説明

摺動・回転取付ユニット及び携帯電話機

【課題】 ガタツキが抑制された摺動・回転取付ユニットを提供すること。
【解決手段】摺動・回転取付ユニットは、所定距離離間した第1及び第2の軸ピンが設けられたベース板と、前記ベース板に設けられ、前記第1及び第2の鈎状部を挟持可能な第1および第2の挟持手段と、前記第1及び第2の軸ピンとそれぞれ係合する第1及び第2の鈎状部が形成された可動板と、を有し、前記ベース板と前記可動板とが相対回動するように接合された摺動・回転取付ユニットであって、前記可動板は、一方向へ回動するときは前記第1の軸ピンと前記第1の鉤状部が係合して前記第2の軸ピンから前記第2の鉤状部が離脱し、他方向へ回動するときは前記第2の軸ピンと前記第2の鉤状部が係合して前記第1の軸ピンから前記第1の鉤状部が離脱するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコン等の電子機器において、表示部を有する表示側筐体を、操作部を有する操作側筐体に対して回転するように取り付ける(直接的に取り付ける場合のみでなく、他の独立した部材を介して間接的に取り付ける場合も含まれる。)ための摺動・回転取付ユニット及び携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PDA、ノートパソコン等の電子機器では、例えば表示側筐体を操作側筐体に対してヒンジ部を介して折畳み可能に連結したものや、縦長の操作側筐体と表示側筐体とを重なる状態で長さ方向に沿ってスライド可能に連結したものが使用されている。
【0003】
そして、多くの場合表示側筐体は縦長又は横長であり、このように縦長又は横長に表示姿勢を固定すると、種々の異なった用途で使用するときに使い勝手が悪いといった問題がある。
【0004】
前記のような課題を解決するため、縦長の操作側筐体と表示側筐体とを相対的にスライド回転するように連結する回転連結機構を備えたものが提案されている。
【0005】
前記回転連結機構は、表示側筐体が操作側筐体を覆って閉じた状態と、表示側筐体が操作側筐体の操作部を露出するとともに操作側筐体の長さ方向中心線に対して対称となる、開いた状態との、いずれか一方の状態から他方の状態へ回転操作により移行できるように構成されている(後記特許文献1参照)。
【0006】
また、ともに縦長の操作側筐体と表示側筐体とを、ヒンジ部とスライド回転部とを含む連結機構によって折畳み可能に連結し、通常はヒンジ部を利用して開閉操作をして使用し、必要な場合にはスライド回転部により表示側筐体を90度回転させ、その表示姿勢を縦長姿勢と横長姿勢とに選択変換して使用できるように構成した携帯端末が提案されている(後記特許文献2の図1〜図7参照)。
【0007】
しかし、前記特許文献1の携帯端末における回転連結機構は、一方の状態から他方の状態へ回転操作により移行させたときは、縦長の表示側筐体が同様な操作側筐体の正面へ重なった状態で横長の表示姿勢に移行し、あるいは、その逆に横長の表示姿勢から縦長で操作側筐体へ重なった姿勢に移行するのみである。
【0008】
従って、操作側筐体の操作部が露出するのは表示側筐体が横長姿勢に移行したときのみであり、表示側筐体が縦長の表示姿勢では操作側筐体の操作部は常に表示側筐体により覆われて遮蔽されているので、例えば携帯端末を電話機として使用する場合にはかえって使い勝手が悪いという問題があった。
【0009】
また、筐体をスライド回転させるためのレール溝が携帯端末の表示側筐体に設けられているため筐体の強度が悪くなるほか、表示側筐体の姿勢を移行する際、レール溝が外部に露出して外観を損なうという問題もあった。
【0010】
さらに、表示側筐体を回転させるため両筐体へ回転軸部を設け、あるいは前記のように表示側筐体へレール溝を設ける等、両筐体への特別な加工や設計変更が必要であった。
【0011】
前記特許文献2の携帯端末は、ヒンジ部へ長さ方向に沿って支持板が取り付けられ、この支持板の幅方向(ヒンジの長さ方向と同じ)片端部両面の同軸上へ出没可能に一対の係合ピンを取り付け、前記係合ピンと対応する前記表示側筐体の側部寄り位置の内部へ、前記ヒンジの方向から先端方向へ伸びて相対しかつ両端部へ軸受凹部を有するガイド溝を形成し、この相対するガイド溝へ前記係合ピンを案内している。
【0012】
そして、表示側筐体を縦長姿勢から横長姿勢へ姿勢変換するときは、前記係合ピンを中心として前記第2筐体を横長姿勢になるように回転させ、この状態で表示側筐体を前記回転方向の反対方向へスライドさせるように操作する。
【0013】
しかし、前記携帯端末は構造上表示側筐体全体の厚みが増大して大型化し易く、また、表示側筐体を横長姿勢に姿勢変換するときは当該筐体を横長姿勢になるように回転させた後、当該筐体をヒンジ部の方向へスライドさせなければならず、表示側筐体を縦長姿勢に姿勢変換するときは前記の逆順に操作する必要があるので、特許文献1の携帯端末と同様に姿勢変換の操作が面倒で利便性に乏しかった。
【0014】
また、筐体へガイド溝や係合ピンを設ける等、前記特許文献1と同様に筐体自体への特別な加工や設計変更が必要であった。
【0015】
そこで、本出願人は、先に、表示の多様性を改善し、ユニットとしての独立性が改善(筐体の加工や設計変更を排除)された摺動・回転取付ユニットを提案している(特許文献3)。
【0016】
具体的には、特許文献3の摺動・回転取付ユニットは、ベース板3が操作側筐体1の表面に固定され、可動板4が表示側筐体2の裏面に固定されている。可動板4にカシメ固定された固定軸5はベース板3のガイドスリット6を貫通してベース板3と可動板4を摺動可能に抜け止めしている。可動板4はベース板3にカシメ固定された2本の軸ピン7a、7bが中心軸となって回転し、固定軸5がガイドスリット6に沿って摺動する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−019925号公報
【特許文献2】特開2004−215180号公報
【特許文献3】特願2008−093851
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献3記載の発明は表示の多様性を改善し、ユニットとしての独立性が改善(筐体の加工や設計変更を排除)されたという点では優秀な発明である。
【0019】
しかしながら、特許文献3記載の発明は、スムーズな回転動作を実現する為には、ベース板と可動板の間にクリアランスを設定することが必要であり、かつ、ベース板と可動板とが所定の角度で保持された保持状態についても同様に、各部材のバラツキを配慮する為に、クリアランスの設定が必要となっていた。
【0020】
そのため、クリアランスにより、携帯端末機器の保持状態においてガタツキが発生する可能性があり、これを抑制可能な構造がより望ましい。
【0021】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、この種の摺動・回転取付ユニットにおけるガタツキの抑制にある。
【0022】
本発明の他の目的は、ガタツキが抑制された摺動・回転取付ユニットを用いることにより、一層使い勝手のよい携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る摺動・回転取付ユニットは、前記課題を解決するため、所定距離離間した第1及び第2の軸ピンが設けられたベース板と、前記第1及び第2の軸ピンとそれぞれ係合する第1及び第2の鈎状部が形成された可動板と、前記ベース板に設けられ、前記第1及び第2の鈎状部を挟持可能な第1および第2の挟持手段と、を有し、前記ベース板と前記可動板は相対回動するように接合され、前記可動板は、一方向へ回動するときは前記第1の軸ピンと前記第1の鉤状部が係合した状態にて前記第2の軸ピンから前記第2の鉤状部が離脱し、かつ前記第1の挟持手段が前記第1の鉤状部を挟持し、他方向へ回動するときは前記第2の軸ピンと前記第2の鉤状部が係合した状態にて前記第1の軸ピンから前記第1の鉤状部が離脱し、かつ前記第2の挟持手段が前記第2の鉤状部を挟持するように構成されていることを特徴としている。
【0024】
本発明に係る第1の携帯電話機は、前記課題を解決するため、操作側筐体である第1の筐体の正面へ表示側筐体である第2の筐体の背面が重なる状態で両筐体間に前記摺動・回転取付ユニットが設置され、前記第1の筐体には前記ベース板が、前記第2の筐体には前記可動板がそれぞれ取り付けられ、この取付状態において、前記可動板は第1の鈎状部が第1の軸ピンへ係合されていて第2の鈎状部が第2の軸ピンから離脱しており、前記可動板が前記第1の軸ピンを中心として前記第2の軸ピンの方向へ90度回動したとき第2の鈎状部が前記第2の軸ピンへ係合するとともに前記第2の筐体が縦長姿勢から横長姿勢に変換され、前記可動板が前記第2の軸ピンを中心として同方向へさらに90度回動したとき、前記第2の筐体の一部が前記第1の筐体の一部と長さ方向に沿って重なった状態で縦長姿勢に変換されるように構成されていることを特徴としている。
【0025】
本発明に係る第2の携帯電話機は、前記課題を解決するため、操作側筐体である第1の筐体の正面へ表示側筐体である第2の筐体の背面がスライド可能に重なる状態で設けられているスライド式携帯電話機において、両筐体間に前記摺動・回転取付ユニットが設置され、前記第1の筐体には前記ベース板が、前記第2の筐体には前記可動板がそれぞれ取り付けられ、この取付状態において、前記可動板の第1及び第2の鈎状部が前記ベース板の第1及び第2の軸ピンへそれぞれ係合されており、前記可動板が第1の軸ピンを中心として一方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が縦長姿勢から横長姿勢に変換され、前記可動板が第2の軸ピンを中心として他方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が逆方向への横長姿勢に変換されるように構成されていることを特徴としている。
【0026】
本発明に係る第3の携帯電話機は、前記課題を解決するため、操作側筐体である第1の筐体と表示側筐体である第2の筐体とが折畳み可能に連結された折畳式携帯電話機において、前記第1の筐体は折畳みヒンジ部を介して連結された保持ベースを有し、前記第2の筐体は前記保持ベースを介して前記第1の筐体と連結され、前記保持ベースと前記第2の筐体との間には前記摺動・回転取付ユニットが設置され、前記保持ベースには前記ベース板が、前記第2の筐体には前記可動板がそれぞれ取り付けられ、この取付状態において、前記可動板の第1及び第2の鈎状部が前記ベース板の第1及び第2の軸ピンへそれぞれ係合されており、前記可動板が第1の軸ピンを中心として一方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が縦長姿勢から横長姿勢に変換され、前記可動板が第2の軸ピンを中心として他方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が逆方向への横長姿勢に変換されるように構成されていることを特徴としている。
【0027】
本発明の携帯電話機の姿勢変換方法は、本発明に係る携帯電話機を用いたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る摺動・回転取付ユニットによれば、従来よりもガタツキを抑制できる。
【0029】
本発明に係る携帯電話機によれば、前記のガタツキが抑制された摺動・回転取付ユニットを用いることにより、一層使い勝手のよい携帯電話機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る一つの実施形態の摺動・回転取付ユニットaの部分分解斜視図である。
【図2】図1の摺動・回転取付ユニットaの可動板が一つの基準姿勢であるときの正面図である。
【図3】図2の背面図である。
【図4】摺動・回転取付ユニットaの可動板が図2の状態から一方向へ90度回動した状態の正面図である。
【図5】同摺動・回転取付ユニットaの可動板が図2の状態から他方向へ90度回動した状態の正面図である。
【図6】図2の矢印A−Aに沿う拡大断面図である。
【図6A】図4の斜視図である。
【図6B】図6Aの裏面図である。
【図6C】図6AのA1方向矢視図である。
【図7】図1の実施形態の摺動・回転取付ユニットaを用いて二つの筐体を接合した第1実施形態の携帯電話機の概略正面図である。
【図8】図7の携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して一方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【図9】携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図8の状態からさらに一方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【図10】図1の摺動・回転取付ユニットを用いて二つの筐体を接合した第2実施形態の携帯電話機の概略正面図である。
【図11】図10の携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して反時計方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【図12】図10の携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して時計方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【図13】図1の摺動・回転取付ユニットaを折畳み式携帯電話機に用いた第3実施形態の携帯電話機の部分分解斜視図である。
【図14】図13の携帯電話機の第2の筐体を第1の筐体に対して開いた状態の概略正面図である。
【図15】図14の携帯電話機の第2の筐体を一方向へ90回動させた状態の概略正面図である。
【図16】図14の携帯電話機の第2の筐体を他方向へ90度回動させた状態の概略正面図である。
【図17】図1の実施形態の摺動・回転取付ユニットaを用いて二つの筐体を接合した第4実施形態の携帯電話機の概略正面図である。
【図18】図17の携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して反時計方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【図19】図17の携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して時計方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【図20】図17の携帯電話機の第2の筐体を第1の筐体に対して上方にスライドした状態の概略正面図である。
【図21】図1の摺動・回転取付ユニットaの一つの取付方向を示す概略正面図であり、携帯電話機の姿勢が図17、図20の場合に対応する。
【図22】摺動・回転取付ユニットaの可動板が図21の状態から反時計方向へ90度回転した状態の正面図である。
【図23】摺動・回転取付ユニットaの可動板が図21の状態から時計方向へ90度回転した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
摺動・回転取付ユニットの実施形態
図1は本発明に係る一実施形態の摺動・回転取付ユニットaの部分分解斜視図、図2は図1の摺動・回転取付ユニットaの可動板が一つの標準姿勢であるときの正面図、図3は同背面図、図4は同摺動・回転取付ユニットaの可動板が図2の状態から一方向へ90度回動した状態の正面図、図5は同摺動・回転取付ユニットaの可動板が図2の状態から他方向へ90度回動した状態の正面図、図6は図2の矢印A−Aに沿う拡大断面図、図6Aは図4の斜視図、図6Bは図6Aの裏面図、図6Cは図6AのA1方向矢視図である。
【0032】
第1実施形態の摺動・回転取付ユニットaは、所定距離離間した第1及び第2の軸ピン10,10aが設けられたベース板1と、前記第1及び第2の軸ピン10,10aとそれぞれ係合する第1及び第2の鈎状部20,20aが形成された可動板2とを具備し、前記ベース板1と前記可動板2は相対回動(回転)するように接合される。
【0033】
前記可動板2は、一方向へ回動するときは前記第1の軸ピン10と前記第1の鉤状部20とが係合して前記第2の軸ピン10aから前記第2の鉤状部20aが離脱し、他方向へ回動するときは前記第2の軸ピン10aと前記第2の鉤状部20aとが係合して前記第1の軸ピン10から前記第1の鉤状部20が離脱するように構成されている。
【0034】
この実施形態では、ベース板1の軸ピン10、10aはベース板1を貫通して設けられており、一方の端部には、それぞれフランジ部39、39aが第1の鉤状部20及び第2の鈎状部20aと接触可能に(ベース板1の、可動板2と摺動する面に対向するように)設けられている。
【0035】
また、ベース板1は、フランジ部39、39aと対向する面(可動板2と摺動する面)の反対側の面に板バネ41、41aが設けられている。
【0036】
軸ピン10、10aの他の端部は板バネ41、41aを貫通しており、板バネ41、41aを保持している。
【0037】
板バネ41、41aは側面形状がL字型の形状を有しており、内側の面の一方である面43、43aはベース板1と接しており、端部の一方はフランジ部39、39a側へ突出した突出部45、45aを形成している(図6Aおよび図6B参照)。
【0038】
突出部45、45aはベース板1の、フランジ部39、39aと対向する面(可動板2と摺動する面)から突出するように形成されており、可動板2が所定の角度(例えば90度)回転した状態にてそれぞれ第1の鉤状部20および前記第2の鉤状部20aと接触するように構成されている。
【0039】
突出部45、45aについて、より具体的に説明すると、突出部45、45aは可動板2の回転方向(回転面、具体的には可動板2のベース板1との摺動面)に対して鉛直方向に突出するように形成されており、可動板2(第1の鉤状部20及び第2の鈎状部20a)の摺動面に対して鉛直に接触可能に構成されている。
【0040】
なお、板バネ41、41aとフランジ部39、39aで挟持手段を形成している。
【0041】
この実施形態では、前記ベース板1と前記可動板2とを接合する接合部分である取付軸4をさらに有し、前記ベース板1には、前記第1の軸ピン10を中心とした円弧と前記第2の軸ピン10aを中心とした円弧が前記第1及び第2の軸ピン10,10aの間の中間位置で交わる形状のガイドスリット11が設けられている。
【0042】
他方、前記可動板2には、前記第1及び第2の鉤状部20,20aの中間位置に円形孔からなる取付部21が設けられており、前記取付軸4は前記取付部21へ固定され且つ前記ガイドスリット11内を抜け止め状態で摺動できるように構成されている。
【0043】
前記第1及び第2の軸ピン10,10aの中間位置は当該第1及び第2の軸ピン10,10aを結ぶ直線上の実質的な中点であり、前記第1及び第2の鉤状部20,20aの中間位置は当該第1及び第2の鉤状部20,20aを結ぶ直線上の実質的な中点である。
【0044】
なお、前記第1及び第2の軸ピン10,10aの中間位置は必ずしも直線上の実質的な中点である必要はなく、軸ピン10,10aから互いに等距離な中間地点であってもよい。
【0045】
この実施形態では、可動板2の作動を付勢し、前記ガイドスリット11及びそれに沿って摺動する取付軸4とともに前記可動板2の作動を規制するため、ばね3が設けられている。
【0046】
前記ガイドスリット11には、次の第1〜第3の凹部11a〜11cが形成されている。
【0047】
第1の凹部11aは、軸ピン10を中心とした円弧の一方の端部であり、且つ軸ピン10aを中心とした円弧の一方の端部である。図2及び図3で示すように、可動板2の第1及び第2の各鈎状部20,20aが第1及び第2の軸ピン10,10aとそれぞれ係合しているときに前記取付軸4がばね3の付勢により案内される凹部である。
【0048】
第2の凹部11bは、軸ピン10を中心とした円弧の他方の端部である。図4で示すように、前記各鈎状部20,20aが対応する各軸ピン10、10aと係合している状態から前記可動板2が第1の軸ピン10を中心として一方向(この実施形態では正面側から見て反時計方向)へ90度回動したときに前記取付軸4がばね3の付勢により案内される凹部である。
【0049】
第3の凹部11cは、軸ピン10aを中心とした円弧の他方の端部である。図5で示すように、前記各鈎状部20,20aが対応する各軸ピン10、10aへ案内されている状態から前記可動板2が第2の軸ピン10aを中心として他方向へ90度回転したときに前記取付軸4がばね3の付勢により案内される凹部である。
【0050】
可動板2の各鈎状部20,20aが対応する各軸ピン10、10aと係合している状態(図2,3)において、可動板2が第1の軸ピン10を中心として前記一方向へ回動すると、図4で示すように第2の鈎状部20aが第2の軸ピン10aから離脱する。
【0051】
また、可動板2の各鈎状部20,20aが対応する各軸ピン10、10aと係合している状態において、可動板2が第2の軸ピン10aを中心として他方向へ回動すると、図5で示すように第1の鈎状部20が第1の軸ピン10から離脱する。
【0052】
ベース板1はステンレス板等の金属板をプレス加工したものであり、図示されていない小ねじにより当該ベース板1を後記の第1の筐体6や保持ベース5(図13以下)へ取り付けるため、背面側へ突出するように複数のボス状ナット部12が形成されている。
【0053】
なお、板バネ41、41aは、ボス状ナット部12に接するように設けられており、接する部分はボス状ナット部12の外形に対応した円弧状の切り欠き部47、47aを形成している。
【0054】
可動板2もステンレス板等の金属板をプレス加工したものであり、同様な手段で後記のように表示側筐体7を取り付けるため正面側へ突出するように複数ボス状ナット部22が形成されている。
【0055】
例えば、ガイドスリット11は第1の凹部11aを中心として1/4円弧を二つ組み合せた「ほぼくの字状」となるように形成するのが好ましい。
【0056】
前記ガイドスリット11は、より具体的には、第1の軸ピン10を中心とした円弧と、第2の軸ピン10aを中心とした円弧が、二つの軸ピン10,10a相互の中間位置(すなわち凹部11a)で交わったスリット形状に形成してある。
【0057】
なお、ガイドスリット11において、円弧が中間位置で交わった部分の一方の内周は前述のように凹部11aを形成するが、他方の内周は凸状部11dを形成している。
【0058】
ただし、ガイドスリット11は、各円弧の半径が二つの軸ピン10,10a間の距離よりも小さければ、前記形状のスリットに限定されない。
【0059】
この実施形態において、ばね3にはトーションばねが使用されており、その可動側アーム30のカール部を取付軸4へ係合させる一方、その固定側アーム31のカール部をベース板1の背面側へ一体にプレス成形した鍔付きの軸部13へ係合ないし係止している。
【0060】
取付軸4は一端部にフランジ部40を有する短い中空(パイプ状)であり、軸部をばね3の可動側アーム30のカール部へ通し、その軸端を可動板2の両鈎状部20,20a相互の中間部に形成した取付部21へカシメ止めしている。
【0061】
前記ベース板1には、可動板2の各鈎状部20,20aが対応する軸ピン10,10aと係合している状態において、各鈎状部20,20aが対応する軸ピン10,10aから離脱するのを妨げない状態で可動板2の動きを規制するように、規制片14,14aが形成されている。
【0062】
具体的には、規制片14、14aは可動板2の両鈎状部20,20aの抜け止めのため、取付軸4(可動板2)が凹部11aに案内されている状態、即ち各鈎状部20,20aが対応する軸ピン10,10aと係合している状態(図3)から、当該取付軸4(可動板2)がガイドスリット11の凸状部11dの方向(図3の下方向)に動いた場合、接合部分である取付軸4がガイドスリット11の凸状部11dに突き当たるまでの可動長よりも長くなるようにする。
【0063】
前記実施形態の摺動・回転取付ユニットによれば、構成上ベース板1における第1及び第2の(一対の)軸ピン10,10a相互の間隔と可動板2における第1及び第2の鈎状部20,20aの中心相互の間隔は等しく、可動板2の背面における取付軸4は各鈎状部20,20a相互の中間位置にあるから、ガイドスリット11における第1の凹部11aの中心は一対の軸ピン10,10a相互の中間に位置している。
【0064】
各軸ピン10,10aと第1の凹部11aとの間隔、第1の軸ピン10と第2の凹部11bとの間隔、及び第2の軸ピン10aと第3の凹部11cとの間隔はそれぞれ等しく、第1の凹部11aと第2及び第3の凹部11b,11cとの間の距離も等しい。
【0065】
したがって、可動板2の各鈎状部20,20aがベース板1の対応する各軸ピン10,10aと係合している図2及び図3の状態から、第1の軸ピン10を中心として第2の鈎状部20aが第2の軸ピン10aから離脱する方向(図2の反時計方向)へ、前記可動板2を回動させることができる。
【0066】
また、可動板2を図2の状態から逆方向へ回動させることもできる。
【0067】
可動板2を図2の状態から反時計方向へ回動させると、取付軸4がガイドスリット11に沿って第2の凹部11bの方向へ摺動し、この摺動の途中からばね3の付勢により当該取付軸4が図4で示すように第2の凹部11bへ案内されるため、可動板2は90度回動した状態で係止される。
【0068】
この状態では、板バネ41の突出部45が、可動板2の摺動面に対して鉛直に可動板2(第1の鈎状部20)に接触し、可動板2は板バネ41を図6CのA2の向きに押し下げるが、板バネ41の反発力により、第1の鈎状部20はフランジ部39の裏面に突き当たる。
【0069】
即ち、図4に示す状態では、第1の鈎状部20は、板バネ41のバネ力によって板バネ41とフランジ部39に挟み込まれ、第1の鈎状部20は、板バネ41およびフランジ部39との摩擦力によって保持されている。
【0070】
そのため、ベース板1と可動板5の間にクリアランスがあっても、回転方向のガタツキを抑制することが可能となる。
【0071】
また、このように突出部45が可動板2の摺動面に対して鉛直に接触する構成では、突出部45のベース板1からの突出高さは第1の軸ピン10の高さ以下となるため、突出部45を設けても摺動・回転取付ユニットaの厚さに影響はない。
【0072】
そのため、回転方向に対してストッパ等を設けてガタツキを抑制する場合に比較して、突出部45(板バネ41)は、限られたユニットの厚さの範囲内でも設けることができるという利点を有する。
【0073】
一方、可動板2を図2の状態から時計方向へ回動させると、取付軸4がばね3の付勢により図5で示すように第3の凹部11cへ案内されるため、可動板2は同様に90度回動した状態で係止される。
【0074】
この状態では、板バネ41aの突出部45aが、可動板2の摺動面に対して鉛直に可動板2(第2の鈎状部20a)に接触し、可動板2は板バネ41aを押し下げるが、板バネ41aの反発力により、第1の鈎状部20aはフランジ部39aの裏面に突き当たる。
【0075】
即ち、図5に示す状態では、第1の鈎状部20aは、板バネ41aのバネ力によって板バネ41aとフランジ部39aに挟み込まれ、第1の鈎状部20aは、板バネ41aおよびフランジ部39aとの摩擦力によって保持されている。
【0076】
そのため、ベース板1と可動板5の間にクリアランスがあっても、回転方向のガタツキを抑制することが可能となる。
【0077】
また、このように突出部45aが可動板2の摺動面に対して鉛直に接触する構成では、突出部45aのベース板1からの突出高さは第2の軸ピン10aの高さ以下となるため、突出部45aを設けても摺動・回転取付ユニットaの厚さに影響はない。
【0078】
そのため、回転方向に対してストッパ等を設けてガタツキを抑制する場合に比較して、突出部45a(板バネ41a)は、限られたユニットの厚さの範囲内でも設けることができるという利点を有する。
【0079】
また、可動板2を図4又は図5の状態から図2の復帰方向へ回動させたときは、取付軸4がばね3の付勢によりガイドスリット11の第1の凹部11aへ案内されるため、可動板2は復帰方向へ90度回動した状態で係止される。
【0080】
携帯電話機の第1実施形態
図7は前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを用いて二つの筐体を接合した第1実施形態の携帯電話機の概略正面図、図8は同携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図7の状態から一方向へ90度回動した状態の概略正面図、図9は同携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図8の状態からさらに一方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【0081】
前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaにおいて、例えば図4のように、可動板2における第1の鈎状部20がベース板1の第1の軸ピン10と係合し、第2の鈎状部20aが第2の軸ピン10aから離脱している状態を基準状態(出発状態)と仮定する。
【0082】
この基準状態である図4の状態から、可動板2を、第1の軸ピン10を中心として時計方向へ90度回動させることができ、さらに続いて、第2の軸ピン10aを中心として時計方向へ90度回動させることができる。
【0083】
このことは、図5の状態を基準状態とし、可動板2を反時計方向へ繰り返し二回90度ずつ回動させる場合も同じである。
【0084】
この特徴を利用して構成した携帯電話機が、第1実施形態の電話機である。
【0085】
図7〜図9において、縦長の第1の筐体6は携帯電話機のベース側(操作側)筐体であって、正面には操作ボタン(図示せず)等が設けられている。この第1の筐体6の正面側へその背面が重ねられている縦長の第2の筐体7は、可動側(表示側)筐体であって正面には表示画面(図示せず)等が設けられている。
【0086】
前記第1の筐体6と第2の筐体7との上端部分相互の間に、前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaが介在しており、ベース板1の背面には第1の筐体6が、可動板2の正面には第2の筐体7がそれぞれ取り付けられている。
【0087】
なお、好ましくは、ベース板1の外周は、筐体7の回動時(詳細は後述)に当該ベース板1が外部から見えないような形状にする。
【0088】
具体的には、本実施形態においては、ベース板1は平面形状が矩形に構成され、当該矩形におけるベース板1の外周において、他の辺と比べて軸ピン10a,10と離れている辺の隅が斜めにカットされた形状となっている。
【0089】
第1の筐体6に対する第2の筐体7の前記取付状態(基準状態)においては、図7で示すようにベース板1の第2及び第1の軸ピン10a,10は、両筐体6,7が重なった領域の右辺に沿って位置している。そして前記可動板2は、第1の鈎状部20が第1の軸ピン10へ係合されていて第2の鈎状部20aが第2の軸ピン10aから離脱している状態にある。
【0090】
また、この状態では、板バネ41の突出部45が第1の鈎状部20の摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は板バネ41のバネ力によって板バネ41とフランジ部39に挟み込まれ、板バネ41およびフランジ部39との摩擦力によって保持されている(図4参照)。
【0091】
この基準状態は、第1の筐体6の操作部を露出させないコンパクトな状態であって、第2の筐体7の表示部を縦長状態あるいは横長状態として利用することができる。
【0092】
図7の基準状態から第2の筐体7を時計方向へ回動させると、可動板2が第1の軸ピン10を中心として第2の軸ピン10aの方向へ90度回動したとき、第2の鈎状部20aが前記第2の軸ピン10aへ係合し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第1の凹部11aへ案内される。
【0093】
したがって、前記第2の筐体7は図7の姿勢から図8の横長姿勢に変換されて停止し、携帯電話機は全体としてほぼT字状を呈する状態になる。
【0094】
第2の筐体7がこの姿勢にあるときは、例えば携帯電話機においてテレビジョン放送を受信したり、ウェブサイトを表示したりするのに適する。
【0095】
図8の状態において、第2の筐体7をさらに時計方向へ回動させると、第1の鈎状部20は第1の軸ピン10から離脱し、可動板2は第2の軸ピン10aを中心として回動する。
【0096】
この回動に伴い、取付軸4はガイドスリット11における第3の凹部11cへ案内されるので、第2の筐体7は図8の横長姿勢から図9で示す縦長姿勢に変換されて停止する。
【0097】
この状態では、板バネ41aの突出部45aが第1の鈎状部20aの摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は板バネ41aとフランジ部39aに挟み込まれ、板バネ41aおよびフランジ部39aとの摩擦力によって保持されている(図5参照)。
【0098】
このとき、携帯電話機は第1の筐体6の上端部領域へ第2の筐体7の下端部領域が重なって全体として最も細長い形態になる。
【0099】
この状態は例えば携帯電話機を既存の電話機と同様にして使用するのに適する。
【0100】
前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaによれば、第1の筐体6へ第2の筐体7を相対回動可能に取り付けるに当っては、各筐体6,7には取付のために僅かな加工(例えばプレートに小ねじ孔を設けるなど)を要するのみで、特別な加工や設計変更などはほとんど不用である。
【0101】
したがって、筐体6,7を製造するための金型の基本的な変更を必要とせず、既存の各機種にも利用し易い。
【0102】
ユニットaの可動板2は、ベース板1に対して一方向へ90度回動して逆方向への回動により復帰するだけの姿勢変換のみではなく、前記のようにより多様にその姿勢を変換することができる。
【0103】
したがって、これを電子機器の操作側筐体と表示側筐体との連結に用いた場合、前記基準姿勢の選択により表示側筐体の表示姿勢をより多様に変化させ、電子機器類の使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【0104】
前記摺動・回転取付ユニットaは、ベース板1と当該ベース板1へ相対回転可能に接合された可動板2とを基本的な構成要素とするほか、このユニットaにより二つの筐体を連結する場合、前記のように各筐体6,7への特別な加工や設計変更をほとんど必要としない。
【0105】
したがって、ユニット自体及び携帯電話機等を構造上より薄型に構成することができるほか、筐体相互の連結に用いた場合に筐体の強度を低下させる要因はない。また、回動機構のための構成要素(例えばガイド溝等)を筐体側に設ける必要もないためそれらの要素が外部へ露出したりすることは皆無である。
【0106】
前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaの可動板2をいずれかの軸ピン10を中心として手操作により回動可能な方向へ回動させると、最後まで手操作を行わなくても、ばね3の付勢作用すなわちスナップ作用により、第2の筐体7は可動板2とともに途中から停止するまで自動的に回動する。
【0107】
したがって、携帯電話機その他の電子機器類における表示側筐体の表示姿勢を極めて簡単かつ円滑に変換することができる。
【0108】
前記ばね41、41aの作用と、前記フランジ部39、39aとの関連構成により、可動板2及びそれに取り付けられている筐体7の姿勢変換後のガタツキが防止され、それらの姿勢や操作の安定性が得られる。
【0109】
ガイドスリット11は、第1の凹部11aを中心として円弧を組み合せた「くの字状」形態となるように形成されているので、ベース板1に対する可動板2の動き(すなわち、第1の筐体6に対する第2の筐体7の動き)が非常に円滑になる。
【0110】
この実施形態において、ばね3にはトーションばねが使用されており、図6で示すようにその可動側アーム30のカール部を取付軸4へ係合させる一方、その固定側アーム31のカール部をベース板1へ取り付けているので、ユニットaをより一層薄型にすることができる。
【0111】
取付軸4は中空(パイプ状)であるので、この取付軸4の内部へ図示しないリード線を通線して第1及び第2の筐体6,7相互を電気的に接続するのに便利である。
【0112】
前記ベース板1には、可動板2の各鈎状部20,20aが対応する軸ピン10,10aと係合している状態において、各鈎状部20,20aが対応する軸ピン10,10aから離脱するのを妨げない状態で、可動板2の動きを規制する規制片14,14aが形成されているので、摺動・回転取付ユニットaを組み込んだ機器をより安定的に操作することができる。
【0113】
携帯電話機の第2実施形態
図10は前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを用いて、二つの筐体を接合したスライド式携帯電話機の概略正面図、図11は同携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図10の状態から一方向へ90度回動した状態の概略正面図、図12は同携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図10の状態から他方向へ90度回動した状態の概略正面図である。
【0114】
前述のように、可動板2を図2の状態から反時計方向へ回動させると、可動板2は図4で示すように90度回動した状態で停止する。
【0115】
可動板2を図2の状態から時計方向へ回動させると、可動板2は図5で示すように90度回動した状態で停止する。
【0116】
また、可動板2を図4又は図5の状態から図2の復帰方向へ回動させたときは、可動板2は復帰方向へ90度回動した状態で停止する。
【0117】
この特徴を利用して構成したスライド式携帯電話機が、第2実施形態の電話機である。
【0118】
第1の筐体6は携帯電話機のベース側(操作側)筐体であって、正面には操作ボタン(図示せず)等が設けられている。また、第2の筐体7は、可動側(表示側)筐体であって正面には表示画面(図示せず)等が設けられている。第1の筐体6の正面側には、第2の筐体7が例えば公知のスライド機構(図示せず)を介して重なる状態で接合されている。
【0119】
第1の筐体6と第2の筐体7は、前記スライド機構のスライド作動とは干渉しない状態で、前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを介して相対回動するように連結されている。
【0120】
第2の筐体7が第1の筐体6の正面側へほぼ全面的に重なっているとき(図示せず)は、第1の筐体6の操作部を露出させないコンパクトな状態であって、第2の筐体7の表示部を縦長状態あるいは横長状態として利用することができる。
【0121】
図10は携帯電話機を本来の電話機として使用するため、前記の状態から第2の筐体7を上方へ停止するまでスライドさせた状態が示されており、この状態でも摺動・回転取付ユニットの状態は同じである。
【0122】
第1の筐体6に対する第2の筐体7の前記取付状態(基準状態)においては、図10で示すようにベース板1の第1及び第2の軸ピン10,10aは、第1の両筐体6の上端部領域の幅方向に沿って位置している。
【0123】
そして前記可動板2は、第1及び第2の鈎状部20,20aが第1及び第2の軸ピン10,10aとそれぞれ係合している状態にある。
【0124】
図10の基準状態から第2の筐体7を反時計方向へ回動させると、可動板2が第1の軸ピン10を中心として反時計方向へ回動し、第2の鈎状部20aが第2の軸ピン10aから離脱し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第2の凹部11bへ案内される(図11)。
【0125】
また、この状態では、板バネ41の突出部45が第1の鈎状部20の摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は、板バネ41のバネ力によって板バネ41とフランジ部39に挟み込まれ、板バネ41およびフランジ部39との摩擦力によって保持される(図4参照)。
【0126】
したがって、前記第2の筐体7は図10の縦長姿勢から図11で示す横長姿勢に変換されて停止し、携帯電話機は全体としてほぼT字状を呈する状態になる。
【0127】
第2の筐体7がこの姿勢にあるときは、例えば携帯電話機においてテレビジョン放送を受信したり、ウェブサイトを表示したりするのに適する。
【0128】
図11の状態において、第2の筐体7を時計方向へ回動させると、当該第2の筐体7は90度回動して停止し、図10の基準状態に復帰する。
【0129】
図10の基準状態から第2の筐体7を時計方向へ回動させると、可動板2が第2の軸ピン10aを中心として時計方向へ回動し、第1の鈎状部20が第1の軸ピン10から離脱し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第3の凹部11cへ案内される(図12)。
【0130】
また、この状態では、板バネ41aの突出部45aが第1の鈎状部20aの摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は、板バネ41aのバネ力によって板バネ41aとフランジ部39aに挟み込まれ、板バネ41aおよびフランジ部39aとの摩擦力によって保持される(図5参照)。
【0131】
したがって、前記第2の筐体7は図10の縦長姿勢から図12で示す横長姿勢に変換されて停止し、携帯電話機は第2の筐体7が図11とは逆転して全体としてほぼT字状を呈する状態になる。
【0132】
第2の筐体7がこの姿勢にあるときも、携帯電話機はテレビジョン放送を受信したり、ウェブサイトを表示したりするのに適する。
【0133】
第2実施形態の携帯電話機は、第2の筐体7の表示姿勢を図10の縦長姿勢から図11の横長姿勢に、あるいは図10の縦長姿勢から図12の横長姿勢にそれぞれ変換することができる。
【0134】
このように、第2の筐体7を図10の縦長状態から時計方向,反時計方向のいずれの方向にも回動させて、利き手等に左右されずに姿勢変換をすることができて便利である。
【0135】
第2実施形態の携帯電話機の他の作用効果は、第1実施形態の携帯電話機と同様であるのでそれらの説明は省略する。
【0136】
携帯電話機の第3実施形態
第3実施形態は前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを折畳み式携帯電話機に用いたもので、図13は当該第3実施形態の携帯電話機の部分分解斜視図、図14は同電話機の第2の筐体を第1の筐体に対して開いた状態の概略正面図、図15は第2の筐体を図14の状態から一方向へ90回動させた状態の概略正面図、図16は第2の筐体を図14の状態から他方向へ90度回動させた状態の概略正面図である。
【0137】
図13において、正面に操作キーその他の操作部(図示せず)を有する第1の筐体6の端部には、ヒンジ部60を介して保持ベース5が取り付けられ、保持ベース5の正面側には前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを介して第2の筐体7が相対回動可能に接合されている。
【0138】
この実施形態では、第2の筐体7は、保持ベース5とヒンジ部60とを介して摺動・回転取付ユニットaにより間接的に第1の筐体6と連結されているが、ユニットaにおけるベース板1が十分に強固で強度上問題がなければ、ヒンジ部60を介してベース板1を第1の筐体6の端部へ連結した状態でも実施することができる。
【0139】
なお図13では、第2の筐体7は、作図の便宜上その底部ケースのみが部分的に示されている。
【0140】
ベース板1は、当該ベース板1へ形成されている複数のボス状ナット部12を利用して、図示されていない小ねじにより保持ベース5の正面へ取り付けられている。
【0141】
可動板2も同様に、当該可動板2へ形成されている複数のボス状ナット部22を利用して、図示されていない小ねじにより第2の筐体7の背面側へ取り付けられている。
【0142】
この実施形態では、保持ベース5と第2の筐体7との間における摺動・回転取付ユニットaの取付状態(基準状態)は、第2実施形態の携帯電話機と同様である。
【0143】
すなわち、第1の筐体6に対する第2の筐体7の基準状態においては、図14で示すように、可動板2の第1及び第2の鈎状部20,20aはベース板1の第1及び第2の軸ピン10,10aへそれぞれ係合している。
【0144】
図14の基準状態から第2の筐体7を反時計方向へ回動させると、可動板2が第1の軸ピン10を中心として反時計方向へ回動し、第2の鈎状部20aが第2の軸ピン10aから離脱し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第2の凹部11bへ案内される(図15)。
【0145】
また、この状態では、板バネ41の突出部45が第1の鈎状部20の摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は、板バネ41のバネ力によって板バネ41とフランジ部39に挟み込まれ、板バネ41およびフランジ部39との摩擦力によって保持される(図4参照)。
【0146】
図14の基準状態から、第2の筐体7を逆に時計方向へ回動させると、可動板2が第2の軸ピン10aを中心として反時計方向へ回動し、第1の鈎状部20が第1の軸ピン10から離脱し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第3の凹部11cへ案内される(図16)。
【0147】
また、この状態では、板バネ41aの突出部45aが第1の鈎状部20aの摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は、板バネ41aのバネ力によって板バネ41aとフランジ部39aに挟み込まれ、板バネ41aおよびフランジ部39aとの摩擦力によって保持される(図5参照)。
【0148】
上記いずれの場合も、第2の筐体7は90度回動して停止し、板バネ41または板バネ41aによってガタツキが抑制される。
【0149】
したがって、前記第2の筐体7は図14の縦長姿勢から図15又は図16で示す横長姿勢に変換されて停止し、携帯電話機は全体としてほぼT字状を呈する状態になる。
【0150】
第2の筐体7がこれらの姿勢にあるときは、例えば携帯電話機においてテレビジョン放送を受信したり、ウェブサイトを表示したりするのに適する。
【0151】
第3実施形態の携帯電話機は、第2実施形態の携帯電話機とほぼ同様に、第2の筐体7の表示姿勢を図14の縦長姿勢から、図15又は図16で示す横長姿勢にそれぞれ変換することができる。
【0152】
このように、第2の筐体7を図14の縦長状態から時計方向,反時計方向のいずれの方向にも回動させて、利き手等に左右されずに姿勢変換をすることができる。
【0153】
第3実施形態の携帯電話機の他の作用効果は、第1実施形態の携帯電話機と同様であるのでそれらの説明は省略する。
【0154】
携帯電話機の第4実施形態
第4実施形態は、第2の実施形態における摺動・回転取付ユニットaを180度回転させた状態で携帯電話に取り付けたもので、図17は前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを用いて、二つの筐体を接合したスライド式携帯電話機において第2の筐体を第1の筐体に対してスライドさせる前の状態の概略正面図、図18は同携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図17の状態から一方向(反時計方向)へ90度回動した状態の概略正面図、図19は同携帯電話機の第2の筐体が第1の筐体に対して図17の状態から他方向(時計方向)へ90度回動した状態の概略正面図、図20は同携帯電話機の第2の筐体を第1の筐体に対してスライドさせた状態の概略正面図である。
【0155】
図21は携帯電話機が図17および図20の姿勢における摺動・回転取付ユニットaの状態を示し、図22は携帯電話機が図18の姿勢における摺動・回転取付ユニットaの状態を示し、図23は携帯電話機が図19の姿勢における摺動・回転取付ユニットaの状態を示す。
【0156】
可動板2を図21の状態から反時計方向へ回動させると、可動板2は図22で示すように90度回動した状態で停止する。
【0157】
また、この状態では、板バネ41の突出部45が第1の鈎状部20の摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は、板バネ41のバネ力によって板バネ41とフランジ部39に挟み込まれ、板バネ41およびフランジ部39との摩擦力によって保持される(図4参照)。
【0158】
可動板2を図21の状態から時計方向へ回動させると、可動板2は図23で示すように90度回動した状態で停止する。
【0159】
また、この状態では、板バネ41aの突出部45aが第1の鈎状部20aの摺動面に(鉛直に)接触し、可動板2は、板バネ41aのバネ力によって板バネ41aとフランジ部39aに挟み込まれ、板バネ41aおよびフランジ部39aとの摩擦力によって保持される(図5参照)。
【0160】
また、可動板2を図22又は図23の状態から図21の復帰方向へ回動させたときは、可動板2は復帰方向へ90度回動した状態で停止する。
【0161】
本実施形態(第4の実施形態)は、図17からも明らかなように前述した携帯電話機の第2の実施形態における摺動・回転取付ユニットaを180度回転させた状態で取り付けたスライド式携帯電話機である。
【0162】
第1の筐体6は携帯電話機のベース側(操作側)筐体であって、正面には操作ボタン(図示せず)が設けられている。また、第2の筐体7は、可動側(表示側)筐体であって正面には表示画面(図示せず)等が設けられている。
【0163】
第1の筐体6と第2の筐体7は、前記スライド機構のスライド動作とは干渉しない状態で、前記実施形態の摺動・回転取付ユニットaを介して相対回転するよう連結されている。
【0164】
図17は第2の筐体7が第1の筐体6の正面側へほぼ全面的に重なっている状態であり、第1の筐体6の操作部を露出させないコンパクトな状態であって、第2の筐体7の表示部を縦長状態あるいは横長状態として利用することができる。
【0165】
図20は携帯電話機をスライド式携帯電話機として使用するため、図17の状態から第2の筐体7を上方へ停止するまでスライドさせた状態を示しており、この状態でも摺動・回転取付ユニットの状態は同じ(図21の状態)である。
【0166】
図17に示す第1の筐体6に対する第2の筐体7の取付状態(基準状態)においては、ベース板1の第1及び第2の軸ピン10、10aは第1の筐体6の上端部よりやや下がった領域の幅方向に沿って位置し、可動板2は第1及び第2の鉤状部20、20aが第1及び第2の軸ピン10、10aとそれぞれ係合している状態にある。
【0167】
図17の状態から第2の筐体7を反時計方向へ回動させると、可動板2が第1の軸ピン10を中心として反時計方向へ回動し、第2の鉤状部20aが第2の軸ピン10aから離脱し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第2の凹部11bへ案内される(図18)。
【0168】
したがって、前記第2の筐体7は図17の縦長姿勢から図18で示す横長姿勢に変換されて停止し、携帯電話機は全体としてほぼT字状を呈する状態になる。
【0169】
第2の筐体7がこの姿勢にあるときは、例えば携帯電話機においてテレビジョン放送を受信したり、ウェブサイトを表示したりするのに適する。
【0170】
図18の状態において、第2の筐体7を反時計方向へ回動させると、当該第2の筐体7は90度回動して停止し、図17の状態に復帰する。
【0171】
図17の状態から第2の筐体7を時計方向へ回動させると、可動板2が第2の軸ピン10aを中心として時計方向へ回動し、第1の鉤状部20が第1の軸ピン10から離脱し、同時に取付軸4がガイドスリット11の第3の凹部11cへ案内される(図19)。
【0172】
したがって、前記第2の筐体7は図17の縦長姿勢から図19で示す横長姿勢に変換されて停止し、携帯電話機は第2の筐体7が図18とは逆転して全体としてほぼT字状を呈する状態になる。
【0173】
第2の筐体7がこの姿勢にあるときは、例えば携帯電話機においてテレビジョン放送を受信したり、ウェブサイトを表示したりするのに適する。
【0174】
また、図17の状態から第2の筐体7を上方へ停止するまでスライドさせると図20の状態になり、第2の筐体7の表示部が縦長姿勢のスライド式携帯電話機として使用する状態になる。
【0175】
第4の実施形態の携帯電話機は、第2の筐体7の表示姿勢を図17の縦長姿勢から図18の横長姿勢に、あるいは図17の縦長姿勢から図19の横長姿勢にそれぞれ変換することができ、且つ、図17の縦長姿勢まま図20のスライド状態にもできる。
【0176】
このように、第2の筐体7を図17の縦長状態から時計方向、反時計方向のいずれの方向にも回動でき、且つ、第2の筐体7を縦長姿勢のまま上方にスライドさせることができるため、利き手等に左右されずに姿勢変換をすることができて便利である。
【0177】
第4の実施形態の携帯電話機の他の作用効果は、第1実施形態の携帯電話機と同様であるのでそれらの説明は省略する。
【0178】
尚、第4の実施形態の携帯電話機においてスライド機構を使わない構造も可能であり、その場合は図17、図18、図19と同様な3つの姿勢に変換できる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
上記した実施形態では、摺動・回転取付ユニットaを、携帯電話に適用した場合について説明したが、本発明は、何等、これに限定されることなく、2つの筐体を相対的にスライド回転させて使用する全ての装置に適用できる。
【符号の説明】
【0180】
1 ベース板
10,10a 第1,第2の軸ピン
11 ガイドスリット
11a,11b,11c 第1,第2及び第3の凹部
2 可動板
20、20a 第1、第2の鈎状部
3 ばね
4 取付軸
5 保持ベース
6 第1の筐体
7 第2の筐体
39、39a フランジ部
41、41a 板バネ
43、43a 面
45、45a 突出部
60 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定距離離間した第1及び第2の軸ピンが設けられたベース板と、
前記第1及び第2の軸ピンとそれぞれ係合する第1及び第2の鈎状部が形成された可動板と、
前記ベース板に設けられ、前記第1及び第2の鈎状部を挟持可能な第1および第2の挟持手段と、
を有し、
前記ベース板と前記可動板は相対回動するように接合され
前記可動板は、一方向へ回動するときは前記第1の軸ピンと前記第1の鉤状部が係合した状態にて前記第2の軸ピンから前記第2の鉤状部が離脱し、かつ前記第1の挟持手段が前記第1の鉤状部を挟持し、他方向へ回動するときは前記第2の軸ピンと前記第2の鉤状部が係合した状態にて前記第1の軸ピンから前記第1の鉤状部が離脱し、かつ前記第2の挟持手段が前記第2の鉤状部を挟持するように構成されていることを特徴とする摺動・回転取付ユニット。
【請求項2】
前記第1および第2の狭持手段は、
前記第1及び第2の軸ピンの端部にそれぞれ前記第1及び第2の鈎状部と接触可能に設けられた第1および第2のフランジ部と、
前記ベース板に設けられ、前記第1及び第2の鈎状部と接触可能に設けられた第1および第2の板バネと、
を有し、
前記第1および第2のフランジ部と前記第1および第2の板バネが前記第1及び第2の鈎状部をそれぞれ挟持可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項3】
前記第1および前記第2の板バネは、前記可動板が所定の角度回動した状態で前記第1及び第2の鈎状部と接触可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2の軸ピンは、前記第1および第2の板バネを貫通して設けられていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項5】
前記第1および前記第2の板バネは側面形状がL字型の形状を有し、一方の端部が前記第1及び第2の鈎状部と対向するように設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項6】
前記第1および前記第2の板バネは、
前記L字の内側の面の一方が前記ベース板の前記可動板と摺動する面の反対側の面に接するように設けられ、
前記L字の端部が前記ベース板の前記可動板と摺動する面から、前記可動板の回転方向に対して鉛直方向に突出するように設けられていることを特徴とする請求項5記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項7】
前記ベース板と前記可動板とを接合する取付軸をさらに有し、
前記ベース板には、前記第1の軸ピンを中心とした円弧と前記第2の軸ピンを中心とした円弧が前記第1及び第2の軸ピンの間の中間位置で交わる形状のガイドスリットが設けられており、
前記可動板には、前記第1及び第2の鉤状部の中間位置に取付部が設けられており、前記取付軸は前記取付部に固定され且つ前記ガイドスリット内を移動可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項8】
前記取付軸はパイプ状であることを特徴とする請求項7に記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項9】
前記第1及び第2の軸ピンの間の中間位置は当該第1及び第2の軸ピンを結ぶ直線上の実質的な中点であり、前記第1及び第2の鉤状部の中間位置は当該第1及び第2の鉤状部を結ぶ直線上の実質的な中点であることを特徴とする請求項7又は8に記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項10】
前記ガイドスリットは、前記第1及び第2の軸ピンが前記第1及び第2の鈎状部とそれぞれ係合しているときに前記取付軸がばね付勢により案内される第1の凹部と、前記第1及び第2の軸ピンが前記第1及び第2の鈎状部がそれぞれ係合している状態から前記可動板が一方向へ90度回動したときに前記取付軸がばね付勢により案内される第2の凹部と、
前記第1及び第2の軸ピンが前記第1及び第2の各鈎状部へそれぞれ係合している状態から前記可動板が他方向へ90度回転したときに前記取付軸がばね付勢により案内される第3の凹部とがそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項11】
前記ばね付勢用のばねはトーションばねであり、当該ばねの一方のアームは前記ベース板へ取り付けられ他方のアームは前記取付軸へ取り付けられている、請求項10に記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項12】
前記ベース板には、前記第1及び第2の軸ピンが前記第1及び第2の鈎状部とそれぞれ係合している状態において、各鈎状部が対応する軸ピンから離脱するのを妨げない状態で可動板の動きを規制する規制片が形成されている、請求項7〜11のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項13】
前記可動板は、前記第1及び第2の軸ピンの間の中間位置に凸状部を有し、前記規制片は、前記可動板の前記鈎状部の抜け止めのため、前記第1及び第2の軸ピンがそれぞれ前記第1及び第2の鈎状部と係合した状態から、前記可動板が前記凸状部に向けて移動した場合に、前記ベース板と前記可動板の接合部分が前記凸状部に突き当たるまでの可動長よりも長くなるように構成されていることを特徴とする請求項12記載の摺動・回転取付ユニット。
【請求項14】
操作側筐体である第1の筐体の正面へ表示側筐体である第2の筐体の背面が重なる状態で両筐体間に請求項1〜13のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニットが設置され、前記第1の筐体には前記ベース板が、前記第2の筐体には前記可動板がそれぞれ取り付けられ、この取付状態において、前記可動板は第1の鈎状部が第1の軸ピンへ係合されていて第2の鈎状部が第2の軸ピンから離脱しており、前記可動板が前記第1の軸ピンを中心として前記第2の軸ピンの方向へ90度回動したとき第2の鈎状部が前記第2の軸ピンへ係合するとともに前記第2の筐体が縦長姿勢から横長姿勢に変換され、前記可動板が前記第2の軸ピンを中心として同方向へさらに90度回動したとき、前記第2の筐体の一部が前記第1の筐体の一部と長さ方向に沿って重なった状態で縦長姿勢に変換されるように構成されていることを特徴とする携帯電話機。
【請求項15】
操作側筐体である第1の筐体の正面へ表示側筐体である第2の筐体の背面がスライド可能に重なる状態で設けられているスライド式携帯電話機において、両筐体間に請求項1〜13のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニットが設置され、前記第1の筐体には前記ベース板が、前記第2の筐体には前記可動板がそれぞれ取り付けられ、この取付状態において、
前記可動板の第1及び第2の鈎状部が前記ベース板の第1及び第2の軸ピンへそれぞれ係合されており、前記可動板が第1の軸ピンを中心として一方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が縦長姿勢から横長姿勢に変換され、前記可動板が第2の軸ピンを中心として他方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が逆方向への横長姿勢に変換されるように構成されていることを特徴とする携帯電話機。
【請求項16】
操作側筐体である第1の筐体と表示側筐体である第2の筐体とが折畳み可能に連結された折畳式携帯電話機において、前記第1の筐体は折畳みヒンジ部を介して連結された保持ベースを有し、前記第2の筐体は前記保持ベースを介して前記第1の筐体と連結され、前記保持ベースと前記第2の筐体との間には請求項1〜13のいずれかに記載の摺動・回転取付ユニットが設置され、前記保持ベースには前記ベース板が、前記第2の筐体には前記可動板がそれぞれ取り付けられ、この取付状態において、前記可動板の第1及び第2の鈎状部が前記ベース板の第1及び第2の軸ピンへそれぞれ係合されており、前記可動板が第1の軸ピンを中心として一方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が縦長姿勢から横長姿勢に変換され、前記可動板が第2の軸ピンを中心として他方向へ90度回動したとき前記第2の筐体が逆方向への横長姿勢に変換されるように構成されていることを特徴とする携帯電話機。
【請求項17】
前記ベース板1の外周は、前記第2の筐体の回動時に当該ベース板1が外部から見えないような形状に構成されていることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の携帯電話機。
【請求項18】
前記ベース板は平面形状が矩形となるように構成され、
前記矩形は、前記軸ピンの外周において、他の辺と比べて前記第1および第2の軸ピンと離れている辺の隅が斜めにカットされた形状となっていることを特徴とする請求項17に記載の携帯電話機。
【請求項19】
請求項14から18のいずれかに記載の携帯電話機を用いたことを特徴とする携帯電話機の姿勢変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−255658(P2010−255658A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103197(P2009−103197)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】