説明

撮像レンズ及び撮像装置

【課題】撮像面が湾曲した固体撮像素子に結像するための撮像レンズであって、小型かつ高性能で、シェーディングを抑制でき、良好な成形性を持ったレンズからなる、成形性に優れた撮像レンズを提供すること。
【解決手段】撮像レンズ10は、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3とからなる。固体撮像素子51の撮像面Iは、浅い凹の球面状に湾曲している。最像側レンズである第3レンズL3の像側面3bを非球面形状とすることで、良好なテレセントリック特性を確保しつつ、湾曲した撮像面Iに適合する像面湾曲とすることができる。
以上の撮像レンズ10は、条件式(1)
0.50<EXPD/EXPC<2.00 … (1)
を満足する。ここで、EXPDは、最大画角光束における射出瞳位置であり、EXPCは、近軸射出瞳位置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像面が湾曲した固体撮像素子に結像させるための小型の撮像レンズ、及びこれを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサー或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサー等の固体撮像素子を用いた小型の撮像装置が、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末、さらにはノートパソコン等にも搭載されるようになり、遠隔地へ音声情報だけでなく画像情報も相互に伝送することが可能になっている。
【0003】
このような撮像装置に用いられる固体撮像素子については、近年、画素サイズの小型化が進み、撮像素子の高画素化や小型化が図られている。さらに、撮像面を湾曲させることも可能になり(例えば特許文献1参照)、そのような撮像素子に最適な、小型で高性能を有する撮像レンズが求められるようになっている。
【0004】
特許文献1では、固体撮像素子を多項式面形状に湾曲させることにより、レンズで発生する像面湾曲、歪曲収差をバランスよく補正し、小型で解像度の高い撮像装置を提供している。しかしながら、固体撮像素子はCIFサイズ(352画素×288画素)、撮像レンズは1枚構成であるため、色収差は十分に補正されておらず、さらに高画素の固体撮像素子を用いて高性能を有する撮像装置を得ることは望めない。
【0005】
特許文献2〜4には、コンパクトカメラやレンズ付きフィルムユニット用途の撮像レンズが開示されている。これらのうち、特許文献2の撮像レンズは、撮像面が湾曲し、撮影画角が70度〜75度程度で、F10程度の明るさを有するものであり、特許文献3及び4の撮像レンズは、撮像面が湾曲し、撮影画角が77度程度で、F5.7〜F6.2程度の明るさを有するものである。レンズ構成については、特許文献2の場合、開口絞り、正または負の第1レンズ、及び正の第2レンズからなる2枚構成となっており、特許文献3及び4の場合、正の第1レンズ、負の第2レンズ、正の第3レンズ、及び開口絞りからなる後置絞りのトリプレット型レンズとなっている。
【0006】
しかし、特許文献2〜4の撮像レンズは、いずれもF値が暗くなっており、これ以上F値を明るくしようとすると充分な性能を得ることができず、バックフォーカスも長いため、撮像レンズ及び撮像装置が大型化してしまう。
【0007】
また、特許文献2〜4は、フィルムカメラ用の撮像レンズを対象としている。すなわち、撮像レンズで発生する像面湾曲にあわせて、フィルム面(撮像面)を湾曲させることにより、性能向上を図ることとしている。しかし、いずれもロールフィルムを使用する旧型カメラ用の撮像レンズであるため、かかるカメラの構造上、フィルム面は、画面長辺方向のみに湾曲するいわゆるシリンドリカルな撮像面になっている。そのため、画面長辺方向については、良好な性能が得られるものの、画面短辺方向については、撮像面が平面のままで性能向上が図れないばかりか、像面湾曲の補正状況によっては画像劣化を招く場合もあり得る。つまり、特許文献2〜4のように撮像面を長辺方向にのみ湾曲させるだけでは、画面全体にわたり高性能を得ることは難しい。そこで、レンズのF値を暗くして、平面方向のボケが目立たないように焦点深度を深く設定しているのが一般的であり、そのため、F値を明るくするのが困難であった。
【0008】
さらに、特許文献2〜4に開示されたものは、前述の通りフィルムカメラ用の撮像レンズであるため、主光線入射角については、撮像面周辺部において必ずしも十分小さい設計にはなっていない。一方、固体撮像素子の光電変換部に被写体像を結像させるための撮像レンズにおいては、撮像面に入射する光束の主光線入射角の特性、いわゆるテレセントリック特性が悪くなると、光束が固体撮像素子に対し斜めより入射し、撮像面周辺部において実質的な開口効率が減少する現象(シェーディング)が生じ、周辺光量不足となってしまう。このため、小型の固体撮像素子用のレンズでは、最像側レンズの像側面を非球面形状とし、最像側レンズの周辺部を正の屈折力とすることで、撮像面への光線入射角を小さく抑えようとした設計が一般的である。しかし、周辺部を正の屈折力とすると、レンズ中心部と周辺部の厚みの比、いわゆる偏肉比が大きなレンズとなりがちで、このように偏肉比が大きいと成形性を損なう可能性があった。
【0009】
なお、特許文献2には、フィルムカメラだけではなく、電子スチルカメラにも適用可能との記載がある。しかしながら、特許文献2に記載の撮像レンズについては、F10程度で暗いことや、バックフォーカスが長く撮像レンズが大型であること、テレセントリック特性が充分良好とは言えないことなどから、固体撮像素子を使用した小型の撮像装置への適用は難しいと考えられる。
【0010】
特許文献5には、撮像面が平面で小型な4枚構成のレンズが記載されている。特許文献5に記載の撮像レンズは、レンズ全長が短く小型ではあるものの、テレセントリック特性を補正するために、最像側レンズにおいて、周辺部の正のパワーが強くなっており、偏肉比が非常に大きくなってしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−356175
【特許文献2】特開平8−334684
【特許文献3】特開平8−68935
【特許文献4】特開2000−292688
【特許文献5】特開2010−102162
【発明の概要】
【0012】
本発明は、撮像面が湾曲した固体撮像素子に結像するための撮像レンズであって、小型かつ高性能で、シェーディングを抑制でき、最像側レンズの偏肉比が小さく良好な成形性を持った撮像レンズを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記のような撮像レンズを備える撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る撮像レンズは、固体撮像素子に被写体像を結像させるための撮像レンズであって、固体撮像素子の撮像面は、画面周辺部に向かう任意の断面で物体側へ倒れるように湾曲しており、2枚以上のレンズで構成され、最像側レンズと固体撮像素子との間以外の位置に開口絞りを有し、最像側レンズの像側面は、非球面形状を有し、以下の条件式が満足されている。
0.50<EXPD/EXPC<2.00 … (1)
ただし、
EXPD:最大画角射出瞳位置
(最大画角光束における射出瞳位置と撮像面との光軸上の距離)
EXPC:近軸射出瞳位置
(近軸射出瞳位置と撮像面との光軸上の距離)
【0015】
本発明の撮像レンズによる結像が行われる撮像面は、従来のフィルムカメラのような長辺方向のみの湾曲ではなく、光軸を中心とする360°度全ての方向に曲率を持つように湾曲した湾曲面を想定している。
【0016】
固体撮像素子の撮像面が湾曲していることにより、小型化と高性能化とを両立させることができる。撮像面は、撮像レンズ側に湾曲させると、撮像面に入射する光束の主光線入射角の補正、いわゆるテレセントリック特性の補正に関して有利になる。つまり、撮像面が平面の場合より、周辺で撮像レンズ側に向かって湾曲している場合の方が、撮像面に入射する光束の主光線入射角が小さくなるため、撮像レンズでテレセントリック特性の補正を十分に行わなくても、開口効率が減少せずシェーディングの発生を抑えることができる。また、像面湾曲、歪曲収差、コマ収差等の補正が容易になり、小型化も可能になる。本発明では、撮像面の湾曲形状が、画面の長辺方向と短辺方向のどちらも同様に画面周辺部に向かって物体側へ倒れるように湾曲していることを前提としているが、その形状は必ずしも球面形状である必要はなく、非球面形状、放物面形状、XY多項式面形状等、任意の数式で表現できる面形状であれば何でも良く、レンズ系で発生する像面湾曲の形状にフィットするような形状とすることで、画面全体にわたり性能を向上させることが可能となる。
【0017】
本発明の撮像レンズは、2枚以上のレンズで構成され、最像側レンズと固体撮像素子との間以外の位置に開口絞りを有し、最像側レンズの像側面は、非球面形状を有する。本発明では、2枚以上のレンズを使用することにより、1枚構成のレンズと比較してより高性能化を図っている。また、最像側レンズと固体撮像素子との間に絞りを有する、いわゆる後置絞りとすると、撮像面への入射角度が非常に大きくなり、撮像面を湾曲しただけでは補いきれなくなってしまう。そのため、構成要素のレンズ(レンズ群)の間、または構成要素のレンズ(レンズ群)のうち最も物体側に開口絞りを有することが望ましい。さらに、最像側レンズの像側面を非球面形状とすることで、良好なテレセントリック特性を確保しつつ、湾曲した撮像面に適合する像面湾曲とすることが可能となる。
【0018】
条件式(1)は、最大画角光束における撮像面と射出瞳の光軸上の距離と、軸上光束における撮像面と射出瞳の光軸上の距離との比を適切に設定するための条件式である。ここで、撮像面は、実際の設定撮像面ではなく、近軸撮像面のことを言うものとする。また、撮像レンズの最も像側の面と撮像面との間に、光学的ローパスフィルター、赤外線カットフィルター、または固体撮像素子パッケージのシールガラス等の平行平板が配置される場合には、平行平板部分は空気換算距離としたうえで、上記射出瞳位置と撮像面との距離を計算するものとする。
【0019】
撮像レンズの全長を短縮化していくに従って、射出瞳位置は撮像面に近づいていくことになり、射出瞳位置が撮像面に近いと、テレセントリック特性は悪化してしまう。そこで、前述の通り、携帯電話向け等の小型の撮像レンズでは、周辺光束のテレセントリック特性を少しでも良好にするために、非球面形状を利用して最像側レンズの周辺部に正のパワーを持たせることで、周辺光束における射出瞳位置を撮像面から遠ざけているのが一般的である。しかし、軸上光束における射出瞳位置と周辺光束における射出瞳位置が大きく異なっているということは、軸上光束と周辺光束とで撮像レンズ系内部の屈折作用が大きく異なっていることになり、製造誤差感度の増大や近距離被写体への合焦時の性能劣化の増大を招くこととなる。そこで、撮像面が物体側へ倒れるように湾曲していることで、周辺光束のテレセントリック特性が良好となり、周辺光束における射出瞳位置を無理に撮像面から遠ざける必要がなくなる。
【0020】
条件式(1)の値が下限を上回ることで、適度に周辺光束の射出瞳位置を撮像面から遠ざけることができるため、テレセントリック特性に有利となる。一方、上限を下回ることで、周辺光束における射出瞳位置を無理に撮像面から遠ざける必要がなくなり、誤差感度の低減や近距離被写体への合焦時の性能劣化を小さくすることが可能となる。また、最像側レンズの周辺部の正のパワーを小さく抑えることができるため、最像側レンズの偏肉比を小さくすることができ、良好な成形性を確保することができる。
【0021】
また、上述のような観点から、より望ましくは、値EXPD/EXPCを下式の範囲とする。
0.70<EXPD/EXPC<1.80 … (1)'
【0022】
本発明の具体的な態様又は側面では、上記撮像レンズにおいて、湾曲した撮像面の湾曲量は、以下の条件式を満足する。
0.05<SAGI/Y<0.50 … (2)
ただし、
SAGI:最大像高における撮像面の光軸方向の変位量
Y:最大像高
【0023】
条件式(2)は、撮像面の湾曲量を適切に設定するための条件式である。下限を上回ると、撮像面の湾曲量を適度に維持することができ、撮像レンズでのテレセントリック特性や像面湾曲の補正負担が増大することを防げるため、ペッツバール和が小さくなり過ぎず、コマ収差や色収差を良好に補正できる。一方、上限を下回ると、撮像面の湾曲量が大きくなり過ぎず、像面湾曲の補正過剰を防ぐことができる。また、撮像レンズの最終面と撮像面とが近づきすぎるのを防ぎ、IRカットフィルター等の平行平板を挿入するための空気間隔を充分に確保できる。
【0024】
上述のような観点から、より望ましくは、値SAGI/Yを下式の範囲とする。
0.10<SAGI/Y<0.40 … (2)'
【0025】
本発明の別の側面では、湾曲した撮像面は、球面形状を有し、以下の条件式を満足する。
−8.0<RI/Y<−1.0 … (3)
ただし、
RI:撮像面の曲率半径
Y:最大像高
【0026】
撮像面を球面形状とすることで、撮像面が複雑な形状とならず、撮像面を湾曲させる製造プロセスの難易度を低減させることができる。
【0027】
条件式(3)は、撮像面の湾曲量を適切に設定するための条件式である。下限を上回ると、撮像面の湾曲量を適度に維持することができ、撮像レンズでのテレセントリック特性や像面湾曲の補正負担を増大することを防げるため、ペッツバール和が小さくなり過ぎず、コマ収差や色収差を良好に補正できる。一方、上限を下回ると、撮像面の湾曲量が大きくなり過ぎて、像面湾曲の補正過剰となることを防ぐことができる。また、撮像レンズの最終面と撮像面とが近づきすぎるのを防ぎ、IRカットフィルター等の平行平板を挿入するための空気間隔を充分に確保できる。
【0028】
上述のような観点から、より望ましくは、値RI/Yを下式の範囲とする。
−7.0<RI/Y<−1.5 … (3)'
【0029】
本発明のさらに別の側面では、以下の条件式が満足される。
0.30<SAGI/SAGL<10.50 … (4)
ただし、
SAGI:最大像高における撮像面の光軸方向の変位量
SAGL:最大有効径における最像側レンズの像側面の光軸方向の変位量
【0030】
条件式(4)は最大像高での撮像面の変位量と、最大像高に結像する光束が通過する最像側レンズの像側面の最大有効径での変位量との比を適切に設定するための条件式である。下限を上回ることで必要以上に最像側レンズ像側面の周辺の変位量が大きくなりすぎず、像側面の周辺の正のパワーが強くなりすぎないため、歪曲収差やコマ収差を抑制できる。一方、上限を下回ることで、最像側レンズと撮像面の周辺部のクリアランスを十分確保することができるようになる。
【0031】
上述のような観点から、より望ましくは、値SAGLを下式の範囲とする。
0.40<SAGI/SAGL<10.40 … (4)'
【0032】
本発明のさらに別の側面では、以下の条件式が満足される。
0.40<Y/EXPC<2.00 … (5)
ただし、
Y:最大像高
EXPC:近軸射出瞳位置
(近軸射出瞳位置と撮像面との光軸上の距離)
【0033】
条件式(5)は撮像面サイズあたりの射出瞳位置を適切に設定するための条件式である。下限を上回ることで、射出瞳位置を適度に撮像面に近づけることができ、結果として撮像レンズ全長の短縮化を達成できる。一方、上限を下回ることで、過度に射出瞳位置が撮像面に近づくことがなくなり、撮像レンズの小型化と良好なテレセントリック特性を確保することができる。
【0034】
上述のような観点から、より望ましくは、値Y/EXPCを下式の範囲とする。
0.40<Y/EXPC<1.50 … (5)'
【0035】
本発明のさらに別の側面では、以下の条件式が満足される。
0.15<fb/f<1.30 … (6)
ただし、
fb:撮像レンズのバックフォーカス
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【0036】
条件式(6)はレンズ系のバックフォーカスを適切に設定するための条件式である。下限を上回ることで、最像側レンズと撮像面が近づきすぎることがなくなり、光学的ローパスフィルターや赤外線カットフィルター等の平行平板を挿入するスペースを確保することができる。一方、上限を下回ることで、バックフォーカスが必要以上に大きくなりすぎず、結果的に撮像レンズ全長を短縮することができる。なお、ここでバックフォーカスとは、最像側レンズと撮像面の間に光学的ローパスフィルター、赤外線カットフィルター、または固体撮像素子パッケージのシールガラス等の平行平板が配置される場合には、平行平板部分は空気換算距離としたうえでの、最像側レンズと撮像面との光軸上の距離のことをいう。また、より望ましくは下式の範囲がよい。
【0037】
上述のような観点から、より望ましくは、値fb/fを下式の範囲とする。
0.15<fb/f<1.20 … (6)'
【0038】
本発明のさらに別の側面では、撮像レンズを構成する2枚以上のレンズの最も物体側に開口絞りを配置している。構成要素のレンズすなわちレンズ群の最も物体側に開口絞りを有することで、射出瞳位置を撮像面から遠ざけることができ、良好なテレセントリック特性を確保することができるようになる。
【0039】
本発明のさらに別の側面では、撮像レンズを構成する2枚以上のレンズのうち最も物体側の第1レンズと第1レンズの像側に隣接する第2レンズとの間に開口絞りを配置している。第1レンズと第2レンズとの間に開口絞りを配置することで、第1レンズの物体側面を通過する周辺マージナル光線の屈折角が大きくなりすぎず、撮像レンズの小型化と良好な収差補正とを両立することができる。
【0040】
上記目的を達成するため、本発明に係る撮像装置は、上述の撮像レンズと、固体撮像素子とを備える。本発明の撮像レンズを用いることで、小型かつ高性能で、シェーディングを抑制でき、良好な成形性を持った撮像レンズを有する撮像装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の撮像装置を説明する図である。
【図2】周辺光束の射出瞳位置等を説明する図である。
【図3】実施例1の撮像レンズの断面図である。
【図4】(A)〜(E)は、第1実施例の撮像レンズの収差図である。
【図5】実施例2の撮像レンズの断面図である。
【図6】(A)〜(E)は、第2実施例の撮像レンズの収差図である。
【図7】実施例3の撮像レンズの断面図である。
【図8】(A)〜(E)は、第3実施例の撮像レンズの収差図である。
【図9】実施例4の撮像レンズの断面図である。
【図10】(A)〜(E)は、第4実施例の撮像レンズの収差図である。
【図11】実施例5の撮像レンズの断面図である。
【図12】(A)〜(E)は、第5実施例の撮像レンズの収差図である。
【図13】実施例6の撮像レンズの断面図である。
【図14】(A)〜(E)は、第6実施例の撮像レンズの収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、一本実施形態に係る撮像装置100を示す断面図である。撮像装置100は、画像信号を形成するための撮像ユニット50と、撮像ユニット50を適宜動作させることにより撮像装置100として機能する処理部60とを備える。
【0043】
撮像ユニット50は、被写体像を形成する撮像レンズ10と、撮像レンズ10によって形成された被写体像を検出するCMOS型のイメージセンサーである固体撮像素子51と、この固体撮像素子51を湾曲した状態に保持する支持体52と、この支持体52を背後から支持するとともに配線等を設けた基板53と、物体側からの光束を入射させる開口部OPを有する遮光性の筐体54とを備え、これらが一体的に形成されている。
【0044】
撮像レンズ10は、例えば、物体側から順に、第1レンズL1と、開口絞りSと、第2レンズL2と、第3レンズL3とを備える。
【0045】
固体撮像素子51は、受光部としての光電変換部51aを有し、その周囲には、信号処理回路51bが形成されている。光電変換部51aは、画素(光電変換素子)が2次元的に配置された撮像面Iを有する。また、信号処理回路51bは、例えば、各画素を順次駆動し信号電荷を得る駆動回路部、各信号電荷をデジタル信号に変換するA/D変換部等で構成される。なお、固体撮像素子51は、上述のCMOS型のイメージセンサーに限るものでなく、CCD等の他のイメージセンサーを適用したものでもよい。
【0046】
支持体52は、硬質の材料で形成され、固体撮像素子51を光軸AXのまわりに対称的に窪んだ凹形状に維持し固定する役割を有する。これにより、固体撮像素子51の撮像面Iは、光軸AXを含む任意の断面で中央の光軸AXに向かうように撮像レンズ10側に倒れた湾曲状態(具体的には半球状の凹面)となる。なお、支持体52には、信号処理回路51bの動作を制御する機能を有する信号処理回路52aを形成することができる。
【0047】
基板53は、支持体52と筐体54とを一方の面側に支持する本体部分53aと、本体部分53aの他方の面側に一端が接続されたフレキシブルプリント基板53bとで構成されている。本体部分53aは、上記一方の面側でボンディングワイヤーWを介して固体撮像素子51と接続され、上記他方の面側でフレキシブルプリント基板53bと接続されている。
【0048】
なお、フレキシブルプリント基板53bは、本体部分53aと不図示の外部回路(例えば、撮像ユニット50を実装した上位装置が有する制御回路)とを接続し、外部回路から固体撮像素子51を駆動するための電圧やクロック信号の供給を受けたり、また、YUVその他のデジタル画素信号を外部回路へ出力したりすることを可能としている。
【0049】
筐体54は、鏡枠55に組み付けられた撮像レンズ10を収納し保持している。筐体54は、基板53の固体撮像素子51側の面に固体撮像素子51を覆うように設けられている。すなわち、筐体54は、裏面側において、固体撮像素子51を囲むように広く開口されて支持基板52aに固定され、表面側において、所定サイズの開口OPを有するフランジ付きの筒状に形成されている。筐体54の内部には、撮像レンズ10と固体撮像素子51との間に挟まれて、赤外光カット機能を有する平行平板Fが固定・配置されている。平行平板Fは、撮像レンズ10と同様に鏡枠55に支持されている。
【0050】
処理部60は、制御部61と、入力部62と、記憶部63と、表示部64とを備える。制御部61は、撮像ユニット50に撮像動作を行わせる。入力部62は、ユーザーの操作を受け付ける部分であり、記憶部63は、撮像装置100の動作に必要な情報、撮像ユニット50によって取得した画像データ等を保管する部分であり、表示部64は、ユーザーに提示すべき情報、撮影した画像等を表示する部分である。制御部61は、例えば、撮像ユニット50によって得た画像データに対して種々の画像処理を行うことができる。
【0051】
なお、詳細な説明を省略するが、処理部60の具体的な機能は、撮像装置100がデジタルカメラ、携帯電話、PDA等のいずれに組み込まれるかに応じて適宜調整される。
【0052】
以下、図1を参照して、実施形態の撮像レンズ10について説明する。なお、図1で例示した撮像レンズ10は、後述する実施例1の撮像レンズ11と同一の構成となっている。
【0053】
図1に示すように、実施形態の撮像レンズ10は、固体撮像素子51に被写体像を結像させるものであって、2枚以上のレンズ、具体的には第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3とからなる。撮像レンズ10は、実質的にパワーを持たない光学素子として、平行平板Fを含む。固体撮像素子51の撮像面Iは、浅い凹の球面状に湾曲しており、光軸AXのまわりに対称性を有する回転面となっている。撮像レンズ10は、最像側レンズである第3レンズL3と固体撮像素子51との間以外の位置、具体的には第1レンズL1と第2レンズL2との間に開口絞りSを有する。撮像レンズ10の最像側レンズである第3レンズL3の像側面3bは、非球面形状を有する。
【0054】
撮像レンズ10による像光を入射させる固体撮像素子51の撮像面Iが湾曲していることにより、撮像レンズ10等の小型化と高性能化とを両立させることができる。具体的には、撮像面Iが周辺で撮像レンズ10側に向かって湾曲しているので、撮像面Iに入射する光束の主光線入射角が小さくなるため、撮像レンズ10でテレセントリック特性の補正を十分に行わなくても、開口効率が減少せずシェーディングの発生を抑えることができる。また、像面湾曲、歪曲収差、コマ収差等の補正が容易になり、撮像レンズ10等の小型化も可能になる。
【0055】
この撮像レンズ10では、2枚以上のレンズ、具体的には3枚のレンズL1,L2,L3を使用して、例えば1枚のレンズで構成する場合に比較して高性能化を図っている。また、第1レンズL1と第2レンズL2との間に開口絞りSを設けることで、撮像面Iへの光束の入射角度が非常に大きくなることを防止している。さらに、最像側レンズである第3レンズL3の像側面3bを非球面形状とすることで、良好なテレセントリック特性を確保しつつ、湾曲した撮像面Iに適合する像面湾曲とすることができる。
【0056】
以上の撮像レンズ10は、既に説明した条件式(1)
0.50<EXPD/EXPC<2.00 … (1)
を満足する。ここで、EXPDは、最大画角射出瞳位置(最大画角光束における射出瞳位置と撮像面との光軸上の距離)であり、EXPCは、近軸射出瞳位置(近軸光束における射出瞳位置と撮像面との光軸上の距離)である。
【0057】
条件式(1)は、最大画角光束における撮像面Iと射出瞳の光軸AX上の距離と、軸上光束における撮像面Iと射出瞳の光軸AX上の距離との比を適切に設定するための条件式である。ここで、撮像面Iは、実際の設定撮像面ではなく、近軸撮像面のことを言うものとする。
【0058】
条件式(1)の値が下限を上回ることで、適度に周辺光束の射出瞳位置を撮像面Iから遠ざけることができるため、テレセントリック特性に有利となる。一方、上限を下回ることで、周辺光束における射出瞳位置を無理に撮像面Iから遠ざける必要がなくなり、誤差感度の低減や近距離被写体への合焦時の性能劣化を小さくすることが可能となる。また、最像側レンズである第3レンズL3の周辺部の正のパワーを小さく抑えることができるため、最像側レンズである第3レンズL3の偏肉比を小さくすることができ、良好な成形性を確保することができる。
【0059】
図2は、撮像レンズ10の射出瞳位置を説明する参考図である。近軸像面ICからの周辺光束(具体的には最大画角光束)のうち主光線が光軸AXと交わる点が最大画角光束の射出瞳位置となっており、この射出瞳位置の近軸像面ICからの光軸AX上の距離が最大画角射出瞳位置EXPDとなっている。
【0060】
撮像レンズ10は、より望ましくは、上記条件式(1)をより制限した下式(1)'を満足するものとする。
0.70<EXPD/EXPC<1.80 … (1)'
【0061】
実施形態の撮像レンズ10は、上記の条件式(1)に加えて、既に説明した条件式(2)
0.05<SAGI/Y<0.50 … (2)
を満足する。ここで、SAGIは、最大像高における撮像面Iの光軸方向の変位量であり、Yは、最大像高である。
【0062】
撮像レンズ10は、より望ましくは、上記条件式(2)をより制限した下式(2)'を満足するものとする。
0.10<SAGI/Y<0.40 … (2)'
【0063】
実施形態の撮像レンズ10は、上記の条件式(1)に加えて、既に説明した条件式(3)
−8.0<RI/Y<−1.0 … (3)
を満足する。ここで、RIは、撮像面Iの曲率半径である。
【0064】
撮像レンズ10は、より望ましくは、上記条件式(3)をより制限した下式(3)'を満足するものとする。
−7.0<RI/Y<−1.5 … (3)'
【0065】
実施形態の撮像レンズ10は、上記の条件式(1)に加えて、既に説明した条件式(4)
0.30<SAGI/SAGL<10.50 … (4)
を満足する。ここで、SAGIは、最大像高における撮像面Iの光軸方向の変位量であり、SAGLは、最大有効径における第3レンズL3の像側面3aの光軸方向の変位量である。
【0066】
撮像レンズ10は、より望ましくは、上記条件式(4)をより制限した下式(4)'を満足するものとする。
0.40<SAGI/SAGL<10.4 … (4)'
【0067】
実施形態の撮像レンズ10は、上記の条件式(1)に加えて、既に説明した条件式(5)
0.40<Y/EXPC<2.00 … (5)
を満足する。ここで、Yは、最大像高であり、EXPCは、近軸射出瞳位置である。
【0068】
撮像レンズ10は、より望ましくは、上記条件式(5)をより制限した下式(5)'を満足するものとする。
0.40<Y/EXPC<1.50 … (5)'
【0069】
実施形態の撮像レンズ10は、上記の条件式(1)に加えて、既に説明した条件式(6)
0.15<fb/f<1.30 … (6)
を満足する。ここで、fbは、撮像レンズ10のバックフォーカスであり、fは、撮像レンズ10全系の焦点距離である。
【0070】
撮像レンズ10は、より望ましくは、上記条件式(6)をより制限した下式(6)'を満足するものとする。
0.15<fb/f<1.20 … (6)'
【実施例】
【0071】
以下、本発明の撮像レンズの実施例を示す。各実施例に使用する記号は下記の通りである。
f :撮像レンズ全系の焦点距離
fB :バックフォーカス
F :Fナンバー
2Y :固体撮像素子の撮像面対角線長
ENTP:入射瞳位置(第1面から入射瞳位置までの距離)
EXTP:射出瞳位置(撮像面から射出瞳位置までの距離)
H1 :前側主点位置(第1面から前側主点位置までの距離)
H2 :後側主点位置(最終面から後側主点位置までの距離)
R :曲率半径
D :軸上面間隔
Nd :レンズ材料のd線に対する屈折率
νd :レンズ材料のアッベ数
各実施例において、各面番号の後に「*」が記載されている面が非球面形状を有する面であり、非球面の形状は、面の頂点を原点とし、光軸方向にX軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとして以下の「数1」で表す。
【数1】

ただし、
Ai:i次の非球面係数
R :曲率半径
K :円錐定数
【0072】
(実施例1)
実施例1の撮像レンズの全体諸元を以下に示す。
f=2.38mm
fB=0.76mm
F=2.4
2Y=3.5mm
ENTP=0.41mm
EXTP=−1.07mm
H1=−0.31mm
H2=−1.63mm
【0073】
実施例1のレンズ面のデータを以下の表1に示す。なお、絞りは開口絞りSを意味し、撮面は撮像面Iを意味する。
〔表1〕
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1* 1.161 0.49 1.54470 56.2 0.66
2* 4.222 0.03 0.47
3(絞り) ∞ 0.07 0.45
4* 3.788 0.37 1.54470 56.2 0.48
5* -6.689 0.48 0.55
6* -1.910 0.54 1.63470 23.9 0.68
7* -5.978 0.74 1.15
8(撮面) -6.354

実施例1のレンズ面の非球面係数を以下に示す。
第1面
K=-0.25843E+01, A4=0.45319E-01, A6=-0.20599E+00, A8=-0.68537E+00,
A10=0.55464E+00
第2面
K=-0.30000E+02, A4=-0.21862E+00, A6=-0.77470E+00, A8=0.21693E+01,
A10=-0.14820E+01
第4面
K=0.15140E+02, A4=0.32865E-01, A6=-0.31885E+00, A8=0.40411E+01,
A10=-0.38145E+01
第5面
K=-0.30000E+02, A4=0.11738E+00, A6=0.87909E+00, A8=-0.25596E+01,
A10=0.94636E+01
第6面
K=-0.64696E+00, A4=-0.57777E+00, A6=0.63229E+00, A8=-0.51960E+01,
A10=0.14167E+02, A12=-0.20902E+02
第7面
K=0.25667E+02, A4=-0.11673E+00, A6=-0.31995E-01, A8=0.71497E-01,
A10=-0.51129E-01, A12=-0.17970E-03

なお、これ以降(表のレンズデータを含む)において、10のべき乗数(たとえば2.5×10−02)をE(たとえば2.5E−02)を用いて表すものとする。
【0074】
実施例1の単レンズデータを以下の表2に示す。
〔表2〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 1 2.784
2 4 4.497
3 6 -4.660
【0075】
図3は、実施例1の撮像レンズ11又は撮像ユニット50の断面図である。撮像レンズ11は、正の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第1レンズL1と、正の屈折力を有し両凸の第2レンズL2と、負の屈折力を有し像側に凸でメニスカスの第3レンズL3とを備える。全てのレンズL1〜L3は、プラスチック材料から形成されている。第1レンズL1と第2レンズL2との間には、開口絞りSが配置されている。本実施例において、撮像面Iは球面形状を有している。なお、第3レンズL3の凸面と凹の撮像面Iとの間には、図1に示す平行平板Fを配置することができる。
【0076】
図4(A)〜4(C)は、実施例1の撮像レンズ11の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)を示し、図4(D)及び4(E)は、実施例1の撮像レンズ11のメリディオナルコマ収差を示している。
【0077】
(実施例2)
実施例2の撮像レンズの全体諸元を以下に示す。
f=2.39mm
fB=0.6mm
F=2.4
2Y=3.5mm
ENTP=0.44mm
EXTP=−1.26mm
H1=−0.23mm
H2=−1.78mm
【0078】
実施例2のレンズ面のデータを以下の表3に示す。
〔表3〕
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1* 1.191 0.48 1.54470 56.2 0.68
2* 2.315 0.05 0.46
3(絞り) ∞ 0.07 0.44
4* 2.015 0.45 1.54470 56.2 0.50
5* -5.096 0.38 0.60
6* -2.010 0.90 1.63470 23.9 0.65
7* -9.570 0.60 1.32
8(撮面) -6.969

実施例2のレンズ面の非球面係数を以下に示す。
第1面
K=-0.23484E+01, A4=0.62251E-01, A6=-0.11697E+00, A8=-0.39497E+00,
A10=0.19543E+00
第2面
K=-0.41745E+01, A4=-0.11680E+00, A6=-0.65316E+00, A8=0.91685E+00,
A10=-0.75003E+00
第4面
K=0.45036E+01, A4=-0.67987E-01, A6=-0.42921E+00, A8=0.97000E+00,
A10=-0.76215E+00
第5面
K=-0.30000E+02, A4=-0.93881E-01, A6=0.38334E+00, A8=-0.22038E+01,
A10=0.35467E+01
第6面
K=-0.39257E+01, A4=-0.55727E+00, A6=0.50788E+00, A8=-0.59853E+01,
A10=0.16419E+02, A12=-0.25388E+02
第7面
K=-0.30000E+02, A4=-0.22108E-01, A6=-0.11785E+00, A8=0.11587E+00,
A10=-0.66301E-01, A12=0.14855E-01
【0079】
実施例2の単レンズデータを以下の表4に示す。
〔表4〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 1 3.918
2 4 2.712
3 6 -4.203
【0080】
図5は、実施例2の撮像レンズ12又は撮像ユニット50の断面図である。撮像レンズ12は、正の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第1レンズL1と、正の屈折力を有し両凸の第2レンズL2と、負の屈折力を有し像側に凸でメニスカスの第3レンズL3とを備える。全てのレンズL1〜L3は、プラスチック材料から形成されている。第1レンズL1と第2レンズL2との間には、開口絞りSが配置されている。本実施例において、撮像面Iは球面形状を有している。なお、第3レンズL3の凸面と凹の撮像面Iとの間には、図1に示す平行平板Fを配置することができる。
【0081】
図6(A)〜6(C)は、実施例2の撮像レンズ12の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)を示し、図6(D)及び6(E)は、実施例2の撮像レンズ12のメリディオナルコマ収差を示している。
【0082】
(実施例3)
実施例3の撮像レンズの全体諸元を以下に示す。
f=3mm
fB=1.73mm
F=2.8
2Y=4.536mm
ENTP=0mm
EXTP=−1.71mm
H1=0.38mm
H2=−1.27mm
【0083】
実施例3のレンズ面のデータを以下の表5に示す。
〔表5〕
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1(絞り) ∞ -0.06 0.53
2* 1.218 0.65 1.54470 56.2 0.56
3* 2.107 0.60 0.65
4* -801.679 0.61 1.54470 56.2 1.03
5* -3.248 1.72 1.33
6(撮面) -6.893

実施例3のレンズ面の非球面係数を以下に示す。
第2面
K=-0.83589E-01, A4=0.63341E-02, A6=0.17877E+00, A8=-0.62056E+00,
A10=0.16155E+01, A12=-0.18854E+01
第3面
K=0.43853E+01, A4=0.72575E-01, A6=-0.65234E-02, A8=-0.10661E+00,
A10=0.80743E+00, A12=-0.73994E+00
第4面
K=-0.94483E+05, A4=0.30860E-01, A6=-0.10667E+00, A8=0.14926E+00,
A10=-0.23616E+00, A12=0.18440E+00, A14=-0.66932E-01
第5面
K=-0.34691E+02, A4=-0.44080E-01, A6=0.55225E-01, A8=-0.22438E-01,
A10=-0.25165E-01, A12=0.21006E-01, A14=-0.51705E-02
【0084】
実施例3の単レンズデータを以下の表6に示す。
〔表6〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 2 4.216
2 4 5.985
【0085】
図7は、実施例3の撮像レンズ13又は撮像ユニット50の断面図である。撮像レンズ13は、正の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第1レンズL1と、正の屈折力を有し像側に凸でメニスカスの第2レンズL2とを備える。全てのレンズL1,L2は、プラスチック材料から形成されている。第1レンズL1の物体側には、開口絞りSが配置されている。本実施例において、撮像面Iは球面形状を有している。なお、第2レンズL2の凸面と凹の撮像面Iとの間には、図1に示す平行平板Fを配置することができる。
【0086】
図8(A)〜8(C)は、実施例3の撮像レンズ13の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)を示し、図8(D)及び8(E)は、実施例3の撮像レンズ13のメリディオナルコマ収差を示している。
【0087】
(実施例4)
実施例4の撮像レンズの全体諸元を以下に示す。
f=4.68mm
fB=1.03mm
F=2.88
2Y=6.973mm
ENTP=0mm
EXTP=−3.82mm
H1=0.16mm
H2=−3.65mm
【0088】
実施例4のレンズ面のデータを以下の表7に示す。
〔表7〕
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1(絞り) ∞ -0.01 0.81
2* 3.484 1.59 1.54470 56.2 0.85
3* -4.706 0.06 1.30
4* -7.921 0.40 1.63200 23.4 1.33
5* 6.574 0.26 1.54
6* 12.758 1.28 1.54470 56.2 1.77
7* -5.217 0.81 1.98
8* 3.523 0.73 1.54470 56.2 2.30
9* 2.618 0.40 3.06
10 ∞ 0.15 1.51630 64.1 3.47
11 ∞ 3.52
12(撮面) -9.840

実施例4のレンズ面の非球面係数を以下に示す。
第2面
K=0.26831E+00, A4=-0.49640E-02, A6=-0.35249E-02, A8=0.41901E-02,
A10=-0.30654E-02
第3面
K=0.34256E+01, A4=-0.34442E-02, A6=0.10763E-01, A8=-0.59391E-02,
A10=0.37082E-03
第4面
K=-0.17415E+02, A4=-0.23971E-01, A6=0.19654E-01, A8=-0.88369E-02,
A10=0.11981E-02
第5面
K=-0.19173E+02, A4=-0.59634E-02, A6=0.11854E-01, A8=-0.55652E-02,
A10=0.14173E-02, A12=-0.14817E-03
第6面
K=0.19634E+02, A4=-0.55092E-02, A6=0.37558E-02, A8=-0.64978E-03,
A10=0.16145E-03, A12=-0.16946E-04
第7面
K=-0.29973E+01, A4=-0.25718E-01, A6=0.83725E-02, A8=-0.20725E-02,
A10=0.44531E-03, A12=-0.20066E-04
第8面
K=-0.11658E+02, A4=-0.41840E-01, A6=-0.12657E-02, A8=0.82939E-03,
A10=-0.12381E-03, A12=0.92004E-05
第9面
K=-0.64839E+00, A4=-0.55582E-01, A6=0.72567E-02, A8=-0.83289E-03,
A10=0.59449E-04, A12=-0.19144E-05
【0089】
実施例4の単レンズデータを以下の表8に示す。
〔表8〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 2 3.946
2 4 -5.624
3 6 6.973
4 8 -26.180
【0090】
図9は、実施例4の撮像レンズ14又は撮像ユニット50の断面図である。撮像レンズ14は、正の屈折力を有する両凸の第1レンズL1と、負の屈折力を有する両凹の第2レンズL2と、正の屈折力を有する両凸の第3レンズL3と、負の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第4レンズL4とを備える。全てのレンズL1〜L4は、プラスチック材料から形成されている。第1レンズL1の物体側には、開口絞りSが配置され、第4レンズL4の射出側面と凹の撮像面Iとの間には、光学的ローパスフィルター、IRカットフィルター、固体撮像素子のシールガラス等を想定した平行平板Fが配置されている。本実施例において、撮像面Iは球面形状を有している。
【0091】
図10(A)〜10(C)は、実施例4の撮像レンズ14の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)を示し、図10(D)及び10(E)は、実施例4の撮像レンズ14のメリディオナルコマ収差を示している。
【0092】
(実施例5)
実施例5の撮像レンズの全体諸元を以下に示す。
f=3.52mm
fB=1.04mm
F=2.8
2Y=5.744mm
ENTP=0mm
EXTP=−2.89mm
H1=0.37mm
H2=−2.48mm
【0093】
実施例5のレンズ面のデータを以下の表9に示す。
〔表9〕
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1(絞り) ∞ -0.05 0.67
2* 2.379 0.98 1.54470 56.2 0.67
3* -2.832 0.05 0.92
4* -3.018 0.30 1.63200 23.4 0.94
5* -235.830 0.27 1.07
6* -28.219 0.71 1.54470 56.2 1.29
7* -5.145 0.77 1.47
8* 7.781 0.68 1.54470 56.2 1.95
9* 8.171 1.04 2.34
10(撮面) -5.000

実施例5のレンズ面の非球面係数を以下に示す。
第2面
K=-0.12146E+01, A4=-0.12881E-01, A6=-0.21281E-01, A8=0.14977E-01,
A10=-0.45090E-01
第3面
K=0.77739E+01, A4=-0.87252E-01, A6=0.12099E+00, A8=0.10957E-01,
A10=-0.15074E-02
第4面
K=0.83353E+01, A4=0.60055E-02, A6=0.11417E+00, A8=0.13321E-01,
A10=-0.64017E-02
第5面
K=0.50000E+02, A4=0.75714E-01, A6=0.26850E-01, A8=-0.37066E-01,
A10=0.35778E-01, A12=-0.15596E-01
第6面
K=0.46169E+02, A4=-0.23820E-01, A6=0.29470E-01, A8=0.66328E-02,
A10=-0.58642E-02, A12=0.79812E-03
第7面
K=0.35966E+01, A4=-0.50298E-01, A6=0.32881E-01, A8=-0.89186E-02,
A10=0.58415E-02, A12=-0.12032E-02
第8面
K=-0.50000E+02, A4=-0.80417E-01, A6=0.42909E-02, A8=0.57286E-02,
A10=-0.22401E-02, A12=0.27244E-03
第9面
K=0.10651E+02, A4=-0.73689E-01, A6=0.14902E-01, A8=-0.29045E-02,
A10=0.40555E-03, A12=-0.36409E-04
【0094】
実施例5の単レンズデータを以下の表10に示す。
〔表10〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 2 2.543
2 4 -4.840
3 6 11.426
4 8 185.132
【0095】
図11は、実施例5の撮像レンズ15又は撮像ユニット50の断面図である。撮像レンズ15は、正の屈折力を有する両凸の第1レンズL1と、負の屈折力を有し像側に凸でメニスカスの第2レンズL2と、正の屈折力を有し像側に凸でメニスカスの第3レンズL3と、正の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第4レンズL4とを備える。全てのレンズL1〜L4は、プラスチック材料から形成されている。第1レンズL1の物体側には、開口絞りSが配置されている。本実施例において、撮像面Iは球面形状を有している。なお、第4レンズL4の凹面(近軸で凹面であるが全体として凸面)と凹の撮像面Iとの間には、図1に示す平行平板Fを配置することができる。
【0096】
図12(A)〜12(C)は、実施例5の撮像レンズ15の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)を示し、図12(D)及び12(E)は、実施例5の撮像レンズ15のメリディオナルコマ収差を示している。
【0097】
(実施例6)
実施例6の撮像レンズの全体諸元を以下に示す。
f=0.84mm
fB=0.99mm
F=2.8
2Y=3mm
ENTP=1.19mm
EXTP=−1.44mm
H1=1.74mm
H2=0.16mm
【0098】
実施例6のレンズ面のデータを以下の表13に示す。
〔表11〕
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1* 1.702 0.40 1.72920 54.7 1.64
2* 0.597 1.02 1.02
3* 1.605 0.83 1.84670 23.8 0.76
4* 2.736 0.08 0.32
5(絞り) ∞ 0.09 0.23
6* 1.973 0.88 1.58910 61.1 0.39
7* -0.525 0.05 0.61
8* -1.511 0.35 1.84670 23.8 0.63
9* -6.628 0.99 0.93
10(撮面) -10.000

実施例6のレンズ面の非球面係数を以下に示す。
第1面
K=-0.19685E+01, A4=0.41315E-01, A6=-0.42606E-01, A8=-0.21322E-02,
A10=0.60628E-02, A12=-0.99529E-03
第2面
K=-0.83050E+00, A4=0.37019E-01, A6=-0.33652E-01, A8=-0.59534E+00,
A10=0.30779E+00, A12=0.66336E-01
第3面
K=0.23986E+01, A4=-0.16324E+00, A6=0.75684E+00, A8=-0.31843E+01,
A10=0.56471E+01, A12=-0.35225E+01
第4面
K=-0.17897E+02, A4=0.69636E+00, A6=-0.41079E+01, A8=0.55261E+02,
A10=-0.14580E+03
第6面
K=0.49674E+01, A4=0.88013E-01, A6=-0.78245E+00, A8=0.27750E+01,
A10=0.42642E+00
第7面
K=-0.64733E+00, A4=0.12551E+01, A6=-0.72027E+01, A8=0.37169E+02,
A10=-0.10538E+03, A12=0.11507E+03
第8面
K=-0.22819E+02, A4=-0.54575E+00, A6=-0.38032E+00, A8=0.18040E+01,
A10=-0.29671E+01, A12=-0.16462E+02
第9面
K=0.46532E+02, A4=-0.12441E+00, A6=0.43294E+00, A8=-0.10241E+01,
A10=0.68322E+00, A12=-0.13325E+00
【0099】
実施例6の単レンズデータを以下の表12に示す。
〔表12〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 1 -1.487
2 3 3.434
3 6 0.810
4 8 -2.387
【0100】
図13は、実施例6の撮像レンズ17又は撮像ユニット50の断面図である。撮像レンズ17は、負の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第1レンズL1と、負の屈折力を有し物体側に凸でメニスカスの第2レンズL2と、正の屈折力を有する両凸の第3レンズL3と、負の屈折力を有し像側に凸でメニスカスの第4レンズL4とを備える。全てのレンズL1〜L4は、プラスチック材料から形成されている。第2レンズL2と第3レンズL3との間には、開口絞りSが配置されている。本実施例において、撮像面Iは球面形状を有している。なお、第2レンズL2の凸面と凹の撮像面Iとの間には、図1に示す平行平板Fを配置することができる。
【0101】
図14(A)〜14(C)は、実施例6の撮像レンズ17の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)を示し、図14(D)及び14(E)は、実施例7の撮像レンズ17のメリディオナルコマ収差を示している。
【0102】
以下の表13は、参考のため、各条件式(1)〜(6)に対応する各実施例1〜6の値をまとめたものである。
〔表13〕

【0103】
なお、特許請求の範囲、実施例等に記載の近軸曲率半径の意味合いについて、実際のレンズ測定の場面においては、レンズ中央近傍(具体的には、レンズ外径に対して10%以内の中央領域)での形状測定値を最小自乗法でフィッティングした際の近似曲率半径を近軸曲率半径であるとみなすことができる。
【0104】
また、例えば2次の非球面係数を使用した場合には、非球面定義式の基準曲率半径に2次の非球面係数も勘案した曲率半径を近軸曲率半径とみなすことができる(例えば参考文献として、松居吉哉著「レンズ設計法」(共立出版株式会社)のP41〜42を参照のこと)。
【0105】
また、上記実施例の撮像レンズ11〜15は、レンズL1〜L2(L3,L4)の2〜4枚のレンズで構成されているが、レンズL1〜L2(L3,L4)の前後又は間に1つ以上の実質的にパワーを持たないレンズを追加することができる。
【符号の説明】
【0106】
10…撮像レンズ、 11−17…撮像レンズ、 50…撮像ユニット、51…固体撮像素子、 51a…光電変換部、 60…処理部、 F…平行平板、 I…撮像面、 L1−L4…レンズ、 AX…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子に被写体像を結像させるための撮像レンズであって、
前記固体撮像素子の撮像面は、画面周辺部に向かう任意の断面で物体側へ倒れるように湾曲しており、
2枚以上のレンズで構成され、
最像側レンズと固体撮像素子との間以外の位置に開口絞りを有し、
前記最像側レンズの像側面は、非球面形状を有し、
以下の条件式を満足することを特徴とする撮像レンズ。
0.50<EXPD/EXPC<2.00 … (1)
ただし、
EXPD:最大画角射出瞳位置
(最大画角光束における射出瞳位置と前記撮像面との光軸上の距離)
EXPC:近軸射出瞳位置
(近軸射出瞳位置と前記撮像面との光軸上の距離)
【請求項2】
前記湾曲した撮像面の湾曲量は、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
0.05<SAGI/Y<0.50 … (2)
ただし、
SAGI:最大像高における前記撮像面の光軸方向の変位量
Y:最大像高
【請求項3】
前記湾曲した撮像面は球面形状を有し、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
−8.0<RI/Y<−1.0 … (3)
ただし、
RI:前記撮像面の曲率半径
Y:最大像高
【請求項4】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の撮像レンズ。
0.30<SAGI/SAGL<10.50 … (4)
ただし、
SAGI:最大像高における前記撮像面の光軸方向の変位量
SAGL:最大有効径における前記最像側レンズの像側面の光軸方向の変位量
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の撮像レンズ。
0.40<Y/EXPC<2.00 … (5)
ただし、
Y:最大像高
EXPC:近軸射出瞳位置
(近軸射出瞳位置と前記撮像面との光軸上の距離)
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の撮像レンズ。
0.15<fb/f<1.30 … (6)
ただし、
fb:撮像レンズのバックフォーカス
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項7】
前記撮像レンズを構成する2枚以上のレンズの最も物体側に開口絞りを配置したことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
前記撮像レンズを構成する2枚以上のレンズのうち最も物体側の第1レンズと前記第1レンズの像側に隣接する第2レンズとの間に開口絞りを配置したことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
実質的にパワーを持たないレンズをさらに有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の撮像レンズと、前記固体撮像素子とを備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−24892(P2013−24892A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156059(P2011−156059)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】