説明

撮像装置

【課題】超高速度撮像の長時間化を図ることができ、さらに、超高速度撮像を実行中の映像と同じ映像が取得できる撮像装置を提供すること。
【解決手段】超高速度撮像装置100は、被写体光20を入射して集光するレンズ101と、被写体光20の光路を開閉するシャッタ102と、被写体光20を第1の被写体光21と第2の被写体光22とに分離するBS103と、第1の被写体光21を光電変換するCCD110と、第2の被写体光22を光電変換するCCD120とを備え、CCD110が、1枚目から100枚目まで超高速度撮像し、CCD120が、101枚目から200枚目まで超高速度撮像するとともに、CCD110の超高速度撮像前に低速度で撮像動作を行って映像信号を出力する構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、100万枚/秒程度の速度の撮像(以下「超高速度撮像」という。)に用いられる画素周辺記録型素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からカメラ等の撮像装置における超高速度撮像を行うための研究、開発が行われている。その中でも、撮像素子におけるフレームレートの向上を目的として画素周辺記録型素子(ISIS:In-situ Storage Image Sensor)の提案がされている(例えば、特許文献1参照)。以下、ISISの一例として画素周辺記録型CCD(Charge Coupled Device)を挙げて説明する。
【0003】
画素周辺記録型CCDは、1つ1つの画素に対して多数の蓄積CCDを有するように構成されており、受光素子(以下「PD(Photo Diode)」という。)等から得られる撮像中の画像情報を直接外に読み出さず、蓄積CCDに連続的に蓄積しておき、撮像後に出力を行うものである。これにより、撮像装置等において被写体等を撮像することで生じる信号電荷を高速に蓄積CCDに転送して超高速度撮像を実現している。
【0004】
画素周辺記録型CCDの動作原理について図7により説明を行う。図7に示すように、画素周辺記録型CCD10は、PD11、蓄積CCD12、垂直読出転送路13、水平読出転送路14を備えている。蓄積CCD12は、1つのPD11に対応して、数十から数百個程度で多段に構成されている。図示の例では、蓄積CCD12が100個で構成されたものである。
【0005】
画素周辺記録型CCD10において、被写体光の入射後、PD11で発生した信号電荷は、1枚(1フレーム)撮影が行われるごとに蓄積CCD12に転送される。蓄積CCD12は、1枚撮像が行われるごとに電荷を1段転送する。蓄積CCD12の最後段にあるドレイン12aに達した信号電荷は捨てられる。この動作は、超高速度撮像の動作状態になってから超高速度撮像の開始を示すトリガ信号が入力されるまで続く。撮影終了後、蓄積CCD12に蓄積された100枚分の信号電荷は、垂直読出転送路13及び水平読出転送路14を介して素子外部に読み出される。
【0006】
以上のような原理により、画素周辺記録型CCD10は、100万枚/秒程度の超高速度撮像を実現している。
【0007】
ところが、画素周辺記録型CCD10を用いた撮像装置では2つの課題がある。第1の課題は、蓄積CCD12の数が有限であることから、1回の撮影における記録時間が極短時間に制限されることである。第2の課題は、撮影の開始から終了までの間、画素周辺記録型CCD10から映像信号が出力されないため、超高速度撮像を実行中の映像が取得できないことである。そのため、撮影者が、超高速度撮像を実行中の映像を見ながら、予め、フォーカスや画角の確認ができないこととなる。
【0008】
一方、プリズムやミラーと撮像装置とを組み合わせて使用し、高度な高速度撮像を行う装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に示されたものは、撮像速度の高速化や高速度カラー撮像を可能にする装置であり、画素周辺記録型CCD10が有する前述の2つの課題を解決することはできない。
【特許文献1】特開2001−345441号公報
【特許文献2】特開平4−68876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたものであり、超高速度撮像の長時間化を図ることができ、さらに、超高速度撮像を実行中の映像と同じ映像が取得できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像装置は、被写体からの光を入射して複数の被写体光に分離する光分離手段と、前記複数の被写体光をそれぞれ受光して前記被写体を撮像する複数の撮像手段と、予め定められた所定時間間隔の撮像を前記複数の撮像手段ごとに順次行わせる駆動手段と、前記複数の撮像手段によってそれぞれ得られた撮像信号を撮像順に結合する撮像信号結合手段とを備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の撮像装置は、複数の撮像手段が超高速度撮像を順次行い、それぞれ得られた超高速度撮像による撮像信号を撮像信号結合手段が撮像順に結合することにより、超高速度撮像の長時間化を図ることができる。
【0012】
また、本発明の撮像装置は、前記駆動手段が、外部トリガ信号が入力されたとき、及び前記複数の撮像手段ごとに前記所定時間間隔の撮像を終了したときにトリガ信号を発生するトリガ信号発生手段を備え、前記トリガ信号に基づいて前記複数の撮像手段のそれぞれに前記所定時間間隔による撮像を開始させるものである構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の撮像装置は、トリガ信号発生手段が発生したトリガ信号に基づいて超高速度撮像を順次実行することができる。
【0014】
また、本発明の撮像装置は、前記駆動手段が、前記複数の撮像手段のうち最初に撮像を開始する撮像手段を除くいずれか1つの撮像手段に対して、前記最初に撮像を開始する時刻より前の時刻から前記いずれか1つの撮像手段が撮像を開始する時刻までの間に、前記所定時間間隔よりも長い長時間間隔で撮像を行わせるものであり、前記いずれか1つの撮像手段が前記長時間間隔で撮像した撮像信号を出力する撮像信号出力手段を備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の撮像装置は、複数の撮像手段のうち最初に撮像を開始する撮像手段を除くいずれか1つの撮像手段が、最初に撮像を開始する撮像手段が撮像を開始する時刻よりも前に低速度で撮像し、撮像信号出力手段が超高速度撮像を実行中の映像と同じである低速度で撮像した映像を出力するので、超高速度撮像を実行中の映像と同じ映像を取得することができる。
【0016】
なお、本発明の撮像装置は、前記いずれか1つの撮像手段が、前記複数の撮像手段のうち最後に撮像を開始する撮像手段であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の撮像装置は、前記複数の撮像手段が、それぞれ、前記光分離手段が分離した前記被写体光を光電変換して信号電荷を生成する受光素子と、該受光素子からの前記信号電荷を順次蓄積する信号電荷蓄積手段と、蓄積された前記信号電荷を予め定められた出力先に順次読み出す信号電荷読出手段とを備えた構成を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、超高速度撮像の長時間化を図ることができ、さらに、超高速度撮像を実行中の映像と同じ映像が取得できるという効果を有する撮像装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の撮像装置を、100万枚/秒の超高速度撮像を行うことができる画素周辺記録型CCDを備えた撮像装置(以下「超高速度撮像装置」という。)に適用した例を挙げて説明する。
【0020】
まず、本実施形態における撮像装置の構成について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態における超高速度撮像装置100の基本構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態における超高速度撮像装置100は、被写体光20を入射して集光するレンズ101と、被写体光20の光路を開閉するシャッタ102と、被写体光20を第1の被写体光21と第2の被写体光22とに分離するビームスプリッタ(以下「BS」という。)103と、第1の被写体光21を光電変換するCCD110と、第2の被写体光22を光電変換するCCD120とを備えている。
【0022】
CCD110及び120は、前述の画素周辺記録型CCD10(図7参照)を備え、それぞれ、1画素につき例えば100個の蓄積CCD12を有し、100万枚/秒の撮像速度で撮像した100枚分の映像信号を記録することができるものとする。さらに、CCD120は、30枚/秒の撮像速度での撮像(以下「低速度撮像」という。)も行えるものとする。ここで、CCD110及び120は、本発明に係る撮像手段を構成する。なお、これらの条件は一例であり、本発明はこれらの条件に限定されるものではない。
【0023】
前述の構成により、超高速度撮像装置100は、CCD110が1枚目から100枚目までの超高速度撮像した映像信号を取得し、CCD120が101枚目から200枚目までの超高速度撮像した映像信号を取得することができ、従来の2倍の超高速度撮像時間が得られることとなる。
【0024】
また、CCD120は、CCD110が超高速度撮像を開始する前の任意の時刻から、CCD110が超高速度撮像により100枚分の映像信号の取得が終了する時刻までの期間、低速度撮像動作を行い、映像信号を出力するようになっている。この構成により、超高速度撮像装置100の操作者は、CCD120で撮像した映像を見ながら、予め、画角やフォーカス等の調整を行うことができる。
【0025】
次に、本実施形態における超高速度撮像装置100の詳細な構成について図2を用いて説明する。
【0026】
本実施形態における超高速度撮像装置100は、前述したレンズ101、シャッタ102、BS103、CCD110及び120に加えて、図2に示すように構成されている。すなわち、超高速度撮像装置100は、CCD110に係る構成として、CCD110を駆動する駆動回路111と、CCD110が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器112と、デジタル変換された信号を蓄積するメモリ113とを備えている。
【0027】
また、超高速度撮像装置100は、CCD120に係る構成として、CCD120を駆動する駆動回路121と、CCD120が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器122と、デジタル変換された信号を蓄積するメモリ123とを備えている。
【0028】
また、超高速度撮像装置100は、メモリ113及び123に蓄積された信号に基づいて映像信号を出力する信号処理回路131と、信号処理回路131の映像出力信号に基づいた映像を表示するビューファインダ(以下「VF」という。)132とを備えている。
【0029】
また、超高速度撮像装置100は、撮像に係る制御を行う撮像制御装置201と、トリガ信号を発生するトリガ信号発生装置202とに接続され、撮像制御装置201から撮像に係る制御信号30を入力し、トリガ信号発生装置202から超高速度撮像の開始タイミングとして用いる外部トリガ信号40を入力するようになっている。
【0030】
撮像制御装置201は、例えば、パーソナルコンピュータで構成され、ネットワークを介して超高速度撮像装置100に接続されるものである。撮像制御装置201が出力する制御信号30は、例えば、撮影開始を指示する撮影開始信号、超高速度撮像で動作させる状態(以下「超高速度撮像動作状態」という。)に設定する指示信号、低速度撮像で動作させる状態(以下「低速度撮像動作状態」という。)に設定する指示信号等を含む。
【0031】
トリガ信号発生装置202は、例えば光、電波、音波等を用いて撮影タイミングを取得し、トリガ信号を出力する装置である。具体的には、トリガ信号発生装置202は、例えば、赤外線やレーザ光が高速度移動物体によって遮断されたときを基準としてトリガ信号を生成して出力するようになっている。
【0032】
レンズ101が出射した被写体光20の光路は、シャッタ102によって開閉されるようになっている。シャッタ102は、例えば機械式シャッタで構成され、駆動回路121からのシャッタ制御信号に基づいて、所定のシャッタ速度で開閉する機能を備えている。
【0033】
BS103は、入射した被写体光20を、透過光である第1の被写体光21と、反射光である第2の被写体光22とに分離して出力するようになっている。なお、BS103は、本発明に係る光分離手段を構成する。
【0034】
CCD110及び120は、それぞれ、図7に示した画素周辺記録型CCD10と同等な構成を有するものであって、分離された被写体光を光電変換して信号電荷を生成するPD11と、PD11からの信号電荷を順次蓄積する蓄積CCD12と、蓄積された信号電荷を予め定められた出力先に順次読み出す垂直読出転送路13及び水平読出転送路14とを備えている。なお、PD11及び蓄積CCD12は、それぞれ、本発明に係る受光素子及び信号電荷蓄積手段を構成する。また、垂直読出転送路13及び水平読出転送路14は、本発明に係る信号電荷読出手段を構成する。
【0035】
ここで、CCD120は、超高速度撮像動作状態及び低速度撮像動作状態を有し、各状態において異なる動作を行うようになっている。超高速度撮像動作状態においては、CCD120は、図7に示したように、1枚ごとに1段ずつ信号電荷を転送して垂直読出転送路13に出力する動作を行うようになっている。一方、低速度撮像動作状態においては、CCD120は、図3に示す動作を行う。すなわち、CCD120は、1枚ごとにPD11から信号電荷を読み出して垂直読出転送路13に転送する動作を行うようになっている。
【0036】
図2に戻り、駆動回路111は、撮像制御装置201からは制御信号30を入力し、トリガ信号発生装置202からは外部トリガ信号40を入力するようになっている。
【0037】
また、駆動回路111は、制御信号30及び外部トリガ信号40に基づいて第1の駆動信号31を生成し、CCD110に出力するようになっている。この第1の駆動信号31は、CCD110を超高速度撮像動作状態に設定する信号、外部トリガ信号40を入力してから100枚分の超高速度撮像をCCD110に行わせる信号、超高速度撮像による信号電荷をCCD110から読み出す信号を含む。
【0038】
また、駆動回路111は、CCD110による100枚分の超高速度撮像に引き続いて、CCD120に100枚分の超高速度撮像を行わせるための内部トリガ信号41を生成し、駆動回路121に出力するようになっている。なお、駆動回路111は、本発明に係るトリガ信号発生手段を構成する。また、駆動回路111は、本発明に係る駆動手段を構成する。
【0039】
A/D変換器112は、超高速度撮像によるアナログ信号をCCD110から読み出してデジタル信号に変換し、メモリ113に出力するようになっている。
【0040】
メモリ113は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)で構成され、A/D変換器112が出力したデジタル信号を蓄積するようになっている。
【0041】
駆動回路121は、撮像制御装置201からは制御信号30を入力し、駆動回路111からは内部トリガ信号41を入力するようになっている。また、駆動回路121は、所定のシャッタ速度でシャッタ102を開閉するためのシャッタ制御信号をシャッタ102に出力するようになっている。
【0042】
また、駆動回路121は、制御信号30及び内部トリガ信号41に基づいて第2の駆動信号32を生成し、CCD120に出力するようになっている。この第2の駆動信号32は、CCD120を低速度撮像動作状態に設定する信号、CCD120を超高速度撮像動作状態に設定する信号、内部トリガ信号41を入力してから100枚分の超高速度撮像をCCD120に行わせる信号、低速度撮像及び超高速度撮像による信号電荷をCCD120から読み出す信号を含む。なお、駆動回路121は、本発明に係る駆動手段を構成する。
【0043】
A/D変換器122は、低速度撮像及び超高速度撮像によるアナログ信号をCCD120から読み出してデジタル信号に変換し、メモリ123に出力するようになっている。
【0044】
メモリ123は、例えばSDRAMで構成され、A/D変換器122が出力したデジタル信号を蓄積するようになっている。
【0045】
信号処理回路131は、メモリ113及び123にそれぞれ蓄積されたデジタル信号を結合し、連続した映像信号として出力するようになっている。例えば、信号処理回路131は、NTSC(National Television Standards Committee)やHD−SDI(High Definition - Serial Digital Interface)等の規格の映像信号を出力するものである。なお、信号処理回路131は、本発明に係る撮像信号結合手段及び撮像信号出力手段を構成する。
【0046】
VF132は、例えば液晶の表示画面を備え、信号処理回路131が出力する映像信号に基づいた映像を表示するようになっている。
【0047】
次に、本実施形態における超高速度撮像装置100の動作について図2及び図4を用いて説明する。図4は、超高速度撮像装置100の動作を示すタイミングチャートであって、時刻(a〜f)に対する各信号の状態と、CCD110及び120の出力との関係を示している。第1の駆動信号31及び第2の駆動信号32の表示において、それぞれ、撮像のタイミングを示す駆動パルスの位置と、読み出しのタイミングとを別個に示している。ここで、駆動パルスの1つが1枚の撮像に相当するものとする。
【0048】
まず、撮像制御装置201からの制御信号30に基づき、駆動回路121が第2の駆動信号32を生成し、図4に示すように、CCD120を低速度駆動状態にする。なお、CCD120を低速度駆動状態にする前に、シャッタ102は既に開状態になっているものとする。
【0049】
駆動回路121からは、低速度駆動状態においてCCD120に撮像させる駆動パルスが1/30秒間隔でCCD120に出力され、駆動パルスが出力される間隔時間内でCCD120から信号電荷が読み出される。その結果、例えば時刻aにおいて、CCD120からは図示のように出力信号が得られる。CCD120からの出力信号は、A/D変換器122及びメモリ123を経由して信号処理回路131に送られ、映像信号として出力される。したがって、VF132は、CCD120による映像をリアルタイムで表示することができる。
【0050】
次に、時刻bにおいて、駆動回路111は、撮像制御装置201から撮影開始信号を入力すると、第1の駆動信号31を生成し、駆動パルスをCCD110に出力する。その結果、CCD110は超高速度撮像動作状態となる。
【0051】
続いて、時刻cにおいて、駆動回路111は、トリガ信号発生装置202から外部トリガ信号40を入力すると、時刻cから(1/100万)秒間隔で駆動パルスをCCD110に100枚分出力し、100枚目の撮像完了の時刻dで駆動パルスの出力を停止するとともに、時刻dにおいて内部トリガ信号41を発生して駆動回路121に出力する。
【0052】
内部トリガ信号41を入力した駆動回路121は、駆動パルスを切り替え、CCD120を低速度駆動状態から超高速度撮像動作状態にする。すなわち、駆動回路121は、時刻dの(1/100万)秒後から(1/100万)秒間隔で駆動パルスをCCD120に100枚分出力し、100枚目の撮像完了の時刻eで駆動パルスの出力を停止する。
【0053】
CCD120が超高速度で100枚分撮像した後、駆動回路121は、シャッタ102を閉じるシャッタ制御信号をシャッタ102に出力する。その後、駆動回路111及び121は、それぞれ、超高速度の撮像による100枚分の信号電荷を読み出す信号(図中の"Read Out")をCCD110及び120に出力する。その結果、例えば時刻fにおいてCCD110及び120から図示のような出力信号が得られる。ここで、図4においては、CCD110及び120から信号電荷を同時に読み出すものとしているが、読み出しは同時でなくてもよい。ただし、超高速度撮像の終了後、できるだけ早い時刻に読み出すのが好ましい。
【0054】
なお、図4において、CCD110及び120が、それぞれ、超高速度で撮像する時間間隔が本発明に係る所定時間間隔に対応する。また、CCD120が低速度で撮像する時間間隔が本発明に係る長時間間隔に対応する。
【0055】
引き続き、CCD110からの出力信号(1枚目〜100枚目)は、A/D変換器112を経由してメモリ113に蓄積される。一方、CCD120からの出力信号(101枚目〜200枚目)は、A/D変換器122を経由してメモリ123に蓄積される。
【0056】
そして、信号処理回路131は、メモリ113に蓄積された映像信号と、メモリ123に蓄積された映像信号とを結合し、1枚目〜200枚目の映像信号を出力する。
【0057】
次に、図2及び図4を用いて行った超高速度撮像装置100の動作説明を、さらに図5を参照して具体的に説明する。図5は、被写体及びVF映像を含めた動作シーケンス図である。この例では、板にぶつかるボールを被写体としている。
【0058】
シャッタ102が開いてから撮影開始信号を入力するまでの間(例えば時刻a)においては、CCD110は停止状態にあるが、CCD120が低速度駆動状態にあり、CCD120は低速度(30枚/秒)で被写体を撮像する。このとき、VF132にはCCD120による映像がリアルタイムで表示される。したがって、操作者は、超高速度撮像を試行的に実施する際に、VF132の映像を見ながら、画角、フォーカス等の調整を行うことができる。
【0059】
次に、撮影開始信号を入力した時刻bにおいて、CCD110は停止状態から超高速度撮像動作状態になる。このときも、VF132にはCCD120による映像が表示されている。
【0060】
さらに、外部トリガ信号40を入力した時刻cにおいて、CCD110は超高速度(100万枚/秒)で100枚分の撮像を開始し、100枚目の撮像が終了した時刻dで撮像を停止する。時刻cから時刻dまでの間も、CCD120は低速度で被写体を撮像し、VF132にはCCD120による映像が表示されている。
【0061】
時刻dにおいて、CCD120は、低速度駆動状態から超高速度撮像動作状態になり、超高速度で100枚分の撮像を開始し、100枚目の撮像が終了した時刻eで撮像を停止する。時刻d以降では、CCD120は超高速度撮像動作状態にあり、VF132には映像が表示されない。
【0062】
時刻eにおいて、駆動回路121によってシャッタ102(図示省略)が閉じられた後、CCD110及び120から超高速度の撮像による100枚分の信号電荷の読み出しが開始される。この読み出し期間中、例えば時刻fにおいてもVF132には映像が表示されない。
【0063】
以上のように、本実施形態における超高速度撮像装置100によれば、BS103は、被写体光20を第1の被写体光21と第2の被写体光22とに分離し、CCD110は、第1の被写体光21を入射し、外部トリガ信号40の入力時から100枚分(1枚目〜100枚目)の超高速度撮像を行い、CCD120は、第2の被写体光22を入射し、CCD110に続いて100枚分(101枚目〜200枚目)の超高速度撮像を行うとともに、CCD110の1枚目の超高速度撮像の前に低速度撮像を行って、低速度撮像による映像信号を出力する構成としたので、超高速度撮像の長時間化を図ることができ、さらに、超高速度撮像を実行中の映像と同じ映像が取得できる。
【0064】
次に、本実施形態の他の態様について説明する。前述の実施形態においては、超高速度撮像装置100が、被写体光20を2つに分離し、2つのCCD110及び120により受光し、超高速度撮像による撮像を2つのCCD110及び120で行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、被写体光20を3つ以上に分離し、超高速度撮像による撮像を3つ以上のCCDで行う構成とすることもできる。
【0065】
例えば、被写体光20を3つに分離する構成例を図6に基づき説明する。図6(a)に示すように、2つのBS301及び302を設けて被写体光20を3つに分離し、3つのCCD311、312及び313で受光する構成としてもよい。また、図6(b)に示すように、2つのBS301及び302と、ミラー303とを設けて被写体光20を3つに分離し、3つのCCD311、312及び313で受光する構成としてもよい。
【0066】
図6(a)及び(b)に示した構成において、例えばCCD311、312、313の順序で超高速度撮像を実施する場合、低速度撮像を行う撮像手段としてCCD313を選択するのが好ましいが、CCD312を選択してもよい。また、この場合、トリガ信号発生手段が、CCD311による超高速度撮像の終了時と、CCD312による超高速度撮像の終了時とに内部トリガ信号41を発生する構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態における超高速度撮像装置の基本構成を示す図
【図2】本発明の一実施形態における超高速度撮像装置の詳細な構成を示す図
【図3】本発明の一実施形態における超高速度撮像装置において、低速度撮像動作状態で撮像した信号電荷を出力する動作を示す図
【図4】本発明の一実施形態における超高速度撮像装置の動作を示すタイミングチャート
【図5】本発明の一実施形態における超高速度撮像装置の具体的な動作を示す動作シーケンス図
【図6】本発明の一実施形態における超高速度撮像装置の他の態様の構成図
【図7】画素周辺記録型CCDの動作原理の説明図
【符号の説明】
【0068】
10 画素周辺記録型CCD
11 PD
12 蓄積CCD
12a ドレイン
13 垂直読出転送路
14 水平読出転送路
20 被写体光
21 第1の被写体光
22 第2の被写体光
30 制御信号
31 第1の駆動信号
32 第2の駆動信号
40 外部トリガ信号
41 内部トリガ信号
100 超高速度撮像装置
101 レンズ
102 シャッタ
103、301、302 BS
110、120、311、312、313 CCD
111、121 駆動回路
112、122 A/D変換器
113、123 メモリ
131 信号処理回路
132 VF
201 撮像制御装置
202 トリガ信号発生装置
303 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を入射して複数の被写体光に分離する光分離手段と、前記複数の被写体光をそれぞれ受光して前記被写体を撮像する複数の撮像手段と、予め定められた所定時間間隔の撮像を前記複数の撮像手段ごとに順次行わせる駆動手段と、前記複数の撮像手段によってそれぞれ得られた撮像信号を撮像順に結合する撮像信号結合手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、外部トリガ信号が入力されたとき、及び前記複数の撮像手段ごとに前記所定時間間隔の撮像を終了したときにトリガ信号を発生するトリガ信号発生手段を備え、
前記トリガ信号に基づいて前記複数の撮像手段のそれぞれに前記所定時間間隔による撮像を開始させるものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記複数の撮像手段のうち最初に撮像を開始する撮像手段を除くいずれか1つの撮像手段に対して、前記最初に撮像を開始する時刻より前の時刻から前記いずれか1つの撮像手段が撮像を開始する時刻までの間に、前記所定時間間隔よりも長い長時間間隔で撮像を行わせるものであり、
前記いずれか1つの撮像手段が前記長時間間隔で撮像した撮像信号を出力する撮像信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記いずれか1つの撮像手段は、前記複数の撮像手段のうち最後に撮像を開始する撮像手段であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の撮像手段は、それぞれ、前記光分離手段が分離した前記被写体光を光電変換して信号電荷を生成する受光素子と、該受光素子からの前記信号電荷を順次蓄積する信号電荷蓄積手段と、蓄積された前記信号電荷を予め定められた出力先に順次読み出す信号電荷読出手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−114763(P2010−114763A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286859(P2008−286859)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】