説明

撮像装置および撮像装置の制御方法

【課題】 マニュアルフォーカスを行うときに、自動的に非合焦範囲をピント山が掴みやすいようにボケ像が見えるようにし、合焦範囲を明るくピント確認しやすいようにする。
【解決手段】 マニュアルフォーカスが行われていることを判定するマニュアルフォーカス判定手段38と、拡散率が変更可能な焦点板4と、焦点板の拡散率を変更する拡散率制御手段32と、撮像手段3の撮像面全体の焦点状態を検出する焦点検出手段16と、レンズユニットからの光を焦点板と焦点検出手段に分光する分光手段とを有し、焦点検出手段は、マニュアルフォーカス判定手段によりマニュアルフォーカスが行われることを判定すると、焦点状態の検出を行い、拡散率制御手段は、焦点検出手段からの焦点状態に応じて、非合焦範囲に対応した焦点板の部分の拡散率を、合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率よりも高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散率が変更可能な焦点板を有する撮像装置および撮像装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置として用いられる一眼レフカメラの光学ファインダは、ファインダ像の明るさ、およびピント山の掴み易さが求められている。ここでピント山の掴みやすさとは、背景などの非合焦部のボケ味が大きいほど、合焦部との差が明瞭になり、ピントを確認しやすくなることをいう。そのため、ファインダ観察時は撮影レンズの絞りは一般に開放状態にし、光を多く通すことでファインダ像を明るくしている。また、角度を持った光線を通すことで、合焦範囲である被写界深度を狭くし、背景などの非合焦部をボケやすくして、ピント山を掴みやすくしている。
【0003】
ところで、一眼レフカメラのファインダ像は、撮影レンズからの光をメインミラーにより反射し、焦点板に結像させ、ペンタプリズムおよび接眼レンズを通して撮影者がファインダ像を観察する。焦点板は凹凸を有し、光を拡散することで角度を持った光線の方向を変え、撮影者の瞳にたどり着かせ、ボケ像が見えるようにする。焦点板の拡散特性は透過する光と拡散する光の割合として拡散率(透過率)で表される。焦点板の拡散率が高いほどボケ像が顕著になり、ピント山が掴み易いファインダ像となる。反面、拡散率が高いほどファインダ像が暗くなってしまう。逆に拡散率が低いほど明るいファインダ像になるが、ボケ像が見えず、ピント山が掴みにくいファインダ像となってしまい、1つの焦点板でファインダ像の明るさとピント山の掴みやすさを両立するのは困難であった。
【0004】
一眼レフカメラでは、オートフォーカス(AF)による合焦後にマニュアルフォーカス(MF)でピントを微調整するユーザーや、マニュアルフォーカス専用の撮影レンズを使うユーザーも多く、ファインダ像が暗く、ピント山の掴みやすいファインダではマニュアルフォーカスでピントが合わせにくいという問題がある。
【0005】
そこで、例えば特開平6−258693号公報(特許文献1)では液晶を用いた拡散率を可変できる焦点板により、ファインダの明るさを優先する明るさ優先モード,ファインダでの被写界深度が最も浅いピント優先モード、または撮影時の被写界深度の表現を優先する深度優先モードを撮影者が任意で切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−258693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、ピント優先モード、または撮影時の被写界深度の表現を優先する深度優先モードに切り替えるとファインダ像全体が暗くなり、被写体が見えにくくなる。そのため、背景などの非合焦部のボケ味を大きくしても、合焦部である被写体像が暗く見えにくいので、MFでピント合わせを行うのは難しいという問題がある。また、従来技術では各モードをユーザーが操作部材によって切り替えねばならず、たとえば、明るさ優先モードでAF後に咄嗟にMFでピントを微調整する場合に、操作部材でピント優先モードに変更しているとシャッターチャンスを逃してしまう場合がある。
【0008】
(発明の目的)
本発明の目的は、マニュアルフォーカスを行うときに、自動的に非合焦範囲をピント山が掴みやすいようにボケ像が見えるようにし、合焦範囲を明るくピント確認しやすいようにすることができる撮像装置および撮像装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、レンズユニットに設けられたマニュアルフォーカス操作部材によりマニュアルフォーカスが行われていることを判定するマニュアルフォーカス判定手段と、前記レンズユニットからの光を受光する撮像手段と、拡散率が変更可能な焦点板と、前記焦点板の拡散率を変更する拡散率制御手段と、前記撮像手段からの信号により撮像面全体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、前記レンズユニットからの光を前記焦点板と前記焦点検出手段に分光する分光手段とを有し、前記焦点検出手段が、マニュアルフォーカス判定手段によりマニュアルフォーカスが行われることを判定すると、焦点状態の検出を行い、前記拡散率制御手段が、前記焦点検出手段からの焦点状態に応じて、非合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率を、合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率よりも高くすることをとくちょうとするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マニュアルフォーカスを行うときに、自動的に非合焦範囲をピント山が掴みやすいようにボケ像が見えるようにし、合焦範囲を明るくピント確認しやすいようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例である撮像装置としてのカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例のカメラの外観を示す図である。
【図3】実施例のカメラの動作を示すフローチャートである。
【図4】焦点板の拡散率を部分的に変更する一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に記載される通りである。
【実施例】
【0013】
まず、図1、2を参照して、本発明の実施例である撮像装置としてのカメラの主な構成を説明する。図1はカメラ1の内部構成を示すブロック図である。また、図2はカメラ1の外観図を示したもので、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図をそれぞれ示している。カメラ1の正面にはレンズユニット2が設けられ、レンズユニット2から入射した光は、カメラ1の内部にある焦点検出および露出検出可能な撮像手段3に結像するよう構成されている。また、撮像手段3はレンズユニット2からの光を受光し、電子シャッターによる撮影が可能である。レンズユニット2と撮像手段3の間には、焦点板4へ光を反射するためのハーフミラーである分光手段5が配置されている。分光手段5により反射された光は、焦点板4で結像され、ペンタプリズム6とファインダ7を通して撮影者の瞳に導かれる。焦点板4は拡散率が変更可能なものである。分光手段5により透過された光は、撮像手段3に入光する。撮影者がレリーズ釦8を半押し(SW1)すると、撮像手段3による測光、焦点検出が開始され、レンズユニット2内のレンズ駆動手段9によるフォーカスレンズ10の駆動が行われる。つぎに撮影者がレリーズ釦8を全押し(SW2)すると撮像手段3が電子シャッッターを走行させ、撮影を行う。そして撮像手段3は電荷蓄積および電荷読み出し動作を開始させる露光動作を行う。そして、カメラ1の側面に設けられた、画像記録読込手段11に装着されている記録媒体14に撮影画像を記録保存する。記録媒体14に保存された画像は、カメラ1の背面の画像再生釦13を押すことで、表示装置27に表示される。
【0014】
つぎに本実施例のカメラ1は、カメラ1全体の制御を司るシステム制御回路15を有する。システム制御回路15は、CPUやMPU等により構成され、後述する各回路等の動作を制御する。システム制御回路15は焦点検出手段16を内包しており、焦点検出が開始されると撮像手段3からの信号をもとにレンズ駆動手段9を制御し、フォーカスレンズ10を光軸方向に駆動して焦点合わせを行う。撮像手段3は、撮像画素群のほかに焦点検出画素群と焦点検出画素群の前に配置された瞳分割レンズ群とを有する。焦点検出方法は、撮像面上で位相差による焦点検出を行う撮像面位相差AFや撮像画像のコントラスト比から焦点検出を行うコントラストAF、または撮像手段3を光軸方向に前後に駆動させてコントラストAFを行うウォブリング方法などである。焦点検出手段16は撮像面全体の焦点状態を検出することが可能である。これらは公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0015】
また、システム制御回路15は露出検出手段17を内包している。露出検出手段17は、測光が開始されると撮像手段3からの信号をもとに撮影者が事前に設定した撮影条件に応じてレンズユニット2内の絞り18の絞り値および撮像手段3の電子シャッタースピードおよび電荷蓄積時間を決定する。レリーズ釦8(SW2)により撮影動作が開始されると、システム制御回路15は露光制御部19により絞り18および電子シャッターの走行駆動を決定された値に制御する。また、システム制御回路15は露光制御部19によりタイミングジェネレータ20から撮像手段3を駆動する際に必要なパルス信号を出力させる。撮像手段3はタイミングジェネレータ20から出力されたパルス信号に応じ電荷蓄積および電荷読み出し動作を行う。
【0016】
撮像手段3から読み出された電荷はA/D変換回路21によりデジタル化され、画像処理回路22へ送られる。送られた画像は画像処理回路22内の画像処理部23によりホワイトバランス調整や画像圧縮処理等を行われ、記録制御部24により画像記録読込手段11を介して記録媒体14に記録保存される。記録媒体14は一般的なSDカードやCFカードなどである。記録媒体14に保存した撮影画像は、画像再生釦13を押すことで画像記録読込手段11により画像処理回路22内の表示制御部25に読み込まれ、D/A変換回路26によりアナログ化され、表示装置27に表示される。表示装置27は一般的な液晶や有機ELなどでよい。
【0017】
なお、本実施例においては、レンズユニット2はフォーカスレンズ10のみの記載であるが、ズームレンズを有するものなどでもよく、一体型もしくは取替え可能な別体型の構成としてもよい。また、固定されている分光手段5の代わりにメインミラーとサブミラーを回動可能に配置し、撮像手段3からの信号をもとに焦点検出を行う焦点検出手段16とは別に位相差AFによる焦点検出手段を設けてもよい。上述したこれらの構成に関しては公知であるため詳細な説明は省略する。
【0018】
つぎに撮影条件の設定方法について説明する。ダイヤル操作部材である撮影モード設定手段28は撮影モードを設定することができる。例えば自動露出モード、絞り優先露出モード(Av)、シャッタースピード優先露出モード(Tv)、マニュアルモード(M)、バルブモード(B)を設定できる。自動露出モードに設定した場合は、ダイヤル操作部材である露出設定手段29により撮影者が任意に適正露出値を設定し、絞り値およびシャッタースピードは撮影時にその適正露出になるように自動で決定される。絞り優先露出モード(Av)、シャッタースピード優先露出モード(Tv)、マニュアルモード(M)を設定した場合は、絞り値設定手段30およびシャッタースピード設定手段31により、絞り値およびシャッタースピードを任意に設定できる。バルブモードを設定した場合は、レリーズ釦8(SW22)を押すと撮影を開始し、レリーズ釦8(SW2)を押している間は露光し続け、レリーズ釦8(SW2)を離すと露光終了し、撮影中にシャッタースピードが決定できる。
【0019】
つぎに焦点板4の拡散率の変更方法について説明する。カメラ1は上述した構成のほかに、焦点板4の拡散率を全面的および部分的に変更する拡散率制御部32、焦点板4にフォーカス範囲を(フォーカス領域ともいう)表示するフォーカス枠表示手段33、フォーカス枠の位置を移動させるフォーカス範囲選択手段34を内包している。焦点板4は、画素状の液晶群が格子配列されたドットマトリクス液晶であり、システム制御回路15により制御された拡散率制御部32から電荷を印加され、格子配列された各液晶内の分子の配列方向を変えることで部分的に拡散率を変更することができる。例えば、液晶分子の配列方向を分光手段5から反射された光の光軸方向に対し、水平に並べることで焦点板4の拡散率を低くすることができる。そして、拡散率制御部32からの印加電荷を焦点板4の所定範囲のみ変え、液晶分子の配列方向を水平から倒していくことで焦点板4の拡散率を部分的に上げることができる。
【0020】
フォーカス枠表示手段33は焦点板4の上に撮影者がフォーカス範囲選択手段34によって任意に選択したフォーカス範囲をシステム制御回路15からの制御により表示する。フォーカス枠の表示方法は、LED照明を焦点板4に投影する方法や、別途、フォーカス枠表示用の液晶を焦点板4に重ねる方法があるが、LED照明や液晶板の部品が増え、構成するためのスペースが必要となる。そのため、ドットマトリクス液晶である焦点板4のフォーカス範囲をフォーカス枠表示手段33により、枠状に拡散率を上げて遮光状態になる程度の拡散率にし、表示する。
【0021】
つぎに本実施例の特徴であるMF時における焦点板4の拡散率の変更方法について図3のフローチャートおよび図4のMF時の焦点板4の拡散率を部分的に変更する一例を示した概略図を用い説明する。上述した構成のほかに、レンズユニット2は、撮影者が手動でフォーカスを調整するためのマニュアルフォーカス操作部材であるフォーカスリング35、フォーカスレンズ10の位置検出を行うレンズ位置検出手段36、フォーカスモードをAFモードかMFモードに切換可能なフォーカスモード切換手段37が設けられている。フォーカスリング35はフォーカスレンズ10を光軸方向に移動可能にするように連動しており、フォーカスモードをMFモードに切り換えた場合、撮影者はフォーカスリング35を回転させ、MFを行う。AFモードに切り換えた場合は、レンズ駆動手段9がフォーカスレンズ10と連動し、撮影者がレリーズ釦8を半押しする(SW11)ことで、AF動作を行う。レンズ駆動手段9は超音波モータを内包しており、AFモードにおいても、撮影者がフォーカスリング35を回転させると、MFが可能な構成となっている。システム制御回路15はMF判定手段38を内包しており、撮影者がフォーカスリング35を回転させ、フォーカスレンズ10が駆動されるとレンズ位置検出手段36の出力から撮影者がMFを行っていると判定し、AFモードからMFモードに自動で切り換える。超音波モータによるAFモード時のMFは、公知であるため詳細な説明は省略する。レンズ位置検出手段36はロータリーエンコーダや光センサなどであり、フォーカスレンズ10の位置もしくはフォーカスレンズ10と連動したフォーカスリング35の位置を検出する。また、レンズ駆動手段9はサーボモータなどでもよく、レンズ駆動手段9のないMF専用のレンズ構成でもよい。
【0022】
つぎにMF時における焦点板4の拡散率の変更方法であるが、撮影者がカメラ1の電源をONにすると、まず図3のSTEP1で焦点板4の全面の拡散率を所定の値である拡散率D=X1にする。拡散率D=X1はファインダ像の明るさを優先し、拡散率が低い値であり、カメラ1に事前に設定されている。撮影者がファインダ7を観察すると、例えば図4(a)に示すように被写体や背景全体が明るいファインダ像を見ることができ、構図の確認がしやすくなる。別途、変更手段を設けて撮影者が任意に拡散率D=X1を変更できるようにしても良い。また、レンズユニット2の絞り18はファインダ像の明るさとピント山の掴みやすさを優先して開放状態である。フォーカスモードはオートフォーカスモード(AFモード)、マニュアルフォーカスモード(MFモード)どちらでもよい。
【0023】
つぎにSTEP2でシステム制御回路15はレンズ位置検出手段36の有無を検出する。システム制御回路15がレンズ位置検出手段36からの情報読込を行い、情報読込が可能であれば、レンズ位置検出手段36を設けたAF可能なレンズユニットがカメラ1に装着されていると判定する。
【0024】
レンズ位置検出手段36からの情報読込ができなければ、レンズ位置検出手段36を設けていないMF専用レンズユニットがカメラ1に装着されていると判定する。まず、レンズ位置検出手段36を設けたAF可能なレンズユニットがカメラ1に装着されていると判定するとSTEP3でマニュアルフォーカス判定(MF判定)を行う。撮影者がフォーカスリング35を回転させると連動したフォーカスレンズ10が駆動される。レンズ位置検出手段36から位置情報がシステム制御回路15に出力されると、システム制御回路15はMF判定手段38により撮影者がMFを行っていると判定する。また、フォーカスモードがAFモードである場合、フォーカスモード切換手段37によりMFモードに自動的に切り換わると、MF判定手段38がMFモードに切り換わったことを検知し、撮影者がMFを行っていると判定する構成にしてもよい。
【0025】
つぎにSTEP4で撮像手段3は、撮像面全体の焦点検出を行い、合焦範囲と非合焦範囲を判別する。たとえば、前述した撮像面位相差AFにより焦点検出を行う場合、事前にカメラ1に設定された位相差の閾値をもとに合焦範囲と非合焦範囲の判別を行う。STEP5では焦点検出した合焦情報(焦点状態の情報)をもとに焦点板4の非合焦範囲に対応した部分の拡散率を拡散率D=X2に変更する。拡散率D=X2は、ファインダ像のピント山の掴みやすさを優先し、ボケ像が良く見えるように拡散率が高い値であり、カメラ1に事前に設定されている。焦点板4の合焦範囲に対応した部分の拡散率は拡散率D=X1を維持する。このとき拡散率の関係はX1<X2となる。別途、変更手段を設けて撮影者が任意に拡散率D=X2を変更できるようにしても良い。撮影者がファインダ7を観察すると、例えば図4(b)に示すように背景が合焦範囲となった場合は、背景が明るくボケずに見え、非合焦範囲となった被写体像は暗くボケ像として見え、被写体に合焦していないことが明確になる。撮影者がフォーカスリング35を回転させ、被写体像に合焦するようMFを行っていくと、図4(c)に示すように次第に被写体像は明るくボケずに見えるようになり、背景は暗くボケ像になっていく。被写体像が最も明るく、鮮明に見えたときが被写体像に合焦されたときであり、MFでも明るくピント山が確認しやすいファインダ像となる。STEP6で撮影者はレリーズ釦8を全押し(SW2)し、撮影を行う。
【0026】
また、STEP2でレンズ位置検出手段36を設けていないMF専用レンズユニットがカメラ1に装着されていると判定すると、STEP4で撮像手段3による撮像面全体もしくは、所定個所の焦点検出を開始する。撮影者がフォーカスリング35を回転させてMFを行い、撮像手段3から出力される撮像面全体もしくは所定個所の位相差が一律に変化すると、MF判定手段38は撮影者がMFを行っていると判定する。MFを行っていると判断すると、合焦範囲と非合焦範囲の判別を行い、焦点検出した合焦情報(焦点状態の情報)をもとに焦点板4の非合焦範囲に対応した部分の拡散率を拡散率D=X2に変更する。STEP5で撮影者はレリーズ釦8を全押し(SW2)し、撮影を行う。
【0027】
以上のように、本実施例によればMFを行うときに自動的に非合焦部(非合焦範囲)をピント山が掴みやすいようにボケ味が大きいファインダ像にし、合焦部(合焦範囲)は明るくピント確認しやすいファインダ像に切り換えることが可能なカメラを提供することができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。たとえば、図3のSTEP1において、構図確認のしやすさを重視し、焦点板4の拡散率D=X1を低く設定しているが、ピント確認を優先すれば、拡散率D=X1を高く設定してもよい。その場合、STEP5では焦点状態の情報によって判別された合焦範囲に対応した焦点板4の部分の拡散率を拡散率D=X2に変更しても良い。このとき、拡散率の関係はX1>X2となる。
【符号の説明】
【0029】
2 レンズユニット
4 焦点板
5 分光手段
15 システム制御回路
16 焦点検出手段
32 拡散率制御部
35 フォーカスリング
37 フォーカスモード切換手段
38 MF判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットに設けられたマニュアルフォーカス操作部材によりマニュアルフォーカスが行われていることを判定するマニュアルフォーカス判定手段と、
前記レンズユニットからの光を受光する撮像手段と、
拡散率が変更可能な焦点板と、
前記焦点板の拡散率を変更する拡散率制御手段と、
前記撮像手段からの信号により撮像面全体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、
前記レンズユニットからの光を前記焦点板と前記焦点検出手段に分光する分光手段とを有し、
前記焦点検出手段は、マニュアルフォーカス判定手段によりマニュアルフォーカスが行われることを判定すると、焦点状態の検出を行い、
前記拡散率制御手段は、前記焦点検出手段からの焦点状態に応じて、非合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率を、合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率よりも高くすることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記マニュアルフォーカス判定手段は、前記マニュアルフォーカス操作部材の動きを検知するによりマニュアルフォーカスが行われると判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
フォーカスモードをオートフォーカスモードかマニュアルフォーカスモードのいずれかに切換可能なフォーカスモード切換手段を有し、
前記マニュアルフォーカス判定手段は、前記フォーカスモード切換手段がマニュアルフォーカスモードに切り換えたことによりマニュアルフォーカスが行われると判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
レンズユニットに設けられたマニュアルフォーカス操作部材によりマニュアルフォーカスが行われていることを判定するマニュアルフォーカス判定手段と、
前記レンズユニットからの光を受光する撮像手段と、
拡散率が変更可能な焦点板と、
前記焦点板の拡散率を変更する拡散率制御手段と、
前記撮像手段からの信号により撮像面全体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、
前記レンズユニットからの光を前記焦点板と前記焦点検出手段に分光する分光手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記焦点検出手段により、マニュアルフォーカス判定手段にてマニュアルフォーカスが行われることを判定すると、焦点状態の検出を行うステップと、
前記拡散率制御手段により、前記焦点検出手段からの焦点状態に応じて、非合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率を、合焦範囲に対応した前記焦点板の部分の拡散率よりも高くするステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−108243(P2012−108243A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255859(P2010−255859)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】