説明

撮像装置及びレンズ装置

【課題】 インターレース型の撮像素子を使用した場合においても、品位の高い静止画を撮影することが可能な撮像装置及びレンズ装置を提供する。
【解決手段】 静止画を撮影する指示が入力されると、カメラマイコン108は、アイリス102の絞り量に応じてレンズ101に入射した光を遮断させるタイミングを生成し、このタイミングをレンズマイコン111に送信する。レンズマイコン111は、受信したタイミングに応じて絞り制御回路112に制御信号114を出力し、絞り制御回路112がアイリス102を高速にクローズすることにより、メカシャッターの動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画の撮像が可能な撮像装置及びレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画を撮影するビデオカメラにおいて、交換レンズ式ビデオカメラとよばれるシステムが考案されている(特許文献1)。また、メカシャッターを用いて静止画を取り込むシステムも考案されている(特許文献2)。
【0003】
このような交換レンズ式ビデオカメラは、機能的な構成に関し、カメラ本体ブロックと交換レンズブロックとに大別することができ、カメラ本体ブロック内にカメラマイクロコンピュータ(カメラマイコン)が備えられ、交換レンズブロック内にレンズマイクロコンピュータ(レンズマイコン)が備えられている。そして、カメラマイコンとレンズマイコンとの間には、予め通信に関するフォーマットが予め設定されており、このフォーマットに沿った通信が行われる。
【0004】
また、静止画が行われる場合には、インターレース型のCCDを用いた撮像が行われるため、静止画はフィールド画像となる。
【0005】
昨今、CCDの高画素化、メモリの高容量化及び画像処理技術の向上等に伴い、レンズ交換式ビデオカメラの分野においても、きれいな動画だけでなく、きれいな静止画像を撮影可能にするという要望がある。
【0006】
しかしながら、機構的なシャッター、いわゆるメカシャッターがないビデオカメラにおいては、近年の画素数の増加に伴い静止画の撮影が困難な場合がある。すなわち、1フレーム内での露光時間の違いといった影響である。
【0007】
このことは、特にインターレース型のCCDを使用したビデオカメラでは顕著である。インターレース型のCCDを使用したビデオカメラでは、1画面を1フレームとした場合、その1フレームを構成する走査線のEVEN(偶数番目)の電荷とODD(奇数番目)の電荷とを、夫々交互に読み出して1画面の画像信号を形成する。よって、生成された静止画に1フレーム分の情報量があれば、きれいな静止画になるが、生成された静止画に1フィールド(EVEN又はODDのどちらか一方の電荷情報)分の情報量のみがある場合には、本来あるべき情報量が半分しかないため、十分な品位の静止画を得ることができない。例えば、1フィールド分の情報量しかない場合は、被写体に斜めの線があると、その斜め線のエッジがぎざぎざになってしまう。
【0008】
【特許文献1】特開平3−252638公報
【特許文献2】特開2003−174584公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、メカシャッターがない撮像装置を使用した場合においても、品位の高い静止画を撮影することが可能な撮像装置及びレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0011】
本願の第1の発明に係る撮像装置は、レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置において、前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段により得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力手段と、前記絞り手段による絞り量を取得する絞り量取得手段と、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記絞り量取得手段により取得された絞り量に応じて前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本願の第2の発明に係る撮像装置は、レンズに入射した光を遮断する光遮断手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置において、前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本願の第3の発明に係るレンズ装置は、撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置において、レンズと、前記レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段と、前記撮像装置から入力された被写体の明るさに関する情報に基づいて、前記絞り手段の制御を行う絞り制御手段と、を有し、前記絞り制御手段は、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させることを特徴とする。
【0014】
本願の第4の発明に係るレンズ装置は、撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置において、レンズと、前記レンズに入射した光を遮断する光遮断手段と、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させる光遮断制御手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
本願の第5の発明に係る撮像システムは、撮像装置及び前記撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置を備えた撮像システムにおいて、前記撮像装置は、前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段により得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力手段と、前記絞り手段による絞り量を取得する絞り量取得手段と、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記絞り量取得手段により取得された絞り量に応じて前記レンズ装置に入射した光を遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、を有し、前記レンズ装置は、レンズと、前記レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段と、前記輝度入力手段から入力された被写体の明るさに関する情報に基づいて、前記絞り手段の制御を行う絞り制御手段と、を有し、前記絞り制御手段は、前記制御手段から前記タイミングが入力されると、前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させることを特徴とする。
【0016】
本願の第6の発明に係る撮像システムは、撮像装置及び前記撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置を備えた撮像システムにおいて、前記撮像装置は、前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズ装置に入射した光を遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、を有し、前記レンズ装置は、レンズと、前記レンズに入射した光を遮断する光遮断手段と、前記制御手段から前記タイミングが入力されると、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させる光遮断制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、静止画の撮影の際にレンズに入射した光を遮断することができる。このため、インターレース型の撮像素子を用いる場合でも、1フレーム分の情報量を得ることができる。従って、高品位の静止画を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【0020】
第1の実施形態には、カメラ本体ブロック116が設けられており、このカメラ本体ブロック116に、脱着可能な交換レンズブロック115が装着される。
【0021】
交換レンズブロック115には、結像用レンズ101、光量を調整するアイリス102、アイリス102を制御する絞り制御回路112、アイリス102の絞り値を検出するための絞り値検出回路113、及び交換レンズブロック115内の制御を行うレンズマイクロコンピュータ(レンズマイコン)111が設けられている。本実施形態においては、アイリス102をメカシャッターとして使う場合にアイリス102を高速に動作させるために、レンズマイコン111から絞り制御回路112にシャッター制御信号114が出力される。
【0022】
一方、カメラ本体ブロック116には、CCD等の撮像素子103、CDS/AGC回路(二重相関サンプリング回路/自動利得制御回路)104、アナログの映像信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ105、カメラ信号処理回路106、カメラ信号処理回路106により映像信号処理を施された映像信号を一時的に蓄えるSDRAM119、カメラ本体ブロック116内の制御を行うカメラマイクロコンピュータ(カメラマイコン)108、静止画を記録する際に使用者が操作する静止画記録スイッチ109、及び生成された静止画をカード等の記録媒体に記録するためのカードI/F124が設けられている。なお、カメラ信号処理回路106からカメラマイコン108へは、輝度情報の積分データがAE用検波信号118として出力され、また、垂直同期信号(VD)117が出力される。一方、カメラマイコン108からカメラ信号処理回路106へは、静止画記録スイッチ109が操作された場合に、静止画記録実行信号125が出力される。
【0023】
また、カメラ本体ブロック116と交換レンズブロック115との間には通信ライン110が存在し、この通信ライン110を介して、電源120、チップセレクト(CS)信号121、クロック(CLK)信号122、データ(DATA)123の伝送が行われる。
【0024】
また、カメラ本体ブロック116には、交換レンズブロック115が装着されたかどうか、更に当該装着された交換レンズが前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有するか否かを判断するためにレンズ検出回路126が設けられている。カメラマイコン108は、レンズ検出回路126を介してレンズが装着されたかどうか、更に当該装着された交換レンズが前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有するか否かを判断する。
【0025】
ここで、上述のように構成された第1の実施形態の動作について、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、カメラマイコン108とレンズマイコン111との間で行われる通信の方法を示すフローチャートである。図3は、第1の実施形態において静止画の撮影を行う場合のカメラマイコン108の動作を示すフローチャートであり、図4は、第1の実施形態において静止画の撮影を行う場合のレンズマイコン111の動作を示すフローチャートである。また、図5は、第1の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの動作を示すタイミングチャートである。
【0026】
カメラ本体ブロック116に交換レンズブロック115が装着されると、レンズ検出回路126を介してカメラマイコン108はレンズが装着されたことを判断する。当該装着された交換レンズが前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有することが判断されると、カメラ本体ブロック116から電源120の経路を介して、交換レンズブロック115に電源が供給される。また、被写体からの光学像は、レンズ101を通り、アイリス102によって光量が制限され、CCD103に結像される。CCD103によって光電変換された映像信号は、CDS/AGC回路104によってノイズ除去及び利得制御の処理が行われた後、A/Dコンバーター105でデジタル信号に変換されてカメラ信号処理回路106に送られる。カメラ信号処理回路106はデジタル映像信号を処理して規格化された映像信号とする。この映像信号は、動画の記録の指示があると、デジタル信号のままレコード部(図示せず)へ送られてテープ又は記録ディスク等の記録媒体に記録される。
【0027】
また、カメラ信号処理回路106は、輝度情報を積分した後、その積分値をAE(自動露光調整)用検波信号118としてカメラマイコン108に出力する。そして、カメラマイコン108は、AE用検波信号118をデータ123に含ませてレンズマイコン111に送信する。続いて、レンズマイコン111は、AE用検波信号118の値が常に一定になるように絞り制御回路112に絞り制御信号を出力する。そして、アイリス102が絞り制御回路112からの出力信号に基づいて制御される。このようにして絞りの制御が常に行われる。
【0028】
また、図2及び図5に示すように、カメラ信号制御回路106から出力される垂直同期(VD)信号が入力されると、カメラマイコン108は、レンズ検出回路126を介して、前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有する交換レンズが装着されたか否かの判断を行う(ステップS1201及びS1207)。そして、例えば、前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有する交換レンズが装着されている場合は、レンズマイコン111への送信データをセットする(ステップS1202)。この送信データには、上述のように、例えばAE用検波信号118が含まれる。一方、メカシャッター機能を有する交換レンズが装着されていない場合には、再度の垂直同期信号の入力を待つ。
【0029】
次に、チップセレクト(CS)信号の極性をハイ(H)からロウ(L)に変化させる(ステップS1203)。CS信号は、VD信号の立ち下がり位相とほぼ同期したタイミングでカメラマイコン108からレンズマイコン111に出力される。次いで、レンズマイコン111へデータ123を送信する(ステップS1204)。その後、CS信号の極性をLからHに戻す(ステップS1205)。このようにして、VD信号の発生毎にカメラマイコン108とレンズマイコン111との間で通信が行われる。なお、カメラマイコン108からレンズマイコン111へは、クロック同期式の通信を行う場合に必要とされるクロック(CLK)も送信される。
【0030】
次に、静止画の撮影を行う場合の動作について説明する。使用者が静止画を撮影する場合は、カメラ本体ブロック116にある静止画記録スイッチ109をオンにする。
【0031】
図3に示すように、カメラマイコン108は、レンズ検出回路126を介してレンズが装着されたか否かの判断を行う(ステップS205)。例えば、前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有する交換レンズが装着されている場合は、静止画記録スイッチ109がオンされたか否かの判断を行い(ステップS201)、静止画記録スイッチ109がオンにされていると、静止画記録スイッチ109が操作された瞬間のアイリス102の絞り値を検出する(ステップS202)。アイリス102の絞り値は、データ123として交換レンズブロック115から送信されたものである。
【0032】
次に、カメラマイコン108は、検出した絞り値に応じたタイマーの値を決定する(ステップS203)。ここで、タイマーの値は、絞り値が小さいほど小さく設定する。即ち、被写体が暗く、絞りが開放付近に位置している場合ほど、タイマーの値を小さく設定する。なお、このタイマーの値の大小は、後述のように、本実施形態においてシャッターとして機能させるアイリス102を閉じ始めるタイミングに影響を及ぼすものであり、タイマーの値が小さいほど早期にアイリス102を閉じ始めることとなる。
【0033】
次いで、カメラマイコン108は、静止画記録がオンされたことを含むステータス及びステップS204で決定したタイマーの値をデータ123として、図5に示すように、CS信号122の立ち上がり及び立ち下がりに同期させながらレンズマイコン111に送信する(ステップS204)。なお、静止画記録スイッチ109が操作されていない場合には、そのこと示すステータスをレンズマイコン111に送信する(ステップS204)。なお、シャッターがオンオンされた場合には、そのことも、レンズマイコン111に送信されるステータスに含まれる。
【0034】
レンズマイコン111は、図4に示すように、カメラマイコン108からの通信データを受信すると(ステップS301)、次に、受信したステータスデータからシャッターがオンされたかどうかを判別する(ステップS302)。そして、シャッターがオンされたというデータが含まれている場合には、カメラマイコン108から受信したデータに含まれるタイマーの設定値をデコードし、タイマー割り込みの設定を行う(ステップS303)。続いて、タイマー割り込みを所定のタイミングにおいてスタートさせる(ステップS304)。例えば、図5中の「A」で受信したデータに、シャッターがオンされたというステータスが含まれている場合には、次のVD信号の立ち下がりに同期したCS信号の立ち下がりタイミング506に同期して、「A」で受信したデータに含まれるタイマーの値に基づいてタイマーをスタートさせる。
【0035】
その後、レンズマイコン111は、上記のタイマーが終了したタイミングにおいてタイマー終了割り込みをかけ、アイリス102をクローズ状態とするための制御信号114を絞り制御回路112に出力する(ステップS305)。絞り制御回路112は、制御信号114が入力されると、アイリス102を高速にクローズさせることにより、アイリス102にメカシャッターの動作を行わせる(ステップS306)。
【0036】
なお、図5には、2種類のアイリスシャッター動作を記載しているが、絞り値が大きい場合の動作(下側)の方が、絞り値が小さい場合の動作(上側)よりも、タイマー終了割り込みタイミングが遅くなっている。これは、被写体が比較的明るいために、絞り値が大きくなっており(下側)、本実施形態においてシャッターとして機能するアイリス102が閉じ始めてから実際にクローズ端に達するまでの時間が短いため、上述のように、カメラマイコン108がタイマーの値を大きく設定しているからである。
【0037】
また、使用者が静止画を撮影する場合は、上述のように、静止画記録スイッチ109をオンにするが、カメラマイコン108は、このような操作を検出するとカメラ信号処理回路106に対して静止画記録実行信号125を出力する。そして、シャッターが押されて、アイリス102によるメカシャッターの動作が行われた後には、カメラ信号処理回路106は静止画を生成して、その静止画データをSDRAM119に蓄える。そして、SDRAM119に蓄えられた静止画データはカードI/F124を介してカード(図示せず)に記録される。
【0038】
このような第1の実施形態では、機構的なシャッター、いわゆるメカシャッターがないビデオカメラにおいて交換レンズのメカシャッターと適切に通信制御を行いきれいなフレーム画で構成された静止画を記録することができる。特に、CCD103としてインターレース型のCCDを使用しても、アイリス102によるメカシャッター動作が行われるため、CCD103から信号を読み出している間、CCD103には光が当たらない。従って、インターレース型のCCDを用いても、1フレーム分の情報量を得ることができる。この結果、きれいなフレーム画で構成された静止画を記録することが可能である。
【0039】
また、アイリス102の絞り値に応じて適切にタイマーの値を調節しており、適切な光の制御を行うことができる。被写体が暗い場合と明るい場合とでは、アイリス102にメカシャッターの動作をさせたときに、アイリス102がクローズ端に到達するまでの時間が相違する。即ち、被写体が暗い場合は、露出が安定している状態で絞りが開放付近に位置しており、アイリス102がクローズ端に到達するまでの時間が比較的長くなる。一方、被写体が明るい場合は、露出が安定している状態で絞りが閉じきり付近に位置しているため、アイリス102がクローズ端に到達するまでの時間が比較的短くなる。このように、アイリス102にメカシャッターの動作を開始させてから実際にアイリス102がクローズ端に到達するまでの時間は撮影中の被写体の明るさにより変化するのである。このような状況に対し、本実施形態では、カメラマイコン108が、静止画記録スイッチ109がオンにされた時の絞り値を検出して、その絞り値に応じたタイマーの設定を行っているため、適切な光の制御を行うことができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【0041】
図6に示すように、第2の実施形態においては、CCD113への入射光量を遮断し、露光を禁止するメカシャッター601がアイリス102の後段に設けられ、交換レンズブロック115内にメカシャッター601の動作を制御するメカシャッター制御回路602が設けられている。また、第1の実施形態とは異なり、レンズマイコン111から絞り制御回路112には、アイリス114にメカシャッターの動作を行わせるための制御信号は出力されない。
【0042】
次に、上述のように構成された第2の実施形態の動作について、図7〜図9を参照しながら説明する。図7は、第2の実施形態において静止画の撮影を行う場合のカメラマイコン108の動作を示すフローチャートであり、図8は、第2の実施形態において静止画の撮影を行う場合のレンズマイコン111の動作を示すフローチャートである。図9は、第2の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの動作を示すタイミングチャートである。
【0043】
カメラ本体ブロック116に交換レンズブロック115が装着された際の動作、絞りの制御、カメラマイコン108とレンズマイコン111との間での通信は、第1の実施形態と同様にして行われる。
【0044】
静止画の撮影を行う場合には、図7に示すように、カメラマイコン108は、レンズ検出回路126を介して、前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有する交換レンズが装着されたか否かの判断を行う(ステップS704)。そして、例えば、前述のアイリス102のようなのメカシャッター機構を有する交換レンズが装着されている場合は、静止画記録スイッチ109がオンされたか否かの判断を行い(ステップS701)、静止画記録スイッチ109がオンにされていると、絞り値を検出することなく、タイマーの値を決定する(ステップS702)。なお、タイマーの値は、予め設定された固定値である。
【0045】
次いで、カメラマイコン108は、静止画記録がオンされたことを含むステータス及びステップS702で決定したタイマーの値をデータ123として、図9に示すように、CS信号122の立ち上がり及び立ち下がりに同期させながらレンズマイコン111に送信する(ステップS703)。なお、静止画記録スイッチ109が操作されていない場合には、そのこと示すステータスをレンズマイコン111に送信する(ステップS703)。なお、シャッターがオンオンされた場合には、そのことも、レンズマイコン111に送信されるステータスに含まれる。
【0046】
レンズマイコン111は、図8に示すように、カメラマイコン108からの通信データを受信すると(ステップS801)、次に、受信したステータスデータからシャッターがオンされたかどうかを判別する(ステップS802)。そして、シャッターがオンされたというデータが含まれている場合には、カメラマイコン108から受信したデータに含まれるタイマーの設定値をデコードし、タイマー割り込みの設定を行う(ステップS803)。続いて、タイマー割り込みを所定のタイミングにおいてスタートさせる(ステップS804)。例えば、図9中の「B」で受信したデータに、シャッターがオンされたというステータスが含まれている場合には、次のVD信号の立ち下がりに同期したCS信号の立ち下がりタイミング1006に同期して、「B」で受信したデータに含まれるタイマーの値に基づいてタイマーをスタートさせる。
【0047】
その後、レンズマイコン111は、上記のタイマーが終了したタイミングにおいてタイマー終了割り込みをかけ、メカシャッター601を高速でクローズ状態とするための制御信号をメカシャッター制御回路602に出力する(ステップS805)。メカシャッター制御回路602は、その制御信号が入力されると、メカシャッター601を高速にクローズさせることにより、シャッターの動作を行わせる(ステップS806)。
【0048】
また、使用者が静止画を撮影する場合は、上述のように、静止画記録スイッチ109をオンにするが、カメラマイコン108は、このような操作を検出するとカメラ信号処理回路106に対して静止画記録実行信号125を出力する。そして、シャッターが押されて、メカシャッター601の動作が行われた後には、カメラ信号処理回路106は静止画を生成して、その静止画データをSDRAM119に蓄える。そして、SDRAM119に蓄えられた静止画データはカードI/F124を介してカード(図示せず)に記録される。
【0049】
このような第2の実施形態でも、機構的なシャッター、いわゆるメカシャッターがないビデオカメラにおいて交換レンズのメカシャッターと適切に通信制御を行いきれいなフレーム画で構成された静止画を記録することができる。特に、CCD103としてインターレース型のCCDを使用しても、メカシャッター601によるシャッター動作が行われるため、CCD103から信号を読み出している間、CCD103には光が当たらない。従って、第1の実施形態と同様に、インターレース型のCCDを用いても、1フレーム分の情報量を得ることができる。この結果、きれいなフレーム画で構成された静止画を記録することが可能である。
【0050】
なお、本発明の実施形態は、例えばコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】カメラマイコン108とレンズマイコン111との間で行われる通信の方法を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態において静止画の撮影を行う場合のカメラマイコン108の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態において静止画の撮影を行う場合のレンズマイコン111の動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態において静止画の撮影を行う場合のカメラマイコン108の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態において静止画の撮影を行う場合のレンズマイコン111の動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る交換レンズ式ビデオカメラの動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0052】
101:レンズ
102:アイリス
103:CCD
104:CDS/AGC回路
105:A/Dコンバータ
106:カメラ信号処理回路
108:カメラマイコン
109:静止画記録スイッチ
110:通信ライン
111:レンズマイコン
112:絞り制御回路
113:絞り値検出回路
114:シャッター制御信号
115:交換レンズブロック
116:カメラ本体ブロック
117:垂直同期(VD)信号
118:AE用検波信号
119:SDRAM
120:電源
121:チップセレクト(CS)信号
122:クロック(CLK)信号
123:データ
124:カードI/F
125:静止画記録実行信号
601:メカシャッター
602:メカシャッター制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置において、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力手段と、
前記絞り手段による絞り量を取得する絞り量取得手段と、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記絞り量取得手段により取得された絞り量に応じて前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
レンズに入射した光を遮断する光遮断手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置において、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記レンズ装置は、前記レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段を備え、
前記撮像手段により得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力手段を有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像手段により得られた電気信号を動画のデータとして記録媒体に記録する動画記録手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置において、
レンズと、
前記レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段と、
前記撮像装置から入力された被写体の明るさに関する情報に基づいて、前記絞り手段の制御を行う絞り制御手段と、
を有し、
前記絞り制御手段は、静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させることを特徴とするレンズ装置。
【請求項6】
撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置において、
レンズと、
前記レンズに入射した光を遮断する光遮断手段と、
前記撮像装置において静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させる光遮断制御手段と、
を有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項7】
前記レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段と、
前記撮像装置から入力された被写体の明るさに関する情報に基づいて、前記絞り手段の制御を行う絞り制御手段と、
を有することを特徴とする請求項6に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記絞り手段における絞り量を検出して前記撮像装置に出力する絞り検出手段を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項9】
撮像装置及び前記撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置を備えた撮像システムにおいて、
前記撮像装置は、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力手段と、
前記絞り手段による絞り量を取得する絞り量取得手段と、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記絞り量取得手段により取得された絞り量に応じて前記レンズ装置に入射した光を遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、
を有し、
前記レンズ装置は、
レンズと、
前記レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段と、
前記輝度入力手段から入力された被写体の明るさに関する情報に基づいて、前記絞り手段の制御を行う絞り制御手段と、
を有し、
前記絞り制御手段は、前記制御手段から前記タイミングが入力されると、前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させることを特徴とする撮像システム。
【請求項10】
撮像装置及び前記撮像装置に着脱可能に装着されるレンズ装置を備えた撮像システムにおいて、
前記撮像装置は、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズ装置に入射した光を遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手段と、
を有し、
前記レンズ装置は、
レンズと、
前記レンズに入射した光を遮断する光遮断手段と、
前記制御手段から前記タイミングが入力されると、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させる光遮断制御手段と、
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項11】
前記撮像装置は、前記撮像手段により得られた電気信号を動画のデータとして記録媒体に記録する動画記録手段を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の撮像システム。
【請求項12】
レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置の動作を制御する方法において、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力ステップと、
前記絞り手段による絞り量を取得する絞り量取得ステップと、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記絞り量取得ステップにおいて取得した絞り量に応じて前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御ステップと、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項13】
レンズに入射した光を遮断する光遮断手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置の動作を制御する方法において、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像ステップと、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御ステップと、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項14】
レンズを透過する光の量を絞りにより制御する絞り手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置の動作の制御をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手順と、
前記撮像手順において得られた電気信号に基づいて被写体の明るさに関する情報を前記レンズ装置に出力する輝度出力手順と、
前記絞り手段による絞り量を取得する絞り量取得手順と、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記絞り量取得手順において取得した絞り量に応じて前記レンズに入射した光を前記絞り手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
レンズに入射した光を遮断する光遮断手段を備えたレンズ装置が着脱可能な撮像装置の動作の制御をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記レンズ装置を介して入射した被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手順と、
静止画を撮影する指示が入力された場合に、前記レンズに入射した光を前記光遮断手段に遮断させるタイミングを生成し、前記タイミングを前記レンズ装置に送信する制御手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−98736(P2006−98736A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284780(P2004−284780)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】