説明

撮像装置

【課題】 指先もしくは物体が触れた状態で移動することにより所定の動作指示を行うことのできる操作部材を備え、指先もしくは物体が操作部材に触れた位置を操作基準位置として操作することが可能となるので、操作基準位置がずれることなく、操作ミスが減少し、操作性を向上させることができる。
【解決手段】 指がコントロールパッド109に始めに触れた位置を操作基準位置301とし、コントロールパッド109から指が離れるとリセットするように構成され、コントロールパッド109の両端にはそれぞれテレ端302とワイド端303が設定され、デフォルト位置301からテレ端302に向かってコントロールパッド109に触れている指の位置を移動させることにより、テレ方向へのズーム操作を行う。また、デフォルト位置301からワイド端303に向かって、コントロールパッド109に触れている指を移動させることで、ワイド方向へのズーム操作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指先もしくは物体が触れた状態で移動することにより所定の動作指示を行うことのできる操作部材を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の撮像装置では、軽量化、小型化が要求されている。一方、機能面においては多機能化が進んでおり、それに伴い、操作キーが増加する傾向にある。こういった実情に鑑み、小型化による縮小されたスペースの中で、操作キーの増加を抑え、少ない数の操作キーで、複合的な機能の使い分けが可能となるように構成する等、様々な工夫がなされている。
【0003】
また、従来技術として、特許文献1において、静電パッドを備えた撮像装置が開示されている。特許文献1に開示されている撮像装置では、静電パッド面上で、撮影者の指先の動きに対応した電気信号を検知し、この結果に基づき、撮像操作に関する操作信号を発生させる。この操作信号を受けて、その内容に応じた処理を実行する。具体的にはパッド上を指がスライドすることによりレリーズ処理を行うものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−287794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された静電パッドによる操作は、従来から使用されているスイッチ等と比べて操作性において改善されているとはいえない。例えば、操作開始時において、静電パッド上の予め決められている操作基準位置に指を触れる必要があり、その操作基準位置からずれた位置に指を触れると、所望の操作ができなくなるおそれもある。
【0006】
本発明は係る実情に鑑み、操作性を向上させた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、指先もしくは物体が触れた状態で移動することにより所定の動作指示を行うことのできる操作部材を備えた撮像装置であって、前記指先もしくは物体が前記操作部材に触れた位置を前記操作部材の操作基準位置とし、指先もしくは物体が触れた状態で前記操作部材上を前記操作基準位置から所望の位置に移動したときに、前記操作基準位置と前記移動位置との移動量に応じて、前記所定の動作の速度が変化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、指先もしくは物体が触れた状態で移動することにより所定の動作指示を行うことのできる操作部材を備え、指先もしくは物体が操作部材に触れた位置を操作基準位置として操作することが可能となるので、操作基準位置がずれることがなく、操作ミスが減少し、操作性を向上させることができる。また、指先もしくは物体が触れた状態で前記操作部材上を前記操作基準位置から所望の位置に移動したときに、前記操作基準位置と前記移動位置との移動量に応じて、前記所定の動作の速度が変化するので、多様な指示が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態に係る撮像装置について説明する。図1A〜1Dは撮像装置の一例であるビデオカメラにおけるコントロールパッドの配置を示す図である。図1Aはビデオカメラの側面図である。図1Bはビデオカメラの背面図である。図1Cはビデオカメラの斜視図である。図1Dはビデオカメラ本体101から表示装置103を開いた状態を示す図である。
【0010】
101はビデオカメラ本体である。102は光学レンズである。103はビデオカメラ本体101に開閉可能に連結された表示装置であり、動画像や静止画像等を表示する。
【0011】
104〜110は指先もしくは物体が触れた状態で移動することにより所定の動作指示を行うことのできる操作部材(以下、「コントロールパッド」と称する)である。コントロールパッド104は表示装置103の上方において、ビデオカメラ本体101の筐体に、光学レンズ102に入射する光軸と平行に配置されている。コントロールパッド104は、静止画のサムネイル送り機能、プレイリスト送り機能、レックサーチ機能を有する。
【0012】
また、コントロールパッド105は、表示装置103の前方において、ビデオカメラ本体101の筐体に、前記光軸に対してねじれの位置に配置されている。コントロールパッド105は、静止画のサムネイル送り機能、プレイリスト送り機能、レックサーチ機能を有する。
【0013】
また、コントロールパッド106は、ビデオカメラ本体101の筐体に、前記光軸に対して同心円上に位置するように円弧状に配置されている。コントロールパッド106は、マニュアルフォーカス機能を有する。
【0014】
また、コントロールパッド107は、ビデオカメラ本体101の背面に配置されている。コントロールパッド107は、静止画のサムネイル送り機能、プレイリスト送り機能、レックサーチ機能を有する。
【0015】
また、コントロールパッド108は、ビデオカメラ本体101を把持した際に指が当たる位置に配置され、ビデオカメラ本体101の筐体の形状に沿うように円弧状に構成されている。コントロールパッド108は、静止画のサムネイル送り機能、プレイリスト送り機能、及びレックサーチ機能を有する。
【0016】
また、コントロールパッド109は、ビデオカメラ本体101を把持した際に指が当たる位置で、かつ、前記光軸と平行に配置されている。コントロールパッド109は、ズーム機能を有する。
【0017】
コントロールパッド110は、表示装置103が収納されるビデオカメラ本体101の収納面に配置されている。コントロールパッド110は、静止画のサムネイル送り機能、プレイリスト送り機能、レックサーチ機能を有する。
【0018】
なお、コントロールパッド104〜110の機能は、本実施の形態で設定した機能に限るものではない。各コントロールパッドにおいて、任意に、静止画のサムネイル送り操作キー、プレイリスト送り操作キー、レックサーチ操作キー、ズーム操作キー、マニュアルフォーカス操作キー等の各種操作キーとしての役割を割り当てることができる。
【0019】
各コントローラパッドにおいては、図2に示すように、パッド(押圧部)201が、基板202上に間隔をおいて配置された複数の弾性体203を介して支持されている。パッド201の下面には導体204が貼り付けられている。また、基板202上には電極205が配設されている。パッド201を指や物体で押すことにより弾性体203が変形し、導体204が電極205に接触して電流が流れ、電気信号としてCPU等に指令を送るように構成されている。
【0020】
ここで、図3を参照してコントロールパッドがズーム操作キーとして割り当てられた場合について説明する。ここでは、便宜上コントロールパッド109として説明する。
【0021】
図3において、指や物体がコントロールパッド109に触れた位置を操作基準位置(以下、「デフォルト位置」と称する)301とし、コントロールパッド109から指や物体が離れるとデフォルト位置301がリセットされるように構成されている。
【0022】
コントロールパッド109の図中左端がテレ端302、図中右端がワイド端303として設定され、デフォルト位置301からテレ端302に向かってコントロールパッド109に触れた状態で指を移動させることにより、テレ方向へのズーム操作を行う。また、デフォルト位置301からワイド端303に向かって、コントロールパッド109に触れた状態で指を移動させることで、ワイド方向へのズーム操作を行う。
【0023】
この場合に、デフォルト位置301を任意に指定することができるので、デフォルト位置301からテレ端302、ワイド端303までの最大移動距離を変えることができる。また、始めに触れる位置がコントロールパッド109上のどの位置であっても、テレ端302方向に移動すればテレ方向へのズームを行い、ワイド端303方向に移動すればワイド方向へのズームを行う。
【0024】
次に、図4のフローチャートを参照して、コントロールパッド104〜110の操作時の動作について説明する。ステップS401において、ビデオカメラの電源をONにする。ステップS402において、コントロールパッドに指や物体が触れることによりデフォルト位置が設定される。ステップS403において、コントロールパッド上を指や物体が移動すると、ステップS404において、移動した位置により指定の操作が実行される。また、ステップS402及びS404の後、ステップS405において、指や物体をコントロールパッドから離すことで、ステップS406において、デフォルト位置の情報がリセットされる。以上のように、ステップS402〜ステップS406の動作が電源をOFFするまで繰り返される。
【0025】
次に、図5を参照して、コントロールパッドの操作例について説明する。図5は、コントロールパッドを示す模式図であり、コントロールパッド104〜110のいずれであってもよいが、ここでは便宜上コントロールパッド501とする。ここでは、コントロールパッド501が動作速度を切り替えるためのキー、例えばズーム速度、サムネイル送りやプレイリスト送り等の送り速度を切り替えるキーとしての役割を果たすものとする。
【0026】
図5において、502はコントロールパッド501に触れたことにより認識されるデフォルト位置である。また、図2に示したようにコントロールパッド501の内部は複数のスイッチ部が形成されるが、ここではコントロールパッド501の内部において、一方の端部から他方の端部にかけて、スイッチ1(SW1)、スイッチ2(SW2)、スイッチ3(SW3)、スイッチ4(SW4)、スイッチ5(SW5)、スイッチ6(SW6)、スイッチ7(SW7)が配設される構成となっている。
【0027】
図5(a)は、SW4がデフォルト位置502となった状態を示す。この状態で、コントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW3の位置に移動することにより、動作速度(ズーム速度や送り速度)が2倍になる。同様にコントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW2の位置に移動することで、動作速度が4倍になる。同様にコントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW1の位置に移動することで、動作速度が6倍になる。また、コントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW5の位置に移動することで、マイナス方向への動作速度が2倍になる。同様にコントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW6の位置に移動することで、マイナス方向への動作速度が4倍になる。同様にコントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW7に移動することで、マイナス方向への動作速度が6倍になる。
【0028】
図5(b)は、SW6がデフォルト位置502となった状態を示す。前述したのと同様に、各スイッチSW1〜SW7の位置に移動させることにより、各々設定された操作速度の処理が行われる。この場合に、コントロールパッド501に触れている指や物体の位置がSW1の位置に移動することで、動作速度が10倍になり、前述のSW4がデフォルト位置502になった場合より広範囲の動作速度が得られることになる。一方ではマイナス方向への動作速度は制限されることになる。
【0029】
以上のように、コントロールパッド501に触れている位置により動作速度が変化するので、見たい画像まで遠いときには送り速度を速くし、見たい画像に近くなったときには送り速度を落とすといった操作が可能となる。しかも、デフォルト位置502を任意の位置で設定可能なため、動作速度の最大値を変更することができる。特にSW1或いはSW7をデフォルト位置502とした場合、動作速度を最大値とすることができる。
【0030】
なお、コントロールパッド501に配設されたスイッチSW1〜SW7の数は限定されるものではなく、用途に合わせて複数個配設できる。
【0031】
また、各スイッチにおいて複合的な操作設定も可能であり、例えば、図5で説明した操作を行った後、SW1とSW7とを同時に押すことにより、静止画のサムネイル送りであれば、指定した画像を表示する状態になるように設定しておくことも可能である。この操作動作や該操作動作による状態の設定は、コントロールパッド501によって操作を行う前に予め機器内に含まれるメモリ等に記憶させておく。また、コントロールパッド501の操作を行った後に、設定された操作動作を行うと、コントロールパッド501の操作を行う前の状態に戻るようにしてもよい。
【0032】
また、動画を再生しているときに、ある場面を記憶しておきたい場合に、設定されたあるスイッチを押すことにより、前記場面が記憶され、その後、他の場面を見た後にコントロールパッド501の左右端のスイッチSW1とSW7とを押す等の設定された操作動作を行うことにより、前記記憶させた場面に戻ることができるように設定する等、スライド動作に限らず複合的な操作設定も可能にすることができる。
【0033】
図5で説明したように動作速度を変更可能にした場合、図6に示すように表示装置103に動作速度レベルを表示することも好適である。図6は、ビデオカメラ本体101の背面側から見た斜視図であり、表示装置103が開いた状態にある。図6に示すように、表示装置103の一部分にキャラクタ601、602を表示する。キャラクタ601は、使用しているコントロールパッドの操作名(ズーム速度や送り速度等)を表示し、キャラクタ602は、使用しているコントロールパッドによる動作速度レベルを表示する。このような機能を付加することで、使い勝手の良いビデオカメラを提供することができる。
【0034】
図1A〜1Dにおいて説明したように、コントロールパッドは直線状に形成するものや円弧状に形成するもの等、特にその形状は限定されるものではないが、例えば図7(a)に示すように、コントロールパッド701の中央に凸部702を形成したり、コントロールパッド701の形状をへの字型にして、触れるだけで中央位置が分るようにしたりすれば、使用者が触れるだけでコントロールパッド701の中央を認識することができ、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの側面図である。
【図1B】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの背面図である。
【図1C】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの斜視図である。
【図1D】ビデオカメラ本体から表示装置を開いた状態を示す図である。
【図2】コントロールパッドの構成を説明するための図である。
【図3】ズーム操作キーとして割り当てられたコントロールパッドを示す図である。
【図4】コントロールパッドの操作時の動作について説明するためのフローチャートである。
【図5】コントロールパッドを示す図である。
【図6】ビデオカメラの表示装置での表示を説明するための図である。
【図7】コントロールパッド一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
101 ビデオカメラ本体
102 光学レンズ
103 表示装置
104 コントロールパッド
105 コントロールパッド
106 コントロールパッド
107 コントロールパッド
108 コントロールパッド
109 コントロールパッド
110 コントロールパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指先もしくは物体が触れた状態で移動することにより所定の動作指示を行うことのできる操作部材を備えた撮像装置であって、
前記指先もしくは物体が前記操作部材に触れた位置を前記操作部材の操作基準位置とし、指先もしくは物体が触れた状態で前記操作部材上を前記操作基準位置から所望の位置に移動したときに、前記操作基準位置と前記移動位置との移動量に応じて、前記所定の動作の速度が変化することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記操作部材から指先もしくは物体が離れることにより、前記操作基準位置がリセットされることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記操作部材を該撮像装置に入射する光軸と平行に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記操作部材を該撮像装置に入射する光軸に対してねじれの位置に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記操作部材を該撮像装置に入射する光軸に対して同心円上に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記操作部材を操作する際に、撮影画像もしくは再生画像を表示する表示装置に、そのとき操作している前記操作部材の位置に応じた前記所定の動作の速度を表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記操作部材に対して予め設定された操作動作を行うことにより、該操作部材により操作を行う前の状態もしくは予め設定された状態となることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記操作部材の形状が、前記操作部材を触るだけで特定の位置が分かる形状となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記操作部材の特定の位置に凸部を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−129579(P2007−129579A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321374(P2005−321374)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】