説明

携帯電子機器及び通信システム

【課題】従来に比して、より自身に適した制御が行われることを可能とする携帯電子機器及び通信システムを提供すること。
【解決手段】複数の機能を有する携帯電子機器であって、外部装置から送信される所定の機能の機能制限を要求する機能制限要求信号を受付ける通話用マイク112と、前記通話用マイク112によって受付けられた機能制限要求信号を解析し、前記複数の機能の中から当該機能制限要求信号に応じて機能制限する所定の機能を選択し、当該選択された所定の機能を制限する制御部117と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の信号を受付可能な携帯電子機器及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機が市場に普及すると同時に、例えば電車内などの公共の場において携帯電話機が使用されるといった悪いマナーが問題視されている。
【0003】
このような問題に対応して、例えば特許文献1に記載された技術による対策が提案されている。この技術は、RFID(Radio Frequency Identification)送信機によって特定のエリアに存在する携帯電話機の機能を制限するというものである。
【特許文献1】特開2003−087399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に記載されている技術は、送信機から発信された要求を、携帯電話機の制御部がそのまま行うというものであった。従って、携帯電話機が有する複数の機能を制限するように要求するには、送信機は多数の要求信号を放送しなければならなかった。従って、携帯電話機の制御部は、送信機の要求に基づいて、所定の機能を最適に制限することが難しかった。
【0005】
本発明は係る問題に対してなされたものであり、従来に比して、より自身に適した制御を行うことを可能とする携帯電子機器及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係る携帯電子機器は、複数の機能を有する携帯電子機器であって、外部装置から送信される所定の機能の機能制限を要求する機能制限要求信号を受付ける受付部と、前記受付部によって受付けられた機能制限要求信号を解析し、前記複数の機能の中から当該機能制限要求信号に応じて機能制限する所定の機能を選択し、当該選択された所定の機能を制限する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
さらに好適には、前記携帯電子機器は、前記所定の機能の起動を受け付ける入力部を備え、前記制御部は、前記所定の機能の起動が前記入力部より受け付けられたとき、前記受付部による前記機能制限要求信号の受信の有無を確認し、前記受付部が前記機能制限要求信号を受信し、当該受信された前記機能制限要求信号が前記所定の機能を制御するものであると解析した場合、前記所定の機能を起動させないことを特徴とする。
【0008】
さらに好適には、前記携帯電子機器は、前記受付部は、音波受付部であり、前記機能制限要求信号は、音波からなる信号であることを特徴とする。
【0009】
さらに好適には、前記携帯電子機器は、無線通信部を備え、前記音波受付部は、前記無線通信部によって行われる音声送話に用いられる通話用マイクであることを特徴とする。
【0010】
さらに好適には、前記所定の機能はカメラ部及び無線通信部の少なくとも一方で、前記制御部は、前記機能制限要求信号に基づいて前記所定の機能を制限することを特徴とする。
【0011】
本願発明の題2の観点による通信システムは、前記携帯電子機器と、前記機能制限要求信号を発信する情報発信部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
さらに好適には、前記通信システムは、前記情報発信部は、所定の可聴音を発生させることが可能な放送用スピーカであり、前記受付部は、前記所定の可聴音を受付け可能な通話用マイクである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来に比して、より自身に適した制御が行うことを可能とする携帯電子機器及び通信システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明における携帯電子機器の実施形態の一つである携帯電話機100の正面の斜視図である。
【0016】
携帯電話機(携帯電子機器)100は、扁平の略直方体状に形成される第1筐体101及び第2筐体102を有し、これらを重ねるように折り畳み可能なフォルダ型携帯電話として構成されている。図示のように、第1筐体101及び第2筐体102は、各々その長手方向を上下方向とし、第1筐体101の上辺部に第1ヒンジ部を備えると共に、第2筐体102の下辺部に第2ヒンジ部を備え、これら第1ヒンジ部、第2ヒンジ部及び不図示のヒンジ軸によって、ヒンジ機構106が形成される。
【0017】
第1筐体101の前面には各種の操作ボタンからなる操作部105(指示部)が配列されると共に、前面下部に通話用マイク112が配設されている。また、第2筐体102の前面には液晶表示装置等の表示部103が配設されると共に、前面上部に通話用スピーカ113が配設されている。
【0018】
図2は、携帯電話機100の背面の斜視図である。 HYPERLINK "http://www8.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=235&N0500=4E#N/;%3E9%3E7?==%3C///&N0001=18&N0552=9&N0553=000004" \t "tjitemdrw" 図2に示すように、第1筐体101の背面には着脱可能なバッテリが収納されるバッテリ収納部121、背面上部には、向かって左側に着信音用スピーカ122が、右側に伸縮可能のアンテナ123が各々配設されている。また、第2筐体102の背面の中央部には時刻や着信を表示する液晶表示装置等の簡易表示部124が配設され、第2筐体102の背面のヒンジ機構106側には、横長長丸状の窓部125が設けられている。この窓部125には、第2筐体102に内装されるカメラ部126のレンズ窓が設けられている。そして、この携帯電話機100は、レンズ窓を被写体に向け、所定の操作ボタンを操作することで、表示部103内に表示される被写体の画像を撮影することが可能となっている。なお、カメラ部126の隣にはミラーが設けられ、携帯電話機100の使用者が自らを撮影する際の構図等を確認できるようにされている。
【0019】
図3は、携帯電話機100の主要な構成を示したブロック図である。
【0020】
表示部103は、前述したとおり第2筐体102に配置され、例えばアドレス帳、受信メール内容などを制御部117の制御に従って表示する。
【0021】
操作部105は、前述したとおり操作ボタンを備え、第1筐体101に配置される。操作部105は、ユーザによって操作ボタンが押下されると、その押下を入力信号へと変換し制御部117へと伝える。
【0022】
通話用マイク112は、アンテナ123にて通信を行う通信相手に送信する音声情報の入力を受け付ける。具体的には、通話用マイク112から入力された音声は、音声信号に変換され、当該音声信号は、制御部117及び通信部115(無線通信部)によって通信信号へ変換される。変換された後の通信信号は、アンテナ123を介して外界へ電磁波として発信され、基地局を介して通話相手の用いている通信装置へと送信される。
【0023】
通話用スピーカ113は、通話用マイク112とは逆に、アンテナ123にて通信を行う通信相手から受信する音声を出力する。具体的には、基地局を介して通話相手の通信装置から送信される電波をアンテナ123が受信して電気信号へと変換する。この電気信号は、通信部115及び制御部117によって復号され、音声信号へ変換されてから通話用スピーカ113に伝達される。そして、この音声信号は、通話用スピーカ113によって音声として出力される。
【0024】
カメラ部126は、外界の映像を撮像するために用いられる。具体的には、ユーザによってカメラ部起動の操作を操作部105が受け付けると、制御部117は、カメラ部126を起動する。同時に、制御部117は、表示部103にカメラ部126によって撮影されている画像をリアルタイムで表示させる(プレビュー画像)。そして操作部105より撮影の操作を受け付けた際、制御部117は、カメラ部126によって撮影されている映像を不図示の記憶部に記憶させる。
【0025】
制御部117は、前述したように他の電子部品の制御を行う。具体的には、制御部117は、例えばカメラ部126によって撮影された映像のデータを表示部103へ表示させたり、操作部105から電話通信開始の入力を受け付けると、通信部115に基地局との交信を行わせたりする。
【0026】
図4は、本願発明の1実施形態である携帯電話機100によって、カメラ部126の機能を制限する様子を示したシーケンス図である。
【0027】
最初、操作部105によってカメラ部126の起動を受け付ける(S401)。次に、制御部117は、通話用マイク112を起動し、通話用マイク112に外界の音を集音させ、その音に対して音声認識を開始させる(S402)。通話用マイク112が外界の音に対して音声の受付けを開始した後、制御部117は、通話用マイク112がカメラ禁止音声(機能制限要求信号)を受付けたかどうかの問い合わせを行い、当該問い合わせに対して通話用マイク112は、制御部117へ受付けた結果を伝える(S403)。
【0028】
前記受付けた結果を通話用マイク112より伝達された制御部117は、通話用マイク112の認識した音声が機能制限要求信号の音声であった場合(S404/Yes)、通話用マイク112に音声認識を中止させ(S405)、同時にカメラ部126の起動を行わない旨を表示部103に表示させて一連の動作を終了する(S406)。
【0029】
また、逆に通話用マイク112の認識した音声が機能制限要求信号でなかった場合(S404/Yes)、制御部117は、カメラ部126を起動させる。つまり、制御部117は、カメラ部126による撮影を制限せず、ユーザがカメラ部126を使用できる状態にする(S407)。
【0030】
前述したようにカメラ部126を起動した後も、通話用マイク112は、起動し続ける。そして、通話用マイク112がカメラ禁止音声を認識した際、通話用マイク112は、制御部117へカメラ禁止音声を認識したことを伝達する(S408)。この通知を受けた制御部117は、カメラ部126の機能を停止し(S409)、カメラの機能が制限されたことを表示部103に表示させる。同時に、制御部117は、通話用マイク112及び一連の動作も終了させる(S405、S406)。
【0031】
このようにして、本願発明の一実施形態である携帯電話機100は、特定のエリア(カメラ禁止音声が放送されている場所)においてカメラ部126が使用されようとしたとき、その使用を抑制することが可能となる。また、特定のエリアではない場所においてカメラ部126が起動され、カメラ部126の起動が維持されたまま特定のエリアに携帯電話機100が持ち込まれたとしても、通話用マイク112は、常にマイク禁止音声が放送されていないかどうかを監視している。従って、ユーザは、特定のエリア内ではカメラ部126を使用出来ないようになっている。
【0032】
図5は、本願発明の様々な実施形態を示した図である。
【0033】
図5(a)は、携帯電話機100が備えている所定の機能がカメラ部126である場合の実施形態について示したものである。この場合、特定のエリアに備え付けられている放送用スピーカ200(情報発信部)から放送される機能制限要求信号の音声を受信することによって、携帯電話機100の制御部117は、カメラ部126の機能を制限することが可能となる。
【0034】
図5(b)は、携帯電話機100が備えている所定の機能が通信部115である場合の実施形態について示したものである。この場合、特定のエリアに備え付けられている放送用スピーカ200(情報発信部)から放送される機能制限要求信号の音声を受信することによって、携帯電話機100の制御部117は、通信部115の機能を制限することが可能となる。従って、特定のエリアから例えばメール又は音声通信等によって他社と通信を行うことは不可能となるために、特定のエリア内の情報は、漏洩することがなくなる。
【0035】
また、図5(c)は、携帯電話機100に備えられている所定の機能がカメラ部126及び通信部115である場合の実施形態について示したものである。特定のエリアに備え付けられている放送用スピーカ200(情報発信部)から放送される機能制限要求信号の音声を受信することによって、携帯電話機100の制御部117は、通信部115及びカメラ部126の両方の機能を制限することが出来る。この実施形態においては、放送用スピーカ200から放送される機能制限要求信号によって、カメラ部126及び通信部115どちらによる情報流出も防がれる為に、携帯電話機100の制御部117は、特定のエリアからの情報の漏洩をより強固に防ぐことが可能となる。
【0036】
このように、制御される放送用スピーカ200から放送される一種類の機能制限要求信号に応じて、異なる所定の機能を有する複数種類の携帯電話機100の所定の機能の機能制限を、それぞれの制御部117が行うことが可能となる。
【0037】
なお、このときに放送される音声は、可聴音でもよいし超低周波の音波、または超高周波の音波であってもよい。
【0038】
以上、本願発明の一実施形態による構成によって、従来に比して、より自身に適した制御が行われることを可能とする携帯電子機器及び通信システムを提供することが可能となる。
【0039】
具体的には、取得される外部情報を解析することにより、制御部117が制御判断を行うため、例えば通信部115のみ有している携帯電話機100の制御部117は、機能制限要求信号に基づいて、通信部115のみを機能制限する。また、通信部115及びカメラ部126を有している携帯電話機100の制御部117は、機能制限要求信号に基づいて、通信部115及びカメラ部126の両者を機能制限するということが可能となる。
【0040】
また、本願発明の一実施形態において、携帯電話機100に備えられた機能の制限は、音声情報に基づいて行われる。この方法は、例えば電波情報に基づく機能制限に比して以下の点で優れている。
【0041】
例えば電波によってカメラ部126を遠隔制御しようとした場合、携帯電話機100が例えばわずか厚さ数ミリメートルの金属によって覆われたとしても、電波は遮断されてしまう。従って、このような場合には携帯電話機100を遠隔制御できないために、簡単に持ち込み禁止エリアにおいてカメラは使用されてしまう。しかしながら、音波は、例えば数ミリメートル程度の壁ならば通り抜けることが可能なため、何かしらの遮蔽物によって携帯電話機100が覆われたとしても、携帯電話機100のマイクに音波が到達する可能性は、電波が到達する可能性よりも大きい。従って、本発明は、電波情報による制御よりも確実に特定のエリア内におけるカメラ撮影を防ぐことが可能となる。
【0042】
また、音声情報の受付に通話用マイク112を用いることによって、従来からある部品は転用されることが可能となる。従って、組み立て工数及び部品配置スペースは、節約されることが可能となる。
【0043】
また、通信部115のみが携帯電話機100に備えられていれば、制御部117は、通信部115を制限し、通信部115に加えてカメラ部126も備えられていれば、制御部117は、カメラ部126を制限する、という構成を本実施形態は有している。従って、制御部117は、制御される携帯電話機100の種類に応じた最適な制限を行うことが可能となる。
【0044】
また、通話用マイク112が可聴音による所定の音波に基づいて音声認識を行う場合、放送用スピーカ200は、現在市場に広く流通しているラウドスピーカなどでカメラ部126及び通信部115の少なくとも一方の制御が可能となる。従って、本願発明にかかる通信ステム導入のコストが小さくなるという効果を奏する。
【0045】
なお、本願発明は前述した実施形態に限定されない。例えば、放送用スピーカ200より放送される音声は、人間の聞こえない音(可聴領域外の音)であってもよい。この構成は、特定のエリア内の静寂を保つことを可能とする。また、放送用スピーカ200から発せられる音声が、特定のエリア内にいる人達の会話等を妨げないという効果をも、本願発明は奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】携帯電話機100の正面の斜視図である。
【図2】携帯電話機100の背面の斜視図である。
【図3】携帯電話機100の主要な構成を示したブロック図である。
【図4】携帯電話機100によって、カメラ部126の機能を制限する様子を示したシーケンス図である。
【図5】本願発明の様々な実施形態を示した図である。
【符号の説明】
【0047】
100 携帯電話機
101 第1筐体
102 第2筐体
103 表示部
105 操作部
106 ヒンジ機構
112 通話用マイク
113 通話用スピーカ
115 通信部
117 制御部
121 バッテリ収納部
122 着信音用スピーカ
123 アンテナ
124 簡易表示部
125 窓部
126 カメラ部
200 放送用スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を有する携帯電子機器であって、
外部装置から送信される所定の機能の機能制限を要求する機能制限要求信号を受付ける受付部と、
前記受付部によって受付けられた機能制限要求信号を解析し、前記複数の機能の中から当該機能制限要求信号に応じて機能制限する所定の機能を選択し、当該選択された所定の機能を制限する制御部と、
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記所定の機能の起動を指示する指示部を備え、
前記制御部は、前記所定の機能の起動が前記指示部より指示されたとき、前記受付部による前記機能制限要求信号の受信の有無を確認し、
前記受付部が前記機能制限要求信号を受付け、当該受信された前記機能制限要求信号が前記所定の機能を制御するものであると解析した場合、前記所定の機能を起動させない
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記受付部は、音波受付部であり、
前記機能制限要求信号は、音波からなる信号である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
無線通信部を備え、
前記音波受付部は、前記無線通信部によって行われる音声送話に用いられる通話用マイクである
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記所定の機能はカメラ部及び無線通信部の少なくとも一方で、
前記制御部は、前記機能制限要求信号に基づいて前記所定の機能を制限する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の携帯電子機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の携帯電子機器と、
前記機能制限要求信号を発信する情報発信部と、
を備える通信システム。
【請求項7】
前記情報発信部は、所定の可聴音を発生させることが可能な放送用スピーカであり、
前記受付部は、前記所定の可聴音を受付け可能な通話用マイクである、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−11079(P2010−11079A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167962(P2008−167962)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】