説明

撮像装置

【課題】撮像装置と補助装置の何れに障害が発生したのかを診断することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像部12と、電池4を収容する電池室18と、電池室18に収容された電池4からの電力を用いて動作する負荷を有する少なくとも一つの補助装置2,3が交換可能に装着される装着部M1,M2と、電池室18に収容された電池4の電圧を検出する検出部17と、検出部17による検出電圧が所定の時間内に所定の第1閾値以下に低下した場合に、障害発生の有無を診断する診断部11とを備える撮像装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカスレンズ(交換レンズ)やスピードライト(フラッシュ)などの補助装置がそれぞれ着脱可能に装着される一眼レフカメラなどの撮像装置においては、電源の負担を軽減するため、レンズのオートフォーカス駆動やスピードライトの昇圧駆動等の動作を排他的に制御するようにした技術が知られている(下記特許文献1参照)。このような撮像装置においては、各補助装置への電力の供給は、撮像装置の電池室内に収容された電池から行われ、各補助装置の動作(オートフォーカス動作、昇圧動作等)は、カメラの制御装置からの指示によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−43893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、補助装置内で何らかの電気的な障害が発生して過負荷が生じた場合には、カメラに設けられたヒューズが切れてしまう場合がある。カメラのヒューズが切れた場合には、ユーザは、カメラに障害が発生していると思い込み、補助装置に障害が発生している場合であっても、カメラを修理に出してしまい、これでは障害を根本的に解決できず、あるいは障害の解決を迅速に行えないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、撮像装置とこれに装着される補助装置の何れに障害が発生したのかを容易に診断することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段により上記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施の形態に対応する符号を付して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
本発明の撮像装置(1)は、撮像部(12)と、電池(4)を収容する電池室(18)と、前記電池室に収容された電池からの電力を用いて動作する負荷を有する少なくとも一つの補助装置(2,3)が交換可能に装着される装着部(M1,M2)と、前記電池室に収容された電池の電圧を検出する検出部(17)と、前記検出部による検出電圧が所定の時間内に所定の第1閾値以下に低下した場合に、障害発生の有無を診断する診断部(11)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の撮像装置によれば、撮像装置とこれに装着される補助装置の何れに障害が発生したのかを容易に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態のカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態のカメラの制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のカメラにおける処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の一部を変更した処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係るカメラを備えるカメラシステム(撮像システム)の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態のカメラ(本体)1は、主として静止画像を撮影する一眼レフ方式の電子カメラである。但し、本発明を適用可能な撮像装置としては、一眼レフ方式のカメラには限られず、またフィルム式のカメラであってもよい。
【0011】
図1に示すように、カメラ1は、補助装置の一つとしてのレンズユニット(レンズ装置)2が着脱可能に装着されるレンズマウント(レンズ装置装着部)M1、及び同じく補助装置の一つとしてのライトユニット(閃光装置)3が着脱可能に装着されるライトマウント(閃光装置装着部)M2を備えている。レンズマウントM1は、レンズユニット2を機械的に固定するための機構の他、レンズユニット2をカメラ1に電気的に接続するための複数の接点(電力供給用接点、データ通信用接点等)を備えている。ライトマウントM2は、ライトユニット3を機械的に固定するための機構の他、ライトユニット3をカメラ1に電気的に接続するための複数の接点(電力供給用接点、データ通信用接点等)を備えている。
【0012】
カメラ1は、メイン制御部11、撮像素子12、メイン駆動部13、記録媒体14、表示部15、操作部16、電圧検出部(検出部)17を備えている。メイン制御部11は、マイクロプロセッサ等により構成され、カメラ1の各部を統括的に制御する。また、カメラ1は、リチウムイオン2次電池等の電池4が着脱可能に収容される電池室18を備えている。さらに、カメラ1は、レンズマウントM1に装着されたレンズユニット2に対する電力の供給を選択的に解除(切断)する第1スイッチ(スイッチ部)S1及びライトマウントM2に装着されたライトユニット3に対する電力の供給を選択的に解除(切断)する第2スイッチ(スイッチ部)S2を備えている。
【0013】
撮像素子12は、CMOS等により構成され、レンズユニット2を介した被写体からの光を撮像し、メイン制御部11は、撮像素子12から出力され、図示しないA/Dコンバータを介することによりアナログ信号からデジタル信号に変換された撮像信号に基づく画像データを生成する。レンズユニット2と撮像素子12との間の光路中には、例えばフォーカルプレーンシャッタ等のメカニカルシャッタ(図示せず)及び被写体からの光学像を撮像素子12へ又は当該光学像を目視観察するためのファインダに選択的に導くクイックリターンミラー(図示せず)が設けられている。これらのメカニカルシャッタのチャージ動作やクイックリターンミラーの回転動作は、メイン制御部11による制御の下、シーケンシャルモータ等を備えるメイン駆動部13によって行われる。
【0014】
記録媒体14は、カメラ1に設けられたカードスロット(図示せず)に着脱可能に装着される可搬性を有するメモリであり、例えば、CFカード、SDカード、スマートメディア等が用いられる。記録媒体14には、カメラ1において撮像され生成された画像データが、撮影日時等の撮影に関する情報と共に、Exif(Exchangeable image file format)等の所定の形式で記録される。
【0015】
表示部16は、カメラ1の背面部に配置されるLCD等により構成されるモニタを備えて構成され、撮像素子12からの撮像信号に基づくスルー画像、記録媒体14に記録されている画像データに基づく静止画像や動画像、撮影に関する情報、後述する診断結果(メッセージ)等を表示する。操作部16は、カメラ1の電源をオン/オフする電源スイッチ、各種撮影モードを設定するための撮影モードダイヤル、半押しによるオートフォーカスの指示及び全押しによる撮影指示等を行うレリーズボタン、表示部15にメニュー等を表示させるためのメニューボタン、カーソルの移動等を操作する十字キー、メニュー項目等の選択や様々な設定に対する確定作業を行うためのOKボタン等を含んで構成されている。
【0016】
電圧検出部17は、電池室18に収容された電池4の電圧を検出する回路であり、その検出信号はA/D変換器(図示せず)を介してデジタル信号に変換されてメイン制御部11に供給される。電池室18に収容された電池4とレンズマウントM1の電力供給用接点との間の電力供給経路には、第1スイッチS1が直列に介装されており、メイン制御部11の制御により、当該電力供給経路を選択的に切断できるようになっている。同様に、電池室18に収容された電池4とライトマウントM2の電力供給用接点との間の電力供給経路には、第2スイッチS2が直列に介装されており、メイン制御部11の制御により、当該電力供給経路を選択的に切断できるようになっている。
【0017】
また、電池室18に収容された電池4と第1スイッチS1及び第2スイッチS2への給電経路の分岐点dとの間の電力供給経路には、図示は省略するが、ヒューズが直列に介装されており、カメラ1、レンズマウントM1に装着されたレンズユニット2、又はライトマウントM2に装着されたライトユニット3に何らかの障害が発生して、短絡又は過負荷が生じた場合には、当該ヒューズが切れることによって、電池4からの電力の供給が強制的に停止されるようになっている。
【0018】
レンズユニット2は、図示は省略するが、レンズ鏡筒内部にフォーカスレンズ等を含む複数のレンズ及び絞り等を備えている。また、レンズユニット2は、マイクロコンピュータ等からなるレンズ制御部21、及びオートフォーカス動作時にフォーカスレンズをその光軸方向に沿って移動させる等のための駆動モータを含むレンズ駆動部22を備えている。レンズ駆動部22には、カメラ1の電池室18に収容された電池4からレンズマウントM1の電力供給用接点を介して電力が供給されるようになっており、レンズ駆動部22は、カメラ1内のメイン制御部11からレンズマウントM1のデータ通信用接点を介して送られる制御信号に基づいて、レンズ制御部21により制御される。レンズ制御部21は、固体識別情報、ユニット識別情報、焦点距離、最大消費電流等の当該レンズユニット2に関する情報が記憶された不揮発性メモリ(図示せず)を備えており、レンズユニット2がレンズマウントM1に装着された時点、又はレンズユニット2がレンズマウントM1に装着された状態でカメラ1の電源が投入された時点で、これらの情報がメイン制御部11に送られるようになっている。
【0019】
ライトユニット3は、図示は省略するが、キセノンランプ、コンデンサ、リフレクタ及びフレネルレンズ等を備えている。また、ライトユニット3は、マイクロコンピュータ等からなるライト制御部31、及びコンデンサを充電するための昇圧回路部32等を備えている。昇圧回路部32には、カメラ1の電池室18に収容された電池4からライトマウントM2の電力供給用接点を介して電力が供給されるようになっており、昇圧回路部32は、カメラ1のメイン制御部11からライトマウントM2のデータ通信用接点を介して送られる制御信号に基づいて、ライト制御部31により制御される。本実施の形態では、昇圧回路部32は、通常速度で昇圧させる通常昇圧と、該通常昇圧の略半分の速度で昇圧させるハーフ昇圧の2つのモードでコンデンサを充電できるようになっている。ライトユニット3は、ライト制御部31がメイン制御部11からの制御信号(発光信号)に応じて、キセノンランプを発光させることにより、リフレクタ及びフレネルレンズを介して、被写体を照明するための閃光を発生させる。
【0020】
図2は、本実施の形態のメイン制御部11が備える機能の要部構成を示すブロック図である。メイン制御部11が備える機能としては、診断部41、通知部(警告部)42、及び省電力処理部43がある。診断部41は、電圧検出部17による検出電圧が所定の時間内に所定の第1閾値44以下に低下した場合に、障害発生の有無を診断する。第1閾値44は、適宜な値が予め設定されて、メイン制御部11が備える不揮発性メモリに記憶されている。通知部42は、診断部41による診断結果を通知又は該診断結果に従って警告を発する。通知又は警告としては、例えば、表示部15に診断結果に従った所定のメッセージを表示することにより行うことができる。
【0021】
診断部41は、前記診断を行う際に、補助装置としてのレンズユニット2及びライトユニット3の一方又は双方に対して、所定の動作を行っているか否かを問い合わせる質問コマンドを送信し、これに応じて受信する該補助装置からの返答コマンドに従って前記診断を行うようにできる。また、診断部41は、補助装置(レンズユニット2、ライトユニット3)から前記所定の動作を行っていないことを示す回答コマンドを受信した場合に、第1スイッチS1、第2スイッチS2を切断し、切断前後の電圧検出部17による検出電圧の変化に応じて前記診断を行うようにできる。
【0022】
省電力処理部43は、本実施の形態では、ライトマウントM2に装着されたライトユニット3の昇圧回路部32による昇圧速度を、通常昇圧における速度(通常速度)の半分に低下させたハーフ昇圧に設定する省電力処理、又はライトユニット3の昇圧動作と、レンズユニット2のオートフォーカス(AF)動作とを排他的に行う省電力処理を行う。
【0023】
次に、カメラ1の各部における処理を、図3に示すフローチャートを参照して、より具体的に説明する。但し、この図3を参照して説明する処理は一例である。まず、電圧検出部17により、電池室18に収容されている電池4の電圧を検出する(ステップS11)。電圧検出部17による検出電圧はメイン制御部11の診断部41に供給される。診断部41は、付属の不揮発性メモリに設定されている所定の第1閾値44を読み出し、検出電圧が所定の時間内に第1閾値44以下に低下したか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12において、検出電圧が所定の時間内に第1閾値44以下に低下したと判断した場合(Yの場合)には、ライトユニット3及びレンズユニット2にそれぞれ所定の質問コマンドを送信する(ステップS13)。ステップS12において、検出電圧が所定の時間内に第1閾値44以下に低下していないと判断した場合(Nの場合)には、ステップS11に戻る。なお、ここにいう「所定の時間」とは、電池4の通常使用による電圧の低下と切り分けることができる程度の予め設定した比較的に短い時間である。
【0024】
ライトユニット3に対する質問コマンドとしては、例えば、ライトユニット3において所定動作としての昇圧動作(ここでは、通常速度で昇圧させる通常昇圧)を行っているか否かを問い合わる内容のものとしている。また、レンズユニット2に対する質問コマンドとしては、レンズユニット2において所定動作としてのオートフォーカス動作を行っているか否かを問い合わせる内容のものとしている。但し、これらの質問コマンドとしては、このように具体的な動作を問い合わせる内容のものでなく、ある程度漠然と「現在行っている処理は何か?」といったような内容のものであってもよい。
【0025】
次に、これらの質問コマンドに対して、ライトユニット3、レンズユニット2から返信される返答コマンドを受信し(ステップS14)、これらの内容を判断する(ステップS15)。即ち、ライトユニット3からの返答コマンドが「昇圧中」を示すものであり、かつレンズユニット2からの返答コマンドが「オートフォーカス(AF)中」を示すものであるか否かを判断する。ステップS15において、「昇圧中」かつ「AF中」であると判断した場合(Yの場合)には、省電力処理部43により通常処理から省電力処理に移行されて(ステップS21)、ステップS11に戻る。なお、省電力処理は、ここでは、ライトユニット3における昇圧速度をハーフ昇圧に変更する処理であるものとする。但し、省電力処理としては、ライトユニット3における昇圧動作とレンズユニット2におけるAF動作とを排他的に実行するように設定する処理としてもよい。
【0026】
次いで、第2スイッチS2を切断して、ライトユニット3に対する電力の供給を停止し(ステップS16)、電圧検出部17による検出電圧の変化を判断する(ステップS17)。ステップS17において、検出電圧の変化(上昇)があると判断した場合(Yの場合)には、診断部41はライトユニット3に障害が発生していると診断し、通知部42はその旨を示すメッセージを表示部15に表示させる(ステップS22)。ここでのメッセージとしては、例えば、「ライトユニットに障害が発生しています。ライトユニットをカメラから取り外して、修理に出して下さい。」というものを用いることができる。
【0027】
ステップS17において、検出電圧の変化(上昇)がないと判断した場合(Nの場合)には、ライトユニット3には障害が発生してないと診断し、ステップS18において第1スイッチS1を切断して、レンズユニット2に対する電力の供給を停止し(ステップS18)、電圧検出部17による検出電圧の変化を判断する(ステップS19)。ステップS19において、検出電圧の変化(上昇)があると判断した場合(Yの場合)には、診断部41はレンズユニット2に障害が発生していると診断し、通知部42はその旨を示すメッセージを表示部15に表示させる(ステップS23)。ここでのメッセージとしては、例えば、「レンズユニットに障害が発生しています。レンズユニットをカメラから取り外して、修理に出して下さい。」というものを用いることができる。
【0028】
ステップS19において、検出電圧の変化(上昇)があると判断した場合(Nの場合)には、レンズユニット2には障害が発生していないと診断し、従って、この場合には、ライトユニット3及びレンズユニット2の何れにも障害が発生していないため、診断部41はカメラ1に障害が発生していると診断し、通知部42はその旨を示すメッセージを表示部15に表示させる(ステップS20)。ここでのメッセージとしては、例えば、「カメラに障害が発生しています。カメラからライトユニット及びレンズユニットを取り外して、カメラを修理に出して下さい。」というものを用いることができる。
【0029】
ところで、従来技術では、カメラに装着される可能性のある各レンズユニットや各ライトユニットの識別情報(ID)、これらとの関係おける最大使用電流等の仕様に関する情報等を予め取得しておくと共に、電池の使用頻度、使われ方、環境温度などの詳細なデータを取得して、ライトユニットの仕様とレンズユニットの仕様との組み合わせにおいて、最適なタイミングで、通常処理から省電力処理(ライトユニットの昇圧速度の低下処理、ライトユニットの昇圧とレンズユニットのオートフォーカス駆動を排他的に行う処理等)へ移行していたが、処理負担が大きいものであった。また、新しいユニット(レンズユニット、ライトユニット)が装着された場合には、それらのデータを取得するためにファームウエアのアップデート等を行わないと、省電力処理を適確に行うことができなかった。
【0030】
これに対して、上述した図3に示す処理によれば、電池4の検出電圧が所定の時間内に所定の第1閾値以下に低下した場合であって、ライトユニット3及びレンズユニット2の何れにも障害が発生していないと判断される場合に、通常処理から省電力処理に移行するようにしており、従来のような詳細なデータを必要とせず、処理負担を軽減することができると共に、ファームウエアのアップデート等を行わなくても、より適確に省電力処理に移行することができる。
【0031】
また、従来技術では、ライトユニット又はレンズユニット等の補助装置に障害が発生した場合に、カメラに設けられたヒューズが切れてしまうことがあり、ユーザはカメラに障害が発生したものと思い込んで、カメラを修理に出してしまうという不都合があったが、上述した図3に示す処理によれば、カメラ、ライトユニット、レンズユニットの何れに障害が発生しているかを診断して、適切なメッセージを表示するようにしたので、ユーザが、補助装置に障害が発生している場合にはその障害が発生している補助装置を修理に出すことができ、障害の解決を迅速に行うことができる。
【0032】
図4は、上述した図3の処理の一部を変更した処理を示すフローチャートである。図4に示す処理では、ステップS12において、検出電圧が所定の時間内に第1閾値以下に低下していない場合(Yの場合)にはステップS11に戻る処理としていたが、図4に示す処理では、検出電圧が所定の時間内に第2閾値以下に低下したか否かを判断し(ステップS24)、検出電圧が所定の時間内に第2閾値以下に低下したと判断した場合(Yの場合)には省電力処理に移行し(ステップS25)、検出電圧が所定の時間内に第2閾値以下に低下していないと判断した場合(Nの場合)には省電力処理に移行せずに(通常処理のまま)、ステップS11に戻るようにしている。そして、ステップS15において、「昇圧中」かつ「AF中」と判断した場合(Yの場合)に、第2閾値を補正して(ステップS26)、ステップS11に戻るようにしている。その他のステップは、図3と同様であるので、同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0033】
この図4の処理を実現するため、図2に一点鎖線で示すように、メイン制御部11の機能として、補正部46を設けると共に、第2閾値45をメイン制御部11が備える不揮発性メモリに記憶させている。この第2閾値45は、デフォルトでは、第1閾値44よりも高い値であって、標準的なレンズユニット2及びライトユニット3が装着されたとした場合に、通常処理から省電力処理に移行するのに適した所定値に設定されている。補正部46は診断部41により障害が発生していないと診断された場合に(即ち、図4のステップS15において、「昇圧中」かつ「AF中」と判断された場合(Yの場合)に)、電圧検出部17による検出電圧が所定の時間内に第1閾値44以下に低下した際の該検出電圧と該第1閾値44との差分に応じて第2閾値45を補正する処理を行う。
【0034】
一例として、電池室18に収容される電池4として、満充電で7.5Vの電池を用い、第1閾値44を4.0Vに設定し、第2閾値45を6.0Vに設定しているものとし、ライトユニット3の昇圧動作(通常昇圧)とレンズユニット2のオートフォーカス動作とを同時に行った場合に電圧が第1閾値44以下の3.8Vに低下したとした場合には、その差分(4.0V−3.8V=0.2V)を第2閾値45に加算して、即ち、6.0V+0.2V=6.2Vを新第2閾値45として、付属の不揮発性メモリに上書き保存する。即ち、次回からはこの補正された第2閾値45(6.2V)を用いて、通常処理から省電力処理への移行が判断されることになる。このように、図4に示した処理とすることにより、例えば、レンズユニット2として消費電流が比較的に大きい新しいユニットが装着された場合には、カメラ1はその新しいユニットに関するデータを取得しなくても、それに最適な第2閾値45が自動的に設定され、その消費電流が比較的に大きい新しいユニットに最適なタイミングで通常処理から省電力処理に移行することができる。
【0035】
上述した実施の形態においては、カメラ1に着脱可能に装着される補助装置として、レンズユニット2とライトユニット3を例示したが、カメラ1の電池室18に収容された電池4から電力の供給を受けて動作する他のユニットが装着される場合には、当該他のユニットを補助装置として本発明を適用することができる。また、上述した実施の形態においては、上記の処理によって、カメラ1、レンズユニット2、ライトユニット3の何れかに障害が発生していると診断された場合に、表示部15に障害が発生しているユニットを特定してメッセージを表示するようにしたが、上記の処理によって、カメラ1、レンズユニット2、ライトユニット3の何れかに障害が発生していると診断された場合に、その診断されたユニットについて、更に詳細な診断を行う障害診断プログラムを実行して、その障害の内容を更に詳しく検出して、その詳細を表示部15に表示するようにしてもよい。例えば、レンズマウントM1、ライトマウントM2における接点の汚染等に伴う、接触不良の有無を診断する診断プログラムを実行して、接触不良があると診断された場合には、その接点を清掃するようにユーザに促すメッセージを表示させるようにしてもよい。
【0036】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0037】
1…カメラ、2…レンズユニット、3…ライトユニット、4…電池、11…メイン制御部、12…撮像素子、13…メイン駆動部、17…電圧検出部、18…電池室、21…レンズ制御部、22…レンズ駆動部、31…ライト制御部、32…昇圧回路部、M1…レンズマウント、M2…ライトマウント、S1…第1スイッチ、S2…第2スイッチ、41…診断部、42…通知部、43…省電力処理部、44…第1閾値、45…第2閾値、46…補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
電池を収容する電池室と、
前記電池室に収容された電池からの電力を用いて動作する負荷を有する少なくとも一つの補助装置が交換可能に装着される装着部と、
前記電池室に収容された電池の電圧を検出する検出部と、
前記検出部による検出電圧が所定の時間内に所定の第1閾値以下に低下した場合に、障害発生の有無を診断する診断部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記診断部による診断結果を通知する通知部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
少なくとも文字情報を表示する表示部を更に備え、
前記通知部は前記表示部に所定のメッセージを表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記診断部は、前記診断を行う際に、前記補助装置に対して所定の動作を行っているか否かを問い合わせる質問コマンドを送信し、これに応じて受信する該補助装置からの返答コマンドに従って前記診断を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記補助装置に対する前記電池室に収容された電池からの電力供給を選択的に切断するスイッチ部を更に備え、
前記診断部は、前記補助装置から前記所定の動作を行っていないことを示す回答コマンドを受信した場合に前記スイッチ部を切断し、切断前後の前記検出部による検出電圧の変化に応じて前記診断を行うことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記診断部により障害が発生していないと診断された場合に、前記補助装置に省電力処理を実行させる省電力処理部を更に備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記検出部による検出電圧が所定の時間内に前記第1閾値よりも高い所定の第2閾値以下に低下した場合に、前記補助装置に省電力処理を実行させる省電力処理部と、
前記診断部により障害が発生していないと診断された場合に、前記検出部による検出電圧が所定の時間内に前記第1閾値以下に低下した際の該検出電圧と該第1閾値との差分に応じて前記第2閾値を補正する補正部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記装着部として、レンズ装置が装着されるレンズ装置装着部及び閃光装置が装着される閃光装置装着部を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記省電力処理は、前記レンズ装置装着部に装着されたレンズ装置及び前記閃光装置装着部に装着された閃光装置の動作を排他的に実行させる処理である請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記省電力処理は、前記閃光装置装着部に装着された閃光装置の昇圧速度を通常速度よりも低下させる処理である請求項8に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37630(P2012−37630A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175868(P2010−175868)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】