説明

携帯電子機器及びキー構造

【課題】大型化かつ薄型化された多方向キーにおいて、キートップとインナーフレームとの干渉を阻止する携帯電子機器及びキー構造を提供する。
【解決手段】インナーフレーム45を適度な強度と弾性とを併せ持つ材料により形成し、4つの開口部451−1〜451−4付近に4つの孔部455−1〜455−4を形成することにより、MFキー41の角部である領域B−1〜B−4に押圧力が掛けられたときには、インナーフレーム45の孔部455−1〜455−4付近がベースシート46の方向に若干変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の押圧スイッチが1つのキートップにより押下可能である携帯電子機器及びキー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯電子機器では、多機能化が進んでおり、それに伴って搭載されるキー・ボタン類の数が増加している。したがって、各キー・ボタンに割り当てられるスペースは小さくなり、キー・ボタン類の小型化が強く要求されている。このため、複数のキーのキートップを筐体から露出させるための開口部において、複数のキー間の枠(フレーム)を取り払ったキー構造(フレームレスキー)の採用が増加している。
このようなキー構造としては、例えば特許文献1及び2に開示されたキーボタン構造がある。
特許文献1には、ベースラバーの縦横方向に複数形成されたキーボタン部の周囲を囲むとともに各キーボタン部間を仕切る形状をなして、ベースラバー上に重ねられる中フレームを備えるキーボタン構造が開示されている。
特許文献2には、開口部を有する送話筐体と、送話筐体内部に設けられ、複数の押圧スイッチを有するFPCと、複数の押圧スイッチに被せられ、送話筐体内部に設けられるキーシートと、キーシート上に複数の押圧スイッチに対応して設けられ、開口部から露出する複数の各種キーとを備え、キーシートが、送話筐体に取り付けられた際に、各種キーを有する部位が筐体内側方向に付勢されるように構成された携帯電子機器が開示されている。
【特許文献1】特開2006−147292号公報
【特許文献2】特開2007−141076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
携帯電子機器では、小さいキー構造に多くの機能を割り当てるために、十字キーやマルチファンクションキーのように、多方向への入力を受け付ける多方向キー(以下MFキーと称する)と呼ばれる、1つのキートップで複数のスイッチを押下する形式のキー構造が配設されていることが多い。
携帯電子機器には小型化・薄型化の強い要求があるため、MFキー部分も小型化・薄型化の試みがなされている。また、押しやすさを考慮してMFキーの大型化の要求もあり、MFキーを大型化する場合には、強度的な視点から複数のキー間のフレームを有する構造とする必要がある。
【0004】
ここで、複数のキー間のフレームを有するMFキーにおいて、キートップが押下されたときにキートップとフレームとが干渉し、MFキーの複数のスイッチすべてが正常に押下されない事態が生じる場合があった。
【0005】
以下、具体的に説明する。
図6は、従来のMFキーを含むキー構造の一例を示す図である。
図6では、MFキーを含むキー構造の一例として、携帯電話機のテンキー、MFキー、ファンクションキー(MFキーの左右に設けられた多機能キー)の構造を示している。
図6(a)は従来のキー構造の一例としてキー構造200を示した斜視図である。
図6(a)に示すように、キー構造200を構成するキーは、MFキー201、決定キー202、ファンクションキー203、テンキー204である。
図6(b)は、キー構造200の分解斜視図である。
図6(b)に示すように、キー構造200はキートップ210、インナーフレーム211、ベースシート212、FPC(フレキシブルプリント基板)213を有する。FPC213には、入力を受け付ける複数のスイッチ214が形成されている。
【0006】
図6(a)及び図6(b)に示すように、MFキー201は、4つのスイッチ214と、これらを押下するためにベースシート212に形成された4つの押し子と、これら4つの押し子すべてを覆うMFキーのキートップ210が、4つの孔部を有するインナーフレーム211に取り付けられて構成されている。
【0007】
ここで、例えば図6(a)に示した点Aの位置、つまりMFキー201の角部に押圧力がかけられた場合、すなわち、MFキー201の4つのスイッチ214のうちの隣接する2つが同時に押下されようとした場合、図6(b)に示すように、図6(a)の点Aの位置にはインナーフレーム211のフレーム部分が通っているため、キートップ210とインナーフレーム211とが干渉しあい、掛けられた押圧力がうまく押し子に伝わらずにスイッチ214が同時押しとして認識できない、という事態が生じることがあった。
【0008】
本発明は、上述した事態を回避するために、大型化かつ薄型化された多方向キーにおいて、キートップとインナーフレームとの干渉を阻止する携帯電子機器及びキー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、第1の発明の携帯電子機器は、開口部を有する筐体と、前記筐体内部に設けられ、複数の押圧スイッチを有するキー基板と、前記複数の押圧スイッチに被せられ、前記筐体内部に設けられるキーシートと、を備える携帯電子機器であって、前記キーシートは、弾性を有し、前記複数の押圧スイッチに対応して複数の押し子がキー基板側の面に形成されるベースシートと、前記開口部から露出し、前記ベースシートの前記開口部側の面に前記複数の押し子をすべて覆うように配設される多角形状のマルチキートップと、前記ベースシートに積層的に取り付けられるインナーフレームと、を含んで構成されており、前記押圧スイッチは、前記マルチキートップの隣り合う2つの角部の間の領域に位置するように配設され、前記インナーフレームは、前記マルチキートップの各角部に対応した領域に開口した第1の孔部を有する。
【0010】
好適には、前記インナーフレームには、前記複数の押圧スイッチに対応した領域に第2の孔部が形成され、前記ベースシートには、前記複数の押し子のそれぞれの裏面側に突出部が形成され、各突出部は前記第2の孔部を挿通し、各突出部の頂点に前記マルチキートップが配置される。
【0011】
好適には、前記第1の孔部は、前記インナーフレームにおいて前記マルチキートップの周縁部よりも外側に形成されている。
【0012】
好適には、前記キー基板には、前記複数の押圧スイッチに囲まれる領域の内側に、中央押圧スイッチが配設され、前記ベースシートには、当該中央押圧スイッチに対応した位置に中央押し子がさらに形成され、前記キーシートは、当該中央押し子を押下可能である中央キートップをさらに有する。
【0013】
好適には、前記キー基板には、前記複数の押圧スイッチに囲まれる領域の内側に、中央押圧スイッチが配設され、前記ベースシートには、当該中央押圧スイッチに対応した位置に中央押し子がさらに形成され、前記マルチキートップは、当該中央押し子をも押下可能である。
【0014】
好適には、前記キー基板には、前記複数の押圧スイッチに囲まれる領域の外側に少なくとも1つの他の押圧スイッチが配設され、前記ベースシートには、当該他の押圧スイッチに対応して配置される少なくとも1つの他の押し子がさらに形成され、前記キーシートは、当該他の押し子を押下可能である少なくとも1つの他のキートップをさらに有する。
【0015】
好適には、押圧スイッチを有するキー基板に被せられ、携帯電子機器の筐体内部に配設されるキー構造であって、弾性を有し、前記複数の押圧スイッチに対応して複数の押し子がキー基板側の面に形成されるベースシートと、前記筐体の開口部から露出し、前記ベースシートの前記開口部側の面に前記複数の押し子をすべて覆うように配設される多角形状のマルチキートップと、前記ベースシートに積層的に取り付けられるインナーフレームと、を有し、前記押圧スイッチは、前記マルチキートップの隣り合う2つの角部の間の領域に位置するように配設され、前記インナーフレームは、前記マルチキートップの各角部に対応した領域に開口した第1の孔部を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マルチキートップとインナーフレームとの干渉を阻止する携帯電子機器及びキー構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の携帯電子機器の実施形態として、携帯端末100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る携帯端末100を示す外観斜視図である。
本実施形態では、携帯端末100は折り畳み式の携帯電話機であり、図1(a)は開状態を、図1(b)は閉状態をそれぞれ示している。
【0018】
図1に示すように、携帯端末100は、上部筐体101と、下部筐体102とを備えており、それぞれの端部がヒンジ部103により連結されている。上部筐体101と、下部筐体102とは、ヒンジ部103を中心として開閉可能に構成されている。
上部筐体101及び下部筐体102は、それぞれ概ね薄型直方体に形成されており、閉状態では互いに重ね合わされ、一方の筐体側から他方の筐体側を見たときに互いの輪郭がほぼ一致するようになっている。
【0019】
上部筐体101には、正面(閉状態において下部筐体102と対向する面)に表示部1が設けられている。表示部1は、例えば液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイによって構成されている。
【0020】
下部筐体102は、閉状態で上部筐体101に対向するフロントケース10と、その背面側のリアケース20とを備えている。フロントケース10及びリアケース20は、例えば樹脂によりそれぞれ成形されている。
【0021】
下部筐体102には、ユーザの操作を受け付ける操作部2が設けられている。
操作部2は、キートップとして、MFキー41(本発明のマルチキートップに対応)、決定キー42、テンキー43、ファンクションキー44を備えており、これらの各種キーはフロントケース10より露出している。なお、以下では、操作部2の説明において、上部筐体101を上側に、下部筐体102を下側にして操作部2を正面から見たときの上下左右を、操作部2の上下左右とする。
【0022】
図2は、下部筐体102内部の概略構成を示す分解斜視図である。下部筐体102においては、フロントケース10、キーアセンブリ40(本発明のキーシートに対応)、基板アセンブリ50、リアケース20の順に積層される。キーアセンブリ40及び基板アセンブリ50は、フロントケース10とリアケース20とをねじ等により互いに固定することにより、フロントケース10及びリアケース20に挟まれて固定される。
【0023】
基板アセンブリ50は、回路基板51と、回路基板51のキーアセンブリ40側に被せられるシールドケース52と、シールドケース52上に配置されるフレキシブルプリント配線板(FPC、本発明のキー基板に対応)53とを備えている。
【0024】
回路基板51は、例えば、硬質の樹脂をベースとした回路基板である。回路基板51には、無線通信を行うための高周波回路、携帯端末100全体の動作を制御する制御回路等、各種の電子回路、電気素子が設けられている。
【0025】
シールドケース52は、例えば金属により形成されており、回路基板51に被せられるとともに回路基板51のグランド層に電気的に接続され、高周波回路等の回路基板51に設けられた各種の電子回路や電気素子をシールドしている。シールドケース52は、例えば略矩形の箱体状に形成され、回路基板51に平行でFPC53が載置される天面及び天面の周囲を囲む側面を有している。
【0026】
FPC53は、キーアセンブリ40側に、複数のメタルドームスイッチ47(本発明の押圧スイッチに対応)を備えている。FPC53は図示しない信号線を介して回路基板51と電気的に接続されており、メタルドームスイッチ47の押圧に対応する信号を回路基板51の制御回路に出力する。メタルドームスイッチ47は、例えば、MFキー41の上下左右に対応して4個、決定キー42に対応して1個、1個のテンキー43に対応して1個(合計15個)、1個のファンクションキー44に対応して1個(合計4個)、FPC53上に配置されている。
【0027】
図3は、キーアセンブリ40の斜視図であり、図3(b)は、キーアセンブリ40の分解斜視図である。なお、以下、図3(a)における紙面上方側の面を天面、その裏側、すなわち、図3(b)紙面上方側の面を裏面とする。
【0028】
キーアセンブリ40は、キートップ(MFキー41、決定キー42、テンキー43、ファンクションキー44)、インナーフレーム45、ベースシート46により構成される。
キートップ41〜44は、例えばABS樹脂などの硬質の材質により形成される。
キートップ41〜44は、互いに隣接(連続)して配置されている。例えば、具体的には、MFキー41の中央に決定キー42(本発明の中央キーに対応)が配置され、MFキー41の左右に2つずつファンクションキー44が隣接し、MFキー41及びファンクションキー44の下方にはテンキー43が隣接している。テンキー43は、例えば5行3列のマトリックス状に配列されている。そして、キートップ41〜44は、図1及び図3に示すように、フロントケース10に設けられた開口部11から共に露出している。
【0029】
MFキー41は、図3に示すように、上下左右方向にそれぞれ1つずつ配置された4つのメタルドームスイッチ47を覆うキートップであり、例えばユーザの上下左右方向を指示する入力を受け付ける。
決定キー42は、MFキー41に対応する4つのメタルドームスイッチ47の内側の1つのスイッチを覆うキートップであり、例えばユーザの決定動作を指示する入力を受け付ける。
テンキー43は、例えば0〜9までの数字等にそれぞれ対応した15個のキートップであり、例えばユーザの数字入力や文字入力を受け付ける。
ファンクションキー44は、例えば発信キーやメール動作キー、アプリケーション起動キー、電源ON/OFFキー等の機能が割り当てられた4個のキートップである。
【0030】
インナーフレーム45は、ベースシート46と同程度の広さのシート状に形成された金属等の枠材であり、ある程度の弾性を有する。インナーフレーム45には、各キートップに対応した開口部451〜454が形成されている。
開口部451はMFキー41に、開口部452は決定キー42に、開口部453はテンキー43に、開口部454はファンクションキー44に対応している。
【0031】
ベースシート46は、例えばシリコンゴムなどの軟質の材料により形成されている。ベースシート46は、図3(b)に示すように、概ね矩形のシート状に形成され、複数のメタルドームスイッチ47にそれぞれ対応する位置に、キートップ41〜44側へ突出する独立した突出部461〜464を有している。突出部461はMFキー41に、突出部462は決定キー42に、突出部463はテンキー43に、突出部464はファンクションキー44に対応している。
【0032】
ベースシート46の裏面側の各突出部461〜464に対応する位置には、複数のメタルドームスイッチ47に対応して押し子465〜468が形成されている。すなわち、各押し子465〜468はそれぞれ対応するメタルドームスイッチ47に接触している。各種キートップ41〜44は、それぞれ対応する突出部461〜464に対して例えば接着剤等により接合されているため、各種キートップ41〜44が押下されることにより、突出部461〜464が押圧され、対応する押し子465〜468を介して対応するメタルドームスイッチ47が押圧される。
キートップ41〜44、インナーフレーム45、ベースシート46、メタルドームスイッチ47により携帯端末100の操作部2としてのキー構造が構成され、キー構造の構成要素が上述したように動作することにより操作部2における操作入力が実行される。
【0033】
以下、MFキー41とこれに対応するキー構造の各構成要素について詳細に説明する。
図4は、MFキー41とこれに対応するキー構造の構成要素の詳細を説明するための図である。
図4に示すように、MFキー41の1つのキートップに対して、インナーフレーム45には4つの開口部451−1〜451−4(本発明の第2の孔部に対応)が形成され、ベースシート46には4つの突出部461−1〜461−4とその裏面に4つの押し子465−1〜465−4が形成されている。これら4つの押し子465−1〜465−4は、それぞれ異なるメタルドームスイッチ47−1〜47−4と接触している。
すなわち、MFキー41は、1つのキートップで4つのメタルドームスイッチ47−1〜47−4を覆っており、MFキー41の上下左右の部位それぞれが異なる入力を受け付けるようになっている。
【0034】
ここで、MFキー41に対応するインナーフレーム45の4つの開口部451−1〜451〜4付近には、例えばL字型をした4つの孔部455−1〜455−4(本発明の第1の孔部に対応)が1つずつ空けられている。この孔部455−1〜455−4は、MFキー41の角部(図4に示す領域B−1〜B−4)に押圧が掛けられた時、すなわち、MFキー41により入力可能な4つの入力のうち2つを同時に入力しようとする(同時押しの)場合に、キートップ41とインナーフレーム45の隣接する2つの孔部の間にある枠部分(図4に示す領域C−1〜C−4)とが接触・干渉し、押圧力が突出部461−1〜461−4を介してメタルドームスイッチ47−1〜47−4までうまく伝わらず、同時押しが認識されない事態を回避するためのものである。
【0035】
図5は、MFキー41の角部である領域B−1に押圧力が掛けられたときのキー構造の各構成要素の動作を説明するための図である。
図5は、図4における線D−D’における断面図であり、MFキー41の角部の1つである領域B−1に押圧力が掛けられている場合を示している。図5に示すように、インナーフレーム45の対応する箇所(図5に示した領域E−1)には上述した孔部455−1が空けられているため、領域E−1付近は弾性が増しており、領域B−1に対する押圧力に対して変形可能となるように構成されている。このため、MFキー41の領域B−1に掛けられた押圧力が、インナーフレーム45の開口部451−1と451−2の間にある枠部分(図4に示す領域C−1)とMFキー(キートップ)41の領域B−1の裏面部と干渉することにより、押圧力がうまく伝わらない事態を回避することができる。
なお、インナーフレーム45は、キー構造の剛性を上げるために、ある程度の強度を有する材料で形成されているが、孔部455−1〜455−4付近では、MFキー(キートップ)41に掛かる押圧力に応じて変形が可能な程度の弾性を有するように、孔部455−1〜455−4の大きさ・幅等が決定されることが好ましい。
【0036】
すなわち、本実施形態の携帯端末100においては、インナーフレーム45を適度な強度と弾性とを併せ持つ材料により形成し、4つの開口部451−1〜451−4付近に4つの孔部455−1〜455−4を形成することにより、MFキー41の角部である領域B−1〜B−4に押圧力が掛けられたときには、インナーフレーム45の孔部455−1〜455−4付近がベースシート46の方向に若干変形し、これによりMFキーのキートップ41とインナーフレーム45の隣接する2つの開口部の間にある枠部分とが接触・干渉することにより、押圧力がメタルドームスイッチ47まで伝達されない、という事態を回避することができ、好適に同時押しを認識することができる。
【0037】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0038】
上述した実施形態では、決定キー42はMFキー41とは独立していたが、本発明では決定キーとMFキーとは同一のキーでもよい。すなわち、MFキーが覆う4つのメタルドームスイッチの中央に位置するスイッチを、MFキーと独立した決定キーではなく、MFキーの中央部の押下により操作されるように構成してもよい。
【0039】
上述した実施形態では、携帯電子機器の一例として、折り畳み式の携帯電話である携帯端末100について説明したが、本発明はこれには限定されない。例えば、折り畳み式でなくストレート形、スライド型等、他の形式の携帯電子機器であってもよい。また、携帯電話だけでなく、PDA(Personal Digital Assistant)等、カメラを有する他の携帯電子機器であってもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、MFキー(マルチキートップ)41が、四角形状とされ、4つの押圧スイッチに対応して配設された4つの押し子を覆うように配設され、各押圧スイッチ及び各押し子が四角形状のMFキー41の隣り合う角部の間の領域に位置するように配設された構成としたが、本発明は当該構成に限定されるものではない。例えば、MFキー(マルチキートップ)が三角形状とされ、3つの押圧スイッチに対応して配設された3つの押し子を覆うように配設され、各押圧スイッチ及び各押し子が三角形状のMFキーの隣り合う角部の間の領域に位置するように配設された構成であってもよい。すなわち、MFキーが三角形状や四角形状や五角形状等の多角形状とされ、MFキーの隣り合う2つの角部の間の領域に押圧スイッチ及び押し子がそれぞれ配設されて、多角形状のMFキーが各押圧スイッチ及び押し子を覆うように配設される構成であってもよい。そして、インナーフレーム45には、これら多角形状のMFキーの各角部に対応した領域に各角部に沿った形状で開口される孔部が形成されるように構成することで、上述した実施形態と同様の作用効果が得られることとなる。その他の構成においても、上述した実施形態での構成に対応する構成とすればよい。
なお、各角部に対応した領域に形成される孔部は、MFキーの各角部に沿った形状に限定されることなく、MFキーとインナーフレームとの干渉が抑制されるような形状にて開口されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の携帯端末を示す外観斜視図である
【図2】図2は、下部筐体内部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、キーアセンブリの斜視図である。
【図4】図4は、MFキーとこれに対応するキー構造の構成要素の詳細を説明するための図である。
【図5】図5は、MFキーの角部に押圧力が掛けられたときのキー構造の各構成要素の動作を説明するための図である。
【図6】図6は、従来のMFキーを含むキー構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
100…携帯端末、101…上部筐体、102…下部筐体、103…ヒンジ部、1…表示部、2…操作部、10…フロントケース、11…開口部、20…リアケース、40…キーアセンブリ、41…MFキー、42…決定キー、43…テンキー、44…ファンクションキー、45…インナーフレーム、451〜454…開口部、455…孔部、46…ベースシート、461〜464…突出部、465〜468…押し子、47…メタルドームスイッチ、50…基板アセンブリ、51…回路基板、52…シールドケース、200…キー構造、211…インナーフレーム、212…ベースシート、213…FPC、214…スイッチ、201…MFキー、202…決定キー、203…ファンクションキー、204…テンキー、210…キートップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
前記筐体内部に設けられ、複数の押圧スイッチを有するキー基板と、
前記複数の押圧スイッチに被せられ、前記筐体内部に設けられるキーシートと、
を備える携帯電子機器であって、
前記キーシートは、
弾性を有し、前記複数の押圧スイッチに対応して複数の押し子がキー基板側の面に形成されるベースシートと、
前記開口部から露出し、前記ベースシートの前記開口部側の面に前記複数の押し子をすべて覆うように配設される多角形状のマルチキートップと、
前記ベースシートに積層的に取り付けられるインナーフレームと、
を含んで構成されており、
前記押圧スイッチは、前記マルチキートップの隣り合う2つの角部の間の領域に位置するように配設され、
前記インナーフレームは、前記マルチキートップの各角部に対応した領域に開口した第1の孔部を有する
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記インナーフレームには、前記複数の押圧スイッチに対応した領域に第2の孔部が形成され、
前記ベースシートには、前記複数の押し子のそれぞれの裏面側に突出部が形成され、各突出部は前記第2の孔部を挿通し、各突出部の頂点に前記マルチキートップが配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1の孔部は、前記インナーフレームにおいて前記マルチキートップの周縁部よりも外側に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記キー基板には、前記複数の押圧スイッチに囲まれる領域の内側に、中央押圧スイッチが配設され、
前記ベースシートには、当該中央押圧スイッチに対応した位置に中央押し子がさらに形成され、
前記キーシートは、当該中央押し子を押下可能である中央キートップをさらに有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記キー基板には、前記複数の押圧スイッチに囲まれる領域の内側に、中央押圧スイッチが配設され、
前記ベースシートには、当該中央押圧スイッチに対応した位置に中央押し子がさらに形成され、
前記マルチキートップは、当該中央押し子をも押下可能である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記キー基板には、前記複数の押圧スイッチに囲まれる領域の外側に少なくとも1つの他の押圧スイッチが配設され、
前記ベースシートには、当該他の押圧スイッチに対応して配置される少なくとも1つの他の押し子がさらに形成され、
前記キーシートは、当該他の押し子を押下可能である少なくとも1つの他のキートップをさらに有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
押圧スイッチを有するキー基板に被せられ、携帯電子機器の筐体内部に配設されるキー構造であって、
弾性を有し、前記複数の押圧スイッチに対応して複数の押し子がキー基板側の面に形成されるベースシートと、
前記筐体の開口部から露出し、前記ベースシートの前記開口部側の面に前記複数の押し子をすべて覆うように配設される多角形状のマルチキートップと、
前記ベースシートに積層的に取り付けられるインナーフレームと、
を有し、
前記押圧スイッチは、前記マルチキートップの隣り合う2つの角部の間の領域に位置するように配設され、
前記インナーフレームは、前記マルチキートップの各角部に対応した領域に開口した第1の孔部を有する
ことを特徴とするキー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−123632(P2009−123632A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298702(P2007−298702)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】