説明

携帯通信端末

【課題】 マナーモードへの変更のし忘れやマナーモードへの変更の煩わしさをなくし、自動的にマナーモードのオン/オフを切り換えることが可能な、携帯通信端末を提供する。
【解決手段】
本発明の、基地局200と無線通信可能な携帯通信端末は、携帯通信端末の姿勢を検出する姿勢検出部124と、姿勢検出部124に検出された姿勢に応じて当該携帯通信端末のマナーモードのオン/オフを自動的に切り換える設定切換部130と、を備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マナーモード機能を有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)に代表される携帯通信端末は、小型、軽量化が進み、その機能としても通話のみならず電子メール送受信機能や撮像機能といった様々なものが追加されている。従って、携帯通信端末の使い勝手がより向上し、ユーザは場所や状況に拘わらず常に携帯通信端末を所持するようになってきた。しかし、電車やバス等に乗車する場合、携帯通信端末の利用による着信音、操作音や通話の声が周囲の迷惑となってしまうので、そのような状況下においては着信音を抑制するマナーモードを設定する必要がある。
【0003】
しかし、電車やバス等の乗降の度にマナーモードを手動でオン/オフするのは煩わしさを伴い、また、本来マナーモードを設定すべき場所で設定を忘れ、意図せず着信音が鳴ってしまうこともあった。
【0004】
そこで、携帯通信端末をマナーモードに設定し忘れないよう、他の人からの着信に対応できない日時を事前に携帯通信端末へ設定し、設定の日時に達すれば自動的にマナーモードの設定/解除を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、電車やバス等に乗車して通勤する時間帯を携帯通信端末に設定すると、携帯通信端末が、その設定された時間帯に加速度センサから検知されたデータと、予め記憶された比較用データとを比較し、検知されたデータの相関がとれれば電車やバス等に乗車していると判断してマナーモードを設定する技術も開示されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
さらに、携帯通信端末を手動でマナーモードに設定しなくとも、携帯通信端末に設置された照度センサが周囲の明るさを測定し、その周囲の明るさに応じて携帯通信端末のマナーモードが自動的に設定/解除される技術も開示されている(例えば、特許文献3)。
【特許文献1】特開2005−184327号公報
【特許文献2】特開2005−192206号公報
【特許文献3】特開平11−168769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した、事前に携帯通信端末へ日時を設定する技術を用いると、携帯通信端末は、日々繰り返し実施される行動の時間帯になったとき自動的にマナーモードに切り換わる。しかし、突発的な会議の打ち合わせや、出張、外出の電車における移動等、設定された日時以外の時間帯では、マナーモードへの設定が必要な場面に遭遇しても、マナーモードへの切り換えが行われない。
【0008】
また、上述した比較用データとの相関をとる技術を用いたとしても、突発的な出張等においては、比較すべきデータを準備することができないので、マナーモードに適切に移行しない場合が生じてしまう。
【0009】
さらに、上述した周囲の明るさを測定する技術を用いると、ユーザは、携帯通信端末の周囲が暗くなることでマナーモードに移行するという設定ができる。しかし、携帯通信端末は利用と収納が繰り返されるので、太陽光の有無に拘わらず例えば鞄内では照度センサが暗いと判断してしまい、マナーモードへ変更する必要のない状態でもマナーモードへ切り換わってしまう。
【0010】
本発明は、従来の技術が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、マナーモードへの変更のし忘れやマナーモードへの変更の煩わしさをなくし、自動的にマナーモードのオン/オフを切り換えることが可能な、携帯通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するにあたり、本発明のある観点によれば、基地局と無線通信可能な携帯通信端末であって、携帯通信端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、姿勢検出部によって検出された姿勢に応じてマナーモードのオン/オフを切り換える設定切換部と、を備えることを特徴とする、携帯通信端末が提供される。
【0012】
上記携帯通信端末は、姿勢を検出することでマナーモードのオン/オフを切り換えることができる。上記設定切換部を備えることで、ユーザが携帯通信端末を手動で設定しなくても、マナーモードが自動的に設定される。
【0013】
設定切換部は、携帯通信端末の長手方向が垂直方向にあるときマナーモードをオンしてもよい。
【0014】
上記携帯通信端末は、例えばワイシャツのポケットに携帯通信端末を入れると、ポケットに対して縦向き、即ち垂直に立った状態で保持され易いので、ユーザの操作入力を受けることなく自動的にマナーモードがオンになる。
【0015】
設定切換部は、携帯通信端末の長手方向の鉛直線に対する傾きが30°以内にあるとき、長手方向が垂直方向と判断してもよい。
【0016】
このように垂直方向から許容する角度を設けることで、ワイシャツのポケットや鞄等の中で携帯通信端末が多少傾いた場合であっても自動的にマナーモードをオンに切り換え、またオン状態を維持することができる。
【0017】
姿勢検出部は、離隔して配置された複数の電極部と、複数の電極部によって囲われた領域に封入された液体金属とを有し、重力により落下した液体金属が、離隔した電極部同士を電気的に接続することで垂直方向の姿勢を検出するとしてもよい。
【0018】
かかる構成により携帯通信端末は、重力を利用して垂直方向の姿勢であるかを検出するので、効率よく垂直方向の姿勢を検出することができる。
【0019】
携帯通信端末に加えられている圧力を検出する圧力検出部をさらに備え、設定切換部は、姿勢検出部に検出された姿勢に加え、圧力検出部に検出された圧力に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えてもよい。
【0020】
例えばワイシャツやズボンのポケットに挿入された携帯通信端末には外部から圧力が加えられる。かかる圧力検出部の構成により、携帯通信端末の姿勢のみならず、その圧力も検出されるので、設定切換部は、ワイシャツやズボンのポケットに入っていることをより確実に判断することができる。
【0021】
携帯通信端末に与えられている振動を検出する振動検出部をさらに備え、設定切換部は、姿勢検出部に検出された姿勢に加え、振動検出部に検出された振動に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えてもよい。
【0022】
例えばユーザが電車に乗車すると、携帯通信端末は電車の振動を受ける。かかる振動検出部の構成により、設定切換部は、電車やバス等に乗車した状態でワイシャツやズボンのポケットに入っていることをより確実に判断することができる。
【0023】
設定切換部は、姿勢検出部に検出された姿勢に加え、携帯通信端末の使用状態に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えてもよい。
【0024】
かかる設定切換部によって、携帯通信端末は、例えば、マナーモードをオンに切り換えるべき姿勢であっても、ゲームを操作しているときはマナーモードをオフに維持することができる。従って複数の条件の組み合わせからマナーモードのオン/オフを設定することができる。
【0025】
設定切換部は、さらに、当該携帯通信端末が所定の充電器に嵌着されていることを判断してマナーモードのオン/オフを切り換えてもよい。
【0026】
睡眠時に携帯通信端末の充電を行う場合、携帯通信端末の着信音で睡眠を妨げられることがある。携帯通信端末の充電時にマナーモードをオンにする構成により、睡眠が妨げられることなく、快眠を得ることができる。
【0027】
設定切換部がマナーモードをオンする姿勢を任意に設定させる姿勢設定部をさらに備えてもよい。
【0028】
かかる姿勢設定部により、ユーザはマナーモードをオンにしたい所望する角度を個々に設定することができる。
【0029】
設定切換部によってマナーモードのオン/オフが切り換わったとき、ユーザにその旨報知する切換報知部をさらに備えてもよい。
【0030】
かかる切換報知部は、ユーザにマナーモードのオン/オフの切り換わりが行われたことを報知する。従ってユーザは、マナーモードのオン/オフのいずれかの状態であるかを容易に認識することができる。
【0031】
所定時間内の突発的な姿勢変更を無視する時間遅延部をさらに備えてもよい。
【0032】
設定切換部は、マナーモードのオン/オフを切り換えるべき携帯通信端末の姿勢が短時間でも検出されればマナーモードのオン/オフを切り換えようとする。しかし、その携帯通信端末の姿勢の変化が突発的な場合、直ぐに元の姿勢に戻って、マナーモードの切換が煩雑に行われる。そこで、時間遅延部は、マナーモードのオン/オフに設定された姿勢と一時的に合致したと設定切換部が判断しても直ぐにマナーモードの設定の変更を行わず、所定時間姿勢が維持されたときに姿勢が変更していると判断する。こうして、携帯通信端末が不要な処理を繰り返すことなくマナーモードのオン/オフが設定される。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明では、マナーモードへの変更のし忘れやマナーモードへの変更の煩わしさをなくし、自動的にマナーモードのオン/オフを切り換えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
本実施形態の携帯通信端末では、当該携帯通信端末の姿勢によってマナーモードのオン/オフを自動的に切り換えることが可能となる。マナーモードとしては、着信時に音を鳴らさずにバイブレータで振動を発する消音モード、自動車の運転中に留守状態にするドライブモード、または電波の送受信を停止してカメラや内蔵ゲームのみを使えるようにするセルフモード等が挙げられる。本実施形態の携帯通信端末としては、PHSや携帯電話、PDA等が挙げられるが、ここでは、本実施形態の理解を容易にするため、PHS端末を例に挙げて説明する。以下、まずはPHS端末の全体的な構成について説明し、その後に本実施形態にかかる詳細な構成について述べる。
【0036】
図1は、PHS端末100の機能を示した機能ブロック図であり、図2はPHS端末100の概略的な構成を説明するための外観斜視図である。かかるPHS端末100は、端末制御部110と、端末メモリ112と、表示部114と、操作部116と、音声入力部118と、音声出力部120と、無線通信部122と、姿勢検出部124と、圧力検出部126と、振動検出部128と、設定切換部130と、姿勢設定部132と、切換報知部134と、時間遅延部136と、を含んで構成される。
【0037】
上記端末制御部110は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路によりPHS端末100全体を管理および制御する。また、端末制御部110は、端末メモリ112のプログラムを用いて、メール作成、Web閲覧、音楽再生、TV視聴等さまざまな機能を遂行できる。
【0038】
上記端末メモリ112は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、端末制御部110で処理されるプログラムや音声データ等を記憶する。
【0039】
上記表示部114は、第一筐体160に設けられ、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成され、端末メモリ112に記憶された、または通信網を介してアプリケーション中継サーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0040】
上記操作部116は、主として第二筐体162に設けられた、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の操作キーから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0041】
上記音声入力部118は、第二筐体162においてマイク等の音声認識装置で構成され、通話時に入力されたユーザの音声をPHS端末100内で処理可能な電気信号に変換する。
【0042】
上記音声出力部120は、第一筐体160においてスピーカで構成され、PHS端末100で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や操作部116による操作音、アラーム音等も出力できる。
【0043】
上記無線通信部122は、PHS端末網における基地局200と無線通信を行う。かかる無線通信としては、基地局200内でフレームを時分割した複数のタイムスロットをそれぞれPHS端末100のチャネルに割り当てて通信を行う時分割多重方式等がある。
【0044】
上記姿勢検出部124は、PHS端末100の姿勢(角度、傾き)を検出する。例えば、PHS端末100に加速度センサが設けられている場合、重力が働いている方向を検出して鉛直方向からの姿勢を計算する。加速度センサを用いることでPHS端末100の角度をリニアに検出することができる。
【0045】
上記圧力検出部126は、PHS端末100へ加えられている外部からの圧力を検出する圧力センサで構成される。かかる圧力センサとしては、ゲージ抵抗に圧力を加えるとその圧力のたわみに応じゲージ抵抗が変化し電気信号として変換される半導体式圧力センサ等がある。また、変位量を通じて圧力を検出する変位センサ(距離センサ、プッシュスイッチ)で代用することも可能である。
【0046】
上記振動検出部128は、外部からPHS端末100へ与えられている振動を検出する振動センサで構成される。かかる振動センサとしては、シリコンチップの上にピエゾ抵抗でブリッジを構成し、外部から受ける振動による抵抗変化を電気信号として出力するピエゾ抵抗式振動センサ等がある。また、姿勢検出部124として機能する加速度センサでも振動を検出することができる。
【0047】
上記設定切換部130は、姿勢検出部124で検出された姿勢が、所定の範囲に合致していればマナーモードのオン/オフを切り換える。また、かかる設定切換部130は、姿勢検出部124で検出された姿勢に加えて、圧力検出部126で検出された圧力や振動検出部128で検出された振動との組み合わせによりマナーモードのオン/オフを切り換えることもできる。この組み合わせの詳細については後述する。
【0048】
上記姿勢設定部132は、マナーモードを設定切替部130がオンする姿勢や姿勢の範囲をユーザに任意に設定させる。かかる姿勢設定部132の設定がなされれば、設定切換部130はその設定された姿勢または姿勢の範囲でマナーモードのオン/オフの切り換えを行う。かかる姿勢設定部132により、ユーザはマナーモードをオンにしたい所望する角度を個々に設定することができる。
【0049】
上記切換報知部134は、設定切換部130によってマナーモードのオン/オフの切り換えが行われると、切り換わったことを音声出力部120のスピーカ、表示部114の画面、バイブレータ等を通じてユーザに報知する。
【0050】
上記時間遅延部136は、PHS端末100の姿勢が突発的に変化した場合に、その姿勢変更を無視するために用いられる。設定切換部130は、マナーモードのオン/オフを切り換えるPHS端末100の姿勢が短時間でも検出されればマナーモードのオン/オフを切り換えようとする。しかし、そのPHS端末100の姿勢の変化が突発的な場合、直ぐに元の姿勢に戻って、マナーモードの切換が煩雑に行われる。そこで、時間遅延部136は、マナーモードのオン/オフに設定された姿勢と一時的に合致したと設定切換部130が判断しても直ぐにマナーモードの設定の変更を行わず、所定時間、例えば10秒間姿勢が維持されたときに姿勢が変更していると判断する。こうして、PHS端末100が不要な処理を繰り返すことなくマナーモードのオン/オフが設定される。
【0051】
以上説明したように、PHS端末100は、姿勢に応じてマナーモードのオン/オフを自動的に切り換えることができる。かかるマナーモードの切換は、姿勢のみならず、PHS端末100に加えられる圧力や振動といった判断基準を用いて行うこともできる。以下にPHS端末100のマナーモードのオン/オフの切り換えについて詳細に説明する。
【0052】
図3は、PHS端末100のマナーモードへの移行を説明するための外観図である。図3(a)に示すように、例えばPHS端末100の長手方向は、鞄240のポケット250において垂直方向(縦方向)の姿勢を維持している。かかるPHS端末100の姿勢検出部124は、当該PHS端末100の姿勢を検出し、設定切換部130は、PHS端末100の姿勢が垂直方向にあるときマナーモードをオンにし、垂直方向以外のときはマナーモードをオフにする。また、自動的な切り換えのみならず、例えばユーザが意図的にマナーモードをオンにした場合、意図的にオフにしない限りマナーモードのオン状態を維持する形態をとることもできる。
【0053】
また、図3(b)および図3(c)のPHS端末100の側面図に示すように、PHS端末100の長手方向は、鉛直線(垂直方向の軸)に対して傾きが約30°となるまでの姿勢の範囲を本実施形態における垂直方向と判断する。このような垂直方向として許容する角度を設けることで、設定切換部130は、PHS端末100の傾き約30°以内の揺れ、例えば、お辞儀による揺れであればマナーモードをオンの状態に保つことができる。
【0054】
さらに、図3(a)に示すように、例えばPHS端末100を鞄240のポケット250に挿入したままでユーザが外出すると、歩行や電車の振動が鞄240を通じてPHS端末100に与えられる。その与えられた振動を振動検出部128が検出し、その振動と上述した姿勢との両条件によりマナーモードをオンすれば、鞄240のポケット250に入っていることをより確実に判断することができる。
【0055】
また、PHS端末100は、鞄240のポケット250、ワイシャツまたはズボンのポケット等に挿入されれば、外部から圧力が加えられる。かかるPHS端末100に加えられる圧力を利用してPHS端末100の状態を検出する構成について以下に説明する。
【0056】
例えば図4は、PHS端末100に圧力検出部126を配した外観図である。図4に示すPHS端末100は、通常第一筐体160と第二筐体162が向き合い、折り畳まれた姿勢で鞄240のポケット250や、ワイシャツやズボンのポケットに挿入される。ここで、圧力検出部126に設けられている圧力センサ(図示せず)は、一方を緩衝部材に他方を第二筐体部162に固定され、緩衝部材を介して加えられた圧力を検出する。圧力検出部126はPHS端末100を折り畳んだとき第一筐体160と接触し、第一筐体160と第二筐体162とに加わる外圧を検出することができる。圧力を検出し、その圧力と上述した姿勢との両条件によりマナーモードをオンすれば、鞄240のポケット250や、ワイシャツやズボンのポケットに入っていることをより確実に判断することができる。
【0057】
ここで、圧力検出部126は、PHS端末100を折り畳むときや電車の乗降時等に突発的に高い圧力を受けることがある。設定切替部130は、所定圧力の検出が短時間のみであれば、その圧力を無視し、マナーモードの切換を行わない。
【0058】
さらに、マナーモードのオン/オフが、例えばPHS端末100の姿勢かつPHS端末100への振動および圧力を検出した結果の組合せによっても切り換えられる。
【0059】
また、設定切換部130は、検出された姿勢に加え、PHS端末100の使用状態に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えることもできる。
【0060】
かかる設定切換部130によって、PHS端末100は、例えば、マナーモードをオンに切り換えるべき姿勢であっても、ゲーム等を操作している使用状態ではマナーモードをオフに維持することができる。ゲームは通常PHS端末100を縦にして遂行されるが、ゲーム遂行時に意図せずマナーモードに切り替わってしまうのを防ぐためである。こうして、複数の条件の組み合わせからマナーモードのオン/オフを設定することができる。
【0061】
次に、PHS端末100の充電時におけるマナーモードへの移行を説明する。図5は、PHS端末100を充電器260に嵌着した外観図である。
【0062】
PHS端末100を所定時間使用しない状態として、例えば睡眠時が挙げられる。通常、ユーザはその睡眠時間を利用してPHS端末100の充電を行う。例えば、睡眠前に、PHS端末100を図5に示すように充電器260へ嵌着すれば、起床のときには充電が完了している。
【0063】
しかし、充電器260に嵌着するPHS端末100の姿勢において、マナーモードをオンする姿勢でなければ、PHS端末100に着信があると、その着信音によって睡眠が妨げられる虞がある。そこで、充電器260に嵌着したPHS端末100を、PHS端末100の姿勢、PHS端末100への圧力およびPHS端末100への振動に関係なく、マナーモードオンに設定することで、睡眠が妨げられることなく、快眠を得ることができる。
【0064】
また、充電の形態としては、上述したように充電器260に嵌着する形態のみならず、コネクタを通じて充電ケーブルからの電力を受電する形態等様々な形態を用いることができる。かかる他の形態においても、PHS端末100は、充電が可能な状態であることを把握し、自動的にマナーモードをオンに切り換えることができる。
【0065】
上述した実施形態においては、姿勢検出部124として加速度センサを用いているが、かかる場合に限らず、他の機構を姿勢検出部として用いることもできる。以下にPHS端末100が垂直方向にあることを検出する姿勢検出部の他の例を説明する。
【0066】
図6は、姿勢検出部の他の例を説明するための説明図である。姿勢検出部300は、図6(a)に示すように、同一な2つの円錐を互いの底辺で合わせた形状を有する。図6(a)のA−A縦断面図を図6(b)および図6(c)に示す。第一電極部310、第二電極部312およびに第三電極部314は、それぞれ金属で構成される。姿勢検出部300の内側の各電極部310、312、314は、錆びを防ぐためにめっき処理を施してもよい。各電極部310、312、314は、図6(b)に示すよう互いに接しないよう離間されている。姿勢検出部300の中には、水銀等の電気を通す液体金属320が封入されている。
【0067】
第一電極部310、第二電極部312および第三電極部314の各電極が液体金属320を介して他の電極と通電すると、第一電流検出器330または第二電流検出器332に電流が流れ、姿勢検出部300はPHS端末100の姿勢を把握できる。以下、詳細に説明する。
【0068】
姿勢検出部300に封入されている液体金属320は、重力を受けて移動する。液体金属320は、比重が低く電気を通さない液体と一緒に封入されている。PHS端末100の姿勢を例えば垂直方向と、図6(c)に示すように、液体金属320は、重力によって鉛直下向きに落下する。落下した液体金属320は、第一電極部310と第二電極部312の間にある切れ目に入ったり、第一電極部310と第二電極部312の表面に接触したりして、それらの電気的な接続を助ける。第一電極部310と第二電極部312が電気的に接触すると第一電流検出器330に電流が流れる。第一電流検出器330へ電流が流れると、姿勢検出部300は、PHS端末100の姿勢が垂直方向にあることを把握する。このように、姿勢検出部300は、重力を利用することによって効率よく垂直方向の姿勢を検出することができる。
【0069】
また、かかるPHS端末100を傾けると、姿勢検出部300に封入されている液体金属320は、重力に応じて一方に変位する。この傾きが大きくなると、第一電極部310に接触していた液体320が、第二電極部312の方向へ移動する。第一電極部310と第二電極部312の間にあった液体金属320も第二電極部312へ移動し、電気的な接続がなくなる。そして姿勢検出部300は、第二電極部312と第三電極部314の間にある切れ目に液体金属320が入り、第二電極部312と第三電極部314が電気的に接続され、第二電流検出器332に流れる電流を検出する。
【0070】
このようにマナーモードのオン/オフが切り換えられたとき、ユーザによっては現在のマナーモードの状態を知りたいという要望がある。そこで、本実施形態のPHS端末100は、マナーモードのオン/オフの切り換えを切換報知部134によって報知する。この報知について以下に説明する。
【0071】
図7は、マナーモードのオン/オフの切り換わりを説明する外観図である。設定切換部130は、姿勢検出部124から検出された結果に応じてマナーモードのオン/オフを切り換える。しかし、ユーザは、マナーモードのオン/オフの切り換えは自動的に設定されるので、マナーモードのオン/オフの切り換えに気づかないこともある。そこで、マナーモードのオン/オフの切り換えを報知する切換報知部134を設けることで、マナーモードのオン/オフの切り換えのあったことをユーザに認識させる。
【0072】
切換報知部134は、図7に示した発光部350を介して光の点滅を行いマナーモードの切換を報知する。また、音声出力部120のスピーカから音を発したり、PHS端末100に設けられたバイブレーション機能を使用したり、表示部114に文字を表示したりして、マナーモードへの切換を報知することもできる。これら報知する機能を1つもしくは複数組み合わせて使用することもできる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、マナーモード機能を有する携帯通信端末に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態におけるPHS端末の機能を示した機能ブロック図である。
【図2】本実施形態におけるPHS端末の概略的な構成を説明するための外観斜視図である。
【図3】本実施形態におけるPHS端末のマナーモードへの移行を説明するための外観図である。
【図4】本実施形態におけるPHS端末に圧力検出部を配した外観図である。
【図5】本実施形態におけるPHS端末を充電器に嵌着した外観図である。
【図6】本実施形態における姿勢検出部の他の例を説明するための説明図である
【図7】本実施形態におけるマナーモードのオン/オフの切り換わりを説明する外観図である。
【符号の説明】
【0076】
100 …PHS端末
124、300 …姿勢検出部
126 …圧力検出部
128 …振動検出部
130 …設定切換部
132 …姿勢設定部
134 …切換報知部
136 …時間遅延部
260 …充電器
310 …第一電極部
312 …第二電極部
314 …第三電極部
320 …液体金属
350 …発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と無線通信可能な携帯通信端末であって、
当該携帯通信端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記姿勢検出部によって検出された姿勢に応じてマナーモードのオン/オフを切り換える設定切換部と、
を備えることを特徴とする、携帯通信端末。
【請求項2】
前記設定切換部は、当該携帯通信端末の長手方向が垂直方向にあるときマナーモードをオンすることを特徴とする、請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記設定切換部は、当該携帯通信端末の長手方向の鉛直線に対する傾きが30°以内にあるとき、長手方向が垂直方向と判断することを特徴とする、請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記姿勢検出部は、離隔して配置された複数の電極部と、前記複数の電極部によって囲われた領域に封入された液体金属とを有し、重力により落下した液体金属が、離隔した電極部同士を電気的に接続することで垂直方向の姿勢を検出することを特徴とする、請求項2または3に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
当該携帯通信端末に加えられている圧力を検出する圧力検出部をさらに備え、
前記設定切換部は、前記姿勢検出部に検出された姿勢に加え、前記圧力検出部に検出された圧力に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
当該携帯通信端末に与えられている振動を検出する振動検出部をさらに備え、
前記設定切換部は、前記姿勢検出部に検出された姿勢に加え、前記振動検出部に検出された振動に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記設定切換部は、前記姿勢検出部に検出された姿勢に加え、当該携帯通信端末の使用状態に基づいてマナーモードのオン/オフを切り換えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項8】
前記設定切換部は、さらに、当該携帯通信端末が所定の充電器に嵌着されていることを判断してマナーモードのオン/オフを切り換えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項9】
前記設定切換部がマナーモードをオンする姿勢を任意に設定させる姿勢設定部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項10】
前記設定切換部によってマナーモードのオン/オフが切り換わったとき、ユーザにその旨報知する切換報知部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項11】
所定時間内の突発的な姿勢変更を無視する時間遅延部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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