説明

撮像装置、カメラ、車両及び撮像方法

【課題】光源などの高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去できる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る撮像装置は、短い露光時間で被写体20を撮像することにより短時間露光画像133を生成する撮像素子102と、短時間露光画像133に含まれるフレア成分を示す予測フレア135を生成する予測フレア生成部111と、短時間露光画像133から予測フレア135を減算することにより差分画像136を生成する予測フレア減算部112と、差分画像136を増幅することにより増幅画像137を生成する増幅部113とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、カメラ、車両及び撮像方法に関し、特に、撮像した画像に含まれるフレア成分を低減する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像光学系では、被写体に明るい部分があると、明るい部分の周囲に光の広がりが見えてくる現象がある。特に、この光の広がりにより像を結ばない現象をフレアと言う。
【0003】
フレアは光学特性により常に生じている。しかしながら、通常はフレアの値が小さく、映像を見るユーザがフレアの影響を感じられる程度ではない。しかし、光源などの非常に明るい被写体(以下、「高輝度被写体」と記す。)が撮像された場合には、映像を見るユーザに、フレアの影響が顕著に目につくようになる。
【0004】
特に、視界補助用の車載カメラ等の撮像装置では夜間などに対向車等のヘッドライトが撮像されるシーンが多くある。このような場合、入射光の多重反射が発生することにより、映像にフレアが発生する。具体的には、対物レンズの回折の影響と、組み合わせレンズ同士での多重反射と、レンズと鏡筒とによる多重反射と、レンズと撮像素子とによる多重反射と、撮像素子のカバーガラスと撮像素子とによる多重反射などのカメラの光学系での光の反射がフレアの原因である。
【0005】
発生したフレアにより、明るい部分のまわりに光が重なり、特に暗い部分が運転者に見えづらくなる。これにより、暗い部分に人又は物が存在する場合であっても、運転者は、当該人又は物を認識できない。つまり、フレアは車載カメラにおいて安全性を著しく低下させる原因となる。
【0006】
これに対して、撮像した画像に含まれるフレアを低減する撮像装置が知られている(特許文献1〜3参照。)。
【0007】
以下、従来のフレアを低減する特許文献1〜3に記載の撮像装置について説明する。
【0008】
特許文献1記載の撮像装置は、所定の光学条件において生じるフレアの映像パターンモデルを予め記憶する。特許文献1記載の撮像装置は、撮像された画像における強い光の部分の明るさと形状とを推定し、予め記憶させておいた映像パターンモデルから疑似的に予測フレアを生成する。特許文献1記載の撮像装置は、実際にフレアの生じている元の画像から疑似的に発生させた予測フレアを減算する。これにより、特許文献1記載の撮像装置は、画像に含まれるフレアを実用上問題無い程度まで補正、及び軽減できる。
【0009】
さらに、特許文献1記載の撮像装置は、2種類の露光時間で撮像した画像を用いてフレアを除去する。具体的には、特許文献1記載の撮像装置は、短い露光時間で撮像した画像に含まれる一定値以上の輝度を持つ画素を利用して予測フレアを生成する。特許文献1記載の撮像装置は、長い露光時間で撮像した画像から、生成した予測フレアを減算する。これにより、特許文献1記載の撮像装置は、長い露光時間で撮像した画像のフレアを低減できる。さらに、特許文献1記載の撮像装置は、短い露光時間の電子シャッター調整を画像処理部に備えることで、短い露光時間で撮像する画像の感度を適切に調整できる。
【0010】
また、特許文献2及び特許文献3には、予測フレアの生成方法について記載されている。
【0011】
特許文献2記載の撮像装置は、撮像画像の画素に対してコンボリューションを行い、予測フレアを生成する。特許文献2記載の撮像装置は、一定値以上の輝度を有する全ての画素に対してコンボリューション処理を行う(特許文献2の段落番号0018参照。)。これにより、特許文献2記載の撮像装置は、予測フレアを高速に処理できる。また、特許文献2記載の撮像装置は、3種類の露光時間で撮像した画像を用いて予測フレアを生成する。特許文献2記載の撮像装置は、最も露光時間の長い画像から、生成した予測フレアを減算することにより、フレアを除去する。
【0012】
また、特許文献3記載の撮像装置は、一定値以上の輝度を持つ画素を検出する。特許文献3記載の撮像装置は、検出した画素を基点として予測フレアを生成する(特許文献3の図4、図6及び図7参照。)。
【特許文献1】特許第3372209号公報
【特許文献2】特開平11−122539号公報
【特許文献3】特開2005−167485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1〜3記載の撮像装置は、非常に強く明るい光源等の高輝度被写体を撮像した場合には、フレアのない画像を復元できない。高輝度被写体を撮像した場合、高輝度被写体の周囲の画素において電荷が飽和する。よって、飽和している画素(以下、「飽和画素」と記す。)では、暗部の信号が消失する。これにより、撮影された画像から予測フレアを減算したとしても、暗部の信号は復元されない。よって、特許文献1〜3記載の撮像装置は、高輝度被写体を撮像した場合には、フレアのない画像を復元できない。
【0014】
図13は、特許文献1〜3記載の従来の撮像装置により画像処理された画像及び輝度の分布を示す図である。図13(a)は、光源がない場合の画像を示す図である。図13(b)は、光源が有り、かつ予測フレアを減算していない画像を示す図である。図13(c)は、光源が有り、かつ予測フレアを減算した画像を示す図である。
【0015】
図13(d)、図13(e)及び図13(f)は、それぞれ図13(a)、図13(b)及び図13(c)の横方向の断面における輝度の分布を示す図である。
【0016】
図13(e)に示すように、光源の周辺部では、輝度が非常に高く、画素が飽和している。これにより、光源の周辺部に存在する物体の信号は、完全に消失する。そのため、図13(c)に示すように、予測フレアを減算した画像においてフレアは除去されているが、信号が復元できない領域が発生する。すなわち、特許文献1〜3記載の撮像装置は、高輝度被写体を撮像した場合、つまり光源等の周辺画素が飽和するほど強いフレアが発生した場合、画像を復元できないという課題がある。
【0017】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、光源などの高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去できる撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、第1露光時間で被写体を撮像することにより第1画像を生成する固体撮像素子と、前記第1画像に含まれるフレア成分を示す予測フレア画像を生成する予測フレア生成部と、前記第1画像から前記予測フレア画像を減算することにより差分画像を生成する減算部と、前記差分画像を増幅することにより増幅画像を生成する増幅部とを備える。
【0019】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、フレアを除去した差分画像を増幅する。これにより、本発明に係る撮像装置は、第1露光時間を通常の露光時間より短い露光時間とした場合でも、通常の露光時間の画像と同程度の輝度を有する画像を生成できる。つまり、本発明に係る撮像装置は、飽和画素を含まない短い露光時間の画像から、予測フレアを減算する。これにより、本発明に係る撮像装置は、高輝度被写体の周辺画素を復元できる。つまり、本発明に係る撮像装置は、高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去できる。
【0020】
また、前記固体撮像素子は、さらに、前記第1露光時間より長い第2露光時間で前記被写体を撮像することにより第2画像を生成し、前記撮像装置は、さらに、前記増幅画像の第1領域の画像を抽出することによりフレア領域画像を生成する抽出部と、前記第2画像から、当該第2画像における前記第1領域の画像を除外することにより除外画像を生成する除外部と、前記フレア領域画像と、前記除外画像とを合成する合成部とを備え、前記第1領域は、前記第1画像において前記フレア成分が含まれる領域であってもよい。
【0021】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、フレアが除去された高輝度被写体の周辺の画像以外に、通常の露光時間(第2露光時間)の画像を用いる。よって、第1露光時間の画像を増幅することにより生じる画質の劣化を最小限に抑えられる。
【0022】
また、前記増幅部は、前記第1露光時間と前記第2露光時間との比に応じて前記差分画像を増幅してもよい。
【0023】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、増幅画像の輝度を第2露光時間で撮像された第2画像の輝度と同程度にできる。
【0024】
また、前記抽出部は、フレア成分の中心からの距離に反比例する関数であり、フレア成分の輝度を0から1までの値に規格化したフレア領域関数を前記増幅画像に乗算することにより前記フレア領域画像を生成してもよい。
【0025】
この構成によれば、合成部により合成された画像において、フレアが含まれる領域とそれ以外の領域との境界における画像の変化を滑らかにできる。
【0026】
また、前記除外部は、1から前記フレア領域関数を減算した関数であるフレア領域除外関数を前記第2画像に乗算することにより前記除外画像を生成してもよい。
【0027】
この構成によれば、合成部により合成された画像において、フレアが含まれる領域とそれ以外の領域との境界における画像の変化を滑らかにできる。
【0028】
また、前記予測フレア生成部は、前記第1画像を分割した複数の領域毎に、第1の値以上の輝度を有する第1画素の重心を算出する重心算出手段と、前記複数の領域毎に、前記重心を中心としたフレア成分を示す分割予測フレア画像を算出する分割予測フレア算出部と、前記複数の領域毎に算出された前記分割予測フレア画像を合成することにより前記予測フレア画像を生成する予測フレア合成部とを備えてもよい。
【0029】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、第1画像を分割した領域単位で予測フレア生成処理を行う。これにより、画素毎に予測フレア生成処理を行う場合に比べ、処理時間を低減できる。
【0030】
また、前記分割予測フレア算出部は、前記複数の領域毎に、前記重心からの距離に反比例する関数であり、フレア成分の輝度を示す予測フレア関数に、当該領域に含まれる前記第1画素の数を乗算することにより前記分割予測フレア画像を算出してもよい。
【0031】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、フレア関数と第1画素の数を用いて、各領域におけるフレア成分の輝度を容易に算出できる。
【0032】
また、前記固体撮像素子は、2次元状に配置され、入射光を信号電圧に変換する複数の画素と、前記画素毎に、前記信号電圧が参照電圧より大きいか否かを判定する電圧判定部とを備え、前記撮像装置は、さらに、前記電圧判定部により前記信号電圧が前記参照電圧より大きいと判定された画素の数を数えるカウンタ部とを備え、前記カウンタ部により数えられた画素の数が第2の値より大きい場合に、前記予測フレア生成部は前記予測フレア画像を生成し、前記減算部は前記差分画像を生成し、前記増幅部は前記増幅画像を生成してもよい。
【0033】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、撮像した画像に高輝度被写体が含まれる場合にのみ、フレアを除去する処理を行う。
【0034】
また、前記固体撮像素子は、前記カウンタ部により数えられた画素の数が前記第2の値より大きい場合に、前記第1露光時間を短くする露光時間調整部を備えてもよい。
【0035】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、第1露光時間で撮像した画像に飽和画素が含まれないように当該第1露光時間を自動的に調整できる。
【0036】
また、前記固体撮像素子は、さらに、前記カウンタ部により数えられた画素の数が前記第2の値より大きい場合に、第1信号を生成する信号生成部を備え、前記撮像装置は、さらに、前記露光時間調整部により短くされた第1露光時間を、前記第1信号に基づき算出する第1露光時間算出部を備え、前記増幅部は、前記第1露光時間算出部により算出された第1露光時間と前記第2露光時間との比に応じて前記差分画像を増幅してもよい。
【0037】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、固体撮像素子により生成された第1信号に基づき、増幅部の増幅率を調整できる。
【0038】
また、前記固体撮像素子は、2次元状に配置され、入射光を信号電圧に変換する複数の画素と、前記第1露光時間及び前記第2露光時間に対する前記信号電圧を相関二重サンプリングし、前記第1露光時間及び前記第2露光時間のそれぞれに対する信号を保持する相関二重サンプリング回路と、前記相関二重サンプリング回路に保持される前記第1露光時間に対する前記信号を増幅することにより前記第1画像を生成し、当該第1画像を出力する第1出力部と、前記相関二重サンプリング回路に保持される前記第2露光時間に対する前記信号を増幅することにより前記第2画像を生成し、当該第2画像を出力する第2出力部とを備えてもよい。
【0039】
この構成によれば、本発明に係る撮像装置は、2つの露光時間の画像を同時に出力できる。
【0040】
また、本発明に係るカメラは、第1露光時間で被写体を撮像することにより第1画像を生成する固体撮像素子と、前記第1画像に含まれるフレア成分を示す予測フレア画像を生成する予測フレア生成部と、前記第1画像から前記予測フレア画像を減算することにより差分画像を生成する減算部と、前記差分画像を増幅することにより増幅画像を生成する増幅部とを備える。
【0041】
この構成によれば、本発明に係るカメラは、高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去できる撮像装置を備える。よって、本発明に係るカメラは、高輝度被写体を撮像する場合でも、信号を消失することなくフレアを除去した画像を撮影できる。
【0042】
また、本発明に係る車両は、第1露光時間で被写体を撮像することにより第1画像を生成する固体撮像素子と、前記第1画像に含まれるフレア成分を示す予測フレア画像を生成する予測フレア生成部と、前記第1画像から前記予測フレア画像を減算することにより差分画像を生成する減算部と、前記差分画像を増幅することにより増幅画像を生成する増幅部とを備える。
【0043】
この構成によれば、本発明に係る車両は、高輝度被写体を撮像する場合でも信号を消失することなくフレアを除去した画像を撮影できるカメラを備える。よって、本発明に係る車両は、運転手に、高輝度被写体の周辺の信号が消失されていない画像を表示できる。よって、本発明に係る車両は、運転時の安全性を向上できる。
【0044】
また、本発明に係る撮像方法は、第1露光時間で被写体を撮像し、第1画像を出力する固体撮像素子を備える撮像装置における撮像方法であって、前記第1画像に含まれるフレア成分を示す予測フレア画像を生成する予測フレア生成ステップと、前記第1画像から前記予測フレア画像を減算することにより差分画像を生成する減算ステップと、前記差分画像を増幅することにより増幅画像を生成する増幅ステップとを含む。
【0045】
これによれば、本発明に係る撮像方法は、フレアを除去した差分画像を増幅する。これにより、本発明に係る撮像方法は、第1露光時間を通常の露光時間より短い露光時間とした場合でも、通常の露光時間の画像と同程度の輝度を有する画像を生成できる。つまり、本発明に係る撮像方法は、飽和画素を含まない短い露光時間の画像から、予測フレアを減算する。これにより、本発明に係る撮像方法は、高輝度被写体の周辺画素を復元できる。つまり、本発明に係る撮像方法は、高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去できる。
【0046】
なお、本発明は、このような撮像装置として実現できるだけでなく、撮像装置に含まれる特徴的な手段をステップとする撮像方法として実現したり、そのような特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0047】
以上より、本発明は、光源などの高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去できる撮像装置及び撮像方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明に係る撮像装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
まず、本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を説明する。
【0050】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置が搭載された車両の外観を示す斜視図である。
【0051】
図1に示す車両10は、一般的な自動車である。車両10は、車両10の前方面に撮像装置100を備える。なお、車両10は、車両10の後方面、又は横方向に撮像装置100を備えてもよい。また、車両10は、複数の撮像装置100を備えてもよい。
【0052】
撮像装置100は、運転者の視野補助に用いられる。撮像装置100は、車両10の周囲を撮像する。撮像装置100により撮像された画像は、車両10の車内のモニタ等の表示部に表示される。
【0053】
本発明の実施の形態に係る撮像装置100は、光源等の高輝度被写体の光による飽和画素を含まない短い間露光時間で撮像された画像からフレアを除去する。これにより、撮像装置100は、高輝度被写体を撮像しても信号を消失することなくフレアを除去した画像を出力できる。そのため、夜間などにおいて対向車又は周辺の車両のヘッドライトの付近に人又は物があっても、フレアによって情報がかき消されることが無い。これにより、運転者は、ヘッドライト付近の人又は物をモニタ等で確認できるので、安全性が向上する。
【0054】
図2は、撮像装置100の構成を示す図である。
【0055】
図2に示すように撮像装置100は、対物レンズ101と、撮像素子102と、タイミング発生部(TG)103と、増幅部104及び105と、AD変換部106及び107と、前処理部108及び109と、スイッチ110と、予測フレア生成部111と、予測フレア減算部112と、増幅部113と、フレア領域抽出部114と、フレア領域除外部115と、メモリ116と、データバス117と、スイッチ118と、画像合成部119と、制御部120とを備える。
【0056】
対物レンズ101は、被写体20からの光を撮像素子102に集光する。
【0057】
撮像素子102は、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子である。なお、撮像素子102は、CCDイメージセンサ等であってもよい。また、固体撮像素子102は、例えば、単一のチップに形成される半導体集積回路である。
【0058】
撮像素子102は、対物レンズ101により集光された光を撮像する。具体的には、撮像素子102は、光を電気信号(アナログ信号)に変換し出力する。また、撮像素子102は、短い露光時間で撮像した画像のアナログ信号である短時間露光信号130と、通常の長い露光時間で撮像した画像のアナログ信号である長時間露光信号131とを生成する。撮像素子102は、短時間露光信号130を増幅部104に出力し、長時間露光信号131を増幅部105に出力する。
【0059】
また、撮像素子102は、撮像した画像に光源等の高輝度被写体が含まれるか否かを示すFLG信号132を生成し、制御部120に出力する。具体的には、FLG信号132は、長時間露光信号131に飽和画素が所定の数以上あるか否かを示す信号である。例えば、FLG信号132がアクティブの場合、撮像した画像に高輝度被写体が含まれることを示し、FLG信号132が非アクティブの場合、撮像した画像に高輝度被写体が含まれないことを示す。
【0060】
タイミング発生部103は、撮像素子102を駆動するタイミングを制御する信号を生成する。
【0061】
増幅部104は、短時間露光信号130を増幅する。増幅部105は、長時間露光信号131を増幅する。
【0062】
AD変換部106は、増幅部104により増幅された短時間露光信号130を、デジタル信号に変換する。AD変換部107は、増幅部105により増幅された長時間露光信号131を、デジタル信号に変換する。
【0063】
前処理部108は、AD変換部106により変換されたデジタル信号に、画素補間処理、色処理及びガンマ処理等の前処理を行い、短時間露光画像133を生成する。前処理部109は、AD変換部107により変換されたデジタル信号に、画素補間処理、色処理及びガンマ処理等の前処理を行い、長時間露光画像134を生成する。
【0064】
スイッチ110及び118は、フレアを除去する処理を行うか否かを選択するスイッチである。
【0065】
具体的には、スイッチ110及び118は、前処理部108により生成された短時間露光画像133を、直接、画像合成部119に出力するか、予測フレア生成部111、予測フレア減算部112、増幅部113、及びフレア領域抽出部114を経由して画像合成部119に出力するかを選択する。また、スイッチ110及び118は、前処理部109により生成された長時間露光画像134を、直接、画像合成部119に出力するか、フレア領域除外部115を経由して画像合成部119に出力するかを選択する。
【0066】
スイッチ110及び118は、フレアを除去する処理を行わない場合、短時間露光画像133及び長時間露光画像134を直接、画像合成部119に出力する。スイッチ110及び118は、フレアを除去する処理を行う場合、短時間露光画像133を予測フレア生成部111に出力し、長時間露光画像134をフレア領域除外部115に出力する。
【0067】
予測フレア生成部111は、短時間露光画像133から予測フレア135を生成する。予測フレア135は、短時間露光画像133に含まれるフレア成分を示す画像であり、フレア成分を仮想的に算出した画像である。ここで、フレア成分とは、高輝度被写体から発生される光の多重反射により生じる光の成分であり、高輝度被写体の周辺に生じる光の成分である。
【0068】
予測フレア減算部112は、短時間露光画像133から予測フレア135を減算することにより画像136を生成する。
【0069】
増幅部113は、短時間露光画像133と長時間露光画像134との露光時間の比に応じた倍率で画像136を増幅することにより画像137を生成する。
【0070】
フレア領域抽出部114は、画像137からフレア領域の画像138を抽出する。フレア領域は、短時間露光画像133において、フレア成分が含まれていた領域である。つまり、フレア領域は、高輝度被写体から発生される光の多重反射により生じる光の成分が含まれていた領域であり、高輝度被写体の周辺の領域である。
【0071】
フレア領域除外部115は、長時間露光画像134からフレア領域の画像を除外することにより画像139を生成する。
【0072】
メモリ116は、予測フレア生成部111、予測フレア減算部112、フレア領域抽出部114及びフレア領域除外部115により生成された画像及び処理途中のデータ等を保持する記録部である。
【0073】
データバス117は、メモリ116と、予測フレア生成部111、予測フレア減算部112、フレア領域抽出部114及びフレア領域除外部115との間のデータ転送に用いられるバスである。
【0074】
画像合成部119は、フレアを除外する処理が行われない場合には、短時間露光画像133と長時間露光画像134を合成することにより画像140を生成する。また、画像合成部119は、フレアを除外する処理が行われた場合には、画像138と画像139とを合成することにより画像140を生成する。
【0075】
画像合成部119により生成された画像140は、車両10の車内のモニタ等の表示部に表示される。
【0076】
制御部120は、FLG信号132に基づき、スイッチ110及び118の選択を制御する。具体的には、制御部120は、FLG信号132が非アクティブの場合には、フレアを除去する処理を行わないように、スイッチ110及び118を制御する。制御部120は、FLG信号132がアクティブの場合には、フレアを除去する処理を行うように、スイッチ110及び118を制御する。
【0077】
また、制御部120は、FLG信号132に基づき、短い露光時間と、長い露光時間との比を算出し、算出した比を増幅部113に通知する。
【0078】
次に、撮像装置100の動作を説明する。
【0079】
図3は、撮像装置100による撮像動作の流れを示すフローチャートである。
【0080】
まず、撮像素子102は、被写体20を撮像する(S101)。
【0081】
具体的には、被写体20からの光は対物レンズ101を介して集光され、撮像素子102に入射される。
【0082】
図4は、撮像素子102の構造を示す断面図である。図4に示すように、撮像素子102は、半導体パッケージ151と、半導体チップ152と、カバーガラス153とを備える。
【0083】
半導体パッケージ151は、開口部を有し、内部に半導体チップ152が配置される。半導体チップ152は、イメージセンサである。
【0084】
カバーガラス153は、半導体パッケージ151の開口部側に配置される。
【0085】
対物レンズ101により集光された入射光154は、カバーガラス153を透過し、半導体チップ152に入射される。
【0086】
被写体20が強い光源である場合、半導体チップ152表面で、入射光154は反射する。反射した入射光154は、カバーガラス153及び対物レンズ101等で反射される。カバーガラス153で反射された多重反射光155が再び半導体チップ152に入射される。また、対物レンズ101で反射された多重反射光156が再び半導体チップ152に入射される。この多重反射光155及び156がフレアとなり、撮像された画像は、被写体20を正確に映した画像ではなくなる。特にフレアが強ければ光源周囲の被写体情報は消失してしまう。
【0087】
撮像素子102は、このような強い光が入射した場合、FLG信号132をアクティブにする。
【0088】
また、撮像素子102は、フレアにより画素が飽和しないような短い露光時間で撮像した短時間露光信号130と、通常の長い露光時間で撮像した長時間露光信号131とを出力する。なお、撮像素子102の詳細な構成及び動作については後述する。
【0089】
短時間露光信号130は、増幅部104により増幅された後、AD変換部106によりデジタル信号に変換される。また、長時間露光信号131は、増幅部105により増幅された後、AD変換部107によりデジタル信号に変換される。
【0090】
なお、ここでは、増幅部104及び105と、AD変換部106及び107による処理を撮像素子102の外部で行っているが、撮像素子102の内部で行ってもよい。具体的には、増幅部104及び105を撮像素子102内のカラムアンプに置き換え、AD変換部を撮像素子102内のカラムAD変換器に置き換えてもよい。すなわち、一般的に知られているデジタル出力の撮像素子のように撮像素子102内でデジタル化を行う構成であってもよい。
【0091】
前処理部108は、AD変換部106により変換されたデジタル信号にデジタル画像処理を行い、短時間露光画像133を生成する。前処理部109は、AD変換部107により変換されたデジタル信号にデジタル画像処理を行い、長時間露光画像134を生成する(S102)。
【0092】
具体的には、前処理部108及び109は、撮像素子102が単板式撮像素子である場合は、画素補間を行う。端版式撮像素子は、ベイヤー配列等の原色配列のカラーフィルタ、又はその他の補色配列のカラーフィルタを備える。また、前処理部108及び109は、各画素から、遮光膜に覆われた画素群の平均値を差分するOB(黒レベル)差分処理を行う。
【0093】
前処理部108及び109は、画素補間を行うために数行分のラインメモリを備える。ラインメモリの行数は画素補間時に参照される画素情報の領域の広さに応じて決定される。また、前処理部108及び109は、ホワイトバランス等で照明環境等の色温度補正を行う。また、前処理部108及び109は、カラーフィルタの透過率を理想の透過率へ近づける補正である行列演算等を行う。通常画素補間以外は一括して線形処理が可能であるために、前処理部108及び109は、1回の行列演算で通常画素補間以外の処理を行う。
【0094】
図5は、短時間露光画像133及び長時間露光画像134の一例、及び輝度分布を示す図である。図5(a)は、短時間露光画像133の画像例を示す図であり、図5(b)は、長時間露光画像134の画像例を示す図である。図5(c)は図5(a)の短時間露光画像133における輝度分布を示す図であり、図5(d)は図5(b)の長時間露光画像134における輝度分布を示す図である。
【0095】
図5に示すように短時間露光画像133及び長時間露光画像134では、中心の光源からの距離に反比例する乱反射成分がフレアとして広がっている。
【0096】
また、図5(a)及び図5(c)に示すように、短時間露光画像133では、光源の輝度に比べ低い輝度であるがフレア成分が存在している。
【0097】
一方、図5(b)及び図5(d)に示すように、長時間露光画像134では、蓄積時間が長いために光源に近い周辺部では、画素出力が、回路飽和レベルを超えている。これにより仮にこの光源周囲に人、又は物などが存在していた場合、当該人、又は物の信号は飽和したフレアによってかき消されてしまう。
【0098】
次に、制御部120は、FLG信号132に基づき、長時間露光画像134に所定の数以上の飽和画素が含まれるか否かを判定する(S103)。
【0099】
長時間露光画像134に所定の数以上の飽和画素が含まれている場合、つまり高輝度被写体を撮像した場合(S103でYes)、制御部120は、スイッチ110及び118を制御することにより、短時間露光画像133を予測フレア生成部111に入力し、長時間露光画像134をフレア領域除外部115に入力する。
【0100】
予測フレア生成部111は、短時間露光画像133から予測フレア135を生成する(S104)。
【0101】
以下、予測フレアの生成処理(S104)について詳細に説明する。
【0102】
図6は、予測フレア生成部111による予測フレア生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0103】
図7は、予測フレア生成部111による予測フレア生成処理を説明するための図である。図7に示すように、短時間露光画像133は、輝度が一定値以下の画素である画素200と、輝度が一定値以上の画素である画素201とを含む。画素201は、長時間露光画像134における飽和画素に対応する画素であり、画素200は、長時間露光画像134における飽和画素以外の画素に対応する画素である。
【0104】
まず、予測フレア生成部111は、領域マスク202の単位で予測フレアを生成する。つまり、予測フレア生成部111は、短時間露光画像133を分割した複数の領域毎に、仮想的なフレア成分である予測フレアを生成する。
【0105】
例えば、領域マスク202は、図7に示すように、5×5画素のサイズである。なお、領域マスク202は、10×10画素などのサイズであってもよい。また、領域マスク202の縦と横との比は1対1でなくともよい。領域マスク202のサイズを大きくすることにより、処予測フレア生成部111の処理量をより削減できるが、生成される予測フレアの精度は減少する。
【0106】
予測フレア生成部111は、領域マスク202をサイズ刻みで短時間露光画像133を走査する。
【0107】
以下、図7(a)に示す領域マスク202に含まれる領域に対する予測フレア生成部111による予測フレアの生成処理を説明する。
【0108】
まず、予測フレア生成部111は、領域マスク202内に画素201が存在するか否かを判定する(S201)。画素201が存在する場合(S201でYes)、予測フレア生成部111は、領域マスク202内に含まれる画素201の重心を数1及び数2を用いて算出する。
【0109】
【数1】

【0110】
【数2】

【0111】
ここで、Gxは重心のx座標、Gyは重心のy座標、Mxは座標xの輝度、Myは座標yの輝度、nは領域マスク202のサイズである。なお、予測フレア生成部111は、数1及び数2に示すように、領域マスク202内の全ての画素の座標及び輝度から重心を算出しているが、処理量を削減するために、画素201の座標及び輝度から重心を算出してもよい。また、予測フレア生成部111は、さらに処理量を削減するために、画素201の座標のみから重心を算出してもよい。
【0112】
図7(c)は、図7(a)に示す領域マスク202に含まれる領域に対して生成された予測フレアを示す図である。
【0113】
予測フレア生成部111は、数1及び数2を用いて、図7(c)に示す重心204を算出する(S202)。
【0114】
予測フレア生成部111は、算出した重心204を中心として、予測フレア関数を用いて、予測フレア205を算出する(S203)。予測フレア関数は、各画素におけるフレア成分の輝度を示す関数である。また、予測フレア関数は、重心204からの距離に反比例する関数である。
【0115】
ここで、フレアの形状は対物レンズ101等の光学レンズ、撮像素子102上に作製されるマイクロレンズ、及び半導体チップ152を保護するカバーガラス153などの光学特性によって変化する。具体的には、当該光学特性とは、透過率、反射率及び光の散乱具合などである。このため、予測フレア関数の導出は実験的に求めるなどの調整が必要である。
【0116】
フレアは図4に示すように半導体チップ152の表面での反射とカバーガラス153での再反射とにより発生する現象である。よって、予測フレア関数は、厳密には、数3で表される。
【0117】
【数3】

【0118】
ここで、I_Dは、フレアにより所定の画素に入力される光の輝度であり、I_Iは、光源等から入射される光の輝度であり、R1は半導体チップ152の反射率であり、R2はカバーガラス153の反射率であり、Nは多重反射の回数である。
【0119】
ここで、反射毎に、光が拡散されるとし、かつ一回の反射毎に1画素分、光が重心204から離れるとすると、重心204から画素までの距離r=Nと近似できる。よって、予測フレア関数は、数4で表される。
【0120】
【数4】

【0121】
反射率R1及びR2は、1以下の値であるので、フレアにより画素に入力される光の輝度は、重心204からの距離に反比例する。
【0122】
なお、予測フレア生成部111は、厳密には数4で表される式を用いて予測フレアを生成することが好ましいが、処理量を削減するために、数4に表される式を簡略化した式を用いてもよい。つまり、予測フレア生成部111は、重心204からの距離に反比例する予測フレア関数を用いればよい。
【0123】
また、予測フレア生成部111は、光学レンズ、マイクロレンズ及びカバーガラス等の形状に応じて数4を変形させた式を用いてもよい。また、予測フレア生成部111は、短時間露光画像133の露光時間、又は、短時間露光画像133と長時間露光画像134との露光時間の比に応じて数4を変形させた式を用いてもよい。
【0124】
予測フレア生成部111は、数4を用いて算出された予測フレアに対して、領域マスク202内に含まれる画素201の数を乗算する。例えば、図7(a)の例では、飽和画素数は3であるので、予測フレア生成部111は、数4で算出された予測フレアを3倍することにより、図7(c)に示す予測フレア205を算出する。
【0125】
短時間露光画像133の全ての領域に対して予測フレア生成処理(S201〜S203)が終了していないので、予測フレア生成部111は、領域マスク202を走査する(S205)。例えば、図7(b)に示すように、予測フレア生成部111は、横方向に領域マスク202を走査する。
【0126】
予測フレア生成部111は、走査された領域マスク202の領域に対して、ステップS201〜S203の処理を行う。
【0127】
例えば、図7(b)に示す例では、領域マスク202内に画素201が存在するので(S201でYes)、予測フレア生成部111は、図7(d)に示す重心206を算出し(S202)、予測フレア207を算出する(S203)。
【0128】
以降、予測フレア生成部111は、ステップS201〜S203の処理を短時間露光画像133の全ての領域に対して領域マスク202の単位で行う。
【0129】
また、領域マスク202内に飽和画素がない場合(S201でNo)、予測フレア生成部111は、予測フレア算出(S202及びS203)を行わず、領域マスク202を走査する(S205)。
【0130】
短時間露光画像133の全ての領域に対して予測フレア生成処理(S201〜S203)が終了すると(S204でYes)、予測フレア生成部111は、領域マスク202単位で算出された予測フレア205及び206を合成する(S206)。予測フレア生成部111は、領域マスク202単位で算出された予測フレア205及び206等を合成することにより、例えば、図7(e)に示す予測フレア135を生成する。
【0131】
以上のように、予測フレア生成部111は、領域マスク202単位で予測フレアの生成処理(S201〜S203)を行う。よって、画素毎に予測フレアを生成する場合に比べて、処理速度を改善できる。
【0132】
再び図3を参照し説明を続ける。
【0133】
予測フレア生成処理(S104)の後、予測フレア減算部112は、短時間露光画像133から、予測フレア生成部111により生成され予測フレア135を減算することにより画像136を生成する(S105)。
【0134】
次に、増幅部113は、短時間露光画像133と長時間露光画像134との露光時間の比に応じた倍率で画像136を増幅することにより画像137を生成する(S106)。これにより、短い露光時間の短時間露光画像133から生成された画像137の輝度は、通常の露光時間の長時間露光画像134の輝度と同程度になる。例えば、長い露光時間(通常露光時間)と、短い露光時間との比を各画素の輝度値に乗算することにより、画像137の輝度は、長時間露光画像134の輝度と同程度になる。なお、増幅部113による増幅方法は線形増幅であっても、輝度に応じた対数的な増幅であってもよい。
【0135】
また、増幅部113で用いられる増幅率は、制御部120により指定される。制御部120は、FLG信号132に基づき増幅率を算出する。なお、制御部120による増幅率の算出処理の詳細は後述する。
【0136】
図8は、予測フレア減算部112及び増幅部113の処理を説明するための図である。
【0137】
図8(c)は、撮像装置100により予測フレア135の減算及び増幅が行われた画像137の例を示す図である。また、図8(a)及び図8(b)は比較のための図である。図8(a)は、長時間露光画像134の画像例を示す。図8(b)は、予測フレア135を減算せずに増幅のみを行った場合の画像例を示す図である。
【0138】
図8(a)及び図8(b)に示す長時間露光画像134及び画像210では、光源周辺の画素が飽和しているので物体の一部が見えない。
【0139】
一方、図8(c)に示すように、予測フレア135の減算及び増幅が行われた画像137では、光源周辺の画像が復元されている。また、増幅された画像137は、長時間露光画像134と同程度の輝度を有している。
【0140】
次に、フレア領域抽出部114は、画像137からフレア領域の画像138を抽出する(S107)。また、フレア領域除外部115は、長時間露光画像134からフレア領域の画像を除外することにより画像139を生成する(S108)。
【0141】
次に、画像合成部119は、画像138と画像139とを合成することにより画像140を生成する(S109)。
【0142】
図9は、フレア領域抽出部114、フレア領域除外部115及び画像合成部119の処理を説明するための図である。
【0143】
図9に示すように、フレア領域抽出部114は、画像137にフレア領域関数220を乗算することにより、画像138を生成する。フレア領域関数220は、予測フレア生成部111で生成された予測フレア関数を0から1までの値に規格化した関数である。これにより、フレア領域抽出部114は、フレア領域(光源周辺の領域)の信号のみを抽出した画像138を生成する。
【0144】
なお、フレア領域関数220は、予測フレア生成部111で生成された予測フレア関数を補正したうえで、0から1までの値に規格化した関数であってもよい。また、フレア領域関数220は、予測フレア生成部111で生成された予測フレア関数と異なる関数であり、各画素におけるフレア成分の輝度を0から1までの値に規格化した関数であってもよい。
【0145】
また、フレア領域除外部115は、長時間露光画像134にフレア領域除外関数221を乗算することにより、画像139を生成する。フレア領域除外関数221は、1からフレア領域関数220を減算した関数であり、値は0から1である。これにより、フレア領域除外部115は、長時間露光画像134からフレア領域の信号を除外した画像139を生成する。
【0146】
ここで、小数の計算はハードウェアでは難しいが、一般的なハードウェアでの計算と同様に2のべき乗を掛けた後計算し、最後に2のべき乗で除算することにより小数の計算を行えばよい。
【0147】
画像合成部119は、画像138と画像139とを合成することにより、フレアのない画像140を生成する。
【0148】
一方、高輝度被写体が無く、長時間露光画像134に飽和画素が含まれていない場合(S103でNo)、制御部120は、スイッチ110及び118を制御することにより、短時間露光画像133及び長時間露光画像134を画像合成部119に入力する。
【0149】
次に、画像合成部119は、短時間露光画像133と長時間露光画像134とを合成することにより画像140を生成する(S109)。これにより、撮像装置100は、画像140のダイナミックレンジを広げることができる。また、撮像装置100は、フレア除去する信号処理モードと、ダイナミックレンジを広げる信号処理モードとの二つのモードを自動的に選択できる。
【0150】
なお、撮像装置100は、短時間露光画像133又は長時間露光画像134と、画像合成部119との経路に挿入される遅延素子を備えてもよい。これにより、短時間露光画像133と長時間露光画像134とのフレーム速度をあわせることができる。
【0151】
以上により、本発明の実施の形態に係る撮像装置100は、フレアの影響を低減した画像140を生成できる。
【0152】
また、撮像装置100は、短時間露光画像133を用いて予測フレア135を生成し、短時間露光画像133から予測フレア135を減算する。図5に示すように、長時間露光画像134でフレアにより画像信号が飽和している場合でも、短時間露光画像133では、画像信号が飽和していないので、撮像装置100は、フレア領域の画像信号の情報を復元できる。
【0153】
また、従来の撮像装置のように、予測フレア生成処理を画素毎で行う場合、光源等の高輝度被写体が多く存在し、飽和画素が多くなれば、飽和画素数に比例して処理時間が長くなる。一方、撮像装置100は、領域マスク202単位で予測フレア生成処理を行う。これにより、飽和画素(画素201)の数の増加による処理時間の増加を抑制できる。
【0154】
また、撮像装置100は、短時間露光画像133からフレアを除去した画像136を増幅する。これにより、短時間露光画像133の輝度を長時間露光画像134と同程度にできる。
【0155】
さらに、撮像装置100は、光源周辺の領域に関しては、短時間露光画像133からフレアの除去及び増幅が行われた画像137を用い、光源周辺以外の領域に関しては、長時間露光画像134を用いる。これにより、短時間露光画像133を用いることによる、画質の劣化を抑制できる。
【0156】
以下、撮像素子102の構成及び動作を詳細に説明する。
【0157】
図10は、撮像素子102の構成を示す図である。
【0158】
図10に示すように撮像素子102は、画素アレー300と、CDS回路310と、センスアンプ320と、水平シフトレジスタ330と、出力アンプ331A及び331Bと、電源電圧駆動回路332と、マルチプレクサ333と、垂直シフトレジスタ334と、電子シャッターシフトレジスタ335と、短時間露光用シフトレジスタ336と、参照電圧生成回路337と、駆動回路338と、カウンタ339と、出力アンプ340と、負荷抵抗回路341とを備える。
【0159】
画素アレー300は、2次元状に配置された単位画素である複数の画素セル301A、301B及び301Cを備える。なお、画素セル301A、301B及び301Cを特に区別しない場合には、画素セル301と記す。また、図10において、説明の簡略化のため3行×1列の3個の画素セル301のみを示しているが画素セル301の数は任意でよい。また、画素セル301は、行及び列方向に配置されているとする。
【0160】
画素セル301は、入射光を信号電圧に変換し、変換した信号電圧を信号線slに出力する。画素セル301Aは、フォトダイオード302と、転送トランジスタ303と、リセットトランジスタ304と、アンプトランジスタ305とを備える。なお、画素セル301B及び301Cの構成も同様である。また、画素セル301の構成は、図10に示す構成に限定されるものではなく、画素セル301は、光電変換するフォトダイオードと、画素内アンプ機能と、転送ゲート機能と、リセットゲート機能とを有する構成であればよい。
【0161】
画素セル301A、301B及び301Cは、同一の列(図中の縦方向)に配置される。
【0162】
信号線sl及び電源電圧線vdは、列方向に配置される画素セル301A〜301Cに共通に接続される。制御線re1〜re3及びtran1〜tran3は、画素セル301A〜301Cのそれぞれに接続される。また、制御線re1〜re3及びtran1〜tran3は、同一の行(図中の横方向)の画素セル301に対して共通に接続される。
【0163】
CDS回路310は、相関二重サンプリング回路である。CDS回路310は、複数のCDSセル311を備える。CDSセル311は、画素セル301の列ごとに配置される。なお、図10では簡単のため1つのCDSセル311のみを示している。
【0164】
CDSセル311は、短い露光時間及び長い露光時間に対する信号電圧を相関二重サンプリングし、短い露光時間及び長い露光時間のそれぞれに対する信号を保持する。
【0165】
各CDSセル311は、トランジスタ312、314、315A、315B、317A及び317Bと、容量313、316A及び316Bとを備える。
【0166】
ここで、単一の露光時間の信号に対応した通常のCDSセルは、直列に接続された2つの容量を備える。通常のCDSセルでは、暗信号が入力されている期間に2つの容量の中間ノードが基準電圧にバイアスされる。その後、通常のCDSセルでは、明信号が入力され中間ノードの電圧変化分が読み取られる。
【0167】
本発明の実施の形態に係る撮像素子102は、短時間露光信号130及び長時間露光信号131を同時に出力するために、3つの容量313、316A及び316Bを備える。
【0168】
容量313は、直列容量の前段の容量である。容量313は、短い露光時間の信号を読み出す場合と、長い露光時間の信号を読み出す場合とで共通に使用される。
【0169】
容量316Aは、長い露光時間の信号を読み出す場合の直列容量の後段の容量である。容量316Bは、短い露光時間の信号を読み出す場合の直列容量の後段の容量である。
【0170】
トランジスタ312は、信号線slとCDSセル311とを導通させる入力トランジスタである。トランジスタ312は制御線shの信号によりオン/オフが切り替えられる。
【0171】
トランジスタ314は、直列容量の中間ノードを、基準電圧線avに印加される基準電圧にするためのスイッチである。トランジスタ314は制御線ncclの信号によりオン/オフが切り替えられる。
【0172】
トランジスタ315A及び315Bは、容量313と、容量316A及び316Bのうち一方との接続を切替えるスイッチである。トランジスタ315A及び315Bは制御線sel1及びsel2の信号によりオン/オフが切り替えられる。
【0173】
トランジスタ317Aは、容量316Aに保持される信号を信号線hsl1に出力するためのスイッチである。トランジスタ317Bは、容量316Bに保持される信号を信号線hsl2に出力するためのスイッチである。トランジスタ317A及び317Bは、制御線hselの信号によりオン/オフが切替えられる。
【0174】
また、制御線sh、nccl、sel1及びsel2は、複数のCDSセル311に共通に接続される。
【0175】
水平シフトレジスタ330は、外部からのクロック信号及びトリガ信号に基づき、画素セル301の列を順次選択する一般的な回路である。水平シフトレジスタ330は、それぞれの列に対応する複数の制御線hselをアクティブにすることにより列を選択する。水平シフトレジスタ330は、選択した列のCDSセル311に保持される信号を信号線hsel1及びhsel2に出力させる。
【0176】
参照電圧生成回路337は、参照電圧を生成し、参照電圧線refに生成した参照電圧を出力する。
【0177】
出力アンプ331A及び331Bは、それぞれ信号線hsel1及びhsel2に出力された信号を増幅し、増幅した信号を長時間露光信号131及び短時間露光信号130として出力パッドに出力する。
【0178】
センスアンプ320は、複数のセンスアンプセル321を備える。センスアンプセル321は、複数のCDSセル311のそれぞれに対応して配置される。なお、図10では簡単のため1つのセンスアンプセル321のみを示している。
【0179】
センスアンプセル321は、各画素セル301で撮像された画像が飽和しているか否かを判定する。具体的には、センスアンプセル321は、信号線shに出力された短い露光時間の信号電圧が、参照電圧線refの参照電圧より大きいか否かを判定する。センスアンプセル321は、判定結果を信号線trに出力する。ここで参照電圧線refの参照電圧は、長い露光時間で画素セル301が飽和する信号電圧に対応する、短い露光時間での信号電圧である。
【0180】
センスアンプセル321は、トランジスタ322A、322B及び324と、インバータ323A及び323Bとを備える。なお、センスアンプセル321の構成は、図10に示す構成に限定されるものではなく、信号線shに出力された短い露光時間の信号電圧が参照電圧以上であるか否かを判定する回路であればよい。
【0181】
電源電圧駆動回路332は、電源電圧線vdを駆動する駆動回路である。
【0182】
負荷抵抗回路341は、画素セル301内のアンプトランジスタ305の負荷回路を水平方向へアレー化した回路である。
【0183】
垂直シフトレジスタ334は、長時間露光用の行ごとの駆動パルスを順次出力する。電子シャッターシフトレジスタ335は、電子シャッター用の垂直シフトレジスタである。短時間露光用シフトレジスタ336は、短時間露光用の行ごとの駆動パルスを順次出力する短時間露光用の垂直シフトレジスタである。
【0184】
マルチプレクサ333は、垂直シフトレジスタ334、電子シャッターシフトレジスタ335及び短時間露光用シフトレジスタ336から出力される制御信号を選択し、選択した制御信号を制御線re1〜re3及びtran1〜tran3に出力する。
【0185】
駆動回路338は、センスアンプ320と、CDS回路310とを駆動するためのドライバ等を含む回路である。駆動回路338は、制御線sh、nccl、sel1及びsel2に制御信号を出力する。また、駆動回路338は、基準電圧線avに基準電圧を供給する。
【0186】
カウンタ339は、センスアンプ320により信号線trに出力された信号を検知して飽和画素の数をカウントする。具体的には、カウンタ339は、センスアンプ320により、信号線shに出力された信号電圧が、参照電圧線refの参照電圧より大きいと判定された画素の数を数える。
【0187】
カウンタ339は、基準ビット数以上のカウントがあればFLG信号132をアクティブにする。ここで、基準ビット数は、画像に高輝度被写体が含まれる場合に生じる飽和画素数の最低値である。つまり、画像に含まれる飽和画素が基準ビット数以下の場合には、フレアの影響は少ないので、撮像装置100はフレア除去処理を行わない。
【0188】
また、カウンタ339は、短時間露光用シフトレジスタ336へFLG信号132を送信する。アクティブなFLG信号132を受信した短時間露光用シフトレジスタ336は、飽和画素がなくなるようにシャッター時間を短くする。つまり、撮像素子102は、短時間露光信号130に飽和画素がなくなるように内部で自動的にシャッター時間を切り替える。
【0189】
出力アンプ340は、カウンタ339により出力されたFLG信号132を増幅し、増幅したFLG信号132を出力パッドに出力する。
【0190】
次に、撮像素子102の動作を説明する。
【0191】
図11は、撮像素子102における電子シャッターの制御を示す図である。図11はフォトダイオード302に蓄積される蓄積電荷量を示す図である。図11に示すように、電子シャッターシフトレジスタ335は、1フレーム期間において、各行に対して、長い露光時間T0と、短い露光時間T1とで信号電荷が蓄積されるように電子シャッターを制御する。
【0192】
図12は、撮像素子102の動作を示すタイミングチャートである。図12に示すタイミングチャートは、水平同期信号の1周期分を示している。また、図12に示すタイミングチャートは、画素セル301Bから長い露光時間の信号が読み出され、画素セル301Cから短い露光時間の信号が読み出される例を示す。
【0193】
フォトダイオード302で蓄積された電荷を読み出す前のタイミングt0で電源電圧線vdに電源電圧が印加される。
【0194】
次にタイミングt1で制御線re1、tran1、re2、sh、nccl及びsel1がアクティブになる。撮像素子102は、タイミングt1で、3つの動作を同時に開始し駆動時間の短縮を実現している。3つの動作とは、1つは画素セル301Aと同じ行の画素セル群に対して、制御線re1と制御線tran1とを同時にアクティブにすることにより、当該画素セル群の個々のフォトダイオード302に蓄積された電荷をリセットする動作である。2つ目の動作は、画素セル301Bと同じ行の画素セル群に対して、アンプトランジスタ305のゲート電圧を電源電圧にセットする動作である。
【0195】
3つ目の動作は、CDS回路310を初期化する動作である。具体的には、制御線shがアクティブとなることで、トランジスタ312がオンする。これにより信号線slとCDSセル311とが導通する。また、制御線sel1がアクティブとなることで、トランジスタ315Aがオンする。これにより、容量313と容量316Aとが接続される。また、制御線ncclがアクティブとなることで、トランジスタ314がオンする。これにより、容量313と容量316Aとの中間ノードの電位が、基準電圧線avにより供給される基準電圧にセットされる。
【0196】
次に、タイミングt2で制御線ncclが非アクティブになり、基準電圧線avの基準電圧と、容量313と容量316Aとの中間ノードとが切り離される。つまり、当該中間ノードに基準電圧分の電荷が充電される。
【0197】
次に、タイミングt3で制御線tran2がアクティブになり、画素セル301Bと同じ行にある画素セル301内の転送トランジスタ303がオンされる。その後、タイミングt4で制御線tran2が非アクティブになり、転送トランジスタ303がオフされる。
【0198】
これにより、アンプトランジスタ305のゲート電圧がフォトダイオード302に蓄積された電荷量に応じて変化する。アンプトランジスタ305はゲート電圧に応じて信号線slの電圧を変化させる。信号線slが変化することにより、CDS回路310では有効になっている容量313と容量316Aとの中間ノードの電圧が信号線slの電圧に応じて変化する。結果的に、画素セル301Bと同一の行にある画素セル301の蓄積電荷に応じた電圧が有効になっている容量313と容量316Aとの中間ノードに現れる。
【0199】
次に、タイミングt5で制御線sel1が非アクティブとなり、トランジスタ315Aがオフする。その結果、容量316Aに、画素セル301Bの長い露光時間に対応する電荷が蓄積される。
【0200】
タイミングt6で制御線shが非アクティブとなり、トランジスタ312がオフする。これにより、信号線slとCDSセル311とが切り離される。
【0201】
次に、タイミングt7で制御線re2がアクティブとなり、タイミングt8で電源電圧線vdが接地電位になる。これにより、画素セル301Bと同一行の画素セル301のアンプトランジスタ305のゲート電圧が接地電圧に戻る。
【0202】
以上の動作により、画素セル301Bに蓄積された長い露光時間の信号電荷に対応する電荷が容量316Aに保持される。
【0203】
次に、撮像素子102は、タイミングt0からタイミングt8までの動作と同様の動作を、画素セル301Cと同一の行の画素セル301に対してタイミングt9からタイミングt12で行う。
【0204】
具体的には、タイミングt9で電源電圧線vdに電源電圧が印加される。
【0205】
次に、制御線re3、sh、nccl及びsel2がアクティブになる。これにより、画素セル301Cと同じ行の画素セル群に対して、アンプトランジスタ305のゲート電圧が電源電圧にセットされる。また、CDS回路310が初期化される。
【0206】
次に、制御線tran3がアクティブになり、画素セル301Cと同じ行にある画素セル301内の転送トランジスタ303がオンされる。その後、制御線tran3が非アクティブになり、転送トランジスタ303がオフされる。
【0207】
これにより、画素セル301Cと同一の行にある画素セル301の蓄積電荷に応じた電圧が有効になっている容量313と容量316Bとの中間ノードに現れる。
【0208】
次に、制御線sel2が非アクティブとなり、トランジスタ315Bがオフする。その結果、容量316Bに、画素セル301Cの短い露光時間に対応する電荷が蓄積される。
【0209】
次に、制御線re3がアクティブとなり、次に、タイミングt12で電源電圧線vdが接地電位になる。これにより、画素セル301Cと同一行の画素セル301のアンプトランジスタ305のゲート電圧が接地電圧に戻る。
【0210】
以上の動作により、画素セル301Cに蓄積された短い露光時間の信号電荷に対応する電荷が容量316Bに保持される。
【0211】
一方、タイミングt10からタイミングt11の期間で、制御線ssがアクティブになる。これにより、センスアンプ320が駆動される。具体的には、トランジスタ322A及び322Bがオンされる。よって、クロスカップル結合されたインバータ323A及び323Bが互いの出力電圧をフィードバックすることにより、信号線slの電圧と参照電圧線refの参照電圧とが差動増幅される。これにより、信号線slの電圧と参照電圧線refの参照電圧とを比較され、信号線slの電圧が参照電圧よりも大きい場合、ノードn1は接地電圧となり、信号線slの電圧が参照電圧よりも小さい場合、ノードn1は電源電圧になる。つまり、画素セル301Cが飽和画素の場合、ノードn1は接地電圧になり、画素セル301Cが飽和画素でない場合、ノードn1は電源電圧になる。
【0212】
次に、タイミングt13で水平シフトレジスタ330が駆動され、制御線hselがアクティブになる。これにより、トランジスタ317A、317B及び324がオンする。
【0213】
トランジスタ317Aがオンすることにより、容量316Aに保持される電荷が信号線hsl1の配線寄生容量と容量分配される。出力アンプ331Aは、容量分配された電圧を増幅する。出力アンプ331Aは増幅した電圧である長時間露光信号131を出力する。
【0214】
また、トランジスタ317Bがオンすることにより、容量316Bに保持される電荷が信号線hsl2の配線寄生容量と容量分配される。出力アンプ331Bは、容量分配された電圧を増幅する。出力アンプ331Bは増幅した電圧である短時間露光信号130を出力する。
【0215】
また、トランジスタ324がオンすることにより、センスアンプセル321に蓄積された2値データがカウンタ339に順次送信される。カウンタ339は、複数のセンスアンプセル321から順次送信される2値データのうちLレベル(接地電圧)の2値データの数をカウントする。つまり、カウンタ339は飽和画素の数をカウントする。
【0216】
カウンタ339は1フレーム分の飽和画素をカウントした後、カウント値が、設定された基準ビット数以上であるか否かを判定する。カウンタ339は、カウント値が基準ビット数以上である場合、FLG信号132をアクティブにする。つまり、カウンタ339は、光源等の高輝度被写体が撮像されている場合に、FLG信号132をアクティブする。出力アンプ340はFLG信号132を増幅し出力パッドに出力する。
【0217】
また、FLG信号132は短時間露光用シフトレジスタ336に入力される。アクティブなFLG信号132を受信した短時間露光用シフトレジスタ336は、短い露光時間を短くする方向へシフトレジスタの位相をずらす。これにより、例えば、図11に示すように短い露光時間は時間T2となる。また、短時間露光用シフトレジスタ336は、非アクティブなFLG信号132を受信した場合、短い露光時間を長くする方向へシフトレジスタの位相をずらす。なお、短時間露光用シフトレジスタ336は、一定以上は短い露光時間が長くならないような制限を設けている。
【0218】
また、制御部120は、FLG信号132に基づき、短い露光時間と長い露光時間との比を算出する。つまり、制御部120は、FLG信号132の論理に応じて、短時間露光用シフトレジスタ336により変更された短い露光時間を算出し、算出した短い露光時間と長い露光時間との比を算出する。
【0219】
算出された比は、増幅部113に通知される。増幅部113は、通知された比に応じた増幅率で画像136の輝度を増幅する。
【0220】
なお、撮像素子102は、FLG信号132とは別に、短い露光時間を示す情報を出力してもよい。この場合、制御部120は、当該情報に基づき、短い露光時間と長い露光時間との比を算出する。
【0221】
以上より、撮像素子102は、異なる露光時間で被写体20を撮像することにより短時間露光信号130及び長時間露光信号131を出力できる。
【0222】
また、撮像素子102は、光源等の高輝度被写体を検出した場合にアクティブとなるFLG信号132を出力する。これにより、撮像装置100は、FLG信号132を用いて、撮像素子102から出力される画像に高輝度被写体が含まれるか否かを判定できる。
【0223】
さらに、撮像素子102は、FLG信号132を用いて、短い露光時間と長い露光時間との比を自動的に制御する機能を実現できる。これにより、撮像素子102は、短い露光時間の画像信号が飽和しないように自動的に制御できる。
【0224】
以上、本発明の実施の形態に係る撮像装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0225】
例えば、上記説明では、単一の撮像素子102で短時間露光信号130及び長時間露光信号131を生成しているが、2つの撮像素子でそれぞれ短時間露光信号130及び長時間露光信号を生成してもよい。
【0226】
また、上記説明では、本発明に係る撮像装置の例として車両10に搭載される車載カメラを例に説明したが、本発明に係る撮像装置は、監視カメラ及びデジタルビデオカメラ等に適用してもよい。この場合でも、上記説明と同様に、本発明に係る撮像装置は、高輝度被写体を撮像した場合のフレアの影響を低減できる。
【0227】
また、本発明は、静止画を撮影するデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0228】
本発明は、撮像装置に適用でき、特に、車両に搭載される車載カメラ等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置が搭載された車両の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る撮像装置による撮像動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る撮像素子の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る短時間露光画像及び長時間露光画像の一例、及び輝度分布を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る予測フレア生成部による予測フレア生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る予測フレア生成部による予測フレア生成処理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る予測フレア減算部及び増幅部の処理を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るフレア領域抽出部、フレア領域除外部及び画像合成部の処理を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る撮像素子の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る撮像素子における電子シャッターの制御を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る撮像素子の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】従来の撮像装置により画像処理された画像及び輝度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0230】
10 車両
100 撮像装置
101 対物レンズ
102 撮像素子
103 タイミング発生部
104、105 増幅部
106、107 AD変換部
108、109 前処理部
110、118 スイッチ
111 予測フレア生成部
112 予測フレア減算部
113 増幅部
114 フレア領域抽出部
115 フレア領域除外部
116 メモリ
117 データバス
119 画像合成部
120 制御部
130 短時間露光信号
131 長時間露光信号
132 FLG信号
133 短時間露光画像
134 長時間露光画像
135 予測フレア
136、137、138、139、140 画像
151 半導体パッケージ
152 半導体チップ
153 カバーガラス
154 入射光
155、156 多重反射光
200、201 画素
202 領域マスク
204、206 重心
205、207 予測フレア
210 画像
220 フレア領域関数
221 フレア領域除外関数
300 画素アレー
301、301A、301B、301C 画素セル
302 フォトダイオード
303 転送トランジスタ
304 リセットトランジスタ
305 アンプトランジスタ
310 CDS回路
311 CDSセル
312、314、315A、315B、317A、317B トランジスタ
313、316A、316B 容量
320 センスアンプ
321 センスアンプセル
322A、322B、324 トランジスタ
323A、323B インバータ
331A、331B 出力アンプ
332 電源電圧駆動回路
333 マルチプレクサ
334 垂直シフトレジスタ
335 電子シャッターシフトレジスタ
336 短時間露光用シフトレジスタ
337 参照電圧生成回路
338 駆動回路
339 カウンタ
340 出力アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1露光時間で被写体を撮像することにより第1画像を生成する固体撮像素子と、
前記第1画像に含まれるフレア成分を示す予測フレア画像を生成する予測フレア生成部と、
前記第1画像から前記予測フレア画像を減算することにより差分画像を生成する減算部と、
前記差分画像を増幅することにより増幅画像を生成する増幅部とを備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記固体撮像素子は、さらに、前記第1露光時間より長い第2露光時間で前記被写体を撮像することにより第2画像を生成し、
前記撮像装置は、さらに、
前記増幅画像の第1領域の画像を抽出することによりフレア領域画像を生成する抽出部と、
前記第2画像から、当該第2画像における前記第1領域の画像を除外することにより除外画像を生成する除外部と、
前記フレア領域画像と、前記除外画像とを合成する合成部とを備え、
前記第1領域は、前記第1画像において前記フレア成分が含まれる領域である
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記増幅部は、前記第1露光時間と前記第2露光時間との比に応じて前記差分画像を増幅する
ことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記抽出部は、フレア成分の中心からの距離に反比例する関数であり、フレア成分の輝度を0から1までの値に規格化したフレア領域関数を前記増幅画像に乗算することにより前記フレア領域画像を生成する
ことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記除外部は、1から前記フレア領域関数を減算した関数であるフレア領域除外関数を前記第2画像に乗算することにより前記除外画像を生成する
ことを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記予測フレア生成部は、
前記第1画像を分割した複数の領域毎に、第1の値以上の輝度を有する第1画素の重心を算出する重心算出手段と、
前記複数の領域毎に、前記重心を中心としたフレア成分を示す分割予測フレア画像を算出する分割予測フレア算出部と、
前記複数の領域毎に算出された前記分割予測フレア画像を合成することにより前記予測フレア画像を生成する予測フレア合成部とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記分割予測フレア算出部は、前記複数の領域毎に、前記重心からの距離に反比例する関数であり、フレア成分の輝度を示す予測フレア関数に、当該領域に含まれる前記第1画素の数を乗算することにより前記分割予測フレア画像を算出する
ことを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記固体撮像素子は、
2次元状に配置され、入射光を信号電圧に変換する複数の画素と、
前記画素毎に、前記信号電圧が参照電圧より大きいか否かを判定する電圧判定部とを備え、
前記撮像装置は、さらに、
前記電圧判定部により前記信号電圧が前記参照電圧より大きいと判定された画素の数を数えるカウンタ部とを備え、
前記カウンタ部により数えられた画素の数が第2の値より大きい場合に、前記予測フレア生成部は前記予測フレア画像を生成し、前記減算部は前記差分画像を生成し、前記増幅部は前記増幅画像を生成する
ことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項9】
前記固体撮像素子は、
前記カウンタ部により数えられた画素の数が前記第2の値より大きい場合に、前記第1露光時間を短くする露光時間調整部を備える
ことを特徴とする請求項8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記固体撮像素子は、さらに、
前記カウンタ部により数えられた画素の数が前記第2の値より大きい場合に、第1信号を生成する信号生成部を備え、
前記撮像装置は、さらに、
前記露光時間調整部により短くされた第1露光時間を、前記第1信号に基づき算出する第1露光時間算出部を備え、
前記増幅部は、前記第1露光時間算出部により算出された第1露光時間と前記第2露光時間との比に応じて前記差分画像を増幅する
ことを特徴とする請求項9記載の撮像装置。
【請求項11】
前記固体撮像素子は、
2次元状に配置され、入射光を信号電圧に変換する複数の画素と、
前記第1露光時間及び前記第2露光時間に対する前記信号電圧を相関二重サンプリングし、前記第1露光時間及び前記第2露光時間のそれぞれに対する信号を保持する相関二重サンプリング回路と、
前記相関二重サンプリング回路に保持される前記第1露光時間に対する前記信号を増幅することにより前記第1画像を生成し、当該第1画像を出力する第1出力部と、
前記相関二重サンプリング回路に保持される前記第2露光時間に対する前記信号を増幅することにより前記第2画像を生成し、当該第2画像を出力する第2出力部とを備える
ことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮像装置を備える
ことを特徴とするカメラ。
【請求項13】
請求項12記載のカメラを備える
ことを特徴とする車両。
【請求項14】
第1露光時間で被写体を撮像し、第1画像を出力する固体撮像素子を備える撮像装置における撮像方法であって、
前記第1画像に含まれるフレア成分を示す予測フレア画像を生成する予測フレア生成ステップと、
前記第1画像から前記予測フレア画像を減算することにより差分画像を生成する減算ステップと、
前記差分画像を増幅することにより増幅画像を生成する増幅ステップとを含む
ことを特徴とする撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−141813(P2009−141813A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317635(P2007−317635)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】