
第2の態様として、仮に、アンテナエレメント60に磁力が発生しないとした場合には、アンテナエレメント60と給電端子73とは高周波的に接続できない位置に配置するが、アンテナエレメント60の磁石により発生した磁力によって、通常状態において、アンテナエレメント60と給電端子73とが高周波的に接続可能な位置に配置される態様が挙げられる。
【0032】
表示部側筐体3は、操作部側筐体2に重なる状態を形成可能に操作部側筐体2に連結部4を介して連結されている。表示部側筐体3は、その内部に、詳細にはフロントケース3aとリアケース3bとの間に、表示部21が接続されたプリント基板35、磁性体材料からなる第2磁性体部材36などを備えている。プリント基板35には、不図示のアンプと接続されるスピーカが接続される。第2磁性体部材36は、鉄などの各種磁性体材料から形成される。第2磁性体部材36は、表示部側筐体3における連結部4とは反対側の端部(上端部)の近傍に配置される。
【0033】
第2磁性体部材36は、表示部側筐体3を操作部側筐体2に重ねた状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが重なる方向(図3における上下方向)に視た場合に、少なくともアンテナエレメント60の一部(すなわち磁石の一部)と重なる位置に位置する。
【0034】
以上の構成を有する第1実施形態によれば、例えば以下の効果が奏される。
第1実施形態においては、アンテナエレメント60と給電端子73とは磁力により高周波的に接続可能な位置まで接近可能に構成されている。そのため、磁力により、アンテナエレメント60と給電端子73との間に両者が高周波的に接続可能な位置まで接近する方向の吸引力が生じる。従って、携帯電話機1に衝撃や振動などが加わった場合でも、アンテナエレメント60と給電端子73との接続性を向上させることができる。
また、アンテナエレメント60と給電端子73との間に、両者を接続するための伸縮自在なピン部材やバネ部材を介在させること必要がないため、操作部側筐体2の薄型化を容易に実現することができる。
【0035】
また、表示部側筐体3は、操作部側筐体2に重なる状態を形成可能に操作部側筐体2に連結部4を介して連結され、表示部側筐体3の内部に磁性体材料からなる第2磁性体部材36が配置される。また、第2磁性体部材36は、表示部側筐体3を操作部側筐体2に重ねた状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが重なる方向に視た場合に、少なくともアンテナエレメント60の一部(すなわち磁石の一部)と重なる位置に位置する。
【0036】
そのため、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態において、連結部4の構成部品の製造不良やガタなどにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせにズレやガタ(特に、両筐体2,3が離れる方向のズレやガタ)が生じそうになった場合などにおいて、磁力により操作部側筐体2と表示部側筐体3との間に吸引力は生じさせることにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせ状態を改善することができる。
【0037】
特に、第1実施形態においては、アンテナエレメント60は、操作部側筐体2における連結部4とは反対側の端部の近傍に配置され、第2磁性体部材36は、表示部側筐体3における連結部4とは反対側の端部の近傍に配置されている。そのため、前述の操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせ状態を改善する効果が高い。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を説明し、第1実施形態と同様の構成について同じ符号を付し、説明を省略する。他の実施形態について特に説明しない点については、第1実施形態についての説明が適宜適用される。他の実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0039】
第2実施形態の携帯電話機1Aは、第1実施形態に比して、アンテナエレメント60Aの全体が磁石から形成されておらず、アンテナエレメント60Aの一部のみが磁石から形成されている点が主として異なる。図5により、第2実施形態における操作部側筐体2の内部構造について説明する。図5は、第2実施形態の携帯電話機1Aにおける操作部側筐体2の回路基板70及びアンテナエレメント60Aを模式的に示す図(図4相当図)で、(A)は操作部側筐体2の正面側から視た図、(B)は(A)に示すB−B線断面図である。
【0040】
第2実施形態においては、アンテナエレメント60Aの一部が磁石から形成されている。詳細には、図5に示すように、アンテナエレメント60Aの第1片61の上面側(回路基板70とは反対側)が、磁石62から形成されている。アンテナエレメント60Aにおける磁石62以外の部分は、例えば、各種金属の板金部材から形成される。磁石62は、回路基板70を回路基板70の厚み方向(図5(B)における上下方向)に視た場合に、給電端子73と重なる位置に位置する。換言すると、アンテナエレメント60Aの磁石62による磁力は、回路基板70を回路基板70の厚み方向に視た場合に、磁石62が給電端子73と重なる位置に位置することにより発生する。
【0041】
第2磁性体部材36は、表示部側筐体3を操作部側筐体2に重ねた状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが重なる方向(図3における上下方向)に視た場合に、少なくともアンテナエレメント60Aの磁石62と重なる位置に位置する(この状態について図示せず)。なお、第2磁性体部材36は、アンテナエレメント60のアンテナ特性に影響を与えにくい位置に配置することが好ましい。
【0042】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される他、以下の効果が奏される。具体的には、第2実施形態においては、アンテナエレメント60Aは、給電端子73と高周波的に接続する磁石62以外の部分を、一般的なアンテナエレメントと同様に、各種金属の板金部材から形成することができるので、一般的なアンテナエレメントと同様なアンテナ特性、コスト性を得ることができる。
【0043】
次に、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。第3実施形態の携帯電話機1Bは、第1実施形態に比して、表示部側筐体3の内部に、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態を検出する開閉センサ37を備える点が主として異なる。図6及び図7により、第3実施形態における操作部側筐体2の内部構造について説明する。
【0044】
図6は、第3実施形態の携帯電話機1Bを開いた状態における内部を模式的に示す正面図(図2対応図)である。図7は、第3実施形態の携帯電話機1Bを閉じた状態における内部を示す側面図(図3対応図)である。なお、図6及び図7においては、仮想的に、操作部側筐体2の内部の構成部材について、回路基板70、アンテナエレメント60などのみを示すと共に、表示部側筐体3の内部の構成部材について、プリント基板35、開閉センサ37などのみを示している。
【0045】
開閉センサ37は、表示部側筐体3の内部に配置されており、アンテナエレメント60の磁石から発生する磁力を利用して操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態を検出するセンサである。例えば、開閉センサ37は、表示部側筐体3を操作部側筐体2に重ねた状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが重なる方向(図7における上下方向)に視た場合に、少なくともアンテナエレメント60の一部(すなわち磁石の一部)と重なる位置に位置する。
【0046】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される他、以下の効果が奏される。具体的には、第3実施形態においては、表示部側筐体3の内部に配置され、アンテナエレメント60の磁石から発生する磁力を利用して操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態を検出する開閉センサ37を備え、開閉センサ37は、表示部側筐体3を操作部側筐体2に重ねた状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが重なる方向に視た場合に、少なくともアンテナエレメント60の一部(すなわち磁石の一部)と重なる位置に位置する。そのため、開閉センサ37と対となる磁石を操作部側筐体2に別途設けなくても、開閉センサ37による操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉検出を行うことができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0047】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、アンテナエレメント(アンテナ部)の用途、形状などに、特に制限はない。
【0048】
第1実施形態における第2磁性体部材36と第3実施形態における開閉センサ37とを組み合わせた構成を採用することができる。
また、更に、第2磁性体部材36及び/又は開閉センサ37と、第2実施形態における一部が磁石62から形成されるアンテナエレメント60Aとを組み合わせた構成を採用することができる。その場合、表示部側筐体3を操作部側筐体2に重ねた状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが重なる方向に視た場合に、第2磁性体部材36及び/又は開閉センサ37は、少なくともアンテナエレメント60の磁石62と重なる位置に位置することが好ましい。
【0049】
前述の実施形態においては、アンテナエレメント60の全部又は一部を磁石から形成することにより、「アンテナエレメント60と給電端子73とは磁力により高周波的に接続可能な位置まで接近可能」な構成を実現しているが、かかる構成は、この構成に制限されない。
【0050】
例えば、アンテナエレメント60を磁石から形成せずに、その代わりに、給電端子73の近傍に磁石を配置することにより、かかる構成を実現することができる。また、磁石は、アンテナエレメント60,60A及び回路基板70のいずれか一方に形成されていればよく、磁性体材料からなる磁性体部材は、アンテナエレメント60,60A及び回路基板70のいずれか他方に形成されていればよい。
【0051】
アンテナエレメント60は、前述の実施形態においては、操作部側筐体2における連結部4とは反対側の端部(下端部)の近傍に配置されているが、これに制限されず、操作部側筐体2における連結部4側の端部などの各部に配置されていてもよい。また、アンテナエレメント60は、表示部側筐体3における各部に配置されていてもよい。
【0052】
また、前述の実施形態は、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1であるが、本発明の携帯端末は、これに制限されず、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一体的に形成され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
【0053】
前述の実施形態は、本発明の携帯端末を携帯電話機に適用しているが、本発明は、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態の携帯電話機1を開いた状態を示す外観斜視図である。
【図2】第1実施形態の携帯電話機1を開いた状態における内部を模式的に示す正面図である。
【図3】第1実施形態の携帯電話機1を閉じた状態における内部を示す側面図である。
【図4】第1実施形態における操作部側筐体2の回路基板70及びアンテナエレメント60を模式的に示す図で、(A)は操作部側筐体2の正面側から視た図、(B)は(A)に示すA−A線断面図である。
【図5】第2実施形態の携帯電話機1Aにおける操作部側筐体2の回路基板70及びアンテナエレメント60Aを模式的に示す図(図4相当図)で、(A)は操作部側筐体2の正面側から視た図、(B)は(A)に示すA−A線断面図である。
【図6】第3実施形態の携帯電話機1Bを開いた状態における内部を模式的に示す正面図(図2対応図)である。
【図7】第3実施形態の携帯電話機1Bを閉じた状態における内部を示す側面図(図3対応図)である。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、1B 携帯電話機(携帯端末)
2 操作部側筐体(筐体)
3 表示部側筐体(第2筐体)
4 連結部
36 第2磁性体部材
37 開閉センサ
60 アンテナエレメント(磁石)
60A アンテナエレメント
62 磁石
70 回路基板
73 給電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
アンテナエレメントと、
筐体の内部に配置され、前記アンテナエレメントと高周波的に接続する給電端子を有する回路基板と、
前記アンテナエレメント及び前記回路基板のいずれか一方に形成された磁石と、
前記アンテナエレメント及び前記回路基板のいずれか他方に形成された磁性体材料からなる磁性体部材と、を備え、
前記アンテナエレメントと前記給電端子とは、前記磁石と前記磁性体部材との間において発生する磁力により高周波的に接続可能な位置まで接近可能に構成されている携帯端末。
【請求項2】
前記アンテナエレメントの全体が前記磁石から形成され、
前記磁力は、前記磁石により発生する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記アンテナエレメントの一部が前記磁石から形成され、
前記磁力は、前記回路基板を前記回路基板の厚み方向に視た場合に前記アンテナエレメントの前記磁石が前記給電端子と重なる位置に位置することにより発生する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記筐体に重なる状態を形成可能に前記筐体に連結部を介して連結され、内部に磁性体材料からなる第2磁性体部材が配置される第2筐体を備え、
前記第2磁性体部材は、前記第2筐体を前記筐体に重ねた状態で前記筐体と前記第2筐体とが重なる方向に視た場合に、少なくとも前記磁石の一部と重なる位置に位置する請求項1から3のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項5】
前記磁石は、前記筐体における前記連結部とは反対側の端部の近傍に配置され、
前記第2磁性体部材は、前記第2筐体における前記連結部とは反対側の端部の近傍に配置される請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
開閉状態を形成可能に前記筐体に連結される第2筐体を備え、
前記第2筐体の内部に配置され、前記磁力を利用して前記筐体と前記第2筐体との前記開閉状態を検出する開閉センサを備え、
前記開閉センサは、前記第2筐体を前記筐体に重ねた状態で前記筐体と前記第2筐体とが重なる方向に視た場合に、少なくとも前記磁石の一部と重なる位置に位置する請求項1から5のいずれかに記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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