説明

撮像装置

【課題】ピンホールによって多くの光が遮られるので、撮像素子に達する光量が少ない。
【解決手段】撮像装置は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された複数の撮像素子と、前記複数の撮像素子に隣接して、前記半導体基板に形成された発光部と、前記複数の撮像素子の光路上に形成され、前記発光部からの光を前記複数の撮像素子の光路に平行であって離間する方向へ方向付けする複数の光学素子と、光学素子と被写体との間の前記光路上に設けられ、前記光学素子からの光を前記被写体へと集光する複数の対物集光部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源と、撮像素子と、撮像素子と被写体との間に配置されたピンホールを備える顕微鏡が開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特表2008−501999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の装置では、ピンホールによって多くの光が遮られるので、撮像素子に達する光量が少ないといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された複数の撮像素子と、前記複数の撮像素子に隣接して、前記半導体基板に形成された発光部と、前記複数の撮像素子の光路上に形成され、前記発光部からの光を前記複数の撮像素子の光路に平行であって離間する方向へ方向付けする複数の光学素子と、光学素子と被写体との間の前記光路上に設けられ、前記光学素子からの光を前記被写体へと集光する複数の対物集光部材とを備える撮像装置である。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】撮像装置の全体斜視図である。
【図2】撮像部の全体斜視図である。
【図3】撮像部の分解斜視図である。
【図4】図2の一部拡大図である。
【図5】撮像部の縦断面図である。
【図6】撮像部の概略の平面図である。
【図7】撮像装置の制御系を説明するブロック図である。
【図8】高画質撮像モードにおけるビームスポットの動きを説明する図である。
【図9】XY方向の測距をせずに画像生成する場合のフローチャートである。
【図10】撮像素子を2次元的に配置した実施形態による撮像部の全体斜視図である。
【図11】撮像部の縦断面図である。
【図12】撮像部の概略の平面図である。
【図13】発光素子と光学素子との間に発散抑制部材を設けた実施形態による撮像部の縦断面図である。
【図14】発光素子の個数を低減させた実施形態による撮像部の縦断面図である。
【図15】撮像素子のピッチを変更した実施形態の撮像部の平面図である。
【図16】撮像素子間に遮光壁を設けた実施形態による撮像部の部分斜視図である。
【図17】発光素子が複数の撮像素子に光を供給する実施形態による撮像部の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、撮像装置の全体斜視図である。図1に矢印で示すXYZを撮像装置のXYZ方向とする。また、+Z方向を上方向、−Z方向を下方向とする。図1に示すように、本実施形態による撮像装置10は、ベース12と、撮像部14と、駆動部16と、被写体保持部18と、画像出力部20と、制御部22とを備えている。
【0009】
ベース12は、台状に形成されている。ベース12の上面には、駆動部16と、被写体保持部18とが載置されている。これにより、ベース12は、撮像部14と、駆動部16と、被写体保持部18とを直接的または間接的に支持する。
【0010】
駆動部16は、撮像部14の両端を保持しつつ、撮像部14をXYZ方向に移動させる。駆動部16は、制御部22から入力される駆動信号によって制御される。
【0011】
被写体保持部18は、被写体ケース24と、4本の脚部26とを有する。被写体ケース24は、撮像用の光を透過可能な材料によって構成されている。被写体ケース24は、XY平面に平行な直方体形状に形成されている。被写体ケース24には、被写体28が載置される中空状の被写体領域30が形成されている。尚、被写体28には、蛍光材料を含ませてもよい。4本の脚部26は、被写体ケース24の四隅の下面と、ベース12の上面との間に配置されている。これにより、4本の脚部26は、被写体ケース24を撮像部14の上方に支持する。
【0012】
画像出力部20は、制御部22によって生成された画像を表示する。画像出力部20の一例は、液晶ディスプレイである。制御部22は、撮像装置10の制御全般を司る。
【0013】
図2は、撮像部の全体斜視図である。図3は、撮像部の分解斜視図である。図4は、図2の一部拡大図である。図5は、撮像部の縦断面図である。
【0014】
図2〜図5に示すように、撮像部14は、被写体領域30の−Z方向に配置されている。撮像部14は、駆動部16によって、XYZ方向に移動可能に支持されている。撮像部14は、半導体基板32と、発光部の一例である発光素子アレイ34と、撮像素子アレイ36と、ピンホールアレイ38と、撮像用集光部材40と、接着剤42及び接着剤44と、光学素子46と、台座48と、対物集光部材50とを備えている。
【0015】
半導体基板32は、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、砒化ガリウム(GaAs)等の半導体材料を含む。半導体基板32上には、発光素子アレイ34、及び、撮像素子アレイ36が形成されて、半導体基板32は、発光素子アレイ34、及び、撮像素子アレイ36を支持する。
【0016】
発光素子アレイ34は、半導体基板32の−Y側の端部に設けられている。発光素子アレイ34は、半導体基板32の+Z面上に半導体製造プロセスによって形成された複数の発光素子52を有する。尚、発光素子52の数の一例は、数個から数千個であるが、限定されるものではない。発光素子52は、X方向に約10μmの幅を有する。尚、発光素子52の幅は適宜変更してよい。発光素子52は、平面視において、矩形状に形成されている。複数の発光素子52は、X方向に沿って一直線上に配列されている。発光素子52の一例、レーザダイオードである。図5に示すように、発光素子52は、発光層54と、一対のクラッド層56及びクラッド層56とを有する。発光層54は、各発光素子52に注入された電荷によって発光する。一対のクラッド層56、56は、発光層54の+Z側の面及び−Z側の面に形成されている。一対のクラッド層56、56は、発光層54で発光された光がZ方向に導光することを抑制して、光を閉じ込める。発光層54のY側の両面は、鏡面構造を有する。尚、発光層54の+Y側の面は、−Y側の面よりも反射率が小さく構成されている。これにより、発光素子52は、発光層54で発光された光をクラッド層56、56によって閉じ込めて、+Y方向にレーザ光である光を出射する。
【0017】
図2〜図5に示すように、撮像素子アレイ36は、半導体基板32の+Y側の端部に設けられている。撮像素子アレイ36は、発光素子52の光の出射方向に配置されている。撮像素子アレイ36は、半導体基板32の+Z面上に半導体製造プロセスによって形成された複数の撮像素子58を有する。これにより、発光素子52及び撮像素子58は、半導体基板32の同一面上に形成されることになる。各撮像素子58は、発光素子アレイ34の各発光素子52の+Y側に隣接して配置されている。即ち、撮像素子58及び発光素子52は、一対一の関係であって、同じ個数配列されている。これにより、各発光素子52が、1個の撮像素子58に光を照射することになる。撮像素子アレイ36の一例は、CCD(=Charge Coupled Device:電荷結合素子)またはCMOS(=Complementary Metal Oxide Semiconductor: 相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサである。撮像素子58は、それらの画素である。撮像素子58は、受光した光を光電変換して、電気的な信号である撮像信号を出力する。撮像素子58の一辺は、平面視において、例えば、10μmの正方形状に形成されている。撮像素子58の+Z面には、光を受光するための受光面60が形成されている。撮像素子58は、被写体28が反射した光を受光面60によって受光する。そして、撮像素子58は、受光面60での受光量に応じた撮像信号に変換して出力する。
【0018】
ピンホールアレイ38は、撮像素子アレイ36の+Z側の面、即ち、被写体領域30側に形成されている。ピンホールアレイ38は、開口部の一例である複数のピンホール62が形成された遮光部64を有する。遮光部64は、撮像素子58の+Z側の面に一体的に直接形成されている。これにより、遮光部64は、撮像素子58と光学素子46との間に設けられることになる。遮光部64は、光を遮蔽可能な材料を含む。遮光部64は、平面視において、撮像素子アレイ36と略同じ形状の長方形状に形成されている。遮光部64は、一定の厚みを有する板状の材料によって構成してもよく、透明な板状部材の一面に形成された遮光膜によって構成してもよい。例えば、遮光部64は、撮像素子58の+Z面にスピンコート法等によって形成した酸化シリコン膜の+Z面に形成された金属薄膜によって構成してもよい。この場合、フォトリソグラフィー及びエッチング等によって、所定の領域の金属薄膜を除去して、ピンホール62を形成できる。
【0019】
複数のピンホール62は、X方向に延びる撮像素子アレイ36の中心線に沿って配列されている。ピンホール62のピッチは、撮像素子58のピッチと同じである。これにより、1個のピンホール62が、いずれか1個の撮像素子58に対応することになる。各ピンホール62は、平面視において、円形状に形成されている。ピンホール62は、撮像素子58の受光面60よりも小さい。例えば、撮像素子58が、一辺が約10μmの正方形状である場合、ピンホール62の直径は、約1μmである。ピンホール62は、Z方向において、遮光部64を貫いている。ピンホール62は、光を透過可能に構成されている。ピンホール62は、空間としてもよく、光を透過可能な材料によって埋設されていてもよい。ピンホール62は、焦点の合った焦点面からの光を通過させる。遮光部64は、被写体28に反射された光の一部である焦点のずれた位置からの光を遮光する。
【0020】
撮像用集光部材40は、接着剤42を介して、ピンホールアレイ38の+Z側に配置されている。撮像用集光部材40は、接着剤42を介して、光学素子46の−Z側に配置されている。これにより、撮像用集光部材40は、ピンホールアレイ38及び撮像素子58と、光学素子46との間の光路上に設けられることになる。撮像用集光部材40は、撮像用ベース部材66と、複数対の下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70とを有する。
【0021】
撮像用ベース部材66は、XY平面に平行な板状に形成されている。撮像用ベース部材66は、撮像素子アレイ36の+Z面と略同形状の長方形状に形成されている。撮像用ベース部材66は、光を透過可能なガラスからなる。尚、撮像用ベース部材66は、光を透過可能な樹脂等によって構成してもよい。
【0022】
下撮像用凸部68は、下方に突出した部分球体状に形成されている。下撮像用凸部68は、撮像用ベース部材66の下面に設けられている。複数の下撮像用凸部68は、X方向に沿って配列されている。下撮像用凸部68のピッチは、撮像素子58及びピンホール62のピッチと同じである。下撮像用凸部68は、接着剤42に埋め込まれている。これにより、下撮像用凸部68を含む撮像用集光部材40は、接着剤42を介して、ピンホールアレイ38の上面に固定される。
【0023】
上撮像用凸部70は、上方に突出した部分球体状に形成されている。上撮像用凸部70は、撮像用ベース部材66の上面に設けられている。上撮像用凸部70は、下撮像用凸部68の上方に配置されている。これにより、上撮像用凸部70のピッチは、撮像素子58及びピンホール62のピッチと等しくなる。この結果、一対の下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70が、各撮像素子58及び各ピンホール62に一対一で対応することになる。下撮像用凸部68と上撮像用凸部70は、互いの光軸が一致するように配置されている。下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70は、光を集光可能な凸レンズを構成する。この結果、下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70は、被写体28に反射された光であって、光学素子46を透過して−Z方向に進行する光をピンホール62及び撮像素子58へと集光する。尚、ピンホール62は、下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70の焦点に配置されている。上撮像用凸部70は、接着剤44に埋め込まれている。これにより、上撮像用凸部70を含む撮像用集光部材40は、接着剤44を介して、光学素子46の下面に固定される。
【0024】
光学素子46は、ピンホールアレイ38及び撮像用集光部材40の+Z側の面、即ち、被写体領域30側の面に設けられている。光学素子46は、X方向に延びる三角柱形状の素子本体部72を有する。素子本体部72のYZ平面に平行な断面は、直角三角形状に形成されている。素子本体部72の断面の頂点のうち、直角の頂点は、ピンホールアレイ38の+Y側の端部に配置されている。素子本体部72の一面は、XY平面から傾斜している。この素子本体部72の傾斜面は、発光素子アレイ34と対向している。素子本体部72の傾斜面には、ハーフミラー74が形成されている。ハーフミラー74は、XY平面から45°傾斜している。ハーフミラー74は、光の一部を反射して、残りの光を透過する厚みに形成された金属薄膜からなる。一例として、発光素子52の発光波長に対するハーフミラー74の反射率の一例は50%であり、ハーフミラー74の透過率の一例は50%である。ハーフミラー74は、発光素子52から出射された光の一部を被写体領域30が配されている+Z方向に反射する。これにより、光学素子46は、発光素子52から出射された光を複数の撮像素子58の光路に平行であって、離間する方向へと方向付けする。ハーフミラー74は、被写体28によって反射された光の一部を透過する。これにより、被写体28によって反射された光が、撮像用集光部材40を介してピンホールアレイ38へと達する。ピンホールアレイ38に達した光のうち、一部の光は、ピンホール62を透過して、撮像素子58に受光される。これにより、光学素子46は、複数の撮像素子58の光路上に形成されることになる。
【0025】
台座48は、光学素子46の+Z側に配置されている。台座48は、光学素子46に対して相対移動不能に、対物集光部材50を固定する。台座48は、略三角柱形状に形成されている。台座48のYZ平面に平行な断面は、直角三角形状に形成されている。台座48の傾斜面は、光学素子46のハーフミラー74に貼り合わされている。貼り合わされた台座48と光学素子46は、略直方体形状となる。また、台座48の+Z側の面は、略水平になる。台座48は、光を透過可能な樹脂からなる。これにより、台座48は、光学素子46によって反射された光を対物集光部材50へと透過させる。また、台座48は、被写体28によって反射されて対物集光部材50を透過した光を光学素子46へと透過させる。台座48は、光照射または熱等によって硬化可能な樹脂からなる。これにより、台座48は、軟性の状態で光学素子46上に載置される。この後、対物集光部材50が、台座48の上面に載置された状態で、台座48を光または熱等によって硬化する。これにより、台座48は、対物集光部材50を光学素子46に固定する。
【0026】
対物集光部材50は、台座48を介して、光学素子46の+Z側に配置されている。対物集光部材50は、被写体領域30の−Z側に配置されている。これにより、対物集光部材50は、光学素子46と被写体領域30との間の光路上に設けられることになる。対物集光部材50は、対物ベース部材76と、複数対の下対物凸部78及び上対物凸部80とを有する。
【0027】
対物ベース部材76は、XY平面に平行な板状に形成されている。対物ベース部材76は、撮像素子アレイ36の+Z面と略同形状の長方形に形成されている。対物ベース部材76は、光を透過可能なガラスからなる。尚、対物ベース部材76は、光を透過可能な樹脂等によって構成してもよい。
【0028】
下対物凸部78は、下方に突出した部分球体状に形成されている。下対物凸部78は、対物ベース部材76の下面に設けられている。複数の下対物凸部78は、X方向に沿って配列されている。下対物凸部78のピッチは、撮像素子58及びピンホール62のピッチと同じである。下対物凸部78は、台座48の上部に埋め込まれている。これにより、下対物凸部78を含む対物集光部材50は、台座48に固定される。
【0029】
上対物凸部80は、上方に突出した部分球体状に形成されている。上対物凸部80は、対物ベース部材76の上面に設けられている。上対物凸部80は、下対物凸部78の上方に配置されている。これにより、上対物凸部80のピッチは、撮像素子58及びピンホール62のピッチと等しくなる。この結果、一対の下対物凸部78及び上対物凸部80が、各撮像素子58及び各ピンホール62に一対一で対応することになる。下対物凸部78と上対物凸部80は、互いの光軸が一致するように配置されている。下対物凸部78及び上対物凸部80は、光を集光可能な凸レンズを構成する。この結果、下対物凸部78及び上対物凸部80は、ハーフミラー74によって反射され+Z方向に進行する光学素子46からの光を被写体28へと解像分解限界まで集光する。また、下対物凸部78及び上対物凸部80は、被写体28に反射されて−Z方向に進行する光を平行光にする。ここで、各組の下対物凸部78及び上対物凸部80は、XY平面に平行な対物ベース部材76に配置されているので、下対物凸部78及び上対物凸部80によって集光された光のビームスポットは、XY平面に平行な面上に位置する。このビームスポットが形成される面が、焦点面となる。各対の下対物凸部78と上対物凸部80の光軸は、撮像用集光部材40の対応する下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70の光軸と一致するように設けられている。下対物凸部78及び上対物凸部80と、下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70とによって、被写体28とピンホール62とが結像関係となる。
【0030】
ここで、対物集光部材50の下対物凸部78及び上対物凸部80によって構成される凸レンズの収差は、撮像用集光部材40の下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70によって構成される凸レンズの収差よりも小さい。尚、凸レンズの収差は、非球面または球面、表面の粗さ等によって設定すればよい。
【0031】
図6は、撮像部の概略の平面図と駆動系を説明する図である。図6に示すように、駆動部16は、X方向測距部82と、X方向駆動部84と、Y方向測距部86と、Y方向駆動部88と、Z方向測距部90と、Z方向駆動部92とを備える。尚、X方向駆動部84、Y方向駆動部88、及び、Z方向駆動部92は、駆動力の発生源として、それぞれボイスコイルモータ等の小型モータ、または、ピエゾ素子を有する。
【0032】
X方向測距部82は、自己の位置と、X方向における撮像部14及び被写体28との距離を測定する。X方向測距部82は、その測定した距離を距離情報として出力する。X方向駆動部84は、撮像部14をX方向に沿って移動させる。
【0033】
Y方向測距部86は、自己の位置と、Y方向における撮像部14及び被写体28との距離を測定する。Y方向測距部86は、その測定した距離を距離情報として出力する。Y方向駆動部88は、撮像部14をY方向に沿って移動させる。X方向駆動部84及びY方向駆動部88は、撮像部14をXY平面内で走査させて、被写体28の全体像を撮像させることができる。
【0034】
Z方向測距部90は、自己の位置と、Z方向における撮像部14及び被写体28との距離を測定する。Z方向測距部90は、その測定した距離を距離情報として出力する。Z方向駆動部92は、撮像部14をZ方向に沿って移動させる。これにより、Z方向駆動部92は、対物集光部材50の下対物凸部78及び上対物凸部80によって構成される凸レンズにより集光されたビームスポット94の焦点を被写体28の位置に合わせることができる。また、Z方向駆動部92によって、撮像部14をZ方向に移動させることにより、Z方向において異なる位置の被写体28を撮像することができる。これにより、被写体28の立体画像を撮像及び生成することができる。
【0035】
図7は、撮像装置の制御系を説明するブロック図である。撮像装置10の制御系について説明する。制御部22は、コンピュータ等を含む。
【0036】
図7に示すように、制御部22は、各発光素子52と、各撮像素子58と、画像出力部20と、駆動部16のX方向駆動部84、Y方向駆動部88及びZ方向駆動部92と、信号を入出力可能に接続されている。
【0037】
制御部22には、撮像素子58から出力される撮像信号が入力される。これにより、制御部22は、入力された撮像信号に基づいて、被写体28の画像を生成する。制御部22は、撮像信号に基づいて、生成した画像信号を画像出力部20に出力する。画像出力部20は、画像信号に基づいて、画像を表示する。制御部22は、発光素子52にオン・オフ信号を出力する。これにより、発光素子52のオン・オフが切り替えられる。
【0038】
X方向測距部82、Y方向測距部86、及び、Z方向測距部90は、自己の位置から被写体28及び撮像部14のX方向、Y方向及びZ方向の距離を測定して、その距離を測距情報として、制御部22へと出力する。制御部22は、X方向測距部82、Y方向測距部86、及び、Z方向測距部90から入力されるX方向、Y方向及びZ方向の測距情報に基づいて、撮像部14と被写体28との相対位置を算出する。制御部22は、算出された相対位置に基づいて、駆動部16のX方向駆動部84、Y方向駆動部88、及び、Z方向駆動部92に駆動信号をそれぞれ個別に出力して、撮像部14をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる。これにより、撮像部14は、XY方向に移動して、XY面内で被写体28を走査する。また、撮像部14は、Z方向に移動して、被写体28の特定領域に対物集光部材50を合焦させる。
【0039】
次に、撮像部14の製造方法について説明する。まず、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy )法等の半導体製造プロセスによって、ウエハ状の半導体基板32の一面に複数の発光素子52を含む発光素子アレイ34を形成する。次に、MOCVD法またはMBE法等の半導体製造プロセスによって、複数の撮像素子58を含む撮像素子アレイ36を半導体基板32の一面に発光素子アレイ34と離間させて形成する。尚、撮像素子アレイ36を先に形成した後に、発光素子アレイ34を形成してもよい。
【0040】
この後、撮像素子アレイ36の撮像素子58の上面にシリコン酸化膜を形成する。次に、シリコン酸化膜の上面にフォトリソグラフィー技術によって、レジスト膜を形成する。この後、金属薄膜を蒸着した後、レジスト膜とともにレジスト膜上の金属薄膜を除去する。これにより、複数のピンホール62が形成された遮光部64を有するピンホールアレイ38が撮像素子アレイ36上に完成する。
【0041】
次に、撮像用集光部材40を、ピンホールアレイ38の上面に、接着剤42を介して、設置する。尚、撮像用集光部材40の製造方法は、まず、ガラスからなる撮像用ベース部材66の上下面に成形型を配置する。この後、成形型の内部に樹脂を注入して、UV等の光照射または加熱等によって樹脂を硬化させる。これにより、撮像用ベース部材66の上下面に下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70が形成されて、撮像用集光部材40が完成する。
【0042】
次に、別工程によって製造された光学素子46を、接着剤44を介して、撮像用集光部材40の上面に設置する。この後、軟性の樹脂からなる台座48を介して、下対物凸部78が、台座48に埋め込まれるように、対物集光部材50を光学素子46の上面に設置する。尚、対物集光部材50は、上述した撮像用集光部材40と同様の工程によって製造される。次に、台座48が、光照射または加熱によって硬化される。これにより、撮像用集光部材40が固定される。この結果、撮像部14が完成する。
【0043】
次に、上述した撮像装置10の撮像動作及び画像生成動作を説明する。撮像動作は、通常撮像モード、高画質撮像モードに分けて説明する。
【0044】
通常撮像モードでは、制御部22は、発光素子アレイ34の各発光素子52へとオン信号を出力する。これにより、発光素子52は、レーザ光である光を照射する。照射された光は、+Y方向に進行して、光学素子46のハーフミラー74に達する。光の一部は、ハーフミラー74によって、+Z方向に反射される。+Z方向に進行する光は、対物集光部材50によって被写体領域30に載置された被写体28へと集光される。この後、被写体28が存在しない領域に達した光は、+Z方向に進行する。一方、被写体28に達した光は、被写体28によって−Z方向に反射される。
【0045】
−Z方向に進行する光の一部は、対物集光部材50によって集光された後、光学素子46のハーフミラー74を透過して、素子本体部72の内部を−Z方向へと進行する。この後、光は、素子本体部72の−Z面から出射して、撮像用集光部材40に入射する。光は、撮像用集光部材40によって、ピンホール62へと集光されて、ピンホール62を通過する。この後、光は、撮像素子58の受光面60に達する。撮像素子58は、受光面60にて受光量に応じた電気信号である撮像信号を制御部22へと出力する。次に、制御部22は、X方向測距部82及びY方向測距部86から入力される測距情報に基づいて、X方向駆動部84及びY方向駆動部88を制御して、撮像部14を撮像素子58のピッチの長さである10μmY方向に移動させる。この後、上述した動作を繰り返すことによって、撮像素子58がY方向の異なる位置の被写体28の画像を撮像して、それぞれの領域の撮像信号を制御部22に出力する。
【0046】
次に、制御部22は、Y方向において異なる領域で被写体28を撮像した撮像素子58から入力された撮像信号に基づいて、画像を合成する。次に、制御部22は、生成した画像を画像信号として、画像出力部20に出力する。画像出力部20は、受信した画像信号に基づいて、被写体28の画像を表示する。尚、画像の生成は、撮像動作と平行して実行してもよい。
【0047】
更に、被写体28の立体画像を生成する場合は、制御部22は、Z方向測距部90からの測距情報に基づいて、Z方向駆動部92を制御して、撮像部14をZ方向に移動させて、上述の動作を繰り返す。そして、Z方向の異なる位置の被写体28の画像を生成して、合成することにより被写体28の立体画像を生成すればよい。
【0048】
図8は、高画質撮像モードにおけるビームスポットの動きを説明する図である。高画質撮像モードでは、制御部22は、X方向測距部82及びY方向測距部86から入力された測距情報に基づいて、X方向駆動部84及びY方向駆動部88を制御して、撮像素子58のピッチの長さ以下の距離、好ましくは、ビームスポット94の直径以下の距離、撮像部14をX方向及びY方向に移動させる。そして、撮像素子58が、各場所で被写体28を撮像して、撮像信号を出力する。この後、撮像部14を撮像素子58のピッチの長さ移動させて、撮像を繰り返す。これにより、分解能を向上させて高画質画像を生成する。図8に示すように、例えば、制御部22が、X方向駆動部84またはY方向駆動部88を制御して、撮像部14をX方向またはY方向に約3μm移動させる。尚、撮像素子58のピッチは10μmとし、撮像用集光部材40によって集光された光のビームスポット94の直径は4μm以上、撮像素子58のピッチである10μm以下とする。この撮像部14の移動を繰り返する。これにより、ビームスポット94は、約3μmずつ移動して、図8の実線で示す位置から点線で示す8個所のそれぞれに矢印に沿って移動する。尚、9個所のビームスポット94が互いに重なるように、撮像部14を移動させることが好ましい。撮像素子58が、実線及び点線で示す9個所で被写体28を撮像して、それぞれの位置での撮像信号を制御部22へと出力する。制御部22は、入力された撮像信号に基づいて、画像を生成することにより、通常撮像モードの9倍の解像度の画像を生成することができる。更に、ビームスポット94を、撮像素子58の上面の面内で16個所または25個所移動させて、解像度を16倍または25倍に上げてもよい。
【0049】
図9は、XY方向の測距をせずに画像生成する場合のフローチャートである。高画質モードと同様に撮像部14を駆動して、図9のフローチャートに基づいて、画像が生成される。まず、制御部22は、複数の画像の相対位置を、各画像の被写体28の位置から算出する(S10)。尚、被写体28の輪郭等の形状情報から複数の画像の相対位置を算出してもよい。次に、算出された相対位置に基づいて生成された基準グリッドに各画像のピクセル座標を当てはめる(S12)。
【0050】
次に、制御部22は、各撮像素子58から入力されたピクセルデータを、最も近い画像である最近基準ピクセル座標に当てはめる(S14)。この後、制御部22は、欠落ピクセルへの補間データを作成する(S16)。
【0051】
次に、制御部22は、複数画像の重複している個所を平均化する平均指示がユーザによって入力されている場合(S18:Yes)、再度、ステップS10以降を繰り返す。一方、制御部22は、複数画像の平均指示がユーザによって入力されていない場合(S18:No)、画像データを生成した後(S20)、間引きデータを作成して出力する(S222)。これにより、高画質モードの画像よりも画質が向上した画像が出力されて、画像生成が終了する。これにより、撮像装置10は、XY方向の測距をせずに画像を生成することができる。尚、ステップS18とステップS20との間に、画像ボケを低減するデコンボリューション処理を加えてもよい。
【0052】
上述したように撮像装置10は、対物集光部材50を光学素子46と被写体28との間に設けている。これにより、撮像装置10では、光学素子46が反射した光を対物集光部材50によって集光させて、被写体28に照射することができる。これにより、撮像素子58に達する光量を増大させることができるので、撮像された画像の画質を向上させることができる。更に、撮像装置10は、各ピンホール62の上方に撮像用集光部材40を設けている。これにより、撮像装置10は、被写体28によって反射された光を撮像用集光部材40によりピンホール62へと集光させて、より撮像素子58に達する光を増大させることができる。
【0053】
撮像装置10は、半導体基板32の同一面上に発光素子アレイ34の発光素子52及び撮像素子アレイ36の撮像素子58を形成している。これにより、撮像素子58は、被写体28が透過した光ではなく、発光素子52から出射されて被写体28が反射した光によって撮像できる。この結果、撮像装置10は、光を透過しない被写体28を撮像することができる。
【0054】
撮像装置10は、半導体基板32上に発光素子52及び撮像素子58を形成している。これにより、撮像装置10は、撮像部14を小型化できる。また、発光素子52と撮像素子58との位置合わせ等の組み立て工程を省略することができるので、撮像装置10は、製造工程を簡略化できる。
【0055】
撮像装置10は、撮像素子58の上方にピンホール62が形成された遮光部64を設けている。これにより、撮像装置10は、焦点からずれた位置から被写体28によって反射された光を遮光部64によって遮光するとともに、焦点の合った位置から被写体28によって反射された光を通過させる。また、対物集光部材50及び撮像用集光部材40によって、被写体28とピンホール62とを結像関係にしつつ、遮光部64によって焦点のずれた光を遮光することにより、フレネル回折による画像の劣化を抑制できる。
【0056】
図10は、撮像素子を2次元的に配置した実施形態による撮像部の全体斜視図である。図11は、撮像部の縦断面図である。図12は、撮像部の概略の平面図である。
【0057】
図10〜図12示すように、撮像部114では、複数の発光素子アレイ34、複数の撮像素子アレイ36、複数の光学素子46、複数の撮像用集光部材40、複数の対物集光部材50が、半導体基板32上にY方向に配列されている。
【0058】
これにより、発光素子52及び撮像素子58が、X方向及びY方向に2次元的に配列される。一例として、発光素子52及び撮像素子58は、X方向及びY方向に数個から数千個、配列される。尚、配列される数は適宜変更してよい。また、撮像用集光部材40の下撮像用凸部68及び上撮像用凸部70と、対物集光部材50の下対物凸部78とが、2次元的に配列されている。尚、発光素子アレイ34の−Y側であって、撮像素子アレイ36の+Y側に、遮光部材を設けてもよい。これにより、発光素子52から出射されてハーフミラー74を透過した光が、Y方向に隣接する撮像素子アレイ36の列へと進行することを抑制できる。遮光部材の一例は、素子本体部72の+Y面に形成された遮光膜である。
【0059】
本実施形態では、各発光素子52から出射された光は、+Y方向に進行して、光学素子46のハーフミラー74によって+Z方向へと反射される。光は、対物集光部材50によって集光された後、被写体28によって反射される。この後、光は、対物集光部材50、光学素子46を通過した後、撮像用集光部材40によってピンホール62へと集光される。集光された光は、ピンホール62を通過して、撮像素子58に受光される。撮像素子58は、受光した光に対応する撮像信号を制御部22へと出力する。この後、被写体28の平面積が、撮像部114の平面積よりも大きい場合、制御部22は、撮像素子58の撮像信号と同時に入力されるX方向測距部82及びY方向測距部86から測距情報に基づいて、X方向駆動部84及びY方向駆動部88を制御して、撮像部114をX方向またはY方向に移動させて、異なる領域の被写体28を撮像する。これにより、制御部22が、画像を生成する。
【0060】
本実施形態においては、撮像部114の撮像素子58が2次元的に配列されているので、より多くの撮像信号を一度に出力できる。このため、本実施形態では、単眼の顕微鏡に比べて、撮像時の撮像部114のXY方向の移動を低減することができるので、撮像に必要な時間を低減できる。尚、本実施形態においても、上述の高画質モードを適用して、画質を向上させてもよい。これにより、本実施形態では、撮像時間を低減しつつ、画質を向上させることができる。
【0061】
図13は、発光素子と光学素子との間に発散抑制部材を設けた実施形態による撮像部の縦断面図である。図13に示すように、本実施形態による撮像部214では、発散抑制部材96が光学素子46の−Y側の面に設けられている。これにより、発散抑制部材96は、発光素子アレイ34の発光素子52と光学素子46との間に設けられることになる。
【0062】
発散抑制部材96は、抑制基材97と、コリメータレンズ98とを有する。抑制基材97は、ガラス板からなる。コリメータレンズ98は、抑制基材97の+Y側面及び−Y側面にわたって設けられている。コリメータレンズ98は、発光素子52から出射された光の発散を抑制して、平行光へと変換して、光学素子46のハーフミラー74へと光を進行させる。これにより、発光素子52が発光ダイオード等によって構成されている場合でも、光の発散を抑制することができる。この結果、本実施形態では、被写体28に反射されて撮像素子58に受光される光を増大させることができる。尚、発散抑制部材96は、発散する光を平行光に変換するコリメータレンズ98に代えて、発光素子52から出射された光の発散を抑制できる程度の部材を設けてもよい。
【0063】
図14は、発光素子の個数を低減させた実施形態による撮像部の縦断面図である。図14に示すように、本実施形態による撮像部314では、複数の撮像素子58及び複数の光学素子46が、発光素子52の発光方向であるY方向に沿って、1個の発光素子52に対応して配列されている。これにより、1個の発光素子52が、複数の光学素子46に光を供給することになる。光学素子46のハーフミラー74は、発光方向に進行する光の一部を透過して、残りを反射する。ここで、光学素子46のハーフミラー74は、発光素子52から離れるにいくにつれて、反射率が高くなり、透過率が減少する。即ち、光学素子46のうち、最も発光素子52に近い光学素子46のハーフミラー74の反射率は、次に発光素子52に近い光学素子46のハーフミラー74の反射率よりも低い。このように、複数の光学素子46のハーフミラー74の反射率は、発光素子52から離れるにつれて、低くなる。
【0064】
ここで、発光素子52から出射された光は、発光素子52から離れるにつれて、光学素子46に達しにくくなる。しかし、反射率を上述のように発光素子52から離れるにつれて徐々に高くすることにより、光学素子46のハーフミラー74によって反射される光を、Y方向の位置によらず、平均化することができる。また、本実施形態では、発光素子52の個数を低減できるので、撮像部314の構成を簡略化できる。
【0065】
尚、図14に示す実施形態において、それぞれのハーフミラー74の分光透過率特性を変えてもよい。例えば、発光素子52を白色光源として、発光素子52に最も近いハーフミラー74は赤色の光の反射率を高く設定し、次のハーフミラー74は緑色の光の反射率を高く設定し、発光素子52から最も遠いハーフミラー74は青色の光の反射率を高く設定すればよい。
【0066】
図15は、撮像素子の隣接間隔を変更した実施形態の撮像部の平面図である。図15に示すように、本実施形態の撮像部414では、隣接する撮像素子58と撮像素子58とのX方向の隣接間隔Pが、対物集光部材50の下対物凸部78及び上対物凸部80によって集光された光のビームスポット94の直径Dよりも小さい。尚、本実施形態においては、Y方向が撮像部414の主走査方向である。従って、主走査方向と交差する方向における撮像素子58の隣接間隔が、「隣接間隔P」となる。本実施形態では、撮像素子58の隣接間隔Pが、ビームスポット94の直径Dよりも小さいので、撮像部414をY方向に走査しつつ、撮像すると、隣接するビームスポット94が重複する。これにより、より微細な画像を生成することができる。尚、主走査方向に走査した後、副走査方向であるX方向に撮像部414を走査してもよい。
【0067】
図16は、撮像素子間に遮光壁を設けた実施形態による撮像部の部分斜視図である。図16に示すように、本実施形態の撮像部514では、撮像素子58と撮像素子58との間に遮光壁99が設けられている。遮光壁99は、半導体基板32の+Z面に立設されている。遮光壁99は、撮像素子58から対物集光部材50のX側の側面と対向するように配置されている。遮光壁99のY方向の長さは、撮像素子58のY方向の長さよりも長い。遮光壁99の高さは、半導体基板32の+Z面から対物集光部材50の上対物凸部80の頂点までの高さよりも高い。これにより、遮光壁99は、撮像素子58から対物集光部材50の側面を覆うことができる。この結果、被写体28に反射されて撮像素子58に受光されるべき光が、隣接される撮像素子58に受光されることを低減できる。
【0068】
図17は、発光素子が複数の撮像素子に光を供給する実施形態による撮像部の部分斜視図である。図17に示すように、本実施形態の撮像部614では、発光部634が、1個の発光素子52と、拡散部材653とを備える。
【0069】
発光素子52は、半導体基板32の+X側の端部に設けられている。拡散部材653は、半導体基板32の+Z面に設けられている。拡散部材653は、発光素子52の−X側の側面から半導体基板32の−X側端部にわたって設けられている。拡散部材653は、撮像素子58と離間した位置に配置されている。拡散部材653の+Z面、−X面、−Y面は、光を反射可能に構成されている。拡散部材653は、光を拡散可能な材料からなる。これにより、拡散部材653は、発光素子52から入射された光を拡散しつつ、X方向へと導光させる。そして、拡散部材653は、+Y面から光学素子46の方向へと光を出射する。本実施形態では、発光素子52の個数を低減することができるので、製造プロセスを簡略化することができる。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0071】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0072】
上述した実施形態を部分的に変更した実施形態について説明する。
【0073】
上述した実施形態では、撮像用集光部材40を設けたが、撮像用集光部材40は、省略してもよい。上述した実施形態では、ピンホール62が形成されたピンホールアレイ38を設けたが、ピンホールアレイ38は省略してもよい。
【0074】
上述した実施形態では、対物集光部材50、撮像用集光部材40等の集光部材にガラスからなるベース基材を設けたが、各集光部材からベース基材を省略して、樹脂のみによって構成してもよい。上述した実施形態では、ハーフミラー74を有する光学素子46を例に説明したが、ハーフミラーの代わりに偏光ビームスプリッタを光学素子に設けてもよい。発光素子52をレーザによって構成する場合、ビームエキスパンダを発光素子52と光学素子46との間に設けてもよい。
【0075】
発光素子52が異なる波長、即ち、異なる色の光を出射可能に構成してもよい。例えば、赤色、緑色、青色の光を出射可能な発光素子52を周期的に配置してもよい。この場合、対物集光部材50、撮像用集光部材40は、集光する光の色に合わせて色収差が小さくなるように形成することが好ましい。
【0076】
発光素子52が複数の異なる色、例えば3色の異なる色を発光可能に構成してもよい。赤色の光を発光する発光素子52と、緑色の光を発光する発光素子52と、青色の光を発光する発光素子52とを半導体基板32上に周期的に配列してもよい。この場合、撮像素子アレイ36は、いずれかの色の光の受光率が高い複数種の撮像素子58を含む。複数の撮像素子58には、発光素子52が照射する赤色の光を受光して電気信号に変更する撮像素子58と、発光素子が照射する緑色の光を受光して電気信号に変換する撮像素子58と、発光素子が照射する青色の光を受光して電気信号に変換する撮像素子58とが含まれる。これらの撮像素子58は、周期的に配列されている。
【0077】
各撮像素子に、複数層、例えば、三層の受光層を設けて、各受光層で異なる色の光を受光するように構成してもよい。例えば、最上層の受光層で最も吸収されやすい青色の光を受光して、次の受光層で緑色の光を受光して、最下層の受光層で最も吸収されにくい赤色の光を受光するように構成してもよい。
【0078】
上述の実施形態では、発光素子52から出射した光によって被写体28を撮像したが、被写体28を透過した光によって、被写体28を撮像してもよい。これにより、発光素子52の消費電力を低減しつつ、自然光等によって被写体28を撮像できる。
【符号の説明】
【0079】
10 撮像装置
12 ベース
14 撮像部
16 駆動部
18 被写体保持部
20 画像出力部
22 制御部
24 被写体ケース
26 脚部
28 被写体
30 被写体領域
32 半導体基板
34 発光素子アレイ
36 撮像素子アレイ
38 ピンホールアレイ
40 撮像用集光部材
42 接着剤
44 接着剤
46 光学素子
48 台座
50 対物集光部材
52 発光素子
54 発光層
56 クラッド層
58 撮像素子
60 受光面
62 ピンホール
64 遮光部
66 撮像用ベース部材
68 下撮像用凸部
70 上撮像用凸部
72 素子本体部
74 ハーフミラー
76 対物ベース部材
78 下対物凸部
80 上対物凸部
82 X方向測距部
84 X方向駆動部
86 Y方向測距部
88 Y方向駆動部
90 Z方向測距部
92 Z方向駆動部
94 ビームスポット
96 発散抑制部材
97 抑制基材
98 コリメータレンズ
99 遮光壁
114 撮像部
214 撮像部
314 撮像部
414 撮像部
514 撮像部
614 撮像部
634 発光部
653 拡散部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成された複数の撮像素子と、
前記複数の撮像素子に隣接して、前記半導体基板に形成された発光部と、
前記複数の撮像素子の光路上に形成され、前記発光部からの光を前記複数の撮像素子の光路に平行であって離間する方向へ方向付けする光学素子と、
前記光学素子と被写体との間の前記光路上に設けられ、前記光学素子からの光を前記被写体へと集光する対物集光部材と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記光学素子と撮像素子との光路上に設けられ、前記被写体によって反射された光を前記撮像素子へと集光する撮像用集光部材を
更に備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記対物集光部材の収差は、前記撮像用集光部材の収差よりも小さい
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発光部と前記光学素子との間に設けられ、前記発光部からの光の発散を抑制する発散抑制部材を
更に備える請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光学素子と撮像素子との間に設けられ、前記被写体によって反射された光の一部を通過させる開口部が形成された遮光部を
更に備える請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記発光部は、異なる色の光を発光する複数の発光素子を含み、
前記対物集光部材は、異なる色に対応して形成されている
請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の撮像素子の走査方向と交差する方向における撮像素子と撮像素子との隣接間隔は、前記対物集光部材により集光されたビームスポットの直径よりも小さい請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記発光部の発光方向に沿って、前記複数の撮像素子及び複数の光学素子が配列され、
前記光学素子は、前記発光方向に進行する光の一部を透過する
請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記複数の光学素子は、前記発光部から離れるにしたがって、光の透過率が減少する
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の撮像素子の間に設けられた、遮光壁を
更に備える請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−185384(P2012−185384A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49312(P2011−49312)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】