撮像装置
【課題】被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定できるようにする。
【解決手段】デジタルカメラのCPUは、タッチ操作によって追尾対象とする被写体が選択されたことに応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPUは、自動追尾AFモードを設定すると、動き検出部に動き検出処理の実行を指示し、被写体の動きの大きさを示す動き量を動き検出部に算出させる。CPUは、動き検出部から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。CPUは、動き量が所定値以下であると判定した場合、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。一方、CPUは、動き量が所定値以上であると判定した場合、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。
【解決手段】デジタルカメラのCPUは、タッチ操作によって追尾対象とする被写体が選択されたことに応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPUは、自動追尾AFモードを設定すると、動き検出部に動き検出処理の実行を指示し、被写体の動きの大きさを示す動き量を動き検出部に算出させる。CPUは、動き検出部から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。CPUは、動き量が所定値以下であると判定した場合、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。一方、CPUは、動き量が所定値以上であると判定した場合、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の被写体を自動的に追尾する追尾処理を行う機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コントラスト方式のオートフォーカス(以下、AFと称す)を行う撮像装置が知られている。コントラスト方式のAFでは、撮像素子によって得られた撮影画像の一部のエリア(以下、AFエリアと称す)からコントラストに応じたAF評価値を算出し、そのAF評価値が最も高い位置にフォーカスレンズを移動させることによって撮影レンズを自動的に合焦させる。
【0003】
AFエリアは、撮影範囲の中央やユーザが指定した任意の位置に固定されているのが一般的である。ところが、このようにAFエリアが固定されていると、焦点を合わせたい被写体に動きがある際に、その被写体がAFエリアから外れてしまい、思うように所望の被写体に焦点が合わせられないことがある。
【0004】
こうした問題を防ぐため、所定の被写体の動きを自動的に追尾し、その被写体に追従させてAFエリアを移動させるようにした撮像装置が、例えば、特許文献1で提案されている。特許文献1では、操作部を操作することによってユーザが所望の被写体を指定した際に、その被写体の画像を基準パターン画像として記憶しておき、この基準パターン画像を基にパターンマッチング処理を行うことにより、その後取得された撮影画像から基準パターン画像と一致する箇所を検出する。そして、検出した箇所に対応する位置にAFエリアを移動させることにより、ユーザの所望する被写体にAFエリアを追従させるようにしている。このように、撮影対象としたい被写体にAFエリアを追従させるようにすれば、被写体に動きがある際にも、その被写体に適切に焦点を合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−184742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、パターンマッチング処理によって被写体の自動追尾を行う際、基準パターン画像として設定した画像の焦点があまりにもずれていると、パターンマッチング処理による一致箇所の検出が困難になり、追尾が継続できなくなってしまう場合がある。このように、基準パターン画像の焦点ずれは、被写体の追尾精度の低下を招いてしまう。
【0007】
これを防ぐためには、基準パターン画像の設定を行う前に一度AFを行い、追尾対象としたい被写体に焦点を合わせる必要がある。しかしながら、被写体の動きが大きい場合にAFを行ってしまうと、この間の被写体の移動にともなって追尾対象としたい被写体が基準パターン画像として設定可能な範囲から外れてしまい、異なる被写体が基準パターン画像として設定されてしまうなど、ユーザの所望する被写体が基準パターン画像として適切に設定されなくなってしまうという問題が生じる。また、前述のように、被写体の動きが大きい場合には、AFを行ったとしても追尾対象としたい被写体に適切に焦点が合わせられるとは限らない。このため、所定の被写体を自動的に追尾する撮像装置では、被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定できるようにすることが望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させることによって焦点の調節が可能な撮影レンズと、前記撮影レンズによって結像された被写体像を撮像する撮像素子とを備え、前記撮像素子を駆動することによって時系列的に連続した複数の画像データを取得するとともに、前記撮影レンズを自動的に合焦させるオートフォーカスを行う機能と、所定の被写体を自動的に追尾する追尾処理を行う機能とを有する撮像装置において、前記画像データから所定の領域を抽出することにより、その領域を前記追尾処理の追尾対象として設定する追尾対象設定処理手段と、被写体の動きを検出する動き検出手段と、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記動き検出手段に被写体の動きを検出させ、動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、動きが大きい場合には、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる設定制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
前記動き検出手段は、前記各画像データを基に、被写体の動きを検出することが好ましい。
【0011】
前記撮影レンズが前面に設けられた本体部と、前記本体部の動きを検出するセンサとを有し、前記動き検出手段は、前記センサの検出結果を基に、被写体の動きを検出する構成としてもよい。
【0012】
前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出との双方で動きが小さいと検出された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出とのどちらかで動きが大きいと検出された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることが好ましい。
【0013】
前記画像データを基にAF評価値を算出するAF評価値算出手段を備え、前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、所定値以上である場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することが好ましい。
【0014】
前記設定制御手段は、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値が所定値以上で、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記AF評価値が所定値以下である場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることが好ましい。
【0015】
前記撮影レンズが合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた際に、その時の撮影シーンに関連する各種の情報を基準情報として記憶する基準情報記憶手段と、前記基準情報記憶手段に記憶された前記基準情報を基に、撮影シーンに変動があったか否かを判定するシーン変動チェック処理手段とを備え、前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記シーン変動チェック処理手段に判定を実行させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動があると判定された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することが好ましい。
【0016】
前記設定制御手段は、撮影シーンに変動がなく、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動がある場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることが好ましい。
【0017】
前記基準情報記憶手段は、前記撮影レンズのズームレンズの位置、顔検出処理の結果、測光値、前記フォーカスレンズの位置、AF評価値のいずれかを前記基準情報として記憶することが好ましい。
【0018】
前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う前に、オートフォーカスを行うか否かを設定するためのAF動作設定手段を備え、前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記AF動作設定手段による設定を確認し、オートフォーカスを行うと設定されている場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、オートフォーカスを行わないと設定されている場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することが好ましい。
【0019】
前記AF動作設定手段の設定には、オートフォーカスを行うか否かを自動的に決定するモードがあり、前記設定制御手段は、オートフォーカスを自動的に決定することが設定されている場合、前記動き検出手段の検出結果、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値、前記シーン変動チェック処理手段の判定結果のいずれかを基に、オートフォーカスを行うか否かを決定することが好ましい。
【0020】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行わないと設定されている場合に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合、焦点が合っていないことを示す警告を行うことが好ましい。
【0021】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行うと設定されている場合に、撮影シーンに変動があったか否かを前記シーン変動チェック処理手段に判定させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合、オートフォーカスが省略可能であることを示す報知を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、追尾対象設定処理手段が追尾対象の設定を行う際に、動き検出手段に被写体の動きを検出させ、動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから追尾対象設定処理手段に追尾対象の設定を実行させ、動きが大きい場合には、オートフォーカスを行わずに追尾対象設定処理手段に追尾対象の設定を実行させるようにしたので、被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】デジタルカメラの正面斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面図である。
【図3】自動追尾AFモード時の動作を概略的に示す説明図である。
【図4】デジタルカメラの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】特徴点追跡の概念を示す説明図である。
【図6】デジタルカメラの動作手順の概略を示すフローチャートである。
【図7】動き検出処理の手順の概略を示すフローチャートである。
【図8】エリアマッチングによる動き検出処理の手順の概略を示すフローチャートである。
【図9】エリアマッチングの概念を示す説明図である。
【図10】輝度差分画像の作成による動き検出処理の手順の概略を示すフローチャートである。
【図11】輝度差分画像の作成の概念を示す説明図である。
【図12】ジャイロセンサを設けた例を示すブロック図である。
【図13】ジャイロセンサを設けた場合の動作手順の概略を示すフローチャートである。
【図14】センサによる動き検出処理と画像処理による動き検出処理とを行う例を示すフローチャートである。
【図15】動き検出処理の前に、現在のAF評価値が所定値以上か否かを判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図16】AFを行うか否かを現在のAF評価値が所定値以上か否かのみで判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図17】シーン変動チェック処理部を設けた例を示すブロック図である。
【図18】動き検出処理の前に、シーン変動チェック処理を行うようにした例を示すフローチャートである。
【図19】シーン変動チェック処理の概略を示すフローチャートである。
【図20】AFを行うか否かをシーン変動チェック処理のみで判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図21】設定記憶部を設けた例を示すブロック図である。
【図22】自動追尾前AF動作の設定方法の一例を示す説明図である。
【図23】ユーザの設定を反映できるようにした例を示すフローチャートである。
【図24】AFを行うか否かをユーザの設定のみで判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図25】AF動作OFFモードの際に、現在のAF評価値が所定値以上か否かを判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図26】ユーザに対する警告の一例を示す説明図である。
【図27】シーン変動チェック処理部と設定記憶部とを設けた例を示すブロック図である。
【図28】AF動作ONモードの際に、シーン変動チェック処理を行うようにした例を示すフローチャートである。
【図29】ユーザに対する報知の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、デジタルカメラ(撮像装置)2は、略直方体状に形成されたカメラ本体(本体部)4を有している。カメラ本体4の前面には、撮影レンズ10を保持するレンズ鏡筒11と、撮影実行の際に被写体を照射するフラッシュ発光部12とが設けられている。カメラ本体4の上面には、撮影実行を指示するレリーズボタン14と、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン15と、撮影レンズ10をワイド側もしくはテレ側に変倍させるズーム操作を行うためのズームレバー16とが設けられている。
【0025】
レリーズボタン14は、2段階押しのスイッチとなっている。レリーズボタン14を軽く押す(半押し)と、AF(自動焦点調整)やAE(自動露出調整)などの各種の撮影準備処理が実施される。この半押しした状態からレリーズボタン14をさらに押し込む(全押し)と、デジタルカメラ2に撮影の実行が指示され、撮影準備処理が施された1画面分の撮像信号が画像データに変換される。
【0026】
図2に示すように、カメラ本体4の背面には、液晶ディスプレイ18、モード選択ボタン19、メニューボタン20が設けられている。液晶ディスプレイ18は、撮影した画像や撮影待機時のいわゆるスルー画、及び各種のメニュー画面などを表示する。デジタルカメラ2は、静止画像を取得する静止画撮影モード、動画像を取得する動画撮影モード、取得した各画像を液晶ディスプレイ18に再生表示する再生モードなどの複数の動作モードを有している。モード選択ボタン19は、デジタルカメラ2の各動作モードを切り替える際に操作される。デジタルカメラ2の動作モードは、モード選択ボタン19の押下操作に応じて順次切り替えられる。メニューボタン20は、液晶ディスプレイ18に各種のメニュー画面を表示させる際に操作される。
【0027】
液晶ディスプレイ18の前面には、タッチパネル21(図4参照)が設けられている。タッチパネル21は、その表面がカメラ本体4の背面と略面一になるように取り付けられている。タッチパネル21は、指や専用のペンなどで表面が押圧された際に、その位置を検出する。
【0028】
このデジタルカメラ2では、液晶ディスプレイ18に表示されるアイコンや画像に合わせて、タッチパネル21の表面を指で押圧したり、押圧した状態のまま指を移動させたりすることにより、撮影機能の設定や表示する画像の切り替えなどといった各種の操作を直感的に行うことができる。
【0029】
また、デジタルカメラ2のAF機能には、撮影範囲の中央部分にAFエリア23(図3参照)を固定する通常AFモードと、ユーザが選択した被写体を自動的に追尾し、その被写体にAFエリア23を追従して移動させる自動追尾AFモードとが設けられている。デジタルカメラ2を静止画撮影モード又は動画撮影モードに設定した状態では、通常AFモードが設定されている。自動追尾AFモードは、静止画撮影モード又は動画撮影モードに設定してデジタルカメラ2を撮影待機状態にした後、液晶ディスプレイ18に表示されたスルー画から任意の被写体を選択することによって設定される。
【0030】
被写体の選択は、スルー画上の任意の被写体の中から追尾対象としたい被写体をタッチ操作することによって行われる。例えば、図3に示すように、被写体S1〜S3を含むフレーム画像22がスルー画として液晶ディスプレイ18に表示された状態で、被写体S1を追尾対象として自動追尾AFモードを実行したい場合、ユーザは、画面上の被写体S1に対応する部分をタッチ操作する。
【0031】
デジタルカメラ2は、被写体S1に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21によって検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。
【0032】
デジタルカメラ2は、自動追尾AFモードを設定すると、図3(a)に示すように、撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、図3(b)に示すように、タッチパネル21の検出結果に応じて被写体S1に対応する部分に移動させる。また、これと同時に、デジタルカメラ2は、被写体S1を囲うターゲット表示枠24をフレーム画像22にオーバーレイ表示し、このターゲット表示枠24によって、被写体S1を追尾対象とした自動追尾AFモードの開始をユーザに報知する。
【0033】
自動追尾AFモードでは、被写体S1を追尾対象として設定した状態で被写体S1が移動すると、その移動がデジタルカメラ2によって自動的に検出され、図3(c)に示すように、被写体S1に合わせてAFエリア23及びターゲット表示枠24が移動する。これにより、自動追尾AFモードでは、被写体の動きが速い場合などでも、その被写体に撮影レンズ10の焦点を迅速に合わせることができる。なお、自動追尾AFモードは、例えば、追尾対象の被写体を再びタッチ操作して追尾の終了を指示したり、追尾対象の被写体が撮影範囲から外れるなどして追尾不能な状態に陥ったりすることによって解除される。
【0034】
図4に示すように、撮影レンズ10には、光軸方向に移動することによって撮影倍率を変化させるズームレンズ26、開口面積を変化させることによって光の量を調節する絞り機構27、及び光軸方向に移動することによって焦点を調節するフォーカスレンズ28などが設けられている。ズームレンズ26及びフォーカスレンズ28には、ギヤなどの伝達機構を介してレンズ駆動モータ30が接続されている。ズームレンズ26及びフォーカスレンズ28の光軸方向への移動は、このレンズ駆動モータ30の駆動によって行われる。また、レンズ鏡筒11には、繰出しモータ31が接続されている。繰出しモータ31は、ギヤなどの伝達機構を介してレンズ鏡筒11に駆動力を伝えることにより、レンズ鏡筒11の繰り出し/繰り込みを行う。
【0035】
各モータ30、31は、モータドライバ32に接続されている。モータドライバ32は、デジタルカメラ2の全体を統括的に制御するCPU(設定制御手段)34に接続されており、このCPU34からの制御信号に基づいて各モータ30、31に駆動パルスを送信する。各モータ30、31は、この駆動パルスに応じて回転軸を回転駆動する。
【0036】
撮影レンズ10の背後には、撮影レンズ10によって結像された被写体像を撮像するCCD(撮像素子)36が配置されている。CCD36には、CPU34によって制御されるタイミングジェネレータ(TG)38が接続され、このTG38から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度が決定される。
【0037】
CCD36から出力された画像データは、相関二重サンプリング回路(CDS)40に入力され、CCD36の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR、G、Bの画像データとして出力される。CDS40から出力された画像データは、増幅器(AMP)41で増幅され、A/D変換器(A/D)42でデジタルの画像データに変換される。
【0038】
画像入力コントローラ43は、バス44を介してCPU34に接続され、CPU34の制御命令に応じて、CCD36、CDS40、AMP41、及びA/D42の各部を制御する。A/D42から出力された画像データは、SDRAM45に一時的に記録される。
【0039】
画像信号処理回路46は、SDRAM45から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM45に記録する。YC変換処理回路47は、画像信号処理回路46で各種処理を施された画像データをSDRAM45から読み出し、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとに変換する。液晶ドライバ48は、画像信号処理回路46、YC変換処理回路47を経た画像データをSDRAM45から読み出し、アナログのコンポジット信号に変換して液晶ディスプレイ18に表示する。
【0040】
圧縮伸長処理回路50は、YC変換処理回路47でYC変換された画像データを所定の形式のファイルフォーマットに変換することにより、画像データから静止画像ファイル又は動画像ファイルを生成する。メディアコントローラ51は、メディアスロットに着脱自在に装着されたメモリカード52にアクセスし、生成された静止画像ファイルや動画像ファイルの読み書きを行う。
【0041】
CPU34には、レリーズボタン14、ズームレバー16、モード選択ボタン19、メニューボタン20、タッチパネル21といった各種の操作部材が接続されている。これらの各操作部材は、操作を検出し、その検出結果をCPU34に入力する。
【0042】
また、バス44には、上記の他に、フラッシュ制御部53、AE/AWB検出回路54、AF検出回路(AF評価値算出手段)55、動き検出部56、追尾対象設定処理部57、追尾処理部58などが接続されている。フラッシュ制御部53は、CPU34から送信されるフラッシュ発光信号に応じてフラッシュ発光部12を発光させる。
【0043】
AE/AWB検出回路54は、YC変換処理回路47でYC変換された画像データの輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとの積算値を基に、被写体の輝度を表す測光値を算出し、この算出結果をCPU34に送信する。CPU34は、AE/AWB検出回路54から送信された測光値を基に、露出量、及びホワイトバランスの適否を判断し、撮影レンズ10の絞り機構27やCCD36などの動作を制御する。
【0044】
AF検出回路55は、A/D42でデジタル化された画像データを基にAFエリア23内のAF評価値を算出し、その算出結果をCPU34に送信する。CPU34は、レリーズボタン14の半押しにともなう撮影準備処理の際に、フォーカスレンズ28を移動させながら複数の位置におけるAF評価値をAF検出回路55に算出させる。そして、最もAF評価値が高い位置にフォーカスレンズ28を移動させることによって撮影レンズ10を合焦させる。このように、CPU34は、AF検出回路55が算出したAF評価値を基に、いわゆるコントラスト方式のAFを行う。
【0045】
動き検出部56は、CPU34の制御の下、YC変換処理回路47でYC変換された画像データを基に、被写体の動き量を検出する動き検出処理を行う。動き検出部56は、CPU34の指示に応じて動き検出処理を開始すると、まずYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。動き検出部56は、画像データを読み出したら、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像とし、図5(a)に示すように、そのフレーム画像22から複数の特徴点60を抽出する。特徴点60とは、フレーム画像22の被写体において他の点との区別がし易い点のことであり、例えば、輝度勾配を持ったコーナーなどである。
【0046】
動き検出部56は、各特徴点60の抽出を行ったら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像とする。そして、テンプレートマッチングなどの周知の手法を用いることにより、図5(b)に示すように、対応画像としたフレーム画像22から各特徴点60のそれぞれに対応した対応点62を求める。
【0047】
動き検出部56は、各対応点62を求めたら、図5(c)に示すように、フレーム画像22上における各特徴点60の位置及びそれに対応する各対応点62の位置を基に、各特徴点60の移動ベクトル64を算出する。
【0048】
動き検出部56は、各移動ベクトル64を算出したら、それらの各移動ベクトル64の位置や方向、大きさなどにより、同一の被写体と思われるもの毎に各移動ベクトル64をグルーピングする。この際、動き検出部56は、特徴点60と対応点62との対応付けが誤対応であると思われる移動ベクトル64を削除する。
【0049】
この後、動き検出部56は、各グループの移動ベクトル64毎に平均移動ベクトルを求めることにより、各フレーム画像22のそれぞれに写った各被写体の動きを特定する。そして、動き検出部56は、各平均移動ベクトルの中から大きさが最大のものを代表移動ベクトルとして決定する。
【0050】
このように、動き検出部56は、特徴点60と対応点62とを用いた特徴点追跡により、YC変換後の画像データから最も動きの大きい被写体の動きの大きさ、及び方向を示す代表移動ベクトルを求め、この代表移動ベクトルの大きさを動き量として検出し、その動き量をCPU34に入力する。
【0051】
追尾対象設定処理部57は、CPU34からの指示に応じて自動追尾AFモード時の追尾対象を設定する追尾対象設定処理を行う。CPU34は、タッチパネル21を介して自動追尾AFモードが設定されたことを検出した際に、追尾対象設定処理の実行を追尾対象設定処理部57に指示する。また、この際、CPU34は、タッチパネル21が検出した位置情報を追尾対象設定処理の実行の指示とともに追尾対象設定処理部57に入力する。
【0052】
追尾対象設定処理部57は、CPU34から追尾対象設定処理の実行の指示を受けると、まずYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。追尾対象設定処理部57は、画像データを読み出したら、その画像データによって示されるフレーム画像22と、実行の指示とともにCPU34から入力された位置情報とを基に、周知のパターンマッチング処理を行うことによってユーザが選択した被写体を特定し、その被写体に対応する領域をフレーム画像22から抽出する。例えば、図3に示すように、被写体S1をユーザが選択した場合には、パターンマッチング処理によって被写体S1を特定し、これに対応する領域を抽出する。この後、追尾対象設定処理部57は、抽出した画像を追尾対象として設定し、その画像を追尾対象画像としてSDRAM45に記憶させる。
【0053】
追尾処理部58は、CPU34からの指示に応じて追尾対象設定処理部57が追尾対象として設定した被写体を追尾する追尾処理を行う。CPU34は、追尾対象設定処理部57による追尾対象設定処理が完了した後、すなわちSDRAM45に追尾対象画像が記憶された後、追尾処理部58に追尾処理の実行を指示する。
【0054】
追尾処理部58は、CPU34から追尾処理の実行の指示を受けると、YC変換後の画像データ及び追尾対象画像をSDRAM45から読み出す。追尾処理部58は、これらの読み出しを行ったら、その画像データによって示されるフレーム画像22と追尾対象画像とを基にパターンマッチング処理を行うことにより、当該フレーム画像22から追尾対象画像に最も合致する領域を抽出する。追尾処理部58は、合致する領域の抽出を行ったら、その領域の位置情報を追尾結果としてCPU34に入力する。
【0055】
そして、追尾処理部58は、CPU34から終了が指示されるまで、次のフレームの画像データが取得される毎に上記の処理を繰り返し行い、追尾対象画像に最も合致する領域の位置情報を順次CPU34に入力する。なお、追尾対象画像は、各フレーム画像22から合致する領域の抽出を行う毎に、その領域の画像を次のフレームの追尾処理用の追尾対象画像として順次更新するようにしてもよい。
【0056】
次に、図6及び図7のフローチャートを参照しながら、上記構成によるデジタルカメラ2の作用について説明する。ユーザは、デジタルカメラ2を自動追尾AFモードに設定して撮影を行う場合、電源ボタン15を押下してデジタルカメラ2の各部を起動させた後、モード選択ボタン19を押下して静止画撮影モード又は動画撮影モードを選択し、デジタルカメラ2を撮影待機状態にする。
【0057】
デジタルカメラ2が撮影待機状態になると、CPU34によってTG38が制御され、これによってTG38から出力されるタイミング信号によってCCD36が駆動される。CCD36は、TG38からのタイミング信号に応答して撮像を行い、撮影レンズ10によって結像された被写体像に応じた撮像信号を出力する。
【0058】
CCD36から出力された撮像信号は、CDS40、AMP41、A/D42を経てデジタルの画像データに変換される。そして、このデジタルの画像データは、画像信号処理回路46での各種の画像処理、及びYC変換処理回路47でのYC変換処理が施された後、液晶ドライバ48でアナログのコンポジット信号に変換され、スルー画として液晶ディスプレイ18に表示される。このように、デジタルカメラ2は、CCD36を駆動することによって時系列的に連続した複数の画像データを取得し、それらの画像データを順次スルー画として液晶ディスプレイ18に表示させる。
【0059】
ユーザは、デジタルカメラ2が撮影待機状態になり液晶ディスプレイ18にスルー画が表示された後、スルー画に含まれる被写体の中から追尾対象として設定したい所望の被写体を選択する。そして、その被写体を画面上でタッチ操作することにより、自動追尾AFモードの設定を指示する。
【0060】
デジタルカメラ2のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、動き検出部56に動き検出処理の実行を指示する。
【0061】
動き検出部56は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出して、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像とし、そのフレーム画像22から複数の特徴点60を抽出する。動き検出部56は、各特徴点60の抽出を行ったら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出して、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像とし、そのフレーム画像22から各特徴点60のそれぞれに対応した対応点62を求める。
【0062】
動き検出部56は、各対応点62を求めたら、各特徴点60の移動ベクトル64の算出、各移動ベクトル64のグルーピング、各グループの平均移動ベクトルの算出を行い、各平均移動ベクトルの中から大きさが最大のものを代表移動ベクトルとして決定する。そして、動き検出部56は、この代表移動ベクトルの大きさを動き量として検出し、その動き量をCPU34に入力する。
【0063】
CPU34は、動き検出部56から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。CPU34は、動き量が所定値以下であると判定すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。一方、CPU34は、動き量が所定値以上であると判定すると、AFを行うことなく追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0064】
追尾対象設定処理部57は、CPU34からの指示に応じて追尾対象設定処理を実行すると、タッチ操作によってユーザが選択した被写体を追尾対象として設定し、その被写体に対応する領域を抽出した追尾対象画像をSDRAM45に記憶させる。
【0065】
CPU34は、追尾対象設定処理部57による追尾対象設定処理が完了すると、これに応じて追尾処理部58に追尾処理の実行を指示する。また、これと同時に、CPU34は、追尾対象画像を囲うようにターゲット表示枠24の画像データを生成し、それをスルー画上の対応する位置にオーバーレイ表示させる。
【0066】
追尾処理部58は、CPU34からの指示に応じて追尾処理を開始すると、各フレームの画像データが取得される毎に、そのフレーム画像22から追尾対象画像に最も合致する領域を抽出し、その領域の位置情報をCPU34に入力する。CPU34は、追尾処理部58から位置情報が入力されると、その位置情報に応じた位置にAFエリア23、及び液晶ディスプレイ18に表示されたターゲット表示枠24を移動させる。これにより、デジタルカメラ2を自動追尾AFモードに設定すると、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24が移動する。
【0067】
このように、本実施形態では、動き量が所定値以下で被写体の動きが小さい(遅い)撮影シーンであると考えられる場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上で被写体の動きが大きい(速い)撮影シーンであると考えられる場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにした。
【0068】
こうすれば、被写体の動きが小さい撮影シーンの場合には、被写体の情報を正確に取得することができ、追尾処理の精度を向上させることができる。そして、被写体の動きが大きい撮影シーンの場合には、素早く追尾対象設定処理を行うことができ、初めから動いている被写体も適切に追尾対象として設定することができる。
【0069】
上記実施形態では、特徴点60と対応点62とを用いた特徴点追跡によって被写体の動きを検出したが、これに限ることなく、図8のフローチャート、及び図9の説明図に示すように、エリアマッチングによって被写体の動きを検出してもよい。以下、その処理手順について説明する。
【0070】
動き検出部56は、CPU34の指示に応じて動き検出処理を開始すると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。動き検出部56は、画像データを読み出したら、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像とし、このフレーム画像22に対して各画素の色や高周波成分などを利用したグルーピングを行うことにより、図9(a)に示すように、当該フレーム画像22から特徴的な被写体に対応する部分を示す複数の被写体エリア70を抽出する。
【0071】
動き検出部56は、各被写体エリア70の抽出を行ったら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像とする。そして、このフレーム画像22に対して被写体エリア70毎にエリアマッチングを行うことにより、図9(b)に示すように、対応画像としたフレーム画像22から各被写体エリア70のそれぞれに対応した対応エリア72を求める。
【0072】
動き検出部56は、各対応エリア72を求めたら、図9(c)に示すように、フレーム画像22上における各被写体エリア70の中心位置及びそれに対応する各対応エリア72の中心位置を基に、各被写体エリア70の移動ベクトル74を算出する。
【0073】
動き検出部56は、各移動ベクトル74を算出したら、各移動ベクトル74の中から大きさが最大のものを代表移動ベクトルとして決定する。そして、この代表移動ベクトルの大きさを動き量として検出し、その動き量をCPU34に入力する。このように、基準画像となるフレーム画像22から特徴的な被写体に対応する部分を示す被写体エリア70を抽出し、エリアマッチングを行って被写体エリア70の移動ベクトル74を算出するようにしても、被写体の動きを検出することができる。
【0074】
さらには、図10のフローチャート、及び図11の説明図に示すように、基準画像と対応画像との差分によって被写体の動きを検出してもよい。以下、その処理手順について説明する。
【0075】
動き検出部56は、CPU34の指示に応じて動き検出処理を開始すると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像として記憶する。動き検出部56は、基準画像を記憶したら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像として記憶する。
【0076】
この後、動き検出部56は、基準画像の各画素の輝度値と、これに対応する位置の対応画像の各画素の輝度値との差分を求めることにより、図11(c)に示すように、これらの各画像の輝度値の差分からなる輝度差分画像76を作成する。動き検出部56は、輝度差分画像76を作成したら、輝度差分画像76の各画素の輝度値の絶対値を求め、その絶対値が所定の閾値よりも大きい画素の数をカウントする。前記絶対値が所定の閾値よりも大きい画素は、基準画像と対応画像との間で被写体の変動があった部分である。従って、前記カウント数が多いほど被写体の動き量が大きいと考えることができる。
【0077】
動き検出部56は、上記カウントを行った後、そのカウント数が多いほど動き量が大きくなるように、カウント数を指標として動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。このように、基準画像と対応画像との輝度値の差分を求めることによっても、被写体の動きを検出することができる。なお、画像処理を利用した被写体の動きの検出方法は、上記に限定されるものではなく、被写体の動きが検出可能な任意の方法でよい。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上同一のものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。図12に示すように、本実施形態のデジタルカメラ80の動き検出部82には、カメラ本体4の動きを検出するジャイロセンサ84が設けられている。ジャイロセンサ84は、いわゆる3軸ジャイロであり、カメラ本体4の高さ方向、幅方向、奥行き方向の3軸方向の角速度をカメラ本体4の動きとして検出し、その動きに応じた信号を出力する。
【0079】
動き検出部82は、CPU34から動き検出処理の実行が指示された際に、ジャイロセンサ84の出力を参照し、その出力を基に被写体の動きの大きさを示す動き量を生成する。一般に、動きの大きい被写体を撮影する場合には、被写体が撮影範囲から外れてしまうことを防ぐため、その移動にカメラ本体4を追従させる(いわゆるパンニング)。従って、動き検出部82は、カメラ本体4の動きが大きいほど被写体の動きも大きいとして動き量を生成する。動き検出部82は、動き量を生成したら、その動き量をCPU34に入力する。
【0080】
次に、図13に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ80のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、動き検出部82に動き検出処理の実行を指示する。
【0081】
動き検出部82は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されたことに応答して、ジャイロセンサ84の出力を参照する。そして、その出力を基に被写体の動きの大きさを示す動き量を生成し、その動き量をCPU34に入力する。
【0082】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記第1の実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0083】
このように、カメラ本体4の動きを検出するジャイロセンサ84を用いて被写体の動きを検出するようにしても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、ジャイロセンサ84によってカメラ本体4の動きを検出するようにしたが、これに限ることなく、他のセンサなどを用いてカメラ本体4の動きを検出してもよい。また、本実施形態では、動き検出部82にセンサを設けたが、センサの位置は任意の位置でよい。さらには、手振れ防止用のジャイロセンサなどを動き検出用として用いるようにしてもよい。
【0084】
[第3実施形態]
次に、図14に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成は、上記第2の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0085】
デジタルカメラ80のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、センサを利用した動き検出処理の実行を動き検出部82に指示する。
【0086】
動き検出部82は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されたことに応答して、ジャイロセンサ84の出力を参照する。そして、その出力を基に被写体の動きの大きさを示す動き量を生成し、その動き量をCPU34に入力する。
【0087】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。CPU34は、動き量が所定値以上であると判定すると、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。一方、CPU34は、動き量が所定値以下であると判定すると、画像処理を利用した動き検出処理の実行を動き検出部82に指示する。
【0088】
動き検出部82は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。そして、その画像データによって示されるフレーム画像22を基に、特徴点追跡、エリアマッチング、フレーム間の輝度値の差分などの画像処理を行うことにより、当該フレーム画像22から被写体の動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。
【0089】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を再び行う。CPU34は、動き量が所定値以上であると判定すると、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。一方、CPU34は、動き量が所定値以下であると判定すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0090】
以下、上記各実施形態と同様に、CPU34からの指示に応じて追尾対象設定処理部57で追尾対象設定処理を実行し、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0091】
このように、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との双方で動き量が所定値以下であると判定された場合に、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との一方でも動き量が所定値以上であると判定された場合に、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにした。
【0092】
このように、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理とを行うようにすれば、被写体の動きをより高精度に検出することができる。なお、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理を先に行うようにしたが、これとは反対に、画像処理を利用した動き検出処理を先に行うようにしてもよい。但し、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理とでは、センサを利用した動き検出処理の方が比較的処理速度が速い。従って、本実施形態で示すように、センサを利用した動き検出処理を先に行った方が、動きの大きい被写体をより迅速に検出することができる。すなわち、各動き検出処理は、処理速度の速いものを先に行うことが好ましい。
【0093】
また、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との一方でも動き量が所定値以上であると判定された場合に、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにしたが、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との双方で動き量が所定値以上であると判定された場合に、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにしてもよい。
【0094】
[第4実施形態]
次に、図15に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成は、上記第2の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0095】
デジタルカメラ80のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値をAF検出回路55に算出させ、そのAF評価値を取得する。
【0096】
CPU34は、AF評価値を取得したら、そのAF評価値が所定値以上か否かの判定を行う。CPU34は、AF評価値が所定値以下であると判定すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0097】
一方、CPU34は、AF評価値が所定値以上であると判定すると、動き検出処理の実行を動き検出部82に指示する。動き検出部82は、CPU34から指示されたことに応答して動き検出処理を実行することにより、被写体の動きの大きさを示す動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。この際、動き検出部82による動き検出処理は、センサを利用したものでもよいし、画像処理を利用したものでもよい。
【0098】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記各実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0099】
このように、本実施形態では、動き検出処理を実行する前に、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値を取得し、そのAF評価値が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行うようにした。こうすれば、全く焦点が合っていない状態の被写体が追尾対象として設定され、追尾処理が継続できなくなったり、焦点が合っていない状態で撮影が実行されたりすることを、より適切に防ぐことができる。また、現在のフォーカスレンズ28の位置の1点だけのAF評価値を基に判定を行うので、処理に大幅な時間が掛かることもない。
【0100】
また、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値が所定値以上である場合には、追尾対象としたい被写体に焦点が合っている可能性が高い。そこで、図16に示すフローチャートのように、AF評価値が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行い、AF評価値が所定値以上である場合には、AFや動き検出処理を行うことなく直ちに追尾対象設定処理を行うようにしてもよい。
【0101】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図17に示すように、本実施形態のデジタルカメラ100には、上記各実施形態で説明した各部に加えて、顔検出部102と、シーン変動チェック処理部104とが設けられている。
【0102】
顔検出部102は、CPU34の制御の下、YC変換後の画像データから顔画像を検出する顔検出処理を行う。CPU34は、例えば、メニューボタン20の押下によって液晶ディスプレイ18に表示されるメニュー画面の顔検出機能のON/OFFの設定項目において、顔検出機能のONが設定された際に、顔検出部102に顔検出処理の実行を指示する。顔検出部102は、CPU34からの指示に応じて顔検出処理を実行すると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。そして、周知のパターンマッチング技術を用いることにより、当該画像データによって示されるフレーム画像22から顔画像を抽出し、その顔画像の位置情報を検出結果としてCPU34に入力する。CPU34は、顔検出部102から位置情報が入力されると、その位置情報に基づいて顔画像に対応する部分を囲う顔検出枠を生成し、それをスルー画にオーバーレイ表示させることにより、検出した顔をユーザに報知する。
【0103】
シーン変動チェック処理部104は、CPU34からの指示に応じて、撮影シーンに変動があったか否かを判定するシーン変動チェック処理を行う。シーン変動チェック処理部104には、基準情報記憶メモリ106が設けられている。シーン変動チェック処理部104は、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた際に、その時の撮影シーンに関連する各種の情報を基準情報として基準情報記憶メモリ106に記憶させる。
【0104】
シーン変動チェック処理部104は、例えば、本撮影が実行されたとき、レリーズボタン14の半押しに応じて撮影準備処理が実行されたとき、スルー画表示中に連続的に焦点合わせ行うコンティニュアスAFが動作しているときに、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われたと判断して、基準情報記憶メモリ106に基準情報を記憶させる。
【0105】
また、シーン変動チェック処理部104は、例えば、ズームレンズ26の位置、顔検出部102による顔検出処理の有無、AE/AWB検出回路54が算出した測光値、フォーカスレンズ28の位置、及びその位置におけるAF評価値などを、撮影シーンに関連する情報として基準情報記憶メモリ106に記憶させる。さらに、顔検出処理が行われていた場合には、その顔検出処理によって検出された顔画像の数や、検出された顔画像そのものを撮影シーンに関連する情報として基準情報記憶メモリ106に記憶させる。なお、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作、及び撮影シーンに関連する情報は、上記に限定されるものではない。
【0106】
シーン変動チェック処理部104は、CPU34からシーン変動チェック処理の実行が指示されると、それに応答して撮影シーンに関連する各種の情報を取得する。シーン変動チェック処理部104は、各情報を取得したら、それらの各情報と、基準情報記憶メモリ106に記憶されている基準情報とを比較する。そして、シーン変動チェック処理部104は、対応する各情報の全てが一致している場合に、撮影シーンに変動がないと判定し、対応する各情報のいずれか1つでも一致しないものがある場合に、撮影シーンに変動があったと判定する。また、シーン変動チェック処理部104は、上記のようにシーン変動チェック処理を行った後、撮影シーンの変動の有無の判定結果をCPU34に入力する。
【0107】
次に、図18及び図19に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ100のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、シーン変動チェック処理の実行をシーン変動チェック処理部104に指示する。
【0108】
シーン変動チェック処理部104は、CPU34からシーン変動チェック処理の実行が指示されると、これに応答して撮影シーンに関連する各種の情報を取得する。シーン変動チェック処理部104は、各情報を取得したら、まずズームレンズ26の位置に変動があったか否かの判定を行う。シーン変動チェック処理部104は、取得したズームレンズ26の位置と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶されたズームレンズ26の位置とを比較し、これらの各値の差分が所定値以下である場合に、ズームレンズ26の位置に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、ズームレンズ26の位置に変動があったと判定する。
【0109】
シーン変動チェック処理部104は、ズームレンズ26の位置に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、ズームレンズ26の位置に変動がないと判定すると、続いて顔検出部102による顔検出処理の結果に変動があったか否かの判定を行う。
【0110】
シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の結果の判定を開始すると、顔検出部102が現在行っている顔検出処理の結果と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶された顔検出処理の結果とを比較し、顔検出処理が行われているか否かを確認する。また、シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理が行われている場合、検出された顔画像の数が一致するか否かを確認し、顔画像の数も一致している場合には、さらに検出された各顔画像のパターンマッチングを行って、対応する各顔画像の内容が一致しているか否かを確認する。そして、シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の実行の有無、顔画像の数、顔画像の内容の全てが一致している場合に、顔検出処理の結果に変動がないと判定し、いずれか1つでも一致していない場合に、顔検出処理の結果に変動があったと判定する。
【0111】
シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の結果に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の結果に変動がないと判定すると、続いてAE/AWB検出回路54が算出した測光値に変動があったか否かの判定を行う。
【0112】
シーン変動チェック処理部104は、測光値の判定を開始すると、AE/AWB検出回路54から取得した測光値と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶された測光値とを比較し、これらの各測光値の差分が所定値以下である場合に、測光値に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、測光値に変動があったと判定する。
【0113】
シーン変動チェック処理部104は、測光値に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、測光値に変動がないと判定すると、続いてフォーカスレンズ28の位置に変動があったか否かの判定を行う。
【0114】
シーン変動チェック処理部104は、フォーカスレンズ28の位置の判定を開始すると、取得したフォーカスレンズ28の位置と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶されたフォーカスレンズ28の位置とを比較し、これらの各値の差分が所定値以下である場合に、フォーカスレンズ28の位置に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、フォーカスレンズ28の位置に変動があったと判定する。
【0115】
シーン変動チェック処理部104は、フォーカスレンズ28の位置に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、フォーカスレンズ28の位置に変動がないと判定すると、続いてそのフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値に変動があったか否かの判定を行う。
【0116】
シーン変動チェック処理部104は、AF評価値の判定を開始すると、AF検出回路55から取得したAF評価値と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶されたAF評価値とを比較し、これらの各値の差分が所定値以下である場合に、AF評価値に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、AF評価値に変動があったと判定する。
【0117】
シーン変動チェック処理部104は、AF評価値に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、AF評価値に変動がないと判定すると、撮影シーンに変動がなかったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。
【0118】
CPU34は、撮影シーンに変動があったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力されると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0119】
一方、CPU34は、撮影シーンに変動がなかったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力されると、動き検出処理の実行を動き検出部56に指示する。動き検出部56は、CPU34から指示されたことに応答して動き検出処理を実行することにより、被写体の動きの大きさを示す動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。この際、動き検出部56による動き検出処理は、センサを利用したものでもよいし、画像処理を利用したものでもよい。
【0120】
CPU34は、動き検出部56から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記各実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0121】
このように、本実施形態では、動き検出処理を実行する前に、撮影シーンに変動があったか否かを判定し、撮影シーンに変動があった場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行うようにした。撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた状態から撮影シーンが変動している場合には、追尾対象としたい被写体に焦点が合っていない可能性が高い。そこで、上記のように、撮影シーンに変動があったか否かを判定し、変動がある場合に直ぐにAFを行うようにすれば、比較的時間の掛かる動き検出処理を行う手間を省き、より適切かつ迅速に追尾対象設定処理を行うことができる。
【0122】
また、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた状態から撮影シーンが変動していない場合、すなわち前回の操作と同じ撮影シーンを見ている状態で自動追尾AFモードが設定された場合には、追尾対象としたい被写体に焦点が合っている可能性が高い。そこで、図20に示すフローチャートのように、撮影シーンに変動があった場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行い、撮影シーンに変動がない場合には、AFや動き検出処理を行うことなく直ちに追尾対象設定処理を行うようにしてもよい。
【0123】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図21に示すように、本実施形態のデジタルカメラ110には、上記各実施形態で説明した各部に加えて、設定記憶部112が設けられている。設定記憶部112は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。この設定記憶部112には、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かをユーザが設定した際に、その設定情報が記憶される。
【0124】
追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かの設定は、図22に示すように、メニューボタン20を押下することによって液晶ディスプレイ18に表示される自動追尾前AF動作設定用のメニュー画面(AF動作設定手段)114によって行われる。
【0125】
メニュー画面114には、追尾対象設定処理の前に必ずAFを行うようにするAF動作ONモードに設定するためのON用ラジオボックス115と、追尾対象設定処理の前にAFを行わないようにするAF動作OFFモードに設定するためのOFF用ラジオボックス116と、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かを自動的に決定するAF動作自動モードに設定するための自動用ラジオボックス117とが設けられている。
【0126】
CPU34は、各ラジオボックス115〜117に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21で検出すると、そのタッチ操作に対応する位置にチェックマーク118を表示させる。これにより、タッチ操作に応じたモードが設定されたことをユーザに報知する。また、CPU34は、チェックマーク118を表示させるとともに、その操作に応じたモードの設定情報を設定記憶部112に記憶させる。
【0127】
このように、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かの設定は、メニュー画面114を液晶ディスプレイ18に表示させた後、所望のモードの各ラジオボックス115〜117に対応する部分をタッチ操作することによって設定される。なお、各モードの設定方法は、メニュー画面114に限ることなく、例えば、専用のスライドスイッチなどで行ってもよい。
【0128】
次に、図23に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ110のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することにより、ユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認する。
【0129】
CPU34は、AF動作OFFモードが設定されていることを確認すると、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示し、AFを行うことなく直ぐに追尾対象設定処理を行う。一方、CPU34は、AF動作ONモードが設定されていることを確認すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0130】
また、CPU34は、AF動作自動モードが設定されていることを確認すると、動き検出処理の実行を動き検出部56に指示する。動き検出部56は、CPU34から指示されたことに応答して動き検出処理を実行することにより、被写体の動きの大きさを示す動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。この際、動き検出部56による動き検出処理は、センサを利用したものでもよいし、画像処理を利用したものでもよい。
【0131】
CPU34は、動き検出部56から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記各実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0132】
このように、本実施形態では、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することによってユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認し、そのモードに応じた処理を行うようにしたので、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かについてユーザの意図を反映させることができる。
【0133】
本実施形態では、AF動作自動モードが設定されていることを確認した際に、動き検出処理を実行し、動き量が所定値以上か否かによってAFを行うか否かを判定するようにしたが、これに限ることなく、例えば、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値を取得し、そのAF評価値が所定値以上か否かによってAFを行うか否かを判定してもよいし、シーン変動チェック処理を実行し、撮影シーンに変動があったか否かによってAFを行うか否かを判定してもよい。
【0134】
また、本実施形態では、自動追尾前AF動作の設定として、AF動作ONモードとAF動作OFFモードとAF動作自動モードとを設け、AF動作自動モードが設定されている場合に、上記各処理を実行するようにしたが、これに限ることなく、自動追尾前AF動作の設定をAF動作ONモードとAF動作OFFモードのみとし、図24に示すフローチャートのように、AF動作ONモードが設定されている場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行い、AF動作OFFモードが設定されている場合には、AFや動き検出処理を行うことなく直ちに追尾対象設定処理を行うようにしてもよい。
【0135】
[第7実施形態]
次に、図25に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成は、上記第6の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0136】
デジタルカメラ110のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することにより、ユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認する。
【0137】
CPU34は、AF動作ONモードが設定されていることを確認すると、上記第6の実施形態と同様に、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。また、AF動作自動モードが設定されていることを確認した場合にも、上記第6の実施形態と同様に、動き検出処理、及び動き量が所定値以上か否かの判定を行い、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。
【0138】
一方、CPU34は、AF動作OFFモードが設定されていることを確認すると、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値をAF検出回路55に算出させ、そのAF評価値を取得する。CPU34は、AF評価値を取得したら、そのAF評価値が所定値以上か否かの判定を行う。
【0139】
CPU34は、AF評価値が所定値以上であると判定すると、ユーザの設定通りにAFを行うことなく追尾対象設定処理を実行する。一方、CPU34は、AF評価値が所定値以下であると判定すると、図26に示すように、追尾対象として選択された被写体に焦点が合っていないことを警告するアイコン120を液晶ディスプレイ18に表示させることにより、ユーザに対して警告を行う。また、この際、CPU34は、アイコン120とともに、自動追尾前AF動作のモードをAF動作OFFモード又はAF動作ONモードに設定するためのダイアログボックス122を液晶ディスプレイ18に表示させ、モードをAF動作OFFモードのままにするかAF動作ONモードに変更するかをユーザに選択させる。
【0140】
CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作OFFモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行うことなく追尾対象設定処理を実行する。一方、CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作ONモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。この際、設定記憶部112に記憶されている設定情報は、ダイアログボックス122での設定に応じてAF動作OFFモードからAF動作ONモードに書き換えてもよいし、AF動作OFFモードのままにしておいてもよい。
【0141】
そして、CPU34は、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0142】
このように、本実施形態では、AF動作OFFモードが設定されている際に、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値が所定値以上か否かの判定を行い、所定値以下である場合、すなわちユーザが追尾対象として選択した被写体に焦点が合っていない場合に、警告を行うようにした。こうすれば、ユーザの意図を反映させつつ、設定の変更を忘れた場合などでも、全く焦点が合っていない状態の被写体が追尾対象として設定され、追尾処理が継続できなくなったり、焦点が合っていない状態で撮影が実行されたりすることを適切に防ぐことができる。なお、本実施形態では、液晶ディスプレイ18にアイコン120を表示させることによってユーザに警告を行ったが、これに限ることなく、例えば、警告音などの音声で警告を行ってもよい。
【0143】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図27に示すように、本実施形態のデジタルカメラ130は、上記第5の実施形態と同様の顔検出部102、シーン変動チェック処理部104、及び上記第6の実施形態と同様の設定記憶部112が設けられている。
【0144】
次に、図28に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ130のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することにより、ユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認する。
【0145】
CPU34は、AF動作OFFモードが設定されていることを確認すると、上記第6の実施形態と同様に、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示し、AFを行うことなく直ぐに追尾対象設定処理を行う。また、AF動作自動モードが設定されていることを確認した場合にも、上記第6の実施形態と同様に、動き検出処理、及び動き量が所定値以上か否かの判定を行い、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。
【0146】
一方、CPU34は、AF動作ONモードが設定されていることを確認すると、シーン変動チェック処理の実行をシーン変動チェック処理部104に指示する。
【0147】
CPU34は、撮影シーンに変動があったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力された場合、追尾対象としたい被写体に焦点が合っていない可能性が高いと判断し、ユーザの設定通りにAFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。
【0148】
一方、CPU34は、撮影シーンに変動がなかったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力された場合、追尾対象としたい被写体に焦点が合っている可能性が高いと判断し、図29に示すように、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する高速ロックが可能であることを示すアイコン132を液晶ディスプレイ18に表示させることにより、高速ロックが可能であることをユーザに対して報知する。また、この際、CPU34は、アイコン132とともに、自動追尾前AF動作のモードをAF動作OFFモード又はAF動作ONモードに設定するためのダイアログボックス122を液晶ディスプレイ18に表示させ、モードをAF動作ONモードのままにするかAF動作OFFモードに変更するかをユーザに選択させる。
【0149】
CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作OFFモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行うことなく追尾対象設定処理を実行する。一方、CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作ONモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。
【0150】
そして、CPU34は、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0151】
このように、本実施形態では、AF動作ONモードが設定されている際に、シーン変動チェック処理を行い、撮影シーンに変動がなかった場合に、AFが省略可能であることをユーザに報知するようにした。こうすれば、ユーザが設定の変更を忘れた場合などに不要にAFが行われることを防ぎ、ユーザの意図を反映させつつ、より適切かつ迅速に追尾対象設定処理を行うことができる。なお、本実施形態では、液晶ディスプレイ18にアイコン132を表示させることによってユーザに報知を行ったが、これに限ることなく、例えば、音声で報知を行ってもよい。
【0152】
上記各実施形態では、タッチパネル21のタッチ操作によって追尾対象とする被写体を選択するようにしたが、追尾対象の選択方法は、これに限定されるものではない。例えば、顔検出を行うことによって抽出された顔画像を追尾対象としてもよい。上記各実施形態では、コントラスト方式のAFを行うようにしたが、AFの方式は、これに限ることなく、位相差方式やアクティブ方式などの他の方式でもよい。上記各実施形態では、CCD36を撮像素子として示したが、撮像素子は、これに限ることなく、例えば、CMOSイメージセンサなどでもよい。上記各実施形態では、デジタルカメラに本発明を適用した例を示したが、本発明は、これに限ることなく、他の撮像装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0153】
2 デジタルカメラ(撮像装置)
4 カメラ本体(本体部)
10 撮影レンズ
28 フォーカスレンズ
34 CPU(設定制御手段)
36 CCD(撮像素子)
55 AF検出回路(AF評価値算出手段)
56 動き検出部(動き検出手段)
57 追尾対象設定処理部(追尾対象設定処理手段)
84 ジャイロセンサ(センサ)
104 シーン変動チェック処理部(シーン変動チェック処理手段)
106 基準情報記憶メモリ(基準情報記憶手段)
114 メニュー画面(AF動作設定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の被写体を自動的に追尾する追尾処理を行う機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コントラスト方式のオートフォーカス(以下、AFと称す)を行う撮像装置が知られている。コントラスト方式のAFでは、撮像素子によって得られた撮影画像の一部のエリア(以下、AFエリアと称す)からコントラストに応じたAF評価値を算出し、そのAF評価値が最も高い位置にフォーカスレンズを移動させることによって撮影レンズを自動的に合焦させる。
【0003】
AFエリアは、撮影範囲の中央やユーザが指定した任意の位置に固定されているのが一般的である。ところが、このようにAFエリアが固定されていると、焦点を合わせたい被写体に動きがある際に、その被写体がAFエリアから外れてしまい、思うように所望の被写体に焦点が合わせられないことがある。
【0004】
こうした問題を防ぐため、所定の被写体の動きを自動的に追尾し、その被写体に追従させてAFエリアを移動させるようにした撮像装置が、例えば、特許文献1で提案されている。特許文献1では、操作部を操作することによってユーザが所望の被写体を指定した際に、その被写体の画像を基準パターン画像として記憶しておき、この基準パターン画像を基にパターンマッチング処理を行うことにより、その後取得された撮影画像から基準パターン画像と一致する箇所を検出する。そして、検出した箇所に対応する位置にAFエリアを移動させることにより、ユーザの所望する被写体にAFエリアを追従させるようにしている。このように、撮影対象としたい被写体にAFエリアを追従させるようにすれば、被写体に動きがある際にも、その被写体に適切に焦点を合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−184742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、パターンマッチング処理によって被写体の自動追尾を行う際、基準パターン画像として設定した画像の焦点があまりにもずれていると、パターンマッチング処理による一致箇所の検出が困難になり、追尾が継続できなくなってしまう場合がある。このように、基準パターン画像の焦点ずれは、被写体の追尾精度の低下を招いてしまう。
【0007】
これを防ぐためには、基準パターン画像の設定を行う前に一度AFを行い、追尾対象としたい被写体に焦点を合わせる必要がある。しかしながら、被写体の動きが大きい場合にAFを行ってしまうと、この間の被写体の移動にともなって追尾対象としたい被写体が基準パターン画像として設定可能な範囲から外れてしまい、異なる被写体が基準パターン画像として設定されてしまうなど、ユーザの所望する被写体が基準パターン画像として適切に設定されなくなってしまうという問題が生じる。また、前述のように、被写体の動きが大きい場合には、AFを行ったとしても追尾対象としたい被写体に適切に焦点が合わせられるとは限らない。このため、所定の被写体を自動的に追尾する撮像装置では、被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定できるようにすることが望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させることによって焦点の調節が可能な撮影レンズと、前記撮影レンズによって結像された被写体像を撮像する撮像素子とを備え、前記撮像素子を駆動することによって時系列的に連続した複数の画像データを取得するとともに、前記撮影レンズを自動的に合焦させるオートフォーカスを行う機能と、所定の被写体を自動的に追尾する追尾処理を行う機能とを有する撮像装置において、前記画像データから所定の領域を抽出することにより、その領域を前記追尾処理の追尾対象として設定する追尾対象設定処理手段と、被写体の動きを検出する動き検出手段と、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記動き検出手段に被写体の動きを検出させ、動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、動きが大きい場合には、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる設定制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
前記動き検出手段は、前記各画像データを基に、被写体の動きを検出することが好ましい。
【0011】
前記撮影レンズが前面に設けられた本体部と、前記本体部の動きを検出するセンサとを有し、前記動き検出手段は、前記センサの検出結果を基に、被写体の動きを検出する構成としてもよい。
【0012】
前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出との双方で動きが小さいと検出された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出とのどちらかで動きが大きいと検出された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることが好ましい。
【0013】
前記画像データを基にAF評価値を算出するAF評価値算出手段を備え、前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、所定値以上である場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することが好ましい。
【0014】
前記設定制御手段は、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値が所定値以上で、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記AF評価値が所定値以下である場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることが好ましい。
【0015】
前記撮影レンズが合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた際に、その時の撮影シーンに関連する各種の情報を基準情報として記憶する基準情報記憶手段と、前記基準情報記憶手段に記憶された前記基準情報を基に、撮影シーンに変動があったか否かを判定するシーン変動チェック処理手段とを備え、前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記シーン変動チェック処理手段に判定を実行させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動があると判定された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することが好ましい。
【0016】
前記設定制御手段は、撮影シーンに変動がなく、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動がある場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることが好ましい。
【0017】
前記基準情報記憶手段は、前記撮影レンズのズームレンズの位置、顔検出処理の結果、測光値、前記フォーカスレンズの位置、AF評価値のいずれかを前記基準情報として記憶することが好ましい。
【0018】
前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う前に、オートフォーカスを行うか否かを設定するためのAF動作設定手段を備え、前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記AF動作設定手段による設定を確認し、オートフォーカスを行うと設定されている場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、オートフォーカスを行わないと設定されている場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することが好ましい。
【0019】
前記AF動作設定手段の設定には、オートフォーカスを行うか否かを自動的に決定するモードがあり、前記設定制御手段は、オートフォーカスを自動的に決定することが設定されている場合、前記動き検出手段の検出結果、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値、前記シーン変動チェック処理手段の判定結果のいずれかを基に、オートフォーカスを行うか否かを決定することが好ましい。
【0020】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行わないと設定されている場合に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合、焦点が合っていないことを示す警告を行うことが好ましい。
【0021】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行うと設定されている場合に、撮影シーンに変動があったか否かを前記シーン変動チェック処理手段に判定させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合、オートフォーカスが省略可能であることを示す報知を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、追尾対象設定処理手段が追尾対象の設定を行う際に、動き検出手段に被写体の動きを検出させ、動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから追尾対象設定処理手段に追尾対象の設定を実行させ、動きが大きい場合には、オートフォーカスを行わずに追尾対象設定処理手段に追尾対象の設定を実行させるようにしたので、被写体の追尾精度の低下を防ぎつつ、動きの大きい被写体も適切に追尾対象として設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】デジタルカメラの正面斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面図である。
【図3】自動追尾AFモード時の動作を概略的に示す説明図である。
【図4】デジタルカメラの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】特徴点追跡の概念を示す説明図である。
【図6】デジタルカメラの動作手順の概略を示すフローチャートである。
【図7】動き検出処理の手順の概略を示すフローチャートである。
【図8】エリアマッチングによる動き検出処理の手順の概略を示すフローチャートである。
【図9】エリアマッチングの概念を示す説明図である。
【図10】輝度差分画像の作成による動き検出処理の手順の概略を示すフローチャートである。
【図11】輝度差分画像の作成の概念を示す説明図である。
【図12】ジャイロセンサを設けた例を示すブロック図である。
【図13】ジャイロセンサを設けた場合の動作手順の概略を示すフローチャートである。
【図14】センサによる動き検出処理と画像処理による動き検出処理とを行う例を示すフローチャートである。
【図15】動き検出処理の前に、現在のAF評価値が所定値以上か否かを判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図16】AFを行うか否かを現在のAF評価値が所定値以上か否かのみで判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図17】シーン変動チェック処理部を設けた例を示すブロック図である。
【図18】動き検出処理の前に、シーン変動チェック処理を行うようにした例を示すフローチャートである。
【図19】シーン変動チェック処理の概略を示すフローチャートである。
【図20】AFを行うか否かをシーン変動チェック処理のみで判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図21】設定記憶部を設けた例を示すブロック図である。
【図22】自動追尾前AF動作の設定方法の一例を示す説明図である。
【図23】ユーザの設定を反映できるようにした例を示すフローチャートである。
【図24】AFを行うか否かをユーザの設定のみで判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図25】AF動作OFFモードの際に、現在のAF評価値が所定値以上か否かを判定するようにした例を示すフローチャートである。
【図26】ユーザに対する警告の一例を示す説明図である。
【図27】シーン変動チェック処理部と設定記憶部とを設けた例を示すブロック図である。
【図28】AF動作ONモードの際に、シーン変動チェック処理を行うようにした例を示すフローチャートである。
【図29】ユーザに対する報知の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、デジタルカメラ(撮像装置)2は、略直方体状に形成されたカメラ本体(本体部)4を有している。カメラ本体4の前面には、撮影レンズ10を保持するレンズ鏡筒11と、撮影実行の際に被写体を照射するフラッシュ発光部12とが設けられている。カメラ本体4の上面には、撮影実行を指示するレリーズボタン14と、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン15と、撮影レンズ10をワイド側もしくはテレ側に変倍させるズーム操作を行うためのズームレバー16とが設けられている。
【0025】
レリーズボタン14は、2段階押しのスイッチとなっている。レリーズボタン14を軽く押す(半押し)と、AF(自動焦点調整)やAE(自動露出調整)などの各種の撮影準備処理が実施される。この半押しした状態からレリーズボタン14をさらに押し込む(全押し)と、デジタルカメラ2に撮影の実行が指示され、撮影準備処理が施された1画面分の撮像信号が画像データに変換される。
【0026】
図2に示すように、カメラ本体4の背面には、液晶ディスプレイ18、モード選択ボタン19、メニューボタン20が設けられている。液晶ディスプレイ18は、撮影した画像や撮影待機時のいわゆるスルー画、及び各種のメニュー画面などを表示する。デジタルカメラ2は、静止画像を取得する静止画撮影モード、動画像を取得する動画撮影モード、取得した各画像を液晶ディスプレイ18に再生表示する再生モードなどの複数の動作モードを有している。モード選択ボタン19は、デジタルカメラ2の各動作モードを切り替える際に操作される。デジタルカメラ2の動作モードは、モード選択ボタン19の押下操作に応じて順次切り替えられる。メニューボタン20は、液晶ディスプレイ18に各種のメニュー画面を表示させる際に操作される。
【0027】
液晶ディスプレイ18の前面には、タッチパネル21(図4参照)が設けられている。タッチパネル21は、その表面がカメラ本体4の背面と略面一になるように取り付けられている。タッチパネル21は、指や専用のペンなどで表面が押圧された際に、その位置を検出する。
【0028】
このデジタルカメラ2では、液晶ディスプレイ18に表示されるアイコンや画像に合わせて、タッチパネル21の表面を指で押圧したり、押圧した状態のまま指を移動させたりすることにより、撮影機能の設定や表示する画像の切り替えなどといった各種の操作を直感的に行うことができる。
【0029】
また、デジタルカメラ2のAF機能には、撮影範囲の中央部分にAFエリア23(図3参照)を固定する通常AFモードと、ユーザが選択した被写体を自動的に追尾し、その被写体にAFエリア23を追従して移動させる自動追尾AFモードとが設けられている。デジタルカメラ2を静止画撮影モード又は動画撮影モードに設定した状態では、通常AFモードが設定されている。自動追尾AFモードは、静止画撮影モード又は動画撮影モードに設定してデジタルカメラ2を撮影待機状態にした後、液晶ディスプレイ18に表示されたスルー画から任意の被写体を選択することによって設定される。
【0030】
被写体の選択は、スルー画上の任意の被写体の中から追尾対象としたい被写体をタッチ操作することによって行われる。例えば、図3に示すように、被写体S1〜S3を含むフレーム画像22がスルー画として液晶ディスプレイ18に表示された状態で、被写体S1を追尾対象として自動追尾AFモードを実行したい場合、ユーザは、画面上の被写体S1に対応する部分をタッチ操作する。
【0031】
デジタルカメラ2は、被写体S1に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21によって検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。
【0032】
デジタルカメラ2は、自動追尾AFモードを設定すると、図3(a)に示すように、撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、図3(b)に示すように、タッチパネル21の検出結果に応じて被写体S1に対応する部分に移動させる。また、これと同時に、デジタルカメラ2は、被写体S1を囲うターゲット表示枠24をフレーム画像22にオーバーレイ表示し、このターゲット表示枠24によって、被写体S1を追尾対象とした自動追尾AFモードの開始をユーザに報知する。
【0033】
自動追尾AFモードでは、被写体S1を追尾対象として設定した状態で被写体S1が移動すると、その移動がデジタルカメラ2によって自動的に検出され、図3(c)に示すように、被写体S1に合わせてAFエリア23及びターゲット表示枠24が移動する。これにより、自動追尾AFモードでは、被写体の動きが速い場合などでも、その被写体に撮影レンズ10の焦点を迅速に合わせることができる。なお、自動追尾AFモードは、例えば、追尾対象の被写体を再びタッチ操作して追尾の終了を指示したり、追尾対象の被写体が撮影範囲から外れるなどして追尾不能な状態に陥ったりすることによって解除される。
【0034】
図4に示すように、撮影レンズ10には、光軸方向に移動することによって撮影倍率を変化させるズームレンズ26、開口面積を変化させることによって光の量を調節する絞り機構27、及び光軸方向に移動することによって焦点を調節するフォーカスレンズ28などが設けられている。ズームレンズ26及びフォーカスレンズ28には、ギヤなどの伝達機構を介してレンズ駆動モータ30が接続されている。ズームレンズ26及びフォーカスレンズ28の光軸方向への移動は、このレンズ駆動モータ30の駆動によって行われる。また、レンズ鏡筒11には、繰出しモータ31が接続されている。繰出しモータ31は、ギヤなどの伝達機構を介してレンズ鏡筒11に駆動力を伝えることにより、レンズ鏡筒11の繰り出し/繰り込みを行う。
【0035】
各モータ30、31は、モータドライバ32に接続されている。モータドライバ32は、デジタルカメラ2の全体を統括的に制御するCPU(設定制御手段)34に接続されており、このCPU34からの制御信号に基づいて各モータ30、31に駆動パルスを送信する。各モータ30、31は、この駆動パルスに応じて回転軸を回転駆動する。
【0036】
撮影レンズ10の背後には、撮影レンズ10によって結像された被写体像を撮像するCCD(撮像素子)36が配置されている。CCD36には、CPU34によって制御されるタイミングジェネレータ(TG)38が接続され、このTG38から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度が決定される。
【0037】
CCD36から出力された画像データは、相関二重サンプリング回路(CDS)40に入力され、CCD36の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR、G、Bの画像データとして出力される。CDS40から出力された画像データは、増幅器(AMP)41で増幅され、A/D変換器(A/D)42でデジタルの画像データに変換される。
【0038】
画像入力コントローラ43は、バス44を介してCPU34に接続され、CPU34の制御命令に応じて、CCD36、CDS40、AMP41、及びA/D42の各部を制御する。A/D42から出力された画像データは、SDRAM45に一時的に記録される。
【0039】
画像信号処理回路46は、SDRAM45から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM45に記録する。YC変換処理回路47は、画像信号処理回路46で各種処理を施された画像データをSDRAM45から読み出し、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとに変換する。液晶ドライバ48は、画像信号処理回路46、YC変換処理回路47を経た画像データをSDRAM45から読み出し、アナログのコンポジット信号に変換して液晶ディスプレイ18に表示する。
【0040】
圧縮伸長処理回路50は、YC変換処理回路47でYC変換された画像データを所定の形式のファイルフォーマットに変換することにより、画像データから静止画像ファイル又は動画像ファイルを生成する。メディアコントローラ51は、メディアスロットに着脱自在に装着されたメモリカード52にアクセスし、生成された静止画像ファイルや動画像ファイルの読み書きを行う。
【0041】
CPU34には、レリーズボタン14、ズームレバー16、モード選択ボタン19、メニューボタン20、タッチパネル21といった各種の操作部材が接続されている。これらの各操作部材は、操作を検出し、その検出結果をCPU34に入力する。
【0042】
また、バス44には、上記の他に、フラッシュ制御部53、AE/AWB検出回路54、AF検出回路(AF評価値算出手段)55、動き検出部56、追尾対象設定処理部57、追尾処理部58などが接続されている。フラッシュ制御部53は、CPU34から送信されるフラッシュ発光信号に応じてフラッシュ発光部12を発光させる。
【0043】
AE/AWB検出回路54は、YC変換処理回路47でYC変換された画像データの輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとの積算値を基に、被写体の輝度を表す測光値を算出し、この算出結果をCPU34に送信する。CPU34は、AE/AWB検出回路54から送信された測光値を基に、露出量、及びホワイトバランスの適否を判断し、撮影レンズ10の絞り機構27やCCD36などの動作を制御する。
【0044】
AF検出回路55は、A/D42でデジタル化された画像データを基にAFエリア23内のAF評価値を算出し、その算出結果をCPU34に送信する。CPU34は、レリーズボタン14の半押しにともなう撮影準備処理の際に、フォーカスレンズ28を移動させながら複数の位置におけるAF評価値をAF検出回路55に算出させる。そして、最もAF評価値が高い位置にフォーカスレンズ28を移動させることによって撮影レンズ10を合焦させる。このように、CPU34は、AF検出回路55が算出したAF評価値を基に、いわゆるコントラスト方式のAFを行う。
【0045】
動き検出部56は、CPU34の制御の下、YC変換処理回路47でYC変換された画像データを基に、被写体の動き量を検出する動き検出処理を行う。動き検出部56は、CPU34の指示に応じて動き検出処理を開始すると、まずYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。動き検出部56は、画像データを読み出したら、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像とし、図5(a)に示すように、そのフレーム画像22から複数の特徴点60を抽出する。特徴点60とは、フレーム画像22の被写体において他の点との区別がし易い点のことであり、例えば、輝度勾配を持ったコーナーなどである。
【0046】
動き検出部56は、各特徴点60の抽出を行ったら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像とする。そして、テンプレートマッチングなどの周知の手法を用いることにより、図5(b)に示すように、対応画像としたフレーム画像22から各特徴点60のそれぞれに対応した対応点62を求める。
【0047】
動き検出部56は、各対応点62を求めたら、図5(c)に示すように、フレーム画像22上における各特徴点60の位置及びそれに対応する各対応点62の位置を基に、各特徴点60の移動ベクトル64を算出する。
【0048】
動き検出部56は、各移動ベクトル64を算出したら、それらの各移動ベクトル64の位置や方向、大きさなどにより、同一の被写体と思われるもの毎に各移動ベクトル64をグルーピングする。この際、動き検出部56は、特徴点60と対応点62との対応付けが誤対応であると思われる移動ベクトル64を削除する。
【0049】
この後、動き検出部56は、各グループの移動ベクトル64毎に平均移動ベクトルを求めることにより、各フレーム画像22のそれぞれに写った各被写体の動きを特定する。そして、動き検出部56は、各平均移動ベクトルの中から大きさが最大のものを代表移動ベクトルとして決定する。
【0050】
このように、動き検出部56は、特徴点60と対応点62とを用いた特徴点追跡により、YC変換後の画像データから最も動きの大きい被写体の動きの大きさ、及び方向を示す代表移動ベクトルを求め、この代表移動ベクトルの大きさを動き量として検出し、その動き量をCPU34に入力する。
【0051】
追尾対象設定処理部57は、CPU34からの指示に応じて自動追尾AFモード時の追尾対象を設定する追尾対象設定処理を行う。CPU34は、タッチパネル21を介して自動追尾AFモードが設定されたことを検出した際に、追尾対象設定処理の実行を追尾対象設定処理部57に指示する。また、この際、CPU34は、タッチパネル21が検出した位置情報を追尾対象設定処理の実行の指示とともに追尾対象設定処理部57に入力する。
【0052】
追尾対象設定処理部57は、CPU34から追尾対象設定処理の実行の指示を受けると、まずYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。追尾対象設定処理部57は、画像データを読み出したら、その画像データによって示されるフレーム画像22と、実行の指示とともにCPU34から入力された位置情報とを基に、周知のパターンマッチング処理を行うことによってユーザが選択した被写体を特定し、その被写体に対応する領域をフレーム画像22から抽出する。例えば、図3に示すように、被写体S1をユーザが選択した場合には、パターンマッチング処理によって被写体S1を特定し、これに対応する領域を抽出する。この後、追尾対象設定処理部57は、抽出した画像を追尾対象として設定し、その画像を追尾対象画像としてSDRAM45に記憶させる。
【0053】
追尾処理部58は、CPU34からの指示に応じて追尾対象設定処理部57が追尾対象として設定した被写体を追尾する追尾処理を行う。CPU34は、追尾対象設定処理部57による追尾対象設定処理が完了した後、すなわちSDRAM45に追尾対象画像が記憶された後、追尾処理部58に追尾処理の実行を指示する。
【0054】
追尾処理部58は、CPU34から追尾処理の実行の指示を受けると、YC変換後の画像データ及び追尾対象画像をSDRAM45から読み出す。追尾処理部58は、これらの読み出しを行ったら、その画像データによって示されるフレーム画像22と追尾対象画像とを基にパターンマッチング処理を行うことにより、当該フレーム画像22から追尾対象画像に最も合致する領域を抽出する。追尾処理部58は、合致する領域の抽出を行ったら、その領域の位置情報を追尾結果としてCPU34に入力する。
【0055】
そして、追尾処理部58は、CPU34から終了が指示されるまで、次のフレームの画像データが取得される毎に上記の処理を繰り返し行い、追尾対象画像に最も合致する領域の位置情報を順次CPU34に入力する。なお、追尾対象画像は、各フレーム画像22から合致する領域の抽出を行う毎に、その領域の画像を次のフレームの追尾処理用の追尾対象画像として順次更新するようにしてもよい。
【0056】
次に、図6及び図7のフローチャートを参照しながら、上記構成によるデジタルカメラ2の作用について説明する。ユーザは、デジタルカメラ2を自動追尾AFモードに設定して撮影を行う場合、電源ボタン15を押下してデジタルカメラ2の各部を起動させた後、モード選択ボタン19を押下して静止画撮影モード又は動画撮影モードを選択し、デジタルカメラ2を撮影待機状態にする。
【0057】
デジタルカメラ2が撮影待機状態になると、CPU34によってTG38が制御され、これによってTG38から出力されるタイミング信号によってCCD36が駆動される。CCD36は、TG38からのタイミング信号に応答して撮像を行い、撮影レンズ10によって結像された被写体像に応じた撮像信号を出力する。
【0058】
CCD36から出力された撮像信号は、CDS40、AMP41、A/D42を経てデジタルの画像データに変換される。そして、このデジタルの画像データは、画像信号処理回路46での各種の画像処理、及びYC変換処理回路47でのYC変換処理が施された後、液晶ドライバ48でアナログのコンポジット信号に変換され、スルー画として液晶ディスプレイ18に表示される。このように、デジタルカメラ2は、CCD36を駆動することによって時系列的に連続した複数の画像データを取得し、それらの画像データを順次スルー画として液晶ディスプレイ18に表示させる。
【0059】
ユーザは、デジタルカメラ2が撮影待機状態になり液晶ディスプレイ18にスルー画が表示された後、スルー画に含まれる被写体の中から追尾対象として設定したい所望の被写体を選択する。そして、その被写体を画面上でタッチ操作することにより、自動追尾AFモードの設定を指示する。
【0060】
デジタルカメラ2のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、動き検出部56に動き検出処理の実行を指示する。
【0061】
動き検出部56は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出して、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像とし、そのフレーム画像22から複数の特徴点60を抽出する。動き検出部56は、各特徴点60の抽出を行ったら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出して、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像とし、そのフレーム画像22から各特徴点60のそれぞれに対応した対応点62を求める。
【0062】
動き検出部56は、各対応点62を求めたら、各特徴点60の移動ベクトル64の算出、各移動ベクトル64のグルーピング、各グループの平均移動ベクトルの算出を行い、各平均移動ベクトルの中から大きさが最大のものを代表移動ベクトルとして決定する。そして、動き検出部56は、この代表移動ベクトルの大きさを動き量として検出し、その動き量をCPU34に入力する。
【0063】
CPU34は、動き検出部56から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。CPU34は、動き量が所定値以下であると判定すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。一方、CPU34は、動き量が所定値以上であると判定すると、AFを行うことなく追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0064】
追尾対象設定処理部57は、CPU34からの指示に応じて追尾対象設定処理を実行すると、タッチ操作によってユーザが選択した被写体を追尾対象として設定し、その被写体に対応する領域を抽出した追尾対象画像をSDRAM45に記憶させる。
【0065】
CPU34は、追尾対象設定処理部57による追尾対象設定処理が完了すると、これに応じて追尾処理部58に追尾処理の実行を指示する。また、これと同時に、CPU34は、追尾対象画像を囲うようにターゲット表示枠24の画像データを生成し、それをスルー画上の対応する位置にオーバーレイ表示させる。
【0066】
追尾処理部58は、CPU34からの指示に応じて追尾処理を開始すると、各フレームの画像データが取得される毎に、そのフレーム画像22から追尾対象画像に最も合致する領域を抽出し、その領域の位置情報をCPU34に入力する。CPU34は、追尾処理部58から位置情報が入力されると、その位置情報に応じた位置にAFエリア23、及び液晶ディスプレイ18に表示されたターゲット表示枠24を移動させる。これにより、デジタルカメラ2を自動追尾AFモードに設定すると、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24が移動する。
【0067】
このように、本実施形態では、動き量が所定値以下で被写体の動きが小さい(遅い)撮影シーンであると考えられる場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上で被写体の動きが大きい(速い)撮影シーンであると考えられる場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにした。
【0068】
こうすれば、被写体の動きが小さい撮影シーンの場合には、被写体の情報を正確に取得することができ、追尾処理の精度を向上させることができる。そして、被写体の動きが大きい撮影シーンの場合には、素早く追尾対象設定処理を行うことができ、初めから動いている被写体も適切に追尾対象として設定することができる。
【0069】
上記実施形態では、特徴点60と対応点62とを用いた特徴点追跡によって被写体の動きを検出したが、これに限ることなく、図8のフローチャート、及び図9の説明図に示すように、エリアマッチングによって被写体の動きを検出してもよい。以下、その処理手順について説明する。
【0070】
動き検出部56は、CPU34の指示に応じて動き検出処理を開始すると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。動き検出部56は、画像データを読み出したら、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像とし、このフレーム画像22に対して各画素の色や高周波成分などを利用したグルーピングを行うことにより、図9(a)に示すように、当該フレーム画像22から特徴的な被写体に対応する部分を示す複数の被写体エリア70を抽出する。
【0071】
動き検出部56は、各被写体エリア70の抽出を行ったら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像とする。そして、このフレーム画像22に対して被写体エリア70毎にエリアマッチングを行うことにより、図9(b)に示すように、対応画像としたフレーム画像22から各被写体エリア70のそれぞれに対応した対応エリア72を求める。
【0072】
動き検出部56は、各対応エリア72を求めたら、図9(c)に示すように、フレーム画像22上における各被写体エリア70の中心位置及びそれに対応する各対応エリア72の中心位置を基に、各被写体エリア70の移動ベクトル74を算出する。
【0073】
動き検出部56は、各移動ベクトル74を算出したら、各移動ベクトル74の中から大きさが最大のものを代表移動ベクトルとして決定する。そして、この代表移動ベクトルの大きさを動き量として検出し、その動き量をCPU34に入力する。このように、基準画像となるフレーム画像22から特徴的な被写体に対応する部分を示す被写体エリア70を抽出し、エリアマッチングを行って被写体エリア70の移動ベクトル74を算出するようにしても、被写体の動きを検出することができる。
【0074】
さらには、図10のフローチャート、及び図11の説明図に示すように、基準画像と対応画像との差分によって被写体の動きを検出してもよい。以下、その処理手順について説明する。
【0075】
動き検出部56は、CPU34の指示に応じて動き検出処理を開始すると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を基準画像として記憶する。動き検出部56は、基準画像を記憶したら、次のフレームのYC変換後の画像データをSDRAM45から読み出し、その画像データによって示されるフレーム画像22を対応画像として記憶する。
【0076】
この後、動き検出部56は、基準画像の各画素の輝度値と、これに対応する位置の対応画像の各画素の輝度値との差分を求めることにより、図11(c)に示すように、これらの各画像の輝度値の差分からなる輝度差分画像76を作成する。動き検出部56は、輝度差分画像76を作成したら、輝度差分画像76の各画素の輝度値の絶対値を求め、その絶対値が所定の閾値よりも大きい画素の数をカウントする。前記絶対値が所定の閾値よりも大きい画素は、基準画像と対応画像との間で被写体の変動があった部分である。従って、前記カウント数が多いほど被写体の動き量が大きいと考えることができる。
【0077】
動き検出部56は、上記カウントを行った後、そのカウント数が多いほど動き量が大きくなるように、カウント数を指標として動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。このように、基準画像と対応画像との輝度値の差分を求めることによっても、被写体の動きを検出することができる。なお、画像処理を利用した被写体の動きの検出方法は、上記に限定されるものではなく、被写体の動きが検出可能な任意の方法でよい。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上同一のものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。図12に示すように、本実施形態のデジタルカメラ80の動き検出部82には、カメラ本体4の動きを検出するジャイロセンサ84が設けられている。ジャイロセンサ84は、いわゆる3軸ジャイロであり、カメラ本体4の高さ方向、幅方向、奥行き方向の3軸方向の角速度をカメラ本体4の動きとして検出し、その動きに応じた信号を出力する。
【0079】
動き検出部82は、CPU34から動き検出処理の実行が指示された際に、ジャイロセンサ84の出力を参照し、その出力を基に被写体の動きの大きさを示す動き量を生成する。一般に、動きの大きい被写体を撮影する場合には、被写体が撮影範囲から外れてしまうことを防ぐため、その移動にカメラ本体4を追従させる(いわゆるパンニング)。従って、動き検出部82は、カメラ本体4の動きが大きいほど被写体の動きも大きいとして動き量を生成する。動き検出部82は、動き量を生成したら、その動き量をCPU34に入力する。
【0080】
次に、図13に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ80のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、動き検出部82に動き検出処理の実行を指示する。
【0081】
動き検出部82は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されたことに応答して、ジャイロセンサ84の出力を参照する。そして、その出力を基に被写体の動きの大きさを示す動き量を生成し、その動き量をCPU34に入力する。
【0082】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記第1の実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0083】
このように、カメラ本体4の動きを検出するジャイロセンサ84を用いて被写体の動きを検出するようにしても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、ジャイロセンサ84によってカメラ本体4の動きを検出するようにしたが、これに限ることなく、他のセンサなどを用いてカメラ本体4の動きを検出してもよい。また、本実施形態では、動き検出部82にセンサを設けたが、センサの位置は任意の位置でよい。さらには、手振れ防止用のジャイロセンサなどを動き検出用として用いるようにしてもよい。
【0084】
[第3実施形態]
次に、図14に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成は、上記第2の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0085】
デジタルカメラ80のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、センサを利用した動き検出処理の実行を動き検出部82に指示する。
【0086】
動き検出部82は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されたことに応答して、ジャイロセンサ84の出力を参照する。そして、その出力を基に被写体の動きの大きさを示す動き量を生成し、その動き量をCPU34に入力する。
【0087】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。CPU34は、動き量が所定値以上であると判定すると、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。一方、CPU34は、動き量が所定値以下であると判定すると、画像処理を利用した動き検出処理の実行を動き検出部82に指示する。
【0088】
動き検出部82は、動き検出処理の実行がCPU34から指示されると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。そして、その画像データによって示されるフレーム画像22を基に、特徴点追跡、エリアマッチング、フレーム間の輝度値の差分などの画像処理を行うことにより、当該フレーム画像22から被写体の動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。
【0089】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を再び行う。CPU34は、動き量が所定値以上であると判定すると、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。一方、CPU34は、動き量が所定値以下であると判定すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0090】
以下、上記各実施形態と同様に、CPU34からの指示に応じて追尾対象設定処理部57で追尾対象設定処理を実行し、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0091】
このように、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との双方で動き量が所定値以下であると判定された場合に、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との一方でも動き量が所定値以上であると判定された場合に、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにした。
【0092】
このように、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理とを行うようにすれば、被写体の動きをより高精度に検出することができる。なお、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理を先に行うようにしたが、これとは反対に、画像処理を利用した動き検出処理を先に行うようにしてもよい。但し、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理とでは、センサを利用した動き検出処理の方が比較的処理速度が速い。従って、本実施形態で示すように、センサを利用した動き検出処理を先に行った方が、動きの大きい被写体をより迅速に検出することができる。すなわち、各動き検出処理は、処理速度の速いものを先に行うことが好ましい。
【0093】
また、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との一方でも動き量が所定値以上であると判定された場合に、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにしたが、本実施形態では、センサを利用した動き検出処理と画像処理を利用した動き検出処理との双方で動き量が所定値以上であると判定された場合に、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行するようにしてもよい。
【0094】
[第4実施形態]
次に、図15に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成は、上記第2の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0095】
デジタルカメラ80のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値をAF検出回路55に算出させ、そのAF評価値を取得する。
【0096】
CPU34は、AF評価値を取得したら、そのAF評価値が所定値以上か否かの判定を行う。CPU34は、AF評価値が所定値以下であると判定すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0097】
一方、CPU34は、AF評価値が所定値以上であると判定すると、動き検出処理の実行を動き検出部82に指示する。動き検出部82は、CPU34から指示されたことに応答して動き検出処理を実行することにより、被写体の動きの大きさを示す動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。この際、動き検出部82による動き検出処理は、センサを利用したものでもよいし、画像処理を利用したものでもよい。
【0098】
CPU34は、動き検出部82から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記各実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0099】
このように、本実施形態では、動き検出処理を実行する前に、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値を取得し、そのAF評価値が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行うようにした。こうすれば、全く焦点が合っていない状態の被写体が追尾対象として設定され、追尾処理が継続できなくなったり、焦点が合っていない状態で撮影が実行されたりすることを、より適切に防ぐことができる。また、現在のフォーカスレンズ28の位置の1点だけのAF評価値を基に判定を行うので、処理に大幅な時間が掛かることもない。
【0100】
また、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値が所定値以上である場合には、追尾対象としたい被写体に焦点が合っている可能性が高い。そこで、図16に示すフローチャートのように、AF評価値が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行い、AF評価値が所定値以上である場合には、AFや動き検出処理を行うことなく直ちに追尾対象設定処理を行うようにしてもよい。
【0101】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図17に示すように、本実施形態のデジタルカメラ100には、上記各実施形態で説明した各部に加えて、顔検出部102と、シーン変動チェック処理部104とが設けられている。
【0102】
顔検出部102は、CPU34の制御の下、YC変換後の画像データから顔画像を検出する顔検出処理を行う。CPU34は、例えば、メニューボタン20の押下によって液晶ディスプレイ18に表示されるメニュー画面の顔検出機能のON/OFFの設定項目において、顔検出機能のONが設定された際に、顔検出部102に顔検出処理の実行を指示する。顔検出部102は、CPU34からの指示に応じて顔検出処理を実行すると、YC変換後の画像データをSDRAM45から読み出す。そして、周知のパターンマッチング技術を用いることにより、当該画像データによって示されるフレーム画像22から顔画像を抽出し、その顔画像の位置情報を検出結果としてCPU34に入力する。CPU34は、顔検出部102から位置情報が入力されると、その位置情報に基づいて顔画像に対応する部分を囲う顔検出枠を生成し、それをスルー画にオーバーレイ表示させることにより、検出した顔をユーザに報知する。
【0103】
シーン変動チェック処理部104は、CPU34からの指示に応じて、撮影シーンに変動があったか否かを判定するシーン変動チェック処理を行う。シーン変動チェック処理部104には、基準情報記憶メモリ106が設けられている。シーン変動チェック処理部104は、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた際に、その時の撮影シーンに関連する各種の情報を基準情報として基準情報記憶メモリ106に記憶させる。
【0104】
シーン変動チェック処理部104は、例えば、本撮影が実行されたとき、レリーズボタン14の半押しに応じて撮影準備処理が実行されたとき、スルー画表示中に連続的に焦点合わせ行うコンティニュアスAFが動作しているときに、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われたと判断して、基準情報記憶メモリ106に基準情報を記憶させる。
【0105】
また、シーン変動チェック処理部104は、例えば、ズームレンズ26の位置、顔検出部102による顔検出処理の有無、AE/AWB検出回路54が算出した測光値、フォーカスレンズ28の位置、及びその位置におけるAF評価値などを、撮影シーンに関連する情報として基準情報記憶メモリ106に記憶させる。さらに、顔検出処理が行われていた場合には、その顔検出処理によって検出された顔画像の数や、検出された顔画像そのものを撮影シーンに関連する情報として基準情報記憶メモリ106に記憶させる。なお、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作、及び撮影シーンに関連する情報は、上記に限定されるものではない。
【0106】
シーン変動チェック処理部104は、CPU34からシーン変動チェック処理の実行が指示されると、それに応答して撮影シーンに関連する各種の情報を取得する。シーン変動チェック処理部104は、各情報を取得したら、それらの各情報と、基準情報記憶メモリ106に記憶されている基準情報とを比較する。そして、シーン変動チェック処理部104は、対応する各情報の全てが一致している場合に、撮影シーンに変動がないと判定し、対応する各情報のいずれか1つでも一致しないものがある場合に、撮影シーンに変動があったと判定する。また、シーン変動チェック処理部104は、上記のようにシーン変動チェック処理を行った後、撮影シーンの変動の有無の判定結果をCPU34に入力する。
【0107】
次に、図18及び図19に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ100のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、シーン変動チェック処理の実行をシーン変動チェック処理部104に指示する。
【0108】
シーン変動チェック処理部104は、CPU34からシーン変動チェック処理の実行が指示されると、これに応答して撮影シーンに関連する各種の情報を取得する。シーン変動チェック処理部104は、各情報を取得したら、まずズームレンズ26の位置に変動があったか否かの判定を行う。シーン変動チェック処理部104は、取得したズームレンズ26の位置と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶されたズームレンズ26の位置とを比較し、これらの各値の差分が所定値以下である場合に、ズームレンズ26の位置に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、ズームレンズ26の位置に変動があったと判定する。
【0109】
シーン変動チェック処理部104は、ズームレンズ26の位置に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、ズームレンズ26の位置に変動がないと判定すると、続いて顔検出部102による顔検出処理の結果に変動があったか否かの判定を行う。
【0110】
シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の結果の判定を開始すると、顔検出部102が現在行っている顔検出処理の結果と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶された顔検出処理の結果とを比較し、顔検出処理が行われているか否かを確認する。また、シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理が行われている場合、検出された顔画像の数が一致するか否かを確認し、顔画像の数も一致している場合には、さらに検出された各顔画像のパターンマッチングを行って、対応する各顔画像の内容が一致しているか否かを確認する。そして、シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の実行の有無、顔画像の数、顔画像の内容の全てが一致している場合に、顔検出処理の結果に変動がないと判定し、いずれか1つでも一致していない場合に、顔検出処理の結果に変動があったと判定する。
【0111】
シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の結果に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、顔検出処理の結果に変動がないと判定すると、続いてAE/AWB検出回路54が算出した測光値に変動があったか否かの判定を行う。
【0112】
シーン変動チェック処理部104は、測光値の判定を開始すると、AE/AWB検出回路54から取得した測光値と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶された測光値とを比較し、これらの各測光値の差分が所定値以下である場合に、測光値に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、測光値に変動があったと判定する。
【0113】
シーン変動チェック処理部104は、測光値に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、測光値に変動がないと判定すると、続いてフォーカスレンズ28の位置に変動があったか否かの判定を行う。
【0114】
シーン変動チェック処理部104は、フォーカスレンズ28の位置の判定を開始すると、取得したフォーカスレンズ28の位置と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶されたフォーカスレンズ28の位置とを比較し、これらの各値の差分が所定値以下である場合に、フォーカスレンズ28の位置に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、フォーカスレンズ28の位置に変動があったと判定する。
【0115】
シーン変動チェック処理部104は、フォーカスレンズ28の位置に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、フォーカスレンズ28の位置に変動がないと判定すると、続いてそのフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値に変動があったか否かの判定を行う。
【0116】
シーン変動チェック処理部104は、AF評価値の判定を開始すると、AF検出回路55から取得したAF評価値と、基準情報記憶メモリ106に基準情報として記憶されたAF評価値とを比較し、これらの各値の差分が所定値以下である場合に、AF評価値に変動がないと判定し、所定値以上である場合に、AF評価値に変動があったと判定する。
【0117】
シーン変動チェック処理部104は、AF評価値に変動があったと判定すると、撮影シーンに変動があったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。一方、シーン変動チェック処理部104は、AF評価値に変動がないと判定すると、撮影シーンに変動がなかったことを示す情報をCPU34に入力し、シーン変動チェック処理を終了する。
【0118】
CPU34は、撮影シーンに変動があったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力されると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0119】
一方、CPU34は、撮影シーンに変動がなかったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力されると、動き検出処理の実行を動き検出部56に指示する。動き検出部56は、CPU34から指示されたことに応答して動き検出処理を実行することにより、被写体の動きの大きさを示す動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。この際、動き検出部56による動き検出処理は、センサを利用したものでもよいし、画像処理を利用したものでもよい。
【0120】
CPU34は、動き検出部56から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記各実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0121】
このように、本実施形態では、動き検出処理を実行する前に、撮影シーンに変動があったか否かを判定し、撮影シーンに変動があった場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行うようにした。撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた状態から撮影シーンが変動している場合には、追尾対象としたい被写体に焦点が合っていない可能性が高い。そこで、上記のように、撮影シーンに変動があったか否かを判定し、変動がある場合に直ぐにAFを行うようにすれば、比較的時間の掛かる動き検出処理を行う手間を省き、より適切かつ迅速に追尾対象設定処理を行うことができる。
【0122】
また、撮影レンズ10が合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた状態から撮影シーンが変動していない場合、すなわち前回の操作と同じ撮影シーンを見ている状態で自動追尾AFモードが設定された場合には、追尾対象としたい被写体に焦点が合っている可能性が高い。そこで、図20に示すフローチャートのように、撮影シーンに変動があった場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行い、撮影シーンに変動がない場合には、AFや動き検出処理を行うことなく直ちに追尾対象設定処理を行うようにしてもよい。
【0123】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図21に示すように、本実施形態のデジタルカメラ110には、上記各実施形態で説明した各部に加えて、設定記憶部112が設けられている。設定記憶部112は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。この設定記憶部112には、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かをユーザが設定した際に、その設定情報が記憶される。
【0124】
追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かの設定は、図22に示すように、メニューボタン20を押下することによって液晶ディスプレイ18に表示される自動追尾前AF動作設定用のメニュー画面(AF動作設定手段)114によって行われる。
【0125】
メニュー画面114には、追尾対象設定処理の前に必ずAFを行うようにするAF動作ONモードに設定するためのON用ラジオボックス115と、追尾対象設定処理の前にAFを行わないようにするAF動作OFFモードに設定するためのOFF用ラジオボックス116と、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かを自動的に決定するAF動作自動モードに設定するための自動用ラジオボックス117とが設けられている。
【0126】
CPU34は、各ラジオボックス115〜117に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21で検出すると、そのタッチ操作に対応する位置にチェックマーク118を表示させる。これにより、タッチ操作に応じたモードが設定されたことをユーザに報知する。また、CPU34は、チェックマーク118を表示させるとともに、その操作に応じたモードの設定情報を設定記憶部112に記憶させる。
【0127】
このように、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かの設定は、メニュー画面114を液晶ディスプレイ18に表示させた後、所望のモードの各ラジオボックス115〜117に対応する部分をタッチ操作することによって設定される。なお、各モードの設定方法は、メニュー画面114に限ることなく、例えば、専用のスライドスイッチなどで行ってもよい。
【0128】
次に、図23に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ110のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することにより、ユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認する。
【0129】
CPU34は、AF動作OFFモードが設定されていることを確認すると、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示し、AFを行うことなく直ぐに追尾対象設定処理を行う。一方、CPU34は、AF動作ONモードが設定されていることを確認すると、AF検出回路55のAF評価値を基にしたコントラスト方式のAFを行うことにより、追尾対象として設定された被写体に撮影レンズ10を合焦させる。この後、CPU34は、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示する。
【0130】
また、CPU34は、AF動作自動モードが設定されていることを確認すると、動き検出処理の実行を動き検出部56に指示する。動き検出部56は、CPU34から指示されたことに応答して動き検出処理を実行することにより、被写体の動きの大きさを示す動き量を検出し、その動き量をCPU34に入力する。この際、動き検出部56による動き検出処理は、センサを利用したものでもよいし、画像処理を利用したものでもよい。
【0131】
CPU34は、動き検出部56から動き量が入力されると、その動き量が所定値以上か否かの判定を行う。以下、上記各実施形態と同様に、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。そして、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0132】
このように、本実施形態では、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することによってユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認し、そのモードに応じた処理を行うようにしたので、追尾対象設定処理の前にAFを行うか否かについてユーザの意図を反映させることができる。
【0133】
本実施形態では、AF動作自動モードが設定されていることを確認した際に、動き検出処理を実行し、動き量が所定値以上か否かによってAFを行うか否かを判定するようにしたが、これに限ることなく、例えば、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値を取得し、そのAF評価値が所定値以上か否かによってAFを行うか否かを判定してもよいし、シーン変動チェック処理を実行し、撮影シーンに変動があったか否かによってAFを行うか否かを判定してもよい。
【0134】
また、本実施形態では、自動追尾前AF動作の設定として、AF動作ONモードとAF動作OFFモードとAF動作自動モードとを設け、AF動作自動モードが設定されている場合に、上記各処理を実行するようにしたが、これに限ることなく、自動追尾前AF動作の設定をAF動作ONモードとAF動作OFFモードのみとし、図24に示すフローチャートのように、AF動作ONモードが設定されている場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を行い、AF動作OFFモードが設定されている場合には、AFや動き検出処理を行うことなく直ちに追尾対象設定処理を行うようにしてもよい。
【0135】
[第7実施形態]
次に、図25に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成は、上記第6の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0136】
デジタルカメラ110のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することにより、ユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認する。
【0137】
CPU34は、AF動作ONモードが設定されていることを確認すると、上記第6の実施形態と同様に、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。また、AF動作自動モードが設定されていることを確認した場合にも、上記第6の実施形態と同様に、動き検出処理、及び動き量が所定値以上か否かの判定を行い、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。
【0138】
一方、CPU34は、AF動作OFFモードが設定されていることを確認すると、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値をAF検出回路55に算出させ、そのAF評価値を取得する。CPU34は、AF評価値を取得したら、そのAF評価値が所定値以上か否かの判定を行う。
【0139】
CPU34は、AF評価値が所定値以上であると判定すると、ユーザの設定通りにAFを行うことなく追尾対象設定処理を実行する。一方、CPU34は、AF評価値が所定値以下であると判定すると、図26に示すように、追尾対象として選択された被写体に焦点が合っていないことを警告するアイコン120を液晶ディスプレイ18に表示させることにより、ユーザに対して警告を行う。また、この際、CPU34は、アイコン120とともに、自動追尾前AF動作のモードをAF動作OFFモード又はAF動作ONモードに設定するためのダイアログボックス122を液晶ディスプレイ18に表示させ、モードをAF動作OFFモードのままにするかAF動作ONモードに変更するかをユーザに選択させる。
【0140】
CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作OFFモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行うことなく追尾対象設定処理を実行する。一方、CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作ONモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。この際、設定記憶部112に記憶されている設定情報は、ダイアログボックス122での設定に応じてAF動作OFFモードからAF動作ONモードに書き換えてもよいし、AF動作OFFモードのままにしておいてもよい。
【0141】
そして、CPU34は、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0142】
このように、本実施形態では、AF動作OFFモードが設定されている際に、現在のフォーカスレンズ28の位置におけるAF評価値が所定値以上か否かの判定を行い、所定値以下である場合、すなわちユーザが追尾対象として選択した被写体に焦点が合っていない場合に、警告を行うようにした。こうすれば、ユーザの意図を反映させつつ、設定の変更を忘れた場合などでも、全く焦点が合っていない状態の被写体が追尾対象として設定され、追尾処理が継続できなくなったり、焦点が合っていない状態で撮影が実行されたりすることを適切に防ぐことができる。なお、本実施形態では、液晶ディスプレイ18にアイコン120を表示させることによってユーザに警告を行ったが、これに限ることなく、例えば、警告音などの音声で警告を行ってもよい。
【0143】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図27に示すように、本実施形態のデジタルカメラ130は、上記第5の実施形態と同様の顔検出部102、シーン変動チェック処理部104、及び上記第6の実施形態と同様の設定記憶部112が設けられている。
【0144】
次に、図28に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による本実施形態の作用について説明する。デジタルカメラ130のCPU34は、所定の被写体に対応する部分がタッチ操作されたことをタッチパネル21が検出すると、その検出に応答してAF機能の設定を通常AFモードから自動追尾AFモードに切り替える。CPU34は、自動追尾AFモードを設定すると、まず撮影範囲の中央に固定されていたAFエリア23を、タッチパネル21の検出結果に応じた位置に移動させる。この後、CPU34は、設定記憶部112に記憶された設定情報を参照することにより、ユーザが設定した自動追尾前AF動作のモードを確認する。
【0145】
CPU34は、AF動作OFFモードが設定されていることを確認すると、上記第6の実施形態と同様に、追尾対象設定処理部57に追尾対象設定処理の実行を指示し、AFを行うことなく直ぐに追尾対象設定処理を行う。また、AF動作自動モードが設定されていることを確認した場合にも、上記第6の実施形態と同様に、動き検出処理、及び動き量が所定値以上か否かの判定を行い、動き量が所定値以下である場合には、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行し、動き量が所定値以上である場合には、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する。
【0146】
一方、CPU34は、AF動作ONモードが設定されていることを確認すると、シーン変動チェック処理の実行をシーン変動チェック処理部104に指示する。
【0147】
CPU34は、撮影シーンに変動があったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力された場合、追尾対象としたい被写体に焦点が合っていない可能性が高いと判断し、ユーザの設定通りにAFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。
【0148】
一方、CPU34は、撮影シーンに変動がなかったことを示す情報がシーン変動チェック処理部104から入力された場合、追尾対象としたい被写体に焦点が合っている可能性が高いと判断し、図29に示すように、AFを行わずに追尾対象設定処理を実行する高速ロックが可能であることを示すアイコン132を液晶ディスプレイ18に表示させることにより、高速ロックが可能であることをユーザに対して報知する。また、この際、CPU34は、アイコン132とともに、自動追尾前AF動作のモードをAF動作OFFモード又はAF動作ONモードに設定するためのダイアログボックス122を液晶ディスプレイ18に表示させ、モードをAF動作ONモードのままにするかAF動作OFFモードに変更するかをユーザに選択させる。
【0149】
CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作OFFモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行うことなく追尾対象設定処理を実行する。一方、CPU34は、ダイアログボックス122のAF動作ONモードに対応する部分がタッチ操作された場合、AFを行ってから追尾対象設定処理を実行する。
【0150】
そして、CPU34は、追尾対象設定処理が完了した後、追尾処理部58に追尾処理を実行させることにより、追尾対象として設定した被写体の移動に追従してAFエリア23及びターゲット表示枠24を移動させる。
【0151】
このように、本実施形態では、AF動作ONモードが設定されている際に、シーン変動チェック処理を行い、撮影シーンに変動がなかった場合に、AFが省略可能であることをユーザに報知するようにした。こうすれば、ユーザが設定の変更を忘れた場合などに不要にAFが行われることを防ぎ、ユーザの意図を反映させつつ、より適切かつ迅速に追尾対象設定処理を行うことができる。なお、本実施形態では、液晶ディスプレイ18にアイコン132を表示させることによってユーザに報知を行ったが、これに限ることなく、例えば、音声で報知を行ってもよい。
【0152】
上記各実施形態では、タッチパネル21のタッチ操作によって追尾対象とする被写体を選択するようにしたが、追尾対象の選択方法は、これに限定されるものではない。例えば、顔検出を行うことによって抽出された顔画像を追尾対象としてもよい。上記各実施形態では、コントラスト方式のAFを行うようにしたが、AFの方式は、これに限ることなく、位相差方式やアクティブ方式などの他の方式でもよい。上記各実施形態では、CCD36を撮像素子として示したが、撮像素子は、これに限ることなく、例えば、CMOSイメージセンサなどでもよい。上記各実施形態では、デジタルカメラに本発明を適用した例を示したが、本発明は、これに限ることなく、他の撮像装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0153】
2 デジタルカメラ(撮像装置)
4 カメラ本体(本体部)
10 撮影レンズ
28 フォーカスレンズ
34 CPU(設定制御手段)
36 CCD(撮像素子)
55 AF検出回路(AF評価値算出手段)
56 動き検出部(動き検出手段)
57 追尾対象設定処理部(追尾対象設定処理手段)
84 ジャイロセンサ(センサ)
104 シーン変動チェック処理部(シーン変動チェック処理手段)
106 基準情報記憶メモリ(基準情報記憶手段)
114 メニュー画面(AF動作設定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを光軸方向に移動させることによって焦点の調節が可能な撮影レンズと、前記撮影レンズによって結像された被写体像を撮像する撮像素子とを備え、前記撮像素子を駆動することによって時系列的に連続した複数の画像データを取得するとともに、前記撮影レンズを自動的に合焦させるオートフォーカスを行う機能と、所定の被写体を自動的に追尾する追尾処理を行う機能とを有する撮像装置において、
前記画像データから所定の領域を抽出することにより、その領域を前記追尾処理の追尾対象として設定する追尾対象設定処理手段と、
被写体の動きを検出する動き検出手段と、
前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記動き検出手段に被写体の動きを検出させ、動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、動きが大きい場合には、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる設定制御手段とを設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記動き検出手段は、前記各画像データを基に、被写体の動きを検出することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮影レンズが前面に設けられた本体部と、
前記本体部の動きを検出するセンサとを有し、
前記動き検出手段は、前記センサの検出結果を基に、被写体の動きを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出との双方で動きが小さいと検出された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出とのどちらかで動きが大きいと検出された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像データを基にAF評価値を算出するAF評価値算出手段を備え、
前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、所定値以上である場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記設定制御手段は、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値が所定値以上で、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記AF評価値が所定値以下である場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮影レンズが合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた際に、その時の撮影シーンに関連する各種の情報を基準情報として記憶する基準情報記憶手段と、
前記基準情報記憶手段に記憶された前記基準情報を基に、撮影シーンに変動があったか否かを判定するシーン変動チェック処理手段とを備え、
前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記シーン変動チェック処理手段に判定を実行させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動があると判定された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記設定制御手段は、撮影シーンに変動がなく、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動がある場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記基準情報記憶手段は、前記撮影レンズのズームレンズの位置、顔検出処理の結果、測光値、前記フォーカスレンズの位置、AF評価値のいずれかを前記基準情報として記憶することを特徴とする請求項7又は8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う前に、オートフォーカスを行うか否かを設定するためのAF動作設定手段を備え、
前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記AF動作設定手段による設定を確認し、オートフォーカスを行うと設定されている場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、オートフォーカスを行わないと設定されている場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記AF動作設定手段の設定には、オートフォーカスを行うか否かを自動的に決定するモードがあり、
前記設定制御手段は、オートフォーカスを自動的に決定することが設定されている場合、前記動き検出手段の検出結果、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値、前記シーン変動チェック処理手段の判定結果のいずれかを基に、オートフォーカスを行うか否かを決定することを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行わないと設定されている場合に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合、焦点が合っていないことを示す警告を行うことを特徴とする請求項10又は11記載の撮像装置。
【請求項13】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行うと設定されている場合に、撮影シーンに変動があったか否かを前記シーン変動チェック処理手段に判定させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合、オートフォーカスが省略可能であることを示す報知を行うことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項1】
フォーカスレンズを光軸方向に移動させることによって焦点の調節が可能な撮影レンズと、前記撮影レンズによって結像された被写体像を撮像する撮像素子とを備え、前記撮像素子を駆動することによって時系列的に連続した複数の画像データを取得するとともに、前記撮影レンズを自動的に合焦させるオートフォーカスを行う機能と、所定の被写体を自動的に追尾する追尾処理を行う機能とを有する撮像装置において、
前記画像データから所定の領域を抽出することにより、その領域を前記追尾処理の追尾対象として設定する追尾対象設定処理手段と、
被写体の動きを検出する動き検出手段と、
前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記動き検出手段に被写体の動きを検出させ、動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、動きが大きい場合には、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる設定制御手段とを設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記動き検出手段は、前記各画像データを基に、被写体の動きを検出することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮影レンズが前面に設けられた本体部と、
前記本体部の動きを検出するセンサとを有し、
前記動き検出手段は、前記センサの検出結果を基に、被写体の動きを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出との双方で動きが小さいと検出された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記設定制御手段は、前記各画像データを基にした被写体の動きの検出と、前記センサの検出結果を基にした被写体の動きの検出とのどちらかで動きが大きいと検出された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像データを基にAF評価値を算出するAF評価値算出手段を備え、
前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、所定値以上である場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記設定制御手段は、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値が所定値以上で、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、前記AF評価値が所定値以下である場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮影レンズが合焦もしくは合焦に近い状態にあると思われる操作が行われた際に、その時の撮影シーンに関連する各種の情報を基準情報として記憶する基準情報記憶手段と、
前記基準情報記憶手段に記憶された前記基準情報を基に、撮影シーンに変動があったか否かを判定するシーン変動チェック処理手段とを備え、
前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記シーン変動チェック処理手段に判定を実行させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動があると判定された場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記設定制御手段は、撮影シーンに変動がなく、かつ被写体の動きが大きい場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、撮影シーンに変動がある場合、及び被写体の動きが小さい場合には、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記基準情報記憶手段は、前記撮影レンズのズームレンズの位置、顔検出処理の結果、測光値、前記フォーカスレンズの位置、AF評価値のいずれかを前記基準情報として記憶することを特徴とする請求項7又は8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う前に、オートフォーカスを行うか否かを設定するためのAF動作設定手段を備え、
前記設定制御手段は、前記追尾対象設定処理手段が前記追尾対象の設定を行う際に、前記AF動作設定手段による設定を確認し、オートフォーカスを行うと設定されている場合に、オートフォーカスを行ってから前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させ、オートフォーカスを行わないと設定されている場合に、オートフォーカスを行わずに前記追尾対象設定処理手段に前記追尾対象の設定を実行させる制御態様を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記AF動作設定手段の設定には、オートフォーカスを行うか否かを自動的に決定するモードがあり、
前記設定制御手段は、オートフォーカスを自動的に決定することが設定されている場合、前記動き検出手段の検出結果、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値、前記シーン変動チェック処理手段の判定結果のいずれかを基に、オートフォーカスを行うか否かを決定することを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行わないと設定されている場合に、現在の前記フォーカスレンズの位置におけるAF評価値を前記AF評価値算出手段に算出させ、そのAF評価値が所定値以下である場合、焦点が合っていないことを示す警告を行うことを特徴とする請求項10又は11記載の撮像装置。
【請求項13】
前記設定制御手段は、前記AF動作設定手段でオートフォーカスを行うと設定されている場合に、撮影シーンに変動があったか否かを前記シーン変動チェック処理手段に判定させ、撮影シーンに変動がないと判定された場合、オートフォーカスが省略可能であることを示す報知を行うことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−211531(P2011−211531A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77905(P2010−77905)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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