説明

撮像装置および画像記録処理システム

【課題】特別な機器を準備することなく、撮像装置の本体側において不要なエリアを検知エリアから除くなど、すべての分割検知エリアにおいて検知条件を容易に任意設定する。
【解決手段】撮像装置2の本体に撮像エリアを撮像する撮像部23が設けられ、撮像装置2では、撮像部23で撮像する撮像エリアのうち検知エリアを設定し、かつ、検知エリアを複数に分割して複数の分割検知エリアを設定する。また、撮像装置2の本体には、分割検知エリア毎に検知条件を可変させる検知可変部24が設けられ、この検知可変部24は分割検知エリア毎に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および画像記録処理システムに関に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、防犯用の機器として、例えば監視カメラシステムなどが挙げられる。この監視カメラシステムは、監視を行うために所望の撮像エリアを撮像する撮像装置(カメラ)と、カメラで撮像した画像の記録などを行うレコーダーと、カメラで撮像した画像を表示するモニターなどから構成され、カメラを用いて不法侵入者などを撮像監視するものである。
【0003】
ところで、この監視カメラシステムを使用して不法侵入者などを監視する場合、カメラの設置場所によっては、監視に不要なエリア(壁や木などの障害物)やプライバシーを侵害するエリアを撮像する可能性がある。
【0004】
そこで、従前の技術に、不要なエリアなどを撮像エリアから除くものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1は、撮像エリアに、マトリックス状に配列した分割検知エリアから構成れた検知エリアを設定し、この分割検知エリアのうち撮像に不要なエリアなどをマスキングして検知エリアから除くものである。具体的に、カメラ本体に2つのスイッチが設けられ、この2つのスイッチを用いて、分割検知エリアのうち撮像に不要なエリアをマスキングし、不要なエリアを検知エリアから除くようになっている。そのため、この特許文献1によれば、特別な機器を準備することなく、カメラの本体側において非検知エリアとするマスキングするエリア(マスクエリア)の設定が行なえるとされている。
【0006】
更に、この特許文献1を詳説すると、カメラ本体に設けられた2つのスイッチは、それぞれ、分割検知エリアの中からマスクエリアを選択するために対象となる分割検知エリアを選択する(マスクを移動させる)移動スイッチと、マスクエリアを確定する設定スイッチとからなる。そして、マトリックス状(特許文献1では8行×10列)に配列された分割検知エリア一つ一つに対して、移動スイッチを所定回数押すことでマスクを所望の分割検知エリアまで移動させ、所望の分割検知エリアにおいて設定スイッチを押すことでマスクエリアを確定する。
【特許文献1】特開2006−50453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この2つのスイッチ(移動スイッチと設定スイッチ)を用いてマスキングを行う場合、次に示すような不具合が生じる可能性があり、この場合特許文献1に記載の効果は薄れる。
【0008】
特許文献1によれば、マトリックス状に配列された分割検知エリアのうちマスキングを行いたい所望のマスクエリアまでマスクを移動させるために移動スイッチを所定回数押さなければならない。そのため、移動スイッチの押す回数を間違える可能性があり、この場合、所望していない分割検知エリアをマスキングする対象の分割検知エリアとして選択することになり、その結果、設定スイッチによりこの所望していない分割検知エリアをマスクエリアに確定してしまう。
【0009】
また、特許文献1ではマスクエリアの設定を1つずつ行うために、複数の分割検知エリアをマスクエリアにする場合、マスクエリアの設定数の増加に伴って移動スイッチを押す回数が増える。その結果、移動スイッチの押す回数の間違いが起きる可能性が更に増え、その結果、所望する複数個の分割検知エリアをマスクエリアに確定することは難しく、マスキング処理の精度が落ちることは明らかである。
【0010】
上記したことから、特許文献1では、モニターなどの表示装置を用いずに、すべての分割検知エリアに対して個別に検知条件を可変させること(上記した特許文献1の場合、マスキングの有無の設定)は難しい。
【0011】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、特別な機器を準備することなく、撮像装置の本体側において不要なエリアを検知エリアから除くなど、すべての分割検知エリアにおいて検知条件を容易に任意設定する撮像装置および画像記録処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる撮像装置は、本体に撮像エリアを撮像する撮像部が設けられ、前記撮像部で撮像する撮像エリアのうち検知エリアを設定し、かつ、前記検知エリアを多数個に分割して多数個の分割検知エリアを設定する撮像装置において、前記本体に、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる、前記分割検知エリア毎に対応した検知可変部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、特別な機器を準備することなく、前記本体において不要なエリアを前記検知エリアから容易に除くなど、すべての前記分割検知エリアにおいて検知条件を容易に任意設定することが可能となる。具体的に、前記本体に、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる、前記分割検知エリア毎に対応した検知可変部が設けられているので、所望する分割検知エリアのみにおいて検知条件を可変させることが可能となり、所望していない分割検知エリアの検知条件を可変させることはない。
【0014】
前記構成において、前記検知可変部は、前記検知エリアにおける前記複数個の分割検知エリアの配置に対応してもよい。
【0015】
この場合、作業者が検知条件を可変させることを視覚的に容易に行うことが可能となる。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる画像記録処理システムは、上記した撮像装置で撮像した撮像エリアの画像の記録処理を行う画像記録処理システムにおいて、前記画像の表示を行う表示装置と、前記画像の記録処理を行う処理装置とが、含まれ、前記処理装置に、前記撮像装置の前記検知可変部とは異なる、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる第2の検知可変部が設けられ、前記表示装置では、前記撮像装置で撮像した撮像エリアの画像と、前記検知可変部および前記第2の検知可変部による検知条件の設定と、が表示されることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、特別な機器を準備することなく、前記撮像装置本体において不要なエリアを前記検知エリアから容易に除くなど、すべての前記分割検知エリアにおいて検知条件を容易に任意設定することが可能となる。具体的に、前記撮像装置本体に、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる、前記分割検知エリア毎に対応した複数個の検知可変部が設けられているので、所望する分割検知エリアのみにおいて検知条件を可変させることが可能となり、所望していない分割検知エリアの検知条件を可変させることはない。また、本発明によれば、前記撮像装置本体に前記検知可変部が設けられるだけでなく、前記処理装置に、前記撮像装置の前記検知可変部とは異なる第2の検知可変部が設けられているので、前記処理装置においても前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させることが可能となり、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる自由度が増す。
【0018】
前記構成において、前記検知可変部の検知条件と、前記第2の検知可変部の検知条件とでは、前記第2の検知可変部の検知条件を優先させてもよい。
【0019】
この場合、前記検知可変部の検知条件と、前記第2の検知可変部の検知条件とでは、前記第2の検知可変部の検知条件を優先させるので、簡易的に(暫定的に)前記撮像装置の前記検知可変部によって前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させ、前記処理装置の第2の検知可変部によって前記分割検知エリア毎の検知条件の再調整を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、特別な機器を準備することなく、撮像装置の本体側において不要なエリアを検知エリアから除くなど、すべての分割検知エリアにおいて検知条件を容易に任意設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、画像記録処理システムとして監視カメラシステムに本発明を適用した場合を示す。しかしながら、本発明にかかる画像記録処理システムは、監視カメラシステムに限定されるものではなく、これは好適な例であり、任意場所に撮像装置を設置し、処理装置(および表示装置)を撮像装置から離した位置で設置する画像記録処理システムであればよい。
【0022】
本実施の形態にかかる監視カメラシステム1は、図1〜3に示すように、監視を行うために所望の撮像エリア4(図4,6参照)を撮像する撮像装置2と、撮像装置2で撮像した撮像エリア4の画像の記録や表示などを行う処理装置3とから、構成され、撮像装置2で撮像した撮像エリア4の画像の記録処理を行う。
【0023】
撮像装置2は、図2,3に示すように、天井などに設定するドーム型のものであり、接続ケーブル21により処理装置3に接続されている。この撮像装置2では、当該装置2で撮像する撮像エリア4のうち予め検知エリア5を設定し、かつ、検知エリア5を21個に分割して21個の分割検知エリアA1〜C7を設定する。なお、ここでいう分割検知エリアA1〜C7は、図4,6に示すように、撮像エリア4に設定された検知エリア5を、7行3列のマトリックス状に分割設定したものである。具体的に、図示上段左から右にかけてA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7に分割設定し、図示中段左から右にかけてB1,B2,B3,B4,B5,B6,B7に分割設定し、図示下段左から右にかけてC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7に分割設定している。
【0024】
この撮像装置2には、その本体22の内部に、所望の撮像エリア4を撮像する撮像部23と、分割検知エリアA1〜C7毎に検知条件を可変させる検知可変部24(図5,7参照)と、検知エリア5の設定の検知信号や、撮像した撮像エリア4の画像信号(検知信号や画像信号)の送受信を行う画像処理として機能を有する検知部25とが設けられている。なお、検知可変部24は、具体的に分割検知エリアA1〜C7毎に対応した21個のDIPスイッチからなり、本体22に分割検知エリアA1〜C7と同じ配置とされた物理的なスイッチである。また、ここでいう撮像部23や検知可変部24や検知部25は、透過性部材である半球状からなるケース25によって覆われている。
【0025】
検知可変部24は、図3,5,7に示すように、撮像エリア4における21個の分割検知エリアA1〜C7の配置に対応している。具体的に、本実施の形態では、検知可変部24に21個のDIPスイッチを用いており、21個のDIPスイッチが21個の分割検知エリアA1〜C7の配置に対応して同様の配置とされている。この21個のDIPスイッチの配置により、表示装置(表示部32)で表示する画像(撮像エリア4)を用いずに検知条件を可変させることを容易に行うことができる。
【0026】
また、本実施の形態にかかる検知条件は、検知エリア5において監視に不要なエリア(壁や木などの障害物や道路など)がある場合、その不要なエリアを検知エリア5から外すか否かを設定することである。
【0027】
具体的に、撮像エリア4を図4に示す領域とした時、分割検知エリアA5,A6,A7,B5,B6,B7,C6,C7には車庫に停まっている車があり、分割検知エリアA5,A6,A7,B5,B6,B7,C6,C7は監視に不要なエリアと判断する。また、分割検知エリアA1,A2,B1,B2,C1,C2には植木と柵があり、分割検知エリアA1,A2,B1,B2,C1,C2は監視に不要なエリアと判断する。また、一部上記不要なエリアと重複するが、分割検知エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7には道路(車庫に車が停まった場合の車と、植木や柵も含む)があり、分割検知エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7は監視に不要なエリアと判断する。
【0028】
これら不要なエリアの判断により、分割検知エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,B1,B2,B5,B6,B7,C1,C2,C6,C7のマスキングを行なって、検知条件を可変させる。具体的に、該当する検知可変部24のDIPスイッチ(図5に示すDIPスイッチA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,B1,B2,B5,B6,B7,C1,C2,C6,C7)を切り換える(本実施の形態ではスイッチを図示上側に入れる)。このDIPスイッチの切換により、図4に示すように分割検知エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,B1,B2,B5,B6,B7,C1,C2,C6,C7がマスキングされて、検知エリア5は分割検知エリアB3,B4,C3,C4,C5となる。なお、この図4に示す検知エリア5の設定では、第2の検知可変部35による検知設定はないものとする。なお、第2の検知可変部35による検知設定を行う場合、第2の検知可変部35により検知条件を可変させる分割検知エリアのみ第2の検知可変部35の変更に従う(下記の第2の検知可変35参照)。
【0029】
また、撮像エリア4を図6の示す領域とした時、分割検知エリアA5,A6,A7,B6,B7,C6,C7には車庫に停まっている車があり、分割検知エリアA5,A6,A7,B6,B7,C6,C7は監視に不要なエリアと判断する。また、分割検知エリアA1,A2,B1,B2,C1,C2には植木と柵があり、分割検知エリアA1,A2,B1,B2,C1,C2は監視に不要なエリアと判断する。これら不要なエリアの判断により、分割検知エリアA1,A2、A5,A6,A7,B1,B2,B6,B7,C1,C2,C6,C7のマスキングを行なって、検知条件を可変させる。具体的に、該当する検知可変部24のDIPスイッチ(図7に示すDIPスイッチA1,A2、A5,A6,A7,B1,B2,B6,B7,C1,C2,C6,C7)を切り換える(本実施の形態ではスイッチを図示上側に入れる)。このDIPスイッチの切換により、図6に示すように分割検知エリアA1,A2、A5,A6,A7,B1,B2,B6,B7,C1,C2,C6,C7がマスキングされて、検知エリア5は分割検知エリアA3,A4,B3,B4,B5,C3,C4,C5となる。なお、この図6に示す検知エリア5の設定では、第2の検知可変部35による検知設定はないものとする。なお、第2の検知可変部35による検知設定を行う場合、第2の検知可変部35により検知条件を可変させる分割検知エリアのみ第2の検知可変部35の変更に従う(下記の第2の検知可変35参照)。
【0030】
処理装置3には、図1,3に示すように、撮像装置2で撮像した撮像エリア4の画像の処理制御を行う制御部31と、撮像装置2で撮像した撮像エリア4の画像を表示する表示部32(本発明でいう表示装置)と、撮像エリア4の画像の記録を行う記録部33と、が設けられている。また、図1,3に示すように、制御部31を操作する操作部34(図1に示す各種ボタンなど)が、当該処理装置3の外部入力手段として設けられている。
【0031】
また、この処理装置3には、分割検知エリアA1〜B7毎に検知条件を可変させる第2の検知可変部35と、第2の検知可変部35からの検知条件の可変命令により検知エリア5の設定を可変させる検知部36とが、設けられている。ここでいう検知部36は画像処理部としての機能を有している。これら第2の検知可変部35および検知部36は、撮像装置2の検知可変部24および検知部25とは異なる独立した構成である。具体的に、第2の検知可変部35は、表示部32に表示されタッチスクリーンにより検知条件を可変させるものであってもよく、操作部34に別途、検知エリア5における21個の分割検知エリアA1〜C7の配置と同じ配置とされたDIPスイッチなどの入力部材であってもよい。
【0032】
そして、当該監視カメラシステム1では、検知可変部24の検知条件と、処理装置3の第2の検知可変部35の検知条件とでは、第2の検知可変部35の検知条件を優先させるよう設定されている。
【0033】
上記したように、本実施の形態にかかる撮像装置2によれば、特別な機器を準備することなく、その本体22において不要なエリアを検知エリア5から容易に除くなど、すべての分割検知エリアA1〜C7において検知条件を容易に任意設定することができる。具体的に、撮像装置2の本体22に、分割検知エリアA1〜C7毎に検知条件を可変させる、分割検知エリアA1〜C7毎に対応した検知可変部24が設けられているので、分割検知エリアA1〜C7のうち所望する分割検知エリアのみにおいて検知条件を可変させることができ、所望していない分割検知エリアの検知条件を可変させることはない。
【0034】
また、本実施の形態によれば、検知可変部24は、検知エリア5における21個の分割検知エリアA1〜C7の配置に対応しているので、作業者が検知条件を可変させることを視覚的に容易に行うことができる。
【0035】
また、上記したように、本実施の形態にかかる監視カメラシステム1によれば、特別な機器を準備することなく、撮像装置2の本体22において不要なエリアを検知エリア5から容易に除くなど、すべての分割検知エリアA1〜C7において検知条件を容易に任意設定することができる。具体的に、撮像装置2の本体22に、分割検知エリアA1〜C7毎に検知条件を可変させる、分割検知エリアA1〜C7毎に対応した検知可変部24が設けられているので、分割検知エリアA1〜C7のうち所望する分割検知エリアのみにおいて検知条件を可変させることができ、所望していない分割検知エリアの検知条件を可変させることはない。また、当該監視カメラシステム1によれば、撮像装置2の本体22に検知可変部24が設けられるだけでなく、処理装置3に、撮像装置2の検知可変部24とは異なる第2の検知可変部35が設けられているので、処理装置3においても分割検知エリアA1〜C7毎に検知条件を可変させることができ、分割検知エリアA1〜C7毎に検知条件を可変させる自由度が増す。
【0036】
また、検知可変部24の検知条件と、第2の検知可変部35の検知条件とでは、第2の検知可変部35の検知条件を優先させるので、簡易的に(暫定的に)撮像装置2の検知可変部24によって分割検知エリアA1〜C7毎に検知条件を可変させ、処理装置3の第2の検知可変部35によって分割検知エリアA1〜C7毎の検知条件の再調整を行うことができる。
【0037】
上記したことから、本実施の形態にかかる監視カメラシステム1によれば、撮像装置2に検知可変部24を設けているので、すべての分割検知エリアA1〜C7における検知条件の設定の際に、必ず表示装置(表示部32)を必要とするものではなく、別途表示装置(表示部32)があれば尚好ましい形態とされる。特に、撮像装置2を設置工事する場合、撮像装置2を簡易設定する際に別途表示装置(表示部32)と接続する必要がなく、設置作業の煩雑を抑えることができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、撮像装置2として天井などに設置するドーム型のものを適用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すようなBOX型の撮像装置2であってもよい。すなわち、少なくとも、撮像部23と検知可変部24が設けられていればその形状や他の機能は限定されるものではない。
【0039】
また、本実施の形態では、撮像エリア4全体を検知エリア5に設定しているが、これに限定されるものではなく、撮像エリア4の上部を除く部分を検知エリア5に設定してもよく、また、撮像エリア4の下部のみを検知エリア5に設定してもよい。例えば、図4に示すA1〜A7もしくはC1〜C7を省いた検知エリア5であってもよい。このように、図4に示すA1〜A7もしくはC1〜C7を省いた検知エリア5とした場合、検知エリア5のうち明らかに分割検知エリア(例えば道路があるエリア)を不要なエリアとして予め検知条件から削除して検知設定をより簡易化することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、検知エリア5においてマトリックス状に分割検知エリアA1〜C7を配置しているが、分割検知エリアA1〜C7の形状や配置はこれに限定されるものではなく、例えば、検知エリア5の中心から放射状に複数の分割検知エリアが設定され、これら複数の分割検知エリアの形状が扇状に形成されてもよく、この場合、放射状あるいはロータリースイッチなどを利用することによりユーザが視覚的に分かり易い検知エリア5の検知条件を設定することができる。このように、本発明にかかる分割検知エリアの形状や配置は任意に設定してもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、21個のDIPスイッチを用いているが、その数はこれに限定されるものではなく、任意の数に設定可能である。
【0042】
また、本実施の形態では、分割検知エリアA1〜C7をマトリックス状(7行3列)に配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば7行2列のマトリックス状に配置してもよく、多段多列のマトリックス状に配置されていることが好ましい。
【0043】
また、本実施の形態では、本発明でいう表示装置を処理装置3に設けた表示部32としているが、これに限定されるものではなく、表示装置として処理装置3外に別途設けてもよい(外付けしてもよい)。
【0044】
また、本実施の形態では、検知可変部24の検知条件と、第2の検知可変部35の検知条件とでは、第2の検知可変部35の検知条件を優先させているが、これに限定されるものではなく、処理装置3の構成を図9に示す構成として、検知可変部24の検知条件を優先させてもよい。なお、図9に示す処理装置3では、図3に示す処理装置3とは異なり検知部36が設けられていないので、撮像装置2の検知部25から検知条件を制御する信号が処理装置3に送られ、検知可変部25の検知条件を優先させる。
【0045】
また、本実施の形態では、検知エリア5において監視に不要なエリアがある場合、その不要なエリアを検知エリアから外すか否かを設定することを検知条件としているが、検知条件はこれに限定されるものではなく、他の用途を検知条件としてもよい。なお、本実施の形態の検知条件を、マスキング設定を目的とした検知条件とする。
【0046】
具体的に、例えば、プライバシーを侵害するエリアが撮像エリア4の検知エリア5に含まれる場合、プライバシーを侵害するエリアに該当する分割検知エリアA1〜B7を画像から削除(例えば、該当する分割検知エリアをブラックアウトするなど)か否かを検知条件としてもよい。以下、この検知条件を、プライバシー設定を目的とした検知条件とする。
【0047】
また、別の例として、検知エリアに日陰のエリアと日向のエリアが含まれている場合、光の影響によって撮像エリア4の画像が見難くなるので、撮像エリア4の画像を鮮明にするために、日向のエリアを逆光補正するか否かを検知条件としてもよい。なお、逆光補正だけでなく露出補正などの他の撮像条件の補正の有無を条件としてもよい。以下、この検知条件を、逆光や露出などの撮像設定を目的とした検知条件とする。
【0048】
また、別の例として、侵入者を検出するための監視カメラシステムの撮像装置に本発明を適用した場合、侵入者に移動と、草木の揺れなどの侵入者以外の変位動作とを区別するために、侵入者の移動のみを検知するように検知エリア5のうち侵入者が撮像される分割検知エリアA1〜B7のみの物体の移動の検出感度を高めてもよい。具体的にこの場合の物体検知として赤外線センサを用いた検知などが挙げられる。以下。この検知条件を、検知感度設定を目的とした検知条件とする。
【0049】
また、上記したマスキング設定やプライバシー設定や撮像設定や検知感度設定を、それぞれ単独で検知条件とするだけでなく、これらの設定を組み合わせた検知条件であってもよい。
【0050】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、撮像装置および画像記録処理システムに適用でき、特に、任意場所に撮像装置を設置し、処理装置(および表示装置)を撮像装置から離した位置で設置する画像記録処理システムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる処理装置の概略平面図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる撮像装置の概略側面図である。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる監視カメラシステムの概略構成ブロック図である。
【図4】図4は、本実施の形態にかかる監視カメラシステムの表示部で表示された画像を示した図である。
【図5】図5は、図4に示す画像で表示された検知エリアを設定した検知可変部を示した図である。
【図6】図6は、本実施の形態にかかる監視カメラシステムの表示部で表示された画像を示した図である。
【図7】図7は、図6に示す画像で表示された検知エリアを設定した検知可変部を示した図である。
【図8】図8は、本実施の他の形態にかかる撮像装置の概略側面図である。
【図9】図9は、本実施の他の形態にかかる監視カメラシステムの概略構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 監視カメラシステム
2 撮像装置
22 撮像装置の本体
24 検知可変部
3 処理装置
32 表示部
35 第2の検知可変部
4 撮像エリア
5 検知エリア
A1〜B7 分割検知エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に撮像エリアを撮像する撮像部が設けられ、前記撮像部で撮像する撮像エリアのうち検知エリアを設定し、かつ、前記検知エリアを複数に分割して複数の分割検知エリアを設定する撮像装置において、
前記本体に、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる、前記分割検知エリア毎に対応した検知可変部が設けられたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記検知可変部は、前記検知エリアにおける前記複数の分割検知エリアの配置に対応したことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置で撮像した撮像エリアの画像の記録処理を行う画像記録処理システムにおいて、
前記画像の表示を行う表示装置と、前記画像の記録処理を行う処理装置とが、含まれ、
前記処理装置に、前記撮像装置の前記検知可変部とは異なる、前記分割検知エリア毎に検知条件を可変させる第2の検知可変部が設けられ、
前記表示装置では、前記撮像装置で撮像した撮像エリアの画像と、前記検知可変部および前記第2の検知可変部による検知条件の設定と、が表示されることを特徴とする画像記録処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像記録処理システムにおいて、
前記検知可変部の検知条件と、前記第2の検知可変部の検知条件とでは、前記第2の検知可変部の検知条件を優先させることを特徴とする画像記録処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−130713(P2009−130713A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304702(P2007−304702)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】