説明

携帯電子機器

【課題】電磁誘導方式の非接触充電により供給される電力が小さくても動作可能な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電子機器は、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する反射型液晶ディスプレイと、非接触充電により充電可能な充電池を有する電源部と、不揮発性半導体記憶装置を有する信号処理部と、を有する。携帯電子機器において、充電池に蓄えられた電力は、前記反射型液晶ディスプレイ及び前記信号処理部に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、非接触充電方式の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに電子化された書籍データを表示し、読書を可能とする電子書籍装置などの携帯電子機器が普及しつつある。このような機器は、持ち歩いて使用することが想定されており、本体に内蔵された電池によって駆動できるように作られている。したがって、これらの機器は、外部の電源装置を用いて電力を供給することが適当である。
【0003】
特許文献1では、ACアダプタを用いて電源を供給する電子書籍装置が提案されている。
【0004】
特許文献2では、表示部と、外部より操作入力を行うためのコンソール部と、無線信号の送受信をするためのアンテナ部と、コンソール部で入力された信号およびアンテナ部で送受信するための信号を制御するためのコントローラ部と、アンテナ部で受信した無線信号を電力に変換し表示部を駆動するための電力として保持するバッテリー部とを有する表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−147871号公報
【特許文献2】特開2008−181108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ACアダプタから電源を供給するためには、携帯電子機器側に金属端子などの接点を設ける必要がある。そのため、接点の耐久性が要求される。また、接触不良、または短絡若しくは水分などによる漏電の発生に対する対策が必要である。
【0007】
また、電磁誘導方式の非接触充電により供給される電力が小さくても携帯電子機器の動作を可能とするためには、携帯電子機器の消費電力の低減が必要である。
【0008】
本発明の一態様では、電磁誘導方式の非接触充電により供給される電力が小さくても動作可能な携帯電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する反射型液晶ディスプレイと、非接触充電により充電可能な充電池を有する電源部と、不揮発性半導体記憶装置を有する信号処理部と、を有することを特徴とする携帯電子機器である。
【0010】
または、本発明の一態様は、第1の酸化物半導体を用いた第1のトランジスタを有する反射型液晶ディスプレイと、非接触充電により充電可能な充電池を有する電源部と、不揮発性半導体記憶装置と、を有し、不揮発性半導体記憶装置は、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、容量素子と、を有し、第2のトランジスタは、第1の端子が第1の配線と電気的に接続され、第2の端子が第2の配線と電気的に接続され、ゲートが第3のトランジスタの第1の端子および容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第3のトランジスタは、第2の端子が第3の配線と電気的に接続され、ゲートが第4の配線と電気的に接続され、容量素子は、他方の電極が第5の配線と電気的に接続されていることを特徴とする携帯電子機器である。
【0011】
第3のトランジスタは、第2の酸化物半導体を用いたトランジスタであってもよい。第2の酸化物半導体は第1の酸化物半導体と同じでもよいし、異なってもよい。
【0012】
充電池に蓄えられた電力は、反射型液晶ディスプレイ及び信号処理部に用いられてもよい。
【0013】
電源部は、太陽電池を有していてもよい。
【0014】
酸化物半導体は真性または実質的に真性であり、トランジスタの単位チャネル幅あたりのオフ電流が室温において100aA/μm以下(aは10−18を表す)、好ましくは1aA/μm以下、さらに好ましくは1zA/μm以下(zは10−21を表す)であることを特徴とする。なお、本明細書において、「真性」とは、キャリア濃度が1×1012/cm未満である半導体の状態を指し、「実質的に真性」とは、キャリア濃度が1×1012/cm以上1×1014/cm未満である半導体の状態を指すものとする。
【発明の効果】
【0015】
非接触による充電が可能であるため、携帯電子機器側に金属端子などの接点を設ける必要がない。また、電磁誘導方式の非接触充電により供給される電力が小さくても動作可能な携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】携帯電子機器のブロック図
【図2】携帯電子機器と充電器の構成例を示す図
【図3】不揮発性半導体記憶装置の回路構成の一例を示す図
【図4】液晶表示装置の表示パネルの一例を示す概略図及び表示パネルの駆動方法の一例を示す図
【図5】携帯電子機器のブロック図
【図6】アンテナと太陽電池と充電池の接続関係を示す図
【図7】携帯電子機器の構成例を示す図
【図8】トランジスタの構造の一例を示す図
【図9】トランジスタの作製方法の一例を示す図
【図10】トランジスタの電気特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、開示される発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。ただし、発明は以下の説明に限定されず、その発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、その態様および詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1〜図4(C)を参照して、本実施の形態に係る携帯電子機器のハードウェアの構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る携帯電子機器のブロック図である。携帯電子機器1は、ディスプレイ10、電源部20および信号処理部30から構成されている。なお、以下では携帯電子機器1を電子書籍装置(「電子書籍端末装置」、ともいう)に具現化した例を掲げて説明する。
【0020】
(電源部20)
電源部20は、アンテナ21、整流回路22、充電池23およびDC−DCコンバータ24を備えている。
【0021】
(アンテナ21)
アンテナ21は、非接触充電のための受電コイルである。
【0022】
また、図2は、携帯電子機器と充電器の構成例である。図2に示すように、携帯電子機器1はアンテナ21、充電器40は送電コイル41を、それぞれ搭載している。非接触充電は、両者の間に、金属端子を介さずに、コイル間の電磁誘導で電力を非接触で伝送して行う。
【0023】
非接触充電は、携帯電子機器1と充電器40との間で、充電用の金属端子などの接点を必要としない。そのため、接点の接触不良が生じることがなく、または短絡若しくは水分などによる漏電などが発生しにくい。
【0024】
(整流回路22)
アンテナ21で受電された電力は、整流回路22により整流され、充電池23に充電される。
【0025】
(充電池23)
充電池23は、充電を行うことにより電気を蓄えて電池として繰り返し使用することが可能な蓄電手段である。充電池23として、例えばリチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタなどを適用できる。また、充電池23には、過充電および過放電を防止する制御回路が含まれている。
【0026】
(DC−DCコンバータ24)
充電池23に蓄えられた電力は、DC−DCコンバータ24を介して、ディスプレイ10や信号処理部30に送られ、これらの電源として使用される。
【0027】
(信号処理部30)
信号処理部30は、アンテナ31、ダウンコンバータ32、信号処理回路33、NVM34(NonVolatile Memory;不揮発性メモリ)およびディスプレイコントローラ35を備えている。
【0028】
(アンテナ31)
アンテナ31は、携帯電子機器1のユーザが選択した電子化された書籍データ(以下、「電子書籍データ」という)のダウンロード開始要求をサーバへ送信し、要求に応じてサーバから送信された電子書籍データを受信する。
【0029】
(ダウンコンバータ32、信号処理回路33)
アンテナ31が受信した電子書籍データは、ダウンコンバータ32によりダウンコンバートされてベースバンド信号へと変換される。ベースバンド信号は信号処理回路33で処理される。
【0030】
(NVM34)
アンテナ31が受信した電子書籍データはディスプレイの1画面分の情報より多いため、その受信したデータはNVM34に格納される。
【0031】
ここで、図3を参照して、NVM34に適用可能な不揮発性半導体記憶装置の回路構成の一例について説明する。
【0032】
図3に示す不揮発性半導体記憶装置は、トランジスタ71、トランジスタ72および容量素子73により構成されている。
【0033】
トランジスタ71には、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタが適している。酸化物半導体以外の材料としては、例えば、単結晶シリコンや結晶性シリコンなどが挙げられる。酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、高速動作が可能であるため、不揮発性半導体記憶装置からの高速なデータ読み出し動作が可能となる。
【0034】
一方、トランジスタ72には、酸化物半導体を用いたトランジスタが適している。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。そのため、不揮発性半導体記憶装置に格納されたデータを長時間にわたって保持することが可能となる。したがって、リフレッシュ動作が不要あるいは低頻度となり、不揮発性半導体記憶装置の消費電力を低くすることができる。
【0035】
トランジスタ71は、ゲートがトランジスタ72のソースまたはドレインの一方と、ソースが配線50(ソース線)と、ドレインが配線51(ビット線)と、それぞれ接続されている。また、トランジスタ72は、ソースまたはドレインの他方が配線52(第1の信号線)と、ゲートが配線53(第2の信号線)と、それぞれ接続されている。そして、容量素子73の電極の一方がトランジスタ71のゲートおよびトランジスタ72のソースまたはドレインの一方と、他方が配線54(ワード線)と、それぞれ接続されている。
【0036】
続いて、図3に示す不揮発性半導体記憶装置へのデータ書き込み動作について説明する。
【0037】
まず、配線53に接続されたトランジスタ72のゲートに電圧を印加し、トランジスタ72を導通状態とする。その結果、配線52とトランジスタ71は導通し、トランジスタ71のゲートおよび容量素子73に電圧が印加されることにより、データ書き込みがなされる。
【0038】
その後、トランジスタ72を非導通状態とすることにより、トランジスタ71のゲートに印加されていた電圧は保持され、データの格納がなされる。このとき、トランジスタ71を導通状態とする電圧がゲートに印加されていれば、トランジスタ71の導通状態が長時間にわたって保持される。一方、トランジスタ71を非導通状態とする電圧がゲートに印加されていれば、トランジスタ71の非導通状態が長時間にわたって保持される。
【0039】
次に、図3に示す不揮発性半導体記憶装置からのデータ読み出し動作について説明する。
【0040】
トランジスタ71の導通状態または非導通状態が保持されている場合において、配線50に定電圧を印加し、かつ、配線54に読み出し電圧を印加する。その結果、トランジスタ71が導通状態である場合は、配線51の電圧が変化する。一方、トランジスタ71が非導通状態である場合には、配線51の電圧は変化しない。したがって、配線50と配線51との電圧を比較することにより、この不揮発性半導体記憶装置に格納されているデータを読み出すことができる。
【0041】
図3に示す不揮発性半導体記憶装置へのデータ書き換え動作は、データ書き込み動作と同様である。
【0042】
(ディスプレイコントローラ35)
ディスプレイコントローラ35は、ディスプレイ10で表示する内容のデータを伝送する。
【0043】
電子書籍データは、その大半が静止画であるため、データの書き換え速度はあまり必要とされない。したがって、ダウンコンバータ32、信号処理回路33、NVM34およびディスプレイコントローラ35の高速動作は要求されない。そのため、これらの回路は、低電圧駆動が可能である。よって、電磁誘導方式の非接触充電により供給される電力が小さくても、携帯電子機器1の動作が可能である。
【0044】
(ディスプレイ10)
ディスプレイ10は、電子書籍データの内容を表示する。ここで、ディスプレイ10として、反射型液晶ディスプレイや電気泳動ディスプレイなどの自ら発光しないディスプレイを用いることにより、ディスプレイ10による消費電力を10mW以下に設定することが可能となる。したがって、電磁誘導方式の非接触充電により供給される電力が小さくても、携帯電子機器1の動作が可能である。
【0045】
ここで、図4(A)および図4(B)を参照して、ディスプレイに適用可能な回路構成の一例について説明する。
【0046】
図4(A)は、液晶表示装置の表示パネルの一例を示す概略図である。この表示パネル60は、画素部61、ゲート信号線62、ゲート信号線駆動回路62D、データ信号線63、データ信号線駆動回路63D、画素64、コモン電極65、容量線66および端子部67を備えている。
【0047】
図4(B)は、図4(A)に示した画素64を抜き出して示した図である。この画素64は、酸化物半導体を用いたトランジスタ75、液晶素子76および保持容量77を備えている。
【0048】
続いて、図4(C)を参照して、表示パネルの駆動方法の一例について説明する。
【0049】
まず、画像信号BK/Wを画素に書き込むために、トランジスタ75を導通状態として、画像信号に基づく電圧を液晶素子76の画素電極に供給する期間T1(以下、「書き込み期間T1」と記す)を設ける。書き込み期間T1において、駆動回路制御信号がディスプレイ10の駆動回路およびディスプレイコントローラ35に供給されるため、これらの回路は動作している。
【0050】
書き込み期間T1を経て、液晶素子76の画素電極には、電圧Vpixが発生する。その後、トランジスタ75を非導通状態とすることにより、液晶素子76の画素電極には電圧Vpixが保持される。
【0051】
続く液晶素子76の画素電極に電圧Vpixが保持される期間T2(以下、「保持期間T2」と記す)において、画像信号BK/Wの書き込みはなされない。また、駆動回路制御信号はディスプレイ10の駆動回路およびディスプレイコントローラ35に供給されず、これらの回路は非動作となる。
【0052】
保持期間T2の長さは、トランジスタ75のオフ電流I75および液晶素子76を流れる電流I76により変動する。これらの電流の変動に起因する画面のちらつきを防止するために、定期的に画面を書き換えるリフレッシュ動作が必要となる。
【0053】
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタ75のオフ電流I75は極めて小さい。したがって、保持期間T2は、液晶素子76を流れる電流I76のみに寄与する。そのため、通常1秒間に60回行われる画面の書き換えを、その1/1000程度の回数とすることが可能となる。
【0054】
先述のとおり、保持期間T2中は、ディスプレイ10の駆動回路およびディスプレイコントローラ35の動作を停止することができる。そのため、ディスプレイ10およびディスプレイコントローラ35による消費電力も、1/1000程度に低減することが可能となる。
【0055】
次に、トランジスタに用いる酸化物半導体について説明する。
【0056】
トランジスタに用いる酸化物半導体は、ドナーの原因である水素、水分、水酸基または水酸化物(水素化合物ともいう)などの不純物を意図的に排除したのち、これらの不純物の排除工程において同時に減少してしまう酸素を供給することで、高純度化および電気的にi型(真性)化されている。これは、トランジスタの電気的特性の変動を抑制するためである。
【0057】
酸化物半導体に含まれる水素を極力除去することで、酸化物半導体中のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、より好ましくは1×1010/cm未満となる。
【0058】
ワイドギャップ半導体である酸化物半導体は、少数キャリア密度が低く、また、少数キャリアが誘起されにくい。そのため、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、トンネル電流が発生し難く、ひいては、オフ電流が流れ難い。
【0059】
また、ワイドギャップ半導体である酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、衝突イオン化ならびにアバランシェ降伏が起きにくい。したがって、酸化物半導体を用いたトランジスタは、ホットキャリア劣化に対して耐性がある。ホットキャリア劣化の主な要因は、アバランシェ降伏によってキャリアが増大し、高速に加速されたキャリアがゲート絶縁膜へ注入されることである。
【0060】
なお、本明細書においてオフ電流とは、室温において、−20V以上−5V以下の範囲で任意のゲート電圧を印加したときに、しきい値電圧Vthが正であるnチャネル型トランジスタのソース−ドレイン間を流れる電流を指す。なお、室温とは、15℃以上25℃以下の温度を指す。
【0061】
本明細書に開示する酸化物半導体を用いたトランジスタは、室温において、チャネル幅1μmあたりの電流値が、100aA/μm以下、好ましくは1aA/μm以下、さらに好ましくは10zA/μm以下である。
【0062】
先述のとおり、高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いることにより、オフ電流値が極めて小さいトランジスタを提供できる。以下、評価用素子(TEGとも呼ぶ)を作製し、得られたオフ電流特性の測定結果について説明する。
【0063】
作製したTEGには、L/W=3μm/50μm(膜厚dは30nm)のトランジスタを200個並列に接続することにより、L/W=3μm/10000μmのトランジスタを設けた。なお、Wはチャネル幅、Lはチャネル長を示す。
【0064】
図10は、TEGに設けたトランジスタの電気特性(log(Id)−Vg)を示すグラフである。図10において、横軸はゲート電圧Vg[V]を表し、縦軸はドレイン電流Id[A]を表している。なお、基板温度は室温であり、ソース−ドレイン間電圧Vdは1V(グラフは破線)または10V(グラフは実線)のいずれかである。このとき、ソース−ゲート間電圧Vgを−20V〜+20Vまで変化させ、ドレイン電流Idの変化特性を測定した。
【0065】
図10に示すように、チャネル幅Wが10000μmのトランジスタは、Vdが1Vおよび10Vのいずれにおいても、オフ電流は1×10−13A以下となっている。これは、測定機(半導体パラメータ・アナライザ、Agilent 4156C;Agilent社製)の分解能(100fA)以下である。このオフ電流値は、チャネル幅1μmあたりに換算すると、10aA/μmに相当する。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図5〜図7を参照して、実施の形態1に係る携帯電子機器のハードウェアの構成とは異なる携帯電子機器のハードウェアの構成について説明する。
【0067】
図5は、本実施の形態に係る携帯電子機器のブロック図である。携帯電子機器2は、図1に示す携帯電子機器1の電源部20に太陽電池25を加えた構成である。太陽電池25を備える構成とすることで、携帯電子機器2が、太陽光または照明光にさらされる場合に、太陽電池25によって充電池23を充電することができる。
【0068】
また、図6にアンテナと太陽電池と充電池の接続関係を示す。アンテナ21と充電池23との間、および太陽電池25と充電池23との間にはそれぞれ、逆流防止ダイオードが設けられている。
【0069】
太陽電池を備える携帯電子機器の構成例を、図7を参照して説明する。
【0070】
図7に示す携帯電子機器2は、開いた状態でディスプレイ10に電子書籍データが表示される構造である。したがって、太陽電池25もまた、携帯電子機器2を開いた状態で外面に露出するように設ければ、ディスプレイ10に電子書籍データを表示させつつ、太陽電池25による充電を行うことが可能となる。
【0071】
特に、ディスプレイ10として、反射型液晶ディスプレイや電気泳動ディスプレイなどの自ら発光しないディスプレイを用いている場合の使用環境は、太陽電池25による充電が可能であるため適している。
【0072】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図8(A)〜図9(E)を参照して、真性または実質的に真性な酸化物半導体を用いたトランジスタの構造の一例およびその作製方法の一例について説明する。
【0073】
図8(A)および図8(B)は、トランジスタの平面および断面構造の一例を示す図である。図8(A)は、トップゲート構造のトランジスタの平面図である。図8(B)は、図8(A)中、直線C1−C2で示す部位の断面図である。
【0074】
トランジスタ410は、基板400上に、絶縁層407、酸化物半導体層412、第1の電極415a、第2の電極415b、ゲート絶縁層402およびゲート電極411を有している。そして、第1の電極415aには配線層414a、第2の電極415bには配線層414bがそれぞれ接している。
【0075】
なお、図8(A)および図8(B)に示すトランジスタ410はシングルゲート構造のトランジスタであるが、トランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、マルチゲート構造のトランジスタを適用してもよい。
【0076】
次に、図9(A)〜図9(E)を参照して、トランジスタ410を作製する工程について説明する。
【0077】
まず、基板400上に下地膜となる絶縁層407を形成する。絶縁層407は、処理室内の残留水分を除去しつつ成膜するとよい。絶縁層407に水素、水、水酸基または水酸化物などが含まれないようにするためである。
【0078】
次に、絶縁層407上に、酸化物半導体層をスパッタリング法により成膜する。なお、酸化物半導体層の成膜前に、絶縁層407が形成された基板400を予備加熱するとよい。酸化物半導体層に、水素、水分および水酸基が極力含まれないようにするためである。予備加熱により、基板400に吸着した水素、水分などの不純物は脱離し、排気される。
【0079】
酸化物半導体層を成膜するためのターゲットとしては、酸化亜鉛を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。例えば、組成比が、In:Ga:ZnO=1:1:1、すなわち、In:Ga:Zn=1:1:0.5のターゲットを用いることができる。これ以外にも、In:Ga:Zn=1:1:1またはIn:Ga:Zn=1:1:2の組成比を有するターゲットを用いることもできる。
【0080】
その他、In−Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物、In−Sn−Zn−O系金属酸化物、In−Al−Zn−O系金属酸化物、Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物、Al−Ga−Zn−O系金属酸化物、Sn−Al−Zn−O系金属酸化物、In−Zn−O系金属酸化物、Sn−Zn−O系金属酸化物、Al−Zn−O系金属酸化物、Zn−Mg−O系金属酸化物、Sn−Mg−O系金属酸化物、In−Mg−O系金属酸化物、In−O系金属酸化物、Sn−O系金属酸化物、Zn−O系金属酸化物などの金属酸化物のターゲットを用いることができる。
【0081】
また、酸化物半導体層として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される酸化物半導体を有する薄膜を用いることもできる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた1つまたは複数の金属元素である。例えば、Mとして、Ga、GaおよびAl、GaおよびMn、もしくはGaおよびCoが挙げられる。
【0082】
成膜した酸化物半導体層は、第1のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層412に加工される(図9(A)参照)。その後、酸化物半導体層412から水素、水、および水酸基などを除去するために、酸化物半導体層412が形成された基板400を電気炉に導入し、加熱処理する。この加熱処理は、酸化物半導体層412に対する脱水化または脱水素化の効果を奏する。
【0083】
この加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満とする。また、この加熱処理の雰囲気は、水、水素などが含まれないようにする。
【0084】
この加熱処理の後、連続して酸素雰囲気または窒素および酸素を含む雰囲気(例えば、窒素:酸素の体積比=4:1)で加熱処理するとよい。酸化物半導体層412中に生じた酸素欠損を修復するためである。
【0085】
図9(B)に、絶縁層407および酸化物半導体層412上に、第1の電極415aおよび第2の電極415bを形成した状態を示す。第1の電極415aは、ソース電極およびドレイン電極の一方として機能する。第2の電極415bは、ソース電極およびドレイン電極の他方として機能する。
【0086】
図9(C)に、絶縁層407、酸化物半導体層412、第1の電極415aおよび第2の電極415b上にゲート絶縁層402を形成した状態を示す。なお、ゲート絶縁層402の成膜雰囲気には、水素が含まれないようにするとよい。
【0087】
図9(D)に、ゲート絶縁層402の一部を除去することにより、第1の電極415aに達する開口421a、および第2の電極415bに達する開口421bをそれぞれ形成した状態を示す。
【0088】
図9(E)に、ゲート絶縁層402、開口421a、および開口421b上に、ゲート電極411、第1の配線層414aおよび第2の配線層414bを形成した状態を示す。
【0089】
以上のように、真性または実質的に真性な酸化物半導体を用いたトランジスタを作製することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 携帯電子機器
2 携帯電子機器
10 ディスプレイ
20 電源部
21 アンテナ
22 整流回路
23 充電池
24 DC−DCコンバータ
25 太陽電池
30 信号処理部
31 アンテナ
32 ダウンコンバータ
33 信号処理回路
34 NVM
35 ディスプレイコントローラ
40 充電器
41 送電コイル
50 配線
51 配線
52 配線
53 配線
54 配線
60 表示パネル
61 画素部
62 ゲート信号線
62D ゲート信号線駆動回路
63 データ信号線
63D データ信号線駆動回路
64 画素
65 コモン電極
66 容量線
67 端子部
71 トランジスタ
72 トランジスタ
73 容量素子
75 トランジスタ
76 液晶素子
77 保持容量
400 基板
402 ゲート絶縁層
407 絶縁層
410 トランジスタ
411 ゲート電極
412 酸化物半導体層
414a 配線層
414b 配線層
415a 電極
415b 電極
421a 開口
421b 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体を用いたトランジスタを有する反射型液晶ディスプレイと、
非接触充電により充電可能な充電池を有する電源部と、
不揮発性半導体記憶装置を有する信号処理部と、を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
酸化物半導体を用いた第1のトランジスタを有する反射型液晶ディスプレイと、
非接触充電により充電可能な充電池を有する電源部と、
不揮発性半導体記憶装置と、を有し、
前記不揮発性半導体記憶装置は、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、容量素子と、を有し、
前記第2のトランジスタは、第1の端子が第1の配線と電気的に接続され、第2の端子が第2の配線と電気的に接続され、ゲートが前記第3のトランジスタの第1の端子および前記容量素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタは、第2の端子が第3の配線と電気的に接続され、ゲートが第4の配線と電気的に接続され、
前記容量素子は、他方の電極が第5の配線と電気的に接続されていることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項3】
請求項2において、
前記第3のトランジスタは、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記充電池に蓄えられた電力は、前記反射型液晶ディスプレイ及び前記信号処理部に用いられることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記電源部は、太陽電池を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記酸化物半導体は、真性または実質的に真性であることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記酸化物半導体は、オフ電流が1aA/μm以下であることを特徴とする携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−170340(P2011−170340A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8466(P2011−8466)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】