説明

撮像装置

【課題】 発光部に新たな構成を追加したり、発光部を大型化したりすることなく、画像全体において好ましいホワイトバランス調整を行うこと。
【解決手段】 被写体の撮像を複数回繰り返し、複数の画像を生成する撮像部と、複数回の撮像のうち、少なくとも1回の撮像時に被写体を照明する発光部と、複数の画像のうち、少なくとも1枚の画像に対してローパス処理を行い、ローパス画像を生成するローパス処理部と、ローパス画像に基づいて、撮像部により生成された複数の画像を合成する合成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、補助的に被写体を照明する発光部を備えた撮像装置に関する様々な技術が考えられている。例えば、特許文献1の発明は、発光部による照明光と定常照明の照明光との色温度が異なる場合に、発光部による照明光が照射された部分と照射されない部分(発光部による照明光が届かない部分)とで画像の色味が異なってしまうという問題を解決するためのものである。特許文献1の発明では、このような問題を解決するために、発光部による照明光を選択的に変更することにより、発光部による照明光の色温度を、定常照明の照明光の色温度に合わせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2537350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、発光部による照明光の色温度を、定常照明の照明光の色温度に合わせるために、複数の光源(実施形態では3種類の光源)を用意するとともに、RGBのカラーフィルターを用意する必要がある。そのため、機構や制御が複雑化するだけでなく、発光装置自体が大型化するという問題がある。
【0005】
本発明の撮像装置は、発光部に新たな構成を追加したり、発光部を大型化したりすることなく、画像全体において好ましいホワイトバランス調整を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、被写体の撮像を複数回繰り返し、複数の画像を生成する撮像部と、前記複数回の撮像のうち、少なくとも1回の撮像時に前記被写体を照明する発光部と、前記複数の画像のうち、少なくとも1枚の画像に対してローパス処理を行い、ローパス画像を生成するローパス処理部と、前記ローパス画像に基づいて、前記撮像部により生成された前記複数の画像を合成する合成部とを備える。
【0007】
なお、前記撮像部により生成された前記複数の画像に対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整部をさらに備え、前記ホワイトバランス調整部は、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われた場合と、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われない場合とのそれぞれについて、個別に、自動調節に基づく前記ホワイトバランス調整を行っても良い。
【0008】
また、前記撮像部により生成された前記複数の画像に対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整部をさらに備え、前記ホワイトバランス調整部は、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われた場合には、前記発光部による照明に最適化した前記ホワイトバランス調整を行い、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われない場合には、定常光撮影に最適化した前記ホワイトバランス調整を行っても良い。
【0009】
また、前記撮像部により生成された前記複数の画像に対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整部をさらに備え、前記ホワイトバランス調整部は、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われた場合には、前記発光部による照明に最適化した前記ホワイトバランス調整を行い、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われない場合には、自動調節に基づく前記ホワイトバランス調整を行っても良い。
【0010】
また、前記発光部は、前記撮像部による撮像時の露光終了と略同時に前記被写体の照明を終了しても良い。
【0011】
また、階調の中間部において、コントラスト変更する特性を加味した特性を有する入出力特性にしたがって、前記ローパス画像に対する階調変換処理を行う階調変換処理部をさらに備え、前記合成部は、前記階調変換処理後の前記ローパス画像に基づいて、前記撮像部により生成された前記複数の画像を合成しても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光部に新たな構成を追加したり、発光部を大型化したりすることなく、画像全体において好ましいホワイトバランス調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の電子カメラ1の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の電子カメラ1の機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態の電子カメラ1の撮影時の動作を示すフローチャートである。
【図4】ローパスフィルタについて説明する図である。
【図5】階調カーブGm1について説明する図である。
【図6】階調カーブGm1について説明する別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、本発明の撮像装置の一例として、一眼レフタイプの電子カメラを用いて説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態の電子カメラ1の構成を示す図である。図1に示すように、電子カメラ1は、撮影レンズ2、絞り3、クイックリターンミラー4、サブミラー5、拡散スクリーン6、コンデンサレンズ7、ペンタプリズム8、ビームスプリッタ9、接眼レンズ10、結像レンズ11、測光センサ12、シャッタ13、撮像素子14、焦点検出部15の各部を備える。
【0016】
測光センサ12は、例えば、分割測光が可能な測光センサである。また、撮像素子14は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの半導体デバイスである。焦点検出部15は、例えば、位相差方式の焦点検出を行い、撮影レンズ2の焦点状態を検出する。
【0017】
また、電子カメラ1は、撮像により生成された画像などを表示する液晶モニタなどのモニタ16、被写体を照明する発光部17、発光部17を制御する発光制御部18、各部を制御する制御部19をさらに備える。発光部17による発光のON/OFFはユーザの指示に基づくマニュアル設定でも良いし、制御部19によるオート設定でも良い。また、マニュアル設定とオート設定とをユーザ指示に基づき切換可能とすると良い。制御部19は、内部に不図示のメモリを備え、各部を制御するためのプログラムを予め記録する。
【0018】
非撮影時、すなわち撮影を行わない場合には、クイックリターンミラー4は、図1に示すように、45°の角度に配置される。そして、撮影レンズ2および絞り3を通過した光束は、クイックリターンミラー4で反射され、拡散スクリーン6、コンデンサレンズ7、ペンタプリズム8、ビームスプリッタ9を介して接眼レンズ10に導かれる。ユーザは、接眼レンズ10を介して被写体の像を目視することにより構図確認を行う。一方、ビームスプリッタ9により、上方に分割された光束は、結像レンズ11を介して測光センサ12の撮像面上に再結像される。また、クイックリターンミラー4を透過した光束は、サブミラー5を介して焦点検出部15に導かれる。
【0019】
一方、撮影時には、クイックリターンミラー4が、破線で示す位置に退避してシャッタ13が開放し、撮影レンズ2からの光束は撮像素子14に導かれる。
【0020】
図2は、第1実施形態の電子カメラ1の機能ブロック図である。図2に示すように、電子カメラ1は、図1の構成に加えて、タイミングジェネレータ20、信号処理部21、A/D変換部22、バッファメモリ23、バス24、カードインターフェース25、圧縮伸長部26、画像表示部27の各部を備える。タイミングジェネレータ20は、撮像素子14に出力パルスを供給する。また、撮像素子14で生成される画像の画像データは、信号処理部21(撮像感度に対応するゲイン調整部を含む)およびA/D変換部22を介して、バッファメモリ23に一時記憶される。バッファメモリ23は、バス24に接続される。このバス24には、カードインターフェース25、図1で説明した制御部19、圧縮伸張部26、および画像表示部27が接続される。カードインターフェース25は、着脱自在なメモリカード28と接続し、メモリカード28に画像の画像データを記録する。また、制御部19には、電子カメラ1のスイッチ群29(不図示のレリーズ釦などを含む)、タイミングジェネレータ20、および測光センサ12が接続される。さらに、画像表示部27は、電子カメラ1の背面に設けられたモニタ16に画像などを表示する。
【0021】
以上説明した構成の電子カメラ1の撮影時の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。以下説明する処理は、室内や屋外において暗い場所での撮影に好適な処理である。以下の処理は、スイッチ群29等を介したユーザ操作に基づいて実行されても良いし、制御部19による自動判定に基づいて実行されても良い。
【0022】
ステップS1において、制御部19は、測光センサ12による測光結果に応じて測光演算を行う。測光演算は公知技術と同様に行われる。
【0023】
ステップS2において、制御部19は、ユーザによりスイッチ群29を介して撮影開始が指示されたか否かを判定する。そして、制御部19は、撮影開始が指示されたと判定するまで、ステップS1で説明した測光演算を繰り返し、撮影開始が指示されたと判定するとステップS3に進む。
【0024】
ステップS3において、制御部19は、発光量を演算する。発光量の演算は公知技術と同様に行われる。
【0025】
ステップS4において、制御部19は、各部を制御し、ステップS1で行った測光演算の結果に基づいて、撮像素子14により被写体像を撮像して画像を生成する。なお、制御部19は、撮像時に、発光制御部18を制御し、撮像と同期して発光部17を発光させる。この発光は、ステップS3で行った発光量の演算結果に基づいて行われる。ただし、発光制御部18は、制御部19の指示にしたがって、撮像素子14による露光終了時間と発光部17による発光終了時間とを略同時に制御する。これは、ステップS4において、発光部17による発光ありの状態での撮像時に、定常光の影響をなるべく少なくするためである。
【0026】
ステップS4の撮像により生成された画像のRGB値を、以下ではそれぞれR1[x,y],G1[x,y],B1[x,y]と称する。
【0027】
そして、撮像素子14により生成された画像の画像データは、信号処理部21およびA/D変換部22を介して、バッファメモリ23に一時記憶される。
【0028】
ステップS5において、制御部19は、バッファメモリ23から画像データを読み出し、通常の画像処理を行う。通常の画像処理とは、ホワイトバランス調整、補間処理、色調補正処理、階調変換処理などである。ホワイトバランス調整以外の各処理の具体的な方法は公知技術と同様であるため説明を省略する。
【0029】
ホワイトバランス調整に関しては、制御部19は、自動調節による、いわゆるオートホワイトバランス調整を行う。ステップS4の撮像においては、撮像と同期して発光部17による発光が行われるため、ステップS5のホワイトバランス調整においては、発光ありの撮影に最適化したホワイトバランス調整が行われることになる。
【0030】
ステップS6において、制御部19は、再び各部を制御し、ステップS1で行った測光演算の結果に基づいて、撮像素子14により被写体像を撮像して画像を生成する。なお、制御部19は、この2回目の撮像時には、ステップS4の撮像と異なり、発光部17による発光を行わない。
【0031】
ステップS6の撮像により生成された画像のRGB値を、以下ではそれぞれR2[x,y],G2[x,y],B2[x,y]と称する。
【0032】
そして、撮像素子14により生成された画像の画像データは、信号処理部21およびA/D変換部22を介して、バッファメモリ23に一時記憶される。
【0033】
ステップS7において、制御部19は、バッファメモリ23から画像データを読み出し、通常の画像処理を行う。通常の画像処理とは、ステップS5と同様に、ホワイトバランス調整、補間処理、色調補正処理、階調変換処理などである。ホワイトバランス調整以外の各処理の具体的な方法は公知技術と同様であるため説明を省略する。
【0034】
ホワイトバランス調整に関しては、制御部19は、ステップS5と同様に、自動調節による、いわゆるオートホワイトバランス調整を行う。ステップS6の撮像においては、発光部17による発光が行われないため、照明は定常光のみとなる。そのため、ステップS7のホワイトバランス調整においては、定常光撮影に最適化したホワイトバランス調整が行われることになる。
【0035】
ステップS8において、制御部19は、ステップS4で生成した画像の画像データに対してローパス処理を行い、ローパス画像LY1[x,y]を生成する。まず、制御部19は、ステップS4で生成したR1[x,y],G1[x,y],B1[x,y]に基づいて、以下の式1を用いて輝度値Y1[x,y]を求める。
【0036】
Y1[x,y]=kr・R1[x,y]+kg・G1[x,y]+kb・B1[x,y] …(式1)
式1中のkr、kg、kbは、輝度値Y1[x,y]を算出するための所定の係数である。
【0037】
さらに、図4に例示する幅rが比較的広いフィルタLpwと、以下の式2を用いて、ローパス画像LY1[x,y]を求める。
【0038】
【数1】

【0039】
図4に示したフィルタLpwは、例えば、一般的な輪郭強調処理に使われるフィルタと比較して幅rが10倍以上程度のフィルタである。
【0040】
ステップS9において、制御部19は、ステップS8で生成したローパス画像LY1[x,y]に対して、階調変換処理を行い、階調変換処理後のローパス画像LY1t[x,y]を求める。階調変換処理は、以下の式3を用いて行われる。
【0041】
LY1t[x,y]=Gm1(LY1[x,y]) …(式3)
式3中のGm1は、図5に示す階調カーブGm1である。階調カーブGm1は、図5に示すように、階調の中間部において、コントラストを変更する特性を加味した特性を有する入出力特性を有する。図5に示す階調カーブGm1(a)は、階調の中間部において、コントラストを強める特性を加味した階調カーブの一例である。ステップS9において、階調カーブGm1(a)を用いて階調変換処理を行うことにより、後述する画像合成処理に際して、合成される画像をより明確に分離して合成することができる。また、図5に示す階調カーブGm1(b)は、階調の中間部において、コントラストを弱める特性を加味した階調カーブの一例である。ステップS9において、階調カーブGm1(b)を用いて階調変換処理を行うことにより、後述する画像合成処理に際して、合成画像において境界部分が目立ってしまうのを抑えることができる。
【0042】
さらに、階調カーブGm1を調整することにより、後述する画像合成処理に際して、合成する画像の明部および暗部の明るさの境界を調節することも可能である。例えば、図6に示す階調カーブGm1(c)は、合成時に、ステップS4で生成した画像(発光がある状態で撮像された画像)の暗い側までを広く用い、ステップS6で生成した画像(発光がない状態で撮像された画像)は暗い部分に限定して用いるための階調カーブの一例である。また、図6に示す階調カーブGm1(d)は、合成時に、ステップS4で生成した画像(発光がある状態で撮像された画像)は明るい部分に限定して用い、ステップS6で生成した画像(発光がない状態で撮像された画像)を広い輝度範囲で用いるための階調カーブの一例である。
【0043】
上述した階調カーブGm1は、スイッチ群29等を介したユーザ操作に基づいて設定されても良いし、制御部19による自動判定に基づいて設定されても良い。制御部19による自動判定は、例えば、公知のシーン解析などに基づき、合成されるそれぞれの画像の最適な部分を抽出可能な階調カーブGm1が設定されるようにすれば良い。また、制御部19により、最適な階調カーブGm1を自動で生成する構成としても良い。
【0044】
なお、このような階調カーブGm1を用いて階調変換処理を施したローパス画像LY1t[x,y]は、後述する画像合成処理において、マスクとして用いられる。
【0045】
ステップS10において、制御部19は、ステップS9で階調変換処理を施したローパス画像LY1t[x,y]に基づいて、ステップS4で生成した画像とステップS6で生成した画像とに対する画像合成処理を行う。画像合成処理は、以下の式4から式6を用いてRGB値のそれぞれについて行われる。
【0046】
Rmix[x,y]=(R1[x,y]・LY1t[x,y]+R2[x,y]・(255−LY1t[x,y]))÷255 …(式4)
Gmix[x,y]=(G1[x,y]・LY1t[x,y]+G2[x,y]・(255−LY1t[x,y]))÷255 …(式5)
Bmix[x,y]=(B1[x,y]・LY1t[x,y]+B2[x,y]・(255−LY1t[x,y]))÷255 …(式6)
式4から式6において、255は、RGB値が256階調であることに由来する。ステップS4で生成した画像は、発光部17による発光がある状態で撮像された画像であり、発光部17により照明された部分が好適に表現された画像である。一方、ステップS6で生成した画像は、発光部17による発光がない状態で撮像された画像であり、ステップS4で生成した画像においては、好適に表現されていない部分(発光部17による照明が届かない部分)が好適に表現された画像である。式4から式6で説明した画像合成処理により、これらの画像を、ステップS9で階調変換処理を施したローパス画像LY1t[x,y]をマスクとして合成することにより、発光部17により照明された部分も、照明されていない部分も含めて、画像全体において好ましいホワイトバランス調整が施された合成画像を得ることができる。
【0047】
ステップS11において、制御部19は、ステップS10で生成したRmix[x,y],Gmix[x,y],Bmix[x,y]からなる合成画像の画像データを、カードインターフェース25を介してメモリカード28に記録し、一連の処理を終了する。なお、合成画像のRGB値に対して変換処理を行い、YCbCr化してから記録しても良いし、合成画像の画像データをメモリカード28に記録する前に、圧縮伸長部26を介して、必要に応じて画像圧縮処理(JPEG圧縮処理など)を施しても良い。
【0048】
以上説明したように、第1実施形態によれば、被写体の撮像を複数回繰り返し、複数の画像を生成する撮像部と、複数回の撮像のうち、少なくとも1回の撮像時に被写体を照明する発光部と、複数の画像のうち、少なくとも1枚の画像に対してローパス処理を行い、ローパス画像を生成するローパス処理部と、ローパス画像に基づいて、撮像部により生成された複数の画像を合成する合成部とを備える。したがって、発光部に新たな構成を追加したり、発光部を大型化したりすることなく、画像全体において好ましいホワイトバランス調整を行うことができる。
【0049】
特に、第1実施形態によれば、発光部17による発光がある状態で撮像された画像と、発光部17による発光がない状態で撮像された画像とを合成する際の重み付けを、ローパス画像LY1[x,y]に基づいて求めているため、暗部と明部が大まかに区別し、暗部または明部が100%採用される領域では、コントラストや彩度の低下がなく、自然な合成が可能となる。
【0050】
また、第1実施形態によれば、発光部17による発光がある状態で撮像された画像と、発光部17による発光がない状態で撮像された画像のそれぞれについて、個別にオートホワイトバランス調整を行っているため、発光部17による発光がある状態で撮像された画像において、発光部17により照明されている部分と、発光部17による発光がない状態で撮像された画像において定常光により照明されている部分との両方において、良好なホワイトバランス調整が行われ、良好な色合いの合成画像を得ることができる。
【0051】
<第2実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形の変形例である。また、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同様の部分に関しては、第1実施形態と同様の符号等を用いて説明する。
【0052】
第2実施形態の電子カメラは、第1実施形態で説明した電子カメラ1と同様の構成(図1および図2参照)を備える。
【0053】
第2実施形態の電子カメラ1の撮影時の動作は、基本的に第1実施形態と同様である。以下、異なる点について説明する。
【0054】
第2実施形態では、ステップS5におけるホワイトバランス調整において、制御部19は、オートホワイトバランス調整の代わりに、発光部17による照明光用のホワイトバランス調整を行う。発光部17による照明光用のホワイトバランス調整とは、発光部17による照明光に応じて電子カメラ1に予め定められたホワイトバランス調整方法である。
【0055】
また、ステップS7におけるホワイトバランス調整において、制御部19は、オートホワイトバランス調整の代わりに、定常光用のホワイトバランス調整を行う。定常光用のホワイトバランス調整とは、電子カメラ1に予め定められた定常光に最適化したホワイトバランス調整方法である。
【0056】
以上説明したように、第2実施形態によれば、撮像時に発光部による照明が行われた場合には、発光部による照明に最適化したホワイトバランス調整を行い、撮像時に発光部による照明が行われない場合には、定常光撮影に最適化したホワイトバランス調整を行う。したがって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、第2実施形態において、撮像時に発光部による照明が行われない場合には、第1実施形態と同様に、オートホワイトバランス調整を行っても良い。
【0058】
また、上述した各実施形態において、撮像時に発光部による照明が行われた場合のホワイトバランス調整の方法、および、撮像時に発光部による照明が行われない場合のホワイトバランス調整の方法は、スイッチ群29等を介したユーザ操作に基づいて設定可能としても良い。
【0059】
また、上述した各実施形態において、予めホワイトバランス調整用の撮像を行ういわゆるプリセットホワイトバランス調整を組み合わせても良い。例えば、発光部による発光がある状態で撮像を行う際に用いるホワイトバランス調整の制御値を得るためのプリセット撮影と、発光部による発光がない状態で撮像を行う際に用いるホワイトバランス調整の制御値を得るためのプリセット撮影とを予め行っても良い。
【0060】
また、上述した各実施形態において、発光部による発光がある状態での撮像を、発光部による発光量を変えて複数回行っても良い。この場合、発光部による発光がある状態での撮像により生成した複数の画像と、発光部による発光がない状態での撮像により生成した1枚の画像とを合成することにより合成画像を生成すればよい。
【0061】
また、上述した各実施形態においては、画像合成処理を行う際の重み付けに用いるローパス画像を、発光部による発光がある状態での撮像により生成した画像に基づいて生成する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、被写界の状態や構図等に応じて、ローパス画像を、発光部による発光がない状態での撮像により生成した画像に基づいて生成しても良い。
【0062】
また、上述した各実施形態では、本発明の技術を電子カメラ1において実現する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コンパクトタイプの電子カメラや動画撮影を行うムービーカメラなどにも本発明を同様に適用することができる。また、電子カメラ1においては、発光部17が電子カメラ1と一体として構成される例を示したが、カメラ本体に対して発光部材を着脱可能な電子カメラにも本発明を同様に適用することができる。
【0063】
また、コンピュータと画像処理プログラムとにより、上述した各実施形態で説明した画像処理をソフトウェア的に実現しても良い。この場合、各実施形態で説明したフローチャートの処理の一部または全部をコンピュータで実現する構成とすれば良い。コンピュータで実現する際には、例えば、図3のステップS4で生成した画像およびステップS6で生成した画像の画像データをコンピュータに供給し、コンピュータにおいて、図3のステップS5,S7〜S11の処理を実行しても良い。また、図3のステップS5で画像処理を施した画像およびステップS7で画像処理を施した画像の画像データをコンピュータに供給し、コンピュータにおいて、図3のステップS8〜S11の処理を実行しても良い。このような構成とすることにより、上述した各実施形態と同様の処理を実施することが可能になる。
【0064】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0065】
1…電子カメラ,2…撮影レンズ,14…撮像素子,17…発光部,19…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の撮像を複数回繰り返し、複数の画像を生成する撮像部と、
前記複数回の撮像のうち、少なくとも1回の撮像時に前記被写体を照明する発光部と、
前記複数の画像のうち、少なくとも1枚の画像に対してローパス処理を行い、ローパス画像を生成するローパス処理部と、
前記ローパス画像に基づいて、前記撮像部により生成された前記複数の画像を合成する合成部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮像部により生成された前記複数の画像に対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整部をさらに備え、
前記ホワイトバランス調整部は、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われた場合と、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われない場合とのそれぞれについて、個別に、自動調節に基づく前記ホワイトバランス調整を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮像部により生成された前記複数の画像に対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整部をさらに備え、
前記ホワイトバランス調整部は、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われた場合には、前記発光部による照明に最適化した前記ホワイトバランス調整を行い、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われない場合には、定常光撮影に最適化した前記ホワイトバランス調整を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮像部により生成された前記複数の画像に対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整部をさらに備え、
前記ホワイトバランス調整部は、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われた場合には、前記発光部による照明に最適化した前記ホワイトバランス調整を行い、前記撮像部による撮像時に前記発光部による照明が行われない場合には、自動調節に基づく前記ホワイトバランス調整を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記発光部は、前記撮像部による撮像時の露光終了と略同時に前記被写体の照明を終了する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置において、
階調の中間部において、コントラストを変更する特性を加味した特性を有する入出力特性にしたがって、前記ローパス画像に対する階調変換処理を行う階調変換処理部をさらに備え、
前記合成部は、前記階調変換処理後の前記ローパス画像に基づいて、前記撮像部により生成された前記複数の画像を合成する
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−191567(P2012−191567A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55385(P2011−55385)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】