説明

撮像装置、表示制御方法

【課題】手動焦点調整のため、オプチカルビュー画像からエレクトリカルビュー画像に切り替えた後の、復帰タイミングをインテリジェンスに判断し、適正にオプチカルビュー画像に戻す。
【解決手段】MFモードへの移行の指示があると、液晶シャッター46が駆動して、OVF画像の下半分が遮光される。その後、EVFLCD44に、前記矩形枠19で示す焦点距離調整領域の拡大画像を表示する。フォーカスリング27によって焦点距離調整を行っているときのEVFLCD44の表示画像では、MFモード移行直後は、若干ピンボケとなっており、これをフォーカスリング27を操作することで焦点距離を調整する。このような操作がなされている途中で、復帰条件が成立すると、EVFLCD44の画像がオフとなり、かつ液晶シャッター46が全開となって、元のOVF画像に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも撮像範囲を特定して表示するファインダーであって、光学的に入力されるオプチカルビュー画像を表示するオプチカルビューファインダー(OVF)、並びに前記撮像素子によって撮像したエレクトリカルビュー画像を再生して表示するエレクトリカルビューファインダー(EVF)モードを備えた撮像装置、並びに表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学式(或いは枠式)ビューファインダー(OVF)に入射した光像と、電子ビューファインダー(EVF)によって表示された表示画像とをそれぞれハーフミラーを介して撮影者の肉眼に導く光学系を備えたファインダーが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、OVF及びEVFの長所をそれぞれ生かすことができ、鮮明なファインダー像を得ると共に撮影範囲等の情報を知ることができる。特に、ハイブリッドモードでは、OVF及びEVFが併用されることが記載されている。
【0004】
上記特許文献1において、OVF及びEVFを兼用するハイブリッドモードは、予め定められた情報を同時に表示する、所謂出力デバイスとしての機能に特化されたものである。
【0005】
また、特許文献2には、撮影レンズを介して入射される被写体からの入射光の光路を分割し、一方をファインダーで観察するための接眼レンズへ導き、他方をCCD等の撮像素子へ導く構成において、分割されて接眼レンズへと至る光路上に液晶シャッターで構成されたアイピースシャッタ(焦点板を兼用)を配置することで、選択的に接眼レンズへ画像を導くと共に、液晶シャッターを例えば情報表示デバイスとして利用して、画像と共に接眼レンズへ導くことが記載されている。
【0006】
特許文献2は、接眼レンズを覗くと、被写体画像と情報とを同時に見ることができるものの、液晶シャッターがEVFとして機能することは記載されていない。
【0007】
また、参考として、特許文献3には、ユーザーの操作に応じて、OVFからEVFへ画像表示を切り替え、記録指示又は所定操作で復帰させることが記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、再生モードから撮影(撮像)モードへ切り替える際に、前の撮影モード時のファインダー状態に戻すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−292067号公報
【特許文献2】特開2002−258352号公報
【特許文献3】特開11−220639号公報
【特許文献4】特許第4357212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記背景技術(特に、特許文献1、2)では、現状から表示状態をEVF又はOVFへ移行する時期等についての言及はない。また、特許文献3ではユーザーが所望するタイミングではない場合があり、ユーザーは表示の切り替えに違和感を持つ場合がある。
【0011】
また、特許文献4では、特に元に復帰する時期が、再生モードと撮影モードとの間であるため、ユーザーに違和感を与えることがない明確な切り替え時期ではあるが、例えば、撮影モード中における表示の切り替えタイミングについては言及されておらず、撮影モード中に画像の切り替えが必要なとき、例えば、OVF画像表示で、マニュアルフォーカス(MF)が指定されたとき、焦点距離の調整状態は、EVFでしか見ることができないため、EVFに切り替える場合がある。
【0012】
ところが、MF実行時の切り替えは、MF実行時期にOVFからEVFへ切り替えればよいが、復帰時期の自動化が確立されていない。このため、前記特許文献3に記載のように、専用の復帰操作が必要となったり、特許文献4のように極めて明確なきっかけ(再生モード←→撮影モード)が必要である。
【0013】
本発明は上記事実を考慮し、手動焦点調整のため、オプチカルビュー画像からエレクトリカルビュー画像に切り替えた後の、復帰タイミングをインテリジェンスに判断し、適正にオプチカルビュー画像に戻すことができる撮像装置、表示制御方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、少なくとも撮像素子で被写体を撮像した画像を含むエレクトリカルビュー画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されるエレクトリカルビュー画像を接眼部へ案内する光路、並びに光学的に入力される被写体のオプチカルビュー画像の何れかの単独画像を接眼部へ案内する光路を備え、何れか一方の単独画像、或いは双方の合成画像を接眼部へ案内する画像案内手段と、を備えたファインダー部と、前記ファインダー部への光路を選択する選択手段と、前記接眼部から見える画像を見ながら、撮像指示操作に基づいて撮像素子で撮像し、当該撮像した画像をデジタル画像データとして記録する撮像モード、並びに前記撮像モードによって記録した画像を再生表示する再生モードを選択的に切り替えるモード切替手段と、前記撮影モード中における撮影に関する調整を、自動又は手動で実行する調整実行手段と、前記調整実行手段の実行開始に同期して実行され、オプチカルビュー画像が表示されているファインダー部の表示形態を、エレクトリカルビュー画像に切り替えるエレクトリカルビュー画像表示制御手段と、予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる復帰制御手段と、を有している。
【0015】
また、本発明は、少なくとも撮像素子で被写体を撮像した画像を含むエレクトリカルビュー画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されるエレクトリカルビュー画像を接眼部へ案内する光路、並びに光学的に入力される被写体のオプチカルビュー画像の何れかの単独画像を接眼部へ案内する光路を備え、何れか一方の単独画像、或いは双方の合成画像を接眼部へ案内する画像案内手段と、を備えたファインダー部と、前記ファインダー部への光路を選択する選択手段と、前記接眼部から見える画像を見ながら、撮像指示操作に基づいて撮像素子で撮像し、当該撮像した画像をデジタル画像データとして記録する撮像モード、並びに前記撮像モードによって記録した画像を再生表示する再生モードを選択的に切り替えるモード切替手段と、撮像画角内の予め定められた焦点距離調整領域を対象として、焦点距離調整操作部を操作することで、前記焦点距離を調整する焦点距離調整実行手段と、前記焦点距離調整実行手段の実行開始に同期して実行され、オプチカルビュー画像が表示されているファインダー部の表示形態を、エレクトリカルビュー画像に切り替え、かつ、前記焦点距離調整領域を表示するエレクトリカルビュー画像表示制御手段と、予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる復帰制御手段と、を有している。
【0016】
本発明において、前記オプチカルビュー画像の光路を遮光する遮光手段をさらに有し、前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段による前記エレクトリカルビュー画像の表示領域を、前記遮光手段で遮光した一部の領域とすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明において、前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段により表示される前記エレクトリカルビュー画像が、前記焦点距離調整領域の拡大画像であることを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明において、前記復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断し、それぞれの項目の判断基準に対する成否を、独立した復帰条件の成立とすることを特徴としている。
【0019】
また、本発明において、前記復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断し、それぞれの項目の判断基準に対する成否が、少なくとも2以上成立した場合に、前記復帰条件の成立とすることを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明において、前記復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断し、それぞれの項目に優劣を付加し、相対的に優先度の高い項目は判断基準に対する成否を独立した復帰条件の成立とし、相対的に優先度の低い項目は少なくとも2以上成立した場合に、前記復帰条件の成立とすることを特徴としている。
【0021】
また、本発明において、前記復帰条件を成立させるための判定要素が、MFモード開始時からスタートするタイマが所定時間経過したとき、焦点距離操作部の操作が所定時間なかったとき、撮像素子に入力する明るさが所定以上変化したとき、ユーザーが前記MFモード以外の選択操作を行ったとき、ユーザーが前記接眼部を覗きこまなくなったとき、前記接眼部を覗くユーザーの目がまばたきをしたとき、撮像に関する操作があったとき、の少なくとも2以上を含むことを特徴としている。
【0022】
本発明は、少なくとも撮像素子で被写体を撮像した画像を含むエレクトリカルビュー画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されるエレクトリカルビュー画像を接眼部へ案内する光路、並びに光学的に入力される被写体のオプチカルビュー画像の何れかの単独画像を接眼部へ案内する光路を備え、何れか一方の単独画像、或いは双方の合成画像を接眼部へ案内する画像案内手段と、を備えたファインダー部と、前記ファインダー部への光路を選択する選択手段と、前記接眼部から見える画像を見ながら、撮像指示操作に基づいて撮像素子で撮像し、当該撮像した画像をデジタル画像データとして記録する撮像モード、並びに前記撮像モードによって記録した画像を再生表示する再生モードを選択的に切り替えるモード切替手段と、前記撮影モード中における撮影に関する調整を自動、又は手動で実行する調整実行手段と、を備えた撮像装置の表示制御方法であって、調整実行開始に同期して実行され、オプチカルビュー画像が表示されているファインダー部の表示形態を、エレクトリカルビュー画像に切り替えると共に、予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる、ことを特徴としている。
【0023】
本発明によれば、焦点距離調整実行手段において、撮影モード中における撮影に関する調整を自動、又は手動で実行する場合に、ファインダー部の表示形態をオプチカルビュー画像からエレクトリカルビュー画像に切り替える(エレクトリカルビュー画像表示制御手段)。
【0024】
一方、復帰制御手段では、予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる。従来は、この復帰に関する事項が確立されておらず、ユーザーの手動に頼っていた。しかしながら、復帰条件を定め、当該復帰条件が成立することで自動で復帰させるようにしたため、ユーザーに違和感を与えることなく、通常の状態(オプチカルビュー画像の表示状態)とすることができる。
【0025】
また、本発明によれば、焦点距離調整実行手段において、焦点距離調整操作部を操作して焦点距離を調整する場合に、ファインダー部の表示形態をオプチカルビュー画像からエレクトリカルビュー画像に切り替える(エレクトリカルビュー画像表示制御手段)。
【0026】
このとき、エレクトリカルビュー画像表示制御手段では、エレクトリカルビュー画像で焦点距離調整領域を表示する。これにより、ユーザーは、焦点距離調整操作部の操作による焦点距離調整状態を把握することができる。
【0027】
一方、復帰制御手段では、予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる。従来は、この復帰に関する事項が確立されておらず、ユーザーの手動に頼っていた。しかしながら、復帰条件を定め、当該復帰条件が成立することで自動で復帰させるようにしたため、ユーザーに違和感を与えることなく、通常の状態(オプチカルビュー画像の表示状態)とすることができる。
【0028】
また、オプチカルビュー画像の光路を遮光する遮光手段をさらに設け、エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示領域を、遮光手段で遮光した一部の領域としてもよい。
【0029】
さらに、エレクトリカルビュー画像表示制御手段により表示されるエレクトリカルビュー画像を、焦点距離調整領域の拡大画像としてもよい。
【0030】
本発明では、復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断する。
【0031】
このとき、それぞれの項目の判断基準に対する成否を、独立した復帰条件の成立としてもよいし、それぞれの項目の判断基準に対する成否が、少なくとも2以上成立した場合に、復帰条件の成立としてもよいし、それぞれの項目に優劣を付加し、相対的に優先度の高い項目は判断基準に対する成否を独立した復帰条件の成立とし、相対的に優先度の低い項目は少なくとも2以上成立した場合に、復帰条件の成立としてもよい。
【0032】
なお、復帰条件を成立させるための判定要素が、MFモード開始時からスタートするタイマが所定時間経過したとき、焦点距離操作部の操作が所定時間なかったとき、撮像素子に入力する明るさが所定以上変化したとき、ユーザーが前記MFモード以外の選択操作を行ったとき、ユーザーが前記接眼部を覗きこまなくなったとき、前記接眼部を覗くユーザーの目がまばたきをしたとき、撮像に関する操作があったとき、の少なくとも2以上を含むものとする。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した如く本発明では、手動焦点調整のため、オプチカルビュー画像からエレクトリカルビュー画像に切り替えた後の、復帰タイミングをインテリジェンスに判断し、適正にオプチカルビュー画像に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は本実施の形態に係るデジタルカメラの正面図、(B)は背面図である。
【図2】本実施の形態に係るデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施の形態に係るデジタルカメラにおける撮像制御系を主体として制御ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係り、MFモード時における主としてメインコントローラで実行される、EFVLCD44の表示制御のための機能ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係る、マニュアルフォーカスを指定したときに起動し、接眼部へ表示する対象を制御のための流れを示すフローチャートである。
【図6】図5のステップ160における条件判定処理制御サブルーチンを示すフロチャートである。
【図7】図5(図6)のフローチャートに基づく、EVFLCDの表示制御を遷移を一例を示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1(A)に示される如く、撮像装置としてのデジタルカメラ10の正面には、被写体像を結像させるためのレンズ12Lを備えた鏡筒12が備えられており、上面には、撮像(撮影)を実行する際にユーザーによって押圧操作されるレリーズボタン(所謂シャッター)14と、電源スイッチ16と、が備えられている。
【0036】
なお、本実施の形態に係るレリーズボタン14は、中間位置まで押下される状態(以下、「半押し状態」という。)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、「全押し状態」という。)と、の2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。
【0037】
本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、レリーズボタン14を前記半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタースピード、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き、前記全押し状態にすると撮影(撮像)が行われる。
【0038】
一方、図1(B)に示される如く、デジタルカメラ10の背面には、オプチカルビューファインダー(以下、[OVF」という)と、エレクトリカルビューファインダー(以下、「EVF」という)とが併用された接眼部18が設けられている。EVFとOVFについての詳細は後述する。なお、接眼部18に対向するように、デジタルカメラ10の正面(図1(A)参照)には、対物レンズ20が設けられている。
【0039】
また、デジタルカメラ10の背面には、撮影によって得られたデジタル画像データにより示される被写体像や各種メニュー画面、メッセージ等を表示するための背面LCD22と、撮影を行うモードである撮影モード及び撮影によって得られたデジタル画像データにより示される被写体像を背面LCD22に表示(再生)するモードである再生モードの何れかのモードに設定するために操作されるモード切替スイッチ24と、背面LCD22の表示領域における上下左右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キー及び当該4つの矢印キーの中央部に位置された決定キーの合計5つのキーを含んで構成された十字カーソルボタン26と、が備えられている。なお、入力操作系は、前記モード切替スイッチ24、十字カーソルボタン26に限定されるものではなく、背面LCD22にタッチパネル22TP(図2参照)機能を持たせるようにしてもよい。従って、必要に応じて全ての入力操作系を総称する場合、「操作部28(図2参照)」という場合がある。
【0040】
図2には、デジタルカメラ10における内部の光路構成と、撮像画像の処理を行う制御のハード資源である制御ブロック図とが示されている。
【0041】
前記鏡筒12のレンズ12Lから入射した光は、撮像素子(本実施の形態ではCCD30であるが、CMOS等でもよい)で受光され、電気信号に変換されるようになっている。入射光に応じた電気信号は、メインコントローラ32に入力され、各種処理が実行される。メインコントローラ32には、鏡筒駆動ドライバ34が接続されており、鏡筒12を光軸方向に移動させ、撮影倍率や焦点距離を変更するようになっている。
【0042】
また、メインコントローラ32には、LCDI/F36を介して、前記背面LCD22が接続されると共に、モード切替スイッチ24や十字カーソルボタン26を含む操作部28が接続されている(背面LCD22がタッチパネル機能を備える場合は、このタッチパネル22TPも含むものとする)。
【0043】
また、操作部28は、図1では省略したが、フォーカスリング27を備えており、マニュアルフォーカス(MF)モード時の焦点距離調整用の操作部として適用されるようになっている(詳細後述)。このフォーカスリング27は、本実施の形態では、その回転方向や回転量を電気的に読み取って、鏡筒12(レンズ12L)を光軸方向に駆動させるようにしているが、メカニカルに直接鏡筒12(レンズ122L)を駆動させる構造としてもよい。
【0044】
さらに、メインコントローラ32には、外部メモリI/F38(リーダ/ライタ兼用)が接続され、この外部メモリI/F38に装填されるメモリカード40へ画像データを記録したり、メモリカード40から画像データを取得する。
【0045】
ここで、本実施の形態では、メインコントローラ32に、EVF/OVFの併用ファインダー(ハイブリッドファインダー)を実現するために、LCDI/F42を介して表示部としてEVFLCD44が接続されると共に、遮光手段としての液晶シャッター46が接続されている。液晶シャッター46は、OVF画像を接眼部18へ案内するときは開放され、EVF画像のみを接眼部18へ案内するときに閉止される。
【0046】
この液晶シャッター46は、縦横に配列された画素単位で開閉可能であるが、所謂メカニカルなシャッターであってもよい。メカニカルなシャッターの場合は、接眼部18からの見える画像は、四方の辺の一つから徐々に遮光膜が出没する構成となっている。
【0047】
すなわち、図2に示される如く、デジタルカメラ10の内部において、接眼部18には、光学的に被写体画像(オプチカルビュー画像)を案内する光路48と、表示部としてのEVFLCD44に表示された画像(エレクトリカルビュー画像)を案内する光路50とが設けられ、双方の光路48、50は、前記接眼部18の手前でハーフミラー52によって一致される(同軸)ようになっている。このため、ユーザーが接眼部18を覗くと、オプチカルビュー画像とエレクトリカルビュー画像の双方を見ることが可能となっている。なお、本実施の形態では、デフォルト設定として、EVFLCD44の表示はオフとし、OVF画像のみで撮影するようになっている。
【0048】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、EVFLCD44として発光ダイオード式バックライト(以下、「LED式バックライト」という。)を備えたLCDが適用され、前記背面LCD22として光電管式バックライトを備えたLCDが適用されているが、これに限定されるものではない。
【0049】
図3には、本実施の形態に係るデジタルカメラ10における、主として撮像処理制御系の構成を説明する。
【0050】
デジタルカメラ10は、前述のレンズ12Lを含んで構成され、鏡筒駆動ドライバ34によって光軸方向へ移動する鏡筒12と、鏡筒12の光軸後方に配設されたCCD30と、相関二重サンプリング回路(以下、「CDS」という。)を含んで構成されたアナログ信号処理部54と、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)56と、所定容量のラインバッファを内蔵し、かつ入力されたデジタル画像データを後述するメモリ58の所定領域に直接記憶させる制御を行うと共に、デジタル画像データに対して各種の画像処理を行うデジタル信号処理部60と、を含んで構成されている。
【0051】
ここで、アナログ信号処理部54のCDSによる相関二重サンプリング処理は、固体撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、固体撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理である。
【0052】
一方、デジタルカメラ10は、デジタル画像データにより示される画像やメニュー画面等を背面LCD22に表示させるための信号を生成して背面LCD22に供給するLCDI/F62と、デジタル画像データにより示される画像やメニュー画面等をEVFLCD44に表示させるための信号を生成してEVFLCD44に供給するLCDI/F64と、デジタルカメラ10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)66と、主として撮影により得られたデジタル画像データを記憶するVRAM(Video RAM)により構成されたメモリ58と、スマートメディア(Smart Media(登録商標))により構成されたメモリカード40をデジタルカメラ10でアクセス可能とするための外部メモリI/F38と、所定の圧縮形式でデジタル画像データに対して圧縮処理を施す一方、圧縮処理されたデジタル画像データに対して圧縮形式に応じた伸張処理を施す圧縮・伸張処理回路68と、を含んで構成されている。
【0053】
デジタル信号処理部60、LCDI/F62、64、CPU66、外部メモリI/F38、及び圧縮・伸張処理回路34はシステムバス70を介して相互に接続されている。従って、CPU66は、デジタル信号処理部60及び圧縮・伸張処理回路68の作動の制御、背面LCD22及びEVFLCD44に対する各種情報の表示、メモリ58及びメモリカード40へのアクセスを行うことができる。
【0054】
一方、デジタルカメラ10には、主としてCCD30を駆動させるためのタイミング信号を生成してCCD30に供給するタイミングジェネレータ72が備えられており、CCD30の駆動はCPU66によりタイミングジェネレータ66を介して制御される。
【0055】
CPU66は、CCD30による撮像によって得られた画像のコントラスト値が最大となるように合焦制御を行う(TTL「Through The Lens」方式)。
【0056】
(マニュアルフォーカス時表示制御)
ここで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10においては、デフォルトがOVFであり、撮影(撮像)時に接眼部18を覗きながら、撮像画角を決める(構図を決めるとき)。このとき、撮像動作に先立って、被写体に対して、ユーザーの意志で、すなわち、手動で焦点距離を調整を実行する場合がある。
【0057】
本実施の形態のデジタルカメラ10は、通常設定として、AF(オートフォーカス)機能が働くが、ユーザーの指定によりMF(マニュアルフォーカス)機能を設定することができる(以下、「MFモード」という)。
【0058】
MFモードへの移行は、例えば、操作部28の操作により指定され、フォーカスリング27の機能がアクティブ(操作有効)となる。
【0059】
フォーカスリング27は、メインコントローラ32に接続されており、このメインコントローラ32において、焦点距離調整の操作部であり、ダイヤル式で回転方向が焦点深度の方向、回転量が焦点距離の調整量として、認識されるようになっている。
【0060】
前記メインコントローラ32では、当該認識された回転方向、回転量に基づいて、鏡筒駆動ドライバ34を介して鏡筒12を駆動し、レンズ12Lを光軸方向に移動させることで、焦点距離を調整する。
【0061】
ところで、MFモードの場合、接眼部18にOVF画像が表示されていると、フォーカスリング27による焦点距離調整量が把握できない(画像に反映されない)。
【0062】
そこで、本実施の形態では、MFモードが指定された場合、OVF画像の光路48上に配置された液晶シャッター46を駆動し、当該OVF画像の光路48の一部又は全部(本実施の形態では、一部)を遮光し、かつ、この遮光した領域に対応するEVFLCD44の表示領域に、CCD30で撮像した動画像(スルー画)を表示するようにした。なお、本実施の形態では、このスルー画は、予め登録された焦点距離調整領域を拡大した画像としている。
【0063】
上記により、接眼部18から画像を覗くと、一部がOVF画像、他の一部がEVF画像を見ることができる。なお、本実施の形態では、デジタルカメラ10の天地方向が正立状態で、上半分がOVF画像であり、下半分がEVF画像である。
【0064】
さらに、本実施の形態では、一部にEVF画像(スルー画)を表示し、マニュアルで焦点距離を調整をした後の復帰は、以下に挙げる表1の条件が成立(一部又は全部)することによって実行される。なお、表1の条件に限定されるものではない。
【0065】
【表1】

図4は、上記MFモード時における主としてメインコントローラ32で実行される、EFVLCD44の表示制御のための機能ブロック図である。なお、この図4の各ブロックは、機能的に分類したものであり、ハード構成を限定するものではない。
【0066】
操作部28は、MF領域登録処理部100、OVF→EVF表示切替指示部102、フォーカスリング操作量認識部104、復帰条件要素受付部106にそれぞれ接続されている。
【0067】
操作部28からMF領域登録処理部100へ、MF領域設定指示信号が送出されると、MF領域登録処理部100では、撮像画角内の領域における、別処理で設定された焦点距離調整領域を読み出し、当該焦点距離調整領域の情報をMF領域記憶部108へ登録する。
【0068】
操作部28による操作で、AFモード又はMFモードへの切替操作があると、操作部28からOVF→VF表示切替指示部102へAF/MF切替指示信号が送出される。
OVF→VF表示切替指示部102では、このAF/MF切替指示信号を受けると、MF領域読出部110を起動させる。MF領域読出部110では、前記MF領域記憶部108から焦点距離調整領域の情報を読み出し、当該情報をMF時EVFLCD表示制御部112へ送出する。
【0069】
また、OVF→VF表示切替指示部102では、このAF/MF切替指示信号を受けると、MF時EVFLCD表示制御部112に対して、OVF画像からEVF画像への切替(すなわち、EVFLCD44をオンさせる)指示を送出すると共に、液晶シャッター開閉制御部114に対して、シャッター閉止指示(ここでは、一部閉止)を送出する。液晶シャッター開閉制御部114では、シャッター閉止指示に基づき、液晶シャッター46を制御して、予め設定された領域(ここでは、画角の下半分の領域)を遮光する。
【0070】
MF時EVFLCD表示制御部112では、EVFLCD44のオンにより、撮像モード時の撮像に関する制御を司る、撮像モード制御部116を介して、前記MF領域読出部110で読み出した焦点距離調整領域の情報に基づいて、CCD30の撮像画像データを取得し、LCDI/F42を介して、EVFLCD44へ焦点距離調整領域の拡大画像を表示する。なお、本実施の形態では、液晶シャッター46による閉止領域と同等の領域を表示領域として、それ以外は黒表示とする。この表示は、「MFモード時の特別な表示状態」ということができる。
【0071】
ここで、MFモード時は、フォーカスリング27を操作すると、この操作量が前記フォーカスリング操作量認識部104で認識され、認識された情報は、焦点距離調整部118へ送出される。
【0072】
焦点距離調整部118は、鏡筒ドライバ34を制御して、鏡筒12(レンズ12L)を光軸方向へ移動し、焦点距離を調整する。なお、このフォーカスリング27のメカニカルな調整を、ダイレクトにレンズ12Lの移動に伝達してもよい。
【0073】
いずれにしても、フォーカスリング27の操作によって調整された焦点距離は、CCD30の撮像画像(スルー画)に反映されることになる。この調整結果は、前記MF時EVFLCD表示制御部112により、半遮蔽されたシャッター面内の領域に重複するように表示されるEVFLCD44の表示画像(EVF画像)で確認することができる。
【0074】
前記操作部28に接続された復帰条件要素受付部106は、前記撮像モード制御部116にも接続されており、前述した表1の復帰条件の要素が入力されるようになっている。
【0075】
本実施の形態では、表1の8項目に優劣をつけておらず、かつ、何れかの項目の内、1つでも条件が成立することで、「MFモード時の特別な表示状態」を解除するようになっている。
【0076】
なお、復帰条件の要素は、表1の項目に限られるものではない。また、「複数の項目の成立」を復帰条件の成立としてもよい。或いは、項目に優劣をつけ、「必須項目を含む、複数の項目の成立」を復帰条件の成立としてもよい。
【0077】
復帰条件要素受付部106は、条件成立/不成立判定部120に接続されている。この条件成立/不成立判定部120は、前記OVF→EVF表示切替指示部102からの信号に基づいて、有効(MFモードへの移行指示信号)或いは無効(AFモードへの移行指示信号)となる。
【0078】
条件成立/不成立判定部120の有効状態(すなわち、MFモード時)において、復帰条件要素受付部106で受け付けた復帰条件を判定した結果、復帰条件が成立すると、条件成立/不成立判定部120は、復帰指示部122を起動する。
【0079】
復帰指示部122では、前記MF時EVFLCD表示制御部112へEVFオフ信号、並びに前記液晶シャッター開閉制御部114へシャッター開放信号をそれぞれ出力し、接眼部18の全領域を対象として、OVF画像とするように指示する。
【0080】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0081】
(通常の撮像/再生動作)
デジタルカメラ10が、撮像モードに切り替えられている場合、鏡筒12内のレンズ12Lを介した撮像によってCCD30から出力された被写体像を示す信号は順次アナログ信号処理部54に入力されて相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理が施された後にADC56に入力され、ADC56は、アナログ信号処理部54から入力されたR(赤)、G(緑)、B(青)の信号を各々8〜12ビットのR、G、B信号(デジタル画像データ)に変換してデジタル信号処理部30に出力する。
【0082】
デジタル信号処理部60は、ラインバッファにADC56から順次入力されるデジタル画像データを蓄積して一旦メモリ58の所定領域に格納する。
【0083】
メモリ58の所定領域に格納されたデジタル画像データは、CPU66による制御下でデジタル信号処理部60によって読み出され、これらに所定の物理量に応じたデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行なうと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行なって8ビットのデジタル画像データを生成し、更にYC信号処理を施して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成し、YC信号をメモリ58の上記所定領域とは異なる領域に格納する。
【0084】
なお、本実施の形態に係る背面LCD22は、CCD30による連続的な撮像によって得られた動画像(所謂「スルー画像」)を表示してファインダーとして使用することができるものとして構成されているが、このように背面LCD22をファインダーとして使用する場合には、生成したYC信号(映像信号)を、LCDI/F62を介して順次背面LCD22に出力する。これによって背面LCD22にスルー画像が表示されることになる。これは、EVFLCD44においても同様である。
【0085】
ここで、レリーズボタン14がユーザによって半押し状態とされた場合、前述のようにAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態とされた場合、この時点でメモリ58に格納されているYC信号を、圧縮・伸張処理回路68によって所定の圧縮形式(本実施の形態では、JPEG形式)で圧縮した後に外部メモリI/F38を介してメモリカード40に記録することによって撮影が行われる。
【0086】
一方、メモリカード40(又はメモリ66)に記憶された画像データは、背面LCD22(又は、EVFLCD44)に表示させることができる。すなわち、デジタルカメラ11を、撮像モードから再生モードに切り替えると、背面LCD22(EVFLCD44)は、前述のようなスルー画像ではなく、既にメモリカード40(又はメモリ66)に記憶された画像データを読み出して表示する。この表示は背面LCD22(EVFLCD44)の表示領域に1枚分の画像を表示することを基準として、2枚以上、或いは1枚の画像のトリミング画像を操作部28の操作によって表示させることができる。
【0087】
(表示制御)
図5は、マニュアルフォーカスを指定したときに起動し、接眼部18へ表示する対象を制御のための流れを示すフローチャートである。
【0088】
図5のステップ150では、液晶シャッター46を一部又は全部閉止する。これにより、液晶シャッター46が閉止された領域のOVF画像は接眼部18へ至らず、ユーザーは、OVF画像の一部又は全部を見ることができなくなる。
【0089】
次のステップ152では、予め登録してある焦点距離調整領域を読み出し、次いで、ステップ154へ移行して、前記閉止したシャッター遮光面に対応して、焦点距離調整領域を拡大し、EVFLCD44に表示する。この画像は、当然動画像(スルー画)である。
【0090】
なお、前記EVFLCD44におけるシャッター遮光面と対応しない領域は、非表示(黒色)とするのが好ましい。OVF画像を見易くするためである。
【0091】
次のステップ156では、フォーカスリング27の操作があったか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ158へ移行して、当該フォーカスリング27の操作方向、操作量に基づいて鏡筒12(レンズ12L)を駆動し、焦点距離を調整する。この調整量は、CCD30で撮像するため、EVFLCD44でスルー画として表示され、ユーザーは接眼部18で焦点距離の調整状態を確認することができる。
【0092】
ステップ158での鏡筒12(レンズ12L)の駆動がなされると、ステップ156へ戻り、さらに、フォーカスリング27の操作されると、鏡筒12(レンズ12L)が駆動する。すなわち、フォーカスリング27の操作に連動してリアルタイムに焦点距離が調整され、ユーザーは接眼部18を覗きながら、当該焦点距離調整を行うことができる。
【0093】
ここで、ステップ156で否定判定、すなわち、フォーカスリング27の操作がない場合、ステップ160へ移行して、条件判定処理が実行される。この条件判定処理の詳細は後述する。
【0094】
次のステップ162では、ステップ160での条件判定処理の結果、条件が成立しているか否かが判断される。なお、このステップ162では、ステップ160で設定されるフラグFの状態を判定する(図6参照)。このステップ162で条件成立(F=1)と判定されると、ステップ164へ移行して、EVFLCD44の表示を終了(オフ)し、次いでステップ166へ移行して液晶シャッター46を全開として、このルーチンは終了する。また、ステップ162で否定判定(F=0)された場合は、ステップ156へ戻り、フォーカスリング27の操作の有無を判定する。
【0095】
図6は、図5のステップ160における条件判定処理の詳細を示したものである。
【0096】
ステップ200では、復帰条件の成立/不成立を示すフラグFをリセット(0)し、次いでステップ202へ移行して、復帰条件の要素情報を受け付けたか否かが判断され、否定判定の場合は、このルーチンは終了する(F=0の状態)。
【0097】
また、ステップ202で肯定判定されると、ステップ204へ移行して受け付けた復帰条件の要素をそれぞれの判断の基準と照合する。
【0098】
次のステップ206では、最終判定を実行する。この最終判定は、最も単純なのは、それぞれの復帰条件の要素の各項目(例えば、表1の項目1〜8)を、独立して復帰条件成立の可否とするものであるが、複数の復帰条件の要素を考慮して、復帰条件成立の可否を判定することも可能である。最終判定は、この復帰助受けの要素の各項目の取り扱いに基づいて、最終的に復帰条件成立/不成立を判定する。
【0099】
以下に、復帰条件の要素の各項目の取り扱い(最終判定要件)を列挙する。
【0100】
(最終判定要件1)→ 各復帰条件の要素(表1の各項目)を独立し、何れか1つが成立すれば復帰条件成立とする。
【0101】
(最終判定要件2)→ 各復帰条件の要素(表1の各項目)の内、少なくともN個(Nは2以上の整数)以上の条件が成立すれば復帰条件成立とする。
【0102】
(最終判定要件3)→ 各復帰条件の要素(表1の各項目)の内、予め定めた重要要素であれば単独で復帰条件成立、それ以外は複数の要素が成立することで復帰条件成立とする。
【0103】
次のステップ208では、ステップ206での最終判定結果が復帰条件成立か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ210へ移行してフラグFをセット(1)して、このルーチンは終了する(F=1の状態)。また、ステップ208で否定判定された場合は、復帰条件不成立と判断し、このルーチンは終了する(F=0の状態)。
【0104】
図7は、上記図5(図6)のフローチャートに基づく、EVFLCD44の表示制御を遷移を一例を示したものである。
【0105】
図7(A)は、定常時(例えば、AFモード時)における接眼部18で見ることができる画像であり、OVF画像である。なお、このOVF画像領域内に、鎖線で示した矩形枠19があるが、この矩形枠19は、予め登録されている焦点距離調整領域を示すものであり、実際の被写体の一部ではない。従って、ここに表示されていなくてもよいし、EVFLCD44で表示するようにしてもよい。
【0106】
ここで、MFモードへの移行の指示があると、図7(B)のように液晶シャッター46が駆動して、OVF画像の下半分が遮光される。その後、EVFLCD44に、前記矩形枠19で示す焦点距離調整領域の拡大画像を表示する(図7(C)、(D)参照)。
【0107】
図7(C)、(D)は、フォーカスリング27によって焦点距離調整を行っているときのEVFLCD44の表示画像であり、例えば、MFモード移行直後(図7(C)参照)は、若干ピンボケとなっており、これをフォーカスリング27を操作することで焦点距離を調整する(図7(D)参照)。
【0108】
このような操作がなされている途中で、復帰条件が成立すると、図7(E)に示される如く、EVFLCD44の画像がオフとなり、かつ液晶シャッター46が全開となって、元のOVF画像に戻る。
【0109】
なお、本実施の形態では、MFモードの移行時に、OVF画像の一部を遮光して、EVFLCD44の画像を表示したときの復帰に関して説明したが、撮影モードにおいて、MFモード以外に、OVF画像の一部又は全部を遮光して、EVFLCD44の画像を表示する場合がある。
【0110】
例えば、EVFLCD44の画像を一時的に表示する場合として、AF(オートフォーカス)処理や、露出補正、ホワイトバランス補正、暗部補正、色調補正、ダイナミックレンジ等、OVF画像では補正状況がわからない各種補正処理がある。AF処理は、ユーザーが確認しなくても正確かつ確実に自動で焦点距離調整されるため、確認の必要がない場合もあるが、ユーザーによっては、AF後の状態を確認し、その後OVF画像の見ながら撮影したい場合もある。このようなとき、レリーズボタン14を半押ししてAF処理が開始されると、EVFLCD44の画像の表示に切り替わり、AF処理後に自動的にOVF画像に切り替わる(復帰する)ようにすればよい。
【0111】
このAFモードでの処理において、例えば、前述したMFモード時と同様に接眼部18から見える画像の下半分をAFモードでの焦点調整領域を拡大して表示し、確実に自動焦点調整が完了しているか確認するようにしてもよい。これによれば、OVF画像も同時に視野に入れることができ、撮影の画角がずれることがない。
【0112】
また、ライブビュー(スルー画)において、前記各種補正処理のために、一時的にEVFLCD44の画像を表示した場合も、その復帰トリガ(OVF画像へ戻すきっかけ)が必要である。このような場合、補正処理終了後所定時間経過後等、表1に記載した復帰要件を利用すればよい。このとき、接眼部18から見える画像を、EVF画像の表示をOVF画像の表示とに分割してもよい。なお、補正処理は自動で実行される場合、ユーザーが手動で実行される場合を含む。
【符号の説明】
【0113】
10 デジタルカメラ(撮像装置)
12L レンズ
12 鏡筒
14 レリーズボタン
16 電源スイッチ
18 接眼部
20 対物レンズ
22 背面LCD
24 モード切替スイッチ
26 十字カーソルボタン
22TP タッチパネル
27 フォーカスリング(焦点距離調整操作部)
28 操作部
29 矩形枠(焦点距離調整領域)
30 CCD
32 メインコントローラ
34 鏡筒駆動ドライバ
36 LCDI/F
38 外部メモリI/F
40 メモリカード
42 LCDI/F
44 EVFLCD(表示部)
46 液晶シャッター
48 光路
50 光路
52 ハーフミラー
54 アナログ信号処理部
56 アナログ/デジタル変換器(ADC)
58 メモリ
60 デジタル信号処理部
62 LCDI/F
64 LCDI/F
66 CPU
68 圧縮・伸張処理回路
70 システムバス
72 タイミングジェネレータ
100 MF領域登録処理部
102 OVF→EVF表示切替指示部
104 フォーカスリング操作量認識部
106 復帰条件要素受付部
108 MF領域記憶部
110 MF領域読出部
112 MF時EVFLCD表示制御部
114 液晶シャッター開閉制御部
116 撮像モード制御部
118 焦点距離調整部
120 条件成立/不成立判定部
122 復帰指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも撮像素子で被写体を撮像した画像を含むエレクトリカルビュー画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されるエレクトリカルビュー画像を接眼部へ案内する光路、並びに光学的に入力される被写体のオプチカルビュー画像の何れかの単独画像を接眼部へ案内する光路を備え、何れか一方の単独画像、或いは双方の合成画像を接眼部へ案内する画像案内手段と、を備えたファインダー部と、
前記ファインダー部への光路を選択する選択手段と、
前記接眼部から見える画像を見ながら、撮像指示操作に基づいて撮像素子で撮像し、当該撮像した画像をデジタル画像データとして記録する撮像モード、並びに前記撮像モードによって記録した画像を再生表示する再生モードを選択的に切り替えるモード切替手段と、
前記撮影モード中における撮影に関する調整を、自動又は手動で実行する調整実行手段と、
前記調整実行手段の実行開始に同期して実行され、オプチカルビュー画像が表示されているファインダー部の表示形態を、エレクトリカルビュー画像に切り替えるエレクトリカルビュー画像表示制御手段と、
予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる復帰制御手段と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
少なくとも撮像素子で被写体を撮像した画像を含むエレクトリカルビュー画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されるエレクトリカルビュー画像を接眼部へ案内する光路、並びに光学的に入力される被写体のオプチカルビュー画像の何れかの単独画像を接眼部へ案内する光路を備え、何れか一方の単独画像、或いは双方の合成画像を接眼部へ案内する画像案内手段と、を備えたファインダー部と、
前記ファインダー部への光路を選択する選択手段と、
前記接眼部から見える画像を見ながら、撮像指示操作に基づいて撮像素子で撮像し、当該撮像した画像をデジタル画像データとして記録する撮像モード、並びに前記撮像モードによって記録した画像を再生表示する再生モードを選択的に切り替えるモード切替手段と、
撮像画角内の予め定められた焦点距離調整領域を対象として、焦点距離調整操作部を操作することで、前記焦点距離を調整する焦点距離調整実行手段と、
前記焦点距離調整実行手段の実行開始に同期して実行され、オプチカルビュー画像が表示されているファインダー部の表示形態を、エレクトリカルビュー画像に切り替え、かつ、前記焦点距離調整領域を表示するエレクトリカルビュー画像表示制御手段と、
予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる復帰制御手段と、
を有する撮像装置。
【請求項3】
前記オプチカルビュー画像の光路を遮光する遮光手段をさらに有し、
前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段による前記エレクトリカルビュー画像の表示領域を、前記遮光手段で遮光した一部の領域とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段により表示される前記エレクトリカルビュー画像が、前記焦点距離調整領域の拡大画像であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断し、
それぞれの項目の判断基準に対する成否を、独立した復帰条件の成立とすることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断し、
それぞれの項目の判断基準に対する成否が、少なくとも2以上成立した場合に、前記復帰条件の成立とすることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記復帰制御手段により復帰させるための復帰条件の判定要素として、複数の復帰条件要素としての項目が設定され、各項目毎に、それぞれの判断基準に基づいて成否を判断し、
それぞれの項目に優劣を付加し、相対的に優先度の高い項目は判断基準に対する成否を独立した復帰条件の成立とし、相対的に優先度の低い項目は少なくとも2以上成立した場合に、前記復帰条件の成立とすることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記復帰条件を成立させるための判定要素が、MFモード開始時からスタートするタイマが所定時間経過したとき、焦点距離操作部の操作が所定時間なかったとき、撮像素子に入力する明るさが所定以上変化したとき、ユーザーが前記MFモード以外の選択操作を行ったとき、ユーザーが前記接眼部を覗きこまなくなったとき、前記接眼部を覗くユーザーの目がまばたきをしたとき、撮像に関する操作があったとき、の少なくとも2以上を含むことを特徴とする請求項2〜請求項7の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項9】
少なくとも撮像素子で被写体を撮像した画像を含むエレクトリカルビュー画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されるエレクトリカルビュー画像を接眼部へ案内する光路、並びに光学的に入力される被写体のオプチカルビュー画像の何れかの単独画像を接眼部へ案内する光路を備え、何れか一方の単独画像、或いは双方の合成画像を接眼部へ案内する画像案内手段と、を備えたファインダー部と、前記ファインダー部への光路を選択する選択手段と、前記接眼部から見える画像を見ながら、撮像指示操作に基づいて撮像素子で撮像し、当該撮像した画像をデジタル画像データとして記録する撮像モード、並びに前記撮像モードによって記録した画像を再生表示する再生モードを選択的に切り替えるモード切替手段と、前記撮影モード中における撮影に関する調整を自動、又は手動で実行する調整実行手段と、を備えた撮像装置の表示制御方法であって、
調整実行開始に同期して実行され、オプチカルビュー画像が表示されているファインダー部の表示形態を、エレクトリカルビュー画像に切り替えると共に、
予め定めた復帰条件が成立した場合に、前記ファインダー部の表示形態を前記エレクトリカルビュー画像表示制御手段によるエレクトリカルビュー画像の表示以前の状態に復帰させる、ことを特徴とする撮像装置の表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−63722(P2012−63722A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209971(P2010−209971)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】