説明

撮像処理システムおよびデジタルカメラ

【課題】センサ周辺部からデジタル信号処理部へのデータ出力やデジタル信号処理部のタスク処理によってシステム動作ノイズが発生しても、センサ周辺部が取り扱う信号のS/N性能を劣化させない撮像処理システムを提供する。
【解決手段】被写体の光像を光電変換する固体撮像センサ1から出力されるアナログ電荷信号をデジタルデータに変換して、画像処理を行う撮像処理システムであって、固体撮像センサの信号をデジタルデータに変換して出力する際、センサ信号の出力タイミングとは時間をずらしたブランキング期間に高速にデジタルデータを出力可能なセンサ周辺部Aと、デジタルデータの入力に対して、ブランキング期間内で内部の動作を許可し、動作が許可された期間以外の期間は待機状態として最小限の動作をするデジタル信号処理部Bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ用のイメージセンサ等の固体撮像センサから出力される映像信号(アナログ電荷信号)を、そのアナログ電荷信号に対応したデジタルデータに変換して出力したのち、デジタル画像信号処理を行う撮像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ業界において、アナログ技術からデジタル技術への移行には目覚ましいものがある。特にフィルムも現像も不要なデジタルスチルカメラは活況を呈している。携帯電話もカメラ搭載型が主流を占めるようになり、デジタルスチルカメラにおける高画素化や画像処理による画質の向上には著しいものがある。
【0003】
上記のデジタルスチルカメラには、センサ周辺部として、固体撮像センサから出力される画像信号(アナログ電荷信号)を、そのアナログ電荷信号に対応したデジタルデータに変換して出力するアナログフロントエンドが組み込まれる。ここで、固体撮像センサやデジタル信号処理部(DSP:Digital Signal Processor)もアナログフロントエンドと同様にそれぞれ半導体集積回路化され、これらの半導体集積回路がプリント配線基板上に実装されて撮像処理システムが構成される。
【0004】
図5は従来の撮像処理システムの構成を示すブロック図である。Aはセンサ周辺部、Bは画像処理などを行うデジタル信号処理部、1は固体撮像センサとしてのMOS型のイメージセンサ、2はアナログフロントエンド、21は周期的な同期信号を発生する同期信号生成部(SSG)、22はイメージセンサ1を駆動するためのパルスを発生するタイミングジェネレータ(TG)、23はCDS(相関二重サンプリング)部、24はGCA(ゲインコントロールアンプ)部、25はAD変換部、28は外部からの入力クロックを逓倍して出力するクロック逓倍部、29aはパラレル/シリアルデータ出力部、30はCPUインターフェースである。
【0005】
アナログフロントエンド2によって出力されたデジタルデータは、デジタル信号処理部Bによって、輝度信号処理、色分離処理、カラーマトリクス処理などの各種の画像処理を受ける。
【0006】
撮像処理システムにおいて表示画面に現われるノイズの原因について考察する。AD変換された有効データをデジタル信号処理部Bへ伝達する。このAD変換を行うアナログフロントエンド2が有効データを出力する際に電源ノイズが発生する。この電源ノイズが、プリント配線基板上の電源ライン(Vccラインおよびグランドライン)を介してイメージセンサ1側に回り込む。そして、アナログフロントエンド2へ入力される画像信号に侵入したり、アナログフロントエンド2の内部で電源ラインや半導体基板を通して出力回路側から入力端子側へ回り込む。これらが表示画面に現われるノイズの主な原因である。
【0007】
もともとLSIの出力回路は、外部のプリント配線等チップ内部に比べて大きな負荷を駆動する必要がある。そのため、出力用素子もAD変換部などの内部回路を構成する素子に比べて大きなサイズ(10倍以上)のものが使用され、比較的多くの電流が流れるように設計するのが一般的である。出力信号の切り替わりの際に大きな貫通電流と負荷のドライブ電流が流れて電源にノイズがのると考えられる。また、出力回路で発生したノイズは基板を通して入力回路以外の内部回路にも伝播する。アナログフロントエンド2では入力アナログ信号を増幅するPGA(プログラマブル・ゲイン・アンプ)のような増幅回路を有するため、入力側に伝播したノイズも画像信号と共に増幅されてしまい、表示画質の低下につながることとなる。
【0008】
このようにセンサ周辺部では、消費電力やノイズを低減する必要があるため、アナログフロントエンドとデジタル信号処理部との間の信号の変化数や信号数を減らす必要がある。信号の変化数や信号数を減らすためには、例えば、イメージセンサの各チャンネル出力に応じてデジタル信号に変換する複数のnビットAD変換部と、nビットAD変換部の出力をPLL回路の出力に応じてシリアルデータに変換する複数のPS(パラレル/シリアル)変換部とを設けて、デジタル信号処理部への伝送の信号数を削減するようにしたものがある(例えば特許文献1)。
【0009】
図6は従来の技術における撮像処理システムの動作を示すタイミングチャートである。HBLKは水平同期信号である。水平同期信号HBLKが“H”レベルの水平ブランキング期間では画像信号の出力が無効である。水平同期信号HBLKが“L”レベルの有効信号出力期間に、1ライン分の有効な画像信号を出力する。有効信号出力期間に、イメージセンサ1を駆動し、GCA部24でゲイン制御を行い、AD変換部25でデジタルデータに変換し、パラレル/シリアルデータ出力部29aでパラレル/シリアル変換を行って、デジタル信号処理部Bにデータ出力を行う。すなわち、アナログフロントエンド2でのGCA部やAD変換部による処理とデジタル信号処理部Bへの出力とが同時に進行する。
【特許文献1】特開2005−244709号公報(第5−7頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図6の下3行に示すように、同時に動作進行しているデジタル信号処理部の動作ノイズの影響が考慮されていない。イメージセンサの駆動用パルスやイメージセンサの出力信号やその他のアナログフロントエンド内部のアナログ信号に対して、エネルギーの大きいデジタル信号処理部の出力バッファの動作ノイズや、画素クロックよりも高い周波数に逓倍されたメモリアクセスクロックやシリアルデータ出力用の高周波ノイズの折り返し成分が電源・GND要因や輻射要因でセンサ周辺部に悪影響を与える。その結果、信号のS/Nの劣化や、画像に折り返しノイズや固定パターンノイズが発生するという問題がある。
【0011】
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、センサ周辺部からデジタル信号処理部へのデータ出力やデジタル信号処理部のタスク処理によってシステム動作ノイズが発生しても、センサ周辺部が取り扱う信号のS/N性能を劣化させないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明による撮像処理システムは、被写体の光像を光電変換する固体撮像センサから出力されるアナログ電荷信号をデジタルデータに変換して、画像処理を行う撮像処理システムであって、
前記固体撮像センサの信号をデジタルデータに変換して出力する際、センサ信号の出力タイミングとは時間をずらしたブランキング期間に高速にデジタルデータを出力可能なセンサ周辺部と、
前記デジタルデータの入力に対して、前記ブランキング期間内で内部の動作を許可し、動作が許可された期間以外の期間は待機状態として最小限の動作をするデジタル信号処理部とを備えたものである。
【0013】
この構成においては、センサ周辺部でAD変換により生成されたデジタルデータをセンサ周辺部からデジタル信号処理部に出力する期間を、固体撮像センサのブランキング期間(主に水平ブランキング期間)に限っている。このブランキング期間は、固体撮像センサからのセンサ信号の出力タイミングすなわち有効信号出力期間を外した期間である。したがって、センサ周辺部からデジタル信号処理部へのデジタルデータの出力によって発生するノイズは、ブランキング期間に限定される。一方、デジタル信号処理部ではブランキング期間に限ってタスク処理を行うもので、デジタル信号処理部のタスク処理で発生するノイズもブランキング期間に限定される。すなわち、センサ周辺部からのデジタルデータの出力とデジタル信号処理部でのタスク処理とを同時に進行しないようにすることが可能となる。よって、デジタル信号処理部の動作やそのデータ出力によってシステム動作ノイズが発生しても、センサ周辺部におけるイメージセンサやAD変換部等が取り扱う信号のS/N性能を劣化させないことになる。
【0014】
(2)上記(1)の構成の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部の構成について、
前記固体撮像センサからのアナログ電荷信号からノイズを除去して電荷信号を連続的な信号にする相関二重サンプリング部と、
前記相関二重サンプリング部からの出力信号のゲインを制御するとともにフィードバック制御により直流成分を制御するアンプ部と、
前記アンプ部からの出力信号をアナログ−デジタル変換するnビットのAD変換部と、
前記AD変換部から出力されるデータを一時的に書き込むメモリと、
書き込み周波数より速いn逓倍の周波数で前記メモリからデータを読み出すメモリ制御部と、
前記メモリから読み出されたデータを前記デジタル信号処理部に出力するデジタルデータ出力部と、
周期的なセンサ読み出し動作を実現するための同期信号生成部と、
前記同期信号生成部からの同期信号に基づいて前記固体撮像センサを駆動するパルスを発生するタイミングジェネレータと、
外部から入力されるクロックをn逓倍して前記メモリ制御部に供給するクロック逓倍部と、
外部CPUとのインターフェースとを備えた構成とすることが可能である。
【0015】
これは、センサ周辺部の一般的な構成において、さらに、AD変換部から出力されるデータを一時的に書き込むメモリと、書き込み周波数より速いn逓倍の周波数で前記メモリからデータを読み出すメモリ制御部と、外部から入力されるクロックをn逓倍して前記メモリ制御部に供給するクロック逓倍部とを追加したことに言及したものである。AD変換部とデジタルデータ出力部との間にメモリを挿入し、このメモリをクロック逓倍部からの高速クロックで動作するメモリ制御部で制御することにより、上記(1)の作用効果を実現する。
【0016】
(3)上記(2)の構成の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部における前記データを一時的に書き込む前記メモリは、前記固体撮像センサの最低1ラインのデータをバッファできる容量とし、前記固体撮像センサの有効信号出力期間に有効データの書き込みを実施し、次の水平ブランキング期間内に高速に有効データを読み出すという態様がある。センサ周辺部からデジタル信号処理部への有効データの出力を水平ブランキング期間に限定しているので、有効信号出力期間を利用して出力する場合に比べて、時間的余裕がなくなるが、これをカバーするために、メモリから高速で有効データを読み出すようにしている。
【0017】
(4)上記(1)〜(3)の構成の撮像処理システムにおいて、前記デジタル信号処理部は、
前記センサ周辺部から出力される有効データに対してDC調整とゲイン調整を行う前処理部と、
前記前処理部からの有効データを記録する共用メモリと、
前記共用メモリに対して有効データの読み出しと書き込みの制御を行うメモリ制御部と、
前記共用メモリに記録された有効データを読み出して輝度信号処理と色信号処理を行う画像信号処理部と、
前記画像信号処理部によって処理された有効データに対して任意のリサイズ処理を行うリサイズ処理部と、
前記リサイズ処理部によるリサイズ後の有効データに対して圧縮伸張処理を行う圧縮伸張処理部と、
前記リサイズ処理部によりリサイズされた有効データから顔検出など所定の領域の検出を行う領域検出処理部と、
前記リサイズ処理部によりリサイズされた有効データを表示用に外部出力する表示処理部と、
外部の記録媒体やパソコンなどのインターフェースとなる外部I/F処理部と、
前記の各処理部の動作を制御するCPUと、
前記外部から入力されるクロックをn逓倍またはn分周して各処理部に供給するクロック制御部とを備えているという態様がある。
【0018】
これは、デジタル信号処理部の一般的な構成において、さらに、外部から入力されるクロックをn逓倍またはn分周して各処理部に供給するクロック制御部を追加したことに言及したものである。クロック制御部からの周波数制御されたクロックを用いて各処理部を制御することにより、上記(1)の作用効果を実現する。
【0019】
(5)上記(4)の構成の撮像処理システムにおいて、前記デジタル信号処理部は、前記センサ周辺部から水平ブランキング期間内に高速に有効データが読み出されて入力される際、水平ブランキング期間での前記共用メモリへの取り込み動作時のみ、前記前処理部の動作を許可し、それ以外の期間は待機状態とし、他の処理部の動作の許可は、水平ブランキング期間に加えて、前記固体撮像センサの有効信号出力期間以外の垂直ブランキング期間での設定が可能に構成されているという態様がある。このように構成すれば、固体撮像センサの有効信号出力期間では動作を許可せず、待機状態に近い最小限の動作設定として共用メモリへのアクセスを行わない動作設定が可能となる。
【0020】
(6)上記(1)〜(5)の撮像処理システムにおいて、前記デジタル信号処理部は、前記固体撮像センサの有効信号出力期間での待機状態に近い最小限の動作設定をする際、CPUの動作のみイネーブルとし、内部の各処理部を待機状態とするとともに、固体撮像センサの有効信号出力期間は前記CPUが外部のフラッシュメモリへのアクセスも行わない待機状態の設定が可能に構成されているという態様がある。このように構成すれば、デジタル信号処理部で固体撮像センサの有効信号出力期間に動作するのはCPUに限定されるため、ノイズ発生は充分に抑制される。
【0021】
(7)上記(1)〜(6)の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部は、前記センサ周辺部から前記デジタル信号処理部への有効データ出力がパラレル出力の場合、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間ではデータ出力の電気的レベルを固定とするという態様がある。このように構成すれば、デジタル信号処理部の出力バッファ動作による電源・GNDノイズ成分を0にして、センサ信号出力や駆動パルスに与えるノイズを低減することが可能となる。
【0022】
(8)上記(1)〜(6)の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部は、パラレルデータをシリアルデータとして低電圧差動に変換して伝送するLVDS方式でデータ出力する場合、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間ではLVDSを構成するデータ出力部を待機状態とし、出力レベルを固定論理とするという態様がある。このように構成すれば、LVDS動作による高周波電源・GNDノイズ成分を0にするとともに、LVDS部の消費電力を大幅に低減することが可能となる。
【0023】
(9)上記(8)の撮像処理システムにおいて、前記デジタル信号処理部は、シリアルデータとしてLVDSで入力する場合、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間ではLVDSを構成するデータ入力部を待機状態とし、内部の出力レベルを固定論理とするという態様がある。このように構成すれば、LVDS動作による高周波電源・GNDノイズ成分を0にするとともに、LVDS部の消費電力を大幅に低減することが可能となる。
【0024】
(10)上記(1)〜(6)の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部がパラレルデータをシリアルデータとして低電圧差動に変換して光デバイスを用いて光トランシーバを介して光ファイバで光伝送する方式でデータ出力する場合、当該センサ周辺部は、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間では前記光トランシーバと前記データ出力部とを待機状態とし、出力光レベルを暗レベルか明レベルとのうちのいずれかの状態にする、という態様がある。このように構成すれば、光トランシーバで高速光伝送(データ出力)する構成において消費電力を大幅に低減した状態で本発明を実施することが可能になる。
【0025】
(11)上記(10)の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部によって前記光トランシーバを介して前記光ファイバで光伝送する方式でデータ出力された光伝送データを、前記デジタル信号処理部が前記光ファイバを介して光レシーバで受け取る場合、当該デジタル信号処理部は、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間では前記光レシーバを構成するデータ入力部を待機状態とし、当該処理部内部の出力電気レベルを固定論理する、という態様がある。このように構成すれば、光レシーバで高速光伝送(受信)する構成において消費電力を大幅に低減した状態で本発明を実施することが可能になる。
【0026】
(12)上記(10)の撮像処理システムにおいて、電源供給部をさらに備え、当該電源供給部は、前記センサ周辺部と前記デジタル信号処理部とが前記光ファイバを介して光伝送する際、前記センサ周辺部の基準GNDと前記デジタル信号処理部の基準GNDとを直接に接続することなく、当該センサ周辺部と当該デジタル信号処理部とにそれぞれ独立に電源供給する、という態様がある。このように構成すれば、センサ周辺部とデジタル信号処理部とにそれぞれ独立に電源供給するため、センサ周辺部とデジタル信号処理部とのうちの一方で生じるノイズ(デジタル信号処理部で生じるデジタルノイズ電流ループ等)の影響が、他方に及ぶことがなくなる。したがって、デジタル信号処理部の動作やそのデータ出力によってシステム動作ノイズが発生しても、センサ周辺部におけるイメージセンサやAD変換部等が取り扱う信号のS/N性能を劣化させることはなくなる。
【0027】
(13)上記(8)の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部における前記デジタルデータ出力部は、水平ブランキング期間を1とした有効信号出力期間の比率の小数部を繰り上げた整数にA/D変換後のデータバス幅の整数を掛け合わせた整数以上の逓倍の転送クロックでかつ水平ブランキング期間内で読み出し転送完了するという態様がある。このように構成すれば、センサ周辺部のデジタルデータ出力部からデジタル信号処理部へのデータ出力を水平ブランキング期間内に完了させることが確かなものとなる。
【0028】
(14)上記(2)の撮像処理システムにおいて、前記センサ周辺部における前記デジタルデータ出力部は、データ出力がパラレルの場合に、水平ブランキング期間内にデータの出力を完了するように転送レートが設定されているという態様がある。さらに、
(15)上記(14)の撮像処理システムにおいて、前記デジタルデータ出力部は、水平ブランキング期間を1とした有効信号出力期間の比率の小数部を繰り上げた整数以上の比率になるよう転送クロックを逓倍して、水平ブランキング期間内で読み出し転送完了するという態様がある。このように構成すれば、センサ周辺部のデジタルデータ出力部からデジタル信号処理部へのデータ出力を水平ブランキング期間内に完了させることが確かなものとなる。
【0029】
(16)本発明によるデジタルカメラは、上記(1)〜(15)のいずれかの撮像処理システムが搭載されたものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、センサ周辺部からのデジタルデータの出力とデジタル信号処理部でのタスク処理とを同時に進行しないようにしており、センサ周辺部からデジタル信号処理部へのデータ出力やデジタル信号処理部のタスク処理によってシステム動作ノイズが発生しても、センサ周辺部における固体撮像センサやAD変換部等が取り扱う信号のS/N性能を劣化させないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明にかかわる撮像処理システムの実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0032】
図1は本発明の実施の形態における撮像処理システムの構成を示すブロック図(デジタル信号処理部詳細)、図2はアナログフロントエンドの構成を詳しく示した撮像処理システムの構成を示すブロック図である。この撮像処理システムは、センサ周辺部Aとデジタル信号処理部(DSP)Bで構成される。センサ周辺部Aは、イメージセンサ1とアナログフロントエンド2で構成される。
【0033】
アナログフロントエンド2は、周期的な同期信号を発生する同期信号生成部(SSG)21と、イメージセンサ1を駆動するパルスを周期的に発生するタイミングジェネレータ(TG)22と、イメージセンサ1から入力したアナログ電荷信号からノイズを除去するCDS(相関二重サンプリング)部23と、信号のゲインを制御するとともにフィードバック制御により直流成分を制御するGCA(ゲインコントロールアンプ)部24と、GCA部24の出力をAD変換してデジタル信号である画像信号データ(RGBデータ)に変換するnビットのAD変換部25と、AD変換部25の出力データを一時的に格納するRAM26と、RAM26に対するデータ書き込みと読み出しの制御を行うメモリ制御部27と、外部から入力された入力クロックを逓倍して逓倍クロックを出力するクロック逓倍部28と、水平ブランキング期間にRAM26から読み出されたデータをパラレルデータ形式またはシリアルデータ形式でデジタル信号処理部Bに出力するデジタルデータ出力部29と、外部CPUやデジタル信号処理部Bに内蔵のCPUからアナログフロントエンド2の内部のレジスタにアクセスして初期設定および動作モードの変更などを行うCPUインターフェース30とを備えている。
【0034】
以上のように構成されたアナログフロントエンド2は、イメージセンサ1が出力した画像信号をデジタル信号である画像信号データに変換し、その画像信号データをデジタル信号処理部Bに出力する。なお、アナログフロントエンド2は、出力のチャンネル数が1chの例である。
【0035】
アナログフロントエンド2に接続されているイメージセンサ1は、レンズ(図示せず)を介して入射した撮像光をフォトダイオードなどによりアナログ電荷信号(アナログ点順次信号である画像信号)に変換するようになっている。また、イメージセンサ1は、与えられた駆動用パルス(垂直駆動パルスおよび水平駆動パルス)に同期して、周期的に1ライン分の画像信号を出力する。具体的には、イメージセンサ1は、水平同期信号HBLKが“L”レベルの期間に、1ライン分の有効な画像信号を出力する。なお、イメージセンサ1が有効な画像信号を出力している期間を有効信号出力期間と呼び、画像信号の出力が無効な期間を水平ブランキング期間と呼ぶ。本実施の形態では、水平同期信号HBLKが“L”レベルの期間が有効信号出力期間であり、水平同期信号HBLKが“H”レベルの期間が水平ブランキング期間(無効期間)である。
【0036】
デジタル信号処理部Bは、センサ周辺部Aから出力される有効データに対してDC調整とゲイン調整を行う前処理部31、前処理部31からの有効データを記録する共用メモリ32、共用メモリに対して有効データの読み出しと書き込みの制御を行うメモリ制御部33、共用メモリ33に記録された有効データを読み出して輝度信号処理と色信号処理を行う画像信号処理部34、画像信号処理部34によって処理された有効データに対して任意のリサイズ処理を行うリサイズ処理部35、リサイズ処理部35によるリサイズ後の有効データに対して圧縮伸張処理を行う圧縮伸張処理部36、リサイズ処理部35によりリサイズされた有効データから顔検出など所定の領域の検出を行う領域検出処理部37、リサイズ処理部35によりリサイズされた有効データを表示用に外部出力する表示処理部38、外部の記録媒体やパソコンなどのインターフェースとなる外部I/F処理部39などを有するDSP(Digital Signal Processor)である。このデジタル信号処理部Bは、アナログフロントエンド2から入力されたデータを一時的に格納する共用メモリ32を有しており、フラッシュメモリ40から実行プログラムを読み出して動作するCPU41による制御で共用メモリ32にアクセスして前記各種処理を実施できるようになっている。クロック制御部42は、外部から入力されるクロックをn逓倍またはn分周して各処理部に供給するようになっている。
【0037】
次にセンサ周辺部Aの動作を説明する。
【0038】
CPUインターフェース30は、外部CPUやデジタル信号処理部Bに内蔵のCPUからアナログフロントエンド2の内部のレジスタにアクセスして初期設定および動作モードの変更などを行う。同期信号生成部21は、周期的な水平同期信号・垂直同期信号を生成する。水平ブランキング信号は水平同期信号に含まれている。タイミングジェネレータ22は、同期信号生成部21の出力に応じ、イメージセンサ1の駆動用パルス(垂直駆動パルスおよび水平駆動パルス)を発生する。
【0039】
CDS部23は、相関2重サンプリング法等に基づいて、イメージセンサ1の出力(アナログの画像信号)に含まれたノイズを低減する。詳しくは、CDS部23はサンプルホールド回路を有し、このサンプルホールド回路によって1/fノイズを低減して、連続信号に変換する。GCA部24は、CDS部23の出力を所定の振幅にゲインコントロールするとともに、フィードバック制御により直流成分を制御する。AD変換部25は、GCA部24の出力をAD変換してデジタル信号である画像信号データ(RGBデータ)に変換する。RAM26は、AD変換部25の出力を一時的に格納する。メモリ制御部27は、RAM26に対するデータ書き込みと読み出しの制御を行う。具体的には、メモリ制御部27は、イメージセンサ1から有効データが出力されている期間には、AD変換部25の出力をRAM26に書き込む。また、水平ブランキング期間には、RAM26に書き込まれている1ライン分の有効データを読み出す。この読み出しは、アナログフロントエンド2の外部から入力された入力クロックを逓倍した逓倍クロックに同期して行う。デジタルデータ出力部29は、水平ブランキング期間にRAM26から読み出されたデータをパラレルデータ形式またはシリアルデータ形式でデジタル信号処理部Bに逓倍クロックに同期して出力する。
【0040】
次に、アナログフロントエンド2の動作を図3のタイミングチャートを参照しつつ説明する。
【0041】
タイミングジェネレータ22が垂直駆動パルスおよび水平駆動パルスを生成すると、イメージセンサ1が所定の周期で画像信号を出力する。イメージセンサ1が出力した画像信号は、CDS部23でノイズが低減された後、GCA部24によって所定の振幅にゲインコントロールされてAD変換部25に出力される。AD変換部25は、入力された画像信号をAD変換して有効データとして出力する。メモリ制御部27は、AD変換部25が出力した有効データをRAM26に格納する。図3ではRAM26をラインバッファとしている。次に、メモリ制御部27は、次の水平ブランキング期間に、RAM26に格納された1ライン分の有効データをクロック逓倍部28が出力する逓倍クロックに同期して高速に読み出す。デジタルデータ出力部29は、メモリ制御部27によって読み出された有効データを、水平ブランキング期間中に前記の逓倍クロックに同期してデジタル信号処理部Bに出力する。すなわち、アナログフロントエンド2のデータ出力による動作ノイズの発生期間は、水平ブランキング期間に限定されている。
【0042】
次に、デジタル信号処理部Bの動作を図3のタイミングチャートを参照しつつ説明する。
【0043】
デジタルデータ出力部29が水平ブランキング期間中にデータを出力すると、デジタル信号処理部Bにおいて、水平ブランキング期間中に、前処理部31にて1ライン分の有効データに対するオフセット処理やゲイン処理等が行われ、メモリ制御部33を介して共用メモリ32に書き込まれる。共用メモリ32に書き込まれた有効データは、メモリ制御部33を介して画像信号処理部34、リサイズ処理部35、圧縮伸張処理部36、領域検出処理部37、表示処理部38、外部I/F処理部39などに送られ、各種タスク処理が任意に行われる。
【0044】
このデジタル信号処理部Bでメモリ制御部33を介して実施する上記各種タスク処理に当たっては、CPU41がフラッシュメモリ40から実行プログラムを読み出して制御する。
【0045】
有効データが取り込まれる水平ブランキング期間中にのみ、上記タスク処理を実施する方法としては、
1.CPU41で制御を行う方法、
2.センサ周辺部Aから入力されるかもしくはデジタル信号処理部Bの内部で発生した水平ブランキング信号を動作のイネーブル信号として使用する方法、
3.上記2つを組み合わせて行う方法、
などの実現方法がある。
【0046】
本実施の形態においては、水平ブランキング期間中にのみ、必要なデジタル信号処理による共用メモリ32へのアクセス処理とCPU41のフラッシュメモリ40へのアクセスを実施することで、デジタル信号処理部Bによる動作ノイズの発生を水平ブランキング期間中にのみ限定する。
【0047】
上記のように、本実施の形態の撮像処理システムでは、データ出力が有効信号出力期間には行われず、水平ブランキング期間に行われ、後段のデジタル画像処理も水平ブランキング期間中に実施されるので、データ出力と画像処理によって動作ノイズが発生しても、イメージセンサ1、CDS部23、GCA部24、AD変換部25が取り扱う信号のS/N性能を劣化しないようにすることが可能になる。
【0048】
なお、外部への出力データをパラレルデータとするようにアナログフロントエンド2を構成する場合には、デジタルデータ出力部29におけるデータ出力の電気的レベルを、有効信号出力期間には固定とするとよい。これにより、デジタル信号処理部Bの出力バッファの動作による電源・GNDノイズ成分を0にして、イメージセンサ1の駆動用パルスに与えるノイズを低減することが可能になる。
【0049】
また、デジタルデータ出力部29に差動アンプを設けて、外部へ出力するデータをLVDS方式によるシリアルデータとして出力するように構成してもよい。LVDS(Low Voltage Differential Signaling)とは、パラレル信号を低電圧差動のシリアル信号に変換して伝送するI/O規格の一種として知られているものである。LVDS方式によるシリアルデータとして出力する場合には、有効信号出力期間では、差動アンプの定電流源をオフにするとともに、出力レベルを固定論理とするとよい。これにより、LVDS動作による高周波電源・GNDノイズ成分を0にすることが可能になり、さらにデジタルデータ出力部29の消費電力を大幅に低減することが可能になる。
【0050】
また、デジタルデータ出力部29は、水平ブランキング期間内にデータの出力を完了するように、転送レートを設定するのがよい。具体的には、例えば、デジタルデータ出力部29がデータをパラレルデータとして出力するように構成されている場合には、次のようにして、転送クロックのレートを設定する。まず、水平ブランキング期間に対する有効信号出力期間の比率を求め、求めた比率の小数部を繰り上げた整数(逓倍率)を求める。そして、求めた逓倍率倍に、画素クロックを逓倍して転送クロックを生成する。
【0051】
また、デジタルデータ出力部29がLVDS方式でシリアルデータを出力するように構成されている場合には、次のようにして、転送クロックのレートを設定する。まず、水平ブランキング期間に対する有効信号出力期間の比率を求め、求めた比率の小数部を繰り上げた整数を求める。次に、求めた整数に、A/D変換後のデータバス幅の整数を掛け合わせた整数(逓倍率)を求める。そして、求めた逓倍率倍に画素クロックを逓倍して転送クロックを生成する。
【0052】
また、レンズやモニタ等とともに、本実施の形態の撮像処理システムを組み込んで撮像装置(デジタルカメラ)を構成すれば、高品質なセンサデータを出力する撮像装置を構成することが可能になる。
【0053】
また、アナログフロントエンド2における出力チャンネル数は、上記で例示した1chに限定されない。すなわち、チャンネル数は、イメージセンサ1の仕様に応じて決定すればよい。
【0054】
以上説明した実施の形態では、LVDSによる高速メタル伝送システムにおいて本発明を実施した。次に、本発明を高速光伝送システムにおいて本発明を実施した本発明の他の実施の形態を、図4を参照して説明する。この実施の形態では、センサ周辺部Aがパラレルデータをシリアルデータとして低電圧差動信号に変換して光伝送する方式でデータ出力するとともに、その光伝送データを、デジタル信号処理部Bが受信する構成において本発明が実施される。
【0055】
本実施の形態の構成は、基本的には、図1〜図3(特に図2)を参照して先に説明した実施の形態の構成と同様の構成を備える。そのため、図4においては、図1〜図3と同一ないし同様の部分に同一の符号を付しておりそれらについての説明は省略する。本実施の形態では、新たに、センサ周辺部Aは光トランシーバ40を備え、デジタル処理部Cは光レシーバ41を備える。デジタル処理部Cはデジタル信号処理部Bを含む。光トランシーバ40と光レシーバ41とは、光ファイバDを介してデータを光伝送する。光トランシーバ40と光レシーバ41と光ファイバDとにより光デバイス43が構成される。さらには、本実施の形態では、センサ周辺部Aとデジタル処理部Cとに供給する電源を制御する電源供給部42を備える。
【0056】
以上の構成を備える本実施形態の撮像システムでは、センサ周辺部Aがパラレルデータをシリアルデータとして低電圧差動信号に変換して光デバイス43を用いて光トランシーバ40を介して光ファイバCで光伝送する方式でデータ出力したうえで、そのようにして伝送される光伝送データを、デジタル信号処理部Bが光ファイバCを介して光レシーバ41で受け取る。
【0057】
上記光伝送を実施するうえで、センサ周辺部Aは、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間では光トランシーバ40とデータ出力部29とを待機状態にするとともに、出力光レベルを暗レベルまたは明レベルにする。水平ブランキング期間でセンサ周辺部Aは、光トランシーバ40とデジタルデータ出力部29とを稼働可能状態にするとともに、水平ブランキング期間以外の期間において固定していた出力光レベルを可変制御可能状態にする。一方、デジタル信号処理部Bは、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間では光レシーバ4(データ入力部)を待機状態とするとともに、デジタル信号処理部B内部の出力電気レベルを固定論理にする。水平ブランキング期間でデジタル信号処理部Bは、光レシーバ4を稼働可能状態にするとともに、水平ブランキング期間以外の期間において固定していた出力電気レベルを可変制御可能状態にする。以上の構成を備えることで本実施の形態では、高速光伝送システムにおいて消費電力を大幅に低減した状態で本発明を実施することが可能となる。
【0058】
なお、センサ周辺Aとデジタル信号処理部Bとの間で光ファイバCを介した光伝送が実施される際において電源供給部42は、センサ周辺部Aの基準GNDとデジタル信号処理部Bの基準GNDとを互いに直接に接続することなく、センサ周辺部Aとデジタル信号処理部Bとにそれぞれ独立して電源を供給する。具体的には、電源供給部42は、センサ周辺部Aに電源1を供給し、デジタル信号処理部Bに電源2を供給する。センサ周辺部Aに接続される基準GND1とデジタル処理部Bに接続される基準GND2とは互いに直接に接続されていない。また、光伝送路(光ファイバC)は、その構造上、GND接続されていない。以上の構成を備えることで、デジタル処理部Cで発生するデジタルノイズ電流ループの影響がセンサ周辺部Aに及ぶことはなくなる。したがって、デジタル信号処理部Bの動作やそのデータ出力によってシステム動作ノイズが発生しても、センサ周辺部Aにおけるイメージセンサ1やAD変換部25等が取り扱う信号のS/N性能が劣化することはない。なお、デジタル処理部Cと電源供給部42との間に広帯域バイパスコンデンサを設ければ、デジタルノイズ電流ループの影響そのものを積極的に排除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の撮像処理システムは、センサ周辺部でのAD変換によって生成したデジタルデータが、イメージセンサの出力が無効である水平ブランキング期間においてセンサ周辺部からデジタル信号処理部へ出力され、同時にデジタル信号処理が実施される。デジタルデータの出力およびデジタル信号処理動作と、AD変換等の他の回路の動作とが同時に進行しないので、データ出力およびデジタル信号処理によって動作ノイズが発生しても、イメージセンサやAD変換部等を含むセンサ周辺部が取り扱う信号のS/N性能を劣化しないようにできるという効果を有し、デジタルカメラ用の固体撮像センサから出力された映像信号(アナログ電荷信号)を、そのアナログ電荷信号に対応したデジタルデータに変換して出力し、画像処理を行う撮像処理システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態における撮像処理システムの構成を示すブロック図(デジタル信号処理部詳細)
【図2】本発明の実施の形態における撮像処理システムの構成を示すブロック図(アナログフロントエンド詳細)
【図3】本発明の実施の形態における撮像処理システムの動作を示すタイミングチャート
【図4】本発明の他の実施の形態における撮像処理システムの構成を示すブロック図(アナログフロントエンド詳細)
【図5】従来の技術における撮像処理システムの構成を示すブロック図
【図6】従来の技術における撮像処理システムの動作を示すタイミングチャート
【符号の説明】
【0061】
A センサ周辺部
B デジタル信号処理部
1 イメージセンサ(固体撮像センサ;センサ周辺部の構成要素)
2 アナログフロントエンド(センサ周辺部の構成要素)
21 同期信号生成部
22 タイミングジェネレータ
23 CDS部(相関二重サンプリング部)
24 GCA部(ゲインコントロールアンプ部)
25 AD変換部
26 RAM(AD変換部から出力されるデータを一時的に書き込むメモリ)
27 メモリ制御部
28 クロック逓倍部
29 デジタルデータ出力部
30 CPUインターフェース
31 前処理部
32 共用メモリ
33 メモリ制御部
34 画像信号処理部
35 リサイズ処理部
36 圧縮伸張処理部
37 領域検出処理部
38 表示処理部
39 外部I/F処理部
40 フラッシュメモリ
41 システム制御用のCPU
42 クロック制御部(逓倍/分周)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光像を光電変換する固体撮像センサから出力されるアナログ電荷信号をデジタルデータに変換して、画像処理を行う撮像処理システムであって、
前記固体撮像センサの信号をデジタルデータに変換して出力する際、センサ信号の出力タイミングとは時間をずらしたブランキング期間に高速にデジタルデータを出力可能なセンサ周辺部と、
前記デジタルデータの入力に対して、前記ブランキング期間内で内部の動作を許可し、動作が許可された期間以外の期間は待機状態として最小限の動作をするデジタル信号処理部とを備えた撮像処理システム。
【請求項2】
前記センサ周辺部は、
前記固体撮像センサからのアナログ電荷信号からノイズを除去して電荷信号を連続的な信号にする相関二重サンプリング部と、
前記相関二重サンプリング部からの出力信号のゲインを制御するとともにフィードバック制御により直流成分を制御するアンプ部と、
前記アンプ部からの出力信号をアナログ−デジタル変換するnビットのAD変換部と、
前記AD変換部から出力されるデータを一時的に書き込むメモリと、
書き込み周波数より速いn逓倍の周波数で前記メモリからデータを読み出すメモリ制御部と、
前記メモリから読み出されたデータを前記デジタル信号処理部に出力するデジタルデータ出力部と、
周期的なセンサ読み出し動作を実現するための同期信号生成部と、
前記同期信号生成部からの同期信号に基づいて前記固体撮像センサを駆動するパルスを発生するタイミングジェネレータと、
外部から入力されるクロックをn逓倍して前記メモリ制御部に供給するクロック逓倍部と、
外部CPUとのインターフェースとを備えている請求項1に記載の撮像処理システム。
【請求項3】
前記センサ周辺部における前記データを一時的に書き込む前記メモリは、前記固体撮像センサの最低1ラインのデータをバッファできる容量とし、前記固体撮像センサの有効信号出力期間に有効データの書き込みを実施し、次の水平ブランキング期間内に高速に有効データを読み出す請求項2に記載の撮像処理システム。
【請求項4】
前記デジタル信号処理部は、
前記センサ周辺部から出力される有効データに対してDC調整とゲイン調整を行う前処理部と、
前記前処理部からの有効データを記録する共用メモリと、
前記共用メモリに対して有効データの読み出しと書き込みの制御を行うメモリ制御部と、
前記共用メモリに記録された有効データを読み出して輝度信号処理と色信号処理を行う画像信号処理部と、
前記画像信号処理部によって処理された有効データに対して任意のリサイズ処理を行うリサイズ処理部と、
前記リサイズ処理部によるリサイズ後の有効データに対して圧縮伸張処理を行う圧縮伸張処理部と、
前記リサイズ処理部によりリサイズされた有効データから顔検出など所定の領域の検出を行う領域検出処理部と、
前記リサイズ処理部によりリサイズされた有効データを表示用に外部出力する表示処理部と、
外部の記録媒体やパソコンなどのインターフェースとなる外部I/F処理部と、
前記の各処理部の動作を制御するCPUと、
前記外部から入力されるクロックをn逓倍またはn分周して各処理部に供給するクロック制御部とを備えている請求項1から請求項3までのいずれかに記載の撮像処理システム。
【請求項5】
前記デジタル信号処理部は、前記センサ周辺部から水平ブランキング期間内に高速に有効データが読み出されて入力される際、水平ブランキング期間での前記共用メモリへの取り込み動作時のみ、前記前処理部の動作を許可し、それ以外の期間は待機状態とし、他の処理部の動作の許可は、水平ブランキング期間に加えて、前記固体撮像センサの有効信号出力期間以外の垂直ブランキング期間での設定が可能な請求項4に記載の撮像処理システム。
【請求項6】
前記デジタル信号処理部は、前記固体撮像センサの有効信号出力期間での待機状態に近い最小限の動作設定をする際、CPUの動作のみイネーブルとし、内部の各処理部を待機状態とするとともに、固体撮像センサの有効信号出力期間は前記CPUが外部のフラッシュメモリへのアクセスも行わない待機状態の設定が可能な請求項1から請求項5までのいずれかに記載の撮像処理システム。
【請求項7】
前記センサ周辺部は、前記センサ周辺部から前記デジタル信号処理部への有効データ出力がパラレル出力の場合、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間ではデータ出力の電気的レベルを固定とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の撮像処理システム。
【請求項8】
前記センサ周辺部は、パラレルデータをシリアルデータとして低電圧差動に変換して伝送するLVDS方式でデータ出力する場合、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間ではLVDSを構成するデータ出力部を待機状態とし、出力レベルを固定論理とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の撮像処理システム。
【請求項9】
前記デジタル信号処理部は、シリアルデータとしてLVDSで入力する場合、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間ではLVDSを構成するデータ入力部を待機状態とし、内部の出力レベルを固定論理とする請求項8に記載の撮像処理システム。
【請求項10】
前記センサ周辺部がパラレルデータをシリアルデータとして低電圧差動に変換して光デバイスを用いて光トランシーバを介して光ファイバで光伝送する方式でデータ出力する場合、当該センサ周辺部は、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間では前記光トランシーバと前記データ出力部とを待機状態とし、出力光レベルを暗レベルか明レベルとのうちのいずれかの状態にする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の撮像処理システム。
【請求項11】
前記センサ周辺部によって前記光トランシーバを介して前記光ファイバで光伝送する方式でデータ出力された光伝送データを、前記デジタル信号処理部が前記光ファイバを介して光レシーバで受け取る場合、当該デジタル信号処理部は、水平ブランキング期間以外の有効信号出力期間では前記光レシーバを構成するデータ入力部を待機状態とし、当該処理部内部の出力電気レベルを固定論理する請求項10に記載の撮像処理システム。
【請求項12】
電源供給部をさらに備え、当該電源供給部は、前記センサ周辺部と前記デジタル信号処理部とが前記光ファイバを介して光伝送する際、前記センサ周辺部の基準GNDと前記デジタル信号処理部の基準GNDとを直接に接続することなく、当該センサ周辺部と当該デジタル信号処理部とにそれぞれ独立に電源供給する請求項10に記載の撮像処理システム。
【請求項13】
前記センサ周辺部における前記デジタルデータ出力部は、水平ブランキング期間を1とした有効信号出力期間の比率の小数部を繰り上げた整数にA/D変換後のデータバス幅の整数を掛け合わせた整数以上の逓倍の転送クロックでかつ水平ブランキング期間内で読み出し転送完了する請求項8に記載の撮像処理システム。
【請求項14】
前記センサ周辺部における前記デジタルデータ出力部は、データ出力がパラレルの場合に、水平ブランキング期間内にデータの出力を完了するように転送レートが設定されている請求項2に記載の撮像処理システム。
【請求項15】
前記デジタルデータ出力部は、水平ブランキング期間を1とした有効信号出力期間の比率の小数部を繰り上げた整数以上の比率になるよう転送クロックを逓倍して、水平ブランキング期間内で読み出し転送完了する請求項14に記載の撮像処理システム。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれかに記載の撮像処理システムが搭載されているデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−94613(P2009−94613A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260798(P2007−260798)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】