説明

携帯電話

【課題】携帯電話のユーザが、所望とするテレビ放送(番組)を確実に視聴できるようにする。
【解決手段】テレビ受信部102が受信しているテレビ放送の情報を予め設定されている通知先に通知する受信放送通知部103と、テレビ受信部102が受信しているテレビ放送の中で、受信品質検出手部104が検出した受信品質が予め設定されている基準以下の領域である未受信領域の情報を通知先に通知する未受信情報通知部105と、通知先より送出された未受信領域に対応するテレビ放送の部分を受信して放送一時記憶部110に記憶する未受信放送受信部106と、テレビ受信部102が受信したテレビ放送および放送一時記憶部110に記憶されているテレビ放送の映像を表示部111に表示出力し、また音声をスピーカ112に出力する放送出力制御107とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビの視聴が可能な携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のテレビチューナ付携帯電話の普及により、移動中にテレビ放送が視聴可能となってきている。ただし、移動中のテレビ放送電波は、例えば、ビルの屋内および地下鉄内では、受信品質が十分でないため、視聴できない領域が多く、ユーザは視聴したい番組を確実に視聴できるとは限らない。この問題を解決するために、携帯電話の電波を利用し、電波状況に応じて受信器を切り替えて受信するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−118350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯電話の電波を利用するシステムでは、携帯電話の受信バンドで同じ番組が同時に配信されているというインフラが整っていないと利用できない問題がある。また、携帯電話の電波を利用する場合においても、携帯電話の電波の受信品質が悪くなれば、テレビ番組を見逃してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、携帯電話のユーザが、所望とするテレビ放送(番組)を確実に視聴できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電話は、放送されているテレビを受信して放送記憶部に記憶するテレビ放送受信手段と、テレビ放送受信手段が受信しているテレビ放送の情報を予め設定されている通知先に通知する受信放送通知手段と、テレビ放送受信手段が受信しているテレビ放送の受信品質を検出する受信品質検出手段と、テレビ放送受信手段が受信しているテレビ放送の中で、受信品質検出手段が検出した受信品質が予め設定されている基準以下の領域である未受信領域の情報を通知先に通知する未受信情報通知手段と、通知先より送出された未受信領域に対応するテレビ放送の部分を受信して放送記憶部に記憶する未受信放送受信手段と、放送記憶部に記憶されているテレビ放送を表示出力する記憶放送出力手段とを少なくとも備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、携帯電話のユーザが、所望とするテレビ放送(番組)を確実に視聴できるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0009】
[実施の形態1]
始めに、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における携帯電話101の構成を示す構成図である。携帯電話101は、まず、テレビの放送を受信し、また、受信した放送を放送一時記憶部110に記憶するテレビ受信部(テレビ放送受信手段)102と、テレビ受信部102が受信しているテレビ放送の情報を予め設定されている通知先に通知する受信放送通知部103と、テレビ受信部102が受信しているテレビ放送の受信品質を検出する受信品質検出手部104とを備える。
【0010】
また、携帯電話101は、テレビ受信部102が受信しているテレビ放送の中で、受信品質検出手部104が検出した受信品質が予め設定されている基準以下の領域である未受信領域の情報を通知先に通知する未受信情報通知部105と、通知先より送出された未受信領域に対応するテレビ放送の部分を受信して放送一時記憶部110に記憶する未受信放送受信部106と、テレビ受信部102が受信したテレビ放送および放送一時記憶部110に記憶されているテレビ放送の映像を表示部111に表示出力し、また音声をスピーカ112に出力する放送出力制御107とを備える。
【0011】
次に、予め設定されている通知先であるパーソナルコンピュータ(PC)130は、携帯電話101より通知された受信しているテレビ放送の情報を受け付ける情報受信部131と、情報受信部131が受け付けた情報に対応するテレビ放送を受信して放送記憶部135に記憶するテレビ受信部132とを備える。
【0012】
また、PC130は、携帯電話101より通知された未受信領域の情報を受け付ける未受信情報受信部133と、未受信情報受信部134が受け付けた未受信領域の情報に対応するテレビ放送の部分を放送記憶部135より取り出して携帯電話101に対して送出する未受信放送送信部134とを備える。
【0013】
ここで、携帯電話101とPC130とは、携帯電話網150およびインターネット網151を介して接続を確立し、テレビ受信部102が受信しているテレビ放送の情報,未受信領域の情報、未受信領域の情報に対応するテレビ放送の部分などのデータのやりとりを行う。
【0014】
次に、本実施の形態1における携帯電話101の動作例について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0015】
携帯電話101を使用中のユーザが、テレビ放送の受信を開始すると、まず、テレビ受信部102が動作を開始して、指示入力された番組の受信を開始する(ステップS201)。テレビ放送の受信は、例えば、いわゆる地上波デジタル放送の「ワンセグ」と呼ばれるテレビ放送の受信形態である。
【0016】
このようにしてテレビ放送の受信(視聴)が開始されると、まず、携帯電話101の受信放送通知部103が、携帯電話網150およびインターネット網151を通じ、PC130に視聴している番組を通知する(ステップS202)。
【0017】
PC130では、携帯電話101から通知された視聴している番組の情報が、情報受信部131で受信され、テレビ受信部132が、情報受信部131が受け付けた情報に対応するテレビ放送を受信して放送記憶部135に録画を開始する(記憶する)。
【0018】
また、ワンセグ放送を受信中の携帯電話101では、テレビ受信部132によるテレビ放送の受信が開始されると共に、受信品質検出部104が、受信品質の検出を開始する(ステップS203)。このようにして受信品質が検出される中で、受信品質が予め設定されている基準以下の状態である受信品質の劣化を検知すると(ステップS204)、未受信情報通知部105が、携帯電話網150およびインターネット網151を通じ、携帯電話101で受信できなかった部分が分かる情報(未受信領域の情報)をPC130へ通知する(ステップS205)。また、受信品質が基準値を超えている場合は(ステップS204)、ステップS207に進む。
【0019】
PC130では、携帯電話101からの未受信領域の情報を未受信情報受信部133が受信すると、テレビ受信部132により放送記憶部135に録画していたなかで、未受信領域の情報に対応する受信できなかった部分を、未受信放送送信部134が、インターネット網151および携帯電話網150を通じ、携帯電話101に送信する。このようにして送信された放送の部分が、未受信放送受信部106で受信され、放送一時記憶部110に記憶される(ステップS206)。
【0020】
次に、ステップS207において、携帯電話101では、放送出力制御部107が、放送一時記憶部110に、直前に出力した放送データに連続している放送データが記憶されているかどうかを確認する。この確認で、連続している放送データがない場合、放送出力制御部107は、この時点でテレビ受信部102が受信した放送データが、直前に出力した放送データに連続していることを確認する(ステップS208)。ここで、連続していることを確認すると、放送出力制御部107は、テレビ受信部102が受信した放送データを、表示部111に表示し、スピーカ112に出力する(ステップS209)。
【0021】
一方、ステップS207で、放送出力制御部107が、放送一時記憶部110に、直前に出力した放送データに連続している放送データが記憶されていることを確認すると、放送出力制御部107は、一時記憶部110に記憶されていた放送データを出力する(ステップS210)。次いで、放送出力制御部107は、現在、テレビ放送受信部102が受信している放送データを一時記憶部110に記憶する(ステップS211)。また、ステップS208で連続していることが確認できない場合(連続していない場合)は、放送出力制御部107が、現在、テレビ放送受信部102が受信している放送データを一時記憶部110に記憶し(ステップS211)、ステップS212に移行する。
【0022】
以上の動作を、テレビ受信が終了されるまで継続する(ステップS212)。
【0023】
ステップS207の判断で、連続している放送データが放送一時記憶部110に記憶されている場合、これは、未受信のためにPC130より受信した放送データであるものであり、携帯電話101(放送出力制御部107)では、直前に出力した放送データに連続する放送データを、目的の品質で受信できなかったことになる。このような場合、放送出力制御部107は、一時記憶部110に記憶されている放送データを出力する。
【0024】
これに対し、連続している放送データが放送一時記憶部110に記憶されていない場合、未受信のためにPC130より受信した放送データがないことを示し、これは、直前に出力した放送データに連続する放送データを、目的の品質で受信できことを示している。このような場合、テレビ受信部102で受信した放送データをそのまま出力する。従って、出力される際には、放送された順に連続となる。
【0025】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。前述した実施の形態1では、テレビ放送を受信している状態で視聴する場合について説明したが、これに限るものではなく、受信しているテレビ放送を録画するようにしてもよい。以下、録画をする場合について説明する。
【0026】
ユーザにより、テレビ放送(ワンセグ番組)の録画予約の指示が入力されると、携帯電話101のテレビ受信部102がこの指示を受け付けて録画を予約する(ステップS301)。次いで、携帯電話101では、受信放送通知部103が、携帯電話網150およびインターネット網151を通じて、録画する番組をPC130に通知する(ステップS302)。次いで、録画開始の時刻になると、携帯電話101においては、テレビ受信部102が予約されていた番組の録画を開始し、放送データの放送一時記憶部110への記憶を開始する(ステップS303)。また、PC130では、テレビ受信部132が、情報受信部131により受信された予約情報の番組の録画を開始し、放送データの放送記憶部135への記憶を開始する。
【0027】
次に、テレビ受信部132によるテレビ放送の受信および録画が開始されると共に、受信品質検出部104が、受信品質の検出を開始する(ステップS304)。このようにして受信品質が検出される中で、受信品質が予め設定されている基準以下の状態である受信品質の劣化を検知すると(ステップS305)、受信品質検出部104が、携帯電話101で受信できなかった部分が分かる情報(未受信領域の情報)を放送一時記憶部110に記憶する(ステップS306)。一方、受信品質が基準値を超えている場合は(ステップS204)、受信した放送の部分を受信放送一時記憶部110に記憶する(ステップS307)。
【0028】
次に、録画している番組が終了すると、携帯電話101では、録画ができなかった部分がある場合(ステップS309)、未受信情報通知部105が、携帯電話網150およびインターネット網151を通じ、携帯電話101で受信できなかった部分が分かる情報(未受信領域の情報)をPC130へ通知する(ステップS310)。
【0029】
地上波デジタルチューナ付PC130は、携帯電話101が録画できなかった部分が分かる情報を受信すると、録画した放送データから、携帯電話101が録画できなかった部分のみを、インターネット網151および携帯電話網150を通じて、携帯電話101に送信する。
【0030】
携帯電話101は、地上波デジタルチューナ付PC130から、録画できなかった放送データを受信すると(ステップS311)、放送一時記憶部110に記憶されている未受信領域の情報を、受信した放送データに置き換えて記憶する(ステップS312)。
【0031】
携帯電話101のユーザが、録画予約した番組を再生する場合、携帯電話101で受信できなかった部分も、番組終了後に、PC130から受信できなかった部分が送られてくるため、番組は切れることなく録画されている状態であり、完全に視聴することが可能となる。
【0032】
上述した本発明によれば、携帯電話で受信できなかった放送データを地上波デジタルチューナ付PCで録画したものから、インターネット網および携帯電話網を利用して、携帯電話に送信するようにしていたが、例えば、テレビ放送チューナ付のPCではなく、インターネット網に接続可能なデジタルテレビを使用しても可能である。
【0033】
以上に説明した本発明によれば、まず、テレビ放送受信機能を備える携帯電話のユーザは、テレビ放送を視聴する際に、テレビ放送の電波品質が劣化して、携帯電話で受信が不可能となった場合でも、番組内容が欠落することなく視聴可能となる。また、受信が不可能となる問題が発生する場合も、携帯電話は、テレビ放送を受信できなかった部分のみを、テレビチューナ機能を備えるPCから受信するため、通信料金を最小に抑えることが可能となる。
【0034】
また、番組視聴中に携帯電話の電池が切れ、また、携帯電話網の電波と地上波デジタル放送の電波の両方が受信できないような場所にユーザが移動した場合も、視聴開始時に、携帯電話網が圏外となっていなければ、放送されている番組は、PCに録画されるため、携帯電話に充電された後、もしくは、帰宅時にPCを用いることで、視聴できなくなった部分を視聴することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1における携帯電話101の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における携帯電話101の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2における携帯電話101の動作例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
101…携帯電話、102…テレビ受信部(テレビ放送受信手段)、103…受信放送通知部、104…受信品質検出手部、105…未受信情報通知部、106…未受信放送受信部、107…放送出力制御、110…放送一時記憶部、111…表示部、112…スピーカ、130…パーソナルコンピュータ(PC)、131…情報受信部、132…テレビ受信部、133…未受信情報受信部、134…未受信情報受信部、135…放送記憶部、150…携帯電話網、151…インターネット網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送されているテレビを受信して放送記憶部に記憶するテレビ放送受信手段と、
前記テレビ放送受信手段が受信しているテレビ放送の情報を予め設定されている通知先に通知する受信放送通知手段と、
前記テレビ放送受信手段が受信しているテレビ放送の受信品質を検出する受信品質検出手段と、
前記テレビ放送受信手段が受信しているテレビ放送の中で、前記受信品質検出手段が検出した受信品質が予め設定されている基準以下の領域である未受信領域の情報を前記通知先に通知する未受信情報通知手段と、
前記通知先より送出された前記未受信領域に対応するテレビ放送の部分を受信して前記放送記憶部に記憶する未受信放送受信手段と、
前記放送記憶部に記憶されているテレビ放送を表示出力する記憶放送出力手段と
を少なくとも備えることを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
請求項1記載の携帯電話において、
前記通知先は、携帯電話網を介して接続されている
ことを特徴とする携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−87785(P2010−87785A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253822(P2008−253822)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】