説明

摩砕機

【課題】摩砕効率を低下させたり、設備の大型化や高額化を招来したりすることなく、摩砕媒体の数を減らして攪拌羽根の摩耗を減少させることができ、更に大量の被摩砕物を連続的に且つ円滑にドラム体内に供給することができ、処理効率を大幅に向上させることができる摩砕機を提供すること。
【解決手段】被摩砕物を内部に取り入れるドラム体と、該ドラム体内を軸長方向に貫く中心軸と、該ドラム体内に装填された摩砕媒体と、前記中心軸の長さ方向に所定間隔で取り付けられて該中心軸の回転に伴って前記摩砕媒体を攪拌する複数の攪拌羽根とを備えており、前記攪拌羽根には被摩砕物を通過させる貫通孔が設けられており、前記ドラム体と前記中心軸は、1つの駆動源により互いに逆方向に回転することを特徴とする摩砕機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼球等の摩砕媒体を用いて骨材等の摩砕を行うための摩砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリートやアスファルトの廃材から再生骨材を得るための装置として、種々のボールミル型摩砕機が存在している。
そのうち、被摩砕物の滞留時間を長くとるために、ドラム体内を複数の仕切板により区画した構造を有するものも多く存在しており、このような構造を有する摩砕機では、被摩砕物は仕切板の周縁部とドラム体内壁との隙間を通ってドラム体の一端側から他端側へと移動しながら、各区画内においてボール(摩砕媒体)により摩砕される。
【0003】
しかしながら、このような従来の摩砕機は、仕切板が中心軸に対して直角に取り付けられているため、ボールを積極的に前後方向(ドラム体の軸長方向)に移動させることはできず、ボールの運動は径方向及び周方向が殆どであった。
そのため、ボールと被摩砕物が等速度で回るいわゆる共回り現象が発生し、これが摩砕効率を大きく低下させる原因となっていた。
【0004】
本出願人はかかる問題点を解決するために、上記した共回り現象の発生を防いで、摩砕効率を飛躍的に向上させることを可能とした摩砕機を既に提案している(下記特許文献1参照)。
特許文献1記載の発明は、仕切板を中心軸に対して傾斜して取り付けることにより、摩砕媒体(ボール等)に積極的に前後方向の運動を与えることを可能としたものであり、言わば仕切板に攪拌羽根としての機能を持たせたものである。
【0005】
しかしながら、仕切板(攪拌羽根)が中心軸に対して傾斜して取り付けられているため、従来の摩砕機に比べると、仕切板の表面に対する摩砕媒体の摩擦が大きい。そのため、仕切板が短期間で摩耗し易くなって、仕切板を頻繁に交換しなければならず、作業効率の低下とメンテナンスコストの増加を招いていた。
仕切板(攪拌羽根)の摩耗を減少させるための方法としては、例えば摩砕媒体の数を減らすことが考えられるが、摩砕媒体の数を減らすと被摩砕物と摩砕媒体との接触回数が減るため、摩砕効率が低下してしまうという問題が生じる。
【0006】
摩砕媒体の数を減らしても被摩砕物と摩砕媒体との接触回数を多くするための方法としては、例えばドラム体と中心軸とを互いに逆方向に回転させることが考えられる。
しかしながら、ドラム体と中心軸とを互いに逆方向に回転させるためには、2つの駆動源を必要とすることから、設備の大型化や高額化という問題が生じる。
【0007】
また、特許文献1記載の発明では、ドラム体の上部から原料となる被摩砕物を直接ドラム体内に供給しているため、大量の被摩砕物を連続的に且つ円滑に供給することが困難であり、処理効率向上の妨げとなっていた。
この問題を解決するためには、ドラム体内に原料を移送するためのスクリューコンベアを設置することが考えられるが、やはり設備の大型化や高額化という問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3945717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、摩砕効率を低下させたり、設備の大型化や高額化を招来したりすることなく、摩砕媒体の数を減らして攪拌羽根の摩耗を減少させることができ、更に大量の被摩砕物を連続的に且つ円滑にドラム体内に供給することができ、処理効率を大幅に向上させることができる摩砕機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、被摩砕物を内部に取り入れるドラム体と、該ドラム体内を軸長方向に貫く中心軸と、該ドラム体内に装填された摩砕媒体と、前記中心軸の長さ方向に所定間隔で取り付けられて該中心軸の回転に伴って前記摩砕媒体を攪拌する複数の攪拌羽根とを備えており、前記攪拌羽根には被摩砕物を通過させる貫通孔が設けられており、前記ドラム体と前記中心軸は、1つの駆動源により互いに逆方向に回転することを特徴とする摩砕機に関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記中心軸は、一端部側の外周面にスクリューを備えており、前記ドラム体の軸長方向一端部には、被摩砕物の供給口を備えるとともに該ドラム体の内部と連通する供給筒が取り付けられており、前記スクリューは前記供給筒内に位置しており、回転に伴って該供給筒内に供給された被摩砕物を前記ドラム体内部へと送り込むことを特徴とする請求項1記載の摩砕機に関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記中心軸と連結されたモータと、前記中心軸に外嵌された太陽歯車と、該太陽歯車に噛合する遊星歯車と、該遊星歯車に噛合するとともに前記ドラム体に固定された内歯車からなる遊星歯車機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の摩砕機に関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記遊星歯車機構が前記ドラム体の軸長方向他端部側に設けられ、前記ドラム体の軸長方向一端側及び他端側には、外輪が該ドラム体と一体に回転するベアリングが夫々配設され、前記供給筒の外径が前記ドラム体の外径よりも小さく形成され、前記一端部側のベアリングの内輪は前記供給筒に外嵌され、前記他端部側のベアリングの外輪は前記内歯車に固定されていることを特徴とする請求項3記載の摩砕機に関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記ドラム体内部は隔壁により複数の摩砕室に区画されており、前記隔壁には所定粒径未満に摩砕された被摩砕物を通過させる貫通孔が設けられており、前記複数の攪拌羽根は、各摩砕室に夫々1つずつ配置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の摩砕機に関する。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記ドラム体の軸長方向他端部側の外周面には、前記摩砕室よりも狭い幅の範囲において、摩砕後の被摩砕物を排出する排出口及び該排出口から排出された被摩砕物を受け入れる排出用ホッパが全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項5記載の摩砕機に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、ドラム体と中心軸が互いに逆方向に回転することから、摩砕媒体の数を減らしても被摩砕物と摩砕媒体との接触回数を多くすることができる。そのため、摩砕効率を低下させることなく攪拌羽根の摩耗を減少させることが可能となり、攪拌羽根の交換頻度を減らして作業効率の向上とメンテナンスコストの低減を達成することができる。しかも、ドラム体と中心軸は1つの駆動源により互いに逆方向に回転するため、装置を小型化することができ、設備コストも低く抑えることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、中心軸の一端部側の外周面に備えられたスクリューの回転を利用して供給口から供給された被摩砕物をドラム体内部へと連続的に円滑に送り込むことができる。そのため、処理効率が向上し、短時間で大量の摩砕処理を行うことが可能となる。また、被摩砕物をドラム体内部に送り込むためのスクリューコンベア等の設備を別途設ける必要がないため、装置を小型且つ廉価に構成することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、モータにより中心軸を正方向に回転させると、中心軸に外嵌された太陽歯車が遊星歯車を回転させ、遊星歯車が内歯車を回転させることにより、ドラム体が逆方向に回転される。そのため、1つの駆動源(モータ)により、ドラム体と中心軸を互いに逆方向に回転させることができる。また、ドラム体と中心軸とモータとを同軸に配置することができるため、装置を小型化することが可能となる。また、大きなトルクを伝達することができるため、ドラム体を大型化した場合でも、必要な回転トルクを確実に確保することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、遊星歯車機構が供給筒と反対側のドラム体の軸長方向他端部側に設けられているため、遊星歯車機構を構成する太陽歯車、遊星歯車、内歯車を、ドラム体の他端面と近接する位置に設けることが可能となる。また、供給筒の外径がドラム体の外径よりも小さく設定され、一端部側のベアリングの内輪が供給筒に外嵌されているため、ベアリングをドラム体の一端面と近接する位置に設けることが可能となる。これらの近接配置が可能となることにより、一端部側と他端部側の両方で装置をコンパクト化することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、ドラム体内部は隔壁により複数の摩砕室に区画されており、複数の攪拌羽根は各摩砕室に夫々1つずつ配置されていることから、被摩砕物が攪拌羽根及び摩砕媒体だけでなく隔壁の表面に対しても擦られることとなるため、摩砕効率を大きく向上させることができる。加えて、摩砕効率が向上することから、摩砕媒体の数を減らすことができ、攪拌羽根の摩耗を減少させることが可能となる。
また、隔壁には所定粒径未満に摩砕された被摩砕物を通過させる貫通孔が設けられていることから、貫通孔のエッジが被摩砕物の表面に付着した異物を削り落とす作用を発揮し、摩砕効率をより高めることができる。更に、摩砕室で摩砕された被摩砕物は所定粒径未満になると貫通孔を通過して次の摩砕室へと移動するため、被摩砕物が過度に摩砕されることがなく、被摩砕物の粒径を段階的に減少させて適正な粒径に調整することができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、ドラム体の軸長方向他端部側の外周面には、摩砕室よりも狭い幅の範囲において、摩砕後の被摩砕物を排出する排出口が設けられているため、他端部側の摩砕室にある摩砕処理終了後の被摩砕物のみを排出口から排出することができ、高品質の再生骨材を回収することが可能となる。
また、排出口及び該排出口から排出された被摩砕物を受け入れる排出用ホッパが全周に亘って設けられているため、被摩砕物を効率良く排出することができ、処理効率を向上させることができる。また被摩砕物がドラム体内に長時間滞留することによる過度の摩砕を防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る摩砕機の部分断面正面図である。
【図2】ドラム体の正面図である。
【図3】中心軸の正面図である。
【図4】中心軸の平面図である。
【図5】攪拌羽根を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】本発明に係る摩砕機の他端部側の拡大図である。
【図7】本発明に係る摩砕機の一端部側の拡大図である。
【図8】排出用ホッパを示す図であって、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る摩砕機の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る摩砕機の部分断面正面図である。
本発明に係る摩砕機は、被摩砕物(原料)を内部に取り入れるドラム体(1)と、ドラム体(1)内を軸長方向に貫いて回転する中心軸(2)と、ドラム体(1)内に装填された摩砕媒体(3)と、中心軸(2)の長さ方向に所定間隔で取り付けられて該中心軸の回転に伴って摩砕媒体(3)を攪拌する複数の攪拌羽根(4)とを備えている。
【0024】
図2はドラム体(1)の正面図である。
ドラム体(1)は、上下2つの半円筒状部材を組み合わせることにより略円筒状に形成されている。
ドラム体(1)の内部には、図1に示すように隔壁(5)が設けられている。
隔壁(5)は、軸長方向に一定間隔で設けられており、ドラム体(1)の内部を軸長方向に複数の摩砕室(6)に区画している。
隔壁(5)は、中心に設けられた1つの大径の貫通孔(51)と、大径の貫通孔(51)の周囲に設けられた多数の小径の貫通孔(52)を有している(図7参照)。
大径の貫通孔(51)は中心軸(2)を貫通させるための穴であり、小径の貫通孔(52)は摩砕室(6)内で所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみを通過させるための穴である。小径の貫通孔(52)は、ドラム体(1)の一端部側(上流側)の隔壁から他端部側(下流側)の隔壁に向けて次第に小さくなっていてもよい。
【0025】
各摩砕室(6)には、鋼製のボール等からなる多数の摩砕媒体(3)が収容されているとともに、中心軸(2)に設けられた複数の攪拌羽根(4)が1つずつ配置されている。
隔壁(5)に設けられた小径の貫通孔(52)の直径は、摩砕媒体(3)の直径よりも小さく、各摩砕室(6)に収容された摩砕媒体(3)は他の摩砕室に移動することはできない。
中心軸(2)の回転に伴って攪拌羽根(4)が回転すると、各摩砕室(6)内において摩砕媒体(3)が上下左右方向に移動する。これにより、被摩砕物が摩砕媒体(3)の表面に擦られ、被摩砕物の表面に付着したセメント等の異物が除去される。このとき、被摩砕物は、隔壁(5)に対しても接触して擦られるため、摩砕効率が非常に高くなる。特に、隔壁(5)に設けられた多数の貫通孔(52)はそのエッジにより異物を削り落とす作用を発揮するため、異物を効果的に除去することができる。このように、摩砕効率が向上することにより、摩砕媒体(3)の数を減らすことができ、攪拌羽根(4)の摩耗を減少させることが可能となる。
【0026】
ドラム体(1)の軸長方向一端部には、被摩砕物の供給口(71)を備えるとともに該ドラム体の内部と連通する供給筒(7)が取り付けられている。
供給筒(7)は、ドラム体(1)よりも外径が小さい円筒状に形成されており、その一端側の上部にホッパ状の供給口(71)を備えている。
尚、本発明において、原料となる被摩砕物が供給される上流側を一端側と称し、摩砕後の被摩砕物が排出される下流側を他端側と称している。
【0027】
図3は中心軸(2)の正面図、図4は中心軸(2)の平面図である。
中心軸(2)は、その長さ方向に所定間隔で複数の攪拌羽根(4)が取り付けられており、その一端部側の外周面にスクリュー(8)を備えている。
攪拌羽根(4)はドラム体(1)の各摩砕室(6)内に配置され、スクリュー(8)は供給筒(7)内に配置される(図1,図7参照)。スクリュー(8)の外径は、供給筒(7)の内径と略同一である。
【0028】
このように、中心軸(2)の一端部側にスクリュー(8)を設けることにより、中心軸(2)の回転に伴って、攪拌羽根(4)を回転させると同時にスクリュー(8)の回転を利用して供給口(71)から供給筒(7)内に供給された被摩砕物をドラム体(1)内へと連続的に円滑に送り込むことができる。
そのため、被摩砕物をドラム体(1)内に送り込むためのスクリューコンベア等の設備を別途設ける必要がなく、装置(摩砕機)を小型且つ廉価に構成することができる。
【0029】
複数の攪拌羽根(4)は、互いに平行に且つ一定間隔で取り付けられており、夫々の攪拌羽根(4)は中心軸(2)に対して傾斜している。
図5は攪拌羽根(4)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
攪拌羽根(4)は、円形(又は楕円形)のプレートからなり、その中心には円筒状のボス(41)が設けられている。ボス(41)の中心孔には中心軸(2)が挿通される。
攪拌羽根(4)には、全面に亘って略均等に且つ略同心円状(又は同心楕円状)に配置された多数の円弧状の貫通孔(42)が設けられている。貫通孔(42)の大きさは、摩砕媒体(3)は通過できないが、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物は通過できる大きさに設定されている。
【0030】
中心軸(2)の両端部は、一対のベアリング(15)により支持されている。
中心軸(2)の一端部には、回転駆動源となるモータ(図示略)が連結されている。
このモータは、中心軸(2)を正方向に回転させるための駆動源と、ドラム体(1)を逆方向に回転させるための駆動源とを兼ねている。
つまり、ドラム体(1)と中心軸(2)は1つの駆動源により互いに逆方向に回転する。そのため、中心軸(2)を正方向に回転させるための駆動源と、ドラム体(1)を逆方向に回転させるための駆動源とを別々に設けた場合に比べて、装置を小型化することができるとともに、設備コストも低減することができる。
【0031】
ドラム体(1)と中心軸(2)を互いに逆方向に回転させると、摩砕媒体の数を減らしても被摩砕物と摩砕媒体との接触回数を多くすることができるため、摩砕効率を低下させることなく攪拌羽根の摩耗を減少させることが可能となる。本出願人の実験によれば、中心軸のみを回転させた場合と比べると、摩砕媒体の数を約3分の2に減らしても同等の摩砕効率を達成することができることが確認されている。
【0032】
以下、ドラム体(1)と中心軸(2)を1つの駆動源により互いに逆方向に回転させるための構成について、図6を参照しながらより具体的に説明する。
中心軸(2)のドラム体(1)から突出した他端側には太陽歯車(9)が外嵌されている。太陽歯車(9)の外周には該太陽歯車と噛合する複数(例えば3つ)の遊星歯車(10)が配設され、遊星歯車(10)の外周には該遊星歯車と噛合する環状の内歯車(11)が配設されている。内歯車(11)は、その一端面がドラム体(1)の他端面にボルトにより固定されている。
太陽歯車(9)と遊星歯車(10)と内歯車(11)は全体としてスター型の遊星歯車機構を構成しており、太陽歯車(9)が正方向に回転すると、遊星歯車(10)及び内歯車(11)が逆方向に回転する。
これにより、モータの駆動によって中心軸(2)を正方向に回転させると、ドラム体(1)が逆方向に回転することとなる。従って、ドラム体(1)と中心軸(2)を1つの駆動源(モータ)により互いに逆方向に回転させることができる。
【0033】
ドラム体(1)と中心軸(2)を1つの駆動源により互いに逆方向に回転させるための構成は、上記した遊星歯車機構を利用した構成には限定されない。
例えば、次の構成を採用することができる(図示略)。
ドラム体(1)の外周面に第1の歯車、ドラム体(1)から突出した中心軸(2)の一端部又は他端部に第2の歯車を夫々取り付ける。中心軸(2)と平行にモータと連結した第2の軸を設け、この軸に2つの歯車を取り付ける。そして、一方の歯車と第1の歯車とを噛合し、他方の歯車と第2の歯車とをチェーンにより連結する。これにより、第1の歯車は第2の軸と逆方向に、第2の歯車は第2の軸と同方向に回転するため、ドラム体(1)と中心軸(2)を1つの駆動源(モータ)により互いに逆方向に回転させることができる。
但し、このような構成を採用した場合、第2の軸を設ける必要がある等の理由により、装置が大型化するため、上記した遊星歯車機構を利用した構成とすることが好ましい。
【0034】
遊星歯車機構はドラム体(1)の軸長方向他端部側、即ち供給筒(7)と反対側に設けられている。
これにより、遊星歯車機構を構成する太陽歯車(9)、遊星歯車(10)、内歯車(11)を、ドラム体(1)の他端部側(他端面)と近接する位置に設けることが可能となる(図6参照)ため、ドラム体(1)及び中心軸(2)への遊星歯車機構の連結部分をコンパクトに構成することが可能となる。
【0035】
ドラム体(1)の軸長方向一端側及び他端側には、ベアリング(16)(17)が夫々配設されている(図6、図7参照)。これら一対のベアリング(16)(17)は、外輪(16a)(17a)がドラム体(1)と一体に回転する。
一端部側のベアリング(16)は、内輪(16b)が供給筒(7)に外嵌固定され、外輪(16a)が外枠体(18)を介してドラム体(1)の一端部(一端面)に固定されている。他端部側のベアリング(17)は、内輪(17b)が中心軸(2)周りに固定された部材(19)に外嵌され、外輪(17a)が内歯車(11)に固定されている。
ここで、上述したように、供給筒(7)の外径はドラム体(1)の外径よりも小さく形成されている。そのため、一端部側のベアリング(16)を供給筒(7)に外嵌することにより、ベアリング(16)をドラム体(1)の一端部(一端面)と近接する位置に設けることが可能となり、装置をコンパクト化することができる。
【0036】
ドラム体(1)の軸長方向他端部側の外周面には、図2に示すように、摩砕後の被摩砕物を排出する複数の排出口(12)が全周に亘って所定間隔をあけて設けられている。
排出口(12)は、摩砕室(6)よりも狭い幅(摩砕室の半分以下の幅)の範囲において、他端部側(最下流側)の摩砕室に設けられている。これにより、他端部側(最下流側)の摩砕室にある摩砕処理終了後の被摩砕物のみを排出口(12)から排出することができ、被摩砕物の表面に付着した異物(セメント等)が確実に除去された高品質の骨材を回収することが可能となる。
【0037】
ドラム体(1)の軸長方向他端部側の外周面には、図1に示すように、排出口(12)から排出された被摩砕物を受け入れて放出する排出用ホッパ(13)が全周に亘って設けられている。
図8は排出用ホッパ(13)を示す図であって、(a)は背面図、(b)は側面図である。
排出用ホッパ(13)は、摩砕室(6)よりも狭い幅(摩砕室の半分以下の幅)の範囲において、ドラム体(1)の排出口(12)が設けられた部分の外周面を囲うように設けられており、排出口(12)から排出された摩砕処理後の被摩砕物をドラム体(1)の全周から受け入れることができる。
排出用ホッパ(13)の下端部には、受け入れた被摩砕物を外部に放出するための放出口(14)が設けられている。
【0038】
このように、排出口(12)及び排出用ホッパ(13)がドラム体(1)の全周に亘って設けられているため、被摩砕物を効率良く短時間で排出することができ、処理効率を向上させることができる。また、被摩砕物がドラム体(1)内部で長時間滞留することが防がれるため、過度の摩砕を防ぐこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る摩砕機は、例えばコンクリート廃材やアスファルト廃材から再生骨材を得るために利用される。
【符号の説明】
【0040】
1 ドラム体
2 中心軸
3 摩砕媒体
4 攪拌羽根
5 隔壁
52 貫通孔
6 摩砕室
7 供給筒
71 供給口
8 スクリュー
9 太陽歯車
10 遊星歯車
11 内歯車
12 排出口
13 排出用ホッパ
16 一端部側のベアリング
16a 外輪
16b 内輪
17 他端部側のベアリング
17a 外輪
17b 内輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被摩砕物を内部に取り入れるドラム体と、該ドラム体内を軸長方向に貫く中心軸と、該ドラム体内に装填された摩砕媒体と、前記中心軸の長さ方向に所定間隔で取り付けられて該中心軸の回転に伴って前記摩砕媒体を攪拌する複数の攪拌羽根とを備えており、
前記攪拌羽根には被摩砕物を通過させる貫通孔が設けられており、
前記ドラム体と前記中心軸は、1つの駆動源により互いに逆方向に回転することを特徴とする摩砕機。
【請求項2】
前記中心軸は、一端部側の外周面にスクリューを備えており、
前記ドラム体の軸長方向一端部には、被摩砕物の供給口を備えるとともに該ドラム体の内部と連通する供給筒が取り付けられており、
前記スクリューは前記供給筒内に位置しており、回転に伴って該供給筒内に供給された被摩砕物を前記ドラム体内部へと送り込むことを特徴とする請求項1記載の摩砕機。
【請求項3】
前記中心軸と連結されたモータと、
前記中心軸に外嵌された太陽歯車と、該太陽歯車に噛合する遊星歯車と、該遊星歯車に噛合するとともに前記ドラム体に固定された内歯車からなる遊星歯車機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の摩砕機。
【請求項4】
前記遊星歯車機構が前記ドラム体の軸長方向他端部側に設けられ、
前記ドラム体の軸長方向一端側及び他端側には、外輪が該ドラム体と一体に回転するベアリングが夫々配設され、
前記供給筒の外径が前記ドラム体の外径よりも小さく形成され、
前記一端部側のベアリングの内輪は前記供給筒に外嵌され、
前記他端部側のベアリングの外輪は前記内歯車に固定されていることを特徴とする請求項3記載の摩砕機。
【請求項5】
前記ドラム体内部は隔壁により複数の摩砕室に区画されており、
前記隔壁には所定粒径未満に摩砕された被摩砕物を通過させる貫通孔が設けられており、
前記複数の攪拌羽根は、各摩砕室に夫々1つずつ配置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の摩砕機。
【請求項6】
前記ドラム体の軸長方向他端部側の外周面には、前記摩砕室よりも狭い幅の範囲において、摩砕後の被摩砕物を排出する排出口及び該排出口から排出された被摩砕物を受け入れる排出用ホッパが全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項5記載の摩砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−45809(P2011−45809A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194877(P2009−194877)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(591079650)有限会社大東土木 (12)
【Fターム(参考)】