撮像装置
【課題】焦点距離によらず適切な視差とし、立体視しやすい立体視画像を撮影することができる。
【解決手段】シャッタボタンが半押しされると、CPU40は焦点距離を取得し、取得した焦点距離に基づいて遮光部材16A、16Bの移動量を決定し、決定された移動分だけ遮光部材16A、16Bを移動させる。焦点距離が所定の値より小さい場合(点a参照)には、遮光部材16A、16BがフォトダイオードPDを覆う量を増やすように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。焦点距離が所定の値より大きい場合(点c参照)には、遮光部材16AがフォトダイオードPDを覆う量を減らすように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。所定の焦点距離の場合(点b参照)には、遮光部材16A、16Bは移動されない。
【解決手段】シャッタボタンが半押しされると、CPU40は焦点距離を取得し、取得した焦点距離に基づいて遮光部材16A、16Bの移動量を決定し、決定された移動分だけ遮光部材16A、16Bを移動させる。焦点距離が所定の値より小さい場合(点a参照)には、遮光部材16A、16BがフォトダイオードPDを覆う量を増やすように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。焦点距離が所定の値より大きい場合(点c参照)には、遮光部材16AがフォトダイオードPDを覆う量を減らすように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。所定の焦点距離の場合(点b参照)には、遮光部材16A、16Bは移動されない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に係り、特に撮影レンズの左右方向の異なる領域を通過した被写体像をそれぞれ撮像素子に結像させ、左視点画像及び右視点画像を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の単眼立体撮像装置として、特許文献1には、図23に示す光学系を有する単眼立体撮像装置が記載されている。この光学系は、メインレンズ1及びリレーレンズ2の左右方向の異なる領域を通過した被写体像をミラー4により瞳分割し、それぞれ結像レンズ5、6を介して撮像素子7、8に結像させるようにしている。
【0003】
図24(A)〜(C)は、それぞれ前ピン、合焦(ベストフォーカス)、及び後ピンの違いによる撮像素子に結像する像の分離状態を示す図である。なお、図24では、フォーカスによる分離の違いを比較するために、図23に示したミラー4及び結像レンズ5、6を省略している。
【0004】
図24(B)に示すように瞳分割された像のうちの合焦している像は、撮像素子上の同一位置に結像する(一致する)が、図24(A)及び(C)に示すように前ピン及び後ピンとなる像は、撮像素子上の異なる位置に結像する(分離する)。
【0005】
したがって、左右方向に瞳分割された被写体像を撮像素子7、8を介して取得することにより、被写体距離に応じて視差の異なる左視点画像及び右視点画像(3D画像)を取得することができる。
【0006】
特許文献2には、光軸を中心として左右方向の対称位置にそれぞれ同形状の開口部が形成された瞳分割部を有し、瞳分割部の左側開口部を通過した光束の画像(第1画像)と、瞳分割部の右側開口部を通過した光束の画像(第2画像)とを順番に撮影する電子カメラが記載されている。
【0007】
特許文献3には、多数の画素が同一撮像面上に配列された固体撮像素子の多数の画素を2つのグループに区分けし、各グループにおける画素の受光入射角度をそれぞれ異ならせることが記載されている。特許文献3に記載の発明によれば、1つの固体撮像素子で異なる2方向からの入射光を同時に受光することにより、一度の撮影で2つの画像信号を生成できる、すなわち立体画像を形成可能な画像信号が生成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2009−527007号公報
【特許文献2】特開2007−104248号公報
【特許文献3】特開2003−7994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜3に記載の発明から分かるように、単眼立体撮像装置においては、同じ光学系で得られた光を左右方向に瞳分割するという構造上の特性がある。
【0010】
図24は、瞳分割されることにより得られた2枚の画像の視差とF値との関係を、異なる焦点距離毎に示したグラフである。視差とは2枚の画像の位置あるいは視方向の差異であり、2枚の画像の中心間の距離と視差とは比例関係にある。視差が大きい場合は、2枚の画像の中心間の距離が大きいため、2枚の画像から生成された立体画像が立体に見えやすくなる。
【0011】
図25に示すように、単眼立体撮像装置においては、焦点距離が小さい、すなわちワイドの場合は視差が小さいことが分かる。したがって、焦点距離が所定の値より小さい場合には、生成された立体画像が立体に見えにくいことが分かる。
【0012】
しかしながら、特許文献1〜3には、このような問題点及びその解決方法については全く記載されていない。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、焦点距離によらず適切な視差とし、立体視しやすい立体視画像を撮影することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の撮像装置は、撮影光学系と、前記撮影光学系を通過した光束を複数の光束に分割する瞳分割手段と、前記分割された複数の光束をそれぞれ受光して複数の画像を取得する撮像手段、前記撮影光学系の焦点距離を変更させるレンズ駆動手段と、前記光束の一部を遮光する遮光手段と、前記焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、前記取得された焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には遮光量を少なくし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には遮光量を多くするように前記遮光手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の撮像装置によれば、撮影光学系を通過した光束は一部が遮光され、複数の光束に分割され、複数の光束をそれぞれ受光して複数の画像を取得する。撮影光学系の焦点距離を変更させて焦点距離を取得し、その取得された焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には遮光量を少なくし、その取得された焦点距離が所定の焦点距離より小さい場合には遮光量を多くする。これにより、焦点距離に基づいて遮光量を変え、取得される複数の画像の視差を変えることができる。
【0016】
請求項2に記載の撮像装置は、請求項1に記載の単眼立体撮像装置において、前記制御手段は、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合又は小さい場合には、前記所定の焦点距離のときに前記撮像手段により取得される際の複数の画像の視差と略同一の視差となるように前記遮光手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の撮像装置によれば、取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合又は小さい場合には、所定の焦点距離のときの複数の画像の視差と略同一の視差となるように遮光量を変える。これにより、焦点距離によらず視差を均一にすることができる。
【0018】
請求項3に記載の撮像装置は、請求項1又は2に記載の単眼立体撮像装置において、前記撮像手段は、複数の画素から構成された撮像素子を有し、前記瞳分割手段及び遮光手段は、前記複数の画素毎に設けられ、前記画素へ入射される光の一部を遮光する遮光部材であることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の撮像装置によれば、複数の画素から構成された撮像素子の複数の画素毎には、画素への入射光の一部を遮光する遮光部材が配設される。これにより、遮光部材が撮影光学系を通過した光束の一部を遮光するとともに、光束を複数の光束に分割することができる。
【0020】
請求項4に記載の撮像装置は、請求項3に記載の単眼立体撮像装置において、前記遮光部材を任意の位置へ移動させる遮光部材駆動手段を備え、前記制御手段は、前記遮光部材駆動手段を介して前記遮光部材を適切な位置へ移動させることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の単眼立体撮像装置によれば、遮光部材を任意の位置へ移動させる遮光部材駆動手段を介して遮光部材が適切な位置へ移動される。これにより、任意の遮光量となるように遮光量を変えることができる。
【0022】
請求項5に記載の撮像装置は、請求項3に記載の単眼立体撮像装置において、前記遮光部材は、前記画素によって異なる遮光量となるように前記光束の一部を遮光し、前記制御手段は、前記取得された焦点距離に応じて所望の画素を選択することを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の撮像装置によれば、画素によって異なる遮光量となるように光束の一部が遮光されており、焦点距離に応じて所定の画素が選択され、選択された画素に基づいて複数の画像が生成される。これにより、焦点距離に応じて遮光量を変える、すなわち視差を変えることができる。
【0024】
請求項6に記載の撮像装置は、請求項1又は2に記載の単眼立体撮像装置において、前記遮光手段は、前記光束のうちの光軸を含む一部を機械的に遮蔽する大きさが変更自在な遮蔽板を有し、前記制御手段は、前記取得された焦点距離に基づいて前記遮蔽板の大きさを変更させることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の撮像装置によれば、光束のうちの光軸を含む一部を機械的に遮蔽する遮蔽板の大きさが変更される。これにより、遮光量、すなわち視差を変更することができる。
【0026】
請求項7に記載の撮像装置は、請求項6に記載の単眼立体撮像装置において、レンズ鏡胴に回動自在に配設されたカム筒であって、カム溝が形成されたカム筒と、前記遮光板の大きさを変更させる遮光板移動手段と、前記カム溝と前記遮光板移動手段とを連結する連結手段と、を備え、前記ズームレンズ駆動手段は、前記カム筒を回動させることにより前記ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、前記制御手段は、前記ズームレンズ駆動手段を制御することを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載の撮像装置によれば、レンズ鏡胴に回動自在に配設されたカム筒にはカム溝が形成され、このカム溝と遮光板の大きさを変更させる遮光板移動手段とが連結される。これにより、ズームレンズが光軸方向に進退動作させ、焦点距離が変更されると、それに連動して遮光板の大きさを変えることができる。
【0028】
請求項8に記載の撮像装置は、請求項6又は7に記載の単眼立体撮像装置において、前記瞳分割手段はミラーであることを特徴とする。これにより、光束が複数に分割される。その結果、複数の撮像素子に分割された光束をそれぞれ結像させることができる。
【0029】
請求項9に記載の撮像装置は、請求項1又は2に記載の単眼立体撮像装置において、液晶表示手段からなる略円板形状の偏光板であって、光軸を中心に2つの領域に左右対称に分割されると共に、前記光束が通過しない領域を当該偏光板の外周に沿って任意の幅で形成可能な偏光板を有することを特徴とする。
【0030】
請求項9に記載の撮像装置によれば、液晶表示手段からなる略円板形状の偏光板を有し、偏光板は光軸を中心に2つの領域に左右対称に分割されている。これにより、光束を2つに分割することができる。また、偏光板には、光束が通過しない領域を当該偏光板の外周に沿って任意の幅で形成できる。これにより、遮光量を任意に変更する、すなわち視差を任意に変更することができる。
【0031】
請求項10に記載の撮像装置は、請求項9に記載の単眼立体撮像装置において、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合には前記光束の周囲の遮光量を多くし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には前記光束の周囲の遮光量を少なくすることを特徴とする。
【0032】
請求項10に記載の撮像装置によれば、焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には、光束の周囲の遮光量を多くし、視差を小さくする。また、焦点距離が所定の焦点距離より小さい場合には、光束の周囲の遮光量を少なくし、視差を大きくする。これにより、焦点距離に基づいて遮光量を変え、取得される複数の画像の視差を変えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、焦点距離によらず適切な視差とし、立体視しやすい立体視画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10内部のブロック図
【図2】単眼立体撮像装置10の位相差CCDの構成例を示す図
【図3】撮影レンズ、絞り、及び位相差CCDの主、副画素の1画素ずつを示した図
【図4】図3の要部拡大図。
【図5】位相差CCDを前面側から見た図である。
【図6】左視点画像データ及び右視点画像データの視差と、F値(被写体の明るさ)との関係を異なる焦点距離について示した図
【図7】図6の点a〜cにおける位相差CCDの主、副画素の1画素ずつを示した図
【図8】視差Xとなるまで遮光部材を移動できない場合の例
【図9】透明な液晶パネルを用いた遮光部材の例
【図10】遮光部材をマイクロレンズの前面に配設した例
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−1の実施の形態を示すブロック図
【図12】単眼立体撮像装置10−1の位相差CCDの構成例を示す図
【図13】撮影レンズ、絞り、及び位相差CCDの主、副画素の2画素ずつを示した模式図
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−2の実施の形態を示すブロック図
【図15】撮影レンズ、絞り、偏光部材及び位相差CCDの主、副画素の1画素ずつを示した模式図
【図16】(a)は偏光部材の領域分割を無くした例であり、(b)は偏光部材の領域分割を無くさない例
【図17】偏光部材が光束の周囲の遮光量を変更したときの視差の変化を示す図であり、(a)は遮光量が大きい例であり、(b)は遮光量が少ない例である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−3の実施の形態を示すブロック図
【図19】は撮影レンズ、遮光部材、絞り、ミラー及び位相差CCDの1画素ずつを示した模式図
【図20】遮光部材の模式図
【図21】遮光部材の遮光板の模式図
【図22】(a)は移動部材の遮光板を光路から退避させた例であり、(b)は移動部材の遮光板を光路から退避させない例
【図23】従来の単眼立体撮像装置の光学系の模式図
【図24】それぞれ前ピン、合焦(ベストフォーカス)、及び後ピンの違いによる撮像素子に結像する像の分離状態を示す図
【図25】瞳分割されることにより得られた2枚の画像の視差とF値との関係を、異なる焦点距離毎に示した図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に従って本発明に係る単眼立体撮像装置の実施の形態について説明する。
【0036】
<第1の実施の形態>
[撮像装置の全体構成]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10の実施の形態を示すブロック図である。
【0037】
この単眼立体撮像装置10は、撮像した画像をメモリカード54に記録するもので、装置全体の動作は、中央処理装置(CPU)40によって統括制御される。
【0038】
単眼立体撮像装置10には、シャッタボタン、モードダイヤル、再生ボタン、MENU/OKキー、十字キー、BACKキー等の操作部38が設けられている。この操作部38からの信号はCPU40に入力され、CPU40は入力信号に基づいて単眼立体撮像装置10の各回路を制御し、例えば、レンズ駆動制御、絞り駆動制御、撮影動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、立体表示用の液晶モニタ30の表示制御などを行う。
【0039】
シャッタボタンは、撮影開始の指示を入力する操作ボタンであり、半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチとを有する二段ストローク式のスイッチで構成されている。モードダイヤルは、静止画を撮影するオート撮影モード、マニュアル撮影モード、人物、風景、夜景等のシーンポジション、及び動画を撮影する動画モードのいずれかを選択する選択手段である。
【0040】
再生ボタンは、撮影記録した立体視画像(3D画像)、平面画像(2D画像)の静止画又は動画を液晶モニタ30に表示させる再生モードに切り替えるためのボタンである。MENU/OKキーは、液晶モニタ30の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。十字キーは、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりするボタン(カーソル移動操作手段)として機能する。また、十字キーの上/下キーは撮影時のズームスイッチあるいは再生モード時の再生ズームスイッチとして機能し、左/右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。BACKキーは、選択項目など所望の対象の消去や指示内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻らせる時などに使用される。
【0041】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、絞り14を介して位相差イメージセンサである固体撮像素子(以下、「位相差CCD」という)16の受光面に結像される。撮影レンズ12は、フォーカスレンズ、ズームレンズを含み、CPU40によって制御されるレンズ駆動部36によって駆動され、フォーカス制御、ズーム制御等が行われる。
【0042】
レンズ駆動部36は、CPU40からの指令に従い、フォーカスレンズを光軸方向に移動させ、焦点位置を可変する。また、レンズ駆動部36は、CPU40からの指令に従い、ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、焦点距離を変更させる。
【0043】
絞り14は、例えば、5枚の絞り羽根からなり、CPU40によって制御される絞り駆動部34によって駆動され、例えば、絞り値F2.8 〜F11まで1AV刻みで5段階に絞り制御される。
【0044】
また、CPU40は、絞り駆動部34を介して絞り14を制御するとともに、CCD制御部32を介して位相差CCD16での電荷蓄積時間(シャッタスピード)や、位相差CCD16からの画像信号の読み出し制御等を行う。また、CPU40は、CCD駆動部33を介して遮光部材16A、16B(図2参照)を駆動する。位相差CCD16及び遮光部材16A、16Bについては、後に詳述する。
【0045】
位相差CCD16に蓄積された信号電荷は、CCD制御部32から加えられる読み出し信号に基づいて信号電荷に応じた電圧信号として読み出される。位相差CCD16から読み出された電圧信号は、アナログ信号処理部20に加えられる。
【0046】
アナログ信号処理部20は、位相差CCD16から出力された電圧信号に対して相関二重サンプリング処理(撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理)により各画素ごとのR、G、B信号がサンプリングホールドされ、増幅されたのちA/D変換器21に加えられる。A/D変換器21は、順次入力するR、G、B信号をデジタルのR、G、B信号に変換して画像入力コントローラ22に出力する。
【0047】
デジタル信号処理部24は、画像入力コントローラ22を介して入力するデジタルの画像信号に対して、オフセット処理、ホワイトバランス補正及び感度補正を含むゲイン・コントロール処理、ガンマ補正処理、YC処理等の所定の信号処理を行う。
【0048】
ここで、図2(B)及び(C)に示すように,位相差CCD16の奇数ラインの主画素から読み出される主画像データは、左視点画像データとして処理され、偶数ラインの副画素から読み出される副画像データは、右視点画像データとして処理される。
【0049】
デジタル信号処理部24で処理された左視点画像データ及び右視点画像データ(3D画像データ)は、VRAM50に入力される。VRAM50には、それぞれが1コマ分の3D画像を表す3D画像データを記憶するA領域とB領域とが含まれている。VRAM50において1コマ分の3D画像を表す3D画像データがA領域とB領域とで交互に書き換えられる。VRAM50のA領域及びB領域のうち、3D画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている3D画像データが読み出される。VRAM50から読み出された3D画像データはビデオ・エンコーダ28においてエンコーディングされ、カメラ背面に設けられている立体表示用の液晶モニタ30に出力され、これにより3Dの被写体像が液晶モニタ30の表示画面上に表示される。
【0050】
この液晶モニタ30は、立体視画像(左視点画像及び右視点画像)をパララックスバリアによりそれぞれ所定の指向性をもった指向性画像として表示できる立体表示手段である。立体視画像が液晶モニタ30に入力された場合には、液晶モニタ30のパララックスバリア表示層に光透過部と光遮蔽部とが交互に所定のピッチで並んだパターンからなるパララックスバリアを発生させるとともに、その下層の画像表示面に左右の像を示す短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。平面画像や使用者インターフェース表示パネルとして利用される場合には、パララックスバリア表示層には何も表示せず、その下層の画像表示面に1枚の画像をそのまま表示する。なお、液晶モニタ30の形態はこれに限らず、レンチキュラレンズを使用するものや、偏光メガネ、液晶シャッタメガネなどの専用メガネをかけることで左視点画像と右視点画像とを個別に見ることができるものでもよい。
【0051】
また、操作部38のシャッタボタンの第1段階の押下(半押し)があると、CCD40は、AF動作及びAE動作を開始させ、レンズ駆動部36を介して撮影レンズ12内のフォーカスレンズが合焦位置にくるように制御する。また、シャッタボタンの半押し時にA/D変換器21から出力される画像データは、AE検出部44に取り込まれる。
【0052】
AE検出部44では、画面全体のG信号を積算し、又は画面中央部と周辺部とで異なる重みづけをしたG信号を積算し、その積算値をCPU40に出力する。CPU40は、AE検出部44から入力する積算値より被写体の明るさ(撮影Ev値)を算出し、この撮影Ev値に基づいて絞り14の絞り値及び位相差CCD16の電子シャッタ(シャッタスピード)を所定のプログラム線図に従って決定し、その決定した絞り値に基づいて絞り駆動部34を介して絞り14を制御するとともに、決定したシャッタスピードに基づいてCCD制御部32を介して位相差CCD16での電荷蓄積時間を制御する。
【0053】
AF処理部42は、コントラストAF処理又は位相AF処理を行う部分である。コントラストAF処理を行う場合には、左視点画像データ及び右視点画像データの少なくとも一方の画像データのうちの所定のフォーカス領域内の画像データの高周波成分を抽出し、この高周波成分を積分することにより合焦状態を示すAF評価値を算出する。このAF評価値が極大となるように撮影レンズ12内のフォーカスレンズを制御することによりAF制御が行われる。また、位相差AF処理を行う場合には、左視点画像データ及び右視点画像データのうちの所定のフォーカス領域内の主画素、副画素に対応する画像データの位相差を検出し、この位相差を示す情報に基づいてデフォーカス量を求める。このデフォーカス量が0になるように撮影レンズ12内のフォーカスレンズを制御することによりAF制御が行われる。
【0054】
AE動作及びAF動作が終了し、シャッタボタンの第2段階の押下(全押し)があると、その押下に応答してA/D変換器21から出力される主画素及び副画素に対応する左視点画像(主画像)及び右視点画像(副画像)の2枚分の画像データが画像入力コントローラ22からメモリ(SDRAM) 48に入力し、一時的に記憶される。
【0055】
メモリ48に一時的に記憶された2枚分の画像データは、デジタル信号処理部24により適宜読み出され、ここで画像データの輝度データ及び色差データの生成処理(YC処理)を含む所定の信号処理が行われる。YC処理された画像データ(YCデータ)は、再びメモリ48に記憶される。続いて、2枚分のYCデータは、それぞれ圧縮伸張処理部26に出力され、JPEG (joint photographic experts group)などの所定の圧縮処理が実行されたのち、再びメモリ48に記憶される。
【0056】
メモリ48に記憶された2枚分のYCデータ(圧縮データ)から、マルチピクチャファイル(MPファイル:複数の画像が連結された形式のファイル)が生成され、そのMPファイルは、メディア・コントローラ52により読み出され、メモリカード54に記録される。
【0057】
[位相差CCDの構成例]
図2は位相差CCD16の構成例を示す図である。
【0058】
位相差CCD16は、それぞれマトリクス状に配列された奇数ラインの画素(主画素)と、偶数ラインの画素(副画素)とを有しており、これらの主、副画素にてそれぞれ光電変換された2面分の画像信号は、独立して読み出すことができるようになっている。
【0059】
図2に示すように位相差CCD16の奇数ライン(1、3、5、…)には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられ、一方、偶数ライン(2、4、6、…)の画素は、奇数ラインと同様に、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられるとともに、偶数ラインの画素に対して画素同士が2分の1ピッチだけライン方向にずれて配置されている。
【0060】
位相差CCD16の主画素の前面側(マイクロレンズL側)には、遮光部材16Aが配設され、副画素の前面側には、遮光部材16Bが配設される。遮光部材16A、16Bは瞳分割部材としての機能を有している。
【0061】
図3は撮影レンズ12、絞り14、及び位相差CCD16の主、副画素の1画素ずつを示した図であり、図4は図3の要部拡大図である。
【0062】
図4(A)に示すように通常のCCDの画素(フォトダイオードPD)には、射出瞳を通過する光束が、マイクロレンズLを介して制限を受けずに入射する。図4(B)に示すように遮光部材16Aは、主画素(フォトダイオードPD)の受光面の右半分を遮光する。そのため、主画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが受光される。また、図4(C)に示すように遮光部材16Bは、副画素(フォトダイオードPD)の受光面の左半分を遮光する。そのため、副画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが受光される。
【0063】
図5は、位相差CCD16を前面側から見た図である。遮光部材16A、16Bは、それぞれ1枚のシート状に形成されており、透明なシートの一部が黒く着色され、この黒く着色された部分が光を遮光する。図5では、説明のため遮光部材16A、16Bを別の図で記載したが、実際は遮光部材16A、16Bは重ねて配設されている。
【0064】
遮光部材16Aはアクチュエータ16Cにより図5(A)左右方向に移動され、遮光部材16Bはアクチュエータ16Dにより図5(B)左右方向に移動される。アクチュエータ16C、16Dは、CCD駆動部33を構成するもので、例えばMEMS(微小電気機械素子)を用いることができる。CCD駆動部33はCPU40によって駆動制御され、CPU40は遮光量が適切な値となるように遮光部材16A、16Bを図5左右方向に移動させる。
【0065】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0066】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素のみを用いて撮影を行う。
【0067】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、絞り14を介して位相差CCD16の受光面に結像される。CCD制御部32は位相差CCD16の主画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0068】
左視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。
【0069】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD16の主画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0070】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。平面画像の撮影処理においては、AF処理部42は、コントラストAF処理によりF動作を行う。
【0071】
この後、シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD16を露光する。
【0072】
位相差CCD16から出力された画像信号は、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納され、所定の画像記録フォーマット(たとえばExif形式)の画像ファイルとされたのち、メディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、平面画像が撮影、記録される。
【0073】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素、副画素の全てを用いて撮影を行う。
【0074】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、絞り14を介して位相差CCD16の受光面に結像される。CCD制御部32は位相差CCD16の主画素及び副画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0075】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0076】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD16の主画素、副画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0077】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0078】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。そして、CPU40は、焦点距離に基づいて遮光部材16A、16Bの移動量を決定し、CCD駆動部33を介して決定された移動分だけ遮光部材16A、16Bを移動させる。
【0079】
図6は、左視点画像データ及び右視点画像データの視差と、F値(被写体の明るさ)との関係を異なる焦点距離について示したグラフであり、図7は図6の点a〜cにおける位相差CCD16の主、副画素の1画素ずつを示した図である。
【0080】
所定の明るさ(所定のF値)の場合には、焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわちズーム位置がワイド側の場合には視差が小さく、焦点距離が所定の値より大きい場合、すなわちズーム位置がテレ側の場合には視差が大きい。焦点距離以外の条件を一定に、焦点距離を変化させた場合には、例えば図6の点線上を移動する。すなわち焦点距離が小さい場合にはF値が小さく(被写体が明るい)かつ視差が小さく、焦点距離が大きくなるにつれてF値が大きく(被写体が暗い)かつ視差が大きくなる。図6では、焦点距離が小さい場合(図6点a)には、F値が2.8近傍、視差がXaとなり、焦点距離が大きい場合(図6点c)には、F値が8.0近傍、視差がXcとなり、中間の焦点距離の場合(図6点b)には、F値が4近傍、視差がXbとなる。点bの時の視差Xbが適切な視差とすると、焦点距離が大きい点cでの視差は大きく、焦点距離が小さい点aでの視差は小さい。
【0081】
適切な視差に対して、視差が小さい場合、大きい場合ともに、左視点画像データ及び右視点画像データから生成される立体視画像は適切な立体視ができない。視差が小さい場合には、生成された立体視画像が立体画像に見えないという問題がある。視差が大きい場合には、立体感が強すぎるという問題がある。
【0082】
焦点距離が所定の値より小さい場合、例えば図6における点aにおいては、フォトダイオードPDと遮光部材16Aとの関係は図7(A)に示すような状態である。焦点距離が所定の値より大きい場合、例えば図6における点cにおいては、フォトダイオードPDと遮光部材16Aとの関係は図7(C)に示すような状態である。また、適切な視差が得られている場合、例えば、図6における点bにおいては、フォトダイオードPDと遮光部材16Aとの関係は図7(B)に示すような状態である。この点bがプロットされる曲線(図6焦点距離中の曲線)が、F値と視差との関係が最も適切な曲線である。
【0083】
焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわち視差が小さい場合には、遮光部材16AがフォトダイオードPDを覆う量を増やす(図7(A)においては左方向)ように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。この結果、遮光部材16Aは図7(A)実線で示す位置から点線で示す位置へ移動され、フォトダイオードPDに入射される光の中心が外側(図7(A)線lから線l’)へ移動される。
【0084】
フォトダイオードPDに入射される光の中心が外側へ移動されると、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が大きくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が大きくなる。遮光部材16A、16Bは、視差が適切な視差XbとなるようにCPU40により移動される。その結果、図8(a)に示すように、点aが点a’に移動される。
【0085】
本実施の形態では、位相差CCD16へ光が入射される直前で遮光するため、遮光量を変えてもF値は変わらず、位相差CCD16の感度が変わることとなる。焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわち視差が小さい場合には、遮光量を増やすため、感度が低下する。しかしながら、焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわちワイドである場合には、もともとフォトダイオードPDに入射される光の量が多く明るいため、遮光量を増やして感度が落ちたとしても、適切な立体視のために視差を大きくすることにメリットがある。
【0086】
焦点距離が所定の値より大きい場合、すなわち視差が大きい場合には、遮光部材16AがフォトダイオードPDを覆う量を減らす(図7(C)においては右方向)ように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。この結果、遮光部材16Aは図7(C)実線で示す位置から点線で示す位置へ移動され、フォトダイオードPDに入射される光の中心が内側(図7(C)線lから線l’)へ移動される。
【0087】
フォトダイオードPDに入射される光の中心が内側へ移動されると、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が小さくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が小さくなる。遮光部材16A、16Bは、視差が適切な視差XbとなるようにCPU40により移動される。その結果、図8(b)に示すように、点cが点c’に移動される。
【0088】
焦点距離が所定の値より大きい場合、すなわちテレである場合には、フォトダイオードPDに入射される光の量が少なく暗いため、遮光量を減らすことにより感度がよくなるというメリットもある。
【0089】
図8に示すように点a、点cが移動された後でF値を変化させると、点a’、点c’がプロットされた線上を移動し、視差が変わることとなる。点a’に移動後にF値が大きくなると視差は小さくなり、点c’に移動後にF値が小さくなると視差は大きくなる。F値が変更された場合には、必要に応じて、再度適切な視差となるように遮光部材16A、16Bを移動させるようにしてもよい。
【0090】
なお、図7では、遮光部材16Aの場合について示しているが、遮光部材16Bについても同様に移動を行うことはいうまでもない。
【0091】
CPU40は、明るさと、焦点距離と、遮光部材16A、16Bの移動量との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持している。遮光部材16A、16Bの移動量としては、遮光部材16A、16Bの移動後の視差が適切な視差Xとなるような値が記憶されている。
【0092】
CPU40は、焦点距離を取得すると、焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて遮光部材16A、16Bの移動量を決定し、決定された移動量だけ遮光部材16A、16Bを移動させる。その結果、図6の点aの場合には視差がXとなる点a’へと移動され、点cの場合には視差がXとなる点c’へと移動される。図6の点bの場合は、視差は適切な値Xであるため、移動量は「0」、すなわち遮光部材16A、16Bは移動されない。
【0093】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD16を露光する。
【0094】
位相差CCD16の主画素、副画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0095】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0096】
以上のようにしてメモリカード54に記録された画像は、再生ボタンにより単眼立体撮像装置10のモードを再生モードに設定することにより、液晶モニタ30で再生表示させることができる。
【0097】
再生モードに設定されると、CPU40は、メディア・コントローラ52にコマンドを出力し、メモリカード54に最後に記録された画像ファイルを読み出させる。
【0098】
読み出された画像ファイルの圧縮画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、非圧縮の輝度/色差信号に伸張されたのち、ビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。
【0099】
画像のコマ送りは、十字キーの左右のキー操作によって行われ、十字キーの右キーが押されると、次の画像ファイルがメモリカード54から読み出され、液晶モニタ30に再生表示される。また、十字キーの左キーが押されると、一つ前の画像ファイルがメモリカード54から読み出され、液晶モニタ30に再生表示される。
【0100】
本実施の形態によれば、焦点距離に応じて遮光量をかえることにより、どのような焦点距離の場合にも立体視に適切な視差とすることができる。焦点距離によらず視差を均一とすることで、視聴者が立体視しやすい立体視画像を提供することができる。
【0101】
なお、本実施の形態では、遮光部材16A、16Bの移動後の視差が適切な視差(図6の視差Xb)となるように遮光部材16A、16Bを移動量させたが、使用する撮影レンズの種類(例えば、倍率が10倍や30倍のレンズ)や焦点距離によっては適切な視差となるまで遮光部材16A、16Bを移動できない場合も考えられる。
【0102】
これらの場合には、焦点距離によらず視差を均一とすることはできないが、可能な限り適切な視差に近づけるようにすることで、焦点距離による視差の差異が小さくなり、視差調整を行わない場合に比べて立体視がしやすい立体視画像を提供することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、図8に示すように点aが点a’へ移動され、点cから点c’へ移動されるように遮光部材16A、16Bを移動させたが、移動後の点がF値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上に移動されるようにしてもよい。この場合には、F値が小さい場合の視差は視差Xbより大きくなり、F値が大きい場合の視差はXbより小さくなる。但し、F値が変化したとしても視差がXaやXcまで変化することは無いため、F値が変化したとしても遮光量を変えることなく、適切な立体感とすることができる。
【0104】
また、本実施の形態では、透明なシートの一部が黒く着色された遮光部材16A、16Bを用いてフォトダイオードPDへの入射光を遮光したが、遮光部材16A、16Bはこれに限らない。例えば、図9に示すように透明な液晶パネルを用いた遮光部材16Cを用いてもよい。
【0105】
遮光部材16Cは、2枚のガラス板の間に液晶状態の物質が封入されたものであり、CPU40からの入力信号に応じて液晶分子に電圧をかけることによって液晶分子の向きを変えて黒色を表示する。この黒色の部分が光の遮光部となり、その他の透明な部分が光の透過部となる。
【0106】
CPU40からの入力信号に応じて遮光部の大きさ、すなわち電気的に遮光量を調整できるため、遮光部材を移動させるアクチュエータは必要ない。また、CPU40からの入力信号に応じて画素毎に遮光部の位置を異なるせることができる、すなわち主画素の場合には右半分を遮光し、副画素の場合は左半分を遮光するということを同一の液晶モニタで可能であるため、主画素用、副画素用に別々の遮光部材を用意することなく同一の遮光部材16Cですむ。
【0107】
また、本実施の形態では、図3、4、7に示すように、フォトダイオードPDとマイクロレンズLとの間に遮光部材16A、16Bを配設したが、図10に示すように遮光部材16A、16BをマイクロレンズLの前面(遮光部材16A又は遮光部材16B、マイクロレンズL、フォトダイオードPDの順)に配設してもよい。
【0108】
また、本実施の形態の位相CCD16は、主画素と副画素とでは、遮光部材16A、16Bより光束が制限されている領域(右半分、左半分)が異なるように構成されているが、これに限らず、遮光部材16A、16Bを設けずに、マイクロレンズLとフォトダイオードPDとを相対的に左右方向にずらし、そのずらす方向によりフォトダイオードPDに入射する光束が制限されるものでもよいし、また、2つの画素(主画素と副画素)に対して1つのマイクロレンズを設けることにより、各画素に入射する光束が制限されるものでもよい。
【0109】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、焦点距離に応じて遮光部材を移動させることにより視差を調整したが、視差を調整する方法はこれに限られない。
【0110】
本発明の第2の実施の形態は、遮光量の異なる画素が用意されており、所望の画素を選択することにより視差を調整するものである。以下、第2の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−1について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0111】
[撮像装置の全体構成]
図11は本発明の第2の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−1の実施の形態を示すブロック図である。
【0112】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、絞り14を介して位相差イメージセンサである固体撮像素子(以下、「位相差CCD」という)17の受光面に結像される。
【0113】
[位相差CCDの構成例]
図12は位相差CCD17の構成例を示す図である。
【0114】
位相差CCD17は、それぞれマトリクス状に配列された奇数ラインの画素(主画素)と、偶数ラインの画素(副画素)とを有しており、これらの主、副画素にてそれぞれ光電変換された2面分の画像信号は、独立して読み出すことができるようになっている。
【0115】
図12に示すように位相差CCD17の奇数ライン(1、3、5、…)には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが2列ずつ設けられ、一方、偶数ライン(2、4、6、…)の画素は、奇数ラインと同様に、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが2列ずつ設けられるとともに、偶数ラインの画素に対して画素同士が2分の1ピッチだけライン方向にずれて配置されている。
【0116】
また、図12に示すように位相差CCD17の奇数ライン(1、3、5、…)には、遮光部材17Aにより遮光量の異なる2種類の画素A、Bが交互に設けられ、位相差CCD17の偶数ライン(2、4、6、…)には、遮光部材17Aにより遮光量の異なる2種類の画素C、Dが交互に設けられる。
【0117】
位相差CCD16の前面側(マイクロレンズL側)には、遮光部材17Aが配設される。遮光部材17Aは瞳分割部材としての機能を有している。
【0118】
図13は撮影レンズ12、絞り14、及び位相差CCD16の主、副画素の2画素ずつを示した模式図である。図13では、左から画素A、B、C、Dの順に記載されている。
【0119】
遮光部材17Aは、1枚のシート状に形成されており、透明なシートの一部が黒く着色され、この黒く着色された部分が光を遮光する。この黒く着色された遮光部が位相差CCD17の各画素の前面に位置するように形成される。
【0120】
画素A及び画素Bの上に配置された遮光部は、図13に示すように射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが画素A、画素Bに受光されるように形成される。また、画素A及び画素Bの上に配置された遮光部は、画素Aに受光される光束が画素Bに受光される光束より少なく、画素Aへは画素Bに対してマイクロレンズLの端部を通過する光束のみが通過されるように形成される。画素Aに対する遮光量は、画素Bに対する遮光量より多くなる。
【0121】
画素C及び画素Dの上に配置された遮光部は、図13に示すように射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが画素C、画素Dに受光されるように形成される。また、画素C及び画素Dの上に配置された遮光部は、画素Dに受光される光束が画素Cに受光される光束より少なく、画素Dへは画素Cに対してマイクロレンズLの端部を通過する光束のみが通過されるように形成される。画素Dに対する遮光量は、画素Cに対する遮光量より多くなる。
【0122】
主画素のうち画素Aのみを選択して左視点画像データを生成することもできるし、画素Bのみを選択して左視点画像データを生成することもできる。同様に、画素Cのみを選択して右視点画像データを生成することもできるし、画素Dのみを選択して右視点画像データを生成することもできる。画素Aのみから生成された左視点画像データ又は画素Bのみから生成された左視点画像データと、画素Cのみから生成された右視点画像データ又は画素Dのみから生成された右視点画像データとを選択することにより、所望の視差の立体視画像を生成することができる。すなわち立体視画像の生成に4通りの選択肢がある。
【0123】
画素Aのみから生成された左視点画像データと画素Dのみから生成された右視点画像データとから生成された立体視画像は、4通りの立体視画像のうちで最も視差が大きくなる。また、画素Bのみから生成された左視点画像データと画素Cのみから生成された右視点画像データとから生成された立体視画像は4通りの立体視画像のうちで最も視差が小さくなる。
【0124】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10−1の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10−1は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0125】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素の画素Aのみを用いて撮影を行う。実際の処理方法については、第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0126】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素のうちの画素A又は画素B、副画素のうちの画素C又は画素Dを用いて撮影を行う。
【0127】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、絞り14を介して位相差CCD17の受光面に結像される。CCD制御部32は位相差CCD17の主画素のうちの画素A及び副画素のうちの画素Bに蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0128】
なお、本実施の形態では、画素Aから読み出された信号電荷から左視点画像データを生成し、画素Dから読み出された信号電荷から右視点画像データを生成したが、画素Bから読み出された信号電荷から左視点画像データを生成してもよいし、画素Cから読み出された信号電荷から右視点画像データを生成してもよい。
【0129】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0130】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD17の主画素、副画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0131】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0132】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。CPU40は、焦点距離と選択する画素との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持しており、焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて信号電荷の読み出しを行う画素を決定する。選択する画素は、選択された画素から生成された右視点画像データ及び左視点画像データの視差が適切な視差となるように予め決定されている。
【0133】
例えば、焦点距離が所定の値より小さい、すなわちズーム位置がワイド側の場合には、視差が大きくなるように画素A及び画素Dが選択される。焦点距離が所定の値より大きい、すなわちズーム位置がテレ側の場合には、視差が小さくなるように画素B及び画素Cが選択される。
【0134】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD17を露光する。
【0135】
CPU40は、CCD駆動部33を介して画素A〜Dのうちの選択された画素から信号電荷を読み出す。位相差CCD17の主画素のうちの選択された画素、副画素のうちの選択された画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0136】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0137】
本実施の形態によれば、遮光部材を移動させることなく、焦点距離に応じて遮光量をかえることができる。遮光部材を移動させる必要が無いため、簡単な構造とすることができる。
【0138】
なお、本発明の実施の形態と、第1の実施の形態とを組み合わせて実施するようにしてもよい。例えば、画素Aに対する遮光部材のみが配設されたシート、画素Bに対する遮光部材のみが配設されたシート、画素Cに対する遮光部材のみが配設されたシート、画素Dに対する遮光部材のみが配設されたシートをそれぞれ移動可能とし、遮光量を任意に変更できるようにしてもよい。
【0139】
なお、本実施の形態では、左右方向に異なる2種類の遮光量で画素を遮光したが、左右方向に限らず、上下方向に遮光量を変えてもよい。
【0140】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、焦点距離に応じて位相差CCDの各画素毎に配設された遮光部材を移動させることにより視差を調整したが、視差を調整する方法はこれに限られない。
【0141】
本発明の第3の実施の形態は、遮光部材により光束の一部を遮光した後で光分割するものである。以下、第3の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0142】
[撮像装置の全体構成]
図14は本発明の第3の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−2の実施の形態を示すブロック図である。
【0143】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、絞り14、偏光部材13を介して位相差イメージセンサである固体撮像素子(以下、「位相差CCD」という)18の受光面に結像される。
【0144】
図15は撮影レンズ12、絞り14、偏光部材13及び位相差CCD18の主、副画素の1画素ずつを示した模式図である。
【0145】
偏光部材13は、2枚のガラス板の間に液晶状態の物質が封入された略円板形状の液晶パネルからなる偏光板であり、光軸を中心に2つの領域13a、13bに左右対称に分割する。領域13aの偏光軸と領域13bの偏光軸とは互いに直交している。これにより、位相差CCD18に入射される光束は互いに直交する2つの偏光光束に変換される。
【0146】
偏光部材13は、CPU40が偏光部材13に加える電圧制御をすることにより、偏光の有無や領域13a、13bの大きさを任意に変更することができる。例えば、偏光部材13は、CPU40が偏光部材13に加える電圧制御をすることにより、偏光部材13の外周に沿って所定の幅で光束が透過しない領域を形成することができる。これにより、絞り14と同様に光束の周囲の光の透過を任意に制限することができる。また、偏光部材13は、CPU40が偏光部材13に加える電圧制御をすることにより、図16に示すように領域分割を無くすことが可能である。これにより、平面画像を撮影する場合に全ての光束を撮像素子に入射させることができる。
【0147】
[位相差CCDの構成例]
位相差CCD18は、位相差CCD16と同様に、それぞれマトリクス状に配列された奇数ラインの画素(主画素)と、偶数ラインの画素(副画素)とを有しており、これらの主、副画素にてそれぞれ光電変換された2面分の画像信号は、独立して読み出すことができるようになっている。
【0148】
位相差CCD18の奇数ライン(1、3、5、…)には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられ、一方、偶数ライン(2、4、6、…)の画素は、奇数ラインと同様に、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられるとともに、偶数ラインの画素に対して画素同士が2分の1ピッチだけライン方向にずれて配置されている。
【0149】
位相差CCD18の前面側(マイクロレンズL側)には、偏光部材18A、18Bが配設される。領域13aから出射される偏光光は、偏光部材18Aを透過して位相差CCD18の主画素上に結像される。また、領域13bから出射される偏光光は、偏光部材18Bを透過して位相差CCD18の副画素上に結像される。すなわち、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bは瞳分割部材としての機能を有している。
【0150】
主画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが受光される。副画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが受光される。これにより、位相差CCD18の奇数ラインの主画素から読み出される主画像データは、左視点画像データとして処理され、偶数ラインの副画素から読み出される副画像データは、右視点画像データとして処理される。
【0151】
偏光部材18A、18Bは、2枚のガラス板の間に液晶状態の物質が封入された液晶パネルからなり、CPU40が偏光部材18A、18Bに加える電圧制御をすることにより、偏光の有無を偏光可能である。例えば、平面画像を撮影する場合には、偏光を無くし、全ての光を透過させることができる。
【0152】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10−2の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10−2は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0153】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bへ加える電圧を制御し、全ての光束を全ての画素に結像させる。それ以外の処理方法については、第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0154】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素、副画素の全てを用いて撮影を行う。
【0155】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、遮光部材15、絞り14を介して位相差CCD18の受光面に結像される。この時、遮光部材15の遮光板15aの幅は、初期設定の幅とされている。CCD制御部32は位相差CCD18の主画素及び副画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0156】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0157】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD18の主画素、副画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0158】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0159】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。また、CPU40は、明るさと、焦点距離と、偏光部材13の光通過領域の直径との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持している。
【0160】
偏光部材13の光束が通過しない領域の内径(光通過領域の直径)を小さくすると、図17(a)に示すように左視点画像データの中心と右視点画像データの中心との距離x1が小さくなり、視差が小さくなる。逆に、偏光部材13の光束が通過しない領域の内径(光通過領域の直径)を大きくすると、図17(b)に示すように、左視点画像データの中心と右視点画像データの中心との距離x2が大きくなり、左視点画像データと右視点画像データとの視差が大きくなる。
【0161】
したがって、焦点距離が所定の値より大きい場合には、光束の周囲の遮光量を多くする。すなわち、偏光部材13の光通過領域の直径の直径を小さくし、左視点画像データと右視点画像データとの視差を小さくする。また、焦点距離が所定の値より小さい場合には、光束の周囲の遮光量を少なくする。すなわち、偏光部材13の光通過領域の直径の直径を大きくし、左視点画像データと右視点画像データとの視差を大きくする。
【0162】
本実施の形態では、偏光部材13を用いて遮光量を変えるため、遮光量を変えることによりF値が変わる。第1、2の実施の形態では、図7に示すように遮光量を変えることにより上下方向へ点が移動したが、第3の実施の形態では、遮光量を変えることにより図7に示すグラフ上を斜め方向へ移動することとなる。すなわち、焦点距離が大きい場合には、遮光量が少なくなるためF値が小さくなり、かつ視差が小さくなる。そのため、図7に示すグラフ上を右斜め上方向に点が移動される。また、焦点距離が小さい場合には、遮光量が多くなるためF値が大きくなり、かつ視差が大きくなる。そのため、図7に示すグラフ上を左斜め下方向に点が移動される。
【0163】
CPU40には、右視点画像データと左視点画像データとの視差が適切な視差となるような偏光部材13の光通過領域の直径と、その時のF値とが記憶されている。CPU40は、取得された焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて偏光部材13の光通過領域の直径を決定し、偏光部材13の光通過領域の直径が決定された直径となるように偏光部材13を制御する。このようにして偏光部材13の直径が変化された後は、F値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上の任意の点に位置する。
【0164】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD18を露光する。
【0165】
位相差CCD18の主画素、副画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0166】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0167】
本実施の形態によれば、焦点距離に応じて遮光量をかえることにより、どのような焦点距離の場合にも立体視に適切な視差とすることができる。
【0168】
なお、本実施の形態では、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bの偏光作用を無くして全ての光束を位相差CCD18に入射させて平面画像を撮影したが、平面画像撮影時に全ての光束が位相差CCD18に入射するのであればこの方法に限られない。例えば、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bを光軸と直交方向に平行移動させて光束を遮らない位置へ退避させてもよい。
【0169】
偏光部材13を光軸と直交方向に平行移動させて光束を遮らない位置へ退避させる場合には、偏光部材13は液晶パネルでなくてもよい。この場合には、光通過領域の直径を変更するために、羽根式の絞りで使用されるような機械的な機構を採用すればよい。
【0170】
また、偏光部材13の形状は、略円板形状に限られない。光軸を中心に2つの領域13a、13bに左右対称に分割可能であり、光束の周囲の遮光量が可変であるのであれば、例えば略矩形形状でもよい。この場合には、光通過領域も略矩形形状でよい。
【0171】
また、本実施の形態では、F値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上の任意の点に位置するように偏光部材13の直径が変化されたが、使用する撮影レンズの種類(例えば、倍率が10倍や30倍のレンズ)や焦点距離によっては適切な視差となるまで遮光部材16A、16Bを移動できない場合も考えられる。これらの場合には、焦点距離によらず視差を均一とすることはできないが、可能な限り適切な視差に近づけるようにすることで、焦点距離による視差の差異が小さくなり、視差調整を行わない場合に比べて立体視がしやすい立体視画像を提供することができる。
【0172】
<第4の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、焦点距離に応じて位相差CCDの各画素毎に配設された遮光部材を移動させることにより視差を調整したが、視差を調整する方法はこれに限られない。
【0173】
本発明の第4の実施の形態は、遮光部材により光束の一部を遮光した後で光分割し、ミラーを用いて異なる撮像素子に結像させることにより視差を調整するものである。以下、第4の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−3について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0174】
[撮像装置の全体構成]
図18は本発明の第4の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−3の実施の形態を示すブロック図である。
【0175】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、遮光部材15、絞り14、ミラー11を介してイメージセンサである固体撮像素子(以下、「CCD」という)19a、19bの受光面に結像される。遮光部材15は、CPU40によって制御される遮光部材駆動部35によって遮光板15a(図20参照)が駆動され、遮光量が制御される。
【0176】
図19は撮影レンズ12、遮光部材15、絞り14、ミラー11及びCCD19a、19bの1画素ずつを示した模式図である。
【0177】
遮光部材15は、射出瞳を通過する光束のうちの光軸を含む一部(略中央部)を遮光するものであり、図19に示すように遮光部材15を通過した光束が絞り14を介してミラー11に入射される。
【0178】
遮光部材15は、例えば、図20に示すように中央に蛇腹状に折り畳み可能な遮光板15aが設けられた略円板形状の部材である。遮光板15aの外周には移動部材15bが配設され、遮光部材駆動部35は移動部材15bを外周部13cに沿って移動させる。これにより、遮光板15aの幅が変更される。遮光板15aの幅が広い場合には遮光量が多くなり、遮光板15aの幅が狭い場合には遮光量が少なくなる。
【0179】
ミラー11は、遮光部材15によって略中央が遮光された光束を瞳分割し、CCD19a又はCCD19bへ結像させる。なお、図19では、CCD19a、19bの前面の対物レンズを省略している。
【0180】
CCD19a、19bには、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられる。
【0181】
ミラー11は、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみをCCD19aへ結像させ、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみをCCD19bへ結像させる。したがって、CCD19aから読み出される画像データは、左視点画像データとして処理され、CCD19bから読み出される画像データは、右視点画像データとして処理される。
【0182】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10−3の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10−3は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0183】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、CCD19aのみを用いて撮影を行う。実際の処理方法については、第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0184】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、CCD19a、19bを用いて撮影を行う。
【0185】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、遮光部材15、絞り14を介してCCD19a、19bの受光面にそれぞれa結像される。この時、遮光部材15の遮光板15aの幅は、初期設定の幅とされている。CCD制御部32は位相差CCD18の主画素及び副画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0186】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0187】
この処理を順次行うことにより、CCD19a、19bで撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0188】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0189】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。そして、CPU40は、焦点距離に基づいて遮光部材15の遮光板15aの幅を決定し、遮光部材駆動部35を介して遮光板15aの幅が決定された幅となるように移動部材15bを移動させる。
【0190】
CPU40は、明るさと、焦点距離と、遮光板15aの幅との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持している。遮光板15aの幅としては、適切な幅とした時の右視点画像データと左視点画像データとの視差が適切な視差となるような値が記憶されている。
【0191】
CPU40は、焦点距離を取得すると、焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて遮光板15aの幅を決定し、決定された幅となるように遮光部材駆動部35を介して移動部材15bを移動させる。
【0192】
すなわち、図6の点aのように焦点距離が所定の値より小さい場合には、図21(A)に示すように遮光部材15がより多くの光を遮光するように遮光板15aの幅を広くするように移動部材15bが移動される。その結果、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心、副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心は光軸から遠ざかる方向に移動し、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が大きくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が大きくなる。
【0193】
また、図6の点cに示すように焦点距離が所定の値より大きい場合には、図21(B)に示すように遮光部材15がより少ない光を遮光するように遮光板15aの幅を狭くするように移動部材15bが移動される。その結果、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心、副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心は光軸へ近づく方向に移動し、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が小さくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が小さくなる。
【0194】
また、図6の点bに示すように適切な視差となっている場合には、遮光板15aの幅として初期設定と略同一の値が記憶されている。したがって、移動部材15bは移動されない。
【0195】
本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、遮光量を変えることによりF値が変わる。CPU40には、遮光量が変化された後は、F値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上の任意の点に位置するような遮光板15aの幅が記憶されている。
【0196】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値でCCD19a、19bを露光する。
【0197】
位相差CCD18の主画素、副画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0198】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0199】
本実施の形態によれば、焦点距離に応じて遮光量をかえることにより、どのような焦点距離の場合にも立体視に適切な視差とすることができる。視差を均一とすることで、視聴者が立体視しやすい立体視画像を提供することができる。
【0200】
なお、本実施の形態では、遮光部材15を透過した光束をミラー11で瞳分割し、2枚のCCDに結像させたが、1枚の位相差CCDを用いるようにしてもよい。この場合には、位相差CCDの主画素(フォトダイオードPD)の前面には受光面の右半分を遮光する遮光部材を配設し、副画素(フォトダイオードPD)の前面には受光面の左半分を遮光する遮光部材を配設すればよい。これにより、主画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが受光され、副画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが受光される。
【0201】
この場合には、平面画像を撮影する時に主画素のみを用いてもよいし、主画素、副画素の両方を用いてもよい。主画素、副画素の両方を用いる場合には、遮光部材15及び位相差CCDの主画素、副画素の前面に配設された遮光部材の遮光機能を無くす必要がある。遮光部材15については、図22(b)に示す状態から図22(a)に示す状態へ移動部材を移動させ、移動部材15bを所定の箇所に集めて遮光板15aを光路から退避させればよい。位相差CCDの主画素、副画素の前面に配設された遮光部材については、遮光部及び光透過部を電気的に制御可能な液晶パネルを用いればよい。また、遮光部材15及び位相差CCDの主画素、副画素の前面に配設された遮光部材を光軸と直交する方向に平行移動させて光軸を遮らない位置まで退避させてもよい。
【0202】
また、本実施の形態では、蛇腹状に折り畳み可能な遮光板15aを移動させて遮光板の幅を変えたが、遮光板の形態はこれに限られない。例えば、複数の板が光軸方向に重ねて配設された遮光板を用い、複数の板のうちの所定の板を光軸と直交方向に移動させて遮光板の幅を変えるようにしてもよい。
【0203】
また、本実施の形態では、CPU40が焦点距離に応じて遮光板15aの幅を決定し、決定された幅となるように移動部材15bを移動させたが、遮光板15aの幅の調整方法はこれに限られない。例えば、ズームレンズの光軸方向の移動に連動させて遮光板15aの幅を変更するようにしてもよい。
【0204】
単眼立体撮像装置10−3のズームレンズ移動機構について説明する。従来の撮像装置と同様に、レンズ鏡胴には、光軸方向に移動可能なカム筒が配設されており、カム筒の外周面にはカム溝が形成されている。カム筒の内部に配設されたズームレンズにはカムピンが配設される。カム溝にはカムピンが係合しており、カム筒を回転させると、この回転に伴ってカムピンがカム溝に沿って移動する。これにより、ズームレンズが光軸方向に移動される。
【0205】
このカムピンに遮光部材15の移動部材15bを連結すると、カム筒の回転に伴ってカムピンがカム溝に沿って移動するとともに、移動部材15bが移動され、遮光板15aの幅が変更される。これにより、ズームレンズの光軸方向の移動に連動して遮光板15aの幅を変えることができる。移動部材15bがカム溝に沿って移動するのであれば、カムピンに移動部材15bを連結する形態に限らず、移動部材15bに連結されたピンをカムピンとは別にカム溝に係合させるようにしてもよい。
【0206】
なお、本実施の形態では、略小判形状の遮光板15aを用いたが、光束の光軸を含む一部を遮光できるのであれば、遮光板の形状はこれに限らない。例えば、楕円形、樽型等でもよい。また、本実施の形態では、遮光板15aの幅を変えることにより遮光量を変えたが、楕円形の場合は短辺の長さを変える、樽型の場合には幅を大きくすることにより遮光板の大きさを変え、遮光量を変えればよい。
【0207】
第1〜4の実施の形態では、撮像素子にCCDを用いた例で説明したが、CCDに限定されるものではない。本発明は、CMOS等他のイメージセンサにも適用可能である。
【符号の説明】
【0208】
10、10−1、10−2、10−3:単眼立体撮像装置、11:ミラー、12:撮影レンズ、13:偏光部材、14:絞り、15:遮光部材、16、17、18、:位相差CCD、19a、19b:CCD、32:CCD制御部、34:絞り駆動部、35:遮光部材駆動部、36:レンズ駆動部、40:CPU、54:メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に係り、特に撮影レンズの左右方向の異なる領域を通過した被写体像をそれぞれ撮像素子に結像させ、左視点画像及び右視点画像を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の単眼立体撮像装置として、特許文献1には、図23に示す光学系を有する単眼立体撮像装置が記載されている。この光学系は、メインレンズ1及びリレーレンズ2の左右方向の異なる領域を通過した被写体像をミラー4により瞳分割し、それぞれ結像レンズ5、6を介して撮像素子7、8に結像させるようにしている。
【0003】
図24(A)〜(C)は、それぞれ前ピン、合焦(ベストフォーカス)、及び後ピンの違いによる撮像素子に結像する像の分離状態を示す図である。なお、図24では、フォーカスによる分離の違いを比較するために、図23に示したミラー4及び結像レンズ5、6を省略している。
【0004】
図24(B)に示すように瞳分割された像のうちの合焦している像は、撮像素子上の同一位置に結像する(一致する)が、図24(A)及び(C)に示すように前ピン及び後ピンとなる像は、撮像素子上の異なる位置に結像する(分離する)。
【0005】
したがって、左右方向に瞳分割された被写体像を撮像素子7、8を介して取得することにより、被写体距離に応じて視差の異なる左視点画像及び右視点画像(3D画像)を取得することができる。
【0006】
特許文献2には、光軸を中心として左右方向の対称位置にそれぞれ同形状の開口部が形成された瞳分割部を有し、瞳分割部の左側開口部を通過した光束の画像(第1画像)と、瞳分割部の右側開口部を通過した光束の画像(第2画像)とを順番に撮影する電子カメラが記載されている。
【0007】
特許文献3には、多数の画素が同一撮像面上に配列された固体撮像素子の多数の画素を2つのグループに区分けし、各グループにおける画素の受光入射角度をそれぞれ異ならせることが記載されている。特許文献3に記載の発明によれば、1つの固体撮像素子で異なる2方向からの入射光を同時に受光することにより、一度の撮影で2つの画像信号を生成できる、すなわち立体画像を形成可能な画像信号が生成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2009−527007号公報
【特許文献2】特開2007−104248号公報
【特許文献3】特開2003−7994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜3に記載の発明から分かるように、単眼立体撮像装置においては、同じ光学系で得られた光を左右方向に瞳分割するという構造上の特性がある。
【0010】
図24は、瞳分割されることにより得られた2枚の画像の視差とF値との関係を、異なる焦点距離毎に示したグラフである。視差とは2枚の画像の位置あるいは視方向の差異であり、2枚の画像の中心間の距離と視差とは比例関係にある。視差が大きい場合は、2枚の画像の中心間の距離が大きいため、2枚の画像から生成された立体画像が立体に見えやすくなる。
【0011】
図25に示すように、単眼立体撮像装置においては、焦点距離が小さい、すなわちワイドの場合は視差が小さいことが分かる。したがって、焦点距離が所定の値より小さい場合には、生成された立体画像が立体に見えにくいことが分かる。
【0012】
しかしながら、特許文献1〜3には、このような問題点及びその解決方法については全く記載されていない。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、焦点距離によらず適切な視差とし、立体視しやすい立体視画像を撮影することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の撮像装置は、撮影光学系と、前記撮影光学系を通過した光束を複数の光束に分割する瞳分割手段と、前記分割された複数の光束をそれぞれ受光して複数の画像を取得する撮像手段、前記撮影光学系の焦点距離を変更させるレンズ駆動手段と、前記光束の一部を遮光する遮光手段と、前記焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、前記取得された焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には遮光量を少なくし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には遮光量を多くするように前記遮光手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の撮像装置によれば、撮影光学系を通過した光束は一部が遮光され、複数の光束に分割され、複数の光束をそれぞれ受光して複数の画像を取得する。撮影光学系の焦点距離を変更させて焦点距離を取得し、その取得された焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には遮光量を少なくし、その取得された焦点距離が所定の焦点距離より小さい場合には遮光量を多くする。これにより、焦点距離に基づいて遮光量を変え、取得される複数の画像の視差を変えることができる。
【0016】
請求項2に記載の撮像装置は、請求項1に記載の単眼立体撮像装置において、前記制御手段は、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合又は小さい場合には、前記所定の焦点距離のときに前記撮像手段により取得される際の複数の画像の視差と略同一の視差となるように前記遮光手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の撮像装置によれば、取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合又は小さい場合には、所定の焦点距離のときの複数の画像の視差と略同一の視差となるように遮光量を変える。これにより、焦点距離によらず視差を均一にすることができる。
【0018】
請求項3に記載の撮像装置は、請求項1又は2に記載の単眼立体撮像装置において、前記撮像手段は、複数の画素から構成された撮像素子を有し、前記瞳分割手段及び遮光手段は、前記複数の画素毎に設けられ、前記画素へ入射される光の一部を遮光する遮光部材であることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の撮像装置によれば、複数の画素から構成された撮像素子の複数の画素毎には、画素への入射光の一部を遮光する遮光部材が配設される。これにより、遮光部材が撮影光学系を通過した光束の一部を遮光するとともに、光束を複数の光束に分割することができる。
【0020】
請求項4に記載の撮像装置は、請求項3に記載の単眼立体撮像装置において、前記遮光部材を任意の位置へ移動させる遮光部材駆動手段を備え、前記制御手段は、前記遮光部材駆動手段を介して前記遮光部材を適切な位置へ移動させることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の単眼立体撮像装置によれば、遮光部材を任意の位置へ移動させる遮光部材駆動手段を介して遮光部材が適切な位置へ移動される。これにより、任意の遮光量となるように遮光量を変えることができる。
【0022】
請求項5に記載の撮像装置は、請求項3に記載の単眼立体撮像装置において、前記遮光部材は、前記画素によって異なる遮光量となるように前記光束の一部を遮光し、前記制御手段は、前記取得された焦点距離に応じて所望の画素を選択することを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の撮像装置によれば、画素によって異なる遮光量となるように光束の一部が遮光されており、焦点距離に応じて所定の画素が選択され、選択された画素に基づいて複数の画像が生成される。これにより、焦点距離に応じて遮光量を変える、すなわち視差を変えることができる。
【0024】
請求項6に記載の撮像装置は、請求項1又は2に記載の単眼立体撮像装置において、前記遮光手段は、前記光束のうちの光軸を含む一部を機械的に遮蔽する大きさが変更自在な遮蔽板を有し、前記制御手段は、前記取得された焦点距離に基づいて前記遮蔽板の大きさを変更させることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の撮像装置によれば、光束のうちの光軸を含む一部を機械的に遮蔽する遮蔽板の大きさが変更される。これにより、遮光量、すなわち視差を変更することができる。
【0026】
請求項7に記載の撮像装置は、請求項6に記載の単眼立体撮像装置において、レンズ鏡胴に回動自在に配設されたカム筒であって、カム溝が形成されたカム筒と、前記遮光板の大きさを変更させる遮光板移動手段と、前記カム溝と前記遮光板移動手段とを連結する連結手段と、を備え、前記ズームレンズ駆動手段は、前記カム筒を回動させることにより前記ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、前記制御手段は、前記ズームレンズ駆動手段を制御することを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載の撮像装置によれば、レンズ鏡胴に回動自在に配設されたカム筒にはカム溝が形成され、このカム溝と遮光板の大きさを変更させる遮光板移動手段とが連結される。これにより、ズームレンズが光軸方向に進退動作させ、焦点距離が変更されると、それに連動して遮光板の大きさを変えることができる。
【0028】
請求項8に記載の撮像装置は、請求項6又は7に記載の単眼立体撮像装置において、前記瞳分割手段はミラーであることを特徴とする。これにより、光束が複数に分割される。その結果、複数の撮像素子に分割された光束をそれぞれ結像させることができる。
【0029】
請求項9に記載の撮像装置は、請求項1又は2に記載の単眼立体撮像装置において、液晶表示手段からなる略円板形状の偏光板であって、光軸を中心に2つの領域に左右対称に分割されると共に、前記光束が通過しない領域を当該偏光板の外周に沿って任意の幅で形成可能な偏光板を有することを特徴とする。
【0030】
請求項9に記載の撮像装置によれば、液晶表示手段からなる略円板形状の偏光板を有し、偏光板は光軸を中心に2つの領域に左右対称に分割されている。これにより、光束を2つに分割することができる。また、偏光板には、光束が通過しない領域を当該偏光板の外周に沿って任意の幅で形成できる。これにより、遮光量を任意に変更する、すなわち視差を任意に変更することができる。
【0031】
請求項10に記載の撮像装置は、請求項9に記載の単眼立体撮像装置において、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合には前記光束の周囲の遮光量を多くし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には前記光束の周囲の遮光量を少なくすることを特徴とする。
【0032】
請求項10に記載の撮像装置によれば、焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には、光束の周囲の遮光量を多くし、視差を小さくする。また、焦点距離が所定の焦点距離より小さい場合には、光束の周囲の遮光量を少なくし、視差を大きくする。これにより、焦点距離に基づいて遮光量を変え、取得される複数の画像の視差を変えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、焦点距離によらず適切な視差とし、立体視しやすい立体視画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10内部のブロック図
【図2】単眼立体撮像装置10の位相差CCDの構成例を示す図
【図3】撮影レンズ、絞り、及び位相差CCDの主、副画素の1画素ずつを示した図
【図4】図3の要部拡大図。
【図5】位相差CCDを前面側から見た図である。
【図6】左視点画像データ及び右視点画像データの視差と、F値(被写体の明るさ)との関係を異なる焦点距離について示した図
【図7】図6の点a〜cにおける位相差CCDの主、副画素の1画素ずつを示した図
【図8】視差Xとなるまで遮光部材を移動できない場合の例
【図9】透明な液晶パネルを用いた遮光部材の例
【図10】遮光部材をマイクロレンズの前面に配設した例
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−1の実施の形態を示すブロック図
【図12】単眼立体撮像装置10−1の位相差CCDの構成例を示す図
【図13】撮影レンズ、絞り、及び位相差CCDの主、副画素の2画素ずつを示した模式図
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−2の実施の形態を示すブロック図
【図15】撮影レンズ、絞り、偏光部材及び位相差CCDの主、副画素の1画素ずつを示した模式図
【図16】(a)は偏光部材の領域分割を無くした例であり、(b)は偏光部材の領域分割を無くさない例
【図17】偏光部材が光束の周囲の遮光量を変更したときの視差の変化を示す図であり、(a)は遮光量が大きい例であり、(b)は遮光量が少ない例である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−3の実施の形態を示すブロック図
【図19】は撮影レンズ、遮光部材、絞り、ミラー及び位相差CCDの1画素ずつを示した模式図
【図20】遮光部材の模式図
【図21】遮光部材の遮光板の模式図
【図22】(a)は移動部材の遮光板を光路から退避させた例であり、(b)は移動部材の遮光板を光路から退避させない例
【図23】従来の単眼立体撮像装置の光学系の模式図
【図24】それぞれ前ピン、合焦(ベストフォーカス)、及び後ピンの違いによる撮像素子に結像する像の分離状態を示す図
【図25】瞳分割されることにより得られた2枚の画像の視差とF値との関係を、異なる焦点距離毎に示した図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に従って本発明に係る単眼立体撮像装置の実施の形態について説明する。
【0036】
<第1の実施の形態>
[撮像装置の全体構成]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10の実施の形態を示すブロック図である。
【0037】
この単眼立体撮像装置10は、撮像した画像をメモリカード54に記録するもので、装置全体の動作は、中央処理装置(CPU)40によって統括制御される。
【0038】
単眼立体撮像装置10には、シャッタボタン、モードダイヤル、再生ボタン、MENU/OKキー、十字キー、BACKキー等の操作部38が設けられている。この操作部38からの信号はCPU40に入力され、CPU40は入力信号に基づいて単眼立体撮像装置10の各回路を制御し、例えば、レンズ駆動制御、絞り駆動制御、撮影動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、立体表示用の液晶モニタ30の表示制御などを行う。
【0039】
シャッタボタンは、撮影開始の指示を入力する操作ボタンであり、半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチとを有する二段ストローク式のスイッチで構成されている。モードダイヤルは、静止画を撮影するオート撮影モード、マニュアル撮影モード、人物、風景、夜景等のシーンポジション、及び動画を撮影する動画モードのいずれかを選択する選択手段である。
【0040】
再生ボタンは、撮影記録した立体視画像(3D画像)、平面画像(2D画像)の静止画又は動画を液晶モニタ30に表示させる再生モードに切り替えるためのボタンである。MENU/OKキーは、液晶モニタ30の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。十字キーは、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりするボタン(カーソル移動操作手段)として機能する。また、十字キーの上/下キーは撮影時のズームスイッチあるいは再生モード時の再生ズームスイッチとして機能し、左/右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。BACKキーは、選択項目など所望の対象の消去や指示内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻らせる時などに使用される。
【0041】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、絞り14を介して位相差イメージセンサである固体撮像素子(以下、「位相差CCD」という)16の受光面に結像される。撮影レンズ12は、フォーカスレンズ、ズームレンズを含み、CPU40によって制御されるレンズ駆動部36によって駆動され、フォーカス制御、ズーム制御等が行われる。
【0042】
レンズ駆動部36は、CPU40からの指令に従い、フォーカスレンズを光軸方向に移動させ、焦点位置を可変する。また、レンズ駆動部36は、CPU40からの指令に従い、ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、焦点距離を変更させる。
【0043】
絞り14は、例えば、5枚の絞り羽根からなり、CPU40によって制御される絞り駆動部34によって駆動され、例えば、絞り値F2.8 〜F11まで1AV刻みで5段階に絞り制御される。
【0044】
また、CPU40は、絞り駆動部34を介して絞り14を制御するとともに、CCD制御部32を介して位相差CCD16での電荷蓄積時間(シャッタスピード)や、位相差CCD16からの画像信号の読み出し制御等を行う。また、CPU40は、CCD駆動部33を介して遮光部材16A、16B(図2参照)を駆動する。位相差CCD16及び遮光部材16A、16Bについては、後に詳述する。
【0045】
位相差CCD16に蓄積された信号電荷は、CCD制御部32から加えられる読み出し信号に基づいて信号電荷に応じた電圧信号として読み出される。位相差CCD16から読み出された電圧信号は、アナログ信号処理部20に加えられる。
【0046】
アナログ信号処理部20は、位相差CCD16から出力された電圧信号に対して相関二重サンプリング処理(撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理)により各画素ごとのR、G、B信号がサンプリングホールドされ、増幅されたのちA/D変換器21に加えられる。A/D変換器21は、順次入力するR、G、B信号をデジタルのR、G、B信号に変換して画像入力コントローラ22に出力する。
【0047】
デジタル信号処理部24は、画像入力コントローラ22を介して入力するデジタルの画像信号に対して、オフセット処理、ホワイトバランス補正及び感度補正を含むゲイン・コントロール処理、ガンマ補正処理、YC処理等の所定の信号処理を行う。
【0048】
ここで、図2(B)及び(C)に示すように,位相差CCD16の奇数ラインの主画素から読み出される主画像データは、左視点画像データとして処理され、偶数ラインの副画素から読み出される副画像データは、右視点画像データとして処理される。
【0049】
デジタル信号処理部24で処理された左視点画像データ及び右視点画像データ(3D画像データ)は、VRAM50に入力される。VRAM50には、それぞれが1コマ分の3D画像を表す3D画像データを記憶するA領域とB領域とが含まれている。VRAM50において1コマ分の3D画像を表す3D画像データがA領域とB領域とで交互に書き換えられる。VRAM50のA領域及びB領域のうち、3D画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている3D画像データが読み出される。VRAM50から読み出された3D画像データはビデオ・エンコーダ28においてエンコーディングされ、カメラ背面に設けられている立体表示用の液晶モニタ30に出力され、これにより3Dの被写体像が液晶モニタ30の表示画面上に表示される。
【0050】
この液晶モニタ30は、立体視画像(左視点画像及び右視点画像)をパララックスバリアによりそれぞれ所定の指向性をもった指向性画像として表示できる立体表示手段である。立体視画像が液晶モニタ30に入力された場合には、液晶モニタ30のパララックスバリア表示層に光透過部と光遮蔽部とが交互に所定のピッチで並んだパターンからなるパララックスバリアを発生させるとともに、その下層の画像表示面に左右の像を示す短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。平面画像や使用者インターフェース表示パネルとして利用される場合には、パララックスバリア表示層には何も表示せず、その下層の画像表示面に1枚の画像をそのまま表示する。なお、液晶モニタ30の形態はこれに限らず、レンチキュラレンズを使用するものや、偏光メガネ、液晶シャッタメガネなどの専用メガネをかけることで左視点画像と右視点画像とを個別に見ることができるものでもよい。
【0051】
また、操作部38のシャッタボタンの第1段階の押下(半押し)があると、CCD40は、AF動作及びAE動作を開始させ、レンズ駆動部36を介して撮影レンズ12内のフォーカスレンズが合焦位置にくるように制御する。また、シャッタボタンの半押し時にA/D変換器21から出力される画像データは、AE検出部44に取り込まれる。
【0052】
AE検出部44では、画面全体のG信号を積算し、又は画面中央部と周辺部とで異なる重みづけをしたG信号を積算し、その積算値をCPU40に出力する。CPU40は、AE検出部44から入力する積算値より被写体の明るさ(撮影Ev値)を算出し、この撮影Ev値に基づいて絞り14の絞り値及び位相差CCD16の電子シャッタ(シャッタスピード)を所定のプログラム線図に従って決定し、その決定した絞り値に基づいて絞り駆動部34を介して絞り14を制御するとともに、決定したシャッタスピードに基づいてCCD制御部32を介して位相差CCD16での電荷蓄積時間を制御する。
【0053】
AF処理部42は、コントラストAF処理又は位相AF処理を行う部分である。コントラストAF処理を行う場合には、左視点画像データ及び右視点画像データの少なくとも一方の画像データのうちの所定のフォーカス領域内の画像データの高周波成分を抽出し、この高周波成分を積分することにより合焦状態を示すAF評価値を算出する。このAF評価値が極大となるように撮影レンズ12内のフォーカスレンズを制御することによりAF制御が行われる。また、位相差AF処理を行う場合には、左視点画像データ及び右視点画像データのうちの所定のフォーカス領域内の主画素、副画素に対応する画像データの位相差を検出し、この位相差を示す情報に基づいてデフォーカス量を求める。このデフォーカス量が0になるように撮影レンズ12内のフォーカスレンズを制御することによりAF制御が行われる。
【0054】
AE動作及びAF動作が終了し、シャッタボタンの第2段階の押下(全押し)があると、その押下に応答してA/D変換器21から出力される主画素及び副画素に対応する左視点画像(主画像)及び右視点画像(副画像)の2枚分の画像データが画像入力コントローラ22からメモリ(SDRAM) 48に入力し、一時的に記憶される。
【0055】
メモリ48に一時的に記憶された2枚分の画像データは、デジタル信号処理部24により適宜読み出され、ここで画像データの輝度データ及び色差データの生成処理(YC処理)を含む所定の信号処理が行われる。YC処理された画像データ(YCデータ)は、再びメモリ48に記憶される。続いて、2枚分のYCデータは、それぞれ圧縮伸張処理部26に出力され、JPEG (joint photographic experts group)などの所定の圧縮処理が実行されたのち、再びメモリ48に記憶される。
【0056】
メモリ48に記憶された2枚分のYCデータ(圧縮データ)から、マルチピクチャファイル(MPファイル:複数の画像が連結された形式のファイル)が生成され、そのMPファイルは、メディア・コントローラ52により読み出され、メモリカード54に記録される。
【0057】
[位相差CCDの構成例]
図2は位相差CCD16の構成例を示す図である。
【0058】
位相差CCD16は、それぞれマトリクス状に配列された奇数ラインの画素(主画素)と、偶数ラインの画素(副画素)とを有しており、これらの主、副画素にてそれぞれ光電変換された2面分の画像信号は、独立して読み出すことができるようになっている。
【0059】
図2に示すように位相差CCD16の奇数ライン(1、3、5、…)には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられ、一方、偶数ライン(2、4、6、…)の画素は、奇数ラインと同様に、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられるとともに、偶数ラインの画素に対して画素同士が2分の1ピッチだけライン方向にずれて配置されている。
【0060】
位相差CCD16の主画素の前面側(マイクロレンズL側)には、遮光部材16Aが配設され、副画素の前面側には、遮光部材16Bが配設される。遮光部材16A、16Bは瞳分割部材としての機能を有している。
【0061】
図3は撮影レンズ12、絞り14、及び位相差CCD16の主、副画素の1画素ずつを示した図であり、図4は図3の要部拡大図である。
【0062】
図4(A)に示すように通常のCCDの画素(フォトダイオードPD)には、射出瞳を通過する光束が、マイクロレンズLを介して制限を受けずに入射する。図4(B)に示すように遮光部材16Aは、主画素(フォトダイオードPD)の受光面の右半分を遮光する。そのため、主画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが受光される。また、図4(C)に示すように遮光部材16Bは、副画素(フォトダイオードPD)の受光面の左半分を遮光する。そのため、副画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが受光される。
【0063】
図5は、位相差CCD16を前面側から見た図である。遮光部材16A、16Bは、それぞれ1枚のシート状に形成されており、透明なシートの一部が黒く着色され、この黒く着色された部分が光を遮光する。図5では、説明のため遮光部材16A、16Bを別の図で記載したが、実際は遮光部材16A、16Bは重ねて配設されている。
【0064】
遮光部材16Aはアクチュエータ16Cにより図5(A)左右方向に移動され、遮光部材16Bはアクチュエータ16Dにより図5(B)左右方向に移動される。アクチュエータ16C、16Dは、CCD駆動部33を構成するもので、例えばMEMS(微小電気機械素子)を用いることができる。CCD駆動部33はCPU40によって駆動制御され、CPU40は遮光量が適切な値となるように遮光部材16A、16Bを図5左右方向に移動させる。
【0065】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0066】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素のみを用いて撮影を行う。
【0067】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、絞り14を介して位相差CCD16の受光面に結像される。CCD制御部32は位相差CCD16の主画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0068】
左視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。
【0069】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD16の主画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0070】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。平面画像の撮影処理においては、AF処理部42は、コントラストAF処理によりF動作を行う。
【0071】
この後、シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD16を露光する。
【0072】
位相差CCD16から出力された画像信号は、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納され、所定の画像記録フォーマット(たとえばExif形式)の画像ファイルとされたのち、メディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、平面画像が撮影、記録される。
【0073】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素、副画素の全てを用いて撮影を行う。
【0074】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、絞り14を介して位相差CCD16の受光面に結像される。CCD制御部32は位相差CCD16の主画素及び副画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0075】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0076】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD16の主画素、副画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0077】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0078】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。そして、CPU40は、焦点距離に基づいて遮光部材16A、16Bの移動量を決定し、CCD駆動部33を介して決定された移動分だけ遮光部材16A、16Bを移動させる。
【0079】
図6は、左視点画像データ及び右視点画像データの視差と、F値(被写体の明るさ)との関係を異なる焦点距離について示したグラフであり、図7は図6の点a〜cにおける位相差CCD16の主、副画素の1画素ずつを示した図である。
【0080】
所定の明るさ(所定のF値)の場合には、焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわちズーム位置がワイド側の場合には視差が小さく、焦点距離が所定の値より大きい場合、すなわちズーム位置がテレ側の場合には視差が大きい。焦点距離以外の条件を一定に、焦点距離を変化させた場合には、例えば図6の点線上を移動する。すなわち焦点距離が小さい場合にはF値が小さく(被写体が明るい)かつ視差が小さく、焦点距離が大きくなるにつれてF値が大きく(被写体が暗い)かつ視差が大きくなる。図6では、焦点距離が小さい場合(図6点a)には、F値が2.8近傍、視差がXaとなり、焦点距離が大きい場合(図6点c)には、F値が8.0近傍、視差がXcとなり、中間の焦点距離の場合(図6点b)には、F値が4近傍、視差がXbとなる。点bの時の視差Xbが適切な視差とすると、焦点距離が大きい点cでの視差は大きく、焦点距離が小さい点aでの視差は小さい。
【0081】
適切な視差に対して、視差が小さい場合、大きい場合ともに、左視点画像データ及び右視点画像データから生成される立体視画像は適切な立体視ができない。視差が小さい場合には、生成された立体視画像が立体画像に見えないという問題がある。視差が大きい場合には、立体感が強すぎるという問題がある。
【0082】
焦点距離が所定の値より小さい場合、例えば図6における点aにおいては、フォトダイオードPDと遮光部材16Aとの関係は図7(A)に示すような状態である。焦点距離が所定の値より大きい場合、例えば図6における点cにおいては、フォトダイオードPDと遮光部材16Aとの関係は図7(C)に示すような状態である。また、適切な視差が得られている場合、例えば、図6における点bにおいては、フォトダイオードPDと遮光部材16Aとの関係は図7(B)に示すような状態である。この点bがプロットされる曲線(図6焦点距離中の曲線)が、F値と視差との関係が最も適切な曲線である。
【0083】
焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわち視差が小さい場合には、遮光部材16AがフォトダイオードPDを覆う量を増やす(図7(A)においては左方向)ように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。この結果、遮光部材16Aは図7(A)実線で示す位置から点線で示す位置へ移動され、フォトダイオードPDに入射される光の中心が外側(図7(A)線lから線l’)へ移動される。
【0084】
フォトダイオードPDに入射される光の中心が外側へ移動されると、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が大きくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が大きくなる。遮光部材16A、16Bは、視差が適切な視差XbとなるようにCPU40により移動される。その結果、図8(a)に示すように、点aが点a’に移動される。
【0085】
本実施の形態では、位相差CCD16へ光が入射される直前で遮光するため、遮光量を変えてもF値は変わらず、位相差CCD16の感度が変わることとなる。焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわち視差が小さい場合には、遮光量を増やすため、感度が低下する。しかしながら、焦点距離が所定の値より小さい場合、すなわちワイドである場合には、もともとフォトダイオードPDに入射される光の量が多く明るいため、遮光量を増やして感度が落ちたとしても、適切な立体視のために視差を大きくすることにメリットがある。
【0086】
焦点距離が所定の値より大きい場合、すなわち視差が大きい場合には、遮光部材16AがフォトダイオードPDを覆う量を減らす(図7(C)においては右方向)ように、すなわち遮光量を増やすように、遮光部材16Aを移動させる。この結果、遮光部材16Aは図7(C)実線で示す位置から点線で示す位置へ移動され、フォトダイオードPDに入射される光の中心が内側(図7(C)線lから線l’)へ移動される。
【0087】
フォトダイオードPDに入射される光の中心が内側へ移動されると、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が小さくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が小さくなる。遮光部材16A、16Bは、視差が適切な視差XbとなるようにCPU40により移動される。その結果、図8(b)に示すように、点cが点c’に移動される。
【0088】
焦点距離が所定の値より大きい場合、すなわちテレである場合には、フォトダイオードPDに入射される光の量が少なく暗いため、遮光量を減らすことにより感度がよくなるというメリットもある。
【0089】
図8に示すように点a、点cが移動された後でF値を変化させると、点a’、点c’がプロットされた線上を移動し、視差が変わることとなる。点a’に移動後にF値が大きくなると視差は小さくなり、点c’に移動後にF値が小さくなると視差は大きくなる。F値が変更された場合には、必要に応じて、再度適切な視差となるように遮光部材16A、16Bを移動させるようにしてもよい。
【0090】
なお、図7では、遮光部材16Aの場合について示しているが、遮光部材16Bについても同様に移動を行うことはいうまでもない。
【0091】
CPU40は、明るさと、焦点距離と、遮光部材16A、16Bの移動量との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持している。遮光部材16A、16Bの移動量としては、遮光部材16A、16Bの移動後の視差が適切な視差Xとなるような値が記憶されている。
【0092】
CPU40は、焦点距離を取得すると、焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて遮光部材16A、16Bの移動量を決定し、決定された移動量だけ遮光部材16A、16Bを移動させる。その結果、図6の点aの場合には視差がXとなる点a’へと移動され、点cの場合には視差がXとなる点c’へと移動される。図6の点bの場合は、視差は適切な値Xであるため、移動量は「0」、すなわち遮光部材16A、16Bは移動されない。
【0093】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD16を露光する。
【0094】
位相差CCD16の主画素、副画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0095】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0096】
以上のようにしてメモリカード54に記録された画像は、再生ボタンにより単眼立体撮像装置10のモードを再生モードに設定することにより、液晶モニタ30で再生表示させることができる。
【0097】
再生モードに設定されると、CPU40は、メディア・コントローラ52にコマンドを出力し、メモリカード54に最後に記録された画像ファイルを読み出させる。
【0098】
読み出された画像ファイルの圧縮画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、非圧縮の輝度/色差信号に伸張されたのち、ビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。
【0099】
画像のコマ送りは、十字キーの左右のキー操作によって行われ、十字キーの右キーが押されると、次の画像ファイルがメモリカード54から読み出され、液晶モニタ30に再生表示される。また、十字キーの左キーが押されると、一つ前の画像ファイルがメモリカード54から読み出され、液晶モニタ30に再生表示される。
【0100】
本実施の形態によれば、焦点距離に応じて遮光量をかえることにより、どのような焦点距離の場合にも立体視に適切な視差とすることができる。焦点距離によらず視差を均一とすることで、視聴者が立体視しやすい立体視画像を提供することができる。
【0101】
なお、本実施の形態では、遮光部材16A、16Bの移動後の視差が適切な視差(図6の視差Xb)となるように遮光部材16A、16Bを移動量させたが、使用する撮影レンズの種類(例えば、倍率が10倍や30倍のレンズ)や焦点距離によっては適切な視差となるまで遮光部材16A、16Bを移動できない場合も考えられる。
【0102】
これらの場合には、焦点距離によらず視差を均一とすることはできないが、可能な限り適切な視差に近づけるようにすることで、焦点距離による視差の差異が小さくなり、視差調整を行わない場合に比べて立体視がしやすい立体視画像を提供することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、図8に示すように点aが点a’へ移動され、点cから点c’へ移動されるように遮光部材16A、16Bを移動させたが、移動後の点がF値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上に移動されるようにしてもよい。この場合には、F値が小さい場合の視差は視差Xbより大きくなり、F値が大きい場合の視差はXbより小さくなる。但し、F値が変化したとしても視差がXaやXcまで変化することは無いため、F値が変化したとしても遮光量を変えることなく、適切な立体感とすることができる。
【0104】
また、本実施の形態では、透明なシートの一部が黒く着色された遮光部材16A、16Bを用いてフォトダイオードPDへの入射光を遮光したが、遮光部材16A、16Bはこれに限らない。例えば、図9に示すように透明な液晶パネルを用いた遮光部材16Cを用いてもよい。
【0105】
遮光部材16Cは、2枚のガラス板の間に液晶状態の物質が封入されたものであり、CPU40からの入力信号に応じて液晶分子に電圧をかけることによって液晶分子の向きを変えて黒色を表示する。この黒色の部分が光の遮光部となり、その他の透明な部分が光の透過部となる。
【0106】
CPU40からの入力信号に応じて遮光部の大きさ、すなわち電気的に遮光量を調整できるため、遮光部材を移動させるアクチュエータは必要ない。また、CPU40からの入力信号に応じて画素毎に遮光部の位置を異なるせることができる、すなわち主画素の場合には右半分を遮光し、副画素の場合は左半分を遮光するということを同一の液晶モニタで可能であるため、主画素用、副画素用に別々の遮光部材を用意することなく同一の遮光部材16Cですむ。
【0107】
また、本実施の形態では、図3、4、7に示すように、フォトダイオードPDとマイクロレンズLとの間に遮光部材16A、16Bを配設したが、図10に示すように遮光部材16A、16BをマイクロレンズLの前面(遮光部材16A又は遮光部材16B、マイクロレンズL、フォトダイオードPDの順)に配設してもよい。
【0108】
また、本実施の形態の位相CCD16は、主画素と副画素とでは、遮光部材16A、16Bより光束が制限されている領域(右半分、左半分)が異なるように構成されているが、これに限らず、遮光部材16A、16Bを設けずに、マイクロレンズLとフォトダイオードPDとを相対的に左右方向にずらし、そのずらす方向によりフォトダイオードPDに入射する光束が制限されるものでもよいし、また、2つの画素(主画素と副画素)に対して1つのマイクロレンズを設けることにより、各画素に入射する光束が制限されるものでもよい。
【0109】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、焦点距離に応じて遮光部材を移動させることにより視差を調整したが、視差を調整する方法はこれに限られない。
【0110】
本発明の第2の実施の形態は、遮光量の異なる画素が用意されており、所望の画素を選択することにより視差を調整するものである。以下、第2の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−1について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0111】
[撮像装置の全体構成]
図11は本発明の第2の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−1の実施の形態を示すブロック図である。
【0112】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、絞り14を介して位相差イメージセンサである固体撮像素子(以下、「位相差CCD」という)17の受光面に結像される。
【0113】
[位相差CCDの構成例]
図12は位相差CCD17の構成例を示す図である。
【0114】
位相差CCD17は、それぞれマトリクス状に配列された奇数ラインの画素(主画素)と、偶数ラインの画素(副画素)とを有しており、これらの主、副画素にてそれぞれ光電変換された2面分の画像信号は、独立して読み出すことができるようになっている。
【0115】
図12に示すように位相差CCD17の奇数ライン(1、3、5、…)には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが2列ずつ設けられ、一方、偶数ライン(2、4、6、…)の画素は、奇数ラインと同様に、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが2列ずつ設けられるとともに、偶数ラインの画素に対して画素同士が2分の1ピッチだけライン方向にずれて配置されている。
【0116】
また、図12に示すように位相差CCD17の奇数ライン(1、3、5、…)には、遮光部材17Aにより遮光量の異なる2種類の画素A、Bが交互に設けられ、位相差CCD17の偶数ライン(2、4、6、…)には、遮光部材17Aにより遮光量の異なる2種類の画素C、Dが交互に設けられる。
【0117】
位相差CCD16の前面側(マイクロレンズL側)には、遮光部材17Aが配設される。遮光部材17Aは瞳分割部材としての機能を有している。
【0118】
図13は撮影レンズ12、絞り14、及び位相差CCD16の主、副画素の2画素ずつを示した模式図である。図13では、左から画素A、B、C、Dの順に記載されている。
【0119】
遮光部材17Aは、1枚のシート状に形成されており、透明なシートの一部が黒く着色され、この黒く着色された部分が光を遮光する。この黒く着色された遮光部が位相差CCD17の各画素の前面に位置するように形成される。
【0120】
画素A及び画素Bの上に配置された遮光部は、図13に示すように射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが画素A、画素Bに受光されるように形成される。また、画素A及び画素Bの上に配置された遮光部は、画素Aに受光される光束が画素Bに受光される光束より少なく、画素Aへは画素Bに対してマイクロレンズLの端部を通過する光束のみが通過されるように形成される。画素Aに対する遮光量は、画素Bに対する遮光量より多くなる。
【0121】
画素C及び画素Dの上に配置された遮光部は、図13に示すように射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが画素C、画素Dに受光されるように形成される。また、画素C及び画素Dの上に配置された遮光部は、画素Dに受光される光束が画素Cに受光される光束より少なく、画素Dへは画素Cに対してマイクロレンズLの端部を通過する光束のみが通過されるように形成される。画素Dに対する遮光量は、画素Cに対する遮光量より多くなる。
【0122】
主画素のうち画素Aのみを選択して左視点画像データを生成することもできるし、画素Bのみを選択して左視点画像データを生成することもできる。同様に、画素Cのみを選択して右視点画像データを生成することもできるし、画素Dのみを選択して右視点画像データを生成することもできる。画素Aのみから生成された左視点画像データ又は画素Bのみから生成された左視点画像データと、画素Cのみから生成された右視点画像データ又は画素Dのみから生成された右視点画像データとを選択することにより、所望の視差の立体視画像を生成することができる。すなわち立体視画像の生成に4通りの選択肢がある。
【0123】
画素Aのみから生成された左視点画像データと画素Dのみから生成された右視点画像データとから生成された立体視画像は、4通りの立体視画像のうちで最も視差が大きくなる。また、画素Bのみから生成された左視点画像データと画素Cのみから生成された右視点画像データとから生成された立体視画像は4通りの立体視画像のうちで最も視差が小さくなる。
【0124】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10−1の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10−1は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0125】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素の画素Aのみを用いて撮影を行う。実際の処理方法については、第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0126】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素のうちの画素A又は画素B、副画素のうちの画素C又は画素Dを用いて撮影を行う。
【0127】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、絞り14を介して位相差CCD17の受光面に結像される。CCD制御部32は位相差CCD17の主画素のうちの画素A及び副画素のうちの画素Bに蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0128】
なお、本実施の形態では、画素Aから読み出された信号電荷から左視点画像データを生成し、画素Dから読み出された信号電荷から右視点画像データを生成したが、画素Bから読み出された信号電荷から左視点画像データを生成してもよいし、画素Cから読み出された信号電荷から右視点画像データを生成してもよい。
【0129】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0130】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD17の主画素、副画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0131】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0132】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。CPU40は、焦点距離と選択する画素との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持しており、焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて信号電荷の読み出しを行う画素を決定する。選択する画素は、選択された画素から生成された右視点画像データ及び左視点画像データの視差が適切な視差となるように予め決定されている。
【0133】
例えば、焦点距離が所定の値より小さい、すなわちズーム位置がワイド側の場合には、視差が大きくなるように画素A及び画素Dが選択される。焦点距離が所定の値より大きい、すなわちズーム位置がテレ側の場合には、視差が小さくなるように画素B及び画素Cが選択される。
【0134】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD17を露光する。
【0135】
CPU40は、CCD駆動部33を介して画素A〜Dのうちの選択された画素から信号電荷を読み出す。位相差CCD17の主画素のうちの選択された画素、副画素のうちの選択された画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0136】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0137】
本実施の形態によれば、遮光部材を移動させることなく、焦点距離に応じて遮光量をかえることができる。遮光部材を移動させる必要が無いため、簡単な構造とすることができる。
【0138】
なお、本発明の実施の形態と、第1の実施の形態とを組み合わせて実施するようにしてもよい。例えば、画素Aに対する遮光部材のみが配設されたシート、画素Bに対する遮光部材のみが配設されたシート、画素Cに対する遮光部材のみが配設されたシート、画素Dに対する遮光部材のみが配設されたシートをそれぞれ移動可能とし、遮光量を任意に変更できるようにしてもよい。
【0139】
なお、本実施の形態では、左右方向に異なる2種類の遮光量で画素を遮光したが、左右方向に限らず、上下方向に遮光量を変えてもよい。
【0140】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、焦点距離に応じて位相差CCDの各画素毎に配設された遮光部材を移動させることにより視差を調整したが、視差を調整する方法はこれに限られない。
【0141】
本発明の第3の実施の形態は、遮光部材により光束の一部を遮光した後で光分割するものである。以下、第3の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0142】
[撮像装置の全体構成]
図14は本発明の第3の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−2の実施の形態を示すブロック図である。
【0143】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、絞り14、偏光部材13を介して位相差イメージセンサである固体撮像素子(以下、「位相差CCD」という)18の受光面に結像される。
【0144】
図15は撮影レンズ12、絞り14、偏光部材13及び位相差CCD18の主、副画素の1画素ずつを示した模式図である。
【0145】
偏光部材13は、2枚のガラス板の間に液晶状態の物質が封入された略円板形状の液晶パネルからなる偏光板であり、光軸を中心に2つの領域13a、13bに左右対称に分割する。領域13aの偏光軸と領域13bの偏光軸とは互いに直交している。これにより、位相差CCD18に入射される光束は互いに直交する2つの偏光光束に変換される。
【0146】
偏光部材13は、CPU40が偏光部材13に加える電圧制御をすることにより、偏光の有無や領域13a、13bの大きさを任意に変更することができる。例えば、偏光部材13は、CPU40が偏光部材13に加える電圧制御をすることにより、偏光部材13の外周に沿って所定の幅で光束が透過しない領域を形成することができる。これにより、絞り14と同様に光束の周囲の光の透過を任意に制限することができる。また、偏光部材13は、CPU40が偏光部材13に加える電圧制御をすることにより、図16に示すように領域分割を無くすことが可能である。これにより、平面画像を撮影する場合に全ての光束を撮像素子に入射させることができる。
【0147】
[位相差CCDの構成例]
位相差CCD18は、位相差CCD16と同様に、それぞれマトリクス状に配列された奇数ラインの画素(主画素)と、偶数ラインの画素(副画素)とを有しており、これらの主、副画素にてそれぞれ光電変換された2面分の画像信号は、独立して読み出すことができるようになっている。
【0148】
位相差CCD18の奇数ライン(1、3、5、…)には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられ、一方、偶数ライン(2、4、6、…)の画素は、奇数ラインと同様に、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられるとともに、偶数ラインの画素に対して画素同士が2分の1ピッチだけライン方向にずれて配置されている。
【0149】
位相差CCD18の前面側(マイクロレンズL側)には、偏光部材18A、18Bが配設される。領域13aから出射される偏光光は、偏光部材18Aを透過して位相差CCD18の主画素上に結像される。また、領域13bから出射される偏光光は、偏光部材18Bを透過して位相差CCD18の副画素上に結像される。すなわち、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bは瞳分割部材としての機能を有している。
【0150】
主画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが受光される。副画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが受光される。これにより、位相差CCD18の奇数ラインの主画素から読み出される主画像データは、左視点画像データとして処理され、偶数ラインの副画素から読み出される副画像データは、右視点画像データとして処理される。
【0151】
偏光部材18A、18Bは、2枚のガラス板の間に液晶状態の物質が封入された液晶パネルからなり、CPU40が偏光部材18A、18Bに加える電圧制御をすることにより、偏光の有無を偏光可能である。例えば、平面画像を撮影する場合には、偏光を無くし、全ての光を透過させることができる。
【0152】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10−2の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10−2は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0153】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bへ加える電圧を制御し、全ての光束を全ての画素に結像させる。それ以外の処理方法については、第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0154】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、位相差CCD16の主画素、副画素の全てを用いて撮影を行う。
【0155】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、遮光部材15、絞り14を介して位相差CCD18の受光面に結像される。この時、遮光部材15の遮光板15aの幅は、初期設定の幅とされている。CCD制御部32は位相差CCD18の主画素及び副画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0156】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0157】
この処理を順次行うことにより、位相差CCD18の主画素、副画素で撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0158】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0159】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。また、CPU40は、明るさと、焦点距離と、偏光部材13の光通過領域の直径との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持している。
【0160】
偏光部材13の光束が通過しない領域の内径(光通過領域の直径)を小さくすると、図17(a)に示すように左視点画像データの中心と右視点画像データの中心との距離x1が小さくなり、視差が小さくなる。逆に、偏光部材13の光束が通過しない領域の内径(光通過領域の直径)を大きくすると、図17(b)に示すように、左視点画像データの中心と右視点画像データの中心との距離x2が大きくなり、左視点画像データと右視点画像データとの視差が大きくなる。
【0161】
したがって、焦点距離が所定の値より大きい場合には、光束の周囲の遮光量を多くする。すなわち、偏光部材13の光通過領域の直径の直径を小さくし、左視点画像データと右視点画像データとの視差を小さくする。また、焦点距離が所定の値より小さい場合には、光束の周囲の遮光量を少なくする。すなわち、偏光部材13の光通過領域の直径の直径を大きくし、左視点画像データと右視点画像データとの視差を大きくする。
【0162】
本実施の形態では、偏光部材13を用いて遮光量を変えるため、遮光量を変えることによりF値が変わる。第1、2の実施の形態では、図7に示すように遮光量を変えることにより上下方向へ点が移動したが、第3の実施の形態では、遮光量を変えることにより図7に示すグラフ上を斜め方向へ移動することとなる。すなわち、焦点距離が大きい場合には、遮光量が少なくなるためF値が小さくなり、かつ視差が小さくなる。そのため、図7に示すグラフ上を右斜め上方向に点が移動される。また、焦点距離が小さい場合には、遮光量が多くなるためF値が大きくなり、かつ視差が大きくなる。そのため、図7に示すグラフ上を左斜め下方向に点が移動される。
【0163】
CPU40には、右視点画像データと左視点画像データとの視差が適切な視差となるような偏光部材13の光通過領域の直径と、その時のF値とが記憶されている。CPU40は、取得された焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて偏光部材13の光通過領域の直径を決定し、偏光部材13の光通過領域の直径が決定された直径となるように偏光部材13を制御する。このようにして偏光部材13の直径が変化された後は、F値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上の任意の点に位置する。
【0164】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値で位相差CCD18を露光する。
【0165】
位相差CCD18の主画素、副画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0166】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0167】
本実施の形態によれば、焦点距離に応じて遮光量をかえることにより、どのような焦点距離の場合にも立体視に適切な視差とすることができる。
【0168】
なお、本実施の形態では、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bの偏光作用を無くして全ての光束を位相差CCD18に入射させて平面画像を撮影したが、平面画像撮影時に全ての光束が位相差CCD18に入射するのであればこの方法に限られない。例えば、偏光部材13及び偏光部材18A、18Bを光軸と直交方向に平行移動させて光束を遮らない位置へ退避させてもよい。
【0169】
偏光部材13を光軸と直交方向に平行移動させて光束を遮らない位置へ退避させる場合には、偏光部材13は液晶パネルでなくてもよい。この場合には、光通過領域の直径を変更するために、羽根式の絞りで使用されるような機械的な機構を採用すればよい。
【0170】
また、偏光部材13の形状は、略円板形状に限られない。光軸を中心に2つの領域13a、13bに左右対称に分割可能であり、光束の周囲の遮光量が可変であるのであれば、例えば略矩形形状でもよい。この場合には、光通過領域も略矩形形状でよい。
【0171】
また、本実施の形態では、F値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上の任意の点に位置するように偏光部材13の直径が変化されたが、使用する撮影レンズの種類(例えば、倍率が10倍や30倍のレンズ)や焦点距離によっては適切な視差となるまで遮光部材16A、16Bを移動できない場合も考えられる。これらの場合には、焦点距離によらず視差を均一とすることはできないが、可能な限り適切な視差に近づけるようにすることで、焦点距離による視差の差異が小さくなり、視差調整を行わない場合に比べて立体視がしやすい立体視画像を提供することができる。
【0172】
<第4の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、焦点距離に応じて位相差CCDの各画素毎に配設された遮光部材を移動させることにより視差を調整したが、視差を調整する方法はこれに限られない。
【0173】
本発明の第4の実施の形態は、遮光部材により光束の一部を遮光した後で光分割し、ミラーを用いて異なる撮像素子に結像させることにより視差を調整するものである。以下、第4の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−3について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0174】
[撮像装置の全体構成]
図18は本発明の第4の実施の形態に係る単眼立体撮像装置10−3の実施の形態を示すブロック図である。
【0175】
撮影モード時において、被写体を示す画像光は、撮影レンズ12、遮光部材15、絞り14、ミラー11を介してイメージセンサである固体撮像素子(以下、「CCD」という)19a、19bの受光面に結像される。遮光部材15は、CPU40によって制御される遮光部材駆動部35によって遮光板15a(図20参照)が駆動され、遮光量が制御される。
【0176】
図19は撮影レンズ12、遮光部材15、絞り14、ミラー11及びCCD19a、19bの1画素ずつを示した模式図である。
【0177】
遮光部材15は、射出瞳を通過する光束のうちの光軸を含む一部(略中央部)を遮光するものであり、図19に示すように遮光部材15を通過した光束が絞り14を介してミラー11に入射される。
【0178】
遮光部材15は、例えば、図20に示すように中央に蛇腹状に折り畳み可能な遮光板15aが設けられた略円板形状の部材である。遮光板15aの外周には移動部材15bが配設され、遮光部材駆動部35は移動部材15bを外周部13cに沿って移動させる。これにより、遮光板15aの幅が変更される。遮光板15aの幅が広い場合には遮光量が多くなり、遮光板15aの幅が狭い場合には遮光量が少なくなる。
【0179】
ミラー11は、遮光部材15によって略中央が遮光された光束を瞳分割し、CCD19a又はCCD19bへ結像させる。なお、図19では、CCD19a、19bの前面の対物レンズを省略している。
【0180】
CCD19a、19bには、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを備えた画素のうち、GRGR…の画素配列のラインと、BGBG…の画素配列のラインとが交互に設けられる。
【0181】
ミラー11は、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみをCCD19aへ結像させ、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみをCCD19bへ結像させる。したがって、CCD19aから読み出される画像データは、左視点画像データとして処理され、CCD19bから読み出される画像データは、右視点画像データとして処理される。
【0182】
[撮像装置の動作の説明]
次に、単眼立体撮像装置10−3の動作について説明する。この撮像処理はCPU40によって制御される。この撮像処理をCPU40に実行させるためのプログラムはCPU40内のプログラム格納部に記憶されている。単眼立体撮像装置10−3は、平面画像、立体視画像の両方が撮影可能である。平面画像を撮影するか、立体視画像を撮影するかは、操作部38等を介して予め設定され、設定された情報はメモリ48に記憶されている。CPU40は、この情報を取得し、それに応じた処理を行う。
【0183】
(1)平面画像の撮影処理
平面画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、CCD19aのみを用いて撮影を行う。実際の処理方法については、第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0184】
(2)立体視画像の撮影処理
立体視画像を撮影することがメモリ48に記憶されている場合には、CPU40は、CCD19a、19bを用いて撮影を行う。
【0185】
撮影レンズ12を通過した被写体光は、遮光部材15、絞り14を介してCCD19a、19bの受光面にそれぞれa結像される。この時、遮光部材15の遮光板15aの幅は、初期設定の幅とされている。CCD制御部32は位相差CCD18の主画素及び副画素に蓄えられた信号電荷は信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出され、アナログ信号処理部20、A/D変換器21、画像入力コントローラ22を介してデジタル信号処理部24に順次入力され、左視点画像データ及び右視点画像データが順次生成される。生成された左視点画像データ及び右視点画像データは順次VRAM50に入力される。
【0186】
左視点画像データ及び右視点画像データはVRAM50から順次出力され、画像信号処理部134で輝度/色差信号が生成され、その信号がビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。液晶モニタ30には、パララックスバリアが発生されるとともに、その下層の画像表示面に左視点画像データと右視点画像データとの短冊状の画像断片が交互に配列して表示される。
【0187】
この処理を順次行うことにより、CCD19a、19bで撮像される画像がリアルタイムに表示される。撮影者は、この液晶モニタ30にリアルタイムに表示される画像(スルー画像)を見ることにより、撮影画角を確認することができる。
【0188】
シャッタボタンが半押しされると、S1ON信号がCPU40に入力され、CPU40はAE/AF動作を実施する。立体視画像の撮影処理においては、AF処理部42は、位相差AF処理によりAF動作を行う。
【0189】
CPU40は、ズームレンズの光軸方向の位置に基づいて焦点距離を取得する。そして、CPU40は、焦点距離に基づいて遮光部材15の遮光板15aの幅を決定し、遮光部材駆動部35を介して遮光板15aの幅が決定された幅となるように移動部材15bを移動させる。
【0190】
CPU40は、明るさと、焦点距離と、遮光板15aの幅との関係をCPU40内のメモリ領域等に保持している。遮光板15aの幅としては、適切な幅とした時の右視点画像データと左視点画像データとの視差が適切な視差となるような値が記憶されている。
【0191】
CPU40は、焦点距離を取得すると、焦点距離とこのメモリ領域等に保持された関係とに基づいて遮光板15aの幅を決定し、決定された幅となるように遮光部材駆動部35を介して移動部材15bを移動させる。
【0192】
すなわち、図6の点aのように焦点距離が所定の値より小さい場合には、図21(A)に示すように遮光部材15がより多くの光を遮光するように遮光板15aの幅を広くするように移動部材15bが移動される。その結果、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心、副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心は光軸から遠ざかる方向に移動し、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が大きくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が大きくなる。
【0193】
また、図6の点cに示すように焦点距離が所定の値より大きい場合には、図21(B)に示すように遮光部材15がより少ない光を遮光するように遮光板15aの幅を狭くするように移動部材15bが移動される。その結果、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心、副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心は光軸へ近づく方向に移動し、主画像のフォトダイオードPDに入射される光の中心と副画素のフォトダイオードPDに入射される光の中心との距離が小さくなる。すなわち、左視点画像データと右視点画像データとの視差が小さくなる。
【0194】
また、図6の点bに示すように適切な視差となっている場合には、遮光板15aの幅として初期設定と略同一の値が記憶されている。したがって、移動部材15bは移動されない。
【0195】
本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、遮光量を変えることによりF値が変わる。CPU40には、遮光量が変化された後は、F値と視差との関係が最も適切な曲線(図6の点bがプロットされた曲線)上の任意の点に位置するような遮光板15aの幅が記憶されている。
【0196】
シャッタボタンが全押しされると、CPU40にS2ON信号が入力され、CPU40は、撮影、記録処理を開始する。すなわち、測光結果に基づき決定されたシャッター速度、絞り値でCCD19a、19bを露光する。
【0197】
位相差CCD18の主画素、副画素からそれぞれ出力された2枚分の画像データは、アナログ処理部128、A/D変換器130、画像入力制御部132を介してVRAM50に取り込まれ、画像信号処理部134において輝度/色差信号に変換されたのち、VRAM50に格納される。VRAM50に格納された左視点画像データは、圧縮伸張処理部26に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、メモリ48に格納される。
【0198】
メモリ48に記憶された2枚分の圧縮データからMPファイルが生成され、そのMPファイルはメディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、立体視画像が撮影、記録される。
【0199】
本実施の形態によれば、焦点距離に応じて遮光量をかえることにより、どのような焦点距離の場合にも立体視に適切な視差とすることができる。視差を均一とすることで、視聴者が立体視しやすい立体視画像を提供することができる。
【0200】
なお、本実施の形態では、遮光部材15を透過した光束をミラー11で瞳分割し、2枚のCCDに結像させたが、1枚の位相差CCDを用いるようにしてもよい。この場合には、位相差CCDの主画素(フォトダイオードPD)の前面には受光面の右半分を遮光する遮光部材を配設し、副画素(フォトダイオードPD)の前面には受光面の左半分を遮光する遮光部材を配設すればよい。これにより、主画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の左側のみが受光され、副画素には、射出瞳を通過する光束の光軸の右側のみが受光される。
【0201】
この場合には、平面画像を撮影する時に主画素のみを用いてもよいし、主画素、副画素の両方を用いてもよい。主画素、副画素の両方を用いる場合には、遮光部材15及び位相差CCDの主画素、副画素の前面に配設された遮光部材の遮光機能を無くす必要がある。遮光部材15については、図22(b)に示す状態から図22(a)に示す状態へ移動部材を移動させ、移動部材15bを所定の箇所に集めて遮光板15aを光路から退避させればよい。位相差CCDの主画素、副画素の前面に配設された遮光部材については、遮光部及び光透過部を電気的に制御可能な液晶パネルを用いればよい。また、遮光部材15及び位相差CCDの主画素、副画素の前面に配設された遮光部材を光軸と直交する方向に平行移動させて光軸を遮らない位置まで退避させてもよい。
【0202】
また、本実施の形態では、蛇腹状に折り畳み可能な遮光板15aを移動させて遮光板の幅を変えたが、遮光板の形態はこれに限られない。例えば、複数の板が光軸方向に重ねて配設された遮光板を用い、複数の板のうちの所定の板を光軸と直交方向に移動させて遮光板の幅を変えるようにしてもよい。
【0203】
また、本実施の形態では、CPU40が焦点距離に応じて遮光板15aの幅を決定し、決定された幅となるように移動部材15bを移動させたが、遮光板15aの幅の調整方法はこれに限られない。例えば、ズームレンズの光軸方向の移動に連動させて遮光板15aの幅を変更するようにしてもよい。
【0204】
単眼立体撮像装置10−3のズームレンズ移動機構について説明する。従来の撮像装置と同様に、レンズ鏡胴には、光軸方向に移動可能なカム筒が配設されており、カム筒の外周面にはカム溝が形成されている。カム筒の内部に配設されたズームレンズにはカムピンが配設される。カム溝にはカムピンが係合しており、カム筒を回転させると、この回転に伴ってカムピンがカム溝に沿って移動する。これにより、ズームレンズが光軸方向に移動される。
【0205】
このカムピンに遮光部材15の移動部材15bを連結すると、カム筒の回転に伴ってカムピンがカム溝に沿って移動するとともに、移動部材15bが移動され、遮光板15aの幅が変更される。これにより、ズームレンズの光軸方向の移動に連動して遮光板15aの幅を変えることができる。移動部材15bがカム溝に沿って移動するのであれば、カムピンに移動部材15bを連結する形態に限らず、移動部材15bに連結されたピンをカムピンとは別にカム溝に係合させるようにしてもよい。
【0206】
なお、本実施の形態では、略小判形状の遮光板15aを用いたが、光束の光軸を含む一部を遮光できるのであれば、遮光板の形状はこれに限らない。例えば、楕円形、樽型等でもよい。また、本実施の形態では、遮光板15aの幅を変えることにより遮光量を変えたが、楕円形の場合は短辺の長さを変える、樽型の場合には幅を大きくすることにより遮光板の大きさを変え、遮光量を変えればよい。
【0207】
第1〜4の実施の形態では、撮像素子にCCDを用いた例で説明したが、CCDに限定されるものではない。本発明は、CMOS等他のイメージセンサにも適用可能である。
【符号の説明】
【0208】
10、10−1、10−2、10−3:単眼立体撮像装置、11:ミラー、12:撮影レンズ、13:偏光部材、14:絞り、15:遮光部材、16、17、18、:位相差CCD、19a、19b:CCD、32:CCD制御部、34:絞り駆動部、35:遮光部材駆動部、36:レンズ駆動部、40:CPU、54:メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、
前記撮影光学系を通過した光束を複数の光束に分割する瞳分割手段と、
前記分割された複数の光束をそれぞれ受光して複数の画像を取得する撮像手段と、
前記撮影光学系の焦点距離を変更させるレンズ駆動手段と、
前記光束の一部を遮光する遮光手段と、
前記焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、
前記取得された焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には遮光量を少なくし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には遮光量を多くするように前記遮光手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合又は小さい場合には、前記所定の焦点距離のときに前記撮像手段により取得される際の複数の画像の視差と略同一の視差となるように前記遮光手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、複数の画素から構成された撮像素子を有し、
前記瞳分割手段及び遮光手段は、前記複数の画素毎に設けられ、前記画素へ入射される光の一部を遮光する遮光部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記遮光部材を任意の位置へ移動させる遮光部材駆動手段を備え、
前記制御手段は、前記遮光部材駆動手段を介して前記遮光部材を適切な位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、前記画素によって異なる遮光量となるように前記光束の一部を遮光し、
前記制御手段は、前記取得された焦点距離に応じて所望の画素を選択し、
前記撮像手段は、前記選択された所望の画素に基づいて前記複数の画像を取得することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記遮光手段は、前記光束のうちの光軸を含む一部を機械的に遮蔽する大きさが変更自在な遮光板を有し、
前記制御手段は、前記取得された焦点距離に基づいて前記遮光板の大きさを変更させることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項7】
レンズ鏡胴に回動自在に配設されたカム筒であって、カム溝が形成されたカム筒と、
前記遮光板の大きさを変更させる遮光板移動手段と、
前記カム溝と前記遮光板移動手段とを連結する連結手段と、を備え、
前記ズームレンズ駆動手段は、前記カム筒を回動させることにより前記ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、
前記制御手段は、前記ズームレンズ駆動手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記瞳分割手段はミラーであることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
光軸を中心に2つの領域に左右対称に分割すると共に、前記光束の周囲を遮光する偏光板であって、前記光束の周囲の遮光量を任意に変更可能な遮光板を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記偏光板は、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合には前記光束の周囲の遮光量を多くし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には前記光束の周囲の遮光量を少なくすることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮影光学系と、
前記撮影光学系を通過した光束を複数の光束に分割する瞳分割手段と、
前記分割された複数の光束をそれぞれ受光して複数の画像を取得する撮像手段と、
前記撮影光学系の焦点距離を変更させるレンズ駆動手段と、
前記光束の一部を遮光する遮光手段と、
前記焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、
前記取得された焦点距離が所定の焦点距離より大きい場合には遮光量を少なくし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には遮光量を多くするように前記遮光手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合又は小さい場合には、前記所定の焦点距離のときに前記撮像手段により取得される際の複数の画像の視差と略同一の視差となるように前記遮光手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、複数の画素から構成された撮像素子を有し、
前記瞳分割手段及び遮光手段は、前記複数の画素毎に設けられ、前記画素へ入射される光の一部を遮光する遮光部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記遮光部材を任意の位置へ移動させる遮光部材駆動手段を備え、
前記制御手段は、前記遮光部材駆動手段を介して前記遮光部材を適切な位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、前記画素によって異なる遮光量となるように前記光束の一部を遮光し、
前記制御手段は、前記取得された焦点距離に応じて所望の画素を選択し、
前記撮像手段は、前記選択された所望の画素に基づいて前記複数の画像を取得することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記遮光手段は、前記光束のうちの光軸を含む一部を機械的に遮蔽する大きさが変更自在な遮光板を有し、
前記制御手段は、前記取得された焦点距離に基づいて前記遮光板の大きさを変更させることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項7】
レンズ鏡胴に回動自在に配設されたカム筒であって、カム溝が形成されたカム筒と、
前記遮光板の大きさを変更させる遮光板移動手段と、
前記カム溝と前記遮光板移動手段とを連結する連結手段と、を備え、
前記ズームレンズ駆動手段は、前記カム筒を回動させることにより前記ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、
前記制御手段は、前記ズームレンズ駆動手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記瞳分割手段はミラーであることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
光軸を中心に2つの領域に左右対称に分割すると共に、前記光束の周囲を遮光する偏光板であって、前記光束の周囲の遮光量を任意に変更可能な遮光板を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記偏光板は、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より大きい場合には前記光束の周囲の遮光量を多くし、前記取得された焦点距離が前記所定の焦点距離より小さい場合には前記光束の周囲の遮光量を少なくすることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−199755(P2011−199755A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66523(P2010−66523)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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