説明

携帯電子機器及びその制御方法

【課題】方位を表示することが可能な携帯電子機器及びその制御方法において、スピーカのような磁界を発生する外部機器を携帯電子機器に着脱されても誤った方位の検出を防ぐことができるものを提供する。
【解決手段】 情報を表示する表示部107と、地磁気を検出する地磁気センサ108と、前記地磁気センサ108が検出した地磁気に基づいて方位を算出し、当該算出した方位の情報を前記表示部に表示する制御部150と、を備えた携帯電子機器100であって、前記制御部150は、前記携帯電子機器100に接続していた磁界を発生する外部機器が前記携帯電子機器100から離れた場合は、前記地磁気センサ108による方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知する、又は当該キャリブレーションを自ら行うキャリブレーション制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気センサを搭載し、その検出結果に基づいて算出した方位を表示することが可能な携帯電子機器及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に代表される携帯電子機器はますます高機能化が進んでいる。例えば下記の特許文献に示すように、地磁気センサによって検出される地磁気に基づいて方位を算出することが可能な携帯電子機器が知られている。
【特許文献1】特開2003−289366号公報
【特許文献2】特開2005−110031号公報
【特許文献3】特開2005−107324号公報
【特許文献4】特開2005−107323号公報
【特許文献5】特開2005−300896号公報
【特許文献6】特開2005−291936号公報
【特許文献7】特開2005−291935号公報
【特許文献8】特開2005−291934号公報
【特許文献9】特開2005−291933号公報
【特許文献10】特開2005−291932号公報
【特許文献11】特開2005−291931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、携帯電話機に搭載される音楽プレーヤの機能は年々充実してきており、より高音質のオーディオ再生が求められるようになってきているが、携帯電話機は筐体のサイズが限られており、大口径のスピーカを搭載できないため、低音域を良好に再生できないという問題がある。そこで昨今では、携帯電話機に接続する外部機器として、充電器にスピーカを搭載するものが開発されている。これにより、充電器によって携帯電話機のバッテリを充電しながら、その充電器に付属する大口径のスピーカによって高音質のオーディオ再生を行うことができるものである。しかしながら、このような新しい構成を外部機器に付した場合は、これまでの携帯電話機に備えられていた方位算出機能との競合が生じてしまう。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、方位を表示することが可能な携帯電子機器及びその制御方法において、スピーカのような磁界を発生する外部機器を携帯電子機器に着脱されても誤った方位の検出を防ぐことができるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、情報を表示する表示部と、地磁気を検出する地磁気センサと、前記地磁気センサが検出した地磁気に基づいて方位を算出し、当該算出した方位の情報を前記表示部に表示する制御部とを備えた携帯電子機器であって、前記制御部は、前記携帯電子機器に接続していた磁界を発生する外部機器が前記携帯電子機器から離れた場合は、前記地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知する、又は当該キャリブレーションを自ら行うキャリブレーション制御を行うことを特徴とする。
【0006】
好適に本発明の携帯電子機器は、前記制御部はキャリブレーションを行うべき旨の情報を前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする。
【0007】
さらに好適に本発明の携帯電子機器は、前記外部機器との接続を検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記外部機器が接続されたか否かを判定することを特徴とする。
【0008】
そして、前記外部機器は端子を備え、前記検出部は前記端子の間に加わる電圧を監視することにより、前記外部機器との接続を検出する。
【0009】
本発明の携帯電子機器は、前記表示部に方位の情報が表示されている状態で、接続されていた前記外部機器が外されると、前記制御部は前記キャリブレーション制御を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明の携帯電子機器は、前記表示部に方位の情報が表示されていない状態で、接続されていた前記外部機器が外された場合、前記制御部は前記表示部に方位の情報を表示する際に前記キャリブレーション制御を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の携帯電子機器に接続する外部機器は磁石を備えていることを特徴とする。
【0012】
好適には、本発明の携帯電子機器に接続する外部機器はコイルスピーカ付充電器であり、前記外部機器に備えられている磁石は、前記コイルスピーカの磁石であることを特徴とする。
【0013】
なお好適には、本発明の携帯電子機器に接続する外部機器はUSB機器、イヤホン、充電用のケーブルのコネクタであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、地磁気センサが検出した地磁気に基づく方位を含む情報を表示する表示部を備えた携帯電子機器の制御方法であって、前記携帯電子機器に接続可能な磁界を発生する外部機器の接続状態を判別するステップと、前記接続状態が、接続された状態から解除された状態に変わると、前記表示部に着磁による前記地磁気センサによる方位の表示に関してオフセットのキャリブレーションを行うべき旨の情報を前記表示部に表示させるステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯電子機器及びその制御方法では、磁界を発生する外部機器を携帯電子機器に接続した場合であっても、着磁による誤った方位の検出を防ぐことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、携帯電子機器100としての携帯電話機の外観を示す図である。
図1に示した携帯電子機器100の外面には、数字キーなどのキー入力部103と、情報を表示する表示部107がある。そして、携帯電子機器100の内部には、地磁気を検出する地磁気センサ108と、中央演算装置を主要部品とする制御部150がある。また、携帯電子機器100の底面には携帯電子機器100のバッテリの充電を行うための一対の充電端子Tcがある。携帯電子機器100の側面には外部コネクタTioを有し、携帯電子機器100をパソコンと接続したりしてデータの入出力を行う。外部コネクタTioには、バッテリへの充電を行うための第2の充電端子Tdがある。
【0017】
図2は、図1に示したような外観からなる携帯電子機器100の構成例を示す図である。
図2に示す携帯電子機器100は、無線通信部101と、GPS信号受信部102と、キー入力部103と、音声処理部104と、スピーカ105と、マイクロフォン106と、表示部107と、地磁気センサ108と、記憶部109と、充電器検出部110と、バッテリ部111と、制御部150とを有する。
【0018】
無線通信部101は、通信ネットワークに接続される不図示の基地局と無線通信を行う。例えば通信部101は、制御部150から供給される送信データに所定の変調処理を施して無線信号に変換し、アンテナから送出する。また、アンテナにおいて受信される基地局からの無線信号に所定の復調処理を施して受信データに変換し、制御部150に出力する。
【0019】
GPS信号受信部102は、既知の軌道を周回する3つまたはそれ以上のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、これに増幅、ノイズ除去、変調等の信号処理を施して、携帯電話機100の地理的位置を算出するために必要な情報を取得する。
【0020】
キー入力部103は、例えば電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部150に入力する。
【0021】
音声処理部104は、スピーカ105において出力される音声信号やマイクロフォン106において入力される音声信号の処理を行う。すなわち、マイクロフォン106から入力される音声信号に増幅、アナログ−デジタル変換、符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部150に出力する。また、制御部150から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ105に出力する。
【0022】
また音声処理部104は、スピーカ201を搭載する充電器200(図3参照)へ端子T1を介してオーディオ信号を供給する。
【0023】
表示部107は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、制御部150から供給される映像信号に応じた画像を表示する。例えば、発信時における発信先の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、バッテリ残量、待ち受け画面などの各種の情報を表示する。
【0024】
また表示部107は、GPS機能によりナビゲーションを行う場合や待ち受け画面を表示している場合などにおいて、地磁気センサ108の検出結果に基づく方位の情報を表示する(図4参照)。
【0025】
地磁気センサ108は、方位の算出に用いる地磁気を検出する。
例えば地磁気センサ108は、携帯電子機器100の筐体内の回路基板上に設定された所定の座標系(2軸若しくは3軸)を基準として、その各軸方向の地磁気を検出する。地磁気の検出には、例えばコイルの励磁を利用する方法や、ホール効果を利用する方法、磁気抵抗素子を利用する方法など、種々の方法を用いることが可能である。
【0026】
記憶部109は、制御部150において処理に利用される各種のデータを記憶する。例えば、制御部150に備わるコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを保持する。
【0027】
記憶部109は、例えば不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0028】
バッテリ部111は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池(バッテリ)を含んで構成されており、バッテリに発生する電源電圧を機器の各部に供給する。
【0029】
図3は、バッテリ部111の充電を行うスピーカ付き充電器200の一例を示す図であり、充電器200に携帯電子機器100が装着された状態(図3(A))と取り外された状態(図3(B))をそれぞれ示す。図3には、携帯電子機器100内に組み込まれた地磁気センサ108が示されている。
【0030】
バッテリ部111の二次電池は、例えば図3(A)に示すように、携帯電子機器100を充電器200に装着した状態で充電される。すなわち携帯電子機器100に設けられた充電端子Tcと充電器200に設けられた外部端子Tccとが当接され、これらの端子を介して充電器200からバッテリ部111への充電電流が流れる。
【0031】
このとき、携帯電子機器100の端子T1と充電器200の入力端子Tiも電気的に結合されるため、音声処理部104から充電器200のスピーカ201へオーディオ信号を供給することが可能になる。
【0032】
充電器検出部110は、携帯電子機器100が充電器200へ装着されているか否かを検出する。例えば、充電器200からバッテリ部111の充電回路(不図示)への電力供給の有無や、携帯電子機器100とバッテリ部111との電気的な接続の有無、物理的な接触の有無などを検出する。
【0033】
検出する具体的な例としては、充電器200に設けられた外部端子Tccと電気的に接続する携帯電子機器100の充電端子Tc(図3参照)の間に加わる電圧を充電器検出部110が監視し、当該外部端子の間に電圧が加わっている状態では、携帯電子機器100が充電器200と接続されたとすることができる。なお、当該外部端子の間に電圧が加わっていない状態では、携帯電子機器100が充電器に接続されていないと検出することができる。
【0034】
図2の説明に戻る。
制御部150は、携帯電子機器100の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、携帯電子機器100の各種の処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWebサイトの閲覧、地図を利用したナビゲーションなど)がキー入力部103の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ユニットの動作(無線通信部101における信号の送受信、GPS信号受信部102におけるGPS信号の受信、音声処理部104における音声の入出力、地磁気センサ108からの地磁気データの取得、表示部107における画像の表示など)を制御する。
【0035】
例えば制御部150は、記憶部109に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーション等)に基づいて処理を実行するコンピュータを備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。すなわち、記憶部109に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順に読み込んで処理を実行する。
【0036】
制御部150は、ナビゲーションを開始するようにキー入力部103へ指示が入力されると、GPS信号に基づいて現在地の地理的位置を把握し、これを地図によって表示部107に表示する。
例えば制御部150は、GPS信号受信部102によってGPS信号を受信し、その情報を無線通信部101によって通信ネットワーク上のサーバ装置に送信する。サーバ装置は、このGPS信号の情報に基づいて携帯電子機器100の地理的な位置(例えば緯度や経度など)を算出し、その算出結果の位置に関する情報と当該位置周辺の地図の情報を通信ネットワーク経由で携帯電子機器100に送信する。制御部150は、サーバ装置から送られてくるこれらの情報をもとに、現在地の地理的位置を表す地図の画像を表示部107に表示する。
【0037】
制御部150は、上記のようなナビゲーション処理を行っている場合や通常の待ち受け画面を表示している場合などにおいて、表示部107に方位の情報を表示する。すなわち、地磁気センサ108が検出した地磁気のデータを取得し、これに基づいて方位を算出し、これを方位の情報として表示部107に表示する。制御部150は、例えば一定の周期で方位の算出を行い、その算出結果に応じて表示部107に表示する方位の情報を周期的に更新する。
【0038】
その他、制御部150は、キー入力部103からの音楽再生指示などの入力に伴い、圧縮されて記憶部109に格納されている音声データを復号してアナログ音声信号に変換するアプリケーションプログラムを記憶部109から読み出して実行することができる。このアプリケーションプログラムは、起動されると、記憶部109に記憶される音声データの再生に関する指示を受け付けるよう表示部107に音楽再生に関する画面を表示させたり、キー入力部103からの指示に基づき、再生楽曲の変更、音量の変更、再生中断、終了などの操作を受け付ける。受け付けた要求は、制御部150から音声処理部104と表示部107に送信されて処理させる。
【0039】
方位の情報は、例えば図4(a)に示すように、コンパスをかたどったアイコンとして表示部107の画面に表示される。
図4の例において、コンパスのアイコンP1が示す矢印は特定の方位(例えば北)を表しており、携帯電子機器200の向きの変化に応じて方位の算出結果(方位データ)が変化すると、これに応じてこの矢印の向きも変化する。
【0040】
上記のような構成からなる携帯電子機器100において、図3(A)のように当該携帯電子機器100が外部機器としてスピーカ付の充電器200に装着されている状態を考える。充電器200はスピーカ201を有しており、そのスピーカ201は磁石を使用するボイスコイル型のスピーカとする。この状態では上記の説明の通り、充電器検出部110が、携帯電子機器100に設けられた充電端子Tc(図1参照)と、充電器200に設けられた外部端子Tccとが当接されたことを検出し、携帯電子機器100が充電器に接続されたことを検出する。
【0041】
図3(A)のように、携帯電子機器100がスピーカ付の充電器200に装着されている状態で、携帯電子機器100の表示部107に地磁気センサ108の検出結果に基づく方位の情報を表示させる場合を考える。
【0042】
携帯電子機器100の表示部107に方位の情報を表示させるために、制御部150は、方位の算出と表示にかかわる構成要素として、方位算出部151と表示制御部152を有する。
【0043】
方位算出部151は、地磁気センサ108の検出結果を周期的に取得し、この検出結果に基づいて方位を算出する。そして、算出結果を方位データとして表示制御部152に出力する。表示制御部152は、方位算出部151から方位データを周期的に取得し、これに応じた方位の情報が表示部107において表示されるように制御を行う。
【0044】
このようにすることで図4(a)に示すように方位の情報が表示部107の画面に表示される。よって、図3(A)のように、携帯電子機器100がスピーカ付の充電器200に装着されている状態で、携帯電子機器100の表示部107に方位の情報が表示される。
【0045】
ところで、図3(A)の状態において、充電が完了したり、充電器200のスピーカ201によるオーディオ再生を中断するために、図3(B)のように携帯電子機器100をスピーカ付の充電器から外すような状態が生ずることがある。
【0046】
図3(B)の状態では、図3(A)のように、充電器200のスピーカ201が携帯電子機器100に接近している状態から、離れる状態となる。そうなると、携帯電子機器100の内部では、スピーカの磁石からの磁界と、図3(A)の状態で携帯電子機器100を構成する着磁した部品からの磁界と、が加わっている状態から、携帯電子機器100を構成する着磁した部品のみからの磁界が加わる状態となる。
【0047】
しかし、一旦図3(A)のように、携帯電子機器100を充電器200に装着すると、携帯電子機器100を構成する部品とスピーカ201の磁石とが接近するため、携帯電子機器100の部品が着磁するおそれがある。そして、携帯電子機器100の部品が着磁すると、たとえその後図3(B)のように携帯電子機器100を充電器200から外しても、その着磁は維持される。
【0048】
そのため、図3(B)の状態で、図3(A)の状態と同様にして、表示制御部152が方位算出部151から請求項方位データを周期的に取得し、これに応じた方位の情報が表示部107において表示されるように制御を行うと、表示部107に誤った方位が示されることになる。
【0049】
そこで、携帯電子機器100の制御部150は地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知するために、表示部107にその旨を表示させるようにする。
【0050】
携帯電子機器100が充電器200から外されたことを検知するためには、充電器200に設けられた不図示の外部端子の間に加わる電圧を充電器検出部110が監視し、その監視結果を制御部150に通知する。そして、当該外部端子の間に電圧が加わっていない状態では、制御部150は携帯電子機器100が充電器に接続されていないと判断すればよい。
【0051】
また、表示部107に方位が表示されていない状態であっても、携帯電子機器100が充電器200から外されると、携帯電子機器100の内部における磁界が変化する。そのため、携帯電子機器100が充電器200から外された後に、改めて表示部107に方位を表示する場合は、携帯電子機器100の制御部150は地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知するために、表示部107にその旨を表示させるようにする。
【0052】
以上のような、携帯電子機器100の制御部150は地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨を表示部107に表示させる場合は、例えば、図4(b)に示したように、表示部107に「キャリブレーションを行って下さい。機器を水平に置いて、2回転させて下さい。」と表示することができる。
【0053】
携帯電子機器100の制御部150は、地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知する制御を行い、ユーザにキャリブレーションを行わせるだけではなく、キャリブレーションを自ら行う制御をしてもよい。
【0054】
例えば、携帯電子機器100に搭載される地磁気センサが3軸のものである場合は、携帯電子機器100自身で、キャリブレーションを行うことができる。すなわち、地磁気センサが3軸のものである場合には、X軸、Y軸、Z軸の3方向の地磁気を検出するため、これらの3方向の地磁気の強度に係る連立方程式を解くことにより、自動的にキャリブレーションを行うことができるためである。
【0055】
図5は、方位の算出と表示に係わる動作の一例を示すフローチャートである。
方位算出部151は、所定の周期で地磁気センサ108に地磁気データを要求する(ステップST301)。地磁気センサ108は、この要求に応答して、方位算出部151へ周期的に地磁気データを出力する(ステップST302)。方位算出部151は、地磁気センサ108から取得した地磁気データに基づいて、周期的に方位を算出する(ステップST303)。なお、この算出においては前回行ったキャリブレーションにより得たオフセット値を加えた上で算出を行っている。
【0056】
表示制御部152は、方位の算出周期よりも長い周期で方位算出部151に方位データを要求する(ステップST401)。
ステップST401において表示制御部152が方位データを要求したとき、充電器検出部110は充電器200が携帯電子機器100に接続されていることを検出している。そのため、方位算出部151はステップST303で算出した方位データを表示制御部152に出力し(ステップST402)、表示制御部152はこの方位データに応じて表示部107に方位を表示されるように要求する(ステップST403)。この場合、表示部107に表示される方位の情報は、地磁気センサ108の検出結果に基づいた実際の方位を表す情報となる。
【0057】
一方で、ステップ403において、表示制御部152が方位表示の要求をした後、充電器検出部110が、携帯電子機器100から取り外されたことを表示制御部152に通知するステップST501があった場合もある。このような場合、表示制御部152はステップ403のように、方位表示の要求をせず、ステップST404のようにキャリブレーションを行うべき旨を表示部107に表示させる要求をする。
【0058】
携帯電子機器100に接続する外部機器は、図3において説明したコイルスピーカ付の充電器200だけではなく、USB機器、イヤホン、充電用のケーブルのコネクタであってもよい。こういった外部機器は、磁性を帯びる可能性がある金属が使用されており、また、磁石も使用される場合がある。そのため、携帯電子機器100を構成する部品が着磁するおそれがあり、携帯電子機器100に搭載された地磁気センサが誤った方位を算出する原因となるため、地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行う必要があるのである。
【0059】
以上のように本発明は、磁界を発生する外部機器が方位表示機能を有する携帯電子機器に接続された状態から解除された状態になった場合に、地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行わせる旨の情報を携帯電子機器の表示部に表示させることを本旨としている。そのため、外部機器を携帯電子機器から外した場合であっても、誤った方位が算出されることを極力回避することができる。
【0060】
その他に、図1に示した携帯電子機器100の充電は、図3に示した充電器200を使用しなくても行うことができる。
図1に示した携帯電子機器100の外部コネクタTioは、携帯電子機器100をパソコンと接続したりしてデータの入出力を行うという目的の他に、上述のバッテリへの充電回路に接続される第2の充電端子Td(第1の充電端子はTcである)をも有している。この第2の充電端子Tdに接続された商用電源に接続されるACチャージャーからの充電電流を受付け、充電回路へ供給して充電を行うこともできる。
ACチャージャーにもAC/DC変換用などのためにコイルなどが実装されており、多少の磁界変動は発生する。よって、充電器200を使用するときと同様に、携帯電子機器100へのACチャージャーの接続の有から無へ状態変化したときには、同様にキャリブレーション制御を行っても良い。
【0061】
しかしながら、充電器200のようなスピーカ201は有さず、接続有無により大きな磁界変動を生じない場合には、携帯電子機器100の充電回路への電力供給の有判断に加えて、携帯電子機器100への充電器200の物理的な接触有検出や外部コネクタTioの使用している状態の非検出により、充電器200が携帯電子機器100へ接続されていることを制御部150が判断し、このときだけに上述のキャリブレーション制御(キャリブレーションを促す表示や、自動キャリブレーション開始)を行うようにすれば、必要最小限のキャリブレーション制御で済むようになり、ユーザに手間をかけずに済むようになる。
【0062】
以上の説明はすべて、磁界を発生する外部機器が携帯電子機器から外された場合を想定している。しかし、当該外部機器が携帯電子機器に装着された場合も、携帯電子機器がキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知する制御をする、又は、キャリブレーションを自ら行う制御を行ってもよい。
【0063】
また、本実施形態では本発明の携帯電子機器の一例として携帯電子機器100について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、ポータブルゲーム機、ポータブルナビゲーション装置等、地磁気センサを有し方位を検出する携帯電子機器に適用可能である。
本発明の通信端末は携帯電話機に限定されない。例えば、PDA(Personal Digigal Assistants)や携帯型ゲーム機等、通信機能を有する携帯端末に広く本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】携帯電子機器の外観を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電子機器の構成例を示す図である。
【図3】携帯電子機器のバッテリ部の充電を行うスピーカ付き充電器の一例を示す図である。
【図4】待ち受け時における方位の表示例を示す図である。(a)は通常の方位の表示を示す状態であり、(b)はキャリブレーションを行う旨の表示をしている状態である。
【図5】方位の算出と表示に係わる動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
100…携帯電子機器,101…無線通信部,102…GPS信号受信部,103…キー入力部,104…音声処理部,105…スピーカ,106…マイクロフォン,107…表示部,108…地磁気センサ,109…記憶部,110…充電器検出部,111…バッテリ部,150…制御部,151…方位算出部,152…表示制御部,200…充電器,201…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部と、
地磁気を検出する地磁気センサと、
前記地磁気センサが検出した地磁気に基づいて方位を算出し、
当該算出した方位の情報を前記表示部に表示する制御部と、
を備えた携帯電子機器であって、
前記制御部は、
前記携帯電子機器に接続していた磁界を発生する外部機器が前記携帯電子機器から離れた場合は、前記地磁気センサによる方位の算出に対するオフセットのキャリブレーションを行うべき旨をユーザに報知する、又は当該キャリブレーションを自ら行うキャリブレーション制御を行う
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部はキャリブレーションを行うべき旨の情報を前記表示部に表示させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記外部機器との接続を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記外部機器が接続されたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記外部機器は端子を備え、前記検出部は前記端子の間に加わる電圧を監視することにより、前記外部機器との接続を検出する
ことを特徴とする請求項3記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記表示部に方位の情報が表示されている状態で、接続されていた前記外部機器が外されると、前記制御部は前記キャリブレーション制御を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記表示部に方位の情報が表示されていない状態で、接続されていた前記外部機器が外された場合、前記制御部は前記表示部に方位の情報を表示する際に前記キャリブレーション制御を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記携帯電子機器に接続する外部機器は磁石を備えている
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記携帯電子機器に接続する外部機器はコイルスピーカ付充電器であり、前記外部機器に備えられている磁石は、前記コイルスピーカの磁石である
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記携帯電子機器に接続する外部機器はUSB機器、イヤホン、充電用のケーブルのコネクタである
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
地磁気センサが検出した地磁気に基づく方位を含む情報を表示する表示部を備えた携帯電子機器の制御方法であって、
前記携帯電子機器に接続可能な磁界を発生する外部機器の接続状態を判別するステップと、
前記接続状態が、接続された状態から解除された状態に変わると、前記表示部に着磁による前記地磁気センサによる方位の表示に関してオフセットのキャリブレーションを行うべき旨の情報を前記表示部に表示させるステップと、
を有することを特徴とする携帯電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−232415(P2007−232415A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51380(P2006−51380)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】