説明

撮像装置

【課題】 ユーザの利便性を損なうことなく撮影状況に応じて消費電力を軽減しうるカメラを提供する。
【解決手段】 装置本体と前記装置本体の前面側に設けられた撮影レンズを介して被写体からの被写体光を撮像する撮像素子111と、前記装置本体の前記前面側とは反対側である背面側に設けられた第1表示部4と第2表示部7とを備え、前記第1表示部4を遮蔽するように当該第1表示部4に重ね合わせた第1状態と当該第1表示部4が露出するように当該装置本体の上面から突出せしめた第2状態とに切り換え可能な表示ユニットと、前記表示ユニットの、前記第2状態下での前記装置本体に対する配置状態に基づいて、前記第1表示部4を低消費電力モードによる所定の表示状態に制御する表示制御部110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する複数の表示部を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラの背面にスルー画像を表示可能なモニタを備え、ハイアングルやローアングルの撮影姿勢においてモニタの画像を見やすいようにモニタを回動させることができるカメラが存在する(特許文献1参照)。また、電子ビューファインダと液晶ディスプレイ等、複数の表示部を備えたカメラが存在する(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−43717号公報
【特許文献2】特開2004−104335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、デジタルカメラにおいては、電池の消費をできるだけ軽減することが望ましく、従来から種々の方法により消費電力を軽減する技術が開発されている。特に、複数のディスプレイを備えたカメラの場合には、一方のディスプレイにスルー画像を表示し、他方のディスプレイにメニュー画像やカメラ操作に関する補助的な情報を表示することができるので、ユーザにとっては利便性が高いが消費電力が大きいという問題を有す。
【0004】
本発明は、ユーザの利便性を損なうことなく消費電力を軽減しうるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のような解決手段により上記課題を解決する。なお、理解を容易にするため、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0006】
本発明に係るカメラ(1)は、装置本体(2)と、前記装置本体(2)の前面側に設けられた撮影レンズ(3)を介して被写体からの被写体光を撮像する撮像素子(111)と、前記装置本体(2)の前記前面側とは反対側である背面側に設けられた第1表示部(4)と第2表示部(7)とを備え、前記第1表示部(4)を遮蔽するように当該第1表示部(4)に重ね合わせた第1状態と当該第1表示部が露出するように当該装置本体(2)の上面から突出せしめた第2状態とに切り換え可能な表示ユニット(6)と、前記表示ユニット(6)の、前記第2状態下での前記装置本体(2)に対する配置状態に基づいて、前記第1表示部(4)を低消費電力モードによる所定の表示状態に制御する表示制御部(110)とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、表示ユニットの配置状態に基づいて第1表示部を低消費電力モードの表示状態に制御する。従って、ユーザの利便性を損なうことがなくカメラの消費電力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るカメラについて説明する。図1は、本実施形態に係るカメラの側面図である。カメラ1は、傾斜した背面部2bを有するカメラ本体2と、カメラ本体2の前面2cに交換(着脱)可能に設けられた撮影レンズ3と、カメラ本体2の背面2b側の上端部に設けられたヒンジ部5によって回転可能に支持された表示ユニット6とを備えている。この表示ユニット6は、所望の回転位置で保持されるように構成されている。図2は、図1に示す表示ユニット6を撮影レンズ3側へ回転させた状態を示す図である。カメラ本体2の背面には第1表示部4が設けられており、表示ユニット6には第2表示部7が設けられている。カメラ1は、表示ユニット6の回転によって、第1表示部4と第2表示部7が対向した状態で重ね合わされた第1状態と、第1表示部4が露出するように、カメラ本体2の上面2aから表示ユニット6が突出した第2状態とに切り換えることができる。
【0009】
図3は、本実施形態に係るカメラ1のシステム構成を示すブロック図である。カメラ1は、撮像素子111、画像データ記憶部112、画像処理部113、メモリカード114、操作部115、角度(回転量)検出部116、角度(回転量)情報記憶部117、第1表示部4、及び第2表示部7と、これらの各部と接続され、カメラ1を構成する各部を制御する制御部110を含んで構成されている。
【0010】
撮像素子111は、CCD或いはCMOS等によって構成され、撮影レンズ2を介した被写体光を撮像してアナログ信号の撮像信号を出力する。画像データ記憶部112は、撮像素子111から出力された撮像信号を図示しないA/D変換部においてA/D変換して生成された画像データを一時的に記憶する。画像処理部113は、画像データ記憶部112に記憶された画像データにホワイトバランス調整、輪郭補償、ガンマ補正等の画像処理を行う。
【0011】
メモリカード114は、SDカード等で構成され、RAWデータ、JPEG等の各画像データや撮影情報(シャッタ速度等の撮影条件の情報)等を記憶する。操作部115は、レリーズボタンや電源ボタン等の各操作ボタンを含み、各操作ボタンを用いたユーザ操作を受付ける。角度(回転量)検出部116は、ヒンジ部5近傍に配置され、表示ユニット6の回転角度を検出する。第1表示部4及び第2表示部7は、液晶ディスプレイ等で構成されており、スルー画像やメニュー画像等を表示する。
【0012】
角度(回転量)情報記憶部117は、表示ユニット6の回転角度に応じて撮影フォームがハイアングル又はローアングルであるか否かを判断するための角度情報(θ1,θ2)を記憶している。図4は、撮影フォームがハイアングル及びローアングルの場合における表示ユニット6の回転位置を示している。図4(a)に示すように、第1表示部4と第2表示部7が平行となる表示ユニット6の位置(図4(a)で表示ユニット6が実線で示される位置)を基準位置として、表示ユニット6が、その基準位置からカメラ本体2の背面側に角度θ2以上傾いている場合(表示ユニット6が6aで示されるような回転位置に配置される場合)をハイアングル撮影フォームとし、一方その基準位置から前面側に角度θ1以上傾いている場合(表示ユニット6が6bで示されるような回転位置に配置される場合)をローアングル撮影フォームとする。図4(b)には、ローアングル撮影フォームで撮影する例を、図4(c)には、ハイアングル撮影フォームで撮影する例を示している。
【0013】
次に、図5に示すフローチャートを参照して本実施形態に係るカメラ1の動作を説明する。カメラ1の制御部110は、操作部115を用いて電源がオンされると(ステップS11)、角度(回転量)検出部116により表示ユニット6の回転角度を検出する(ステップS12)。
【0014】
制御部110は、角度(回転量)情報記憶部117に記憶されている角度情報を読み出し、角度(回転量)検出部116により検出された検出角度が基準位置から背面側にθ2以上傾いている角度である場合には、ハイアングル撮影フォームであると判断する(ステップS13のYES判断)。また、制御部110は、ステップS13において、ハイアングル撮影フォームではないと判断した場合において、検出角度が基準位置から前面側にθ1以上傾いている角度であるときには、ローアングル撮影フォームであると判断する(ステップS14のYES判断)。制御部110は、ステップS13又はステップS14において、ハイアングル撮影フォーム又はローアングル撮影フォームであると判断された場合には、撮像素子111から出力された撮像信号に基づいて画像処理部113により画像処理されたスルー画像を第2表示部7に表示し(ステップS15)、第1表示部4を消灯する(ステップS16)。
【0015】
また、制御部110は、ステップS14において、検出角度が基準位置から前面側にθ1以上傾いている角度ではないと判断した場合には(ステップS14のNO判断)、撮像素子111から出力された撮像信号に基づいて画像処理部113により画像処理されたスルー画像を第2表示部7に表示し(ステップS17)、第1表示部4に、現在の撮影条件(シャッタ速度、絞り値等)、輝度ヒストグラム等の撮影情報や、それら撮影情報の変更設定用のメニュー画像等を表示する(ステップS18)。
【0016】
制御部110は、操作部115を用いて電源がオフされた場合には(ステップS19)、処理を終了し、電源がオフされない場合には(ステップS19)、ステップS12に戻って上記各ステップの処理を繰り返し行う。
【0017】
本実施形態に係るカメラにおいては、表示ユニット6の回転角度に応じて撮影フォームがハイアングルかローアングルかを判断し、撮影フォームがハイアングル又はローアングルである場合には、第2表示部7にスルー画像を表示し、第1表示部4を消灯する。ハイアングルやローアングルで撮影を行う際には、撮影者は第1表示部4に表示された画像は全く見えないか、見えにくい状態となる。そのため、ハイアングル又はローアングルでの撮影時に、第1表示部4を消灯して第2表示部7のみにスルー画像を表示してもユーザの利便性を損なうことがない。また、このようにすることでカメラの消費電力を軽減することができる。
【0018】
なお、上述した実施形態では、電源がオンされたときに表示ユニット6の角度を検出しているが、ユーザによりレリーズボタンが半押しされた場合に、角度(回転量)検出部117により表示ユニット6の角度を検出してもよい。レリーズボタンの半押し操作がなされるまでは、ユーザは第1表示部4及び第2表示部7を見ている場合があることから、レリーズボタンの半押し操作時に撮影フォームを判断し、ハイアングル又はローアングルの撮影フォームである場合に第1表示部4を消灯することで、ユーザの利便性を高めつつカメラの省電力化を図ることができる。
【0019】
また、上述した実施形態では、表示ユニット6の角度に応じてハイアングル又はローアングルの撮影フォームを判断している。これに加えて、上述の実施形態に係るカメラの第1表示部4の下縁部の近傍に撮影者(物体)の有無を検知するための近接センサを備え、これを使って次のように判断してもよい。表示ユニット6がカメラの背面側に角度θ2以上傾いている場合であって、且つ近接センサにより撮影者が検知されなかったときに、撮影フォームがハイアングルであると判断する。そして、表示ユニット6がカメラの前面側に角度θ1以上傾いている場合であって、且つ近接センサにより撮影者が検知されたときに、撮影フォームがローアングルであると判断する。この場合、表示ユニットの角度だけでなく近接センサをも用いて撮影者が検知されたか否かを撮影フォームの判断条件としているので、撮影フォームの判断をより的確に行うことができる。
【0020】
また、上述した実施形態では、撮影フォームがハイアングル又はローアングルである場合に、第1表示部4を消灯することで低消費電力モードの表示状態にするものとして説明した。しかしながら、第1表示部4のコントラストや輝度を落として表示したり、または、第1表示部4への画像信号の出力を停止したりする等の表示状態にしてもよい。
【0021】
また、上述した実施形態では、撮影フォームがハイアングル又はローアングルの何れでもない場合に、第2表示部7にスルー画像を表示し、第1表示部4に撮影情報やメニュー画像を表示するものとして説明したが、第1表示部4と第2表示部7とを一つの画面としてスルー画像を表示するようにしてもよい。
【0022】
なお、本実施形態では、撮影者の第1表示部4に対する視認性を鑑みて背面を傾斜させた構造にしたが、本発明は、これに限定されるものではない。カメラ背面を撮影レンズ光軸にほぼ垂直に形成し、第1表示部4もその光軸に略垂直な面に配設させたカメラにおいても、本発明は適用可能である。
【0023】
また、上記実施形態では、レンズ交換式のカメラについて説明したが、本発明はこれに限られず、レンズ一体式カメラにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係るカメラが第1状態である場合の側面図である。
【図2】実施形態に係るカメラが第2状態である場合の側面図である。
【図3】実施形態に係るカメラのシステムブロック図である。
【図4】(a)は、実施形態に係るハイアングル撮影フォーム及びローアングル撮影フォームを説明する図であり、(b)は、ローアングル撮影フォームで撮影する例を示す図であり、(c)は、ハイアングル撮影フォームで撮影する例を示す図である。
【図5】実施形態に係るカメラの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
1…カメラ、2…カメラ本体、3…撮影レンズ、4…第1表示部、5…ヒンジ部、6…表示ユニット、7…第2表示部、110…制御部、111…撮像素子、112…画像データ記憶部、113…画像処理部、114…メモリカード、115…操作部、116…角度(回転量)検出部、117…角度(回転量)情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の前面側に設けられた撮影レンズを介して被写体からの被写体光を撮像する撮像素子と、
前記装置本体の前記前面側とは反対側である背面側に設けられた第1表示部と第2表示部とを備え、前記第1表示部を遮蔽するように当該第1表示部に重ね合わせた第1状態と当該第1表示部が露出するように当該装置本体の上面から突出せしめた第2状態とに切り換え可能な表示ユニットと、
前記表示ユニットの、前記第2状態下での前記装置本体に対する配置状態に基づいて、前記第1表示部を低消費電力モードによる所定の表示状態に制御する表示制御部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示ユニットの、前記第2状態下での前記装置本体に対する配置状態に基づいて、使用者による撮影フォームが所定の撮影フォームか否かを判別する判別部を備え、
前記第2表示部は前記装置本体に対して回転可能に取り付けられており、
前記表示制御部は、前記所定の撮影フォームであると判別されると、前記第2表示部に前記撮像素子から出力される撮像信号に基づくスルー画像を表示し、前記第1表示部を前記所定の表示状態に制御することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記所定の撮影フォームは、ローアングル撮影フォーム又はハイアングル撮影フォームであり、
前記判別部は、前記第1表示部の表示面と平行な面よりも、前記装置本体の前記前面側に前記第2表示部が所定角度以上回転された位置に配置されている場合に前記ローアングル撮影フォームであると判別し、前記装置本体の前記背面側に前記第2表示部が所定角度以上回転された位置に配置されている場合に前記ハイアングル撮影フォームであると判別することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記装置本体の背面に、当該背面方向の対象物を検知する検知部を備え、
前記判別部は、前記検知部によって、前記対象物が検知されたときは前記ローアングル撮影フォームであると判別し、前記対象物が検知されなかったときは前記ハイアングル撮影フォームであると判別することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記所定の表示状態は、前記第1表示部の消灯を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−4109(P2010−4109A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158948(P2008−158948)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】