説明

撮像素子モジュール

【課題】モジュール内のデッドスペースを活かしてその小型化に資することが可能な撮像素子モジュールを提供すること。
【解決手段】第1の面と第2の面とを有し、第1のランドを有する第1の配線パターンを第1の面側に備えた第1の配線板と、受光部と端子パッドを含む非受光部とを有する機能面を有し、該機能面が第1の配線板の側とは反対の側に向けられて第1の配線板の第1の面上に設けられた固体撮像素子チップと、第1の面と第2の面とを有し、第2のランドを有する第2の配線パターンを第1の面側に備え、第2の面から第1の面に至る端面上に被覆層を備え、第2の面の側が固体撮像素子チップの非受光部上に設けられた第2の配線板と、固体撮像素子チップの端子パッドと第1の配線板の第1のランドおよび/または第2の配線板の第2のランドとを電気的に接続するボンディングワイヤとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子チップと配線板とを有する撮像素子モジュールに係り、特に、その小型化に好適な撮像素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯型PCなどの携帯型電子機器は近年、撮像入力部を備えたものが多い。撮像入力部は、固体撮像素子チップとその周辺部品を実装した配線板、およびレンズユニットで主に構成される(以下、部品としての撮像入力部を「撮像素子モジュール」という)。このような携帯型電子機器の撮像素子モジュールでは、一般に、さらに小型のスペースに収まり、なおかつさらに多画素による撮像に対応することが要求されている。固体撮像素子チップでは、近年、500万画素や800万画素のものが市場投入されている。配線板としては、その多層化や、パターンの高密度レイアウト化、部品の内蔵化などによりその小型化対応が図られている。
【0003】
撮像素子モジュールの技術として、特開2004−120615公報に開示のものがある。この開示では、固体撮像素子チップの周縁外側に周辺部品を備えた配線板が用いられている。このような構成においては、固体撮像素子チップの多画素化によってそのチップサイズが大型化すると、必然的に2次元的な全体としての大きさが増す。また、その配線板はモジュールとして求められる周辺回路部分をすべて担うため層数が多くなりがちであり、これによりモジュールとして厚さ方向のサイズもあまり低減が効かない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−120615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、固体撮像素子チップと配線板とを有する撮像素子モジュールにおいて、モジュール内のデッドスペースを活かしてその小型化に資することが可能な撮像素子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である撮像素子モジュールは、第1の面と該第1の面に対向する第2の面とを有し、第1のランドを有する第1の配線パターンを前記第1の面側に備えた第1の配線板と、受光部と端子パッドを含む非受光部とを有する機能面を有し、該機能面が前記第1の配線板の側とは反対の側に向けられて前記第1の配線板の前記第1の面上に設けられた固体撮像素子チップと、第1の面と該第1の面に対向する第2の面とを有し、第2のランドを有する第2の配線パターンを前記第1の面側に備え、前記第2の面から前記第1の面に至る端面上に被覆層を備え、前記第2の面の側が前記固体撮像素子チップの側に向けられて該固体撮像素子チップの前記非受光部上に設けられた第2の配線板と、前記固体撮像素子チップの前記端子パッドと前記第1の配線板の前記第1のランドおよび/または前記第2の配線板の前記第2のランドとを電気的に接続するボンディングワイヤとを具備することを特徴とする。
【0007】
すなわち、この撮像素子モジュールでは、モジュールとして求められる周辺回路部分を、固体撮像素子チップの下側に位置する第1の配線板と、固体撮像素子チップの非受光部上に設けられる第2の配線板とに分担的に担わせることができる。したがって、モジュールとしての2次元的な大きさを支配している第1の配線板の小型化が可能である。また第1の配線板に必要な回路パターン構成も軽減され、配線層数の低減により第1の配線板の厚みも薄くすることができる。
【0008】
一方、第1の配線板の簡素化に伴い導入された、固体撮像素子チップ上の第2の配線板は、固体撮像素子チップの非受光部上に設けられるため、モジュールとしての受光機能を害さない。また、固体撮像素子チップの受光部上に結像させるためのレンズは、この固体撮像素子チップから離間して設けられるため、固体撮像素子チップの非受光部上に第2の配線板を設けても、モジュールとして厚みの増加にならない。
【0009】
ここで、第2の配線板が非常に小型になりよって生産性を考慮し大型の配線板から切り出されて(ダイシングされて)製造される場合が多いことに鑑み、第2の配線板の端面上には被覆層を設けている。切り出した生の端面上は、機械加工で発塵していることがあり、発塵は固体撮像素子チップの受光部表面に対する光学的な汚染源になり得る。したがって、被覆層を設ければ汚染源としての端面を封じ、第2の配線板を設けて生じ得る副作用を回避できる。
【0010】
したがって、モジュール内のデッドスペースを活かし副作用なく小型化が実現された撮像素子モジュールが得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固体撮像素子チップと配線板とを有する撮像素子モジュールにおいて、モジュール内のデッドスペースを活かしてその小型化に資することが可能な撮像素子モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像素子モジュールの構成を模式的に示す断面図。
【図2】図1中に示した配線板10の具体的構成例を模式的に示す断面図。
【図3】図1中に示した配線板20の具体的構成例を模式的に示す断面図。
【図4】本発明の別の実施形態に係る撮像素子モジュールの構成を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施態様として、前記第2の配線板の前記被覆層が、樹脂の層である、とすることができる。被覆層の機能として、第2の配線板の端面上の発塵を封ずることが求められるが、樹脂であれば比較的容易に層形成ができる。例えば、ソルダーレジストと同様の材質のものを使用できる。
【0014】
また、実施態様として、前記第2の配線板が、接着層を介して前記固体撮像素子チップの前記非受光部上に固着されており、前記第2の配線板の前記被覆層が、該第2の配線板と前記固体撮像素子チップの前記非受光部との間の前記接着層がはみ出して前記端面に這い上がり形成されている、とすることができる。
【0015】
これは、第2の配線板の端面上に必要な被覆層を、この第2の配線層を固体撮像素子チップの非受光部上に固着するための接着層により形成したものである。例えば、硬化前の接着層として液状の接着性樹脂を用いた場合、第2の配線板と固体撮像素子チップの非受光部との間の接着層がはみ出して、第2の配線板の端面との濡れ性および表面張力によりこの端面上を這い上がる。この性質を利用して第2の配線板を固体撮像素子チップの非受光部上に設ける工程と同時に被覆層を形成することができる。
【0016】
また、実施態様として、前記固体撮像素子チップの前記受光部に対向して設けられたレンズを含むレンズユニットをさらに具備する、とすることができる。レンズユニットを備えることで付加価値を高めることができる。また、レンズを固体撮像素子チップの受光部に対して適切な位置に配置するように組み立てたモジュールとして、市場供給できる。
【0017】
また、実施態様として、前記第1の配線板の前記第1のランドと前記第2の配線板の前記第2のランドとを電気的に接続する第2のボンディングワイヤをさらに具備する、とすることができる。第1の配線板と第2の配線板との電気的接続には、固体撮像素子チップ上の端子パッドを経由した間接的な接続のほかに、このように、直接にこれら間をボンディングワイヤで接続することもできる。これにより、第1の配線板、第2の配線板のパターン等の設計自由度はより向上する。
【0018】
また、実施態様として、前記第2の配線板が、前記第1の面上に、または埋め込まれて部品が実装された配線板である、とすることができる。第2の配線板に部品実装をすることで、第1の配線板における部品実装の負担を減らすことが可能である。これにより、モジュールとしての2次元的な大きさを支配している第1の配線板のさらなる小型化が可能である。
【0019】
また、実施態様として、前記第1の配線板が、該第1の配線板の前記第2の面に外部接続用の第3のランドを有する第3の配線パターンを備える、とすることができる。第1の配線板の裏面にこのように外部接続用のランドを設けることで、外部接続のための部材として例えば別の基板やリードフレームが不要であり、モジュール小型化に好ましい。
【0020】
また、実施態様として、前記第1の配線板または第2の配線板が、導電性組成物を有する縦方向の電気的接続路を備える、とすることができる。導電性組成物を有する縦方向の電気的接続路は、スルーホールを利用するめっき層による縦方向の電気的接続路より小さな領域に形成可能であり、モジュールとしての小型化に寄与できる。また、より複雑なパターン設計にも向いている。
【0021】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る撮像素子モジュールの構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この撮像素子モジュールは、配線板10、配線板20、固体撮像素子チップ30、ボンディングワイヤ41、同42、レンズ51、レンズ保持部52、接着層61を有する。
【0022】
配線板10は、ランド11、12を含む表面の配線パターンと、ランド13を含む裏面の配線パターンとを少なくとも備え、不図示の縦方向導電体により、これらの配線パターンは電気的に接続可とされている。配線板20は、ランド21を含む表面の配線パターンと、この配線パターン上に表面実装された部品(表面実装型受動素子部品)22とを少なくとも有し、さらにその端面上には被覆層23が形成されている。固体撮像素子チップ30は、受光部31を備えており、受光部31のある面の面端近くには端子パッド32が位置している。
【0023】
配線板10と固体撮像素子チップ30との間は、不図示の接着剤の層により固定されている。また、固体撮像素子チップ30と配線板20との間は、接着層61により固定されている。配線板10および配線板20のそれぞれ表裏面には、不図示のソルダーレジストの層がある。このソルダーレジストの層は、はんだまたはボンディングワイヤが接続され得るランド上を除いて全面的に形成された保護膜である。配線板10および配線板20については、より具体的な構成の例を後述する(図2、図3)。
【0024】
配線板10は、その面ほぼ中央に固体撮像素子チップ30を載置、保持する基板として機能するとともに、電気的には、固体撮像素子チップ30の端子パッド32からボンディングワイヤ41を介しランド11を経てさらにランド13に至る経路を仲介している仲介基板である。ランド13が、この撮像素子モジュールとしての外部接続用の端子になる。このように配線板10に外部接続用の端子を設ければ、モジュールとしてコンパクトなまとまりにできる。配線板10の、固体撮像素子チップ30が位置する場所の周辺外側には、ランド11、12が設けられている。
【0025】
配線板20は、固体撮像素子チップ30の受光部31上を避けてその機能面上に配置された部品実装基板である。電気的には、配線板10上のランド12からボンディングワイヤ42を介してランド21の経路で配線板10と相互に接続されている。部品実装の形態としては、その表面に部品22が実装されている形態に限らず、板内に内蔵(埋め込み)で設けられていてもよい。その厚さは、部品内蔵の場合で例えば0.5mmから0.65mm程度にできる。部品内蔵でない場合は、これより薄くできる。
【0026】
配線板20は、上記でも言及したように、その端面上に被覆層23を有しているが、平面的にその配置は、四辺の端面とも設けるのが好ましい。このように四方の端面すべてに被覆層23を設けると、配線板20の端面に発塵がある場合にその塵埃を受光部31上に撒き散らす原因を排除する効果が高くなる。
【0027】
配線板20の端面の発塵は、その製造工程に依拠して生じる可能性を有している。配線板20は、その板状の大きさが、例えば10mm×3〜4mm程度であり、生産性を考慮し製造の最終近くの工程でルータやダイサーを用いて大型の基板から個片化される。このような機械加工では、そのカット面に硬化された樹脂の微小な破片が残留している。当初は安定していても、撮像素子モジュールとして組み上げたあとに塵埃となって経時的に浮遊する可能性があり、それにより固体撮像素子チップ30の受光部31上に付着すると、光学的な欠陥源になり得る。特に近年、受光部31内に形成された光電変換素子のサイズは微小であり、塵埃は撮像素子モジュールとして相対的に非常に大きな欠陥源になり得る。
【0028】
被覆層20の材質としては、例えば、ソルダーレジスト同様の樹脂とすることができる。ソルダーレジスト層形成は配線板の製造工程では不可欠な工程であり、これを流用することで容易に配線板20の端面上に被覆層23を形成でき、層形成により微小な破片を封じる効果も十分発揮される。樹脂製の被覆層23の厚さは、通常のソルダーレジスト層形成の場合と同様に、例えば10μmから50μm程度とすることができる。被覆層23の材質としては、樹脂のほかに例えば金属めっきによる層も考えられる。
【0029】
固体撮像素子チップ30は、機能面に、光電変換素子がアレー状に集積形成された受光部31があり、機能面にはさらに、受光部31の素子を制御、駆動するための回路が集積形成された領域(以下、非受光部という場合がある)も確保されている。受光部31は機能面のほぼ中央に位置し、非受光部は平面的に見て受光部31を取り囲む枠状に位置している。非受光部の外側端部近傍には、固体撮像素子チップ30の端子である端子パッド32が形設されている。上記の配線板20は、固体撮像素子チップ30の非受光部上であって、端子パッド32のない領域上に、接着層61を介して設けることができる。
【0030】
ボンディングワイヤ41は、固体撮像素子チップ30の端子パッド32と配線板10のランド11とを電気的に接続する部材である。ボンディングワイヤ42は、配線板10のランド11と配線板20のランド21とを電気的に接続する部材である。ボンディングワイヤ41、42は、その材質が例えば金(Au)であり、端子パッド32、ランド11、ランド21との接続には、周知の金ボンディング技術を利用できる。
【0031】
レンズ保持部52は、レンズ51の位置が固体撮像素子チップ30の受光部31から所望の間隔になるように保持するものである。レンズ51は、その光軸が固体撮像素子チップ30の受光部31の面に直交するように設けられていて、固体撮像素子チップ30が位置する側とは反対側からの光を導いて受光部31上に像を結像させる。レンズ51とレンズ保持部52とでレンズユニットが構成される。
【0032】
以上説明の撮像素子モジュールは、固体撮像素子チップ30の下に位置する配線板10が担うべき機能の一部が、配線板20に移されている。すなわち、モジュールとして必要な、固体撮像素子チップ30の周辺回路部分が、配線板20に設けられている。したがって、配線板10をより小面積にすることができる。配線板10は図示でわかるようにモジュールとしての平面的な面積を支配しているので、配線板20を設けることによるモジュールの平面的な小型化の効果は大きい。
【0033】
また、配線板10のパターン設計はより簡易に済ませることも可能になる。このため、配線層数の多い配線板の使用を避けることができる。これにより、配線板10を薄くして、モジュールとしてより薄型化することにも寄与できる。
【0034】
配線板20は、固体撮像素子チップ30の受光部31とレンズ51との離間で必要な空間であって、そのうちの非受光部上の領域に配されている。したがって、受光部31とレンズ51間の光学的機能を害することがないことはもちろんのこと、従来のデッドスペースと言える空間への配置なので、モジュールとして何らの大きさ増加をもたらすものでない。
【0035】
ここで、配線板20においては、これが非常に小型であり、よって生産性を考慮し大型の配線板から切り出されて製造される場合が多いことに鑑み、配線板20の端面上に被覆層23を設けている。したがって、被覆層23で発塵汚染源としての端面を封じることにより、配線板10とは別の配線板20を設けて生じ得る副作用も回避できる。
【0036】
以上より、この撮像素子モジュールは、平面的にも、厚さ方向にも、その大きさが縮減されたものになる。
【0037】
なお、配線板10と固体撮像素子チップ30との間、および配線板10と配線板20との間にボンディングワイヤ41、42を設ける以外のボンディングワイヤの配し方もある。例えば、さらに、固体撮像素子チップ30と配線板20とをボンディングワイヤで接続してもよい。この場合には、配線板10と固体撮像素子チップ30との間のボンディングワイヤ41のない構成も考えられる。また、配線板10と配線板20との間のボンディングワイヤ42のない構成も考えられる。一般には、これら3者間相互にボンディングワイヤ接続を行えば、ボンディングワイヤが配線の一部として機能するため、配線板10、配線板20でのパターン等の設計自由度はより向上する。
【0038】
図2は、図1中に示した配線板10の具体的構成例を模式的に示す断面図である。図2において、図1中に示した構成要素と同一のものには同一符号を付してある。図1に示した撮像素子モジュールで使用の配線板10は、この図2に示される構成のものには限られない。しかし、例示として説明する。図2では、図1では図示省略されたソルダーレジスト17、18と、配線板10の内部構造とが示されている。
【0039】
配線板10は、ランド11、12を含む表面の配線パターン、ランド13を含む裏面の配線パターン、内層の配線層141、同161、絶縁層14、同15、同16、層間接続体14a、同15a、同16a、ソルダーレジスト17、同18を有する。したがって、この配線板10は、絶縁層14、15、16によって隔てられる配線層が4つ存在する4層基板である。
【0040】
絶縁層14、15、16は、それぞれ、例えばガラスエポキシ樹脂でできたリジッドな層である。ランド11、12を含む表面の配線パターン、ランド13を含む裏面の配線パターン、および内層の配線層141、161は、それぞれ、例えば、銅箔を周知のフォトリソグラフィ技術で所望にパターニング加工して得られた層である。層間接続体14a、15a、16aは、それぞれ、絶縁層14、15、16を貫通して配線パターン間に挟設された導電性組成物の接続体であり、これにより、縦方向の電気的接続路として機能する。ソルダーレジスト17、18は、はんだまたはボンディングワイヤが接続され得るランド上を除いて絶縁層14または絶縁層16上に全面的に形成された保護膜である。
【0041】
製造プロセスを概略説明すると、はじめに、ランド13を含む配線パターン、配線層141、絶縁層14、層間接続体14aを有する部分積層体と、ランド11、12を含む配線パターン、配線層161、絶縁層16、層間接続体16aを有する部分積層体とがそれぞれ形成される。前者の方の部分積層体で言うと、まず、配線層141とすべき銅箔上に層間接続体14aとすべき、ペースト状の導電性組成物(樹脂中に微細な例えば銀粒子を分散させた組成)をバンプ状に印刷形成する。
【0042】
続いて、導電性組成物を乾燥、硬化させ、この導電性組成物のバンプを貫通させるように、絶縁層14とすべきプリプレグを上記銅箔上に積層する。そして、貫通したバンプの頭部にかぶせるように、ランド13を含む配線パターンとすべき、別の銅箔を上記プリプレグ上に積層する。さらに、その状態で積層方向に圧縮加圧、加熱してプリプレグを硬化させて一体化し絶縁層14を中心とする部分積層体に仕上げる。そのあと、その部分積層体の両面の銅箔をパターニングし、ランド13を含む配線パターン、および配線層141を形成する。ランド11、12を含む配線パターン、配線層161、絶縁層16、層間接続体16aを有する部分積層体についても同様に形成できる。
【0043】
絶縁層14を中心とする部分積層体においては、両面の銅箔のパターニングに続いて、配線層141上の所定位置に、層間接続体15aとすべき、ペースト状の導電性組成物をバンプ状に印刷形成する。続いて、この導電性組成物を乾燥、硬化させ、この導電性組成物のバンプを貫通させるように、絶縁層15とすべきプリプレグをこの部分積層体上に積層する。
【0044】
そして、貫通したバンプの頭部にかぶせるように、上記で述べた後者の方の部分積層体を絶縁層15とすべきプリプレグ上に積層する。さらに、その状態で積層方向に圧縮加圧、加熱して絶縁層15とすべきプリプレグを硬化させて一体化し3層の絶縁層を有する積層体を得る。その後、ソルダーレジスト17、18の層をこの積層体両面に形成し、図2に示すような配線板10に仕上げる。
【0045】
なお、ランド11、12を含む表面の配線パターン、およびランド13を含む裏面の配線パターンについては、そのパターニングを後者の積層(全体の積層)のあとに行うこともできる。また、ランド11、12、13上には、ボンディング接続などの他金属との接続に適するように表面にNi/Auのめっき処理を行うのが適当である。
【0046】
このような配線板10は、縦方向の電気的接続路が、導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とするものであり、例えば、スルーホールを利用するめっき層による縦方向の電気的接続路より小さな領域に形成可能である。したがって、配線板10として複雑な配線を必要とする場合であっても、配線板10をより小型にまとめることができる。
【0047】
次に、図3は、図1中に示した配線板20の具体的構成例を模式的に示す断面図である。図3において、図1中に示した構成要素と同一のものには同一符号を付してある。図1に示した撮像素子モジュールで使用の配線板20は、この図3に示される構成のものには限られない。しかし、例示として説明する。図3では、図1では図示省略されたソルダーレジスト261、262と、配線板20の内部構造とが示されている。
【0048】
配線板20は、ランド21を含む表面の配線パターン、裏面の配線パターン221、内層の配線層222、同223、同224、同225、絶縁層201、同202、同203、同204、同205、層間接続体231、同232、同234、同235、スルーホール導電体233、ソルダーレジスト261、同262を有する。また、板内埋設で配線層222にはんだ251を介して実装された表面実装型受動素子部品241を有し、さらに、表面の配線パターン上にも表面実装型受動素子部品22がはんだ22aを介して実装されている。この配線板20は、絶縁層201〜205によって隔てられる配線層が6つ存在する6層基板である。
【0049】
絶縁層201〜205は、それぞれ、例えばガラスエポキシ樹脂でできたリジッドな層である。ランド21を含む表面の配線パターン、裏面の配線パターン、および内層の配線層222〜225は、それぞれ、例えば、銅箔を周知のフォトリソグラフィ技術で所望にパターニング加工して得られた層である。層間接続体231、232、234、235は、それぞれ、絶縁層201、202、204、205を貫通して配線パターン間に挟設された導電性組成物の接続体であり、これにより、縦方向の電気的接続路として機能する。
【0050】
さらに、ソルダーレジスト261、262は、はんだまたはボンディングワイヤが接続され得るランド上を除いて絶縁層201または絶縁層205上に全面的に形成された保護膜である。スルーホール導電体233は、絶縁層203を貫通するスルーホールの内壁面に銅めっき層として形成された縦方向の電気的接続路である。
【0051】
この配線板20の製造プロセスは、導電性組成物の層間接続体231、232、234、235を用いている点で前述した配線板10と類似する点が多い。主な違いは、配線層数の違いおよび部品241の内蔵についてである。
【0052】
はじめに、ランド21を含む配線パターン、配線層225、絶縁層205、層間接続体235を有する第1の部分積層体と、配線層221、配線層222、絶縁層201、層間接続体231を有する第2の部分積層体と、配線層223、配線層224、絶縁層203、スルーホール導電体233を有する第3の部分積層体とがそれぞれ形成される。第1、第2の部分積層体については、図2での部分積層体の説明と同様の要領で形成できる。第3の部分積層体については、通常の両面銅張り基板にスルーホールを形成し、その内壁面に銅のめっき層を成長させてスルーホール導電体233とし、形成することができる。
【0053】
なお、実際には、生産性を考慮して、上記各部分積層体は、同一構成の配線板20を多数並べて同時に大量製造すべく大型の板状で構成されている。
【0054】
第1の部分積層体上には、図2における層間接続体15a、絶縁層15と同様の要領で、層間接続体234、絶縁層(プリプレグ段階)204を形成する。また、第3の部分積層体上にも、図2における層間接続体15a、絶縁層15と同様の要領で、層間接続体232、絶縁層(プリプレグ段階)202を形成する。その後、第3の部分積層体には、部品241の位置に合わせて開口を形成しておく。
【0055】
第2の部分積層体上には、配線層222上所定位置に部品241をはんだ251を用いて実装する。これには、通常の部品表面実装と同様に、例えば、はんだ251とすべきクリームはんだのスクリーン印刷、部品241のマウンタによる載置、クリームはんだのリフローという手順を採用できる。
【0056】
その後、上記の第2(下)、第3(中)、第1(上)の部分積層体を重ねて配置しプレス機で加圧・加熱する。これにより、絶縁層202とすべきプリプレグおよび絶縁層204とすべきプリプレグが完全に硬化して全体が一体化し、5層の絶縁層を有する積層体を得る。この一体化では加熱により得られる各プリプレグの流動性により、部品241の周りの空間およびスルーホール導電体233内部の空間には各プリプレグが変形進入し空隙は発生しない。また、配線層222、224は、層間接続体232、234にそれぞれ電気的に接続される。
【0057】
その後、ソルダーレジスト261、262の層をこの積層体両面に形成する。さらに、部品22を通常の表面実装プロセスを実行して実装し、図3に示すような配線板20(ただしこの段階では個片化される前であり被覆層23が未形成)に仕上げる。なお、ランド21を含む表面の配線パターン、および裏面の配線パターンについては、そのパターニングを全体の積層のあとに行うこともできる。また、ランド21上には、ボンディング接続に適するように表面にNi/Auのめっき処理を行うのが適当である。
【0058】
次に、個々の配線板20にすべく個片化を行う。例えば、積層完成後の大型の板からルータあるいはダイサーを用いて個片化する。そして、個片化配線板の端面に被覆層23を形成する。被覆層23の形成は、被覆層23が上面上のランド21の表面上には形成されないように注意して行う。
【0059】
このためには、例えば、ソルダーレジスト用の硬化前の樹脂を規定の深さで張った容器中に、個片化配線板を浸漬する。このとき、硬化前樹脂の規定の深さにより、個片化配線板の端面には樹脂が及び上面には樹脂が及ばないようになっている。そして、容器中から個片化配線板を引き上げ、端面上に付着の樹脂を熱硬化あるいは紫外線硬化させる。なお、個片化配線板の下面上は、浸漬により樹脂が残留してもランド21のような被覆不可の部位がないので問題はない。
【0060】
樹脂による被覆層23は、あるいは、硬化前の樹脂をはけやロールを用いて直接に個片化配線板の端面に塗布するようにし、その後、塗布された樹脂を熱硬化または紫外線硬化させて形成することもできる。個片化配線板の端面上への樹脂層形成は通常の配線板では例がないと考えられるが、製造効率や形成層品質を考慮し、考えられる方法から適当なものを選ぶのが好ましい。
【0061】
図3に示す構造の配線板20は、縦方向の電気的接続路が、一部を除き導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とするものであり、小さな領域に形成可能である。したがって、配線板20として複雑な配線を必要とする場合であっても、配線板20をより小型にまとめることができる。また、部品241の内蔵により、部品の実装密度を向上しており、小さな面積により多くの部品を実装することができる。よって、モジュールとしての2次元的な大きさを支配している配線板10に部品実装されなければならない事態をさらに回避することができ、モジュールとしてのさらなる小型化に貢献する。
【0062】
次に、本発明の別の実施形態に係る撮像素子モジュールについて図4を参照して説明する。図4は、別の実施形態に係る撮像素子モジュールの構成を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した図中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。その部分は加えて述べるべき事項がない限り説明を省略する。
【0063】
この実施形態では、固体撮像素子チップ30上に設ける配線板20Aとして、その端面に被覆層が当初は形成されていないものを使用している。被覆層は、配線板20Aを固体撮像素子チップ30上に固定するための接着層61Aを利用して形成する。すなわち、この被覆層は、配線板20Aと固体撮像素子チップ30の非受光部との間に設けられる接着層61Aがはみ出して、配線板20Aの端面との濡れ性および表面張力によりこの端面上を這い上がって形成されたものである。
【0064】
このような被覆層は、固体撮像素子チップ30の非受光部上または配線板20Aの下面上に、量および粘度をコントロールしてあらかじめ硬化前の液状の接着剤(接着性樹脂)を塗っておき、その後、配線板20Aを固体撮像素子チップ30の非受光部上に載置することで形状形成できる。形状形成のあと、これを例えば100℃程度に加熱して硬化させる。100℃は通常の熱硬化性樹脂の硬化温度より低いが、これは、固体撮像素子チップ30へのダメージを確実に避けるためである。
【0065】
この実施形態は、被覆層23を形成する工程を別個のものとして設ける必要がなく、固体撮像素子チップ30上に配線板20Aを固定する工程の一環として同時に被覆層を形成することができるので、製造効率を向上することができる。配線板20Aの上面上に被覆層の形成が及ぶのを避けるためには、上記のようにあらかじめ塗る接着剤の量および粘度をコントロールすることのほか、配線板20Aを固体撮像措置チップ30上に載置するときの速度や押し付ける力を一定にすると好ましい。
【符号の説明】
【0066】
10…配線板(第1の配線板)、11…ランド(第1のランド)、12…ランド(第1のランド)、13…ランド(第3のランド)、14…絶縁層、14a…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とする)、15…絶縁層、15a…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とする)、16…絶縁層、16a…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とする)、17…ソルダーレジスト、18…ソルダーレジスト、20、20A…配線板(第2の配線板)、21…ランド(第2のランド)、22…表面実装型受動素子部品、22a…はんだ、23…被覆層、30…固体撮像素子チップ、31…受光部、32…端子パッド、41…ボンディングワイヤ、42…ボンディングワイヤ、51…レンズ、52…レンズ保持部、61…接着層、61A…接着層(はみ出しあり)、141…配線層(配線パターン)、161…配線層(配線パターン)、201…絶縁層、202…絶縁層、203…絶縁層、204…絶縁層、205…絶縁層、221…配線層(配線パターン)、222…配線層(配線パターン)、223…配線層(配線パターン)、224…配線層(配線パターン)、225…配線層(配線パターン)、231…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とする)、232…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とする)、233…スルーホール導電体、234…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、235…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とする)、241…表面実装型受動素子部品(基板内蔵部品)、251…はんだ、261…ソルダーレジスト、262…ソルダーレジスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と該第1の面に対向する第2の面とを有し、第1のランドを有する第1の配線パターンを前記第1の面側に備えた第1の配線板と、
受光部と端子パッドを含む非受光部とを有する機能面を有し、該機能面が前記第1の配線板の側とは反対の側に向けられて前記第1の配線板の前記第1の面上に設けられた固体撮像素子チップと、
第1の面と該第1の面に対向する第2の面とを有し、第2のランドを有する第2の配線パターンを前記第1の面側に備え、前記第2の面から前記第1の面に至る端面上に被覆層を備え、前記第2の面の側が前記固体撮像素子チップの側に向けられて該固体撮像素子チップの前記非受光部上に設けられた第2の配線板と、
前記固体撮像素子チップの前記端子パッドと前記第1の配線板の前記第1のランドおよび/または前記第2の配線板の前記第2のランドとを電気的に接続するボンディングワイヤと
を具備することを特徴とする撮像素子モジュール。
【請求項2】
前記第2の配線板の前記被覆層が、樹脂の層であることを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項3】
前記第2の配線板が、接着層を介して前記固体撮像素子チップの前記非受光部上に固着されており、
前記第2の配線板の前記被覆層が、該第2の配線板と前記固体撮像素子チップの前記非受光部との間の前記接着層がはみ出して前記端面に這い上がり形成されていること
を特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項4】
前記固体撮像素子チップの前記受光部に対向して設けられたレンズを含むレンズユニットをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項5】
前記第1の配線板の前記第1のランドと前記第2の配線板の前記第2のランドとを電気的に接続する第2のボンディングワイヤをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項6】
前記第2の配線板が、前記第1の面上に、または埋め込まれて部品が実装された配線板であることを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項7】
前記第1の配線板が、該第1の配線板の前記第2の面に外部接続用の第3のランドを有する第3の配線パターンを備えることを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項8】
前記第1の配線板が、導電性組成物を有する縦方向の電気的接続路を備えることを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。
【請求項9】
前記第2の配線板が、導電性組成物を有する縦方向の電気的接続路を備えることを特徴とする請求項1記載の撮像素子モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−3961(P2011−3961A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143168(P2009−143168)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】